JP2014102328A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が下記一般式(1)で表わされるメトキシキ基等アルコキシ基、エーテル結合を有し隣り合う基が結合して環構造を形成する基を有するβ−メチルスチレン構造単位、および(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来の構造単位を有する共重合体を含有することを特徴とする
【選択図】なし
Description
プリンターやコピー機の高速化および省エネルギー化に伴い、低温定着性に優れたトナーがますます求められているが、上記のような樹脂材料を用いた場合には、トナーを溶融し定着させる温度(定着温度)を高く設定する必要があり、省エネルギー化を達成することは難しい。
しかしながら、このような対策ではトナーが耐熱保管性(耐ブロッキング性)の低いものとなるという新たな問題が生じる。
このように、トナーの低温定着性と耐熱保管性とを互いに両立させることは本質的に難しい。
しかしながら、結晶性ポリエステル樹脂は硬いものの脆いという性質がある。また、汎用性の高いスチレン−アクリル共重合体樹脂などのビニル系樹脂においては、低温定着性を実現するためには低分子量のものを用いることが必要になるが、その結果、十分な耐破砕性を得ることができない。
トナーを二成分現像剤として用いる場合、現像工程においては、現像器内でトナーを、通常、鉄粉などのキャリアと混合し、摩擦による静電的な帯電を生じせしめている。このとき、脆いトナーは、長時間使用するとキャリアとの摩擦の際に、破壊し、微粉トナーが生成して、キャリア表面に付着しやすくなる。さらに、微粉トナーがキャリアに融着することにより、キャリアの帯電付与機能が低下することとなり、トナーの帯電量が低下する。その結果、帯電不良を起こしたトナーが飛散し、画像に地カブリを発生させるなどの問題がある。
しかしながら、結晶性樹脂と非結晶性樹脂との相溶化が進行することで、混合樹脂の可塑化が起こり、十分な耐熱保管性が得られないという問題がある。
前記結着樹脂が下記一般式(1)で表わされる構造単位を有する重合体を含有することを特徴とする。
本発明のトナーは、上記一般式(1)で表される構造単位(以下、「特定構造単位」ともいう。)を有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)を含有する結着樹脂を含むトナー粒子よりなるものである。当該トナー粒子は、所望に応じて、さらに、着色剤、磁性粉、離型剤、荷電制御剤などを含有するものとすることができる。また、当該トナー粒子に対して、流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加するものとすることもできる。
R1 、R2 およびR3 として選択され得るアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられる。
特に、低温定着性付与の観点から、R1 、R2 およびR3 のうち少なくとも1つが、アルコキシ基であって、その結合位置がパラ位であることが好ましい。
また、上記一般式(1)中、R4 は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基またはアルコキシ基を示す。
R4 として選択され得るハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。また、R4 として選択され得るアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの分岐があってもよいアルキル基のほか、シクロペンチル基やシクロヘキシル基などの環状アルキル基などが挙げられる。さらに、R4 として選択され得るアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられる。特に、R4 は、重合反応性の観点から、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
特定構造単位としては、特に上記式(1−1)で表わされるもの(後述するアネトール由来のもの)が好ましい。
特に、低温定着性付与の観点から、R1 、R2 およびR3 のうち少なくとも1つが、アルコキシ基であって、その結合位置が芳香環に結合する−CH=CHCH2 R4 基に対してパラ位であることが好ましい。また、R4 は、重合反応性の観点から、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
アネトールの抽出方法としては、主に精油を冷却することにより析出させる晶析法が知られている。また、特定単量体を人為的に合成する方法には、例えば米国特許出願公開第2012/0010298号に記載された方法で合成することが可能である。
特定単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
特定共重合体における特定構造単位の含有量が上記範囲内であることにより、低温定着性を十分に確保しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性が確実に得られる。
また、特定共重合体が、特定構造単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来の構造単位を有する場合においては、当該(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来の構造単位の含有量(共重合比率)は、10〜40質量%であることが好ましい。
さらに、特定共重合体が、特定構造単位およびスチレン系単量体に由来の構造単位を有する場合においては、当該スチレン系単量体に由来の構造単位の含有量(共重合比率)は、20〜40質量%であることが好ましい。
特定重合体のガラス転移温度が上記範囲内であることにより、低温定着性を十分に確保することができる。
具体的には、測定試料(特定重合体)4.5mgをアルミニウム製パン「KIT No.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットする。リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行う。ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度とする。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持する。
