JP2014114918A - 等速ジョイント - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動部分においてグリースの保持性を確保し、これにより、フレッチング摩耗を抑制することができる等速ジョイントを提供する。
【解決手段】等速ジョイントJは、内側面にボール転動溝1aを有するアウターレース1と、外側面にボール転動溝2aを有するインナーレース2と、ボール転動溝1a及び2aを転動するボール3と、ボール3のボール転動溝1a及び2aからの逸脱を防止するケージ4と、アウターレース1とインナーレース2との間に充填されたグリース5と、を備える。ケージ4の外側面及びケージ4の内側面のうちの少なくとも一部には、リン酸マンガン処理された皮膜14a,14bが形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は車両等に用いられる等速ジョイントにかかり、特に耐摩耗性に優れた等速ジョイントに関するものである。
自動車のハンドル操作に伴うタイヤの切れ角の変化や、路面状況に応じたタイヤの上下運動に追従しながら、エンジンの回転力を等速で滑らかにタイヤに伝達する機能を持つ等速ジョイントは、特に前輪駆動車においては欠くことのできない重要部品である。等速ジョイントには幾つかの種類があるが、許容作動角が大きく、密封性に優れるバーフィールド型等速ジョイントがよく知られている(例えば特許文献1参照)。
このようなバーフィールド型等速ジョイントは、ドライブシャフトとタイヤの間に配置されており、ドライブシャフトの回転力は等速ジョイントを介してタイヤに伝達される。等速ジョイントは、内側面にボール転動溝を有するアウターレースと、外側面にボール転動溝を有するインナーレースと、これらのボール転動溝を転動するボールと、ボールのボール転動溝からの逸脱を防止するケージとにより構成されている。このように構成された等速ジョイントでは、アウターレースおよびインナーレースのボール転動溝とボールとの接触部分が摺動部分となっている。
アウターレースとドライブシャフトは全周にわたって1枚のブーツで覆われており、ブーツで覆われた等速ジョイント内(すなわちアウターレースとインナーレースとの間)には、等速ジョイントにおける摺動部分の潤滑に必要なグリースが充填されている。
たとえば、このようなグリースとして亜リン酸エステル化合物や芳香族ジウレアなどの添加剤をグリースに添加することで、低温から高温までの広い範囲でのフレッチング摩耗の発生を防止する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2012−057134号公報
しかしながら、上述したグリースを用いた場合、摺動部分に添加剤による皮膜が形成されるが、この添加剤による皮膜は、摺動部分に対して密着性が十分ではない。特に、等速ジョイントの振動等により、グリースが排除されてしまった場合には、グリースに添加された添加剤も排除されてしまうので、添加剤による皮膜は摺動部分から剥離するおそれがあった。このような結果、摺動部分におけるフレッチング摩耗が懸念されることになり、等速ジョイントの寿命が短くなったり、機能を損ねたりするという問題が発生する場合がある。
また、等速ジョイントの摺動抵抗を下げるためには、低粘度基油を使用したグリースや柔らかい(ちょう度の低い)グリースを用いることが望ましいが、このようなグリースを用いた場合には、摺動部分でのグリースの保持性が低下することになり、上述したフレッチング摩耗がさらに促進されることがある。さらに、このようなグリースを用いた場合であっても、低温時には、グリース自体が硬くなってしまうので、摺動部分にグリースが入り込みにくいことがある。
本発明はこのような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、たとえ低温環境下であっても、摺動部分においてグリースの保持性を確保し、これにより、フレッチング摩耗を抑制することができる等速ジョイントを提供することにある。
