JP2006273796A - 日和見病原体に対する抗菌剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 テルペン系重合体を含有してなる日和見病原体に対する抗菌剤であって、
当該テルペン系重合体が、ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物の重合体、あるいは当該テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である、平均重合度が5〜50のテルペン系重合体であり、かつ、当該テルペン系重合体がテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である場合、テルペン系化合物と、ビニルエステル化合物又はビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、抗菌剤。
【選択図】 なし
Description
一方、テルペン系化合物は、テルペン系化合物の有する二重結合を利用して、酢酸ビニルとのラジカル共重合が可能であり、共重合して高分子化することにより、テルペン系化合物の揮発性を抑えることができることが知られている(例えば、非特許文献2参照)。
しかし、この共重合体中のどのようなものが、抗菌剤(特に日和見病原体に対する抗菌剤)として実用的に適し得るのかについては、具体的には何ら明らかにされていない。
一方、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類は70〜80重量%の濃度で黄色ブドウ球菌、緑膿菌に対して強い抗菌作用を発揮することがよく知られている。また、フェノール、クレゾール等のフェノール類も、黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌作用を発揮することも知られている。しかし、これらのフェノール類は強い毒性があるため、代わりにアルキル安息香酸エステル(ニパエステル)を使用することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
堀口博著「防菌防黴の化学」三共出版,4−9頁,昭和61年2月25日発行 中国地域産学官コラボレーションシンポジウムinやまぐち要旨集,63頁 日本化学会編 農薬の化学 昭和59年9月発行 大日本図書
[1] テルペン系重合体を含有してなる日和見病原体に対する抗菌剤であって、
当該テルペン系重合体が、ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物の重合体、あるいは当該テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である、平均重合度が5〜50のテルペン系重合体であり、かつ、当該テルペン系重合体がテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である場合、テルペン系化合物と、ビニルエステル化合物又はビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、抗菌剤。
[2] テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体であり、かつテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、上記[1]記載の抗菌剤。
[3] テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物であり、かつテルペン系化合物とビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、上記[1]記載の抗菌剤。
[4] ビニルエステル化合物が酢酸ビニルである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の抗菌剤。
[5] テルペン系重合体が、平均重合度が5〜30のテルペン系化合物の重合体である、上記[1]記載の抗菌剤。
[6] テルペン系化合物が、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、ネロール、タキソール、オイゲノール及びイソオイゲノールから選択される少なくとも1種である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の抗菌剤。
[7] 日和見病原体が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、霊菌(Serratia marcescens)、プロテウス(Proteus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、肝炎ウィルス(Hepatitis virus)、ヘルペスウィルス(Herpes virus)及びカンジダ(Candida)から選択される、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の抗菌剤。
[8] 日和見病原体による感染を防御するための抗菌剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。
[9] 医療用の抗菌剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。
[10] 消毒剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。
[11] 成形体である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。
[12] 日和見病原体による感染症の予防・治療剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。