特定重合体の分子量が上記範囲内であることにより、熱物性のコントロールが容易となる。
ここに、ピーク分子量とは、分子量分布におけるピークトップの溶出時間に相当する分子量をいう。分子量分布におけるピークトップが複数存在する場合は、ピーク面積比率の一番大きなピークトップの溶出時間に相当する分子量をいう。
結着樹脂における特定重合体の含有量が上記範囲内であることにより、低温定着性を十分に確保しながらも、優れた耐熱保管性および耐破砕性が確実に得られる。
結着樹脂における特定構造単位の含有量の制御は、特定共重合体における特定構造単位の含有量(共重合比率)を調整すること、結着樹脂における特定重合体の含有量を調整することによって行うこと、およびこれらの組み合わせによって調整することによって行うことができる。
本発明に係るトナー粒子が着色剤を含有するものとして構成される場合において、着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどが挙げられ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
イエローのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などの染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などの顔料が挙げられる。
マゼンタのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122などの染料;C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などの顔料が挙げられる。
シアンのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などの染料;C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同60、同62、同66、同76などの顔料が挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明に係るトナー粒子が磁性粉を含有するものとして構成される場合において、磁性粉としては、例えばマグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライトなどを使用することができる。
また、本発明に係るトナー粒子が離型剤を含有するものとして構成される場合において、離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、パラフィン、合成エステルワックスなどが挙げられ、特に、低融点および低粘度であることから、合成エステルワックスを用いることが好ましく、合成エステルワックスとしてベヘン酸ベヘニル、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどを用いることが特に好ましい。
また、本発明に係るトナー粒子が荷電制御剤を含有するものとして構成される場合において、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ、無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
また、本発明において、トナーの軟化点は、以下のように測定されるものである。
まず、20℃、50%RHの環境下において、測定試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子の平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは6〜9μmとされる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
本発明のトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.950〜0.980であることが好ましい。
トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、測定試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出した値である。HPF検出数が上記の範囲であれば、再現性が得られる。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
これは、特定単量体をスチレン−アクリル共重合体樹脂などのスチレン系単量体の代替物と考えた場合に、特定構造単位を有する重合体では、特定構造単位の側鎖置換基による主鎖に由来の剛直性が発現され、さらに、スチレン−アクリル共重合体樹脂と同程度の低温定着性が得られる構成においても、全体の分子量を大きく保持することができるため、十分な低温定着性を確保しながらも、優れた耐熱保管性が得られ、また、優れた耐破砕性も得られるのでトナー飛散の発生が抑制されると推定される。
本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されず、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、特に、生産時のエネルギーコスト削減の観点から、水系媒体において特定単量体を用いて乳化重合またはミニエマルション重合を行うことにより、特定構造単位を有する重合体を含有する結着樹脂よりなる微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)を調製し、当該結着樹脂微粒子を必要に応じて他のトナー粒子構成成分の微粒子と共に凝集、融着する乳化重合凝集法を用いることが好ましい。また、特開2010−191043号公報に開示される懸濁重合法によってトナーを製造する方法も好ましく採用することができる。
(1A)水系媒体中において結着樹脂を形成すべき重合性単量体にラジカル重合開始剤を作用させることにより結着樹脂微粒子を得る結着樹脂微粒子重合工程、
