JP2014127445A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】重量出力密度とサイクル特性に優れると共に、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度を遥かに超える高い重量エネルギー密度を有する新規な非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】正極2と負極4と、電解液と、上記正極と上記負極の間に配置され、上記電解液を含有する多孔質膜3とを備え、上記正極が導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とを含み、上記負極が卑金属又は卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料を含む非水電解液二次電池であって、上記多孔質膜の通気度が1〜200sec/100ccである非水電解液二次電池である。
【選択図】図1
【解決手段】正極2と負極4と、電解液と、上記正極と上記負極の間に配置され、上記電解液を含有する多孔質膜3とを備え、上記正極が導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とを含み、上記負極が卑金属又は卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料を含む非水電解液二次電池であって、上記多孔質膜の通気度が1〜200sec/100ccである非水電解液二次電池である。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解液二次電池に関し、詳しくは、重量エネルギー密度と重量出力密度の双方に優れ、更に、サイクル特性にも優れた非水電解液二次電池に関するものである。
近年、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等における電子技術の進歩、発展に伴い、これら電子機器の蓄電デバイスとして、繰り返し充放電することができる二次電池等が広く用いられている。
上記二次電池のなかでも、電極活物質として正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極にリチウムイオンを挿入、脱離し得る炭素材料を用いることによって、その充放電時に電解液中のリチウムイオン濃度が実質的に変化しない、所謂ロッキングチェア型のリチウム二次電池は、所謂リザーブ型の二次電池に比べて、電解液量を低減することができることから、小型化することができ、しかも、高エネルギー密度を有するので、上述した電子機器の蓄電デバイスとして広く用いられている。
しかし、リチウム二次電池は、電気化学反応によって電気エネルギーを得る蓄電デバイスであって、上記電気化学反応の速度が低いために、出力密度が低いという重要な問題があるだけでなく、電池の内部抵抗が高いため、急速な充放電が困難であるという問題もある。また、上記正極活物質の比重が大きいため、単位重量当りの容量密度には尚、改善の余地がある。そのうえ、充放電に伴う電気化学反応によって電極や電解液が劣化するため、一般に寿命、即ち、サイクル特性もよくない。
そこで、ドーパントを有するポリアニリンのような導電性ポリマーを正極活物質に用いる非水電解液二次電池も知られている(特許文献1参照)。しかし、一般に、導電性ポリマーを正極活物質として有する二次電池は、充電時には導電性ポリマーにアニオンがドープされ、放電時にはそのアニオンがポリマーから脱ドープされるアニオン移動型である。そのため、負極活物質にリチウムイオンを挿入・脱離し得る炭素材料等を用いたときは、充放電時にカチオンが両電極間を移動するカチオン移動型のロッキングチェア型二次電池を構成することができない。すなわち、ロッキングチェア型二次電池は電解液量が少なくてすむという利点を有するが、上記導電性ポリマーを正極活物質として有する二次電池はそれができず、蓄電デバイスの小型化に寄与することができない。
このような問題を解決するために、ポリビニルスルホン酸のようなポリマーアニオンをドーパントとして有する導電性ポリマーによって正極を構成し、負極にリチウム金属を用いて、カチオン移動型とし、電解液中のイオン濃度が実質的に変化しないようにした二次電池も提案されているが(特許文献2参照)、電池性能は未だ、充分ではない。
一方、最近になって、大気汚染や地球温暖化の問題を真剣に解決する方策が研究されている。その一つとして、ハイブリッド車や電気自動車が既に実用化の段階に入っており、これらのための蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池が一部で実用化されている。
しかし、ハイブリッド車や電気自動車のための蓄電デバイスは、特に、回生ブレーキによる急速充電や加速時に高い出力密度が求められる。ところが、リチウムイオン二次電池は、上述したように、出力密度が低いという問題がある。
そこで、電気二重層キャパシタが注目されている。電気二重層キャパシタは、通常、粉末活性炭や繊維状活性炭等の比表面積の大きい導電性多孔性炭素材料を用いて形成された分極性電極を用い、電解液中の支持電解質イオンの物理吸着特性を利用して、電気を貯蔵するデバイスである。このため、電気二重層キャパシタは、出力密度が高く、急速充電も可能であり、しかも、その寿命も著しく長い。しかし、一方において、電気二重層キャパシタは、リチウムイオン二次電池に比べて、そのエネルギー密度が非常に小さい。このため、電気二重層キャパシタを、ハイブリッド車や電気自動車のための蓄電デバイスとして実用化することについては問題がある。
例えば、電気二重層キャパシタは、リチウムイオン二次電池に比較して、サイクル寿命が約10〜100倍、出力密度が約5倍とすぐれている反面、重量エネルギー密度が約1/10〜1/2、体積エネルギー密度が約1/50〜1/20であるといわれている(特許文献3参照)。
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、電気二重層キャパシタのように重量出力密度とサイクル特性にすぐれると共に、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度を遥かに超える高い重量エネルギー密度を有する新規な非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、正極と負極と、電解液と、上記正極と上記負極の間に配置され、上記電解液を含有する多孔質膜とを備え、上記正極が(a)導電性ポリマーと(b)ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種とを含み、上記負極が卑金属又は卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料を含む非水電解液二次電池であって、上記多孔質膜の通気度が1〜200sec/100ccである非水電解液二次電池を要旨とする。
すなわち、本発明者らは、電気二重層キャパシタのように重量出力密度とサイクル特性にすぐれると共に、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度を遥かに超える高い重量エネルギー密度を有する非水電解液二次電池を得るため、鋭意検討を重ねた。その過程で、本発明者らは、正極として導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とを用い、負極として卑金属又は卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料を用い、セパレータとして通気度が1〜200sec/100ccである多孔質膜を用いることにより、所期の目的が達成され、重量出力密度とサイクル特性に優れると共に、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度を遥かに超える高い重量エネルギー密度を有する二次電池が得られることを見出した。
このように、本発明は、正極と負極と、電解液と、上記正極と上記負極の間に配置され、上記電解液を含有する多孔質膜とを備え、上記正極が導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とを含み、上記負極が卑金属又は卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料を含む非水電解液二次電池であるため、重量出力密度とサイクル特性に優れるという電気二重層キャパシタのような優れた特性を有するうえに、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度を遥かに超える高い重量エネルギー密度を有する。すなわち、本発明の非水電解液二次電池はキャパシタ的特性を有する二次電池である。
