以下、本発明に係る基板検査装置および基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す基板検査装置1は、「基板検査装置」の一例であって、基板保持部2、移動機構3a〜3c、プローブ4a〜4c、スイッチ5a,5b、測定部6、操作部7、表示部8、制御部9および記憶部10を備え、後述する「基板検査方法」に従って検査対象基板20を電気的に検査可能に構成されている。
この場合、検査対象基板20は、「検査対象基板」の一例である多層基板であって、一例として、コンデンサ21a〜21cの3つ(以下、区別しないときには「コンデンサ21」ともいう)が内蔵されている。なお、図1、および後に参照する図2,4,6,7では、コンデンサ21以外の電子部品(実装部品)についての図示を省略している。また、コンデンサ21は、「積層コンデンサ」の一例であって、図2,4に示すように、一対の外部電極31a,31b(「一方の外部電極」および「他方の外部電極」の一例)と、外部電極31aに接続された複数の内部電極32aと、外部電極31bに接続された複数の内部電極32bとを備えて構成されている。
さらに、本例の検査対象基板20では、図1に示すように、一例として、コンデンサ21aの外部電極31aが接続用パターン22aに単独で接続されると共に、コンデンサ21b,21cの外部電極31aが接続用パターン22bに共通的に接続され、かつ各コンデンサ21a〜21cの各外部電極31bが接続用パターン23に共通的に接続されている(コンデンサ21b,21cの両外部電極31aが接続用パターン22bを介して相互に接続され、かつ、コンデンサ21a〜21cの各外部電極31bが接続用パターン23を介して相互に接続されている例)。
この場合、本例では、接続用パターン22a,22b(以下、区別しないときには「接続用パターン22」ともいう)が「第1接続用パターン」に相当すると共に、接続用パターン23が「第2接続用パターン」に相当する。なお、図2,4,6,7では、「検査対象基板」の構成に関する理解を容易とするために、外部電極31a,31bの下端部から検査対象基板20の下面に向けて接続用パターン22,23が最短距離で引き出されている例(「コンデンサ」の真下に向かって引き出されている例)を図示しているが、「接続用パターン」の形状はこれに限定されず、「検査対象基板」の内層または外層に形成された配線パターンで構成されて「コンデンサの外部電極」から離れた位置に引き出されていることもある(図示せず)。
一方、基板保持部2は、検査対象基板20を保持可能に構成されている。移動機構3a,3bは、制御部9からの制御信号S1a,S1bに従い、基板保持部2によって保持されている検査対象基板20に向けてプローブ4a,4bを移動させることで、プローブ4a,4bを接続用パターン22,23にそれぞれプロービングさせる。移動機構3cは、「移動機構」の一例であって、制御部9からの制御信号S1cに従い、基板保持部2によって保持されている検査対象基板20に向けてプローブ4cを移動させて検査対象基板20の表面にプローブ4cを当接させることにより、検査対象基板20内に内蔵されているコンデンサ21の内部電極32a,32bにプローブ4cを対向配置させる。
プローブ4aは、「第1プローブ」に相当し、本例の基板検査装置1では、移動機構3aに取り付けられている。また、プローブ4bは、「第2プローブ」に相当し、本例の基板検査装置1では、移動機構3bに取り付けられている。さらに、プローブ4cは、「導体」としての「電極」の一例であって、本例の基板検査装置1では、その電極面(底面)が1つのコンデンサ21と同程度の柱状の(一例として、円柱状の)金属によってプローブ4cが構成されている。このプローブ4cは、上記したように「移動機構」の一例である移動機構3cに取り付けられている。また、このプローブ4cは、測定部6の電流測定ポート6bに接続されると共に、測定部6の電流測定回路を介してグランド電位(G電位:「基準電位」の一例)に接続されている。したがって、この基板検査装置1では、測定部6の電流測定ポート6bに接続されているプローブ4cがG電位(基準電位)と同じ電位のL電位となる構成が採用されている。
スイッチ5aは、制御部9からの制御信号S2aに従い、プローブ4aに接続されている接点aを、グランド電位(G電位)に接続されている接点b、および測定部6の測定用信号出力ポート6a(H電位)に接続されている接点cのいずれかに接続することにより、プローブ4aが接続されている接続用パターン22をG電位および測定用信号出力ポート6aのいずれかに接続する(「交流信号」を印加する「導体と第1接続用パターンとの他方」が「第1接続用パターン」である構成の一例)。また、スイッチ5aは、「第1スイッチ」の一例であって、制御部9からの制御信号S2aに従い、接点aを接点bおよび接点cのいずれにも接続しないOPEN状態に切り替えることにより、プローブ4aが接続されている接続用パターン22をG電位から切り離す。
スイッチ5bは、制御部9からの制御信号S2bに従い、プローブ4bに接続されている接点aを、グランド電位(G電位)に接続されている接点b、および測定部6の測定用信号出力ポート6a(H電位)に接続されている接点cのいずれかに接続することにより、プローブ4bが接続されている接続用パターン23をG電位および測定用信号出力ポート6aのいずれかに接続する(「交流信号」を印加する「導体と第2接続用パターンとの他方」が「第2接続用パターン」である構成の一例)。また、スイッチ5bは、「第2スイッチ」の一例であって、制御部9からの制御信号S2bに従い、接点aを接点bおよび接点cのいずれにも接続しないOPEN状態に切り替えることにより、プローブ4bが接続されている接続用パターン23をG電位から切り離す。
測定部6は、「測定部」の一例であって、制御部9からの制御信号S3に従い、「測定処理A」および「測定処理B」を実行し、その測定結果を測定結果データD1として制御部9に出力する。この場合、後述するように、測定部6は、一例として、「測定処理A」としての「第1測定処理」、「測定処理B」としての「第2測定処理」、「測定処理A」としての「第3測定処理」、および「測定処理B」としての「第4測定処理」をこの順で実行する。なお、各測定処理の実行順序は、上記の順序に限定されず、任意の順序で実行する構成・方法を採用することができる。この測定部6は、スイッチ5a,5bによってプローブ4a,4bのいずれかが接続される測定用信号出力ポート6aと、プローブ4cが接続された電流測定ポート6bとを備えると共に、測定用信号出力ポート6aに接続された測定用信号出力部(図示せず)と、電流測定ポート6bに接続された電流測定回路(図示せず)とを備えて構成されている。
