JP2014116145A - 蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】高容量密度や高エネルギー密度を有する新規な蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】水系の電解質層3と、これを挟んで設けられた正極2と負極4とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極2,4が、少なくとも下記(A)と(B)ととからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイス。
(A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
(B)ポリカルボン酸。
【選択図】図1

Description

本発明は蓄電デバイスに関し、詳しくは高速充放電を実現する優れた高容量密度や高エネルギー密度を有する新規な蓄電デバイスに関するものである。
近年、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等における電子技術の進歩、発展に伴い、これら電子機器の蓄電デバイスとして、繰り返し充放電することができる二次電池等が広く用いられている。このような二次電池等の電気化学的蓄電デバイスにおいては、電極として使用する材料の高容量化や早い充放電が望まれる。
蓄電デバイスの電極は、イオンの挿入・脱離が可能な機能を有する活物質を含有するものが使用される。活物質のイオンの挿入・脱離は、いわゆるドーピング・脱ドーピング(またはドープ・脱ドープということもある)とも称され、一定の分子構造あたりのドーピング・脱ドーピング量をドープ率と呼び、ドープ率が高い材料ほど、電池としては高容量化が可能となる。
電気化学的には、イオンの挿入・脱離の量が多い材料を電極として使用することにより、電池として高容量化が可能となる。より詳しく述べると、蓄電デバイスとして注目されるリチウム二次電池においては、リチウムイオンを挿入・脱離することができるグラファイト系の負極が用いられ、6つの炭素原子あたり1つ程度のリチウムイオンが挿入・脱離し高容量化が得られている。
このようなリチウム二次電池のなかでも、電極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極にリチウムイオンを挿入・脱離し得る炭素材料を用い、両電極を電解液中で対峙させたリチウム二次電池は、高エネルギー密度を有するようになるため、上述した電子機器の蓄電デバイスとして広く用いられている。
しかし、上記リチウム二次電池は有機溶剤を電解液に用いるため、非水系電池とも呼ばれる。これらの電池は電気化学反応によって電気エネルギーを得る二次電池であって、上記電気化学反応の速度が小さくまた電解液が有機溶剤系であるため、水系の電池にくらべ出力密度が低いという欠点がある。また、充放電に伴う電気化学反応によって電極や電解液が劣化するため、一般に寿命、すなわち、サイクル特性もよくない。
そこで、上記の問題を改善するため、ドーパントを有するポリアニリンのような導電性ポリマーを電極活物質に用いる二次電池も知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、一般に、導電性ポリマーを電極活物質として有する二次電池は、充電時には電極活物質にアニオンがドープされ、放電時にはそのアニオンがポリマーから脱ドープされるアニオン移動型である。そのため、負極活物質にリチウムイオンを挿入・脱離し得る炭素材料等を用いたときは、充放電時にカチオンが両電極間を移動するカチオン移動型のロッキングチェア型二次電池を構成することができない。すなわち、ロッキングチェア型二次電池は電解液量が少なくてすむという利点を有するが、上記電極活物質を電極活物質として有する二次電池はそれができず、蓄電デバイスの小型化に寄与することができない。
このような問題を解決するために、電解液を大量に必要とせず、電解液中のイオン濃度を実質的に変化させないとともに、これにより体積や重量当たりの容量密度、エネルギー密度の向上を目的とした、カチオン移動型の二次電池も提案されている。これは、ドーパントとしてポリビニルスルホン酸のようなポリマーアニオンを有する電極活物質を用いて電極を構成し、負極に金属を用いているものである(特許文献2参照)。
特開平3−129679号公報 特開平1一132052号公報
しかしながら、上記に提案された電極活物質を用いた二次電池は、性能において未だ充分ではなく、電極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用いたリチウム二次電池に比べ、容量密度やエネルギー密度が低いものである。また、負極に亜鉛などを用いた水系の電池は、非水系の二次電池に比べ電圧が低く、大きなエネルギー密度を得にくい。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、特にイオンの挿入・脱離により導電性の変化する活物質のドープ率を高め、高容量密度や高エネルギー密度を有する高出力の水系の新規な蓄電デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、水系の電解質層と、これを挟んで設けられる正極と負極とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイスを、第一の要旨とする。
(A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
(B)ポリカルボン酸。