本発明は、このような点を鑑みて、本発明に係る等速ジョイントは、内側面にボール転動溝を有するアウターレースと、外側面にボール転動溝を有するインナーレースと、該ボール転動溝を転動するボールと、該ボールの該ボール転動溝からの逸脱を防止するケージと、前記アウターレースと前記インナーレースとの間に充填されたグリースと、を備えた等速ジョイントであって、前記ケージの外側面及び該ケージの内側面のうちの少なくとも一部には、リン酸マンガン処理された皮膜が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、グリースとなじみ性の良いリン酸マンガン処理された皮膜(リン酸マンガン皮膜)をケージに形成することにより、アウターレースと前記インナーレースとの間に充填されたグリースが、皮膜近傍において保持されやすくなる。これにより、等速ジョイントでは、アウターレースおよびインナーレースのボール転動溝と、ボールとの摺動部分でのグリースの保持性が高まり、この結果、たとえ低粘度基油を使用したグリースや柔らかいグリースを使用したとしても長期に低温(たとえば−30℃程度)でのフレッチング摩耗を抑制することができる。
より好ましい態様としては、前記リン酸マンガン処理された皮膜の膜厚は、1〜15μmの範囲にある。この態様によれば、リン酸マンガン処理された皮膜の膜厚をこのような範囲に保つことにより、フレッチング摩耗をより確実に抑制することができる。すなわち、膜厚が1μm未満の場合には、皮膜の形成が不十分となり、15μmを越えた場合には、グリースの保持性が損なわれるおそれがある。
特に好ましいグリースとしては、以下に示す成分(a)および(b)を含有したグリースである。
(a)下記式(I)で表されるジウレア化合物
(b)炭化水素系基油
(I)R−NHCONH−C−p−CH−C−p−NHCONH−R
(式中、RおよびRは、同一もしくは異なる炭素原子数6または7のアリール基もしくはシクロヘキシル基である)
このようなグリースは、リン酸マンガン処理された皮膜となじみ性が良いので、ケージ近傍のグリースの保持をより一層好適に行うことができる。
さらに好ましいグリースの態様としては、前記炭化水素系基油の40℃の動粘度が50〜300mm/sである。炭化水素系基油の40℃の動粘度が50mm2/s未満の場合には、油膜が薄くなる傾向があり充分な油膜厚さを確保出来ないばかりでなく、リン酸マンガン処理された皮膜とのなじみ性が不十分になるおそれがある。一方、炭化水素系基油の40℃の動粘度が300mm2/sを超えた場合には、粘性抵抗が増加してしまう(グリースの流動性が低下してしまう)傾向にあり、たとえば、車両の駆動時のトルクが増大してしまう。
さらに、グリースの混和ちょう度が250〜350であることがより好ましい。具体的には、グリースの混和ちょう度が250未満の場合には、グリースに作用するせん断時の軟化により、グリースが等速ジョイントから漏洩するおそれがある。一方、グリースの混和ちょう度が350を越えた場合には、粘性抵抗が増加してしまう(グリースの流動性が低下してしまう)傾向にあり、たとえば、車両の駆動時のトルクが増大してしまう。
本発明によれば、たとえ低温環境下であっても、摺動部分においてグリースの保持性を確保し、これにより、フレッチング摩耗を抑制することができる。
本発明の一実施形態のバーフィールド型等速ジョイントを説明する断面図であって、(a)は等速ジョイントの回転軸方向における縦断面図、(b)は(a)におけるA−A線で切断した断面図を示している。 実施例1〜6および比較例1〜6に係るグリースの組成とフレッチングおよび焼き付き試験の結果を示した表図。 グリースの低温見かけ粘度を測定する装置を説明するための模式図。
以下、本発明の実施形態に係る等速ジョイントの一実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1(a)は等速ジョイントの回転軸方向における縦断面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A線で切断した断面図をそれぞれ示している。
本実施形態のバーフィールド型等速ジョイントJは、ドライブシャフト6とタイヤの間に配置されており、ドライブシャフト6の回転力は等速ジョイントJを介してタイヤに伝達される。
本実施形態のバーフィールド型等速ジョイントJは、内側面にボール転動溝1aを有するアウターレース1と、外側面にボール転動溝2aを有するインナーレース2と、これらのボール転動溝1a,2aを転動するボール3と、ボール3のボール転動溝1a,2aからの逸脱を防止するケージ4とにより構成されており、ボール転動溝1a,2aとボール3との接触点が摺動部分となっている。
アウターレース1とドライブシャフト6は全周にわたって1枚のブーツ7で覆われており、ブーツ7で覆われた等速ジョイントJ内には、等速ジョイントJにおける摺動部分の潤滑に必要なグリース5が密封されている。すなわち、アウターレース1とインナーレース2との間にグリース5が充填され、グリース5は、ケージ4の外側面よび内側面に接触することになる。
