JP2014106517A - 静電荷像現像用フルカラートナー及び画像形成装置、プロセスカートリッジ - Google Patents

静電荷像現像用フルカラートナー及び画像形成装置、プロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真方式または静電記録方式によりカラー画像を形成する方法において、トナーの飛び散りや色ずれが目立たないようにすると共に色再現範囲が広いカラー画像形成方法を提供すること。
【解決手段】少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるイエロートナーと、少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるマゼンタトナーと、少なくともシアン系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるシアントナーと、少なくともカーボンブラックと結着樹脂と外添剤とからなるブラックトナーとを組み合せたフルカラートナーにおいて、ブラックトナー以外のいずれか1色もしくは2色のトナーのヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量が、残りのトナーのヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量より少ないことを特徴とする静電荷像現像用フルカラートナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用フルカラートナー並びに現像剤、及び、画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジに関する。
潜像担持体に静電潜像を形成し、これを現像剤によって可視像化して記録画像を得る電子複写機、プリンタ或いはファクシミリ等の画像形成装置では、粉体状の現像剤を用いる乾式の現像装置が広く採用されている。
近年、電子写真方式を利用したカラー画像形成装置は広範に普及してきており、また、デジタル化された画像が容易に入手できることも関係して、プリントされる画像の更なる高精細化が要望されている。
画像のより高い解像度や階調性が検討される中で、潜像を可視化するトナー側の改良としては、高精細画像を形成するために、更なる球形化、小粒径化の検討がなされている。
粉砕法により製造されたトナーでは、これらの特性に限界があるため、球形化や小粒径化が可能な懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等により製造されたいわゆる重合トナーが採用されつつある。
静電潜像を用いたフルカラー画像形成では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを用い、4色のトナーを最終画像保持体である紙やシート等の上で重ねる必要がある。
4色のトナーを重ねる方法は次の2つの方法が主に用いられている。
1つ目は、イエロー、マゼンタ、ブラック、シアンの4色のトナーにより静電潜像保持体上の潜像を単色づつ現像し、各色順番に静電潜像保持体から最終画像保持体へトナー転写し、画像最終保持体上へ直接4色のトナーを重ねる方法である。(以下、直接転写方式と述べる。)
2つ目はイエロー、マゼンタ、ブラック、シアンの4色のトナーにより静電潜像保持体上の潜像を単色づつ現像し、各色順番に静電潜像保持体から中間画像保持体へトナー転写し、中間画像保持体上で4色のトナー画像を重ね、該画像を中間画像保持体から最終画像保持体に転写する方法である。(以下、中間転写方式と述べる。)
上記、2つの方法とも最終画像保持体上のトナーは熱または圧力などにより、最終画像保持体へ固定化される。
直接転写方式では、各色毎に別々の静電潜像保持体を用いる方法、または1つの静電潜像保持体を用い4色のトナーで順次現像し、最終画像保持体を円柱等に固定し最終画像保持体転写する方法が多く用いられている。
各色毎に別々静電潜像保持体を用いる方法は高速な出力が可能となるが、装置自体が大規模なものになりコストが大きくなる。
また、潜像保持体を4色個別に持つため、4色重ねたときの重なりの制御が難しく、4色のずれが発生しやすい。
特に熱膨張や作像機本体のゆがみにより4色重ねのずれが生じやすい。
また、1つの静電潜像保持体を用い4色のトナーで順次現像し、最終画像保持体を堅い円柱等に固定し最終画像保持体転写する方法は、色ずれに対して精度がよいが、円柱等へ最終画像保持体を固定するため最終画像保持体の形、大きさ、堅さ等に制約が多くなる。
また、最終画像保持体を固定する円柱等を機械内部に持つため、機内レイアウトの自由度が少なく、機械本体の体積が大きくなり、機構が複雑になる。
中間転写方式では、1つの静電潜像保持体を用い4色のトナーで順次現像し、中間画像保持体上へ転写する方法が多く用いられている。この方法は、色ずれに対して精度がよく、画像中間保持体にベルト等を用いるとマシンレイアウトに自由度がでて、省スペース化も図れる。
しかしながら、いずれの方法によってもフルカラー画像を得るには、トナーを静電潜像保持体から最終画像保持体もしくは静電潜像保持体から中間画像保持体上にトナーを転写し、4色のトナーを積み重ねる必要があり、このトナーを重ねる際にトナーが飛び散り、解像度が低下し、にじみが発生している。
また、フルカラー画像を最終転写体へ定着した際には、トナーの重なった順番により色の再現範囲や画像黒部の色合い等が異なる。
たとえば、特許文献1の特許第3021277号公報では、フルカラープロセスにおいて、小粒径トナーを使用することによって、高精細で画質を得ることができることが述べられている。
しかし、フルカラープロセスにおいては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを重ねることによりさまざまな色を出しているため、小粒径トナーを使用することによって、単位厚さでのトナー層が多くなり、トナーの飛び散りや感光体との接触による画像の乱れが問題となってきている。
本発明は、電子写真方式または静電記録方式によりカラー画像を形成する方法において、トナーの飛び散りや色ずれが目立たないようにすると共に色再現範囲が広いカラー画像形成方法を提供することを目的とする。
上記課題は、本発明の下記(1)〜(13)項に記載の「静電荷像現像用フルカラートナー」、「画像形成装置」、「現像剤」、「画像形成方法」及び「プロセスカートリッジ」を含む本発明によって解決される。