また、上記導電性ポリマー(a)が、ポリアニリン及びポリアニリン誘導体の少なくとも1種であると、より一層高い重量エネルギー密度を有する二次電池が得られるようになる。
さらに、上記ポリカルボン酸が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、及びこれらポリマーの繰り返し単位の少なくとも2種を含む共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であると、さらなる重量エネルギー密度等の電池性能の向上が得られるようになる。
さらに、上記ポリカルボン酸金属塩が、ポリカルボン酸アルカリ金属塩及びポリカルボン酸アルカリ土類金属塩の少なくとも1種であると、さらなる重量エネルギー密度等の電池性能の向上が得られるようになる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明は、以下の内容に限定されない。
本発明の非水電解液二次電池は、図1に示すように、正極2と負極4と、上記正極2と上記負極4の間に配置されるセパレータ3とを有する非水電解液二次電池であって、上記正極が導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とを含み、上記セパレータが、通気度が1〜200sec/100ccであって、非水系の電解液を含有する多孔質膜である。また、上記負極4が、卑金属または卑金属イオンを挿入・脱離し得る材料からなるものである。
以下、上記各部材および使用材料等について順を追って説明する。
<正極について>
本発明の非水電解液二次電池の正極2を形成する非水電解液二次電池用正極シートは、導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とを含む固体の正極活物質層を集電体1上に有する複合体からなるものである。なお、これらの使用材料等については、順を追って説明する。
本発明の非水電解液二次電池の正極2を形成する非水電解液二次電池用正極シートは、導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とを含む固体の正極活物質層を集電体1上に有する複合体からなるものである。なお、これらの使用材料等については、順を追って説明する。
〔導電性ポリマー(a)〕
本発明において、上記導電性ポリマー(a)とは、ポリマー主鎖の酸化反応又は還元反応によって生成し、または消失する電荷の変化を補償するために、イオン種がポリマーに挿入し、またはポリマーから脱離することによって、ポリマー自身の導電性が変化する一群のポリマー(以下、「正極活物質」ということがある。)をいい、このようなポリマーにおいて、イオン種がポリマーに挿入されて、導電性が高い状態をドープ状態といい、イオン種がポリマーから脱離して、導電性が低い状態を脱ドープ状態という。導電性を有するポリマーが酸化反応又は還元反応によって導電性を失い、絶縁性(即ち、脱ドープ状態)となっても、そのようなポリマーは、酸化還元反応によって再度、可逆的に導電性を有することができるので、このように、脱ドープ状態にある絶縁性のポリマーも、本発明においては、導電性ポリマー(a)の範疇に入れることとする。
本発明において、上記導電性ポリマー(a)とは、ポリマー主鎖の酸化反応又は還元反応によって生成し、または消失する電荷の変化を補償するために、イオン種がポリマーに挿入し、またはポリマーから脱離することによって、ポリマー自身の導電性が変化する一群のポリマー(以下、「正極活物質」ということがある。)をいい、このようなポリマーにおいて、イオン種がポリマーに挿入されて、導電性が高い状態をドープ状態といい、イオン種がポリマーから脱離して、導電性が低い状態を脱ドープ状態という。導電性を有するポリマーが酸化反応又は還元反応によって導電性を失い、絶縁性(即ち、脱ドープ状態)となっても、そのようなポリマーは、酸化還元反応によって再度、可逆的に導電性を有することができるので、このように、脱ドープ状態にある絶縁性のポリマーも、本発明においては、導電性ポリマー(a)の範疇に入れることとする。
したがって、本発明において好ましい導電性ポリマー(a)の1つは、無機酸アニオン、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、ポリマースルホン酸アニオン及びポリビニル硫酸アニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のプロトン酸アニオンをドーパントとして有するポリマーである。また、本発明において、好ましい別の導電性ポリマーは、上記導電性ポリマーを脱ドープした脱ドープ状態のポリマーである。
本発明において、導電性ポリマー(a)を構成するポリマーとしては、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリアズレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアセン等や、これらの種々の誘導体が用いられる。なかでも、得られる導電性ポリマーの単位重量当りの容量が大きいことから、ポリアニリン及びポリアニリン誘導体の少なくとも1種が好ましく用いられる。
本発明において、上記ポリアニリンとは、アニリンを電解重合させ、または化学酸化重合させて得られるポリマーをいい、ポリアニリンの誘導体とは、アニリンの誘導体を電解重合させ、または化学酸化重合させて得られるポリマーをいう。ここに、アニリンの誘導体としては、アニリンの4位以外の位置にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基等の置換基を少なくとも1つ有するものを例示することができる。好ましい具体例として、例えば、o−メチルアニリン、o−エチルアニリン、o−フエニルアニリン、o−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン等のo−置換アニリン、m−メチルアニリン、m−エチルアニリン、m−メトキシアニリン、m−エトキシアニリン、m−フエニルアニリン等のm−置換アニリンをあげることができる。
ただし、本発明によれば、4位に置換基を有するものでも、p−フェニルアミノアニリンは、酸化重合によってポリアニリンを与えるので、例外的に、アニリン誘導体として好適に用いることができる。
以下、本発明において、特に断らない限り、「アニリンまたはその誘導体」を単に「アニリン」という。従って、導電性ポリマー(a)を構成するポリマーがアニリン誘導体から得られる場合であっても、「導電性ポリアニリン」という。
また本発明において、導電性ポリマー(a)は、既によく知られているように、適宜の溶媒中、アニリンやピロール等のモノマーをプロトン酸の存在下に電解重合し、または酸化剤を用いて化学酸化重合させることによって得ることができるが、好ましくは、適宜の溶媒中、プロトン酸の存在下にアニリンやピロール等のモノマーを酸化剤にて酸化重合させることによって得ることができる。上記溶媒としては、通常、水が用いられるが、水溶性有機溶媒と水との混合溶媒や、また、水と非極性有機溶媒との混合溶媒も用いられる。この場合には、界面活性剤等を併用することもある。
上記水を溶媒としてアニリンを酸化重合する場合を例にとって、より詳しく説明する。すなわち、アニリンの化学酸化重合は、水中にて、プロトン酸の存在下に酸化剤を用いて行われる。用いる酸化剤は、水溶性、水不溶性のいずれでもよい。
上記酸化剤として、好ましくは、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、二酸化マンガン、過酸化水素、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、塩素酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、ヨウ素酸ナトリウム、塩化鉄等をあげることができる。
上記アニリンの酸化重合のために用いる酸化剤の量は、生成する導電性ポリアニリンの収率に関係し、用いたアニリンを定量的に反応させるには、用いたアニリンのモル数の(2.5/n)倍モルの酸化剤を用いることが好ましい。但し、nは、酸化剤自身1分子が還元されるときに必要とする電子の数を表す。従って、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの場合には、下記の反応式から理解されるように、nは2である。
(NH4)2S2O8+2e→2NH4++2SO4 2-
しかし、ポリアニリンが過酸化状態になるのを抑制するために、用いるアニリンのモル数の(2.5/n)倍モルよりも若干少なくして、上記アニリンのモル数の(2.5/n)倍モル量に対して、30〜80%の割合を用いる場合もある。