また、当該重合体のうち、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体については、ビニルエステル化合物と共重合されていることにより、加工性が向上し、フィルム等への加工や成形材料への混合が容易になる。さらに、当該共重合体の加水分解物は、水溶性であるため、水系溶媒が用いられる各種用途に適用できる。従って、本発明の抗菌剤は、種々の形態により広範な適用が可能となるのである。
本発明において、テルペン系化合物の重合体とは、モノマーがテルペン系化合物のみからなる重合体をいい、テルペン系化合物1種の重合体(即ち、単独重合体)のみならずテルペン系化合物2種以上の共重合体をも含む。テルペン系化合物の重合体として好ましくはテルペン系化合物の単独重合体である。
テルペン系化合物は1種又は2種以上を用いることができる。
本発明において、平均重合度は、元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、重合体の末端の窒素の含有量を定量し、計算することにより求められる平均重合度をいう。
本発明において、当該共重合体は、1種又は2種以上のテルペン系化合物と1種又は2種以上のビニルエステル化合物との共重合体であり、好ましくは、1種のテルペン系化合物と1種のビニルエステル化合物との共重合体である。
テルペン系化合物は1種又は2種以上を用いることができる。
これらのビニルエステル化合物は1種又は2種以上を用いることができる。
ここでいう平均重合度の測定方法は、上記(1)と同様である。
本発明において、共重合比は、元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、共重合体の炭素の含有率(%)を定量し、計算することにより求められる共重合比をいう。
当該加水分解物は、(2)のテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体が加水分解されることにより、ビニルエステル単位がビニルアルコール単位に変換された共重合体であり、好ましくは、1種のテルペン系化合物と1種のビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物である。当該ビニルエステル単位は、すべてビニルアルコール単位に変換されていなくてもよいが、加水分解物の水溶性を確保するために、ビニルエステル単位はビニルアルコール単位に70%以上変換されていることが好ましく、90%以上変換されていることが特に好ましい。
ここでいう平均重合度の測定方法は、上記(1)と同様である。
ここでいう共重合比の測定方法は、上記(2)と同様である。
(I)テルペン系化合物の重合体の製造方法
当該重合体は、重合開始剤を用いて1種又は2種以上のテルペン系化合物をラジカル重合することにより製造される。
重合開始剤の使用量は、反応条件及び重合体の目的とする重合度に応じて適宜決定されるが、通常は、テルペン系化合物1モルに対し、1/20〜1/100モルであり、好ましくは1/20〜1/50モルである。特にバルク重合において重合開始剤の量がこの範囲内であれば、平均重合度が5〜50である重合体が得られ易い。
溶媒の使用量は、濃度が重合度に影響を及ぼすものであるから、重合方法、使用するモノマーの反応性や重合開始剤の種類等に応じて適宜決定されるが、通常はテルペン系化合物1kgに対し、0.5〜4Lであり、好ましくは1〜3Lである。
反応温度は、重合反応が進行するのに必要な温度以上であればよく、重合開始剤の分解温度、反応時間、溶媒及びモノマーの沸点等に応じて適宜選択される。好ましい反応温度としては50〜70℃であり、より好ましい反応温度としては60〜70℃である。
反応時間は、反応温度、使用する重合開始剤及びテルペン系化合物の種類・濃度等に応じて適宜選択される。好ましい反応時間としては、12〜500時間であり、より好ましい反応時間としては12〜240時間である。
テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体は、重合開始剤を用いて1種又は2種以上のテルペン系化合物と1種又は2種以上のビニルエステル化合物とをラジカル重合することにより製造される。
当該ラジカル重合において、溶媒の使用量は、濃度が重合度に影響を及ぼすものであるから、重合方法、使用するモノマーの反応性や重合開始剤の種類等に応じて適宜決定されるが、通常は、テルペン系化合物及びビニルエステル化合物の合計1kgに対し、1〜5Lであり、好ましくは1〜2Lである。
反応温度は、重合反応が進行するのに必要な温度以上であればよく、重合開始剤の分解温度、反応時間、溶媒及びモノマーの沸点等に応じて適宜選択される。好ましい反応温度としては40〜70℃であり、より好ましい反応温度としては60〜70℃である。
反応時間は、反応温度、使用する重合開始剤並びにテルペン系化合物及びビニルエステル化合物の種類・濃度等に応じて適宜選択される。好ましい反応時間としては、12〜500時間であり、より好ましい反応時間としては12〜240時間である。
当該加水分解物は、上記(II)の方法により得られるテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体にアルカリを作用させて加水分解することにより製造することができる。加水分解の方法としては、例えば、ポリ酢酸ビニルをポリビニルアルコールに変換する際に一般的に採用される方法(例えば、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体をメタノール等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加する方法、水酸化ナトリウムのメタノール溶液に前記共重合体を添加する方法等)を採用することができる。