(1)「少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるイエロートナーと、少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるマゼンタトナーと、少なくともシアン系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるシアントナーと、少なくともカーボンブラックと結着樹脂と外添剤とからなるブラックトナーとを組み合せたフルカラートナーにおいて、ブラックトナー以外のいずれか1色もしくは2色のトナーのヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量が、残りのトナーのヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量より少ないことを特徴とする静電荷像現像用フルカラートナー」、
(2)「前記ヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量が少ないトナーのワックス露出量が10mg/g以上18mg/g未満であり、多いトナーのワックス露出量が18mg/g以上26mg/g以下であることを特徴とする前記第(1)項に記載のフルカラートナー」、
(3)「少なくとも結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体と着色剤を含む油相を水系媒体で乳化又は分散させて造粒したトナーであることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のフルカラートナー」、
(4)「トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有し、ガラス転移温度が40℃以上80℃以下のものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載のフルカラートナー」、
(5)「前記結着樹脂は、変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のフルカラートナー」、
(6)「前記変性ポリエステル樹脂は、ウレタン基及び/又はウレア基を有することを特徴とする前記第(5)項に記載のフルカラートナー」、
(7)「前記結着樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂とアミン類を反応させることにより得られる樹脂を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載のフルカラートナー」、
(8)「前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器」、
(9)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有することを特徴とするプロセスカートリッジ」、
(10)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置」。
また、本発明は次の第(11)項乃至第(13)項記載の「静電荷像現像用フルカラートナー」、「現像剤」、「画像形成方法」を包含する。
(11)「非磁性一成分現像方法に用いられる前記(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載のフルカラートナー」。
(12)「前記(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤」。
(13)「静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記(1)項乃至第(7)項若しくは第(11)項のいずれかに記載のトナー又は前記第(12)項に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、フルカラー画像形成において、転写や定着時の飛び散りや色ずれを抑制できるという極めて優れた効果が発揮される。
トナーに使用されるような低融点ワックスは、耐ブロッキング性、疎水性、撥水性、スリップ性が高い特徴がある。ワックスが表面に露出することで、トナーとしてもこれらの性能を発揮することになる。
このとき、ワックスを露出させるバランスが重要で、現像部などの部材汚染を起こさない程度で、できるだけ多く露出させるほうが、定着の離型性などに有利であるが、他方では、転写や定着時にワックス露出量が多いトナー同士が重なり合った状態で転写や定着を行なうとトナーがスリップしたり、はじかれたりして画像が散ることになる。
しかし本発明において、主に重ね合わせに使われるブラックトナー以外の1色または2色のトナーのワックス露出量を減らすことで、トナー間のスリップ性を抑え、色重ねされたトナーの転写時や定着時の飛び散りや色ずれを抑制することができることが見出された。
ワックスの表面露出量を少なくさせる方法としては、公知の方法で問題なく、ワックス部数を減らす方法の他、ワックス分散粒子を小さくする方法やシェルなどによって表面露出を抑制する方法などが挙げられる。トナーに添加するワックス部数は、定着性の観点からは、あまり減らさず、他の方法で調整するほうが好ましい。
ワックス露出量が少ないトナーのワックス露出量としては、10mg/g以上18mg/g未満が好ましい。より好ましくは、12mg/g以上17mg/g未満、さらに好ましくは、14mg/g以上16mg/g未満であることが望ましい。
10mg/gであると、単層で定着された場合、ワックスの染み出しが遅く、分離できない可能性がある。また、18mg/g以上になるとトナー表面に必要以上のワックス量が存在し、スリップ性を引き起こし、本発明が成り立ち難くなることがある。
また、ワックス露出量を少なくする色としては、カラーの3層重ねあわせ時の真ん中にくる色が好ましい。前後の層であっても効果はあるが、より多くのトナーと接触する可能性が高い真ん中の層のトナーのワックス露出量が少ないほうが大きな効果が得られる。真ん中の層を使わない2層重ねの場合も考慮すると2色のトナーのワックス露出量を少なくすることもできる。このとき、分離性に影響が少ないように紙上1層目と2層目の色のトナーのワックス露出量を少なくすることが好ましい。
<トナー粒子>
