JP3829101B2 - エステル化物およびその重合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、抗菌剤、防カビ剤、皮膚病改善作用組成物などに利用されるモノマーに係り、詳しくはウンデシレン酸、ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物、(メタ)アクリル酸、または、(メタ)アクリル酸変性物から合成される新規なエステル化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、身近な生活環境におけるカビ・細菌の繁殖抑制・死滅により衛生的生活環境を保つための抗菌剤・殺菌剤として、石炭酸、クレゾールや逆性石鹸(4級アンモニウム塩)などが知られている。しかし、石炭酸やクレゾールは皮膚刺激性や特有の悪臭がありさらにその有毒性から、これらを直ちに清水で洗い落とす必要があり、一般には好まれない。また、逆性石鹸も皮膚をヌルヌルとさせて不快感があり、同様に好まれない。また、身近なところでは、台所、浴室、トイレなどのカビ防止に塩素系薬剤が販売されているが、強い毒性ガスを発生させるだけに取り扱いには十分な注意が必要である。一方、カビや細菌に基づく皮膚糸状菌症は、靴を履く習慣と共に多くの人が感染するようになった一種の文明病である。そのうち水虫の治療には、軟膏や水性塗布液を使う外用療法と内服療法(飲み薬)があり、前者にはアメリカ陸軍が第2次世界大戦中に実用化したと言われるウンデシレン酸軟膏、その後開発されたイミダゾール系、トリアゾール系やトルナフタート系の薬剤の配合された軟膏があり、後者にはペニシリウム・グリセオフルブムから得られるグリセオフルビンとトリアゾール系のイトラコナゾールが使用されている。
【0003】
ところで、ウンデシレン酸(C11酸)、またはその誘導体、例えばそのエステルおよび金属塩、特にアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩はその多様な特性で知られている。例えば、ウンデシレン酸またはその誘導体、特に低級アルキルエステル誘導体の有する殺シラミ(pediculicidal) 作用は特許第3127289号公報、特開平10−53522号公報などで報告されている。ウンデシレン酸の殺菌(fungicidal)作用についても特開平10−158162号公報などに報告されている。ウンデシレン酸の防カビ性については、特公平6−73414号公報などに記述されている。また、特公平7−116359号公報などでは脱臭作用、すなわちC11酸は空気から不快な匂いを除去することができるということが報告されている。このC11酸、またはその誘導体を担持するマトリクスまたは担体があれば、例えば上記脱臭作用の場合には脱臭棒にして使い易くなる。フランス国特許(第FR−A−2,579,983号公報)にはポリエーテルエステルアミド(PEEA)をベースとしたポリマー樹脂を香料の支持体にして、香料を除々に放出させる方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来技術ではウンデセン基の二重結合を重合基として使用して樹脂骨格に組み入れるために抗菌防カビ作用が落ちてしまう。逆に、抗菌防カビ作用を維持させるためにウンデセン基の二重結合を重合基として使用しない場合は、使用量を適切に調整しないと不純物となり、樹脂の濁り、樹脂成形体表面へのブリード、臭いなどが生じていた。
そこで、本発明の目的とするところは、ウンデセン基をその二重結合を残したままで樹脂骨格に組み入れられない、配合量をうまく調整しないときに不純物となって樹脂の濁りや臭いを生じるといった従来の実用上の問題点が改善され且つ安定した抗菌防カビ効果を持つ樹脂材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、抗菌性、防カビ性のある、ウンデシレン酸、または、ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物を原料とし、ウンデシレン酸そのものの不快臭を抑え且つ抗菌性、防カビ性、殺菌性を失わない方法を幅広く調べ、本発明の完成に至った。すなわち、ウンデセン基よりも遥かに重合性のある(メタ)アクリロイル基とウンデセン基骨格とを併せ持つモノマー、このモノマーを紫外線照射により重合させて得た重合物、およびこれらの配合物が、いずれも不快臭がなく、かつ、抗菌性・防カビ性・殺菌性を有することを見出して、上記の課題を解決したのである。
【0006】
すなわち、本発明は、下記の一般式(I):
CH2=CH(CH2)8COO−(A1)α1−OC−C(R1)=CH2 (I)
(式中、R1はHまたはCH3を示し、A1は一種以上のオキシアルキル基を示し、α1はオキシアルキル基A1の平均繰り返し単位数を示す1〜20の整数である)で表されるエステル化物を提供する。
【0008】
そして、下記の一般式(II):
CH2=CH(CH2)8CH2O−(A2)α2−OC−C(R1)=CH2 (II)
(式中、R1はHまたはCH3を示し、A2は一種以上のオキシアルキル基を示し、α2はオキシアルキル基A2の平均繰り返し単位数を示す1〜20の整数である)で表されるエステル化物を提供する。
【0009】
さらに、単官能(メタ)アクリレートにすることで、従来のアクリルポリマーなどに抗菌防カビ効果を持たせる目的で、一般の(メタ)アクリレートとモノマー(本発明に係るエステル化物)との重合、または多官能アクリレート系オリゴマ―などとの光硬化などが可能となり、抗菌防カビ効果を有する重合物が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
引続き、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の一般式(I)、(II)で表される化合物は、アクリル酸またはメタクリル酸とウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物とのエステル化反応、アクリル酸変性物またはメタクリル酸変性物とウンデシレン酸とのエステル化反応により合成される。あるいは、ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとのエステル交換反応により合成される。すなわち、前記の一般式(I)で表されるエステル化物は、ウンデシレン酸と(メタ)アクリル酸変性物との反応により得られる。尚、この明細書中で「(メタ)アクリル−」とは、「アクリル−」または「メタクリル−」のいずれかを表す。また、前記の一般式(II)で表されるエステル化物はウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物と(メタ)アクリル酸との反応により得られる。
【0011】
