JP2009271342A - 静電荷像現像用トナーとその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱保管性及び低温定着性を確保するとともに、紙を折っても定着画像が破断しない強度を有し、ドキュメント・オフセット性に優れたコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを提供する。また、その製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであって、当該樹脂が、特定一般式で表される化学構造を構成単位として有する共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、コア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーとその製造方法に関する。
近年、複写機やプリンタなどの電子写真方式による画像形成技術分野においても、デジタル技術が導入され、高画質化が進む中で、1200dpi(「dpi」とは、2.54cmあたりのドット数をいう。)レベルの微小なドット画像を、正確に画像再現する技術が必要になってきた。
この様な微小なドット画像を正確に再現する有力手段としてトナーの小粒径化が検討され、製造工程において物性を制御することが可能な、いわゆる重合トナーが注目されてきている。
又、近年の地球環境への配慮という観点から、画像形成装置の電力消費量を低減させる技術が検討され、この課題を解決する手段としても重合トナーが注目されている。その一例として、低融点のワックスを含有させた重合トナーにより、従来よりも低い温度で定着画像を形成することが可能な技術が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、低温定着が可能なトナーは熱的安定性に難点を有する傾向があり、保管時や輸送時にトナー同士がくっついてしまうブロック化などの現象を発生することがあった。又、安定した画像形成を行う上で、着色剤やワックスなどの成分がトナー表面に露出しないようにトナーを設計する必要もあった。この様なニーズから、着色剤、ワックスを低軟化点の樹脂中に含有したコア粒子表面にシェル用樹脂を被覆したいわゆるコア・シェル構造のトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、コア・シェル構造のトナーを作製する技術としては、改良技術が種々開発され、例えば、樹脂粒子と着色剤とを会合融着して作製したコア粒子の表面に樹脂粒子を融着させてシェルの膜厚を制御したコア・シェル構造を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、上記静電荷像現像用トナーを用いて低温定着した定着画像は、紙を折ると定着画像が破断したり、ドキュメント・オフセットが発生したりする問題があった。
特開2000−275908号公報 特開2002−116574号公報 特開2004−191618号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、耐熱保管性及び低温定着性を確保するとともに、紙を折っても定着画像が破断しない強度を有し、ドキュメント・オフセット性に優れたコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを提供することにある。また、その製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題は、下記の手段により解決される。
1.少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであって、当該樹脂が、下記一般式(A)〜(C)で表される化学構造を構成単位として有する共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
一般式(A):−(CCHCH
(但し、ベンゼン環上に置換基を有してもよい。pは、整数を表す。以下において、「−A−」と略す。)
一般式(B):−(CHCCH(COOR))
(但し、Rは、C1〜C4のアルキル基を表す。qは、整数を表す。以下において、「−B−」と略す。)
一般式(C):−(CHCR(COOR))
(但し、Rは、H又はCHを表す。Rは、C14〜C22のアルキル基又は環状アルキルを表す。rは、整数を表す。以下において、「−C−」と略す。)
2.前記共重合体が、構成単位として下記一般式(D)で表される化学構造をも有することを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
一般式(D):−(CHCR(COOH))
(但し、Rは、H又はCHを表す。sは、整数を表す。以下において、「−D−」と略す。)
3.前記静電荷像現像用トナー中における前記共重合体の含有量が、0.5〜20質量%であることを特徴とする前記1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
4.ガラス転移温度が、20〜45℃であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記共重合体を含有する樹脂が、当該コア・シェル構造を構成するコア粒子中に含有されることを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
6.前記共重合体を含有する樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜100,000であり、数平均分子量(Mn)が、5,000〜50,000で有り、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比:Mw/Mnが、2〜4であることを特徴とする前記1〜5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
7.前記1〜6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて、円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加して、シェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを製造することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の上記手段により、耐熱保管性及び低温定着性を確保するとともに、紙を折っても定着画像が破断しない強度を有し、ドキュメント・オフセット性に優れたコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを提供することができる。また、その製造方法を提供することができる。
以下、本発明の効果について、作用機構的観点から説明する。
低温定着性を有するトナーを得るには、トナーを構成する樹脂の熱溶融性を良くする、すなわち、樹脂の軟化点を下げる必要がある。
軟化点を下げた樹脂を用いて作製したトナーは、低温で定着しても紙に対する接着性は向上する。しかしながら、樹脂の軟化点を下げただけでは得られた定着画像の強度は十分ではなく、紙を折ることで折れ目部分のトナーが剥がれる問題が生ずる。或いは、高温環境下で紙を積み上げるなどした場合にトナー画像に接触する紙にトナーが移行してしまいトナー画像が剥がれる、という問題が生ずる。
これは、トナーを形成する樹脂の軟化点が下がると同時にガラス転移温度が下がっていることから、定着画像が熱的にも、或いは外部からの衝撃に対しても弱くなっていると考えられる。
本発明では、前記共重合体を用いることで、低温定着性を確保するとともに、定着画像の強度を確保することができる。
定着画像の強度を確保できた機構(メカニズム)は明確ではないが、トナーを構成する樹脂中に一般式(C)で表される化学構造のようなアクリル樹脂エステルに由来する分子構造内に長鎖のアルキル基や環状構造が存在することで、その部分が外部からの衝撃を吸収し、緩和する効果が働いているのではないかと推測している。また、一般式(C)で表される化学構造のみではガラス転移温度が低く樹脂としての強度が低下するため、いわゆる剛直なスチレン構造である一般式(A)で表される化学構造も有するが、(−A−)と(−C−)の相溶性が劣るため、その中間の極性を有する一般式(B)で表される化学構造を導入することで、三者の分子間相溶性を向上させ、樹脂全体としての強度(ガラス転移温度向上)と定着画像の強度の両立を達成できたものと考えられる。