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂(バインダー樹脂)、着色剤、樹脂微粒子を含有しているマゼンタトナーまたはイエロートナーで、粉砕法によるものよりも、樹脂成分を含む有機溶剤の液滴を噴霧乾燥して得られるトナー或いは重合トナー等の所謂ケミカルトナーであることが好ましい。樹脂及び着色剤を有機溶媒に溶解させ、水系媒体中で油滴を作製してトナー粒子を得る工程(溶解懸濁法)により得られたものであることが、より好ましい。ここで、結着樹脂はその前駆体であってもよい。
以下、溶解懸濁法を例に説明する。
(溶解懸濁法)
溶解懸濁法を用いてトナーを製造する方法としては、少なくとも、樹脂及び着色剤からなるトナー組成物を、有機溶媒に溶解又は分散させることにより得られる溶解液又は分散液を、分散剤の存在する水性溶媒中で、通常の撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて、所望の粒度分布を有するトナーが得られるように分散させた後、有機溶媒を除去することによりトナースラリーを得る方法が挙げられる。トナーは、公知の方法に従い、洗浄・濾過により回収し、乾燥させることにより単離することができる。
(使用される樹脂について)
溶解懸濁法では、溶媒に溶解させることができる樹脂であれば製造上利用することができる。具体的には、従来よりトナーに用いられている樹脂が挙げられ、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリオール樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などがある。定着性の観点から、ポリエステル樹脂が好適に用いられる。
(イソシアネート変性ポリエステル)
イソシアネート変性ポリエステルとしては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
(ポリオール)
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
(ポリカルボン酸)
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、または(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
(ポリオールとポリカルボン酸の比)
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
(イソシアネート基と水酸基の比)
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
[NCO]/[OH]が5を超えると残留するポリイソシアネート化合物がトナーの帯電性に悪影響を及ぼす。
(伸長剤)
イソシアネート変性ポリエステルを伸長させるために、伸長剤としてアミン類(B)を用いてもよい。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミンなど)、脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど)及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
(アミノ基とイソシアネート基の比率)
アミン類(B)の比率は、イソシアネート変性ポリエステル中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満では、イソシアネート変性ポリエステルの伸長反応が充分に進行せず、本発明の粘弾性特性が得られないおそれがある。
(イソシアネート変性ポリエステルの併用に関して)
イソシアネート変性ポリエステルは、1種類のみ用いてもよいが、例えば1種類以上の直鎖上のイソシアネート変性ポリエステルと、1種類以上の分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルを組み合わせて使用することにより、トナーの粘弾性設計を好ましく行なうことができる。特にトナー中に架橋点間距離を広く取った架橋構造を均一に存在させるためには、分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルは比較的低分子量に設計し、それとともに直鎖上のイソシアネート変性ポリエステルを併用するのが好ましい。
イソシアネート変性ポリエステルの分子鎖を長く設計すると、トナーの熱特性が悪化することがあるからである。その原因としては、トナー製造過程の油相中において分子鎖がランダムコイル状に収縮し、局所的に架橋構造を形成するか、分子内でイソシアネート基が反応を完結してしまい、トナー全体にわたって架橋構造を持たせることができないためであると考えられる。
(未変性ポリエステル)
本発明においては、イソシアネート変性ポリエステルとともに、イソシアネート変性されていないポリエステル(未変性ポリエステル)を用いてもよい。未変性ポリエステルを用いることにより、トナーの粘弾性の設計がより行ないやすくなる。未変性ポリエステルとしては、前述のポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられる。
(有機溶媒)
有機溶媒は、容易に除去することを可能とするため、沸点が100℃未満であるものを用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
水性溶媒は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶媒を併用することもできる。混和可能な溶媒としては、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類等が挙げられる。トナー材料100質量部に対する水性溶媒の使用量は、通常、50〜2000質量部であり、100〜1000質量部が好ましい。水性溶媒の使用量が50質量部未満では、トナー材料の分散状態が悪くなるおそれがある。また、2000質量部を超えると経済的でない。
(水系媒体)
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。
混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
(界面活性剤)
水系媒体中に油相を分散させて液滴を作製するために界面活性剤が用いられる。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。
好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸、及び、その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