一般式(I)で表されるエステル化物に関し、ウンデシレン酸と反応させる「(メタ)アクリル酸変性物」は、開環付加反応で酸成分((メタ)アクリル酸)をアルコール性末端とするようにオキシアルキル基が付加されている化合物である。例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン、(メタ)アクリル酸ポリオキシプロピレン、(メタ)アクリル酸ポリオキシブチレン、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシブチレン、(メタ)アクリル酸ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンなどの化合物が挙げられる。
【0012】
一方、一般式(II)で表されるエステル化物に関し、アクリル酸またはメタクリル酸と反応させる「ウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物」は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの一種以上を1モル以上付加反応させてオキシアルキル基を導入することにより末端が水酸基となった化合物である。例えば、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシプロピレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシブチレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレンポリオキシブチレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ウンデシエニルアルコールポリオキシプロピレンポリオキシブチレンなどの化合物が挙げられる。
【0013】
上記の(メタ)アクリル酸変性物やウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物に由来するオキシアルキル基としては、基内のアルキル基を構成する炭素の数が2〜5のものが用いられる。具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。オキシアルキル基の平均繰り返し単位数は1〜20である。平均繰り返し単位数が20を超えると得られるエステル化物の分子量が大きくなりすぎて、抗菌防カビ性を利用し得る価値が減少する。尚、オキシアルキル基の繰り返し単位数は、得られた個々の化合物において画一値とならないため平均値を用いた。
【0014】
エステル化反応は、アルコールとカルボン酸の反応であるため、ウンデセン系化合物と(メタ)アクリル系化合物のいずれか一方をアルコールとし、他方をカルボン酸として用いる。使用する(メタ)アクリル酸またはそれらの変性物の量は、エステル化反応に対応するウンデシレン酸、またはウンデシエニルアルコールオキシアルキル付加物に対して理論的には1.0モル当量対1.0モル当量の反応であるが、どちらか一方1.0モル当量に対して他方を1.0〜10.0モル当量倍使用することが好ましい。さらには1.0〜3.0モル当量倍が、反応速度的にも経済的にも最も好ましい。1.0モル当量対1.0モル当量の反応の場合は、不純物ができる可能性があり、逆に10モル当量以上の場合は、経済的な損失が大きいなどの欠点がある。
【0015】
ウンデシレン酸に対する反応に関しては、前記したエステル化反応以外に、他の類似反応として、例えばグリシジル(メタ)アクリレートといったエポキシ化合物との反応、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)などのイソシアネートとの反応がある。
そのうち、エポキシ化合物との反応は、エポキシ環とカルボン酸の反応であるため、エポキシ環を持つ化合物とウンデシレン酸とを使用する。ウンデシレン酸の量は、エポキシ環化合物に対して理論的には1.0モル当量対1.0モル当量の反応であるが、エポキシ環化合物1.0モル当量に対して1.0〜1.5モル当量倍使用することが好ましい。さらには、1.0〜1.2モル当量倍が、反応速度的にも経済的にも最も好ましい。1.0モル対1.0モルの反応の場合は、十分反応せずに不純物ができる可能性があり、逆にウンデシレン酸を1.5モル当量以上とした場合は、経済的な損失が大きいなどの欠点がある。
【0016】
イソシアネートとの反応は、イソシアネート基と、アルコールもしくはカルボン酸との反応であるため、イソシアネート基を持つ化合物と、ウンデシレン酸とを使用する。ウンデシレン酸の量は、イソシアネート基を持つ化合物に対して理論的には1.0モル当量対1.0モル当量の反応であるが、イソシアネート基を持つ化合物1.0モル当量に対してウンデシレン酸量を1.0〜1.2モル当量倍使用することが、反応速度的にも経済的にも最も好ましい。1.0モル対1.0モルの反応の場合は十分反応せずに不純物ができる可能性があり、逆にウンデシレン酸を1.2モル当量倍以上とした場合は過剰のアルコール、カルボン酸が物性を低下させるおそれがあり、経済的な損失が大きいといった欠点がある。
【0017】
本発明に係るエステル化物を得る反応に使用する触媒は、エステル化、エステル交換、ウレタン化、またはエポキシ化などの反応に用いる公知のものを使用できる。具体的には、P−トルエンスルホン酸、フルオロ硫酸などの有機スルホン酸、硫酸、リン酸、過塩素酸などの無機酸、ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム、ピリジン、アミンなどの塩基類、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、モノブチルスズオキシド、塩化第一スズなどのスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどのチタン化合物、あるいは四塩化ハフニウム塩などのハフニウム化合物などが用いられる。
これら触媒のうち、エステル化またはエステル交換触媒については、反応速度を大きくする点で、p−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸類を用いるのが望ましい。これらの触媒量は出発原料に対して1ppm〜10%、好ましくは5ppm〜1.0%である。触媒の使用量が1ppmを下回ると反応速度が遅かったり収率が低いなどの不都合があり、逆に10%を超えると生成物が着色したり、副反応によりゲル化物の発生などが起こって望ましくない。
【0018】
反応は無溶剤でも溶剤を用いても行うことができるが、エステル化反応の場合は反応の進行と共に水が生成するので、水を共沸除去できる溶剤を用いることが反応速度を高める上で有効である。かかる溶剤としては、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メチルイソブチルケトンなどを用いることができる。これらの溶媒の使用量は出発原料に対して0.1〜10倍であり、好ましくは2〜5倍である。
【0019】
反応温度は、使用する溶媒の種類によって左右されるが、反応時間の短縮と重合防止の点から65〜150℃、好ましくは75〜120℃とするのが有利である。65℃以下であると反応速度が遅すぎ、収率が悪いなどの不都合を生じ、150℃以上であると(メタ)アクリル酸またはそのエステルの熱重合が起こるため望ましくない。
【0020】