特に、上記化学構造を有する共重合体は、いわゆる樹脂の架橋剤の効果とは異なり、低温定着性を保持しつつ樹脂強度を向上させることが可能となる。尚、架橋剤では、低温定着性の悪化は避けられない。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであって、当該樹脂が、前記一般式(A)〜(C)で表される化学構造を構成単位として有する共重合体を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1〜7に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記共重合体が、構成単位として前記一般式(D)で表される化学構造をも有する態様であることも好ましい。
また、本発明においては、静電荷像現像用トナー中における当該共重合体の含有量が、0.5〜20質量%であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーのガラス転移温度は、20〜45℃であるように調整することが好ましい。このため、当該共重合体を含有する樹脂が、コア・シェル構造を構成するコア粒子中に含有されることが好ましい。また、当該共重合体を含有する樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜100,000であり、数平均分子量(Mn)が、5,000〜50,000で有り、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比:Mw/Mnが、2〜4である態様であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法としては、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて、円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加して、シェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを製造する態様の製造方法であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
(本発明の静電荷像現像用トナーの構成と構造の概要)
本発明の静電荷像現像用トナーは、上記特定構造の共重合体を含有するコアとシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであることを特徴とするが、当該条件を満たす限りにおいて、種々の成分を含有する構成及び構造を採り得る。
好ましい態様としては、結着樹脂、着色剤、ワックス等を含有する構成態様である。但し、これらの態様に限定されるものではない。
以下、典型的なコア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーの各構成要素等について詳細な説明をする。
(結着樹脂)
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであって、当該樹脂が、下記一般式(A)〜(C)で表される化学構造を構成単位として有する共重合体を含有することを特徴とする。コア粒子(コア部)を形成する樹脂を構成する単量体としては、共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き下げる重合性単量体であることが好ましいからである。
一般式(A):−(CCHCH
(但し、ベンゼン環上に置換基を有してもよい。pは、整数を表す。以下において、「−A−」と略す。)
一般式(B):−(CHCCH(COOR))
(但し、Rは、C1〜C4のアルキル基を表す。qは、整数を表す。以下において、「−B−」と略す。)
一般式(C):−(CHCR(COOR))
(但し、Rは、H又はCHを表す。Rは、C14〜C22のアルキル基又は環状アルキルを表す。rは、整数を表す。以下において、「−C−」と略す。)
一般式(A)で表される化学構造を構成する重合性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等を挙げることができる。
一般式(B)で表される化学構造を構成する重合性単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。
一般式(C)で表される化学構造を構成する重合性単量体としては、例えば、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等を挙げられる。
また、本発明においては、当該共重合体が、構成単位として下記一般式(D)で表される化学構造をも有する態様であることも好ましい。
一般式(D):−(CHCR(COOH))
(但し、Rは、H又はCHを表す。sは、整数を表す。以下において、「−D−」と略す。)
一般式(D)で表される化学構造を構成する重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
なお、上記の一般式(A)〜(D)におけるp、q、r、及びsは、任意に選べる整数であり、相互に同じであっても、異なっていてもよい。これらの整数は、100〜1000の範囲の整数であることが好ましい。
本発明においては、当該共重合体におけるA、B、C及びDの配置は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の態様を採ることができる。
本発明では、当該共重合体を用いることで、低温定着性を確保するとともに、定着画像の強度を確保することができる。
本発明においては、静電荷像現像用トナー中における当該共重合体の含有量が、0.5〜20質量%であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーのガラス転移温度は、20〜45℃であるように調整することが好ましい。このため、当該共重合体を含有する樹脂が、コア・シェル構造を構成するコア粒子中に含有されることが好ましい。また、当該共重合体を含有する樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜100,000であり、数平均分子量(Mn)が、5,000〜50,000で有り、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比:Mw/Mnが、2〜4である態様であることが好ましい。
本発明に係るシェルを形成する樹脂を構成する単量体としては、共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き上げる重合性単量体が好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーのシェルの形成に用いることができる樹脂としては、下記のような重合性単量体を重合して得られた重合体を用いることができる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体を挙げることができる。
また、重合性単量体として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体を挙げることができる。
更に重合性単量体として、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体を挙げることができる。
これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが、さらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
本発明の静電荷像現像用トナーでは、側鎖に少なくとも2つ以上のカルボン酸成分(カルボキシル基)を含有する重合性単量体である、多価カルボン酸成分を有するラジカル重合性単量体を重合して形成されるビニル系重合体等の重合体をコアを形成する樹脂の一部として含有させることも好ましい。
なお、コアを形成する重合性単量体組成物における多価カルボン酸成分を有するラジカル重合性単量体の含有割合は、3〜20質量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜10質量%である。
(着色剤)
本発明の静電荷像現像用トナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いることができる。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