(無機分散剤)
上記水系媒体中に、トナー組成物の溶解物または分散物を、無機分散剤または樹脂微粒子の存在する中分散させてもよい。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
(保護コロイド)
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
(ワックス)
本発明に使用する離型剤としては、公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。上記の内、極性が小さく溶融粘度が低いという理由から好ましいものはポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素であり、特に好ましいものはパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスである。
(着色剤)
本発明のトナーにおいて、従来からマゼンタやイエロートナーで使用されている公知の着色剤を用いてよい。例えば、クロムイエロー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等を挙げることができる。トナー粒子中における着色剤の含有量としては全バインダー樹100重量部に対し2〜15重量部の範囲が好ましい。着色剤は、使用されるバインダー樹脂中に分散されたマスターバッチの形態で使用されることが分散性の観点から好ましい。マスターバッチの添加量は含有される着色剤の量が上記範囲内となるような量であればよい。マスターバッチ中の着色剤含有率は20〜40重量%が好適である。
<製造方法>
次に、製造工程に関して説明する。
(油相作成工程)
有機溶媒中に樹脂、着色剤などを溶解あるいは分散させた油相を作成する方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら樹脂、着色剤などを徐々に添加していき、溶解あるいは分散させればよい。ただし、着色剤として顔料を用いる場合や、ワックスや帯電制御剤などのなかで有機溶媒に溶解しにくいようなものを添加する場合、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておいてもよい。
さらに別の手段として、有機溶媒の沸点未満で溶融するようなものを分散するのであれば、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、分散質とともに攪拌しながら加熱を行ない、一旦溶解させた後、攪拌もしくはせん断しながら冷却を行なうことによって晶析を行ない、分散質の微結晶を生成させる方法を行なってもよい。
以上の手段を用いて分散された着色剤、ワックス、帯電制御剤は、有機溶媒中に樹脂とともに溶解あるいは分散された後、さらに分散を行なってもよい。分散に際しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。
(トナー粒子母体作製工程)
少なくとも界面活性剤を有する水系媒体中に前述の工程で得られた油相を分散させ、油相からなるトナー粒子母体が分散した分散液を作成する方法としては、特に限定されるものではない。すなわち、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。
分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。
分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。5分を超えて分散を行なうと、望ましくない小径の粒子が残存してしまったり、分散が過分散状態になって系が不安定になり凝集体や粗大粒子が発生したりすることがあるので好ましくない。
分散時の温度としては、通常、0〜40℃、好ましくは10〜30℃である。40℃を超えると分子運動が活発になることから分散安定性が低下し凝集体や粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。また、0℃未満になると分散体の粘度が高くなり、分散に必要なせん断エネルギーが増大するため製造効率が低下する。
界面活性剤は、前述の溶解懸濁法に関する説明で記載したものと同じものが使用できるが、溶媒を含む油滴を効率よく分散するためには、HLBが高めのジスルホン酸塩のものが好ましい。
界面活性剤は、水系媒体中での濃度が1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、より好ましくは3〜7重量%の範囲にあるのがよい。10重量%を超えると、油滴が小さくなりすぎたり、逆ミセル構造を形成して逆に分散安定性が低下して油滴の粗大化が発生したりするため好ましくない。また1重量%未満では油滴の分散を安定に行なうことができずに油滴が粗大化してしまうため好ましくはない。
(シェル化工程)
シェル化の方法としては、少なくとも結着樹脂と着色剤を有する核となる着色粒子に別途少なくとも樹脂からなる樹脂微粒子を付着・融着させる方法が挙げられる。核となる着色粒子と樹脂微粒子との付着・融着を効率よく行わせるためには、水系媒体中にこれらの粒子を分散させ、分散安定剤を制御しながら行うのが良い。
溶解懸濁法を用いる場合、上記方法によっても良いが、有機溶媒中に核となる着色粒子の構成材料を溶解もしくは分散した油相を水系媒体中に分散させた状態において、樹脂微粒子を添加して油相液滴の表面に樹脂微粒子を付着・融着させた方が核となる着色粒子と樹脂微粒子が強固に付着・融着できるため好ましい。トナー芯粒子作製工程中に樹脂微粒子を添加すると、突起部が粗大、不均一になるため好ましくない。
得られた着色粒子分散液は、攪拌を行っている間は安定に芯粒子の液滴を存在させておくことができる。その状態に前記樹脂微粒子分散液を投入して着色粒子上に付着させる。
樹脂微粒子分散液の投入は、30秒以上かけて行うのが良い。30秒未満で投入を行うと、分散系が急激に変化するために凝集粒子が発生したり、樹脂微粒子の付着が不均一になったりするため好ましくない。一方闇雲に長い時間、例えば60分を超えて添加するのは生産効率の面から好ましくはない。
樹脂微粒子分散液は、芯粒子分散液に投入する前に、適宜濃度調整のために希釈あるいは濃縮しても良い。樹脂微粒子分散液の濃度は、5〜30質量%が好ましく、8〜20質量%がより好ましい。5質量%未満では、分散液の投入に伴う有機溶媒濃度の変化が大きく、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。また30質量%を超えるような場合、樹脂微粒子が芯粒子分散液中に偏在しやすくなり、その結果樹脂微粒子の付着が不均一になるため避けたほうが良い。