(1B)必要に応じて、着色剤による微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)結着樹脂微粒子および着色剤微粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、塩析を進行させると同時に凝集・融着を行い、会合粒子を形成する会合工程、
(3)会合粒子の形状制御をすることによりトナーを形成する熟成工程、
(4)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程、
(5)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
(6)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
から構成される。
また、本発明に係るトナー粒子が荷電制御剤を含有するものとして構成される場合においては、トナー粒子中に荷電制御剤を含有させる方法としては、上記に示した離型剤を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
この結着樹脂微粒子重合工程は、具体的には、例えば、水系媒体中に特定単量体および必要に応じて他の所望の重合性単量体を添加し、機械的エネルギーを付与して分散させて油滴を形成させておき、この状態において特定単量体および他の重合性単量体をラジカル重合反応することにより、大きさが例えば体積基準のメジアン径で50〜300nm程度の結着樹脂微粒子を形成するものである。
結着樹脂微粒子重合工程においては、水系媒体中に微粒子を安定に分散させるために、適宜の分散安定剤を添加することができる。
分散安定剤としては、例えばリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどが挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウムなどの一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用することができる。
このような界面活性剤としては、従来公知の種々のイオン性界面活性剤やノニオン系界面活性剤などを用いることができる。
イオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルフォン酸ナトリウム、3,3−ジスルフォンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルフォン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルフォン酸ナトリウムなどのスルフォン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなどがあり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの硫酸エステル塩;脂肪酸塩などが挙げられる。
また、ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステルなどが挙げられる。
結着樹脂微粒子重合工程において特定単量体に係る重合に使用される重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスシアノ吉草酸などの水溶性重合開始剤や、過酸化水素−アスコルビン酸のような水溶性レドックス重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどの油溶性重合開始剤を用いることができる。
結着樹脂微粒子重合工程においては、特定重合体や結着樹脂全体の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、テトラクロロメタンなどを挙げることができる。
この着色剤微粒子分散液調製工程は、トナー粒子として着色剤を含有するものを所望する場合に必要に応じて行う工程であって、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤微粒子の分散液を調製する工程である。
着色剤微粒子は、分散した状態で体積基準のメジアン径が10〜300nmとされることが好ましく、さらに好ましくは100〜200nm、特に好ましくは100〜150nmである。
着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定されるものである。
会合工程において使用される凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のトナー粒子は、そのままで本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、当該トナーのキャリアに対する混合割合は、2〜10質量%であることが好ましい。
トナーとキャリアを混合する混合装置は、特に限定されるものではなく、ナウターミキサー、WコーンおよびV型混合機などが挙げられる。
キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコート型キャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コート型キャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
本発明のトナーは、圧力を付与すると共に加熱することができる熱圧力定着方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。特に、定着工程における定着温度が、定着ニップ部における加熱部材の表面温度において80〜110℃、好ましくは80〜95℃となる温度とされる比較的低温の定着温度において定着する画像形成方法に好適に使用することができる。
さらに、定着線速が200〜600mm/secである高速定着の画像形成方法にも好適に使用することができる。
この画像形成方法においては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を得、このトナー像を画像支持体に転写し、その後、画像支持体上に転写されたトナー像を熱圧力定着方式の定着処理によって定着させることにより、可視画像が形成された印画物が得られる。
本発明のトナーを用いた画像形成方法に使用される画像支持体としては、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