本発明に係るエステル化物の合成反応において、反応途中は酸素の存在下で反応させることが望ましい。当該反応は常圧かあるいは若干減圧した状態で行うのが好適である。また、反応に先立って、(メタ)アクリル酸またはそのエステルの熱重合を防止するために重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。使用される重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、P−メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、α−ニトロソ−β−ナフトール、p−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ−p−キノン、銅塩などが挙げられる。重合禁止剤の添加量は原料の(メタ)アクリル酸またはそのエステルに対して0.001〜5.0wt%、好ましくは0.01〜1.0wt%である。添加量が0.001wt%未満の場合は重合禁止効果が小さすぎる反面、5.0wt%を超えても効果は向上しないため不経済となる。
【0021】
反応で得られたエステル化反応粗液は、過剰の(メタ)アクリル酸または触媒などの不純物を含んでいるため、反応粗液を水洗、あるいは中和して不純物成分を除去することが望ましい。中和に用いるアルカリ水溶液としては、例えば、NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、NaHCO3、KHCO3、NH3などのような塩基性化合物の水溶液を使用することができ、その際の濃度は広い範囲内で自由に選択できる。尚、中和した後、水洗せずに低沸分を除去し製品化すると製品中に中和塩が残存することになるので、中和後に水洗することが好ましい。中和あるいは水洗を行った反応粗液から低沸分を除去するには薄膜式蒸発器などを用いるのが良い。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものでない。
まず、実施例1から実施例24は、それぞれ請求項1のエステル化物(一般式(I))に関する合成例を示している。
【0023】
各実施例において合成した生成物のいくつかについては、以下に示す機器分析により分子構造を同定した。
(1)NMR:
機器はUNITY−plus400(VARIAN製)を使用した。測定条件としては、カラムクロマトグラフィにて精製した後、CDCl3に溶解させ、H1−NMR、C13−NMR測定をした。
(2)赤外吸収スペクトル(IR):
機器はFTIR−8400(島津製作所株式会社製)を用い、データ処理機はHYPER IRを用いた。測定条件は、分解能:4.0、ミラー速度:2.8(low)とした。
(3)元素分析(CHN):
機器はPE−2400シリーズIIのCHNS/Oアナライザー(PERKINELMER製)を用いた。
(4)質量分析(GC−MS):
機器はGCmate(日本電子製)を用いた。測定条件(電子衝撃イオン化による質量分析)は、走査質量範囲:10〜823、イオン化方法:電子衝撃イオン化、カラム:CBP1−M25−025、カラム温度:50℃〜300℃(10℃/分)、インジェクション温度=310℃、スプリット比=50:1とした。
【0024】
[実施例1]メタクリル酸オキシエチルウンデシレート(略号=2HEMA−Ud):
攪拌機、空気バブリング管、脱水管、および冷却管を備えた2L容の四つ口フラスコに2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレート(分子量130)(ブレンマ―E、日本油脂株式会社製)92gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)108gを入れ、さらにトルエン1000g、p−トルエンスルホン酸6g、ハイドロキノンモノメチルエ−テル0.4gを加え、フラスコジャケット温度130〜140℃で脱水反応を行った。反応は約2時間で終了した。反応粗液をアルカリ水溶液で洗浄し、さらに水洗を2回行った後、空気をバブリングしながらエバポレーターで脱溶剤化した。これにより、収量162g(理論分子量296、 収率93%)で精製物を得た。このように得られた実施例1の精製物をH1−NMR、C13−NMR、IR、元素分析により組成分析した結果を以下に示す。
【0025】
H1−NMRによる解析結果を次の化1、表1に示す。表1において「式中該当部位記号」とは、化1で示した構造式中の部位に付した記号(例えば、a,b,c,・・・)をいう。以降の各化学式および各表においても同様である。
【0026】
【化1】
Figure 0003829101
【0027】
【表1】
Figure 0003829101
【0028】
C13−NMRによる解析結果を次の化2、表2に示す。
【0029】
【化2】
Figure 0003829101
【0030】
【表2】
Figure 0003829101
【0031】
IRによる解析結果を次の化3、表3に示す。
【0032】
【化3】
Figure 0003829101
【0033】
【表3】
Figure 0003829101
【0034】
元素分析による解析結果を次の表4に示す。
【0035】
【表4】
Figure 0003829101
【0036】
以上の組成分析結果から、実施例1による反応生成物はメタクリル酸オキシエチルウンデシレートであると同定した。
【0037】
[実施例2]アクリル酸オキシエチルウンデシレート(略号=2HEA−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、2−ヒドロキシエチレンオキサイドアクリレート(分子量116)(HEA、大阪有機化学工業株式会社製)86gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)114gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量142g(理論分子量282 、収率81%)で精製物を得た。
【0038】
[実施例3]アクリル酸オキシブチルウンデシレート(略号=4HBA−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、4−ヒドロキシブチルオキシアクリレート(分子量144)(4HBA、日本化成株式会社製)97gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)103gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量161g(理論分子量310 、収率93%)で精製物を得た。
このように得られた実施例3の精製物をH1−NMR、C13−NMR、IR、元素分析により組成分析した結果を以下に示す。
【0039】
H1−NMRによる解析結果を次の化4、表5に示す。
【0040】
【化4】
Figure 0003829101
【0041】
【表5】
Figure 0003829101
【0042】
C13−NMRによる解析結果を次の化5、表6に示す。
【0043】
【化5】