また、油相液滴を製造する場合の界面活性剤の質量は、水相全体の質量に対して7%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下がよい。界面活性剤の質量が水相全体の質量に対して7%超となると、突起部の長辺長さの均一性が著しく低下するため好ましくない。
本発明の方法によって芯粒子に対して樹脂微粒子が十分な強度で付着するのは、樹脂微粒子が芯粒子の液滴に付着したときに、芯粒子が自由に変形できるために樹脂微粒子界面と接触面を十分に形成すること、および、有機溶媒によって樹脂微粒子が膨潤もしくは溶解し、樹脂微粒子と芯粒子内の樹脂とが接着しやすい状況になることだと思われる。したがって、この状態において有機溶媒は系内に十分に存在することが必要である。具体的には、芯粒子分散液の状態において、固形分(樹脂、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤など)に対して50質量%〜150質量%、好ましくは70質量%〜125質量%の範囲にあるのがよい。150質量%を超えると、一度の製造工程で得られる着色樹脂粒子が少なくなり生産効率が低いこと、また有機溶媒が多いと分散安定性が低下して安定した製造が難しくなることなどから好ましくない。
芯粒子に樹脂微粒子を付着するときの温度としては、10〜60℃、好ましくは20〜45℃である。60℃を超えると、製造に必要なエネルギーが増大するために製造環境負荷が大きくなることに加え、低酸価の樹脂微粒子が液滴表面に存在することもあり分散が不安定になり粗大粒子が発生する可能性もあるため好ましくない。一方10℃未満では分散体の粘度が高くなり、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。
トナーの全質量のうち樹脂微粒子を構成する樹脂の質量が占める割合は1%〜20%、好ましくは3%〜15%、より好ましくは5%〜10%である。1%未満となるとその効果が不十分であり、20%超となると、過剰となった樹脂微粒子がトナー芯粒子に弱く付着しフィルミング等の原因となる。
このほかにトナー粒子母体と樹脂微粒子を混合攪拌し、機械的に付着、被覆させる方法がある。
<脱溶工程>
得られた着色樹脂分散体から有機溶剤を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
あるいはまた、得られた着色樹脂分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶剤を完全に除去することも可能である。もしくは、着色樹脂分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去してもよい。後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で充分に目的とする品質が得られる。
<熟成工程>
末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行なってもよい。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜65℃、好ましくは35〜50℃である。
<洗浄工程>
上記の方法で得られた着色樹脂粒子の分散液には、着色樹脂粒子のほか、界面活性剤などの分散剤などの副材料が含まれているため、これからか着色樹脂粒子のみを取り出すために洗浄を行なう。着色樹脂粒子の洗浄方法としては、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などの方法があるが、本発明においては特に限定されるものではない。いずれの方法によっても着色樹脂粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で充分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにして上記のいずれかの方法で着色樹脂粒子を取り出す工程を繰り返してもよいし、減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行なうのであれば、水系溶媒をケーキに貫通させて着色樹脂粒子が抱き込んだ副材料を洗い流す方法を採ってもよい。この洗浄に用いる水系溶媒は水あるいは水にメタノール、エタノールなどのアルコールを混合した混合溶媒を用いるが、コストや排水処理などによる環境負荷を考えると、水を用いるのが好ましい。
<乾燥工程>
洗浄された着色樹脂粒子は水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥を行ない水系媒体を除去することで着色樹脂粒子のみを得ることができる。乾燥方法としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などの乾燥機を使用することができる。乾燥された着色樹脂粒子は最終的に水分が1%未満になるまで乾燥を行なうのが好ましい。また、乾燥後の着色樹脂粒子は軟凝集をしており使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行ない、軟凝集をほぐしてもよい。
<外添処理>
得られた乾燥後のトナー粉体と帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
以下、本発明を実施例及び比較例を示すことにより更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下では、「部」及び「%」は特にことわらない限り質量部及び質量%を示す。
まず、実施例及び比較例において得たトナーについての分析及び評価の方法について述べる。
以下では本件発明のトナーを一成分現像剤として用いた場合についての評価を行なったが、本発明のトナーは、好適な外添処理と好適なキャリアを使用することにより、二成分現像剤としても使用することができる。
(ポリエステルの合成)
[ポリエステル1の合成]
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物400部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜18mmHgの減圧下で、7時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸20部を添加し、常圧下、180℃で軟化点が115℃になるまで反応させて、[ポリエステル1]を合成した。