着色剤の添加方法としては、樹脂微粒子を凝集剤の添加にて凝集させる段階で添加し重合体を着色する。なお、着色剤は表面をカップリング剤等で処理して使用することができる。
(ワックス(離型剤))
本発の静電荷像現像用トナーに使用可能なワックスとしては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保管性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
(荷電制御剤)
本発明の静電荷像現像用トナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
(外添剤)
本発明の静電荷像現像用トナーには、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤(「外部添加剤」ともいう。)を添加してもよい。
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
また、外添剤として、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することもできる。このような有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
上記トナーの製造方法で使用可能な重合開始剤、連鎖移動剤、分散安定剤、界面活性剤、及び凝集剤について説明する。
(ラジカル重合開始剤)
本発明の静電荷像現像用トナーを構成するコアやシェルを構成する樹脂は、前述の重合性単量体を重合して生成されるが、本発明に使用可能なラジカル重合開始剤には以下のものがある。具体的には、油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げられる。
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
(連鎖移動剤)
複合樹脂粒子を構成する樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(分散安定剤)
本発明においては、反応系中に重合性単量体等を適度に分散させておくために分散安定剤を使用することも可能である。分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
(界面活性剤)
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
(凝集剤)
凝集・融着工程においては凝集剤が使用され、この凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
(コア・シェル構造)
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、コア・シェル構造のシェルを薄く、かつ、均一に形成することにより、低温定着性と耐熱保管性を両立し、さらに、安定した帯電性を有するトナーとすることを要する。
このため、本発明のコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーは、当該シェルの8点平均膜厚が100〜300nmであり、かつ当該シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとしたときに、両者の比:Hmax/Hminが1.50未満であり、かつ当該コア部のガラス転移温度をTg1、当該シェル部のガラス転移温度をTg2としたとき、30℃≦Tg1≦40℃、45℃≦Tg2≦55℃であり、かつ耐熱指数が20%以下であるように調整することが好ましい。
本発明の実施態様としては、前記コアを構成する樹脂の溶解度パラメーターをSP1、前記シェルを構成する樹脂の溶解度パラメーターをSP2としたときに、SP1とSP2の差が0.2〜1.0である態様とすることが好ましい。
更に、前記コアを構成する樹脂のガラス転移温度をTg1、前記シェルを構成する樹脂のガラス転移温度をTg2としたときに、Tg2−Tg1≧10℃であるように調製することが好ましい。
なお、後述するように、コア粒子の円形度を0.900以上になるように調製することが好ましい。
以下、シェルの形成方法について詳細な説明をする。
〔均一なシェルの形成方法〕
均一なシェルを形成する具体的な方法、すなわち、シェルの形成を制御する因子としては、以下のものが挙げられる。これらの因子については後で詳細に説明する。すなわち、
(1)コア及びシェルを構成する樹脂のガラス転移温度と溶解度パラメーター
(2)コア粒子の円形度
このうち、コア及びシェルを構成する樹脂のガラス転移温度と溶解度パラメーターについては、本発明のトナーでは、コアとシェルがお互いに相溶しにくい構造を形成することが好ましい。すなわち、コア領域を形成する樹脂とシェル領域を形成する樹脂を選択することにより、コア領域とシェル領域とが相分離した構造を有するトナーが得られ、シェルの膜厚が薄くてもコア領域がトナー表面に露出することのない耐熱保管性に優れたトナーの作製が可能になる。
また、コア粒子の円形度については、例えば、コア粒子が高円形度を有するものであれば、比表面積が小さく、かつ、表面性が均一になるので、シェルを構成する樹脂微粒子をコア表面に均一に付着させ易くなり、均一な厚みを有するトナーを作製し易くなる。
シェルの平均膜厚は、低ガラス転移温度(Tg)という特性を持ったコア粒子の耐熱依存性と低温定着性の両面の観点より、100〜300nmとすることを要する。また、平均膜厚100〜300nmという薄膜なシェルを有するトナーにおいて、シェルの最大膜厚Hmaxと最小膜厚Hminの比(Hmax/Hmin)が、1.50未満にすることが、帯電安定性の観点から、必要である。
〔シェルの8点平均膜厚の測定方法〕
コア・シェル構造のトナーにおけるシェルの膜厚は、トナーの断面層を透過型電子顕微鏡により撮影した写真より計測されるものである。透過型電子顕微鏡としては、通常当業者の間でよく知られた機種で十分観察され、例えば、LEM−2000型(トプコン社製)、JEM−2000FX(日本電子社製)等が用いられる。
具体的には、まずトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形する。必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。
次に、上記写真において、着色剤やワックス等の存在領域を目視観察により確認しつつ、コア粒子とシェルとの界面となる境界線を明らかにする。
次に、図1に示す如く、トナー粒子の重心Cから45°間隔で表面に向かって直線を引き、各直線がコア粒子表面と交わる点をA、シェル表面と交わる点をBとし、AB間の距離(即ち、シェルの厚さ)を8点測定し、その8点の平均値をトナー粒子1個のシェルの膜厚とする。
また、トナー粒子1個中の最大シェル膜厚(Hmax)と、最小シェル膜厚(Hmin)を抽出し、Hmax/Hminを算出する。
なお、本願において、「Hmax/Hmin」とは、トナー粒子100個におけるHmax/Hminの平均値である。「8点平均膜厚」とは、トナー粒子100個について8点平均膜厚の平均値として示されるものである。
なお、シェルの最小厚さが限りなく0に近い場合には、その膜厚を10nmとして測定することにする。
また、トナー粒子100個において80個数%以上のトナー粒子の(Hmax/Hmin)が1.50未満であることを要する。好ましくは、1.05〜1.50であり、より好ましくは1.05〜1.40である。
〔均一な膜厚のシェルを形成する方法〕
前記した如く、低Tgコアに対し均一なシェルを形成するためには以下の3手段が挙げられる。以下、コアを構成する樹脂を単にコアという如く「を構成する樹脂」を略す。
(1)コアとシェルのTg差およびSP値差を広げる。
コアのガラス転移温度をTg1、シェルのガラス転移温度をTg2とするとき、Tg2−Tg1≧10℃の範囲とすることが好ましい、さらに好ましくは、Tg2−Tg1≧20℃であるのがよい。
また、コアの溶解性パラメーターの値をSP1、シェルの溶解性パラメーターの値をSP2とするとき、SP1とSP2との差(ΔSP)が0.2〜1.0が好ましい、さらに好ましくは0.25〜0.95がよい。
(2)コア粒子の円形性を高めた後シェル化する。
コア粒子の円形度を0.900以上に高めた後シェル化を開始する。
以下、上記(1)及び(2)についてより詳しく説明する。
〔ガラス転移温度Tg〕