導電性ポリアニリンの製造において、プロトン酸は、生成するポリアニリンをドーピングして、導電性にすると共に、アニリンを水中で塩にして水に溶解させるためと、重合反応系のpHを好ましくは1以下の強酸性に保つために用いられる。従って、導電性ポリアニリンの製造において、用いるプロトン酸の量は、上記目的を達成することができれば、特に限定されるものではないが、通常は、アニリンのモル数の1.1〜5倍モルの範囲で用いられる。しかし、用いるプロトン酸の量が多すぎるときは、アニリンの酸化重合の後処理において、廃液処理のための費用が不必要に嵩むことから、好ましくは、1.1〜2倍モルの範囲で用いられる。かくして、プロトン酸としては、強酸性を有するものが好ましく、好ましくは、酸解離定数pKa値が3.0未満のプロトン酸が好適に用いられる。
このような酸解離定数pKa値が3.0未満のプロトン酸として、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸(またはアルカンスルホン酸)等が好ましく用いられる。また、分子中にスルホン酸基を有するポリマー、即ち、ポリマースルホン酸も用いることができる。このようなポリマースルホン酸としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリ(アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸)、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロスルホン酸等をあげることができる。本発明においては、ポリビニル硫酸もプロトン酸として用いることができる。
しかし、上述した以外にも、例えば、ピクリン酸のようなある種のフェノール類、m−ニトロ安息香酸のようなある種の芳香族カルボン酸、ジクロロ酢酸、マロン酸等のようなある種の脂肪族カルボン酸も酸解離定数pKa値が3.0未満であるので、導電性ポリアニリンの製造において、プロトン酸として用いられる。
上述した種々のプロトン酸のなかでも、テトラフルオロホウ酸やヘキサフルオロリン酸は、例えば、非水電解液二次電池の一例であるリチウム二次電池における電解液の電解質塩の卑金属塩と同じアニオン種を含むプロトン酸であり、例えば、非水電解液二次電池がリチウム二次電池である場合であれば、リチウム二次電池における非水電解液の電解質塩のリチウム塩と同じアニオン種を含むプロトン酸であるので、好ましく用いられる。
本発明においては、導電性ポリマー(a)は、上述したように、上記プロトン酸にてドーピングされたポリマーであってもよく、また、このように上記プロトン酸にてドーピングされたポリマーを脱ドープ処理して得られる脱ドープ状態のポリマーであってもよい。必要に応じて、上記脱ドープ状態のポリマーを更に還元処理してもよい。
導電性ポリマーを脱ドープ処理する方法として、例えば、プロトン酸にてドーピングされてなる導電性ポリマーをアルカリにて中和処理する方法をあげることができる。また、プロトン酸にてドーピングされてなる導電性ポリマーを脱ドープ処理した後、還元処理する方法として、例えば、プロトン酸にてドーピングされてなる導電性ポリマーをアルカリにて中和処理して脱ドープし、かくして、得られた脱ドープされたポリマーを還元剤にて還元処理する方法をあげることができる。
プロトン酸にてドーピングされている導電性ポリマーをアルカリにて中和処理する場合、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水等のアルカリ水溶液中に導電性ポリマーを投入して、室温下に、又は必要に応じて、50〜80℃程度の加温下に、撹拌すればよい。加温下でアルカリ処理することによって、導電性ポリマーの脱ドープ反応を促進して、短時間で脱ドープすることができる。
一方、上述したように、脱ドープしたポリマーを還元処理するには、この脱ドープしたポリマーをヒドラジン一水和物水溶液、フェニルヒドラジン/アルコール溶液、亜二チオン酸ナトリウム水溶液、亜硫酸ナトリウム水溶液等の還元剤溶液中に投入し、室温下、又は必要に応じて、50〜80℃程度の加温下で撹拌すればよい。
〔ポリカルボン酸およびその金属塩の少なくとも一方〕
本発明において、上記ポリカルボン酸とは、分子中にカルボキシル基を有するポリマーをいう。そして、上記ポリカルボン酸としては、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸及びポリアスパラギン酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、及びこれらポリマーの繰り返し単位の少なくとも2種を含む共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、本発明において、上記共重合体は、グラフト共重合体を含むものとする。
本発明において、上記ポリカルボン酸とは、分子中にカルボキシル基を有するポリマーをいう。そして、上記ポリカルボン酸としては、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸及びポリアスパラギン酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、及びこれらポリマーの繰り返し単位の少なくとも2種を含む共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、本発明において、上記共重合体は、グラフト共重合体を含むものとする。
また、本発明において、上記ポリカルボン酸の金属塩は、ポリカルボン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の少なくとも一方であり、上記アルカリ金属塩としては、好ましくは、リチウム塩やナトリウム塩があげられ、上記アルカリ土類金属塩としては、好ましくは、マグネシウム塩やカルシウム塩があげられる。
本発明の非水電解液二次電池において、導電性ポリマー(a)とともにポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)を用いた場合、このポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)が、バインダーとしての機能を有するとともに、導電性ポリマー(a)のドーパントとしても機能することから、ロッキングチェア型の機構を有し、本発明による非水電解液二次電池の特性の向上に関与しているものとみられる。なお、この推察は、何ら理論によって制約されるものではない。
本発明の非水電解液二次電池用正極シートにおいて、上記ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)は、導電性ポリマー(a)100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、最も好ましくは5〜30重量部の範囲で用いられる。導電性ポリマー(a)に対するポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)の配合量が少なすぎると、重量出力密度に優れる非水電解液二次電池を得ることが困難となり、他方、導電性ポリマー(a)に対するポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)の配合量が多すぎると、正極活物質以外の部材重量が増大することによる正極の重量の増大によって、電池全体の重量を考慮したとき、重量エネルギー密度の高い非水電解液二次電池を得ることが困難となる。
〔導電助剤およびバインダー等について〕
正極シート形成材料には、上記導電性ポリマー(a)およびポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とともに、必要に応じて、導電助剤、上記(b)以外のバインダー等を適宜配合することができる。
正極シート形成材料には、上記導電性ポリマー(a)およびポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)とともに、必要に応じて、導電助剤、上記(b)以外のバインダー等を適宜配合することができる。
上記導電助剤は、電池の活物質間の電気抵抗を低減するために有効であり、蓄電デバイスの放電時に印加する電位によって性状の変化しない導電性材料であればよい。このような導電助剤としては、例えば、導電性炭素材料、金属材料等があげられ、なかでもアセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックや、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の繊維状炭素材料が好ましく用いられる。特に好ましくは導電性カーボンブラックである。
上記導電助剤は、上記導電性ポリマー(a)100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは4〜20重量部であり、特に好ましくは8〜18重量部である。導電助剤の配合量がこの範囲内であれば、活物質としての形状や特性に異常なく調製でき、効果的にレート特性を向上させることが可能となる。