Figure 0003829101
【0044】
【表6】
Figure 0003829101
【0045】
IRによる解析結果を次の化6、表7に示す。
【0046】
【化6】
Figure 0003829101
【0047】
【表7】
Figure 0003829101
【0048】
元素分析による解析結果を次の表8に示す。
【0049】
【表8】
Figure 0003829101
【0050】
以上の組成分析結果から、実施例3による反応生成物はアクリル酸オキシブチルウンデシレートであると同定した。
【0051】
[実施例4]メタクリル酸ポリオキシエチレンウンデシレート(略号=PE−90−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシエチレン(分子量176)(ブレンマ―PE−90、日本油脂株式会社製)89gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)112gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量140g(理論分子量342 、収率81%)で精製物を得た。
【0052】
[実施例5]アクリル酸ポリオキシエチレンウンデシレート(略号=AE−90−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸ポリオキシエチレン(分子量162)(ブレンマ―AE−90、日本油脂製)85gとウンデシレン酸(分子量184)(豊国製油製)116gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量138g(理論分子量328 、収率80%)で精製物を得た。
【0053】
[実施例6]メタクリル酸ポリオキシエチレンウンデシレート(略号=PE−200−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシエチレン(分子量286)(ブレンマ―PE−200、日本油脂株式会社製)113gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)88gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量146g(理論分子量452 、収率82%)で精製物を得た。
【0054】
[実施例7]アクリル酸ポリオキシエチレンウンデシレート(略号=AE−200−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸ポリオキシエチレン(分子量272)(ブレンマ―AE−200、日本油脂株式会社製)111gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)91gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量152g(理論分子量438 、収率85%)で精製物を得た。
【0055】
[実施例8]メタクリル酸ポリオキシエチレンウンデシレート(略号=PE−350−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシエチレン(分子量436)(ブレンマ―PE−350、日本油脂株式会社製)133gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)68gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量154g(理論分子量602 、収率84%)で精製物を得た。
【0056】
[実施例9]アクリル酸ポリオキシエチレンウンデシレート(略号=AE−400U−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸ポリオキシエチレン(分子量472)(ブレンマ―AE−400、日本油脂株式会社製)137gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)64gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量154g(理論分子量638 、収率83%)で精製物を得た。
【0057】
[実施例10]メタクリル酸オキシプロピルウンデシレート(略号=HPMA−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸オキシプロピル(分子量144)(ブレンマ―P、日本油脂株式会社製)80gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)123gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量162g(理論分子量310 、収率94%)で精製物を得た。
このように得られた実施例10の精製物をH1−NMR、C13−NMR、IR、元素分析により組成分析した結果を以下に示す。
【0058】
H1−NMRによる解析結果を次の化7、表9に示す。
【0059】
【化7】
Figure 0003829101
【0060】
【表9】
Figure 0003829101
【0061】
C13−NMRによる解析結果を次の化8、表10に示す。
【0062】
【化8】
Figure 0003829101
【0063】
【表10】
Figure 0003829101
【0064】
IRによる解析結果を次の化9、表11に示す。
【0065】
【化9】
Figure 0003829101
【0066】
【表11】
Figure 0003829101
【0067】
元素分析による解析結果を次の表12に示す。
【0068】
【表12】
Figure 0003829101
【0069】
以上の組成分析結果から、実施例10による反応生成物はメタクリル酸オキシプロピルウンデシレートであると同定した。
【0070】
[実施例11]アクリル酸オキシプロピルウンデシレート(略号=HPA−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸オキシプロピル(分子量130)(HPA、大阪有機化学工業株式会社製)75gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)128gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量159g(理論分子量296 、収率93%)で精製物を得た。
【0071】
[実施例12]アクリル酸ポリオキシプロピルウンデシレート(略号=AP−150−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸ポリオキシプロピル(分子量246)(ブレンマ―AP-150、日本油脂株式会社製)106gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)96gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量162g(理論分子量412、 収率91%)で精製物を得た。