本発明のトナーにおいて、コア部を形成する樹脂のガラス転移温度をTg1、シェルを形成する樹脂のガラス転移温度をTg2としたとき、30℃≦Tg1≦40℃、45℃≦Tg2≦55℃である態様が好ましい。より好ましくは、32℃≦Tg1≦37℃、47℃≦Tg2≦52℃である。
また、Tg2−Tg1≧10℃であることが好ましい。より好ましくは、25℃≧Tg2−Tg1≧10℃である。
コア部を形成する樹脂及びシェルを形成する樹脂のガラス転移温度は、共重合体を形成する重合性単量体の種類、量及び分子量を適宜選択することにより、コントロールすることが可能である。ガラス転移温度を調整する方法は、例えばシェルを構成する樹脂とコア部を構成する樹脂の重合単量体の種類を後述する化合物から選定し、両者のガラス転移温度を上記の範囲になるように比率と分子量を調整することで可能となる。但し、例示化合物は、達成手段を明らかに示すものであって、これらに限定されるものではない。
ガラス転移温度の算出方法として、本発明では以下のような理論ガラス転移温度を算出してもよい。ここで理論ガラス転移温度とは、共重合体樹脂を構成するそれぞれの成分が、ホモポリマーを形成した場合のガラス転移温度にそれぞれの組成質量分率を乗じ、即ち加重平均して算出したものである。即ち、理論ガラス転移温度Tg(絶対温度Tg’とする)は共重合体樹脂を構成する成分のホモポリマーのガラス転移温度を用いて下記式(1)から算出される。
式(1):1/Tg’=W1/T1+W2/T2+・・・+Wn/Tn
(式中、W1、W2、・・・Wnは共重合体樹脂を構成する全重合性単量体に対する各重合性単量体の質量分率、T1、T2、・・・Tnは各重合性単量体を用いて形成されるホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)を示す。)
ガラス転移温度は、DSC−7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)を用いて測定することが出来る。
測定手順として、トナー4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。
リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
〔溶解性パラメーター値〕
本発明では、トナー中のシェルを形成する樹脂は、コア部の樹脂と相溶せず、しかも、シェルを形成する樹脂はコア部と十分な接着性を有していることが好ましい。
シェルを形成する樹脂がコア部との間で非相溶性を発現させるには、シェルを形成する樹脂の溶解性パラメーター値(以下、「SP値」という。)とコア部を形成する樹脂の溶解度パラメーターの値の差を適切な範囲にすることで実現される。
溶解度パラメーター値(SP値)は物質の凝集エネルギーの大きさを表す数値で、Ferorsによって提案された方法「Polym.Eng.Sci.,Vol14,P147(1974)」にしたがって、原子または原子団の蒸発エネルギー及びモル体積をそれぞれΔer、Δviとすると、結着樹脂の溶解度パラメーターσは、下記式(2)により算出される。
式(2):σ=(ΣΔer/ΣΔvi)1/2
また、各ビニル系共重合体の溶解度パラメーター値は、各成分の溶解度パラメーター値とモル比の積により算出されるものである。例えば、共重合体樹脂をX,Yの2種類の単量体より構成されるものと仮定したとき、各単量体の質量組成比をx,y(質量%)、分子量をMx、My、溶解度パラメーター値をSPx、SPyとすると、各単量体比はX/Mx(モル%)、y/My(モル%)となる。ここで、共重合体樹脂のモル比をCとすると、C=x/Mx+y/Myと表され、この共重合体樹脂の溶解度パラメーター値SPは下記式(3)のようになる。
式(3):SP=〔(x×SPx/Mx)+(y×Spy/My)〕×1/C
尚、溶解度パラメーター値は、ビニル系共重合体を構成する単量体の組成比を変えることにより制御することが可能であり、例えばスチレンとメタクリル酸メチルを用いて形成された共重合体樹脂では、スチレンの組成比を減少させ、メタクリル酸メチルの組成比を増大させることにより溶解度パラメーターの値が低下する傾向を有していることが確認されている。
又、高分子材料の溶解度パラメータ−の概要については、独立行政法人「物質・材料研究機構」提供のデーターベースPolyInfo(http://polymer.nims.go.jp)に記載の溶解度パラメーターの項目(http://polymer.nims.go.jp/guide/guide/p5110.html)を参照するとよい。
本発明では、コア部と前記シェルに含有される樹脂の溶解度パラメーター値は、シェルとコア部との差が、0.1以上であるときに安定した非相溶性が発現され、好ましくは、0.2〜0.8の範囲にすることがより良い。
〔トナー用コア粒子の円形度の測定方法〕
円形度は、「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定した値である。具体的には、コア粒子を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散を1分行い分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式にて定義された値である。
円形度=(粒子投影像と同じ面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
又、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、全粒子数でわり算して算出した値である。
コア粒子形成後の円形度は、高いほど好ましく、0.900以上がよい。円形度を0.900以上にするとそれ未満のものより、シェル膜厚の均一性が高いものを造り易くなる。しかし、円形度を極めて高くすると工業生産性等は低下するので、他の条件を勘案すれば、コア粒子形成後の円形度が0.900〜0.930の範囲がより好ましい。
本発明は、シェルの厚さによって生じる離型剤の溶出性の違いをなくすというものであるが、円形度を0.900〜0.930の範囲とすることにより、従来よりも低い温度で定着を行ったときでも耐オフセット性がよく、巻き付きの発生を回避することが可能である。さらに、コア中の離型剤をムラなく溶出させることができるので、安定した定着処理を実現させている。
〔軟化点Tsp〕
本発明のトナーの軟化点の測定方法について説明する。
温度:20±1℃、相対湿度:50±5%RH環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れて平らにならし、12時間以上放置した後、成型器SSP−A(島津製作所製)にて3.75×10Pa(3820kg/cm)の力で30秒間加圧し、直径1cmの円中型の成型サンプルを作製する。
温度:24±5℃、相対湿度:50±20%RH環境下において、フローテスタCFT−500D(島津製作所製)により、上記成型サンプルを荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの孔に(1mm×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、トナーの軟化点とした。
〔耐熱指数〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、耐熱指数が20%以下であることを特徴とする。
本願において、「耐熱指数」とは、トナー100gを、温度:55℃、相対湿度90%RHの条件下に24時間放置した後、目開き45μmのフルイで篩い、フルイ上に残った凝集物の量(割合:質量%)をいう。従って、耐熱指数が低いほど、すなわち、凝集物が少ないほど、耐熱保管性が良好となる。当該耐熱指数の調整は、上記のようにシェルの厚さ及び均一性を制御することにより行う。
〔静電荷像現像用トナーの製造方法〕
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法としては、種々の態様の製造方法を採ることができるが、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて、円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加して、シェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを製造する態様の方法が好ましい。