また、測定部6は、後述するように、制御部9の制御に従って測定用信号出力ポート6aから測定用信号(「交流信号」の一例)を出力しつつ、電流測定ポート6bに流れ込む電流の電流値を電流測定回路によって測定し、測定用信号出力ポート6aから出力した測定用信号の電圧値と、電流測定回路によって測定した電流値と、測定した電流および測定用信号の位相差とに基づき、プローブ4cが対向させられているコンデンサ21の内部電極32a(または内部電極32b)とプローブ4cとの間に形成されている1容量成分の静電容量(「他方からいずれか一方に流れる電流に応じて変化する電気的パラメータ」の一例)を測定して測定結果データD1を出力する。なお、上記の各「測定処理」については、後に詳細に説明する。
操作部7は、基板検査装置1の動作条件(検査条件)を設定するための各種操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部9に出力する。表示部8は、制御部9の制御に従い、基板検査装置1の動作条件(検査条件)を設定するための動作条件設定画面や、検査対象基板20についての検査結果を報知する検査結果報知画面などの各種表示画面(いずれも図示せず)を表示する。
制御部9は、基板検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部9は、「処理部」に相当し、移動機構3a,3bに制御信号S1a,S1bを出力してプローブ4a,4bを接続用パターン22,23に接続させる(プロービングさせる)。また、制御部9は、移動機構3cに制御信号S1cを出力してプローブ4cを検査対象のコンデンサ21における内部電極32a,32bに対向させる。さらに、制御部9は、スイッチ5a,5bに制御信号S2a,S2bを出力してプローブ4a,4bをG電位およびH電位(測定部6の測定用信号出力ポート6a)のいずれかに接続させるか、または、OPEN状態に切り替えさせる。
また、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力して上記の各「測定処理」を実行させる。この場合、本例の基板検査装置1では、前述したように、予め規定された順序(具体的には、一例として、「第1測定処理」、「第2測定処理」、「第3測定処理」および「第4測定処理」の順序)で各「測定処理」を実行させる構成が採用されている。さらに、制御部9は、測定部6から出力される測定結果データD1を記憶部10に記憶させると共に、この測定結果データD1と、記憶部10に記憶されている検査用データD0とに基づき、検査対象基板20に対して、接続用パターン22に対する外部電極31aの接続不良Xa(図2,4参照)、接続用パターン23に対する外部電極31bの接続不良Xb(図2,4参照)、接続用パターン22,23の断線Xc(図6参照)、およびコンデンサ21の破損(クラックXd:図6参照)のいずれかの不良が生じているか否かを判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。なお、不良が生じているか否かの具体的な判別方法については、後に詳細に説明する。
記憶部10は、上記の検査用データD0、測定結果データD1および検査結果データD2などを記憶する。この場合、検査用データD0は、検査対象基板20についての検査手順を特定可能な「検査手順データ」と、検査対象基板20に不良が生じているか否かを判別するための「検査用基準データ」とが記録されて構成されている。具体的には、検査用データD0には、制御部9が移動機構3a,3bを制御してプローブ4a,4bをプロービングさせるべき位置、およびその移動タイミングと、制御部9が移動機構3cを制御してプローブ4cをプロービングさせるべき位置、およびその移動タイミングと、制御部9がスイッチ5a,5bを制御してプローブ4a,4bを接断すべき電位、およびその切替えタイミングと、制御部9が測定部6を制御して各「測定処理」を実行させるべき順序およびそのタイミングとが「検査手順データ」として記録されている。また、検査用データD0には、測定部6によって実行される各「測定処理」の結果(測定結果データD1の値)の大小関係と、コンデンサ21に生じている不良との関係を特定可能な情報が「検査用基準データ」として記録されている。
この基板検査装置1による検査対象基板20の検査に際しては、まず、検査対象基板20を基板保持部2に保持させる。次いで、操作部7の図示しないスタートスイッチが操作されたときに、制御部9が検査対象基板20についての検査処理を開始する。なお、検査対象基板20の実際の検査に際しては、各コンデンサ21以外の各種電子部品や接続用パターンに関する不良の有無についても検査されるが、「基板検査装置」および「基板検査方法」についての理解を容易とするために、コンデンサ21に関連する検査項目以外の検査項目についての説明を省略する。この際に、制御部9は、一例として、検査用データD0に従って移動機構3a,3bに制御信号S1a,S1bを出力することにより、図2に示すように、基板保持部2によって保持されている検査対象基板20の接続用パターン22aにプローブ4aをプロービングさせ、かつ接続用パターン23にプローブ4bをプロービングさせる。
次いで、制御部9は、検査用データD0に従って移動機構3cに制御信号S1cを出力することにより、検査対象基板20におけるコンデンサ21aの実装部位の表面にプローブ4cをプロービングさせる。この際には、同図に示すように、プローブ4cを検査対象基板20の表面に当接させるようにしてプロービングすることにより、検査対象基板20に内蔵されているコンデンサ21aと検査対象基板20の表面との間に存在する基材によって、コンデンサ21aの各内部電極32a,32bとプローブ4cの電極面(底面)との間に非導電体からなる隙間が生じた状態(各内部電極32a,32bに対してプローブ4cが接することなく対向させられて容量成分が形成された状態)となる。