【0072】
[実施例13]メタクリル酸ポリオキシプロピルウンデシレート(略号=PP−1000−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシプロピル(分子量434)(ブレンマ―PP-1000、日本油脂株式会社製)133gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)68gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量167g(理論分子量600 、収率91%)で精製物を得た。
【0073】
[実施例14]アクリル酸ポリオキシプロピルウンデシレート(略号=AP−400−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸ポリオキシプロピル(分子量472)(ブレンマ―AP-400、日本油脂株式会社製)136gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)64gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量160g(理論分子量638 、収率87%)で精製物を得た。
【0074】
[実施例15]アクリル酸ポリオキシプロピルウンデシレート(略号=AP−550−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸ポリオキシプロピル(分子量594)(ブレンマ―AP-550、日本油脂株式会社製)147gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)52gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量164g(理論分子量760、 収率87%)で精製物を得た。
【0075】
[実施例16]アクリル酸ポリオキシプロピルウンデシレート(略号=AP−800−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸ポリオキシプロピル(分子量826)(ブレンマ―AP-800、日本油脂株式会社製)160gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)40gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量179g(理論分子量992 、収率93%)で精製物を得た。
【0076】
[実施例17]メタクリル酸ポリオキシプロピルウンデシレート(略号=PP−800−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシプロピル(分子量840)(ブレンマ―PP-800、日本油脂株式会社製)160gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)40gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量174g(理論分子量1006 、収率91%)で精製物を得た。
【0077】
[実施例18]メタクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンウンデシレート(略号=70PEP−350B−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(分子量422)(ブレンマ―70PEP-350B、日本油脂株式会社製)132gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)69gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量125g(理論分子量588 、収率68%)で精製物を得た。
【0078】
[実施例19]メタクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシブチレンウンデシレート(略号=30−PET−800−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシブチレン(分子量1070)(ブレンマ―30PET-800、日本油脂株式会社製)160gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)40gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量155g(理論分子量1236 、収率84%)で精製物を得た。
【0079】
[実施例20]メタクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシブチレンウンデシレート(略号=55−PET−800−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシエチレンポリオキシブチレン(分子量886)(ブレンマ―55PET-800、日本油脂株式会社製)160gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)40gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量135g(理論分子量1052 、収率71%)で精製物を得た。
【0080】
[実施例21]メタクリル酸オキシプロピレンポリオキシブチレンウンデシレート(略号=30−PPT−800−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシプロピレンポリオキシブチレン(分子量895)(ブレンマ―30PPT-800、日本油脂株式会社製)160gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)40gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量144g(理論分子量1061 、収率76%)で精製物を得た。
【0081】
[実施例22]メタクリル酸ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンウンデシレート(略号=70−PPT−800−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸ポリオキシプロピレンポリオキシブチレン(分子量883)(ブレンマ―70PPT-800、日本油脂株式会社製)160gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)40gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量154g(理論分子量1052 、収率81%)で精製物を得た。
【0082】