次に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、たとえば、以下のような工程を経て作製されるものである。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)樹脂微粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を凝集、融着させてコア粒子(会合粒子)を得る凝集・融着工程
(4)会合粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する第1の熟成工程
(5)コア粒子分散液中に、シェル用の樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル用粒子を凝集、融着させてコア・シェル構造の着色粒子を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の着色粒子を熱エネルギーにより熟成して、コア・シェル構造の着色粒子の形状を調整する第2の熟成工程
(7)冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、当該着色粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾工程
また、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する工程
を有する場合もある。上記工程については、後で詳述する。
本発明のトナーを製造する場合、先ず、樹脂粒子と着色剤粒子とを会合融着させてコアとなる粒子(以下「コア粒子」という。)を作製する。次に、コア粒子分散液中に樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にこの樹脂粒子を凝集、融着させることによりコア粒子表面を被覆してコア・シェル構造を有する着色粒子を作製する。このように、本発明のトナーは、各種製法で作製されたコア粒子の分散液中に、樹脂粒子を添加してコア粒子に融着させてコア・シェル構造のトナーを作製するものである。
本発明のトナーは前述してきたようにシェルの厚さが極めて薄くかつ膜厚が一定していることが好ましく、シェル形成後は粒径の一定した小粒径で形状の揃ったトナーが好ましい。このような構造と形状を有するトナーを作製するためには、コア粒子は極めて粒径の揃った、均一な形状にしておき、そこにシェル用の樹脂粒子を添加してシェル化を行うことになる。そして、シェル化を行う時に最終的にトナーの形状制御を行って適切な形状を付与させるものであるが、それには粒径が揃った均一な形状を有するコア粒子を作製するのが最も重要である。この様なコア粒子であれば、その表面にシェルを形成する樹脂微粒子が均一に付着し、結果として極めて均一な膜厚を有するトナー粒子を作製することができる。
本発明に係る静電荷像現像用トナーを構成するコア粒子は、樹脂微粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させる製法により作製される。コア粒子の形状は、たとえば、凝集・融着工程の加熱温度、第1の熟成工程の加熱温度と時間を制御することにより制御される。
この中で、第1の熟成工程における時間制御が最も効果的である。熟成工程は、会合粒子の円形度を調整することを目的としていることから、この時間を制御することにより、目的の円形度に到達する。
本発明のトナーを構成するコア部は、例えば、樹脂を形成する重合性単量体に離型剤成分を溶解或いは分散させた後、水系媒体中に機械的に微粒分散させ、ミニエマルジョン重合法により重合性単量体を重合させる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを後述する塩析/融着させる方法が好ましく用いられる。重合性単量体中に離型剤成分を溶かすときは、離型剤成分を溶解させて溶かしても溶融して溶かしてもよい。
以下、本発明に係わるトナーの各製造工程について説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程では、ラジカル重合性単量体に離型剤化合物を溶解させて、離型剤化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスを溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。このような重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この重合工程により、ワックスと結着樹脂とを含有する樹脂微粒子が得られる。かかる樹脂微粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂微粒子を使用する場合には、後述する凝集・融着工程において、樹脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることで着色粒子とすることができる。
(3)凝集・融着工程
前記融着工程における凝集、融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂微粒子(着色又は非着色の樹脂微粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、樹脂微粒子や着色剤微粒子とともに、離型剤微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
なお、ここでいう「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集、融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
また、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
(4)第1の熟成工程
そして、本発明では、凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間の制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成したコア粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものになるように制御する。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
(5)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集、融着させ、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
具体的には、コア粒子分散液は上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程での温度を維持した状態でシェル用樹脂粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させて着色粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1時間〜7時間が好ましく、3時間〜5時間が特に好ましい。
(6)第2の熟成工程
シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが100〜300nmのシェルを形成する。このようにして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃った着色粒子が形成される。
本発明では、第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定することで着色粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
(7)冷却工程・固液分離・洗浄工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(9)外添処理工程
この工程は、乾燥された着色粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
複合樹脂粒子の質量平均粒径(分散粒子径)は、10〜1000nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは30〜300nmの範囲とされる。
この質量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定された値である。
《現像剤》