すなわち、本発明者らは、イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質を用いて電極を構成し、高容量密度および高エネルギー密度を有する、水系の電解質層を有する蓄電デバイスを得るために検討を重ねた。その過程で、ポリカルボン酸との複合化に着目し、これを中心に検討をさらに重ねた。その結果、イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質(A)と、ポリカルボン酸(B)を配合することにより、蓄電デバイス特性が大幅に向上することを見出し本発明に到達した。
なお、本発明において、「ポリカルボン酸(B)が複合体内に固定される」とは、他の成分(A)との関係において、複合体内に固定されることをいい、これにより、他の成分(A)から放出されるイオンが、ポリカルボン酸(B)に対しカチオン移動する性質を有するようになり、ひいては、これを用いた蓄電デバイスがロッキングチェア型の機構を有するようになることを意味する。
このように、本発明の蓄電デバイスは、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されているため、活物質重量当りの容量密度に優れる、すなわち、高容量密度および高エネルギー密度に優れる高性能のものが得られるようになる。
(A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
(B)ポリカルボン酸。
また、上記イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質(A)が、ポリビニルスルホン酸およびポリビニル硫酸の少なくとも一方によりドーピングされてなる蓄電デバイスであると、電解液量が少なくても優れた活物質重量当たりのエネルギー密度を維持することができるようになる。これは、ポリビニルスルホン酸およびポリビニル硫酸がそれぞれカチオン移動のドーパントであることから、上記ポリカルボン酸(B)もカチオン移動のドーパントであることと併せて、充放電時の電荷の補償が主にカチオンによることになるからである。
本発明の蓄電デバイス用電極の構造を模式的に示す断面図である。 実施例および比較例の、電解液重量/活物質重量(mg/mg)−活物質重量あたりのエネルギー密度(mWh/g)の関係を示すグラフ図である。 実施例および比較例の、電解液重量/活物質重量(mg/mg)−活物質と電解液の合計重量あたりのエネルギー密度(mWh/g)の関係を示すグラフ図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明は、以下の内容に限定されない。
本発明の蓄電デバイスは、図1に示すように、水系の電解質層3と、これを挟んで設けられた正極2と負極4とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されている。
(A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
(B)ポリカルボン酸。
本発明は、水系の電解質層を有する蓄電デバイスであって、上記(A)と(B)とを構成要素として有する複合体からなる電極を有するものであり、その使用材料等について順を追って説明する。
<イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質(A)について>
上記(A)は、イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質であり(以後、単に「電極活物質」と呼ぶことがある。)、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリアズレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、およびこれらの置換体ポリマー等の電極活物質系材料があげられる。中でも、電気化学的容量の大きなポリアニリンやポリピロールまたはこれらの誘導体が特に好ましく用いられる。
上記ポリアニリンの誘導体としては、例えば、アニリンの4位以外の位置にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基等の置換基を少なくとも1つ有するものがあげられる。なかでも、o−メチルアニリン、o−エチルアニリン、o−フェニルアニリン、o−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン等のo−置換アニリン、m−メチルアニリン、m−エチルアニリン、m−メトキシアニリン、m−エトキシアニリン、m−フェニルアニリン等のm−置換アニリン等の重合体をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ポリピロールの誘導体としては、例えば、ピロールの2位及び5位以外の位置にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基等の置換基を少なくとも1つ有するものを例示することができる。好ましい具体例として、例えば、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−エテニルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−フェニルピロール、3−フェノキシピロール、3−p−トルイルピロール、3−ベンジルピロール、3−メトキシメチルピロール、3−p−フルオロフェニルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ジエテニルピロール、3,4−ジメトキシピロール、3,4−ジエトキシピロール、3,4−ジフェニルピロール、3,4−ジフェノキシピロール、3,4−ジ(p−トルイル)ピロール、3,4−ジベンジルピロール、3,4−ジメトキシメチルピロール、3,4−ジ(p−フルオロフェニル)ピロール等の重合体をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記電極活物質(A)は充電時または放電時において、ドープ状態(充電時)であってもよいし、還元脱ドープ状態(放電時)であってもよい。