アウターレース1は、内側面が球面であり、その上に等間隔に6本のボール転動溝1aが形成されている。インナーレース2は外側面が球面であり、その上のアウターレース1のボール転動溝1aに対応する位置に6本のボール転動溝2aが形成されている。これら各6本のボール転動溝1a,2aに1個ずつ6個の鋼製のボール3が入っており、ドライブシャフト6の回転力の伝達は、6個のボール3の接触部分で行われる。
ケージ4は外側面と内側面が球面の一部からなる筒状体であり、6個のボール3に対応する位置に、ボール3の直径よりも若干大きい内寸のボール保持孔が、ケージ4の周方向に等間隔に6箇所形成されている。ケージ4の外側面とアウターレース1の内側面の間、及びケージ4の内側面とインナーレース2の外側面の間にはそれぞれ隙間があり摺動部分とはなっていない。
等速ジョイントJの組み立ては、たとえば以下の手順で行う。アウターレース1の内部にグリース5を充填した後、アウターレース1の内部にケージ4とインナーレース2を組み込み、アウターレース1のボール転動溝1a、インナーレース2のボール転動溝2a、ケージ4のボール保持孔が同じ位置に並ぶように位置を調整する。
その後、ドライブシャフト6とインナーレース2とが連結されていない状態で、インナーレース2とケージ4とを傾けて作動角を十分に大きくすると、1箇所のボール保持孔がアウターレース1の外部へ完全に露出する。この露出したボール保持孔に1個のボール3を入れ、この作業を繰り返しながら6個のボール3の全てを6箇所のボール保持孔に挿入する。
続いて、ドライブシャフト6に樹脂製またはゴム製のブーツ7の小径側を被せてブーツバンドで固定し、ドライブシャフト6とインナーレース2とを連結する。その後、ブーツ7の内部にもグリース5を十分に充填した後、ブーツ7の形を整え、アウターレース1の外周にブーツ7の大径側を被せてブーツバンドで固定する。このようにして等速ジョイントJの組み立てが完了する。
以下に本実施形態の特徴点を示す。本実施形態では、このように構成された等速ジョイントJのケージ4の外側面及びケージの内側面にリン酸マンガン処理された皮膜14a,14bが形成されている。具体的には、ケージ4は、炭素鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼など、鉄系材料などを挙げることができ、このような材料で構成されたケージ4を、リン酸マンガン塩処理浴内で処理することにより、リン酸マンガン処理された皮膜14a,14bをケージ4の外側面及びケージの内側面に形成することができる。
本実施形態では、内側面および外側面の双方に、リン酸マンガン処理された皮膜14a,14bが形成されているが、後述するように、ケージ4近傍においてグリース5を保持し、アウターレース1及びインナーレース2と、ボール3との摺動部分にグリース5を供給することができるのであれば、いずれか一方の側面にリン酸マンガン皮膜が形成されていてもよい。
このように、グリース5となじみ性の良いリン酸マンガン処理された皮膜14a,14bをケージ4に形成することにより、この皮膜14a,14b近傍のグリースの保持性が向上する。これにより、等速ジョイントJでは、アウターレース1およびインナーレース2のボール転動溝1a,2aとボール3との摺動部分でのグリース5の保持性が高まる。このような結果、たとえ低粘度基油を使用したグリースや柔らかいグリースを使用したとしても、長期に低温での摺動部分におけるフレッチング摩耗を抑制することができる。
このような効果をより確実に発現するためには、リン酸マンガン処理された皮膜14a,14bの膜厚は、1〜15μmの範囲にあることが好ましく、一般的に知られたリン酸マンガン塩処理浴内で処理温度、処理時間等を調整することにより、このような皮膜の膜厚にすることができる。ここで、発明者らの後述する実験によれば、膜厚が1μm未満の場合には、皮膜の形成が不十分となり、15μmを越えた場合には、グリース5の保持性が損なわれるおそれがある。
さらに本実施形態では、グリース5としては、以下に示す成分(a)および(b)を含有したグリースである。
(a)下記式(I)で表されるジウレア化合物
(b)炭化水素系基油
(I)R−NHCONH−C−p−CH−C−p−NHCONH−R
(式中、RおよびRは、同一もしくは異なる炭素原子数6または7のアリール基もしくはシクロヘキシル基である)