続いて、制御部9は、スイッチ5aに制御信号S2aを出力することにより、プローブ4aに接続されている接点aを測定部6の測定用信号出力ポート6aに接続されている接点cに接続させることでプローブ4aを測定用信号出力ポート6a(測定用信号の出力時にH電位となるポート)に接続させる(「導体と第1接続用パターンとの他方」が「第1接続用パターン」としての接続用パターン22a(プローブ4aがプロービングされている接続用パターン)である例)。また、制御部9は、スイッチ5bに制御信号S2bを出力することにより、プローブ4bに接続されている接点aをG電位に接続されている接点bに接続させることでプローブ4bをG電位に接続させる(プローブ4bがプロービングされている「第2接続用パターン」としての接続用パターン23を「基準電位」としてのG電位に接続する処理の一例)。
なお、本例の基板検査装置1では、プローブ4cが測定部6の電流測定ポート6b(測定用信号の出力時にG電位と同電位となるように制御されるL電位のポート)に常時接続された状態となっている(「導体と第1接続用パターンとのいずれか一方」が「導体」としてのプローブ4cであり、このプローブ4cが「基準電位」としてのG電位と同電位のL電位に接続されている構成の例)。
次いで、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力することにより、「測定処理A」としての「第1測定処理」を開始させる。この際に、測定部6は、測定用信号出力ポート6aから測定用信号としての交流信号を出力すると共に、電流測定ポート6bから流れ込む電流の電流値を測定する。また、測定部6は、測定した電流値と、測定用信号出力ポート6aから出力されている測定用信号の電圧値と、測定した電流および測定用信号の位相差とに基づき、プローブ4cが対向させられているコンデンサ21aの内部電極32aとプローブ4cとの間に形成されている容量成分の静電容量を測定して測定結果データD1として制御部9に出力する(「第1接続用パターン」としての接続用パターン22aに測定用信号(交流信号)を印加した状態において、接続用パターン22a、外部電極31a、内部電極32a、および内部電極32aとプローブ4cとの間の容量成分を介して「導体」としてのプローブ4cに流れる電流に応じて変化する電気的パラメータ(静電容量)を測定する処理の一例)。これに応じて、制御部9は、測定部6から出力された測定結果データD1を「第1測定処理」の測定結果として記憶部10に記憶させる。
この際に、コンデンサ21aの外部電極31bと接続用パターン23との間の接続不良Xbが存在しないとき(外部電極31bが接続用パターン23に対して正常に接続されているとき)には、プローブ4b、接続用パターン23および外部電極31bを介して各内部電極32bがG電位(すなわち、プローブ4cが接続されているL電位としての電流測定ポート6bと同電位)となる。このため、コンデンサ21aの外部電極31aと接続用パターン22aとの間の接続不良Xaが存在しないとき(コンデンサ21aが接続用パターン22aに対して正常に接続されているとき)には、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、プローブ4a、接続用パターン22a、外部電極31a、各内部電極32a、および内部電極32a,32bの間の容量成分を介して測定部6から各内部電極32bに電流が流れ、この電流が外部電極31b、接続用パターン23およびプローブ4bを介してG電位に流れることなる。
したがって、接続不良Xa,Xbの双方が存在しないときには、内部電極32aおよびプローブ4c間の容量成分を介して内部電極32aからプローブ4cに電流が殆ど流れないため、測定部6によって実質的には「0mA」の電流値が測定されることとなる。この結果、接続不良Xa,Xbが存在しないときには、図3に示すように、測定部6によって「0pF」との静電容量値が測定されて測定結果データD1として出力される。なお、コンデンサ21aの大きさ(内部電極32a,32bの面積)や、コンデンサ21aとプローブ4cとの離間距離(すなわち、コンデンサ21aとプローブ4cとの間に形成される容量成分の大きさ)によっては、各内部電極32aからプローブ4cに極く僅かな電流が流れ込み、これにより、極く小さな静電容量が測定されることもあるが、以下、この極く小さな静電容量(実質的には「0pF」の静電容量)については「0pF」として説明する。
一方、コンデンサ21aの外部電極31aと接続用パターン22aとの間に接続不良Xaが存在するときには、上記のように測定用信号出力ポート6aから測定用信号を出力したときに、接続不良Xbの存在の有無に拘わらず、内部電極32aおよびプローブ4c間の容量成分を介して内部電極32aからプローブ4cに電流が流れないため、測定部6によって「0mA」との電流値が測定されることとなる。この結果、接続不良Xaが存在するときには、図3に示すように、測定部6によって「0pF」との静電容量値が測定されて測定結果データD1として出力される。
また、接続不良Xbが存在するときには、各内部電極32bがG電位とはならないため、接続不良Xaが存在しないときには、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、プローブ4a、接続用パターン22aおよび外部電極31aを介して、各内部電極32aから、内部電極32aおよびプローブ4c間の容量成分を介してプローブ4cに電流が流れ、この電流が測定部6の電流測定ポート6bに流れ込むこととなる。したがって、測定部6によってある程度の大きな電流値が測定される結果、図3に示すように、測定部6によって「数pF」程度の静電容量値が測定されて測定結果データD1として出力される。このように、この「第1測定処理」では、コンデンサ21aと接続用パターン22a,23との間の接続不良Xa,Xbの有無により、「0pF」または「数pF」の静電容量が測定される。以上により、「第1測定処理」が完了する。