(プレポリマー1の合成)
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応させ、さらに1.3〜2.0kPa(10〜15mmHg)の減圧下で5時間反応させ、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部及び酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
(樹脂微粒子の製造)
[樹脂微粒子分散液1の製造]
5リットル容のステンレス釜で、[ポリエステル1]1500g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製)」[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:15重量%)]100g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製)」[ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB:16.2)]15g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液689gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25度で分散させた。
内容物を95度で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。
続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を15g/minで固形分濃度が25%になるまで滴下し、[樹脂微粒子分散液1]を得た。得られた[樹脂微粒子分散液1]の体積平均粒径(D50)は125nmであった。
[マスターバッチ1の製造]
C.I.ピグメント・イエロー185:40部、ポリエステル1:60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
[マスターバッチ2の製造]
C.I.ピグメント・レッド122:40部、ポリエステル1:60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ2]を得た。
[マスターバッチ3の製造]
C.I.ピグメント・ブルー15:3:40部、ポリエステル1:60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ3]を得た。
(WAX分散液作製工程)
[WAX分散液1の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液1]を得た。得られた[WAX分散液1]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.86μmであった。
[WAX分散液2の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、6パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液2]を得た。得られた[WAX分散液2]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.75μmであった。
[WAX分散液3の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、9パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液3]を得た。得られた[WAX分散液3]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.67μmであった。
[WAX分散液4の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、12パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液4]を得た。得られた[WAX分散液4]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.6μmであった。
[WAX分散液5の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、14パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液5]を得た。得られた[WAX分散液5]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.54μmであった。
[WAX分散液6の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、16パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液6]を得た。得られた[WAX分散液6]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.51μmであった。
[WAX分散液7の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、18パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液7]を得た。得られた[WAX分散液7]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.48μmであった。
[WAX分散液8の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、20パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液8]を得た。得られた[WAX分散液8]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.46μmであった。
[WAX分散液9の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、22パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液9]を得た。得られた[WAX分散液9]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.44μmであった。