電極活物質系材料は、通常、ドープ状態(イオンが挿入された状態)にある。また、上記電極活物質(A)がドープ状態にない場合には、ドープ処理を行うことによりドープ状態となる。ドープ処理としては、具体的には、出発物質(例えば、アニリン)にドープする原子を含むドーパントを混ぜる方法、また生成物質(例えば、ポリアニリン)をドーパントと反応させる方法等があげられる。
上記(A)の、イオンの挿入・脱離は、先に述べたように、いわゆるドーピング・脱ドーピングとも称され、一定の分子構造あたりのドーピング・脱ドーピング量をドープ率と呼び、ドープ率が高い材料ほど、電池としては高容量化が可能となる。
例えば、電極活物質(A)のドープ率は、ポリアニリンでは0.5、ポリピロールでは0.25と言われている。そして、上記ドープ率が高いほど、高容量の電池が形成できる。例えば、導電性ポリアニリンの導電性は、ドープ状態では100(=1)〜103S/cm程度、脱ドープ状態では、10-15〜10-2S/cmとなる。
本発明においては、蓄電デバイス形成時において、電極活物質(A)は、ドープ状態であることがよい。さらにカチオン移動型にするために、ポリマードーパントをドープをした電極活物質が好ましく用いられる。例えば、水中解離し易い、ポリビニルスルホン酸やポリビニル硫酸をドープした電極活物質が特に好ましく用いられる。
本発明においては、上記のドーパントをドープした電極活物質において、電極活物質重量とドーパント重量の合計を、電極活物質(A)の重量と定義する。すなわち、ポリビニルスルホン酸をドープしたポリアニリンを用いた場合は、ポリアニリン重量とポリビニルスルホン酸重量の合計重量を、電極活物質(A)であるポリアニリン重量とする。
本発明に使用する電極活物質(A)は、上記電極活物質が導電性ポリマーの場合、このポリマーを形成できるモノマーの化学酸化または電解酸化重合時に、ドーパントを共存させることで、導電性ポリマーにドーピングすることが好ましい。
また、電極活物質(A)は、多孔質炭素材料の多孔質表面に被覆した形態でも好ましく用いることができる。
上記多孔質炭素材料は、炭素材料を主成分とする多孔質構造の材料であり、吸着効率を高めるために化学的または物理的な処理(活性化、賦活化)を施した活性炭が好ましく用いられる。上記化学的な処理を施した活性炭としては、フェノール樹脂系活性炭、やしがら系活性炭、石油コークス系活性炭などがある。また、上記物理的な処理を施した活性炭としては、水蒸気賦活処理法より得られた活性炭、溶融KOH賦活処理法より得られた活性炭等がある。これらのうち大きい容量を得られる点で、水蒸気賦活処理法により得られた活性炭を用いることが好ましい。
さらに、上記活性炭としては、比表面積の大きい電気二重層キャパシタ用の活性炭が好ましく用いられる。大容量で低内部抵抗の蓄電デバイスが得られるように、平均粒径が20μm以下で比表面積が1000〜3000m2/gの活性炭を使用するのが好ましい。
電極活物質(A)の多孔質炭素材料への被覆は、電極活物質を適度な溶剤に溶解させた溶液中に多孔質炭素材料を浸漬させ取り出し乾燥させる方法、電解方法による方法、導電性ポリマーの化学酸化重合時の重合溶液に多孔質炭素材料を浸漬させ、多孔質炭素材料の表面に導電性ポリマーを付着させる方法(以下、「その場重合法」という)等があげられ、この重合の際にドーパントを電極活物質にドープさせる。これらの中でも、その場重合法は、均一な薄膜を得ることができ特に好ましく用いられる。その場重合法としては、特開2012−33783号公報に記載の方法を用いることができる。
電極活物質(A)の被覆厚みは、0.1〜500nmであり、好ましくは0.5〜50nmである。薄すぎると容量密度の高い蓄電池が得にくくなり、また厚過ぎても、イオンの拡散がしにくくなり高い容量密度が得られにくい。
電極活物質(A)と多孔質炭素材料を有する複合体に対する電極活物質(A)の重量比率は、0.5〜40%であり、好ましくは1〜10%である。
本発明の蓄電デバイスに用いられる電極としては、通常、上記電極活物質(A)と、つぎに説明するポリカルボン酸(B)とを含有する材料を用いてなる多孔質シートからなり、これを用いた電極が構成される。
<ポリカルボン酸(B)について>
上記ポリカルボン酸(B)は、分子内にカルボキシル基を有するポリマーであり、このポリカルボン酸(B)は、バインダーを兼ねることもできる。
上記ポリカルボン酸(B)としては、具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられ、ポリアクリル酸およびポリマレイン酸が特に好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明による蓄電デバイスにおいて、上記ポリカルボン酸(B)を用いるため、このポリカルボン酸(B)が、バインダーとしての機能を有するとともに、固定アニオンとしても機能することから、蓄電デバイスがロッキングチェア型の機構を有することとなり、蓄電デバイスの特性の向上に関与するものと考えられる。
さらに、上記ポリカルボン酸(B)の一例としては、分子中にカルボキシル基を有する化合物のカルボン酸をリチウム型にするものがあげられる。リチウム型への交換率は、好ましくは100%であるが、状況に応じて交換率は低くてもよく、好ましくは40〜100%である。