次いで、制御部9は、スイッチ5aに制御信号S2aを出力することにより、接点aを接点cに接続させた状態を維持させつつ、スイッチ5bに制御信号S2bを出力することにより、OPEN状態に切り替えさせて接点aをG電位から切り離させることでプローブ4bをG電位から切り離させる(プローブ4bがプロービングされている「第2接続用パターン」としての接続用パターン23を「基準電位」としてのG電位から切断する処理の一例)。次いで、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力することにより、「測定処理B」としての「第2測定処理」を実行させる。なお、静電容量の測定手順については上記の「第1測定処理」と同様のため、その説明を省略する。また、制御部9は、測定部6から出力された測定結果データD1を「第2測定処理」の測定結果として記憶部10に記憶させる。
この際に、スイッチ5aをOPEN状態に切り替えたこの状態(すなわち、各内部電極32bがG電位から切り離された状態)では、測定用信号が出力された際に内部電極32aおよびプローブ4cの間の容量成分を介して内部電極32aからプローブ4cに電流が流れるのを阻害する要素が存在しない状態となる。したがって、接続不良Xaが存在しないときには、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、接続不良Xbの存在の有無に拘わらず、プローブ4a、接続用パターン22aおよび外部電極31aを介して、各内部電極32aから、内部電極32aおよびプローブ4c間の容量成分を介してプローブ4cに電流が流れ、この電流が測定部6の電流測定ポート6bに流れ込むこととなる。したがって、測定部6によってある程度の大きな電流値が測定される結果、図3に示すように、測定部6によって「数pF」程度の静電容量値が測定されて測定結果データD1として出力される。
一方、コンデンサ21aの外部電極31aと接続用パターン22aとの間に接続不良Xaが存在するときには、上記のように測定用信号出力ポート6aから測定用信号を出力したときに、接続不良Xbの存在の有無に拘わらず、内部電極32aおよびプローブ4c間の容量成分を介して、内部電極32aからプローブ4cに電流が流れないため、測定部6によって「0mA」との電流値が測定されることとなる。この結果、図3に示すように、接続不良Xaが存在するときには、接続不良Xbの有無に拘わらず、測定部6によって「0pF」との静電容量値が測定されて測定結果データD1として出力される。このように、この「第2測定処理」においても、コンデンサ21aと接続用パターン22a,23との間の接続不良Xa,Xbの有無により、「0pF」または「数pF」の静電容量が測定される。以上により、「第2測定処理」が完了する。
続いて、制御部9は、スイッチ5aに制御信号S2aを出力することにより、プローブ4aに接続されている接点aをG電位に接続されている接点bに接続させることでプローブ4aをG電位に接続させる(プローブ4aがプロービングされている「第1接続用パターン」としての接続用パターン22aを「基準電位」としてのG電位に接続する処理の一例)。また、制御部9は、スイッチ5bに制御信号S2bを出力することにより、プローブ4bに接続されている接点aを測定部6の測定用信号出力ポート6aに接続されている接点cに接続させることでプローブ4aを測定用信号出力ポート6a(H電位となるポート)に接続させる(「導体と第2接続用パターンとの他方」が「第2接続用パターン」としての接続用パターン23(プローブ4bがプロービングされている接続用パターン)である例)。
次いで、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力することにより、「測定処理A」としての「第3測定処理」を開始させる。この際に、測定部6は、測定用信号出力ポート6aから測定用信号としての交流信号を出力すると共に、電流測定ポート6bから流れ込む電流の電流値を測定する。また、測定部6は、測定した電流値と、測定用信号出力ポート6aから出力されている測定用信号の電圧値と、測定した電流および測定用信号の位相差とに基づき、プローブ4cが対向させられているコンデンサ21aの内部電極32aとプローブ4cとの間に形成されている容量成分の静電容量を測定して測定結果データD1として制御部9に出力する(「第2接続用パターン」としての接続用パターン23に測定用信号(交流信号)を印加した状態において、接続用パターン23から、外部電極31b、内部電極32b、および内部電極32bとプローブ4cとの間の容量成分を介して「導体」としてのプローブ4cに流れる電流に応じて変化する電気的パラメータ(静電容量)を測定する処理の一例)。これに応じて、制御部9は、測定部6から出力された測定結果データD1を「第3測定処理」の測定結果として記憶部10に記憶させる。
この際に、図2に示す例では、内部電極32bおよびプローブ4cの間の容量成分を介して、内部電極32bからプローブ4cに電流が流れるのを阻害する要素(電極)が内部電極32bとプローブ4cとの間に存在しない状態となっている。したがって、接続不良Xbが存在しない状態においては、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、接続不良Xaの存在の有無に拘わらず、プローブ4b、接続用パターン23および外部電極31bを介して、各内部電極32bから、内部電極32bおよびプローブ4c間の容量成分を介してプローブ4cに電流が流れ、この電流が測定部6の電流測定ポート6bに流れ込むこととなる。したがって、測定部6によってある程度の大きな電流値が測定される結果、図3に示すように、測定部6によって「数pF」程度の静電容量値が測定されて測定結果データD1として出力される。
また、接続不良Xbが存在するときには、上記のように測定用信号出力ポート6aから測定用信号を出力したときに、接続不良Xaの存在の有無に拘わらず、内部電極32bおよびプローブ4c間の容量成分を介して内部電極32bからプローブ4cに電流が流れないため、測定部6によって「0mA」との電流値が測定されることとなる。この結果、図3に示すように、接続不良Xbが存在するときには、接続不良Xaの有無に拘わらず、測定部6によって「0pF」との静電容量値が測定されて測定結果データD1として出力される。このように、この「第3測定処理」においても、コンデンサ21aと接続用パターン22a,23との間の接続不良Xa,Xbの有無により、「0pF」または「数pF」の静電容量が測定される。以上により、「第3測定処理」が完了する。