[WAX分散液10の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、24パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液10]を得た。得られた[WAX分散液10]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.42μmであった。
[WAX分散液11の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、26パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液11]を得た。得られた[WAX分散液11]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.4μmであった。
[WAX分散液12の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、28パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液12]を得た。得られた[WAX分散液12]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.39μmであった。
[WAX分散液13の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、30パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液13]を得た。得られた[WAX分散液13]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.37μmであった。
[WAX分散液14の製造]
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]24部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、35パスの条件で、WAXの分散を行ない、[WAX分散液14]を得た。得られた[WAX分散液14]のLA−920(堀場製作所)で測定されたメジアン径は、0.34mであった。
[イエロートナー1]
(水相の調製)
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25wt%水性分散液60部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液180部、酢酸エチル100部を混合撹拌したところpH6.2となった。これに、10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH9.5に調整し、[水相1]を得た。
(油相作製工程)
[ポリエステル1]100部、[マスターバッチ1]15部、[WAX分散液1]30部、酢酸エチル80部をTKホモミキサー(特殊機化製)で8,000rpmにて30分間混合した後、[プレポリマー1]15部を加えTKホモミキサーで8,000rpmにて2分間混合して[油相1]を得た。得られた[油相1]の固形分を測定したところ58質量%であった。これらの結果は次表のように纏められる。
Figure 2014106517
(複合粒子作成工程)
[油相1]100部に[水相1]100部を加え、ミキサーのせん断熱による温度上昇を抑えるために水浴で冷却をすることにより液中温度を20〜23℃の範囲になるように調整しながら、TKホモミキサーを用い回転数8,000〜15,000rpmで調整して2分間混合したのち、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整しながら10分間攪拌し、芯粒子となる油相の液滴が水相に分散された[芯粒子スラリー1]を得た。
[芯粒子スラリー1]をアンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数350rpmに調整して攪拌しながら、液温が22℃の状態で、[樹脂微粒子分散液1]5.3部を1分間かけて滴下したのち、30分間攪拌を続け、[複合粒子スラリー1]を得た。
(脱溶剤工程)
撹拌機および温度計をセットした容器に、[複合粒子スラリー1]を投入し、攪拌を行ないながら30℃で8時間脱溶剤を行ない、[分散スラリー1]を得た。
(洗浄・乾燥工程)
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となるように10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[着色樹脂粒子1](トナー母体粒子)を得た。このトナー母体粒子のTgを測定したところ、44.7℃の値を示した。
[着色樹脂粒子1](トナー母体粒子)100部に対し、疎水性シリカ1.0部をヘンシェルミキサーにより混合し、目開き60μmの篩を通過させることにより粗大粒子や凝集物を取り除くことで、[イエロートナー1]を得た。
[イエロートナー2〜イエロートナー14]
前記(油相作製工程)で用いた[WAX分散液1]の代わりに、表2に示すものに変更し、それ以外は同様にして、[イエロートナー2]から[イエロートナー14]の13種類のイエロートナーを得た。
[マゼンタトナー1〜マゼンタトナー14]
前記(油相作製工程)で用いた[マスターバッチ1]の代わりに[マスターバッチ2]を使用し、同[WAX分散液1]の代わりに表2に示すものを用いた他は、同様にして[マゼンタトナー1]〜「マゼンタトナー14]の14種類のマゼンタトナーを得た。
[シアントナー1〜シアントナー14]
前記(油相作製工程)で用いた[マスターバッチ1]の代わりに[マスターバッチ3]を使用し、同[WAX分散液1]の代わりに表2に示すものを用いた他は、同様にして[シアントナー1]〜「シアントナー14]の14種類のシアントナーを得た。
そして、これら各カラートナーについて、後程詳述する評価方法にしたがって、WAX抽出量を評価した。結果は表2に示される。
<WAX評価方法>
(WAX分散粒子の粒径)
LA−920(堀場製作所)を用いて、分散液の状態で測定した。
(WAX抽出量)