(a)に示すジウレア化合物は、増ちょう剤として作用する。式(I)に示すジウレア化合物は、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等のモノアミンとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとの反応によって得られる。この反応においては、RおよびRのアリール基としては、フェニル基、トリル基、およびシクロヘキシル基などが生成される。
このようなジウレア化合物からなる増ちょう剤を用いたグリース5は、脂肪族系アミンを用いたジウレアグリース(脂肪族系ジウレアグリース)、Li石けんグリース(リチウムグリース)等に比較して、せん断条件下でも増ちょう剤のミセル構造が安定であり、金属表面に対する付着性が強い為、増ちょう剤自身の金属接触を妨げる緩衝作用がより強いものと考えられる。
(b)に示す炭化水素系基油としては、40℃の動粘度が50〜300mm/sであることが好ましく、40℃の動粘度が80〜150mm/sであることがさらに好ましい。このような炭化水素系基油としては、例えば、ジエステル、ポリオールエステルに代表されるエステル系合成油、ポリαオレフィン、ポリブテンに代表される合成炭化水素油、アルキルジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコール等のエーテル系合成油、などが挙げられ、さらに、一般的なパラフィン系の鉱物油、シリコーン油、フッ素油などが添加されていてもよい。
炭化水素系基油の40℃の動粘度が50mm2/s未満の場合には、油膜が薄くなる傾向があり充分な油膜厚さを確保出来ないばかりでなく、リン酸マンガン処理された皮膜とのなじみ性が不十分になるおそれがある。一方、炭化水素系基油の40℃の動粘度が300mm2/sを超えた場合には、粘性抵抗が増加してしまう(グリースの流動性が低下してしまう)傾向にあり、たとえば、車両の駆動時のトルクが増大してしまう。
さらに、グリース5の混和ちょう度が250〜350であることがより好ましい。具体的には、グリース5中のジウレア化合物の含有量を10.0〜18.0質量%に調整することにより、このような範囲に調整することができる。
具体的には、グリース5の混和ちょう度が250(ジウレア化合物の含有量が18.0質量%を越える)未満の場合には、グリース5に作用するせん断時の軟化により、グリース5が等速ジョイントJから漏洩するおそれがある。一方、グリース5の混和ちょう度が350を越えた(ジウレア化合物の含有量が10.0質量%未満)場合には、粘性抵抗が増加してしまう(グリースの流動性が低下してしまう)傾向にあり、たとえば、車両の駆動時のトルクが増大してしまうばかりでなく、摺動部分へのグリース5の流入性が低下してしまうことがある。
さらに、グリース5には、必要に応じて主々な添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、一般的に知られた酸化防止剤、錆止め剤、金属腐食防止剤、油性剤、耐摩耗剤、極圧剤、固体潤滑剤などを挙げることができる。
たとえば、固体潤滑剤として、グリース5には、二硫化モリブデン、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)、ジアルキルジチオリン酸モリブデン(Mo−DTP)、ジアルキルジチオカルバミン酸銅(Cu−DTC)、など固体潤滑剤が添加されていてもよい。これらの化合物は層状格子構造をしており、すべり運動によって容易に薄層状にせん断され、金属接触を妨げ、焼付き防止効果を有するものである。しかしながら、その添加量が多いと摩擦係数を増大させ、耐振動性に対して悪影響を及ぼす。また、潤滑条件によっては、摩耗を増加させることもある。
たとえば、防錆剤として、グリース5に、カルシウム塩などが添加されていてもよく、エンジン油等の潤滑油に用いられる金属系清浄分散剤や防錆剤として知られている、ジノニルナフタレンスルホン酸やアルキルベンゼンスルホン酸のようなアルキル芳香族スルホン酸などの合成スルホン酸のカルシウム塩を挙げることができる。
以下の本発明に係る実施例を説明する。
(実施例1)
まず、ケージに相当する金属材料としてクロム鋼を準備し、アルカリ脱脂剤を使用して表面を洗浄し、水洗いした後、リン酸マンガン塩処理浴で処理後、再び水洗いし、熱風で乾燥させて、テストピースを作製した。