上記ポリカルボン酸(B)の含有量は、電極活物質(A)100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは、2〜70重量部、最も好ましくは、5〜40重量部の範囲にて用いられる。上記ポリカルボン酸(B)の含有量が少なすぎると、エネルギー密度に優れる蓄電デバイスを得ることができない傾向にあり、他方、上記ポリカルボン酸(B)の量が多すぎても、エネルギー密度の高い蓄電デバイスを得ることができない傾向にある。
<電極について>
本発明の蓄電デバイスに係る電極は、少なくとも上記電極活物質(A)とポリカルボン酸(B)とからなる複合体からなり、多孔質シートに形成されることが好ましい。このような電極の厚みは、1〜1000μmであることが好ましく、10〜700μmであることがさらに好ましい。
上記電極の厚みは、電極を先端形状が直径5mmの平板であるダイヤルゲージ(矢崎製作所社製)を用いて測定し、電極の面に対して10点の測定値の平均を求めることにより得られる。集電体上に電極(多孔質層)が設けられ複合化している場合には、その複合化物の厚みを、上記と同様に測定し、測定値の平均を求め、集電体の厚みを差し引いて計算することにより電極の厚みが得られる。
本発明の蓄電デバイスに係る電極は、例えば、つぎのようにして形成される。すなわち、上記ポリカルボン酸(B)を水に溶解して水溶液とし、これに電極活物質(A)粉末、または電極活物質(A)で被覆した多孔質炭素材料を、必要に応じて、導電性カーボンブラックのような導電助剤あるいはフッ化ビニリデンのようなバインダーを加え、充分に分散させて、ペーストを調製する。これを集電体上に塗布した後、水を蒸発させることによって、集電体上に上記電極活物質(A)とポリカルボン酸(B)(必要に応じて、導電助剤とバインダー)の混合物の複合体(多孔質シート)として電極を得ることができる。
上記のように形成された電極においては、ポリカルボン酸(B)は、電極活物質(A)との混合物の複合体として配置されるため、複合体内に固定、ひいては電極内に固定される。そして、このように電極活物質(A)の近傍に固定配置されたポリカルボン酸(B)は、電極活物質(A)の酸化還元時の電荷補償にも使用される。
本発明において、上記構成の電極とすると、なぜドープ率が向上し高容量、高エネルギー密度の電池となるかの詳細は不明であるが、電極活物質(A)の近傍にポリカルボン酸(B)が固定配置されることにより、電極活物質(A)から挿入・脱離するイオンの移動を容易にするなどの原因が考えられる。
さらに、ドープされたポリカルボン酸(B)が、リチウムイオンなどの対固定アニオンとなり、いわゆるロッキングチェア型のイオン移動に寄与し、全体の電解液量が低減しても容量低下を防いでいると考えられる。
また、ポリビニルスルホン酸およびポリビニル硫酸の少なくとも一方により上記電極活物質(A)がドーピングされてなる場合には、ポリビニルスルホン酸およびポリビニル硫酸は、カチオン移動のドーパントであることから、上記ポリカルボン酸(B)と併せて、二重のカチオン移動のドーパントとなり、カチオン移動型のロッキングチェア型蓄電デバイスにより適するようになる。
また、電極の空隙率(%)は、{(電極の見かけ体積−電極の真体積)/電極の見かけ体積}×100で算出でき、好ましくは50〜80%であり、さらに好ましくは60〜75%である。
本発明において、上記電極の見かけ体積とは、「電極の電極面積×電極厚み」をいい、具体的には、電極の物質の体積、電極内の空隙の体積、および電極表面の凹凸部の空間の体積の総和からなる。
本発明において、電極の真体積とは、「電極構成材料の体積」をいい、具体的には、電極構成材料の構成重量割合と各構成材料の真密度の値を用いて、電極構成材料全体の平均密度を算出しておき、電極構成材料の重量総和をこの平均密度で除することにより求められる。
上記使用してなる各構成材料の真密度(真比重)の値としては、例えば、ポリアニリンの真密度は1.2、ポリアニリンの真密度は1.2、ポリピロールの真密度は1.2、ポリアクリル酸の真密度は1.2、ポリビニルスルホン酸の真密度は1.1、導電助剤の一例であるデンカブラック(アセチレンブラック)の真密度は2.0を用いた。
なお、上記形成された電極は、図1に示すように、水系の電解質層3とこれを挟んで対峙する一対の電極(正極2,負極4)が設けられた蓄電デバイスにおける正極2および負極4のいずれにも用いることができるが、とりわけ、正極2として用いることが好ましい。以下、本発明の蓄電デバイスに係る電極を正極2として使用した場合について、蓄電デバイスの構成を説明する。
<電解質層について>
本発明の蓄電デバイスに用いる電解質層3は、水系の電解質により構成されるが、例えば、セパレータに水系の電解液を含浸させてなるシートが好ましく用いられる。
上記水系の電解質は、例えば、溶質と、水または水と水に対する相溶性のよい有機溶剤との混合溶媒と、各種添加剤とを含むものから構成される。
このような溶質としては、例えば、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が用いられる。好ましくは、負極を構成する金属成分と同じ金属成分を有し、かつ、電解質におけるアニオン成分が充放電時に酸化還元反応に関与しないものが適宜選択される。
また、前記した水または水との混合溶媒と上記溶質の代わりに、高分子固体電解質である「ナフィオン」(登録商標)フィルムや、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドに水系電解質を混合させたフィルムも用いることが可能である。
また、本発明においては、セパレータを各種の態様で用いることができる。上記セパレータとしては、これを挟んで対向して配設される正極と負極の間の電気的な短絡を防ぐことができ、さらに、電気化学的に安定であり、イオン透過性が大きく、ある程度の機械強度を有する絶縁性で親水性の多孔質シートであればよい。従って、上記セパレータの材料としては、例えば、紙、不織布や、親水化処理したポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂からなる多孔性の多孔質シートが好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