[実施例23]アクリル酸オキシプロピレンポリオキシブチレンウンデシレート(略号=10APB−500B−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、アクリル酸オキシプロピレンポリオキシブチレン(分子量562)(ブレンマ―10APB-500B、日本油脂株式会社製)144gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)56gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量159g(理論分子量728 、収率85%)で精製物を得た。
【0083】
[実施例24]メタクリル酸オキシプロピレンポリオキシブチレンウンデシレート(略号=10PPB−500B−Ud):
実施例1における2−ヒドロキシオキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、メタクリル酸オキシプロピレンポリオキシブチレン(分子量576)(ブレンマ―10PPB-500B、日本油脂株式会社製)146gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油株式会社製)55gを用いた他は、実施例1と同様にして反応・精製し、収量150g(理論分子量742 、収率80%)で精製物を得た。
【0084】
次の実施例25および実施例26は本発明と関連するものではないが、それぞれ下記一般式( III ):
CH 2 =CH(CH 2 ) 8 CH 2 O OC C(R1) CH 2 (III) (式中、R1はHまたはCH 3 を示す)で表されるエステル化物に関する合成例を示している。
[実施例25]ω−ウンデシエニルアクリレート(略号=A−ω−Ud):攪拌機、空気バブリング管、脱水管、および冷却管を備えた2L容の四つ口フラスコにω−ウンデシエニルアルコール(分子量170)(ω−ウンデシエニルアルコール、シグマアルドリッチ製)133gとアクリル酸(分子量72)(東亜合成株式会社製)68gを入れ、さらにトルエン1000g、p−トルエンスルホン酸6g、ハイドロキノンモノメチルエ−テル0.4gを加え、130〜140℃で脱水反応を行った。反応は約5時間で終了した。反応粗液をアルカリ水溶液で洗浄し、さらに水洗を2回行った後、空気をバブリングしながらエバポレーターで脱溶剤化した。これにより、収量168g(理論分子量224 、収率96%)で精製物を得た。このように得られた実施例25の精製物をH1−NMR、C13−NMR、IR、元素分析により組成分析した結果を以下に示す。
【0085】
H1−NMRによる解析結果を次の化10、表13に示す。
【0086】
【化10】
Figure 0003829101
【0087】
【表13】
Figure 0003829101
【0088】
C13−NMRによる解析結果を次の化11、表14に示す。
【0089】
【化11】
Figure 0003829101
【0090】
【表14】
Figure 0003829101
【0091】
IRによる解析結果を次の化12、表15に示す。
【0092】
【化12】
Figure 0003829101
【0093】
【表15】
Figure 0003829101
【0094】
元素分析による解析結果を次の表16に示す。
【0095】
【表16】
Figure 0003829101
【0096】
以上の組成分析結果から、実施例25による反応生成物はω−ウンデシエニルアクリレートであると同定した。
【0097】
[実施例26]ω−ウンデシエニルメタクリレート(略号=M−ω−Ud):
実施例25におけるω−ウンデシエニルアルコールとアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルアルコール(分子量170)(ω−ウンデシエニルアルコール、シグマアルドリッチ製)125gとメタクリル酸(分子量86)(株式会社日本触媒製)76gを用いた他は、実施例25と同様にして反応・精製し、収量168.0g(理論分子量238、 収率96%)で精製物を得た。
【0098】
次の実施例27から実施例35は、それぞれ請求項のエステル化物(一般式(II))に関する合成例を示している。
[実施例27]ω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加アクリレート(略号=A−ω−Ud−4EO):攪拌機、空気バブリング管、脱水管、および冷却管を備えた2L容の四つ口フラスコにω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物(分子量346)(明成化学工業株式会社製)160gとアクリル酸(分子量72)(東亜合成株式会社製)41g、を入れ、さらにトルエン1000g、p−トルエンスルホン酸6g、ハイドロキノンモノメチルエ−テル0.4gを加え、フラスコジャケット温度130〜140℃で脱水反応を行った。反応は約5時間で終了した。反応粗液は、アルカリ水溶液で洗浄し、さらに水洗を2回行った後、空気をバブリングしながらエバポレーターで脱溶剤化した。これにより収量174g(理論分子量400、収率94%)で精製物を得た。
【0099】
[実施例28]ω−ウンデシエニルエチレンオキサイド12モル付加アクリレート(略号=A−ω−Ud−12EO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルエチレンオキサイド12モル付加物(分子量698)(明成化学工業株式会社製)180gとアクリル酸(分子量72)(東亜合成株式会社製)23gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量176g(理論分子量752、収率91%)で精製物を得た。
【0100】
[実施例29]ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド4モル付加アクリレート(略号=A−ω−Ud−4PO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド4モル付加物(分子量402)(明成化学工業株式会社製)165gとアクリル酸(分子量72)(東亜合成株式会社製)36gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量168g(理論分子量456、収率90%)で精製物を得た。
【0101】
[実施例30]ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド8モル付加アクリレート(略号=A−ω−Ud−8PO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド8モル付加物(分子量634)(明成化学工業株式会社製)176gとアクリル酸(分子量72)(東亜合成株式会社製)24gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量166g(理論分子量688、収率87%)で精製物を得た。
【0102】