上記(b)以外のバインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等があげられる。
〔正極の作製〕
本発明における非水電解液二次電池用正極シートは、例えば、上記ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)を水に溶解させ、または分散させ、これに導電性ポリマー(a)と、必要に応じて、導電性カーボンブラックのような導電助剤および上記(b)以外のバインダーを加え、これを充分に分散させて、溶液粘度が0.05〜50Pa・s程度である高粘性のペーストを調製し、これを集電体上に塗布した後、水を蒸発させることによって、集電体上に導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)と(必要に応じて、導電助剤、上記(b)以外のバインダーと)の均一な混合物の層を有する複合体として得ることができる。
本発明における非水電解液二次電池用正極シートは、例えば、上記ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)を水に溶解させ、または分散させ、これに導電性ポリマー(a)と、必要に応じて、導電性カーボンブラックのような導電助剤および上記(b)以外のバインダーを加え、これを充分に分散させて、溶液粘度が0.05〜50Pa・s程度である高粘性のペーストを調製し、これを集電体上に塗布した後、水を蒸発させることによって、集電体上に導電性ポリマー(a)とポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)と(必要に応じて、導電助剤、上記(b)以外のバインダーと)の均一な混合物の層を有する複合体として得ることができる。
電極の厚みは、1〜1000μmであることが好ましく、10〜700μmであることがさらに好ましい。
上記正極の厚みは、先端形状が直径5mmの平板である標準型ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製)を用いて測定し、電極の面に対して10点の測定値の平均を求めることにより得られる。図1に示すように、集電体1上に正極2およびセパレータ3(いずれも多孔質体)が設けられ複合化している場合には、その複合化物の厚みを、上記と同様に測定し、測定値の平均を求めた後、集電体1の厚みを差し引くことにより電極の厚みが得られる。
上記のように形成された正極シートでは、ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)は、導電性ポリマー(a)との混合物の層として存在しており、それによって電極内に固定される。そして、このように導電性ポリマー(a)の近傍に固定配置されたポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)は、導電性ポリマー(a)の酸化還元時の電荷補償にも使用される。
したがって、本発明における非水電解液二次電池は、先に述べたように、ロッキングチェア型のイオン移動機構を有するため、ドーパントとして働く電解液中のアニオンの量が少なくて済む。この結果、電解液の使用量が少なくても良好な特性を発現できる蓄電デバイスとなる。
また、電極の空隙率(%)は、{(電極の見かけ体積−電極の真体積)/電極の見かけ体積}×100で算出でき、好ましくは35〜80%である。
本発明において、上記電極の見かけ体積とは、「電極の電極面積×電極厚み」をいい、具体的には、電極の物質の体積、電極内の空隙の体積、および電極表面の凹凸部の空間の体積の総和からなる。
また本発明において、電極の真体積とは、アルミニウム箔等の集電体を除いた「電極構成材料の体積」をいい、具体的には、正極構成材料の構成重量割合と各構成材料の真密度の値を用いて、電極構成材料全体の平均密度を算出しておき、電極構成材料の重量総和をこの平均密度で除することにより求められる。
上記各構成材料の真密度(真比重)としては、例えば、導電性ポリマー(a)の一例であるポリアニリンの真密度を1.2g/cm3(ドーパントを含む)とし、ポリスルホン酸およびその金属塩の少なくとも1種(b)の一例であるポリカルボン酸の真密度を1.2g/cm3とした。
<負極について>
本発明の非水電解液二次電池に係る負極は、卑金属、または酸化・還元時に卑金属イオンが挿入、脱離し得る材料が好ましく用いられる。上記卑金属としては、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類、金属マグネシウム、金属カルシウム等のアルカリ土類金属をあげることができ、また、上記卑金属イオンとしては、上記卑金属のイオンをあげることができる。本発明においては、好ましい非水電解液二次電池はリチウム二次電池であり、従って、好ましい卑金属としてリチウムを、また好ましい卑金属イオンとしてリチウムイオンをあげることができる。上記卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料としては、好ましくは、炭素材料が用いられるが、ケイ素やスズ等も用いることができる。なお、本発明において、「用いる」とは、その形成材料のみを使用する場合以外に、その形成材料と他の形成材料とを組み合わせて使用する場合も含める趣旨であり、通常、他の形成材料の使用割合は、その形成材料の50重量%未満に設定される。
本発明の非水電解液二次電池に係る負極は、卑金属、または酸化・還元時に卑金属イオンが挿入、脱離し得る材料が好ましく用いられる。上記卑金属としては、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類、金属マグネシウム、金属カルシウム等のアルカリ土類金属をあげることができ、また、上記卑金属イオンとしては、上記卑金属のイオンをあげることができる。本発明においては、好ましい非水電解液二次電池はリチウム二次電池であり、従って、好ましい卑金属としてリチウムを、また好ましい卑金属イオンとしてリチウムイオンをあげることができる。上記卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料としては、好ましくは、炭素材料が用いられるが、ケイ素やスズ等も用いることができる。なお、本発明において、「用いる」とは、その形成材料のみを使用する場合以外に、その形成材料と他の形成材料とを組み合わせて使用する場合も含める趣旨であり、通常、他の形成材料の使用割合は、その形成材料の50重量%未満に設定される。
<集電体について>
本発明の非水電解液二次電池は、上述の正極、電解質層、負極等のほかに、集電体1,5(図1参照)を用いることができる。集電体は、導電性がよく安定なものであれば特に限定されないが、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属箔やメッシュ等が好ましく用いられ、さらにステンレス製の材料が好ましく用いられる。さらに負極が金属の場合には負極そのものが集電体を兼ねてもよい。
本発明の非水電解液二次電池は、上述の正極、電解質層、負極等のほかに、集電体1,5(図1参照)を用いることができる。集電体は、導電性がよく安定なものであれば特に限定されないが、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属箔やメッシュ等が好ましく用いられ、さらにステンレス製の材料が好ましく用いられる。さらに負極が金属の場合には負極そのものが集電体を兼ねてもよい。
<セパレータについて>
本発明の非水電解液二次電池に用いるセパレータは、正極と負極との間に配置され、正極と負極の電気的な短絡を防ぐものであって、電気化学的に安定であり、イオン透過性が大きく、ある程度の機械強度を有する絶縁性の多孔質膜であればよい。従って、上記セパレータとしては、例えば、紙、不織布、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、アラミド樹脂等の樹脂からなる多孔質膜が好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記セパレータは、1〜200sec/100ccの通気度を有し、好ましくは5〜150sec/100cc、より好ましくは10〜100sec/100ccである上記通気度が高すぎるとセパレータとして機能しない傾向があり、一方、上記通気度が低すぎると所望の出入力特性が得られない傾向があるからである。