<負極について>
本発明の蓄電デバイスにおいて、少なくとも上記電極活物質(A)とポリカルボン酸(B)とを用いた複合体からなる電極を正極とする場合、対する負極としては、イオンを挿入・脱離し得る負極活物質を用いて形成される。上記負極活物質としては、金属亜鉛、金属マグネシウム、金属カルシウム等が用いられる。なお、本発明において、「用いる」とは、その形成材料のみを使用する場合以外に、その形成材料と他の形成材料とを組み合わせて使用する場合も含める趣旨であり、通常、他の形成材料の使用割合は、その形成材料の50重量%未満に設定される。
また、本発明の蓄電デバイスは、上述の正極、電解質層、負極等のほかに、集電体を用いることができる。集電体は、導電性がよく安定なものであれば特に限定されないが、ステンレス製の材料が好ましく用いられる。さらに負極が金属の場合には負極そのものが集電体を兼ねてもよい。
<蓄電デバイス>
図1において、正極2および負極4の集電体(図1の1,5)としては、ニッケル、アルミ、ステンレス、銅等の金属箔やメッシュが適宜用いられる。
本発明の蓄電デバイスは、電極活物質(A)重量当たりのエネルギー密度が、通常30mWh/g以上であり、好ましくは50mWh/g以上という優れた値を有する。さらに電解液量を減らしてもエネルギー密度が低下しにくい。
本発明の蓄電デバイスがこのように高容量を有する理由は、水系の電解質層を備えた蓄電デバイスにおいても、ポリカルボン酸(B)の混合により電極活物質(A)から挿入・脱離するイオンの移動を容易にする等により、電極活物質(A)のドープ率が向上したことによるものであると推察される。
さらに、本発明の蓄電デバイスにおける電極は、上記電極活物質(A)およびポリカルボン酸(B)との組合せで用いているため、電気二重層キャパシタのように充放電特性に優れるうえ、従来の電気二重層キャパシタの容量密度よりも高い容量密度を有するようになる。このことから、本発明に係る蓄電デバイスは、キャパシタ的二次電池ということができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例,比較例となる蓄電デバイスの作製に先立ち、下記に示す各成分を調製準備した。
[ドーパントとなるポリビニルスルホン酸の合成(I)]
ビニルスルホン酸ナトリウムの25%水溶液(東京化成工業社製)160gからロータリー・エバポレータにて水を留去し、87g(濃度46重量%)になるまで濃縮した。このビニルスルホン酸ナトリウムの濃縮水溶液の全量を攪拌機、窒素導入装置及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに投入し、窒素導入装置から窒素を溶液中に10分間吹き込んだ。ついで、蒸留水12.3gにベルオキソニ硫酸カリウム0.213gと亜硫酸水素ナトリウム0.108gを溶解させたレドックス系開始剤水溶液を調製し、これを上記フラスコ中に加え、室温(25℃)にて攪拌を続けた。約1時間後に溶液の粘度が上昇したことが認められた。
3時間反応させた後、得られた反応化合物をメタノール700mL中に撹拌下に投入すると、白色沈殿を生じた。この白色沈殿をガラスフィルターにて濾別し、メタノールで充分に洗浄した後、70℃で8時間真空乾燥して、ポリビニルスルホン酸ナトリウム33.6g(収率84%)を白色粉末として得た。
この重合体の対数粘度(0.5g/dL、30℃、水中)は0.20であった。ウベローデ粘度計を用いて、濃度を希釈しながら、粘度測定を行なうと、低濃度になるにつれて、対数粘度及び還元粘度ともに上昇するいわゆる低濃度異常の現象を示した。これは、得られた重合体が高分子電解質であることを示している。
つぎに、このポリビニルスルホン酸ナトリウム13gを蒸留水74gに溶解し、15重量%水溶液を調製した。そして、H型強酸性カチオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、DOWF、X 50WX2、H型)を充填したガラス・カラムを蒸留水にて充分洗浄し、留出液が中性になったことを確認した後、このカラムに上記ポリビニルスルホン酸ナトリウム水溶液を定量ポンプにてカラムに供給し、留出液が酸性に変化した時点から留出液を採取し、ついで、中性になるまで採取を続けた。
この留出液約200mLをロータリー・エバポレータにて処理して、水分を留去し、得られた水飴状物を80℃で5時間真空乾燥し、残存水分を充分に留去して、茶色の水飴状物としてポリビニルスルホン酸10gを得た。
[ポリビニルスルホン酸がドーピングされたポリアニリン(A)の合成]
200mL容量のガラス製反応容器に蒸留水81gを投入し、これに上記ポリビニルスルホン酸8.65gを加えて、溶解させた。得られた溶液は、強い酸性を示した。このポリビニルスルホン酸水溶液にアニリン3.73g(0,04モル)を加え、攪拌下に溶解させた。氷水で冷却し、5℃の温度にて、二酸化マンガン粉末3.48g(0.04モル)を反応容器中へ少量ずつ加えた。上記二酸化マンガン粉末を加えた直後に反応液は緑色に着色し、その後、直ちに黒緑色固体が生成した。約30分を要して二酸化マンガン粉末を加え、その後、さらに1.5時間攪拌を続けた。
反応終了後、反応混合物を蒸留水500mL中に攪拌下に加え、ポリアニリン粉末をガラス・フィルターG4にて濾別し、これを蒸留水中、超音波洗浄した。新たな蒸留水を用いて、同様に超音波洗浄を2回繰り返した。これによって、洗浄液が中性となったことを確認した。
ついで、重合体粉末を洗浄液が無色になるまで、アセトンによる洗浄を繰り返し、この後、デシケータ中にて室温(25℃)にて5時間真空乾燥して、ポリアニリン3.99gを緑色粉末として得た。この重合体は、元素分析の結果、イオウを6.1重量%含む。また、ファン・デル・ポー法による電導度は、0.64S/cmであった。