次いで、制御部9は、スイッチ5bに制御信号S2bを出力することにより、接点aを接点cに接続させた状態を維持させつつ、スイッチ5aに制御信号S2aを出力することにより、OPEN状態に切り替えさせて接点aをG電位から切り離させることでプローブ4aをG電位から切り離させる(プローブ4aがプロービングされている「第1接続用パターン」としての接続用パターン22aを「基準電位」としてのG電位から切断する処理の一例)。次いで、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力することにより、「測定処理B」としての「第4測定処理」を実行させる。なお、静電容量の測定手順については上記の「第3測定処理」と同様のため、その説明を省略する。また、制御部9は、測定部6から出力された測定結果データD1を「第4測定処理」の測定結果として記憶部10に記憶させる。
この際に、図2に示す例では、前述したように、内部電極32およびプローブ4cの間の容量成分を介して内部電極32bからプローブ4cに電流が流れるのを阻害する要素(電極)が内部電極32bとプローブ4cとの間に存在しない状態となっている。したがって、この「第4測定処理」においては、図3に示すように、上記の「第3測定処理」と同様にして、接続不良Xbが存在しない状態においては、接続不良Xaの存在の有無に拘わらず「数pF」との静電容量が測定されて測定結果データD1として出力されると共に、接続不良Xbが存在する状態においては、接続不良Xaの存在の有無に拘わらず「0pF」との静電容量が測定されて測定結果データD1として出力される。このように、この「第4測定処理」においても、コンデンサ21aと接続用パターン22a,23との間の接続不良Xa,Xbの有無により、「0pF」または「数pF」の静電容量が測定される。以上により、「第4測定処理」が完了する。
次いで、制御部9は、記憶部10に記憶させた各「測定処理」についての測定結果データD1と、記憶部10に記憶されている検査用データD0とに基づき、コンデンサ21aと接続用パターン22a,23との間に接続不良Xa,Xbが存在するか否かを判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
具体的には、図3に示すように、接続不良Xa,Xbの双方が存在しないとき(「不良」が生じていないとき)には、「第1測定処理」において「0pF」との静電容量が測定され、「第2測定処理」において「数pF」との静電容量が測定され、「第3測定処理」において「数pF」との静電容量が測定され、かつ「第4測定処理」において「数pF」との静電容量が測定される(「第1測定処理および第3測定処理のいずれか一方」である「第1測定処理」の測定結果だけが、「予め規定された基準範囲」としての基準容量範囲を外れ、かつ他の3つの「測定処理」の測定結果が基準容量範囲内のときの一例)。したがって、制御部9は、「第1測定処理」から「第4測定処理」までの4つの「測定処理」において、「0pF」、「数pF」、「数pF」および「数pF」とのパターンPaの測定結果が得られたときに、コンデンサ21aと接続用パターン22a,23との間に接続不良Xa,Xbが存在せず、コンデンサ21aが接続用パターン22a,23に正常に接続されていると判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
この場合、一例として、上記のコンデンサ21aが2μfの静電容量を有する積層コンデンサの場合には、上記の「数pF」として「10pF」程度の静電容量が測定され、上記の「0pF」として「0.1pF」程度の静電容量が測定される。したがって、そのようなコンデンサ21aの検査に際しては、一例として、上記の「10pF」を基準として±50%(すなわち、5pF〜15pF)を「基準容量範囲」として規定すればよい。
また、接続不良Xaが存在し、接続不良Xbが存在しないときには、「第1測定処理」において「0pF」との静電容量が測定され、「第2測定処理」において「0pF」との静電容量が測定され、「第3測定処理」において「数pF」との静電容量が測定され、かつ「第4測定処理」において「数pF」との静電容量が測定される(4つの「測定処理」のうちの2つの「測定処理」の測定結果が「基準範囲」としての基準容量範囲を外れ、かつ他の2つの「測定処理」の測定結果が「基準範囲」としての基準容量範囲内のときの一例)。したがって、制御部9は、「第1測定処理」から「第4測定処理」までの4つの「測定処理」において、「0pF」、「0pF」、「数pF」および「数pF」とのパターンPbの測定結果が得られたときに、コンデンサ21a(外部電極31a)と接続用パターン22aとの間に接続不良Xaが存在すると判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
さらに、接続不良Xaが存在せず、接続不良Xbが存在するときには、「第1測定処理」において「数pF」との静電容量が測定され、「第2測定処理」において「数pF」との静電容量が測定され、「第3測定処理」において「0pF」との静電容量が測定され、かつ「第4測定処理」において「0pF」との静電容量が測定される(4つの「測定処理」のうちの2つの「測定処理」の測定結果が「基準範囲」としての基準容量範囲を外れ、かつ他の2つの「測定処理」の測定結果が「基準範囲」としての基準容量範囲内のときの他の一例)。したがって、制御部9は、「第1測定処理」から「第4測定処理」までの4つの「測定処理」において、「数pF」、「数pF」、「0pF」および「0pF」とのパターンPcの測定結果が得られたときに、コンデンサ21a(外部電極31b)と接続用パターン23との間に接続不良Xbが存在すると判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