本発明の非水電解液二次電池に用いるセパレータは、正極と負極との間に配置され、正極と負極の電気的な短絡を防ぐものであって、電気化学的に安定であり、イオン透過性が大きく、ある程度の機械強度を有する絶縁性の多孔質膜であればよい。従って、上記セパレータとしては、例えば、紙、不織布、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、アラミド樹脂等の樹脂からなる多孔質膜が好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記セパレータは、1〜200sec/100ccの通気度を有し、好ましくは5〜150sec/100cc、より好ましくは10〜100sec/100ccである上記通気度が高すぎるとセパレータとして機能しない傾向があり、一方、上記通気度が低すぎると所望の出入力特性が得られない傾向があるからである。
なお、強度や短絡防止などの目的で、上記多孔質膜を複数枚重ねて使用することも可能である。この場合、重ねた状態での通気度が上記範囲内であればよい。そして、高い出入力特性を有する電池を得るために、上記セパレータには電解液が含浸される。
ところで、無機系正極を用いる一般的な非水電解液二次電池では、電池内部で正極と負極が何らかの要因でショート(内部短絡)すると高温になり、正極(例えば、コバルト酸リチウム等)が分解して、発生した酸素が反応し、暴走・発火するおそれがある。このため、このような一般的な非水電解液二次電池では、セパレータとしてポリエチレン製多孔質膜がよく用いられる。その理由は、電池内部が高温になったとき、ポリエチレン樹脂の溶融または収縮により孔を閉塞して、卑金属イオンの移動を遮断し、電池を不活化して暴走・発火を防止する必要があるためである。これに対して、導電性高分子とポリマーバインダーを用いた正極を備える非水電解液二次電池では、そもそも内部短絡が起こった時点で、導電性高分子が還元されて絶縁体に変化するため、あまり発熱しない。つまり、卑金属イオンの移動の遮断が不要となる。従って、本発明の非水電解液二次電池では、セパレータの材料選択の範囲が非常に広く、従来必要とされた強度や遮断機能が無いセパレータでも使用できる。このため、セパレータ設計の自由度が向上する。このような事情から本発明の非水電解液二次電池では、特に通気度が高いセパレータであっても使用することができる。
<電解液について>
上記電解液は、電解質および溶媒を含有する物から構成される。上記電解質としては、例えば、卑金属イオン等の金属イオンとこれに対する適宜のカウンターイオン、例えば、スルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ハロゲンイオン等を組み合わせてなるものが好ましく用いられる。本発明において、卑金属とは、イオン化傾向が水素よりも大きく、空気中で(加熱すると、)容易に酸化される金属をいい、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、鉛等がこれに属する。従って、このような電解質の具体例としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、六フッ化砒酸リチウム(LiAsF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF3)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(SO2C2F5)2)、塩化リチウム(LiCl)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF6)、四フッ化硼酸ナトリウム(NaBF4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(NaCF3SO3)、六フッ化砒酸ナトリウム(NaAsF6)、六フッ化リン酸カルシウム(Ca(PF6)2)、四フッ化硼酸カルシウム(Ca(BF4)2)、過塩素酸カルシウム(Ca(ClO4)2)、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム(Ca(CF3SO3)2)、六フッ化砒酸カルシウム(Ca(AsF6)2)等があげられる。
上記電解液は、電解質および溶媒を含有する物から構成される。上記電解質としては、例えば、卑金属イオン等の金属イオンとこれに対する適宜のカウンターイオン、例えば、スルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ハロゲンイオン等を組み合わせてなるものが好ましく用いられる。本発明において、卑金属とは、イオン化傾向が水素よりも大きく、空気中で(加熱すると、)容易に酸化される金属をいい、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、鉛等がこれに属する。従って、このような電解質の具体例としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、六フッ化砒酸リチウム(LiAsF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF3)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(SO2C2F5)2)、塩化リチウム(LiCl)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF6)、四フッ化硼酸ナトリウム(NaBF4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(NaCF3SO3)、六フッ化砒酸ナトリウム(NaAsF6)、六フッ化リン酸カルシウム(Ca(PF6)2)、四フッ化硼酸カルシウム(Ca(BF4)2)、過塩素酸カルシウム(Ca(ClO4)2)、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム(Ca(CF3SO3)2)、六フッ化砒酸カルシウム(Ca(AsF6)2)等があげられる。
上記溶媒としては、例えば、カーボネート類、ニトリル類、アミド類、エーテル類等の少なくとも1種の非水溶媒、すなわち、有機溶媒が用いられる。このような有機溶媒の具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン等をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
<非水電解液二次電池の組立について>
上記材料を用いて、本発明の非水電解液二次電池を組立てる。なお、電池の組立ては、グローブボックス中、超高純度アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下かつ露点−40℃以下の低湿度環境下で行うことが好ましい。
上記材料を用いて、本発明の非水電解液二次電池を組立てる。なお、電池の組立ては、グローブボックス中、超高純度アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下かつ露点−40℃以下の低湿度環境下で行うことが好ましい。
<非水電解液二次電池の特徴について>
本発明の非水電解液二次電池は、電気二重層キャパシタのように、重量出力密度とサイクル特性にすぐれるうえに、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度よりも非常に高い重量エネルギー密度を有し、従って、本発明の非水電解液二次電池はキャパシタ的二次電池ということができる。本発明の非水電解液二次電池がこのようにキャパシタ的特性を有する理由は、未だ、明らかではないが、導電性ポリマー(a)に組み合わせたポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)が電解液中で適度に解離して、負電荷を有し、この負電荷が卑金属イオン(例えば、リチウムイオン)の電極間での移動を容易にして、ロッキングチェア型の非水電解液二次電池を構成しているものと推察される。
本発明の非水電解液二次電池は、電気二重層キャパシタのように、重量出力密度とサイクル特性にすぐれるうえに、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度よりも非常に高い重量エネルギー密度を有し、従って、本発明の非水電解液二次電池はキャパシタ的二次電池ということができる。本発明の非水電解液二次電池がこのようにキャパシタ的特性を有する理由は、未だ、明らかではないが、導電性ポリマー(a)に組み合わせたポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)が電解液中で適度に解離して、負電荷を有し、この負電荷が卑金属イオン(例えば、リチウムイオン)の電極間での移動を容易にして、ロッキングチェア型の非水電解液二次電池を構成しているものと推察される。