真菌としては、Candida、Aspergillus、Nocardia、Cryptococcus neoformans、Candida glabrata、Pneumocystis carinii等が挙げられる。さらに、寄生虫としては、Toxoplasmagondii、Giardia lamblia等が挙げられる。ウィルスとしては、サイトメガロウィルス、ヘルペスウィルス(Herpes virus)、肝炎ウィルス(Hepatitis virus)等が挙げられる。
従って、本発明の抗菌剤によれば、日和見病原体による感染(特に院内感染)を防御することができ、医療用(医療器具、医療用衣類、医療装置、医療設備等の医療に関係する全てのものを対象とする)等の抗菌剤(特に消毒剤や成形体)として有用である。また、日和見病原体による感染症の予防・治療剤としても有用である。例えば、クリームや軟膏等とする場合は、上記テルペン系重合体の含有量は、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%であり、液剤等とする場合は、上記テルペン系重合体の含有量は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
なお、本発明において、「防御」とは、ヒトを含む哺乳動物に投与して感染を防止(即ち予防)するのみならず、投与以外の方法、例えば、皮膚や器具等の消毒等といった周囲環境における菌の生育を抑制することにより感染を防止することも含む。
イソオイゲノール32.86g(200mmol)と、ぺルオキソ二硫酸アンモニウムを0.896g(4mmol)を水30mLに溶かした。これを60℃の水浴中で撹拌しながら7日間加熱した。反応後、適当量の水を加え、よく撹拌した後、デカンテーションで水を除いて未反応の開始剤を除いた。さらに減圧下で濃縮することにより、水と未反応のモノマーを除去し、イソオイゲノール単独重合体を得た(収率85%)。重合体生成の確認はFT−IRにて行った。イソオイゲノール及びイソオイゲノール単独重合体のFT−IR測定の結果を図1及び2に示す。
シトラール30.4g(200mmol)にAIBN(4mmol)を加え、60℃で14日間反応を行った。水で洗った後、120℃に加熱し、AIBNを分解除去した。ロータリーエバポレーターで未反応モノマーを除去し、シトラール単独重合体を得た(収率81%)。重合体生成の確認はFT−IRにて行った。シトラール及びシトラール単独重合体のFT−IR測定の結果を図3及び4に示す。
リナロール30.5g(200mmol)にAIBN(4mmol)を加え、60〜70℃で7日間反応を行った。実施例2と同様の回収操作を行い、リナロール単独重合体を得た(収率50%)。
シトロネロール30g(200mmol)にAIBN(4mmol)を加え、60〜70℃で14日間重合を行った。実施例2と同様の回収操作を行い、シトロネロール単独重合体を得た(収率60%)。
ゲラニオール30.5g(200mmol)とペルオキソ二硫酸アンモニウム0.92g(4mmol)の混合物を70℃で7日間反応させた。実施例1と同様の回収操作を行い、ゲラニオール単独重合体を得た(収率85%)。重合体生成の確認はFT−IRにて行った。ゲラニオール及びゲラニオール単独重合体のFT−IR測定の結果を図5及び6に示す。
シトロネラール、ネロール、ネロリドール、ファルネソール、オイゲノールの単独重合体を実施例1又は2と同様の方法で得た。
イソオイゲノール3g(18.27mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:17)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5214g(6.661mmol)を加え、60℃で7日間重合を行った。精製は、反応生成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、激しくかき混ぜながら水を加え、沈殿した樹脂を回収して行った。この操作は2〜3回繰り返し、イソオイゲノール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率85%)。
得られた共重合体の一部を加水分解するために、イソオイゲノール/酢酸ビニル共重合体1gをメタノール50mLに溶かし、水酸化ナトリウムの飽和メタノール溶液を過剰に加えた。数時間放置し、生じた白色沈殿を遠心分離機で分離し、上澄み液を捨てた。沈殿物をソックスレイ抽出機に移し、メタノールを循環させ、5時間抽出を行い、イソオイゲノール/ビニルアルコール共重合体を得た。この場合の収率は理論量の95%程度であった。
共重合比の異なるイソオイゲノール/酢酸ビニル共重合体及びイソオイゲノール/ビニルアルコール共重合体を得るために、イソオイゲノールと酢酸ビニルのモル比を1:11及び1:5.7とし、開始剤の量をイソオイゲノールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。
シトラール3g(19.45mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5200g(6.661mmol)を加え、60℃で14日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、シトラール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率73%)。
得られた共重合体の一部を加水分解するために、シトラール/酢酸ビニル共重合体1gを、水酸化ナトリウムを飽和させたメタノール50mLに溶かし、放置した。沈殿を遠心分離機で分離して、シトラール/ビニルアルコール共重合体を得た。
共重合比の異なるシトラール/酢酸ビニル共重合体及びシトラール/ビニルアルコール共重合体を得るために、シトラールと酢酸ビニルのモル比を1:11.1及び1:5.2とし、開始剤の量をシトラールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。