〔ポリアクリル酸(B)の準備〕
ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、重量平均分子量100万)0.1gをイオン交換水3.9gに加え、一夜静置して、膨潤させた。この後、超音波式ホモジナイザーを用いて1分間処理して溶解させることにより、2.5重量%濃度の均一で粘稠なポリアクリル酸水溶液4gを準備した。
〔負極材料の準備〕
金属亜鉛箔を準備した。
〔電解液の準備〕
電解液として、1モル/dm3濃度の硫酸亜鉛(ZnSO4)(和光純薬社製)の水溶液を準備した。
〔セパレータの準備〕
濾紙(アドバンテック社製、定量分析用No.5B)を準備した。
〔実施例1〕
<蓄電デバイスの製造>
[導電性ポリアニリン粉末を含む正極シートの製造]
前記合成したポリビニルスルホン酸をドープした導電性ポリアニリン粉末0.8gを、導電助剤として導電性カーボンブラック粉末(電気化学工業社製、デンカブラック)0.1gと混合した後、これを前記2.5重量%濃度のポリアクリル酸水溶液4gに加え、スパチュラでよく練った後、超音波式ホモジナイザーにて1分間分散処理を施して、流動性を有するペーストを得た。このペーストをさらに真空吸引鐘とロータリーポンプを用いて脱泡した。
つぎに、集電体として、厚み50μmの電気二重層キャパシタ用エッチングアルミニウム箔(宝泉社製、30CB)を準備した。そして、上記集電体上に、上記脱泡ペーストを、テスター産業社製の卓上型自動塗工装置を用い、マイクロメーター付きドクターブレード式アプリケータによって、塗布速度10mm/秒にて塗布した。次いで、室温で45分間放置した後、温度100℃のホットプレート上で乾燥した。この後、真空プレス機(北川精機社製、KVHC)を用いて、15cm角のステンレス板に挟んで、温度140℃、圧力1.49MPaで5分間プレスして、複合体シートを得た。
上記複合体シートの厚みから集電体の厚みを差し引いて算出される電極の厚みは175μmであり、また、この電極の空隙率は、前記基準により測定した結果、75%であった。
つぎに、上記複合体シートを直径15.95mmの打ち抜き刃が据え付けられた打ち抜き治具にて円盤状に打ち抜いて正極シートとし、上記正極シートとセパレータは、HSセルへの組み付けの前に真空乾燥機にて100℃で5時間真空乾燥した、以下の組立を行った。まず、二次電池実験用のステンレス製HSセル(宝泉社製)に、上記正極シートと、上記準備した負極とを正しく対向させて配置し、これらがショートしないように準備したセパレータで位置決めした。その後、準備した電解液を注入した。なお、本セルでは負極の集電体はステンレス材料である。
<複合体シート電極の蓄電池性能>
上記組み立てた蓄電デバイスの特性は、電池充放電装置(北斗電工社製、SD8)を用いて、定電流−定電圧充電/定電流放電モードにて行なった。すなわち、特に断らない限り、充電終止電圧は1.35Vとし、定電流充電により電圧が1.34Vに到達した後は、1.35Vの定電圧充電を電流値が定電流充電時の電流値に対して20%の値になるまで行ない、この後、放電終止電圧0.70Vまで定電流放電を行なった。
上記蓄電池について、充放電電流2.5mA/cm2にて充放電サイクル試験を行なった2サイクル目の放電の重量エネルギー密度をポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量当たりに換算すると105.5mWh/gであった。さらに、ポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量と使用した電解液重量の合計重量当たりに換算すると、19.2mWh/gであった。これらの結果を後記の表1および図2[電解液重量/活物質重量(mg/mg)−活物質重量あたりのエネルギー密度(mWh/g)の関係を示すグラフ図]、図3[電解液重量/活物質重量(mg/mg)−活物質と電解液の合計重量あたりのエネルギー密度(mWh/g)の関係を示すグラフ図]に示す。
なお、電解液重量(mg)は、(A)正極活物質であるポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、4.5倍とした。すなわち、電解液重量(mg)/ポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量=4.5(mg/mg)とした。
〔実施例2〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、3.7倍とした以外は実施例1と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔実施例3〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、2.8倍とした以外は実施例1と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔実施例4〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、0.7倍とした以外は実施例1と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、2.5重量%濃度のポリアクリル酸水溶液4gに代わりに、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)エマルジョン(JSR社製、TRD2001、SBR含有量48重量%)0.31gとポリ(N−ビニルピロリドン)水溶液(日本触媒社製、K−90W、含有量19.8重量%)1.76gを混合した溶液を用いた以外は、実施例1と同様に電池セルを作製し評価した。