アルゴン置換したパイレックス(登録商標)管に、トリフルオロアリルほう酸カリウム148.0mg(1.0mmol)、4−ブロモアニソール46.8mg(0.25mmol)、K2 CO3 104.0mg(0.75mmol)、PdCl2 (dt bpf)5.0mg(0.0075mmol)を投入し、さらにイソプロパノール/水(2/1)溶液を2.5mL添加した後、ゴム栓で封入した。この容器に120℃、30分間の条件で超音波を照射した。
反応物に塩化アンモニウムとエチルエーテルを加え、エーテル相を分離し、得られた反応混合物を、ヘキサンを溶離液として薄層クロマトグラフィーにて精製後、エチルエーテルで洗浄、濾過、乾燥を行い、上記式(2−1)で表わされる特定単量体(以下、「特定単量体〔1〕」という。)を得た。
合成例1において、4−ブロモアニソールを3−ブロモアニソールに変更したことの他は同様にして、上記式(2−2)で表される特定単量体(以下、「特定単量体〔2〕」という。)を得た。
合成例1において、4−ブロモアニソールを2−ブロモアニソールに変更したことの他は同様にして、上記式(2−3)で表される特定単量体(以下、「特定単量体〔3〕」という。)を得た。
合成例1において、4−ブロモアニソール46.8mg(0.25mmol)を1−ブロモ−2,4,5−トリメトキシベンゼン61.8mg(0.25mmol)に変更したことの他は同様にして、上記式(2−4)で表される特定単量体(以下、「特定単量体〔4〕」という。)を得た。
合成例1において、4−ブロモアニソール46.8mg(0.25mmol)を5−ブロモ−1,3−ベンゾオキソール50.3mg(0.25mmol)に変更したことの他は同様にして、上記式(2−5)で表される特定単量体(以下、「特定単量体〔5〕」という。)を得た。
(1)樹脂微粒子分散液の調製
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃まで昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、特定単量体〔1〕624質量部、アクリル酸ブチル176質量部およびメタクリル酸68質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合を行い、樹脂微粒子分散液〔1a〕を調製した。
機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、特定単量体〔1〕147質量部、アクリル酸ブチル42質量部、メタクリル酸20質量部、n−オクチルメルカプタン0.5質量部および「WEP−5」(日本油脂社製)82質量部からなる単量体混合液を1時間混合分散処理することにより乳化粒子を含む乳化分散液〔1b〕を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1270質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃にした後、樹脂微粒子分散液〔1a〕を固形分換算で40質量部添加し、さらに、液温を80℃にした後。乳化分散液〔1b〕を添加した。これに、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱、撹拌することによって重合を行うことにより、重合体の分子量が47,000の樹脂微粒子分散液〔1〕を調製した。
n−ドデシル硫酸ナトリウム27質量部をイオン交換水500質量部に添加した溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック30質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。
樹脂微粒子分散液〔1〕1250質量部、イオン交換水2000質量部および着色剤微粒子分散液〔1〕165質量部を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌して会合用溶液を準備した。この会合用溶液の内温を30℃に調整した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調整し、次いで、塩化マグネシウム6水和物52.6質量部をイオン交換水72質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6分間かけて90℃まで昇温した(昇温速度=10℃/分)。
その状態で、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の平均粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.7μmになった時点で、塩化ナトリウム115質量部をイオン交換水700質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、液温度90℃±2℃にて6時間にわたって加熱、撹拌することにより融着を継続させた。この会合粒子の円形度を「FPIA−2100」(シスメックス社製)にて測定したところ、平均円形度は0.958であった。
次いで、6℃/分の条件で30℃まで冷却し、会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の熱風で乾燥することにより、トナー粒子〔1〕を得た。
トナー粒子〔1〕100質量部に対して、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより、黒色のトナー〔1〕を製造した。
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件下で行った。
トナーの製造例1において、(1)樹脂微粒子分散液の調製における特定単量体〔1〕およびアクリル酸ブチルの添加量を表1に示す量に変更したことの他は同様にしてトナー〔2〕〜〔3〕を製造した。
トナーの製造例1において、(1)樹脂微粒子分散液の調製における特定単量体〔1〕を特定単量体〔2〕に変更し、かつ、特定単量体〔2〕およびアクリル酸ブチルの添加量を表2に示す量を変更したことの他は同様にしてトナー〔4〕〜〔6〕を製造した。
トナーの製造例1において、(1)樹脂微粒子分散液の調製における特定単量体〔1〕を特定単量体〔3〕に変更し、かつ、特定単量体〔3〕およびアクリル酸ブチルの添加量を表3に示す量を変更したことの他は同様にしてトナー〔7〕〜〔9〕を製造した。