本発明の静電荷像現像用トナーは、一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1μm〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、何れも使用することができる。
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの体積基準平均粒径は、25〜60μmが好ましく、25〜40μmがより好ましい。
キャリアの体積基準平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、スチレン−アクリル樹脂でコートしたコートキャリアが外部添加剤の離脱防止や耐久性を確保できより好ましい。
〔画像形成方法及び画像形成装置〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、低温定着に適した接触加熱定着装置を備えた画像形成装置に装填して画像形成する方法に用いることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよいが、二成分現像剤として特に好ましく用いられる。
本発明のトナーは、たとえば、プリント速度が400mm/sec(A4用紙に換算して85枚/分の出力性能)レベルの高速の画像形成装置に使用される。具体的には、短時間で大量の文書をオンデマンドに作成ことが可能なプリンタなどが挙げられる。また、本発明では、定着ローラの温度を150℃以下、好ましくは130℃以下の温度にする画像形成方法に適用することも可能である。
これは、本発明のトナーがその表面を覆うシェルがうすいものでありながら十分な耐久性を有していることと、シェルがうすい分短時間で定着が行えるようになっていることによるとおもわれる。
図2は、本発明のトナーを使用することが可能な画像形成装置の一例で、その断面図を示すものである。
図2の画像形成装置は、転写工程後に感光体上に残存したトナーをクリーニング手段により回収し、回収したトナーを現像装置に再度供給してリサイクル使用するトナーリサイクル手段に相当する回収トナー搬送路を有する画像形成装置である。
図2中、10は静電潜像担持体である感光体ドラムで、例えば、有機感光体(OPC感光体)を導電性のドラム上に塗布したもので接地されて時計方向に駆動回転する。11はコロナ放電によって感光体ドラム10周面に負の一様な帯電を行いVHの電位を与えるスコロトロン帯電器である。スコロトロン帯電器11による帯電を行う前に、前プリントまでの感光体の履歴を除去するために感光体周面を除電する必要があり、帯電前露光手段に該当するPCL11Aで感光体周面を露光、除電する。
スコロトロン帯電器11による感光体ドラム10への一様帯電ののち、像露光手段に該当するレーザ書込み装置12により画像信号に基づいた像露光が行われる。この像露光はコンピュータ、または画像読取り装置から入力される画像信号を画像信号処理部によって処理を行ったのちレーザ書込み装置12に入力して像露光を行い、感光体ドラム10上に静電潜像を形成する。
レーザ書込み装置12は、図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転多面鏡12a、fθレンズ12b等を経て複数の反射鏡12dにより主走査を行うもので、感光体ドラム10の回転により副走査が行われて静電潜像が形成される。本実施例では、画像部に対して上記画像信号に基づいて露光を行い、露光部が電位の絶対値が低いVLになる反転潜像を形成する。
感光体ドラム10周縁には、負に帯電した導電性の本発明のトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を内蔵した現像手段に該当する現像装置14が設けられる。現像装置14では、内蔵された磁石体により現像剤が保持され、回転する現像スリーブにより反転現像が行われ、感光体ドラム10上にトナー画像が形成される。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー画像は、転写手段に該当する転写ローラ16aにより、転写材P上に転写される。
次いで、トナー画像が転写された転写材Pは、わずかの間隙をもって配置された尖頭電極16cにより除電され、感光体ドラム10周面より分離して、定着手段に該当する定着装置17に搬送される。定着装置17では、加熱ローラ17aと加圧ローラ17bの加熱・加圧によりトナー像が溶融して転写材P上に固定された後、排出ローラによりトレイ部54に排出される。
なお、転写ローラ16aは転写材Pの通過後より次のトナー像転写時までの間、感光体ドラム10周面より退避離間している。
一方、転写材Pにトナー像を転写した感光体ドラム10は、交流コロナ放電器を用いた除電器19により除電を受けたのち、感光体クリーニング手段に該当するクリーニング装置20で残留トナーの除去が行われる。すなわち、感光体ドラム10に当接したゴム材からなるクリーニングブレード20aにより、周面上の残留トナーはクリーニング装置20内に掻き落とされ、掻き落とされた回収トナーはスクリュー等を内蔵した回収トナー搬送路21により現像装置14に送られる。
クリーニング装置20により残留トナーが除去された感光体ドラム10は、PCL11Aで露光を受けたのち帯電器11により一様帯電を受け、次の画像形成サイクルに入る。
図3は、図2の画像形成装置に使用可能な定着装置17の一例を示す断面図であり、加熱ローラ17aとこれに当接する加圧ローラ17bとを備えている。なお、図3において、Tは転写紙(画像形成支持体)P上に形成されたトナー像である。
加熱ローラ17aは、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層171が芯金172の表面に形成され、線状ヒーターよりなる加熱部材173を内包している。
芯金172は、金属から構成され、その内径は10mm〜70mmとされる。芯金172を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
芯金172の肉厚は0.1mm〜15mmとされ、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層171を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などが挙げられる。
フッ素樹脂からなる被覆層171の厚さは10μm〜500μmとされ、好ましくは20μm〜400μmである。また、被覆層171を構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムなどが挙げられる。被覆層171を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。また、弾性体からなる被覆層171の厚さは0.1mm〜30mmとされ、好ましくは0.1mm〜20mmとされる。
加熱部材173は、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラ17bは、弾性体からなる被覆層174が芯金175の表面に形成されてなる。被覆層174を構成する弾性体は特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムおよびスポンジゴムを挙げられ、被覆層174を構成するものとして例示したシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。被覆層174を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは70°未満、更に好ましくは60°未満とされる。また、被覆層220の厚さは0.1mm〜30mmとされ、好ましくは0.1〜20mmとされる。
芯金175を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
加熱ローラ17aと加圧ローラ17bとの当接荷重(総荷重)は、通常40N〜350Nとされ、好ましくは50N〜300N、さらに好ましくは50N〜250Nである。この当接荷重は、加熱ローラ17aの強度(芯金110の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラにあっては、250N以下とすることが好ましい。
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅としては4mm〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×10Pa〜1.5×10Paであることが好ましい。