また、接続不良Xa,Xbの双方が存在するときには、「第1測定処理」から「第4測定処理」のすべてにおいて「0pF」との静電容量がそれぞれ測定される(各「測定処理」のすべての測定結果が「基準範囲」としての「基準容量範囲」を外れているときの一例)。したがって、制御部9は、「第1測定処理」から「第4測定処理」までの4つの「測定処理」のすべてにおいて、「0pF」、「0pF」、「0pF」および「0pF」とのパターンPdの測定結果が得られたときに、コンデンサ21a(外部電極31a)と接続用パターン22aとの間に接続不良Xaが存在し、かつコンデンサ21a(外部電極31b)と接続用パターン23との間に接続不良Xbが存在すると判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
この後、制御部9は、記憶部10に記憶させた検査結果データD2に基づく検査結果を表示部8に表示させて、コンデンサ21aと接続用パターン22aおよび接続用パターン23との間に接続不良Xa,Xbが存在するか否かの検査を終了する。続いて、制御部9は、コンデンサ21bと接続用パターン22b,23との間に接続不良Xa,Xbが存在するか否かの検査を開始する。具体的には、制御部9は、検査用データD0に従って移動機構3a,3bに制御信号S1a,S1bを出力することにより、接続用パターン23にプローブ4bをプロービングさせた状態を維持しつつ、図1に破線で示すように、検査対象基板20の接続用パターン22bにプローブ4aをプロービングさせる。
次いで、制御部9は、検査用データD0に従って移動機構3cに制御信号S1cを出力することにより、図1に破線で示すように、検査対象基板20におけるコンデンサ21bの実装部位の表面にプローブ4cをプロービングさせる。この際には、プローブ4cを検査対象基板20の表面に当接させるようにしてプロービングすることにより、コンデンサ21bと検査対象基板20の表面との間に存在する基材によって、コンデンサ21bの各内部電極32a,32bとプローブ4cの電極面(底面)との間に非導電体からなる隙間が生じた状態(各内部電極32a,32bに対してプローブ4cが接することなく対向させられて容量成分が形成された状態)となる。
この場合、前述したように、本例の基板検査装置1では、その電極面(底面)が1つのコンデンサ21と同程度の柱状となるようにプローブ4cが構成されている。したがって、上記のようにコンデンサ21bの実装部位の表面にプローブ4cをプロービングさせることにより、プローブ4cがコンデンサ21b(コンデンサ21bの内部電極32a,32b)だけと対向した状態となり、接続用パターン22bを介してコンデンサ21bの内部電極32aに接続されているコンデンサ21cの内部電極32aがプローブ4cとは対向しない状態となる。これにより、本例の基板検査装置1では、コンデンサ21b,21cの双方と対向するような大きな電極等を「導体」として使用する構成・方法とは異なり、コンデンサ21bについての検査時おける各「測定処理」に際して、コンデンサ21cの内部電極32aからプローブ4cに電流が流れ込んでコンデンサ21bについての検査結果に影響が及ぶ事態が回避される。
次いで、制御部9は、スイッチ5a,5bによるプローブ4a,4bの接断の切り替えを実行しつつ、前述したコンデンサ21aについての4つの「測定処理」と同様の手順で「第1測定処理」から「第4測定処理」の各「測定処理」を実行する。また、制御部9は、各「測定処理」についての測定結果データD1と、記憶部10に記憶されている検査用データD0とに基づき、コンデンサ21bと接続用パターン22b,23との間に接続不良Xa,Xbが存在するか否かを判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させると共に、判別結果を表示部8に表示させる。これにより、コンデンサ21bと接続用パターン22bおよび接続用パターン23との間に接続不良Xa,Xbが存在するか否かの検査が終了する。この後、制御部9は、コンデンサ21cと接続用パターン22b,23との間に接続不良Xa,Xbが存在するか否かの検査を実行し、その検査結果を表示部8に表示させる。これにより、検査対象基板20を対象とする一連の検査が完了する。
この場合、検査対象のコンデンサ21は、その外観から外部電極31a,31bを区別するのが困難となっている。したがって、上記の例では、図2に示すように、各内部電極32bのうちの1つが内部電極32aよりもプローブ4c寄りに位置するように実装されているが(内部電極32aよりも内部電極32bの近傍にプローブ4cが位置するようにプロービングした例)、図4に示すように、各内部電極32aのうちの1つが内部電極32bよりもプローブ4c寄りに位置するように実装された状態となっていること(内部電極32bよりも内部電極32aの近傍にプローブ4cが位置するようにプロービングすること)もある。なお、同図、および後に参照する図6,7において図2を参照して説明した要素と同様の機能を有する要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この図4に示す実装状態のコンデンサ21と接続用パターン22,23との間に接続不良Xa,Xbが存在するか否かの検査に際しては、図2を参照しつつ説明した手順と同様の手順で「第1測定処理」から「第4測定処理」までの4つの「測定処理」を実行することにより、図5に示すパターンPA,Pb〜Pdの4つのパターンのうちのいずれかのパターンで静電容量が測定される。なお、詳細な説明を省略するが、図4に示す例のときには、図2に示す例のときとは異なり、接続不良Xa,Xbの双方が存在しないときに、「第3測定処理」の測定結果だけが他の3つの「測定処理」の測定結果とは相異するパターンPAとなる。したがって、制御部9は、記憶部10に記憶させた各「測定処理」の測定結果データD1と、記憶部10に記憶されている検査用データD0とに基づき(測定結果がパターンPA,Pb〜Pdのいずれであるかに基づき)、接続不良Xa,Xbが存在するか否かを検査し、その検査結果を表示部8に表示させる。
また、「基板検査装置」の構成、および「基板検査方法」の具体的な手順についての理解を容易とするために、「第1測定処理」から「第4測定処理」の測定結果に基づいて接続不良Xa,Xbが存在するか否かを検査する例について説明したが、図6に示す例のように、接続不良Xaに代わって(または、接続不良Xaに加えて)接続用パターン22に断線Xcが存在するとき、接続不良Xbに代わって(または、接続不良Xbに加えて)接続用パターン23に断線Xcが存在するとき、接続不良Xaや断線Xcに代わって(または、接続不良Xaや断線Xcに加えて)コンデンサ21にクラックXdが生じて内部電極32aが破断しているとき、および接続不良Xbや断線Xcに代わって(または、接続不良Xbや断線Xcに加えて)コンデンサ21にクラックXdが生じて内部電極32bが破断しているときにも、各「測定処理」の測定結果として、上記のパターンPa〜Pd(または、パターンPA,Pb〜Pd)のいずれかのパターンで測定結果が得られる。