次に、グリースを作製した。具体的には、試作容器に炭化水素系基油4100gとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート1012gをとり、混合物を70〜80℃に加熱した。別容器に、上述した基油と同じ炭化水素系基油4100gとシクロヘキシルアミン563g、アニリン225gをとり、70〜80℃に加熱後、先の容器に加えた。混合物をよく攪拌しながら、30分間反応させ、160℃まで昇温し放冷し、ベースとなる脂環・芳香族ジウレアグリース(上述した(a)の組成のグリース、具体的にはRおよびRはフェニル基、シクロヘキシル基)を得た。
このベースグリースに、図2の表に示す配合で、添加剤を添加し、適宜基油を加え、得られた混合物を三段ロールミルで、混和ちょう度:JIS K 2220.7に準拠して目標の混和ちょう度に調整した。なお、合成炭化水素油に、ポリαオレフィンを用い、炭化水素系基油の40℃の動粘度をJIS K 2220.23に準拠して測定した。
(実施例2)
実施例1と同じように、テストピースとグリースを作製した。実施例1と相違する点は、リン酸マンガン塩処理浴での浸漬時間を変更して、リン酸マンガン処理により、リン酸マンガン処理された皮膜の厚さを15μmにした点である。
(実施例3、4)
実施例1と同じように、テストピースとグリースを作製した。実施例1と相違する点は、図2の表に示すように、基油中の合成炭化水素油とパラフィン系鉱物油との割合を変更した点である。
(実施例5)
実施例1と同じように、テストピースとグリースを作製した。実施例1と相違する点は、図2の表に示すように、基油中の合成炭化水素油とパラフィン系鉱物油との割合は変えずに、増ちょう剤と基油の割合を変更した点である。
(実施例6)
実施例1と同じように、テストピースとグリースを作製した。実施例1と相違する点は、リン酸マンガン塩処理浴での浸漬時間を変更して、リン酸マンガン処理により、リン酸マンガン処理された皮膜の厚さを1μmにした点である。
(比較例1および2)
実施例1と同じように、テストピースとグリースを作製した。実施例1と相違する点は、リン酸マンガン塩処理浴での浸漬時間を変更して、リン酸マンガン処理により、リン酸マンガン処理された皮膜の厚さをそれぞれ、0.5μm、30μmにした点である。
(比較例3)
実施例1と同じように、テストピースとグリースを作製した。実施例1と相違する点は、図2の表に示すように、グリースの基油に増粘剤を添加し、基油の40℃の動粘度を500mm/sに上昇させた点である。
(比較例4)
実施例1と同じように、テストピースとグリースを作製した。実施例1と相違する点は、図2の表に示すように、基油中の合成炭化水素油とパラフィン系鉱物油との割合は変えずに、混和ちょう度を200になるように、増ちょう剤と基油の割合を変更した点である。
(比較例5)
実施例1と同じように、テストピースを作製したが、比較例5の場合には、グリースは作製していない。
(比較例6)
実施例1と同じように、グリースを作製したが、比較例6の場合には、テストピースにリン酸マンガン処理を行なっていない点で相違する。
[評価]
<低温フレッチング試験>
スラスト軸受2組のうち1組に、実施例1〜6および比較例1〜5に示すテストピースをセットし、実施例1〜6および比較例1〜4および6に示すグリースをそれぞれ塗布し、規定の揺動運転を行い(試験方法;Fafnir friction oxidation test(ADTM D 4170準拠))、摩耗量(フレッチング摩耗による重量減)を求めた。
[試験条件]
軸受 :ANDREWS W 5/8
荷重 :2450N(550lbf)(面圧:1861MPa)
揺動角 :0.21rad(12°)
揺動サイクル :25Hz
時間 :22h
温度 :−30℃
グリース封入量:軸受1組当たり1.0g
摩耗量 :軸受1組当たりのレース質量減(試験軸受レースの総質量減/2)
[判定]
合格:摩耗量5.0mg未満(耐フレッチング性が合格)
不合格:摩耗量5.0mg異常(耐フレッチング性が不合格)
この結果を図2の表に示した。
<低温見かけ粘度>
実施例1〜6および比較例1〜4および6に示す方法で作製した平板状のテストピースと、グリースとを用いて、回転粘度計Physica MCR301により、低温見かけ粘度を測定した。具体的には、図3に示すように、テストピースの上にグリースとコーンプレートをセットし、−30℃で冷却し5分間保持した。せん断率が25S−1のときの見かけ粘度を測定した。
[試験条件]
温度 :−30℃
せん断率:25S−1