本発明の非水電解液二次電池がこのように高重量容量密度を有する理由は、前述のように、上記のように形成された電極において、ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)は、導電性ポリマー(a)との混合物の層として配置されるため、それによって電極内に固定される。そして、このように導電性ポリマー(a)の近傍に固定配置されたポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)は、導電性ポリマー(a)の酸化還元時の電荷補償にも使用される。また、ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種(b)のイオン環境が、導電性ポリマー(a)から挿入・脱離するイオンの移動を容易にする等により、導電性ポリマー(a)のドープ率が向上し、さらにロッキングチェア型のイオン移動機構を有するため、ドーパントとして働く電解液中のアニオンの量が少なくて済む。この結果、電解液の使用量が少なくても良好な特性(高重量容量密度等)を発現できる非水電解液二次電池となると推察される。
本発明の非水電解液二次電池の好ましい一態様として、導電性ポリマー(a)として導電性ポリアニリンを用い、ポリカルボン酸を含む正極を用いたリチウム二次電池を例にとり、充放電におけるポリカルボン酸による導電性ポリアニリンに対するドーピング機構を下記に示す。
プロトン酸にてドーピングされてなる導電性ポリアニリンをアルカリ処理して脱ドープし、更に、還元剤にて還元処理して得られるポリアニリンは、下式(Ia)に示すように、イミノ−p−フェニレン構造単位からなる。正極がこのようなイミノ−p−フェニレン構造単位からなるポリアニリンを含むリチウム二次電池は、これを充電するとき、ポリアニリン中の不対電子を有する窒素原子が一電子酸化され、その結果、生成するカチオンラジカルの対イオンとして、電解液中の電解質アニオン(例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン)又は電極内に存在するポリカルボン酸のアニオン(即ち、カルボキシレートアニオン)がポリアニリンにドープして、ドープされた導電性ポリアニリン(Ib)を形成するものと考えられる。
一方、リチウム二次電池を放電するときは、下式に示すように、上記導電性ポリアニリン(IIb)中のカチオンラジカルサイトは還元されて、非共有電子対を有する当初の電気的に中性のポリアニリン(IIa)に戻る。このとき、上記カチオンラジカルサイトにおいてクーロン相互作用していたアニオンが電解質アニオン(例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン)であれば、その電解質アニオンは、導電性ポリマー(a)の近傍から電解液側に移動する。
しかし、上記カチオンラジカルサイトにおいてクーロン相互作用していたアニオンが下式に示すように、ポリカルボン酸、例えば、ポリアクリル酸のカルボキシレートアニオン(IIIb)であるときは、そのカルボキシレートアニオンは、ポリマー性のアニオンであることから、電解質アニオンのように、電解液側に移動することができず、上記ポリアニリン(IIa)の近傍にとどまっている。そこで、上記カルボキシレートアニオンを電気的に中性とするために、電解液中からリチウムカチオンが導電性ポリマー(a)の近傍に移動してきて、上記カルボキシレートアニオンの対カチオンとして、塩(IIIa)を形成するものとみられる。
このような非水電解液二次電池の一例として、正極として導電性ポリアニリン(a)およびポリカルボン酸(b)を含む材料にて形成され、負極としてリチウムが用いられてなるリチウム二次電池を模式的に示すとともに、リチウムイオンおよびアニオンイオンの挙動を図2に示す。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例,比較例となる非水電解液二次電池(リチウム二次電池)の作製に先立ち、下記に示す各成分を調製し準備した。
〔導電性ポリマー(a):ポリアニリン〕
導電性ポリマー(a)として、テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン粉末を下記のように調製した。
導電性ポリマー(a)として、テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン粉末を下記のように調製した。
(導電性ポリアニリン粉末の調製)
イオン交換水138gを入れた300mL容量のガラス製ビーカーに、42wt%濃度のテトラフルオロホウ酸水溶液(和光純薬工業社製、試薬特級)84.0g(0.402mol)を加え、磁気スターラーにて撹拌しながら、これにアニリン10.0g(0.107mol)を加えた。テトラフルオロホウ酸水溶液にアニリンを加えた当初は、アニリンは、テトラフルオロホウ酸水溶液に油状の液滴として分散していたが、その後、数分以内に水に溶解し、均一で透明なアニリン水溶液になった。このようにして得られたアニリン水溶液を低温恒温槽を用いて−4℃以下に冷却した。
イオン交換水138gを入れた300mL容量のガラス製ビーカーに、42wt%濃度のテトラフルオロホウ酸水溶液(和光純薬工業社製、試薬特級)84.0g(0.402mol)を加え、磁気スターラーにて撹拌しながら、これにアニリン10.0g(0.107mol)を加えた。テトラフルオロホウ酸水溶液にアニリンを加えた当初は、アニリンは、テトラフルオロホウ酸水溶液に油状の液滴として分散していたが、その後、数分以内に水に溶解し、均一で透明なアニリン水溶液になった。このようにして得られたアニリン水溶液を低温恒温槽を用いて−4℃以下に冷却した。
つぎに、酸化剤として二酸化マンガン粉末(和光純薬工業社製、試薬1級)11.63g(0.134mol)を、上記アニリン水溶液中に少量ずつ加えて、ビーカー内の混合物の温度が−1℃を超えないようにした。このようにして、アニリン水溶液に酸化剤を加えることによって、アニリン水溶液は直ちに黒緑色に変化した。その後、しばらく撹拌を続けたとき、黒緑色の固体が生成し始めた。
このようにして、80分間かけて酸化剤を加えた後、生成した反応生成物を含む反応混合物を冷却しながら、さらに、100分間、撹拌した。その後、ブフナー漏斗と吸引瓶を用いて、得られた固体をNo.2濾紙にて吸引濾過して、粉末を得た。この粉末を約2mol/Lのテトラフルオロホウ酸水溶液中にて磁気スターラーを用いて撹拌洗浄した。ついで、アセトンにて数回、撹拌洗浄し、これを減圧濾過した。得られた粉末を室温(25℃)で10時間真空乾燥することにより、テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン(以下、単に、「導電性ポリアニリン」という。)12.5gを得た。この導電性ポリアニリンは鮮やかな緑色粉末であった。
(導電性ポリアニリン粉末の電導度)
上記導電性ポリアニリン粉末130mgを瑪瑙製乳鉢で粉砕した後、赤外スペクトル測定用KBr錠剤成形器を用い、75MPaの圧力下に10分間真空加圧成形して、直径13mm、厚み720μmの導電性ポリアニリンのディスクを得た。ファン・デル・ポー法による4端子法電導度測定にて測定した上記ディスクの電導度は、19.5S/cmであった。
上記導電性ポリアニリン粉末130mgを瑪瑙製乳鉢で粉砕した後、赤外スペクトル測定用KBr錠剤成形器を用い、75MPaの圧力下に10分間真空加圧成形して、直径13mm、厚み720μmの導電性ポリアニリンのディスクを得た。ファン・デル・ポー法による4端子法電導度測定にて測定した上記ディスクの電導度は、19.5S/cmであった。
(脱ドープ状態の導電性ポリアニリン粉末の調製)
上記により得られたドープ状態である導電性ポリアニリン粉末を、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、3Lセパラブルフラスコ中にて30分間撹拌し、中和反応によりドーパントのテトラフルオロホウ酸を脱ドープした。濾液が中性になるまで脱ドープしたポリアニリンを水洗した後、アセトン中で撹拌洗浄し、ブフナー漏斗と吸引瓶を用いて減圧濾過し、No.2濾紙上に、脱ドープしたポリアニリン粉末を得た。これを室温下、10時間真空乾燥して、茶色の脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。
上記により得られたドープ状態である導電性ポリアニリン粉末を、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、3Lセパラブルフラスコ中にて30分間撹拌し、中和反応によりドーパントのテトラフルオロホウ酸を脱ドープした。濾液が中性になるまで脱ドープしたポリアニリンを水洗した後、アセトン中で撹拌洗浄し、ブフナー漏斗と吸引瓶を用いて減圧濾過し、No.2濾紙上に、脱ドープしたポリアニリン粉末を得た。これを室温下、10時間真空乾燥して、茶色の脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。
(還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末の調製)