[実施例31]ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド12モル付加アクリレート(略号=A−ω−Ud−12PO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド12モル付加物(分子量866)(明成化学工業株式会社製)176gとアクリル酸(分子量72)(東亜合成株式会社製)21gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量163g(理論分子量920、収率87%)で精製物を得た。
【0103】
[実施例32]ω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加メタクリレート(略号=M−ω−Ud−4EO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物(分子量346)(明成化学工業株式会社製)153gとメタクリル酸(分子量86)(株式会社日本触媒製)47gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量172g(理論分子量414、収率94%)で精製物を得た。
【0104】
[実施例33]ω−ウンデシエニルエチレンオキサイド12モル付加メタクリレート(略号=M−ω−Ud−12EO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルエチレンオキサイド12モル付加物(分子量698)(明成化学工業株式会社製)180gとメタクリル酸(分子量86)(株式会社日本触媒製)23gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量180g(理論分子量766、収率91%)で精製物を得た。
【0105】
[実施例34]ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド4モル付加メタクリレート(略号=M−ω−Ud−4PO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド4モル付加物(分子量402)(明成化学工業株式会社製)165gとメタクリル酸(分子量86)(株式会社日本触媒製)43gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量174g(理論分子量470、収率90%)で精製物を得た。
【0106】
[実施例35]ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド12モル付加メタクリレート(略号=M−ω−Ud−12PO):
実施例27におけるω−ウンデシエニルエチレンオキサイド4モル付加物とアクリル酸に替えて、ω−ウンデシエニルプロピレンオキサイド12モル付加物(分子量866)(明成化学工業株式会社製)176gとメタクリル酸(分子量86)(株式会社日本触媒製)29gを用いた他は、実施例27と同様にして反応・精製し、収量165g(理論分子量934、収率87%)で精製物を得た。
【0107】
これまでの実施例1〜35でそれぞれ得られたエステル化物の収率およびガスクロマトグラフィー分析の結果を次の表17にまとめた。
ここで用いたガスクロマトグラフィーおよびその測定条件は次の通りである。機器:GC−17A−1(島津製作所株式会社製)、 カラム:CBP−1−M25−025、Temp.:50℃ 5min Keep(10℃/min) for 300℃ 10min Keep、INJ.:310℃、DET.:310℃、SPL.:1:30、PRESS.:100、GC Range:3。
【0108】
【表17】
Figure 0003829101
【0109】
【表18】
Figure 0003829101
【0110】
表17,18中において、※1の収率(%)は得量/理論分子量の百分率で表した。※2は主、副ピークの時間、成分が多い場合に、成分(百分率)の合計値として記入した。
【0111】
そして、実施例1〜35で得たエステル化物のうち、「分子量が比較的小さいもの」は2HEMA−Ud(実施例1)、2HEA−Ud(実施例2)、4HBA−Ud(実施例3)、HPMA−Ud(実施例10)、HPA−Ud(実施例11)である。また、「親水性が比較的高いもの」はPE−90−Ud(実施例4)、AE−90−Ud(実施例5)、PE−200−Ud(実施例6)、AE−200−Ud(実施例7)、PE−350−Ud(実施例8)、AE−400−Ud(実施例9)、AP−150−Ud(実施例12)、AP−400−Ud(実施例14)、70PEP−350B−Ud(実施例18)、30PET−800−Ud(実施例19)、55PET−800−Ud(実施例20)、A−ω−Ud−4EO(実施例27)、A−ω−Ud−12EO(実施例28)、A−ω−Ud−4PO(実施例29)、M−ω−Ud−4EO(実施例32)、M−ω−Ud−12EO(実施例33)である。
【0112】
次に、上記の実施例1〜35で得たエステル化物について抗菌性を調べた。かかる抗菌テストは以下のようにして実施した。
(1)培地の調製:
57℃に保温した液状の通常寒天平板培地(20ml)に、試料濃度が2.5、5、10、25、50、100、200、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000mg/lとなるように試料を添加し、激しく攪拌後ペトリ皿に分注し固化させた。一部の試料は通常寒天平板培地とが混和せず分離したが、そのまま供試した。
(2)白癬菌の接種および培養:
試験菌株(白癬菌Trechophyton mentagrophytes IFO 5466)を0.05%のスルホコハク酸ジ-エチルへキシルナトリウム液に懸濁させ、その懸濁液10μlを上記の培地に接種し、27℃で10日間培養し菌の生育を観察し、白癬菌の生育を抑える最小の試料量(mg/l:後述の表19,20中の※3)を求めた。
(3)黄色ブドウ状球菌の接種および培養:
試験菌菌株(黄色ブドウ状球菌Staphlococcus aureus、ATCC 6538P)を3.3×107cfu/mlとして一白金耳接種し0.05%のスルホコハク酸ジ-エチルへキシルナトリウム液に懸濁させ、その懸濁液10μlを上記の培地に接種し、27℃で6日間培養し菌の生育を観察し、黄色ブドウ状球菌の生育を抑える最小の試料量(mg/l:後述の表19,20中の※4)を求めた。
【0113】
また、前記実施例の比較対象として、下記の比較例1〜2についても上記の抗菌テストに供した。
【0114】
[比較例1]
2ヒドロキシメチルメタクリレート(2HEMA)。
[比較例2]
NKエステル A―TMPT−9EO(トリメチロールプロパン9モルエチレンオキサイド付加物トリアクリレート)。
【0115】
上記した抗菌テストの結果(実施例1〜35、比較例1〜2)を以下の表19および表20に示す。尚、表中のAAはアクリル酸、MAAはメタクリル酸、EOはオキシエチル基、POはオキシプロピル基、BOはオキシブチル基をそれぞれ示している。
【0116】
【表19】
Figure 0003829101