トナーの製造例1において、(1)樹脂微粒子分散液の調製における特定単量体〔1〕を特定単量体〔4〕に変更し、かつ、特定単量体〔4〕およびアクリル酸ブチルの添加量を表4に示す量を変更したことの他は同様にしてトナー〔10〕〜〔12〕を製造した。
トナーの製造例1において、(1)樹脂微粒子分散液の調製における特定単量体〔1〕を特定単量体〔5〕に変更し、かつ、特定単量体〔5〕およびアクリル酸ブチルの添加量を表5に示す量に変更したことの他は同様にしてトナー〔13〕〜〔15〕を製造した。
トナーの製造例1において、(1)樹脂微粒子分散液の調製における特定単量体〔1〕の一部をスチレンに変更し、かつ、特定単量体〔1〕、スチレンおよびアクリル酸ブチルの添加量を表6に示す量に変更したことの他は同様にしてトナー〔16〕〜〔19〕を製造した。
トナーの製造例1において、(1)樹脂微粒子分散液の調製における特定単量体〔1〕をスチレンに変更し、かつ、スチレンおよびアクリル酸ブチルの添加量を表7に示す量に変更したことの他は同様にしてトナー〔20〕〜〔22〕を製造した。
得られたトナー〔1〕〜〔22〕のガラス転移温度(Tg)を、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。
具体的には、測定試料(トナー)4.5mgをアルミニウム製パン「KIT No.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットする。リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持した。
トナー〔1〕〜〔22〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径が60μmのフェライトキャリアを、V字型混合機を用いて、トナー濃度が6質量%となるように混合し、現像剤〔1〕〜〔22〕を作製した。
(1)低温定着性の評価
市販の複写機「bizhub Pro C6500」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)において、定着装置における加熱ローラーの表面温度を120〜170℃の範囲で5℃刻みで変更することができるように改造し、常温常湿(温度20℃、湿度55%RH)環境下において、それぞれ現像剤〔1〕〜〔22〕によって、A4サイズの上質紙(64g/m2 )に1.5cm×1.5cmのベタ画像(トナー付着量2.0mg/cm2 )を定着させる定着実験を、設定される定着温度(加熱ローラーの表面温度)を120℃、125℃・・・と5℃刻みで上昇させるよう変更しながら繰り返し行った。
各定着実験において得られたベタ画像を真中から2つに折り曲げて、その画像の剥離性を目視にて観察し、全く画像の剥離のない定着実験のうち、最低の定着温度を定着下限温度とした。この定着下限温度が150℃未満である場合に実用上問題なく、合格であると判断される。結果を表8に示す。
トナー〔1〕〜〔22〕のそれぞれ10gをプロピレン製のカップの上に秤量し、温度50℃、湿度50%RHの環境下に15時間放置した後、下記評価基準に従ってブロッキング(凝集)状態を評価した。結果を表8に示す。
−評価基準−
A:カップを傾けるだけでトナーがさらさら流れる
B:カップをしばらく動かし続けるとトナーが徐々に崩れ、流れ出す(実用上問題なし)
C:凝集が発生しており、凝集体を先の尖ったもので突いても固化している(実用上問題あり)
市販の複写機「bizhub Pro C6500」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)に現像剤〔1〕〜〔22〕をそれぞれ搭載し、高温高湿(温度30℃、湿度80%RH)環境下において、白紙を50万枚印刷後、トナーの機内への飛散状況と印刷物の地カブリを目視にて観察し、下記評価基準に従って評価した。結果を表8に示す。
−評価基準−
A:機内がトナーによって汚れていない状態
B:わずかに機内へのトナー飛散が見られる状態(実用上問題なし)
C:トナー飛散が目立ち、印刷物の地カブリが高くなり始める状態(実用上問題あり)
D:トナー飛散が非常に多く、機内をメンテナンスする必要がある状態(実用上問題あり)
Claims (6)
- 少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が下記一般式(1)で表わされる構造単位を有する重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
〔一般式(1)中、R1 、R2 およびR3 は、各々独立に、水素原子、水酸基もしくはアルコキシ基、または、R1 、R2 およびR3 のうち隣り合う2つが結合して形成される−O(CH2 )i O−(iは1または2の整数を示す。)を示す。ただし、R1 、R2 およびR3 のうち少なくとも1つがアルコキシ基、または、隣り合う2つが結合して形成される−O(CH2 )i O−を示す。R4 は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基またはアルコキシ基を示す。〕 - 前記重合体が、前記一般式(1)で表わされる構造単位および(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来の構造単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記重合体が、前記一般式(1)で表わされる構造単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来の構造単位およびスチレン系単量体に由来の構造単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記一般式(1)で表わされる構造単位が、下記式(1−1)で表わされるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- ガラス転移温度が40〜80℃であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記重合体の分子量が1,500〜60,000であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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