つぎに、フェニルヒドラジンのメタノール水溶液中に、この脱ドープ状態のポリアニリン粉末を入れ、撹拌下30分間還元処理を行った。ポリアニリン粉末の色は、還元により、茶色から灰色に変化した。反応後、メタノール洗浄、アセトン洗浄し、濾別後、室温下真空乾燥し、還元脱ドープ状態のポリアニリンを得た。
つぎに、フェニルヒドラジンのメタノール水溶液中に、この脱ドープ状態のポリアニリン粉末を入れ、撹拌下30分間還元処理を行った。ポリアニリン粉末の色は、還元により、茶色から灰色に変化した。反応後、メタノール洗浄、アセトン洗浄し、濾別後、室温下真空乾燥し、還元脱ドープ状態のポリアニリンを得た。
(還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末の電導度)
上記還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末130mgを瑪瑙製乳鉢で粉砕した後、赤外スペクトル測定用KBr錠剤成形器を用い、75MPaの圧力下に10分間真空加圧成形して、厚み720μmの還元脱ドープ状態のポリアニリンのディスクを得た。ファン・デル・ポー法による4端子法電導度測定にて測定した上記ディスクの電導度は、5.8×10-3S/cmであった。これより、ポリアニリン化合物は、イオンの挿入・脱離により導電性の変化する活物質化合物であるといえる。
上記還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末130mgを瑪瑙製乳鉢で粉砕した後、赤外スペクトル測定用KBr錠剤成形器を用い、75MPaの圧力下に10分間真空加圧成形して、厚み720μmの還元脱ドープ状態のポリアニリンのディスクを得た。ファン・デル・ポー法による4端子法電導度測定にて測定した上記ディスクの電導度は、5.8×10-3S/cmであった。これより、ポリアニリン化合物は、イオンの挿入・脱離により導電性の変化する活物質化合物であるといえる。
〔ポリカルボン酸(b)の準備〕
ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、重量平均分子量100万)4.4gをイオン交換水95.6gに加え、一夜静置して膨潤させた。この後、超音波式ホモジナイザーを用いて1分間処理して溶解させ、4.4wt%濃度の粘稠なポリアクリル酸水溶液100gを得た。ついで、得られたポリアクリル酸水溶液100gに、ポリアクリル酸の有するカルボキシル基の量の半分をリチウム塩化する量の水酸化リチウム粉末0.73gを加えて、ポリアクリル酸の半リチウム塩水溶液を調製し、準備した。
ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、重量平均分子量100万)4.4gをイオン交換水95.6gに加え、一夜静置して膨潤させた。この後、超音波式ホモジナイザーを用いて1分間処理して溶解させ、4.4wt%濃度の粘稠なポリアクリル酸水溶液100gを得た。ついで、得られたポリアクリル酸水溶液100gに、ポリアクリル酸の有するカルボキシル基の量の半分をリチウム塩化する量の水酸化リチウム粉末0.73gを加えて、ポリアクリル酸の半リチウム塩水溶液を調製し、準備した。
〔正極の準備〕
上記調製した還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末4gと導電性カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)粉末0.5gとを混合した後、これを上記4.4wt%濃度のポリアクリル酸の半リチウム塩水溶液20.4g中に加え、スパチュラでよく練った。これを、超音波式ホモジナイザーにて1分間超音波処理を施した後、フィルミックス40−40型(プライミックス社製)を用いて高剪断力を加えてマイルド分散させ、流動性を有するペーストを得た。このペーストをさらに真空吸引鐘とロータリーポンプを用いて脱泡した。
上記調製した還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末4gと導電性カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)粉末0.5gとを混合した後、これを上記4.4wt%濃度のポリアクリル酸の半リチウム塩水溶液20.4g中に加え、スパチュラでよく練った。これを、超音波式ホモジナイザーにて1分間超音波処理を施した後、フィルミックス40−40型(プライミックス社製)を用いて高剪断力を加えてマイルド分散させ、流動性を有するペーストを得た。このペーストをさらに真空吸引鐘とロータリーポンプを用いて脱泡した。
卓上型自動塗工装置(テスター産業社製)を用い、マイクロメーター付きドクターブレ−ド式アプリケータによって、塗布速度10mm/秒にて、上記脱泡ペーストを電気二重層キャパシタ用エッチングアルミニウム箔(宝泉社製、30CB)上に塗布した。ついで、室温(25℃)で45分間放置した後、温度100℃のホットプレート上で乾燥して、多孔質のポリアニリンシート電極(正極)を作製した。なお、このポリアニリンシート電極において、ポリアクリル酸の半リチウム塩、導電性ポリアニリン粉末及び導電性カーボンブラックからなる正極活物質の空隙率は45%であった。
〔負極の準備〕
厚み0.05mmの金属リチウム箔(本城金属社製)を準備した。
厚み0.05mmの金属リチウム箔(本城金属社製)を準備した。
〔電解液の準備〕
電解液として、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを1:2の体積比で含む溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を2.0mol/Lの濃度となるように溶解させたものを準備した。
電解液として、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを1:2の体積比で含む溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を2.0mol/Lの濃度となるように溶解させたものを準備した。
[セパレータ材料の準備]
セパレータ材料として、下記セパレータI〜IVをそれぞれ準備した。なお、これらの多孔質膜の1枚当たりの膜厚および通気度(sec/100cc)は、表1の通りであった。
・セパレータI…セルロース製多孔質膜(ニッポン高度紙工業社製、TF4050)
・セパレータII…エポキシ樹脂製多孔質膜(国際公開WO2006/073173の実施例1に記載のエポキシ多孔体を調製し、これを切削して厚さ28μmのエポキシ多孔体のシートを得、セパレータとして用いた)
・セパレータIII…ポリエチレン製多孔質膜(特開2012−052085号公報の実施例1に記載ものを用いた)
・セパレータIV…ポリプロピレン製多孔質膜(セルガード社製、CGT2400)
セパレータ材料として、下記セパレータI〜IVをそれぞれ準備した。なお、これらの多孔質膜の1枚当たりの膜厚および通気度(sec/100cc)は、表1の通りであった。
・セパレータI…セルロース製多孔質膜(ニッポン高度紙工業社製、TF4050)
・セパレータII…エポキシ樹脂製多孔質膜(国際公開WO2006/073173の実施例1に記載のエポキシ多孔体を調製し、これを切削して厚さ28μmのエポキシ多孔体のシートを得、セパレータとして用いた)
・セパレータIII…ポリエチレン製多孔質膜(特開2012−052085号公報の実施例1に記載ものを用いた)
・セパレータIV…ポリプロピレン製多孔質膜(セルガード社製、CGT2400)
〔実施例1〕
<非水電解液二次電池の作製について>
厚み50μmのアルミニウム箔を正極集電体(アルミニウム箔)にスポット溶接機にて接続して、正極の電流取り出し用タブ電極とした。このように、予め、タブ電極を取り付けた正極と負極としてのステンレスメッシュ電極をセパレータと共に温度80℃で真空乾燥した後、露点−100℃のグローブボックス内で上記金属リチウム箔を上記ステンレスメッシュ電極に押し付け、めり込ませて、負極とした。次いで、この正極と負極の間に、セパレータとしての3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を挟み、これらを開口部を残して三縁がヒートシールされたラミネートセルの中に挿入し、正極と負極が正しく対向するように、また、短絡しないように、多孔質膜の位置を調整し、更に、正極と負極のそれぞれのタブ電極にシール剤を適用した後、電解液注入口を少し残して、タブ電極部をヒートシールした。なお、セパレータとしての3枚のセルロース製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
<非水電解液二次電池の作製について>