なお、断線XcやクラックXdが生じている場合についての「測定処理」については、接続不良Xa,Xbが生じている場合の「測定処理」と同様の現象が生じて同様の測定結果が得られる。したがって、基板検査装置1による検査対象基板20の検査に際しては、実際には、各「測定処理」の測定結果がパターンPa(または、パターンPA)のときに、接続不良Xa,Xb、断線XcおよびクラックXdが存在しないと判別されると共に、各「測定処理」の測定結果がパターンPb〜Pdのいずれかのときには、接続不良Xa,Xb、断線XcおよびクラックXdのいずれかの不良が生じていると判別されることとなる。
このように、この基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法によれば、「測定処理A(「第1測定処理」および「第3測定処理」)」と、「測定処理B(「第2測定処理」および「第4測定処理」)」の各「測定処理」を実行すると共に、各「測定処理」の測定結果(測定結果データD1の値)と検査用基準データ(検査用データD0)とに基づいて不良が生じているか否かを判別することにより、外部電極31aおよび接続用パターン22の間の接続不良Xa等が存在するときには、外部電極31bおよび接続用パターン23の間の接続不良Xb等が存在するか否かに拘わらず、「第1測定処理」および「第2測定処理」のいずれにおいても測定される静電容量が予め規定された基準容量範囲を外れ、接続不良Xb等が存在するときには、接続不良Xa等が存在するか否かに拘わらず、「第3測定処理」および「第4測定処理」のいずれにおいても測定される静電容量が予め規定された基準容量範囲を外れ、接続不良Xa,Xbの双方が存在しないときには、「第1測定処理」および「第3測定処理」のいずれか一方だけにおいて測定される静電容量が予め規定された基準容量範囲を外れるため、外部電極31a,31bにプローブ等を直接接続することができない内蔵のコンデンサ21を有する検査対象基板20について、各「測定処理」毎の測定結果に基づき、接続不良Xa,Xbが存在するか否かを確実に検査することができる。
また、この基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法によれば、「第1測定処理」および「第3測定処理」のいずれか一方の測定結果だけが予め規定された基準容量範囲から外れているときに接続不良Xa,Xbが生じていないと判別すると共に、各「測定処理」のうちの2つの「測定処理」の測定結果が予め規定された基準容量範囲から外れているとき、および各「測定処理」のすべての測定結果が予め規定された基準容量範囲から外れているときに接続不良Xa,Xbが生じていると判別することにより、検査対象基板20に実装されているコンデンサ21の容量、およびその実装状態に応じて基準容量範囲(基準範囲)を規定しておくことで、各「測定処理」の検査結果に基づき、接続不良Xa,Xbが存在するか否かを短時間で容易に判別することができる。
また、この基板検査装置1によれば、「第1プローブ」としてのプローブ4a、「第2プローブ」としてのプローブ4b、「第1スイッチ」としてのスイッチ5a、および「第2スイッチ」としてのスイッチ5bを備えたことにより、例えば、プローブ4a,4bを接続用パターン22,23にプロービングさせたり接続用パターン22,23から離間させたりすることでG電位に対して接断する構成とは異なり、プローブ4a,4bを接続用パターン22,23に接続したままの状態において、スイッチ5a,5bによってプローブ4a,4bをG電位に対して接断することができるため、検査対象基板20の検査に要する時間を充分に短縮することができる。
さらに、この基板検査装置1によれば、「導体」としての「電極」の一例であるプローブ4c、およびこのプローブ4cを移動させる移動機構3cを備えたことにより、「導体」として使用可能な導体パターン等が存在しない検査対象基板20についても、プローブ4cを「導体」として使用して確実に検査することができる。
なお、「基板検査装置」の構成や「基板検査方法」の具体的手順については、上記の基板検査装置1の構成や基板検査装置1による基板検査方法の手順の例に限定されない。例えば、「電気的パラメータ」は、「静電容量」に限定されず、内部電極32a(または、内部電極32b)からプローブ4cに流れる電流の電流値そのものを「電気的パラメータ」として測定することで接続不良Xa,Xbの有無を検査する構成・方法を採用することもできる。
また、「導体」としての「電極」の一例であるプローブ4cを使用して各「測定処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、「電極」は、柱状(プローブ状)に限定されず、板状や球状などの各種形状の「電極」(図示せず)を使用することができる。この場合、前述したプローブ4cと同様にして「電極」を1つの「コンデンサ」と同程度の大きさに形成することにより、上記の例におけるコンデンサ21b,21cのように外部電極31a,31bが相互に接続された状態で隣接している場合にも、それらの接続不良等を個別に検査することができる。
さらに、図7に示す検査対象基板20のように、コンデンサ21の各内部電極32a,32bの電極面を覆い、かつその電極面に対向配置された信号伝送用パターン、グランドパターンおよび電源パターンなどの導体パターン24が存在するときには、この導体パターン24を「導体」として使用して各「測定処理」を実行する構成・方法を採用することができる。具体的には、導体パターン24を「導体」として使用する場合には、前述したプローブ4cに代えて、一例として、導体パターン24に接続されている接続用パターン24aにプロービングさせたプローブ4dを測定部6の電流測定ポート6bに接続する。これにより、接続用パターン24aを介してプローブ4dに接続される導体パターン24が、前述したプローブ4cと同様に機能する結果、プローブ4cを用いた上記の例と同様の測定結果を得ることができる。この場合、「導体」として使用する「導体パターン」は、同図に示す導体パターン24のような「内層の導体パターン」に限定されず、検査対象基板の表面に形成された「導体パターン」を使用することもできる。