グリース塗布厚(中央部):0.05mm
コーンプレート径:25mm
コーンプレートの角度:2°
[判定]
合格:見かけ粘度16Pa・S未満
不合格:見かけ粘度16Pa・S以上
この結果を図2の表に示した。
(結果)
実施例1〜6に係るテストピースとグリースを用いた場合には、低温フレッチングおよび低温見かけ粘度ともに合格であった。一方、比較例1および2では、低温フレッチングが不合格となった。これは、比較例1の場合にはリン酸マンガン処理された皮膜の厚みが薄く、比較例2の場合にはリン酸マンガン処理された皮膜の厚みが厚かったことによると考えられる。具体的には、この膜厚が1μm未満の場合には皮膜の形成が不十分であり、15μmを越えた場合には、グリースの保持性がかえって損なわれたと考えられる。この結果から、好ましいリン酸マンガン処理された皮膜の膜厚は、1〜15μmの範囲が好ましいといえる。
また、比較例3の場合には、低温見かけ粘度が不合格となった。これは、実施例1〜6のものに比べて、比較例3に係る基油の40℃の動粘度が500mm/sと高いことによると考えられる。
このことから、グリースの炭化水素系基油としては、40℃の動粘度が50〜300mm/sであることが好ましく、炭化水素系基油の40℃の動粘度が50mm2/s未満の場合には、発明者らの経験上では、油膜が薄くなる傾向があり充分な油膜厚さを確保出来ないことがあり、さらにはリン酸マンガン処理された皮膜とのなじみ性が不十分になるおそれがあると考えられる。一方、動粘度が300mm2/sを超えた場合には、粘性抵抗が増加してしまうおそれがあると考えられる。
また、比較例4の場合には、低温見かけ粘度が不合格となった。これは、実施例1〜6のものに比べて、比較例4に係るグリースの混和ちょう度が200と低いことによると考えられる。
このことから、グリースの混和ちょう度が250〜350であることがより好ましいと考えられる。発明者の別の実験からグリースの混和ちょう度が250(ジウレア化合物の含有量が18.0質量%を越える)未満の場合には、グリースに作用するせん断時の軟化により、グリースが等速ジョイントJから漏洩するおそれがある。一方、グリースの混和ちょう度が350を越えた(ジウレア化合物の含有量が10.0質量%未満)場合には、粘性抵抗が増加してしまう(グリースの流動性が低下してしまう)傾向にある。
また、比較例5の如くグリースを用いない場合、さらには、比較例6の如くリン酸マンガン処理皮膜を形成しない場合には、いずれの低温フレッチング摩耗が増大している。このことからも、低温環境下において、リン酸マンガン皮膜を用いることにより摺動部分においてグリースの保持性を確保し、これにより、フレッチング摩耗を抑制することができるといえる。
J…等速ジョイント、1…アウターレース、1a…ボール転動溝、2…インナーレース、2a…ボール転動溝、3…ボール、4…ケージ、5…グリース、14a、14b…皮膜

Claims (5)

  1. 内側面にボール転動溝を有するアウターレースと、外側面にボール転動溝を有するインナーレースと、該ボール転動溝を転動するボールと、該ボールの該ボール転動溝からの逸脱を防止するケージと、前記アウターレースと前記インナーレースとの間に充填されたグリースと、を備えた等速ジョイントであって、
    前記ケージの外側面及び該ケージの内側面のうちの少なくとも一部には、リン酸マンガン処理された皮膜が形成されていることを特徴とする等速ジョイント。
  2. 前記リン酸マンガン処理された皮膜の膜厚は、1〜15μmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント。
  3. 前記グリースは、以下に示す成分(a)および(b)を含有したグリースであることを特徴とする請求項1または2に記載の等速ジョイント。
    (a)下記式(I)で表されるジウレア化合物
    (b)炭化水素系基油
    (I)R−NHCONH−C−p−CH−C−p−NHCONH−R
    (式中、RおよびRは、同一もしくは異なる炭素原子数6または7のアリール基もしくはシクロヘキシル基である)
  4. 前記グリースに含まれる炭化水素系基油の40℃の動粘度が50〜300mm/sであることを特徴とする請求項3に記載の等速ジョイント。
  5. 前記グリースの混和ちょう度が250〜350であることを特徴とする請求項3または4に記載の等速ジョイント。
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