なお、本発明に係る画像形成装置は、加熱ロール方式の定着装置の代わりに誘導加熱方式の定着装置を使用することも可能である。
本発明に使用される転写材Pは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材或いは転写紙と通常よばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
《コア粒子用樹脂微粒子の作製》
以下のようにしてコア粒子用樹脂微粒子を作製した。
〈コア粒子用樹脂微粒子1の作製〉
樹脂微粒子分散液(A1)の調製
(1)第1段重合
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、予めアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
スチレン 44質量部
メタクリル酸メチル 503質量部
ミリスチルアクリレート 284質量部
メタクリル酸 44質量部
n−オクチルメルカプタン 19質量部
からなる単量体溶液(1)を3時間かけて滴下し、滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・攪拌することにより、重合(第1段重合)を行って樹脂微粒子の分散液(樹脂微粒子分散液(a1))を作製した。
(2)第2段重合:中間層の形成
攪拌装置を取り付けた容器内において、
スチレン 107質量部
n−ブチルアクリレート 50質量部
メタクリル酸 8質量部
n−オクチルメルカプタン 4質量部
からなる単量体組成物に、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液(2)を調製した。
一方、アニオン系界面活性剤(ポリオキシ(2)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に樹脂微粒子分散液(a1)を、樹脂微粒子の固形分換算で245質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記単量体溶液(2)を4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。この分散液に重合開始剤(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・攪拌することにより、重合(第2段重合)を行って樹脂微粒子の分散液(樹脂微粒子分散液(a11))を作製した。
(3)第3段重合:外層の形成
上記の樹脂微粒子分散液(a11)に、重合開始剤(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
スチレン 238質量部
n−ブチルアクリレート 92質量部
n−オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなる単量体溶液(3)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、多層構造を有する複合樹脂微粒子による「コア粒子用樹脂微粒子(1)」の分散液を作製した。このコア粒子用樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)は35.0℃、Mw:60,000、Mn:30,000、Mw/Mn:2.00であった。
〈コア粒子用樹脂微粒子(2)〜(11)の作製〉
コア粒子用樹脂微粒子(1)の作製で用いた第1段重合のミリスチルアクリレート(重合性単量体)と、コア粒子用樹脂中の重合性単量体の組成比を表2に記載のように変更した以外は同様にして「コア粒子用樹脂微粒子(2)〜(12)」を作製した。
〈コア粒子用樹脂微粒子(13)の作製〉
コア粒子用樹脂微粒子(1)の作製で用いた第1段重合のミリスチルアクリレート(重合性単量体)と、コア粒子用樹脂中の重合性単量体の組成比を表2に記載のように変更、第2段重合のスチレンを108質量部から89質量部へ、n−ブチルアクリレートを50質量部から68質量部へ、第3段重合のスチレンを238質量部から198質量部へ、n−ブチルアクリレートを92質量部から132質量部へ変更した以外は同様にして「コア粒子用樹脂微粒子(13)」を作製した。
〈コア粒子用樹脂微粒子(14)の作製〉
コア粒子用樹脂微粒子(1)の作製で用いた第1段重合のミリスチルアクリレート(重合性単量体)と、コア粒子用樹脂中の重合性単量体の組成比を表2に記載のように変更、第2段重合のスチレンを108質量部から122質量部へ、n−ブチルアクリレートを50質量部から35質量部へ、第3段重合のスチレンを238質量部から267質量部へ、n−ブチルアクリレートを92質量部から63質量部へ変更した以外は同様にして「コア粒子用樹脂微粒子(14)」を作製した。
表2に、コア粒子用樹脂微粒子(1)〜(14)の作製に用いた重合性単量体、コア粒子用樹脂微粒子中の重合性単量体の組成比、ガラス転移温度(Tg)を示す。
尚、Tgは前述した方法で求めた値である。
Figure 2009271342
Figure 2009271342
《シェル用樹脂微粒子(1)の作製》
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、予めアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
スチレン 576質量部
ブチルアクリレート 168質量部
メタクリル酸 56質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
からなる単量体溶液を3時間かけて滴下し、滴下終了後、78℃において1時間わたって加熱・攪拌することによって、重合を行って「シェル用樹脂微粒子(1)」の分散液を作製した。このシェル用樹脂粒子(1)のガラス転移温度(Tg)は53.0℃であった。
《着色剤粒子分散液(1)の調製》
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に攪拌溶解させた溶液に、攪拌下、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで攪拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、「着色剤粒子分散液(1)」を調製した。この着色剤粒子分散液(1)中の着色剤の粒径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定した結果、質量平均径で110nmであった。
《トナー1の作製》
(コア粒子の形成(凝集・融着工程))
420.7質量部(固形分換算)の「コア粒子用樹脂微粒子(1)」の分散液と、イオン交換水900質量部と、「着色剤粒子分散液(1)」200質量部を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器に入れて攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)にてコア粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱攪拌することにより融着を継続させ、「コア粒子1」を形成した。
「コア粒子1」の円形度を「FPIA2000」(システックス社製)にて測定したところ0.912であった。
(シェルの形成(シェル化工程))
次いで、65℃において96質量部(固形分換算)の「シェル用樹脂微粒子(1)」を添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり攪拌を継続し、「コア粒子1」の表面に、「シェル用樹脂微粒子(1)」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。
ここで、塩化ナトリウム40.2質量部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア粒子表面にシェルを有する「着色粒子1」を作製した。
(外添剤処理)
上記で作製した着色粒子1に、疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して「トナー1」を作製した。
《トナー2〜14の作製》
トナー1の作製で用いたコア粒子用樹脂微粒子(1)を、表3に記載のコア粒子用樹脂微粒子(2)〜(14)に変更した以外は同様にして「トナー2〜14」を作製した。
表3に、「トナー1〜14」の作製で用いたコア粒子用樹脂微粒子、シェル用樹脂微粒子、トナーを構成する樹脂中の重合性単量体の組成比、トナーのガラス転移温度(Tg)、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Mw/Mnを示す。