離型剤表面露出量は、室温にてトナー1gにn−ヘキサン7mlを加え、回転数120rpmで1min、ロールミルで攪拌し、攪拌後の溶液をただちに吸引濾過し、濾液を40℃で30min真空乾燥して、表面より溶出した離型剤を定量することで得ることができる。
濾別に用いるフィルターとしては、目開き1μmのPTFE製メンブランフィルターを用いた。
Figure 2014106517
[実施例1]
上記各カラートナーのうち、表3に記載のように、カラー1として「イエロートナー1」を、カラー2として「マゼンタトナー2」を、カラー3として「シアントナー1」を、それぞれ選択して、実施例1のカラートナー組合せとし、後述の評価法による評価に供した。結果は表3に示される。
[実施例2]
上記各カラートナーのうち、表3に記載のような「イエロートナー」、「マゼンタトナー」、「シアントナー」の組合せを実施例2のカラートナー組合せとし、後述の評価法による評価に供した。結果は表3に示される。
[実施例3〜実施例54]
上記各カラートナーのうち、表3に記載のような「イエロートナー」、「マゼンタトナー」、「シアントナー」の組合せを、それぞれ実施例3〜実施例54のカラートナー組合せとし、後述の評価法による評価に供した。結果は表3に示される。
[比較例1〜比較例2]
上記各カラートナーのうち、表3に記載のような「イエロートナー」、「マゼンタトナー」、「シアントナー」の組合せを、それぞれ比較例1〜比較例2のカラートナー組合せとし、後述の評価法による評価に供した。結果は表3に示される。
<評価方法>
(ガラス転移温度(Tg)測定(DSC))
Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(転写性;転写チリの有無)
改造したIPSiO SP C220にトナーを入れ、付着量が10g/mになるように設定して、中間転写ベルト上にトナー像(約0.3mm幅のライン画像)を3色重ね合わせた状態で、強制停止した。
転写チリのレベルは、中間転写ベルト上に転写されたトナー像(約0.3mm幅のライン画像)を拡大観察し、評価を行った。その後、印字し画像上の転写チリを確認した。
〔評価基準〕
◎:拡大観察しても飛び散りがほとんどない
○:拡大観察すれば、わずかに転写チリが見える
△:中間転写ベルト上に転写チリが発生しているが、画像上問題ないレベル
×:中間転写ベルト上に転写チリが発生しており、画像上にも問題がある
(定着離型性;分離性)
リコー製ipsio CX7500の定着機を取り外した改造機に、トナー5部とシリコーン樹脂コートキャリア95部を混合攪拌して作成した二成分現像剤を入れ、転写紙(リコー製タイプ6200Y目紙)に縦方向の先端余白3mmを有するベタ画像で、1.1±0.1mg/cmのトナーが現像されるように調整を行ない、未定着状態の転写紙を8枚出力した。
リコー製ipsio CX2500の定着部分のみを取り出し、定着ベルトの温度およびベルト線速度を所望の値になるように改造した定着試験装置を用い、ベルト線速度125mm/secに設定して、定着ベルトの温度を140℃から190℃の範囲で10℃刻みの温度で先端余白3mmのほうから転写紙の定着を行なった。転写紙が定着ベルトに巻きついたり、定着機の出口で蛇腹のようになって詰まったりすることなく、正常に定着できた枚数によって、下記基準に基づき評価した。
◎:正常に定着できた枚数が7枚以上
○:正常に定着できた枚数が6枚以下5枚以上
△:正常に定着できた枚数が4枚以下3枚以上
×:正常に定着できた枚数が2枚以下
Figure 2014106517
特許第3021277号公報

Claims (10)

  1. 少なくともイエロー系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるイエロートナーと、少なくともマゼンタ系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるマゼンタトナーと、少なくともシアン系着色剤と結着樹脂と外添剤とからなるシアントナーと、少なくともカーボンブラックと結着樹脂と外添剤とからなるブラックトナーとを組み合せたフルカラートナーにおいて、ブラックトナー以外のいずれか1色もしくは2色のトナーのヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量が、残りのトナーのヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量より少ないことを特徴とする静電荷像現像用フルカラートナー。
  2. 前記ヘキサンによる抽出で求められるトナー表面のワックス露出量が少ないトナーのワックス露出量が10mg/g以上18mg/g未満であり、多いトナーのワックス露出量が18mg/g以上26mg/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のフルカラートナー。
  3. 少なくとも結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体と着色剤を含む油相を水系媒体で乳化又は分散させて造粒したトナーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフルカラートナー。
  4. トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有し、ガラス転移温度が40℃以上80℃以下のものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフルカラートナー。
  5. 前記結着樹脂は、変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフルカラートナー。
  6. 前記変性ポリエステル樹脂は、ウレタン基及び/又はウレア基を有することを特徴とする請求項5に記載のフルカラートナー。
  7. 前記結着樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂とアミン類を反応させることにより得られる樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のフルカラートナー。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器。
  9. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴
    とする画像形成装置。
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