リナロール3g(19.4mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16.4)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5220g(6.661mmol)を加え、60℃で7日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、リナロール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率80%)。
得られた共重合体の一部を加水分解するために、リナロール/酢酸ビニル共重合体1gに水酸化ナトリウムを飽和させたメタノール25mLに溶かし、60℃で数時間放置した。生成した沈殿を遠心分離機で分離し、メタノールで洗浄し、リナロール/ビニルアルコール共重合体を得た。
共重合比の異なるリナロール/酢酸ビニル共重合体及びリナロール/ビニルアルコール共重合体を得るために、リナロールと酢酸ビニルのモル比を1:10.7及び1:5.3とし、開始剤の量をリナロールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。
シトロネロール3g(19.19mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16.3)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.519g(6.656mmol)を加え、60〜70℃で14日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、シトロネロール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率86%)。
得られた共重合体の一部を加水分解するために、上記実施例23〜28と同様の操作を行い、シトロネロール/ビニルアルコール共重合体を得た。
共重合比の異なるシトロネロール/酢酸ビニル共重合体及びシトロネロール/ビニルアルコール共重合体を得るために、シトロネロールと酢酸ビニルのモル比を1:10.8及び1:5.4とし、開始剤の量をシトロネロールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。
ゲラニオール3g(18.27mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5201g(6.661mmol)を加え、60〜65℃で7日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、ゲラニオール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率80%)。
得られた共重合体の一部を加水分解するために、上記実施例23〜28と同様の操作を行い、ゲラニオール/ビニルアルコール共重合体を得た。
共重合比の異なるゲラニオール/酢酸ビニル共重合体及びゲラニオール/ビニルアルコール共重合体を得るために、ゲラニオールと酢酸ビニルのモル比を1:10及び1:5.3とし、開始剤の量をゲラニオールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。ゲラニオールと酢酸ビニルのモル比を1:5.3としたものについて、共重合体生成の確認をFT−IRにて行った。FT−IR測定の結果を図7に示す。
シトロネラール、ネロール、ネロリドール、ファルネソール、オイゲノールについても、酢酸ビニルとの共重合体、ビニルアルコールとの共重合体を実施例11〜40と同様の合成法で得た。
〔平均重合度〕
元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、重合体の末端の窒素の含有量を定量し、計算することにより求めた。
〔共重合比〕
元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、共重合体の炭素の含有率(%)を定量し、計算することにより求めた。
試験例1 難揮発性試験
シトラール、実施例2のシトラール単独重合体、実施例19のシトラール/酢酸ビニル共重合体、ゲラニオール、実施例5のゲラニオール単独重合体、実施例37のゲラニオール/酢酸ビニル共重合体について、熱分析装置(株式会社島津製作所製、DTG60)を用い、窒素気流下、10℃/分の昇温速度で加熱し、質量変化を測定することにより熱分析を行った。結果を図8〜13に示す。
図8〜10の結果より、シトラールよりもシトラール単独重合体及びシトラール/酢酸ビニル共重合体の方が、図11〜13の結果より、ゲラニオールよりもゲラニオール単独重合体及びゲラニオール/酢酸ビニル共重合体の方が温度上昇に対する重量減少が少なく、難揮発性であることがわかる。
試験例2 抗菌テスト
テトラヒドロフラン10μLに、実施例のテルペン系重合体1mgを溶解させた溶液を1×1cmのセロハン紙に塗布して、1週間乾燥させた。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、霊菌(S.marcescens)、緑膿菌(P.aeruginosa)またはレジオネラ菌(Legionella)を接種したベネット培地の上に、このセロハン紙を置いて、抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、以下の基準に従って行った。結果を表3に示す。
+++:菌の繁殖が全く認められないもの(セロハン紙の下が透明)
++ :僅かに菌の繁殖が認められたもの
(セロハン紙の下が僅かに白っぽくなる)
+ :少し繁殖が認められたもの(セロハン紙の下が薄く白くなる)