尚、Tgは前述した方法で求めた値である。Mw及びMnは前述したGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフ)により、メンブランフィルターにて着色剤を除去した後、測定した値である。
Figure 2009271342
《現像剤の調製》
次いで、上記で作製した各トナーに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径50μmのフェライトキャリアを混合し、それぞれトナー濃度が6質量%の「現像剤1〜13」を調製した。
《評価》
作製したトナーについて以下の評価を行った。
評価用のプリント画像は、デジタルカラー複合機bizhub PRO C500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ製)に、上記で作製したトナーと現像剤を順番に装填し、20℃、55%RHの環境でプリントして作成した。尚、プリントは、画素率が10%の画像(文字画像が7%、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像)を用い、A4判上質紙(64g/m)に行った。
〈耐熱保管性〉
耐熱保管性は、上記で作製した各トナー100gを、55℃、90%RHの条件下に24時間放置した後、目開き45μmのフルイで篩い、フルイ上に残った凝集物の量(割合)で評価した。
評価基準:
◎:フルイ上の量が、5%未満で凝集量が非常に少なく耐熱保管性優良(断熱梱包材が全くなしで夏場に輸送を行っても凝集物の発生なし。)
○:フルイ上の量が、5〜20%で凝集量が少なく耐熱保管性良好(ダンボール梱包のみで夏場に輸送を行っても凝集物の発生なし。)
×:フルイ上の量が、20%より多く、凝集量が多く実用上問題(保冷輸送を行う必要がある)。
〈低温定着性〉(コールドオフセット)
画像評価装置の加熱ローラの表面温度を90〜130℃の範囲内で5℃刻みで変化させ、それぞれの表面温度において定着オフセットに起因する画像汚染の発生状況を評価した。具体的には、搬送方向に対し転写紙上に垂直方向に5mm幅の帯状ベタ画像と20mm幅のハーフトーン画像を出力したA4判トナー画像を横送り搬送して、画像汚染が発生しない温度領域(非オフセット領域)を検出して評価を行った。
評価基準:
◎:非オフセット領域の下限温度が110℃以下であり、かつ、非オフセット領域が15℃以上
○:非オフセット領域の下限温度が120℃以下であり、かつ、非オフセット領域が15℃未満
×:非オフセット領域の下限温度が125℃以上。
〈折り目定着強度〉
折り目の定着強度の評価は、下記のように折り目の定着率を測定して行った。ここで、折り目定着率とは、プリント画像面を内面にして折り曲げたとき、その折り曲げ部分でのトナーはがれの程度を定着率で示したものである。
測定方法は、ベタ画像部(画像濃度が0.8)を内側にして折り、3回指で擦った後、画像を開いて「JKワイパー」(株式会社クレシア製)で3回ふき取り、ベタ画像の折り目箇所の折り曲げ前後の画像濃度から下記式により算出した値である。
折り目定着率(%)=(折り曲げ後画像濃度)/(折り曲げ前画像濃度)×100
得られた折り目定着率から、下記のように折り目強度をランク評価した。
尚、○以上が問題なしレベルである。
評価基準:
◎:90〜100%で、折り目定着強度が優れている。
○:80〜90%未満で、折り目定着強度が良好。
×:80%未満で、折り目定着強度が不良。
〈ドキュメント・オフセット性〉
ドキュメントオフセット性の評価は、加熱ベルトの温度を130℃に設定し、前記と同じテスト画像をプリントしたプリント画像を2枚、画像面(プリント面)と非画像面(裏面)を重ねてガラス板の上に置き、重ねた部分の上に7.8kPa相当の重りを載せ、60℃、50%RHの環境で1週間放置して行った。放置後、重ねた2枚を剥離し、目視により剥離したプリント画像の画像欠損度合いを、以下に示す「R1」〜「R4」の4段階にランク付けして評価した。尚、ランク「R3」と「R4」を合格とする。
評価基準:
「R1」:2枚がくっつき、剥離が難しいレベル。
「R2」:2枚を剥離するとき、裏面に画像の移行が見られるレベル。
「R3」:画像部のグロス低下が見られるが、画像としては画像欠陥(裏面に画像の移行)が殆ど無く許容レベル。
「R4」:画像部、非画像部共に、画像欠陥や画像の移行が見られない良好なレベル。
上記各種評価結果を表4に示す。
Figure 2009271342
表4に示した結果から明らかなように、本発明に係る実施例は、比較例に対して、耐熱保管性、低温定着性、折り目定着強度、及びドキュメント・オフセット性が優れていることが分かる。すなわち、本発明の手段により、耐熱保管性及び低温定着性を確保するとともに、紙を折っても定着画像が破断しない強度を有し、ドキュメント・オフセット性に優れたコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを提供することができる。また、その製造方法を提供することができる。
コア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナーの模式図 本発明の静電荷像現像用トナーが使用可能な画像形成装置の断面図 加熱ロール方式の定着装置の一例を示す断面図 ベルトと加熱ローラを用いたタイプの定着装置の一例を示す断面図
符号の説明
10 感光体ドラム
11 スコロトロン帯電器
11A 帯電前露光手段
12 レーザ書込み装置
T トナー
A コア
B シェル
C 着色剤
D ワックス

Claims (7)

  1. 少なくとも樹脂と着色剤を含有するコアの表面にシェルを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーであって、当該樹脂が、下記一般式(A)〜(C)で表される化学構造を構成単位として有する共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    一般式(A):−(CCHCH
    (但し、ベンゼン環上に置換基を有してもよい。pは、整数を表す。以下において、「−A−」と略す。)
    一般式(B):−(CHCCH(COOR))
    (但し、Rは、C1〜C4のアルキル基を表す。qは、整数を表す。以下において、「−B−」と略す。)
    一般式(C):−(CHCR(COOR))
    (但し、Rは、H又はCHを表す。Rは、C14〜C22のアルキル基又は環状アルキルを表す。rは、整数を表す。以下において、「−C−」と略す。)
  2. 前記共重合体が、構成単位として下記一般式(D)で表される化学構造をも有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
    一般式(D):−(CHCR(COOH))
    (但し、Rは、H又はCHを表す。sは、整数を表す。以下において、「−D−」と略す。)
  3. 前記静電荷像現像用トナー中における前記共重合体の含有量が、0.5〜20質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. ガラス転移温度が、20〜45℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記共重合体を含有する樹脂が、当該コア・シェル構造を構成するコア粒子中に含有されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記共重合体を含有する樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜100,000であり、数平均分子量(Mn)が、5,000〜50,000で有り、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比:Mw/Mnが、2〜4であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて、円形度が0.900以上のコアを作製する工程と、当該コアの表面に樹脂微粒子を添加して、シェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを製造することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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