この複合体シートにおいて、ポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)、ポリアクリル酸、導電性カーボンブラックからなる正極活物質層は、厚み150μm、空隙率55%であった。
そして、この電極を用いた蓄電池の重量エネルギー密度をポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量当たりに換算すると60.0mWh/gであった。さらに、ポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量と使用した電解液重量の合計重量当たりに換算すると、10.0mWh/gであった。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例2〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、3.7倍とした以外は比較例1と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例3〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、2.8倍とした以外は比較例1と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例4〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリアニリン(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、0.7倍とした以外は比較例1と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
[水酸化第二鉄の製造]
塩化第二鉄6水和物(FeC13・6HzO)27.54g(0.102モル)を蒸留水100mL中に溶解させ、これを1モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液307mL(0,307モル)中に徐々に滴下した。生成した水酸化第二鉄の沈殿をガラス・フィルターにて濾別した後、蒸留水にて充分に洗浄した。この水酸化第二鉄は、乾燥させずにそのまま、後述する反応に用いた。
[ドーパントとなるポリビニルスルホン酸の合成(II)]
ビニルスルホン酸ナトリウムの25%水溶液(東京化成工業社製)547gからロータリー・エバポレータにて水を留去し、342g(濃度度40重量%)まで濃縮した。このビニルスルホン酸ナトリウムの濃縮水溶液の全量を攪拌機、窒素導入装置及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに入れ、窒素導入装置から窒素を溶液中に15分間吹き込んだ。そして、蒸留水17gにベルオキソニ硫酸カリウム0.852gと亜硫酸水素ナトリウム0.433gを溶解させたレドックス系開始剤水溶液を調製し、これを上記フラスコ中に加え、室温にて攪拌を続けた。約1時間後に溶液の粘度が上昇したことが認められた。9時間反応させた後、得られた反応混合物をメタノール1700mL中に攪拌下に投入すると、白色沈殿を生じた。この沈殿をガラス・フィルターにて濾別し、メタノールで充分に洗浄した後、70℃で8時間真空乾燥して、ポリビニルスルホン酸ナトリウム90.2g(収率66%)を白色粉末として得た。 この重合体の対数粘度(0.5g/dL、30℃、水中)は0.19であった。
ウベローデ粘度計を用いて、濃度を希釈しながら、粘度測定を行なうと、低濃度になるにつれて、対数粘度および還元粘度ともに上昇する、いわゆる低濃度異常の現象を示した。これは、得られた重合体が高分子電解質であることを示している。
上記ポリビニルスルホン酸ナトリウム50gを蒸留水200mL中に溶解させ、前述の[ドーパントとなるポリビニルスルホン酸の合成(I)]と同様にして、イオン交換させ、pHが2.0以下の留出液約370mLを採取した。この留出液を50mLになるまで、エバポレータにて濃縮することにより、ポリビニルスルホン酸を得た。
[(A)ポリビニルスルホン酸がドーピングされたポリピロールの合成]
上記ポリビニルスルホン酸50mL中に、前述にて製造した水酸化第二鉄を加え、溶解させた。この溶液中にピロール3.54mL(0.0512モル)を加えたところ、反応液は、沈殿を生じて、黒色を呈した。
上記反応液を3000rpmにて遠心分離し、沈殿をガラス・フィルターで濾別し、蒸留水にて充分洗浄し、ついで、アセトンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、ポリビニルスルホン酸をドーパントとして有する導電性有機重合体(ポリピロール)3.32gを黒色粉末として得た。この重合体の電導度は4S/cmであった。
〔実施例5〕
ポリビニルスルホン酸をドープした導電性ポリアニリン粉末に代えて、上記にて合成されたポリビニルスルホン酸をドープしたポリピロール粉末を用い、また充電終止電圧は1.22Vとした以外は実施例1と同様に実験した。この複合体シートにおいて、ポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)、ポリアクリル酸、および導電性カーボンブラックからなる正極活物質層の厚みは165μm、空隙率は70%であった。