− :菌の繁殖が認められたもの
(セロハン紙の下がセロハン紙を置いていない所と同じ程度白く濁る)
実施例のテルペン系重合体とワセリンとを、テルペン系重合体濃度が5〜60重量%となるように混合し、これを1×1cmのセロハン紙に塗布した。このセロハン紙について、試験例2と同様の方法により抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、試験例2と同様の基準に従って行った。結果を表4に示す。
実施例のテルペン系化合物とポリ塩化ビニルとを、テルペン系重合体濃度が40重量%となるように混合し、これをフィルム化した。このフィルムについて、試験例2と同様の方法により抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、試験例2と同様の基準に従って行った。結果を表5に示す。これは抗菌カテーテルを想定した試験である。
実施例のテルペン系化合物と以下のグリシジルエーテルとを10:1(重量比)で混合し、次いで、その重量の約5倍のテトラヒドロフランに溶解した。これをポリウレタンフィルムに塗布し、乾燥した。このフィルムについて、試験例2と同様の方法により抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、試験例2と同様の基準に従って行った。結果を表6に示す。
イソオイゲノール単独重合体 20.5重量部
ステアリルアルコール 6.0重量部
ステアリン酸 3.0重量部
スクワラン 5.0重量部
オクチルドデカノール 6.0重量部
グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0重量部
1,3−ブチレングリコール 8.0重量部
エタノール 4.0重量部
香料 0.5重量部
精製水 45.0重量部
計 100.0重量部
常法により上記成分を混合し、加熱し、乳化することにより、クリームを調製した。
ゲラニオール単独重合体 20.5重量部
蜜蝋 5.0重量部
固体パラフィン 10.0重量部
流動パラフィン 10.0重量部
スクララン 10.0重量部
ワセリン 44.0重量部
香料 0.5重量部
計 100.0重量部
常法により上記成分を混合して80℃に加熱し、混合物が完全に溶解したことを確認し、冷却することにより、軟膏を調製した。
Claims (12)
- テルペン系重合体を含有してなる日和見病原体に対する抗菌剤であって、
当該テルペン系重合体が、ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物の重合体、あるいは当該テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である、平均重合度が5〜50のテルペン系重合体であり、かつ、当該テルペン系重合体がテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である場合、テルペン系化合物と、ビニルエステル化合物又はビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、抗菌剤。 - テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体であり、かつテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、請求項1記載の抗菌剤。
- テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物であり、かつテルペン系化合物とビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、請求項1記載の抗菌剤。
- ビニルエステル化合物が酢酸ビニルである、請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌剤。
- テルペン系重合体が、平均重合度が5〜30のテルペン系化合物の重合体である、請求項1記載の抗菌剤。
- テルペン系化合物が、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、ネロール、タキソール、オイゲノール及びイソオイゲノールから選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌剤。
- 日和見病原体が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、霊菌(Serratia marcescens)、プロテウス(Proteus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、肝炎ウィルス(Hepatitis virus)、ヘルペスウィルス(Herpes virus)及びカンジダ(Candida)から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌剤。
- 日和見病原体による感染を防御するための抗菌剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。
- 医療用の抗菌剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。
- 消毒剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。
- 成形体である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。
- 日和見病原体による感染症の予防・治療剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。
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