厚み50μmのアルミニウム箔を正極集電体(アルミニウム箔)にスポット溶接機にて接続して、正極の電流取り出し用タブ電極とした。このように、予め、タブ電極を取り付けた正極と負極としてのステンレスメッシュ電極をセパレータと共に温度80℃で真空乾燥した後、露点−100℃のグローブボックス内で上記金属リチウム箔を上記ステンレスメッシュ電極に押し付け、めり込ませて、負極とした。次いで、この正極と負極の間に、セパレータとしての3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を挟み、これらを開口部を残して三縁がヒートシールされたラミネートセルの中に挿入し、正極と負極が正しく対向するように、また、短絡しないように、多孔質膜の位置を調整し、更に、正極と負極のそれぞれのタブ電極にシール剤を適用した後、電解液注入口を少し残して、タブ電極部をヒートシールした。なお、セパレータとしての3枚のセルロース製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
この後、正極およびセパレータの空隙体積に対して1.3倍となる量の電解液をラミネートセルの電解液注入口からマイクロピペットで注入し、最後にラミネートセル上部の電解液注入口をヒートシールにて溶封して、ラミネートセルを得た。
〔実施例2〕
実施例1の3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を2枚のエポキシ樹脂製の多孔質膜(セパレータII)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解液二次電池を得た。なお、セパレータとしての2枚のエポキシ樹脂製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
実施例1の3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を2枚のエポキシ樹脂製の多孔質膜(セパレータII)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解液二次電池を得た。なお、セパレータとしての2枚のエポキシ樹脂製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
〔比較例1〕
実施例1の3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を2枚のポリエチレン製の多孔質膜(セパレータIII)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解液二次電池を得た。なお、セパレータとしての2枚のポリエチレン製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
実施例1の3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を2枚のポリエチレン製の多孔質膜(セパレータIII)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解液二次電池を得た。なお、セパレータとしての2枚のポリエチレン製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
〔比較例2〕
実施例1の3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を2枚のポリプロピレン製の多孔質膜(セパレータIV)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解液二次電池を得た。なお、セパレータとしての2枚のポリプロピレン製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
実施例1の3枚のセルロース製の多孔質膜(セパレータI)を2枚のポリプロピレン製の多孔質膜(セパレータIV)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解液二次電池を得た。なお、セパレータとしての2枚のポリプロピレン製の多孔質膜の総膜厚および通気度(sec/100cc)は、下記表1の通りであった。
<非水電解液二次電池の出入力特性>
上記にて作製した非水電解液二次電池を25℃の恒温器中に投入し、充放電装置(東洋システム社製 TOS-CAT3000)に接続した。正極のポリアニリン重量と、ポリアニリンの理論容量密度を147mAh/gとして電池の容量を計算し、その容量に対して、まず0.05Cで5サイクル充放電を行った後、0.2C、0.5C、1C、2C、5C、10Cで充放電を行った。すべての充放電は、充電を上限電圧3.8Vの定電流−定電圧充電(終止条件 電流値20%)とし、放電を終止電圧2.0Vの定電流放電として行った。そして、0.2Cの放電容量に対する10Cでの放電容量の比を求めることで、各種多孔膜でのレート特性を比較した。その結果を下記表1に示す。
なお、本発明者らは多孔膜の通気度が200sec/100ccの非水電解液二次電池においても、同様に高いレート特性を示すことを確認した。
上記にて作製した非水電解液二次電池を25℃の恒温器中に投入し、充放電装置(東洋システム社製 TOS-CAT3000)に接続した。正極のポリアニリン重量と、ポリアニリンの理論容量密度を147mAh/gとして電池の容量を計算し、その容量に対して、まず0.05Cで5サイクル充放電を行った後、0.2C、0.5C、1C、2C、5C、10Cで充放電を行った。すべての充放電は、充電を上限電圧3.8Vの定電流−定電圧充電(終止条件 電流値20%)とし、放電を終止電圧2.0Vの定電流放電として行った。そして、0.2Cの放電容量に対する10Cでの放電容量の比を求めることで、各種多孔膜でのレート特性を比較した。その結果を下記表1に示す。
なお、本発明者らは多孔膜の通気度が200sec/100ccの非水電解液二次電池においても、同様に高いレート特性を示すことを確認した。
この結果から、多孔膜の通気度が1〜200sec/100ccの非水電解液二次電池では優れたレート特性を示すことが分かる。
本発明の非水電解液二次電池は、リチウム二次電池等の二次電池として好適に使用できる。また、本発明の非水電解液二次電池は、従来の二次電池と同様の用途に使用でき、例えば、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の携帯用電子機器や、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の駆動用電源に広く用いられる。
1 集電体(正極用)
2 正極
3 セパレータ
4 負極
5 集電体(負極用)
2 正極
3 セパレータ
4 負極
5 集電体(負極用)
Claims (7)
- 正極と負極と、電解液と、上記正極と上記負極の間に配置され、上記電解液を含有する多孔質膜とを備え、上記正極が(a)導電性ポリマーと(b)ポリカルボン酸及びその金属塩の少なくとも1種とを含み、上記負極が卑金属又は卑金属イオンを挿入、脱離し得る材料を含む非水電解液二次電池であって、上記多孔質膜の通気度が1〜200sec/100ccであることを特徴とする非水電解液二次電池。
- 上記導電性ポリマー(a)が、無機酸アニオン、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、ポリマースルホン酸アニオン及びポリビニル硫酸アニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のプロトン酸アニオンをドーパントとして有するポリマーである請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 上記導電性ポリマー(a)が、脱ドープ状態の導電性ポリマーである請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 上記導電性ポリマー(a)が、ポリアニリン及びポリアニリン誘導体の少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
- 上記ポリカルボン酸が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、及びこれらポリマーの繰り返し単位の少なくとも2種を含む共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
- 上記ポリカルボン酸金属塩が、ポリカルボン酸アルカリ金属塩及びポリカルボン酸アルカリ土類金属塩の少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
- リチウム二次電池である請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
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