そして、この電極を用いた蓄電池の重量エネルギー密度をポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量当たりに換算すると75.0mWh/gであった。さらに、ポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量と使用した電解液重量の合計重量当たりに換算すると、13.6mWh/gであった。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔実施例6〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、3.7倍とした以外は実施例5と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔実施例7〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、2.8倍とした以外は実施例5と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔実施例8〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、0.7倍とした以外は実施例5と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例5〕
実施例5において、2.5重量%濃度のポリアクリル酸水溶液4gに代えて、SBRエマルジョン(JSR社製、TRD2001、SBR含有量48重量%)0.31gとポリ(N−ビニルピロリドン)水溶液(日本触媒社製、K−90W、含有量19.8重量%)1.76gを混合した溶液を用いた以外は、実施例5と同様に電池セルを作製し評価した。
この複合体シートにおいて、ポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)、ポリアクリル酸、導電性カーボンブラックからなる正極活物質層は、厚み140μm、空隙率49%であった。
そして、この電極を用いた蓄電池の重量エネルギー密度をポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量当たりに換算すると60.0mWh/gであった。さらに、ポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量と使用した電解液重量の合計重量当たりに換算すると、10.0mWh/gであった。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例6〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、3.7倍とした以外は比較例5と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例7〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、2.8倍とした以外は比較例5と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
〔比較例8〕
電解液重量(mg)を、(A)正極活物質であるポリピロール(ドープしたポリビニルスルホン酸重量を含む)重量(mg)に対して、0.7倍とした以外は比較例5と同様に電池セルを作製し評価した。その結果を実施例1と同様、後記の表1および図2,図3に示す。
Figure 2014116145
上記表1および図2,図3の結果から、実施例1〜4は比較例1〜4に比べ、導電性ポリマー重量当たりの重量エネルギー密度が大きく、また電解液量を減らしても、比較例1〜4に比べ重量エネルギー密度は大きいことがわかった。また、導電性ポリマーと電解液の合計重量当たりの重量エネルギー密度に関しても上記と同様、比較例1〜4に比べ、導電性ポリマー重量当たりの重量エネルギー密度が大きく、また電解液量を減らしても、比較例1〜4に比べ重量エネルギー密度は大きいことがわかった。
そして、正極活物質をポリピロールに代えた実施例5〜8もまた比較例5〜8に比べ、導電性ポリマー重量当たりの重量エネルギー密度が大きく、また電解液量を減らしても、比較例5〜8に比べ重量エネルギー密度は大きいことがわかった。また、導電性ポリマーと電解液の合計重量当たりの重量エネルギー密度に関しても上記と同様、比較例5〜8に比べ、導電性ポリマー重量当たりの重量エネルギー密度が大きく、また電解液量を減らしても、比較例5〜8に比べ重量エネルギー密度は大きいことがわかった。
なお、本発明者らは、実施例1〜8が充放電速度にも優れていることを確認し、さらに、実施例1のドーパントとしてポリビニルスルホン酸(I)に代えて、ポリビニル硫酸を用いた場合でも、高い重量エネルギー密度が得られることを確認した。
本発明の蓄電デバイスは、高性能の蓄電デバイスとして好適に使用できる。また、本発明の蓄電デバイスは、従来の水系二次電池と同様の用途に使用でき、例えば、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の携帯用電子機器や、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の駆動用電源に広く用いられる。
1 集電体(正極用)
2 正極
3 電解質層
4 負極
5 集電体(負極用)

Claims (2)

  1. 水系の電解質層と、これを挟んで設けられる正極と負極とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されていることを特徴とする蓄電デバイス。
    (A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
    (B)ポリカルボン酸。
  2. 上記イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質(A)が、ポリビニルスルホン酸およびポリビニル硫酸の少なくとも一方によりドーピングされてなる請求項1記載の蓄電デバイス。
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