また、スイッチ5bをOPEN状態に切り替えることでプローブ4bをプロービングしている接続用パターン23をG電位から切り離し、スイッチ5aをOPEN状態に切り替えることでプローブ4aをプロービングしている接続用パターン22をG電位から切り離す構成・方法を例に挙げて説明したが、このような構成・方法に代えて、G電位に接続されているプローブ4bを接続用パターン23から離間させることで接続用パターン23をG電位から切り離したり、G電位に接続されているプローブ4aを接続用パターン22から離間させることで接続用パターン22をG電位から切り離したりする構成・方法を採用することもできる。このような構成・方法を採用した場合においても、上記の基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法と同様の効果を奏することができる。
さらに、プローブ4a,4bを接続用パターン22,23にプロービングすることで接続用パターン22,23をH電位(測定用信号出力ポート6a)やG電位に接続する構成・方法を例に挙げて説明したが、例えば、接続用パターン22,23を外部装置に接続するための接続用コネクタ(図示せず)が存在する場合には、この接続用コネクタに図示しない信号ケーブルを接続することで接続用パターン22,23をH電位(測定用信号出力ポート6a)やG電位に接続する構成・方法を採用することができる(「第1プローブ」や「第2プローブ」を使用しない構成・方法の例)。このような構成・方法を採用した場合においても、上記の基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法と同様の効果を奏することができる。
また、移動機構3a,3bによってプローブ4a,4bを任意に移動させて接続用パターン22,23にプロービングさせた状態において各「測定処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、接続用パターン22a,22b,23等の位置に応じて複数のプローブを植設したプローブユニット(検査用治具:図示せず)と検査対象基板20との少なくとも一方を他方に向けて移動させることで接続用パターン22a,22b,23等にプローブをそれぞれプロービングした状態において各「測定処理」を実行する構成・方法を採用することもできる。このような構成・方法を採用する場合には、各プローブのうちの任意のプローブをG電位やH電位(測定用信号出力ポート6a)に対して任意に接断するためのスキャナ(図示せず)をプローブユニットに接続すればよい。このような構成・方法を採用した場合においても、上記の基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法と同様の効果を奏することができる。
さらに、プローブ4cを測定部6の電流測定ポート6b(L電位)に固定的に接続した状態において各「測定処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、プローブ4cを測定部6の測定用信号出力ポート6a(H電位)に接続すると共に、プローブ4a,4bのいずれか一方を測定部6の電流測定ポート6b(L電位)に接続し、かつプローブ4a,4bの他方をG電位に対して接断することで、上記の各「測定処理」と同様の4つの「測定処理」を実行する構成・方法を採用することができる。
また、「第1測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをH電位、G電位およびL電位にそれぞれ接続すると共に、「第2測定処理」においてプローブ4a,4cをL電位およびH電位にそれぞれ接続したり、「第1測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをL電位、G電位およびH電位にそれぞれ接続すると共に、「第2測定処理」においてプローブ4a,4cをH電位およびL電位にそれぞれ接続したり、「第3測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをG電位、L電位およびH電位にそれぞれ接続すると共に、「第4測定処理」においてプローブ4b,4cをH電位およびL電位にそれぞれ接続したり、「第3測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをG電位、H電位およびL電位にそれぞれ接続すると共に、「第4測定処理」においてプローブ4b,4cをL電位およびH電位にそれぞれ接続したりする構成・方法を採用することもできる。
さらに、「第1測定処理」、「第2測定処理」、「第3測定処理」および「第4測定処理」の実行順序(「予め規定された順」)は、上記の例に限定されず、「第1測定処理」から「第4測定処理」までの4つの測定処理を任意の順序で実行する構成・方法を採用することができる。この場合、「第1測定処理」および「第2測定処理」のいずれか一方を実行した後に「第3測定処理」および「第4測定処理」を実行することなく「第1測定処理」および「第2測定処理」の他方を実行すると共に、「第3測定処理」および「第4測定処理」のいずれか一方を実行した後に「第1測定処理」および「第2測定処理」を実行することなく「第3測定処理」および「第4測定処理」の他方を実行することにより、「第1接続用パターン」や「第2接続用パターン」に対する接続の切り替え回数(上記の例では、プローブ4a,4bのプロービング回数)を少数回とすることができる。
また、検査対象基板20の検査に際してコンデンサ21a〜21cのすべてについて接続不良Xa,Xbの有無を検査する例について説明したが、このような構成・方法に代えて、複数のコンデンサ21について接続不良Xa,Xbの有無を検査する際に、いずれかのコンデンサ21において接続不良Xa,Xbのいずれかまたは双方が存在すると判別した時点において、そのコンデンサ21が実装されている検査対象基板20を不良品として一連の検査を終了する構成・方法を採用することもできる。