【0117】
【表20】
Figure 0003829101
【0118】
表19および表20から明らかなように、比較的親水性の大きなエステル化物(実施例4,5,6,7,8,9,12,14,18,19,20,27,28,29,32,33)について、概ね高い抗菌性が認められた。これは、親水性の高いエステル化物は液状の培地と均一に混合されるので、菌に対し効果的に作用するためと考えられる。一方、比較的分子量の小さなエステル化物(実施例1,2,3,10,11)についても高い抗菌性が認められている。これらのことは、アクリル酸(AA)系のエステル化物のほうがメタクリル酸(MAA)系のエステル化物より親水性が高く分子量が小さいため、抗菌性が高くなっていることからも明らかである。また、実施例1〜35で得たエステル化物についてはいずれも不快臭を発しなかった。
【0119】
次の実施例36から実施例45は、請求項の重合物に関する例であり、ウンデシレン酸系モノマーとアクリル系モノマーを重合させて重合物を得、それぞれの重合物について抗菌性を検討した。
かかる重合物の抗菌テストは次のように実施した。
【0120】
(1)白癬菌:
標準寒天培地(日水製薬株式会社製)を塩酸でpH=6に調製し、滅菌、溶解後、0.005%スルホコハク酸ジ-エチルへキシルナトリウムを含む殺菌水で10倍に希釈し40℃に保持した。そこへ、白癬菌(Trechophyton mentagrophytes IFO 5466)を入れて懸濁させた。この菌懸濁液(0.3ml)を重合物試料上に置き、27℃湿度95%に放置した。7日間後、試料上の観察を肉眼および顕微鏡下で行った。菌の生育度を+の数で表示した。
【0121】
(2)黄色ブドウ状球菌:
肉エキス・ペプトン培地(0.5%肉エキス、1%ペプトンを含有)を0.85%食塩を含む殺菌水で50倍に希釈した。そこへ普通ブイヨンで培養した黄色ブドウ状球菌(Staphlococcus aureus、FDA209PIAM 12082)を入れて懸濁させた。この菌懸濁液(0.5ml)を重合物試料上におき、菌懸濁液をポリエチレンシートで覆った後、容器を30℃に放置した。接種直後および24時間後に試料上の菌懸濁液を、0.85%食塩を含む殺菌水4.5ml中に回収し、10倍ずつ3段階の希釈を行った。これらの菌懸濁液0.5ml中の生菌数を測定した。対照として菌懸濁液をプラスチック製シャーレ上に置き、同様の操作を行った。生菌数の測定は、衛生試験法・注解(1990)微生物試験法(3)菌数測定1)混釈平板培養法(P148)に準拠して行った。ただし、微生物の培養には普通寒天培地を用いた。生菌数は検体に接触した菌懸濁液中の個数に換算した。本方による検出限界は101cfu/mlである。
【0122】
[実施例36]
アクリル酸オキシブチルウンデシレート(4HBA−Ud)10gにNKエステルA−TMPT−3EO(新中村化学工業株式会社製の反応性硬化剤:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート)を90g配合し、イルガキュアー1173(チバスペシャリティケミカル社製の重合開始剤:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)を全体の3wt%加えて十分にかき混ぜたのち、ガラス板上にフイルム状に塗布し紫外線照射により硬化させて重合物を得た。
【0123】
[実施例37]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを20gに、NKエステル A−TMPT−3EOを80gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例38]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを30gに、NKエステル A−TMPT−3EOを70gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例39]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを40gに、NKエステル A−TMPT−3EOを60gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例40]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを50gに、NKエステル A−TMPT−3EOを50gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例41]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを60gに、NKエステル A−TMPT−3EOを40gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例42]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを70gに、NKエステル A−TMPT−3EOを30gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例43]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを80gに、NKエステル A−TMPT−3EOを20gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例44]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートを90gに、NKエステル A−TMPT−3EOを10gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
[実施例45]
実施例36におけるアクリル酸オキシブチルウンデシレートに替えて、ω−ウンデシエニルアクリレート(A−ω−Ud)30gを用い、NKエステル A−TMPT−3EOを70gにした他は、実施例36と同様に処理して重合物を得た。
【0124】
実施例36〜45で得た重合物の抗菌テスト結果を以下の表21に示す。
【0125】
【表21】
Figure 0003829101
【0126】
表21から明らかなように、実施例36〜44の重合物はいずれも白癬菌の生育度が(−)と、防カビ性が良好であり、黄色ブドウ状球菌の生菌数も検出されていないことから、抗菌性が発現している。それに対し、比較例3(反応性硬化剤(アクリル系モノマー)だけを供試したもの)および対照では、白癬菌の生育(+)が認められ黄色ブドウ状球菌も検出されている。特に、対照では黄色ブドウ状球菌の生菌数が接種から24時間後に6倍程度まで増加した。一方、実施例36〜45の重合物はいずれも濁りがなく極めて透明であり、しかも硬化後のブリード現象も観察されなかった。また、臭気もほとんどなかった。
【0127】
【発明の効果】
上記のようにして得られた本発明のエステル化物は、そのままでも抗菌防カビ性を有することは無論のこと、紫外線照射により重合物となっても抗菌防カビ性を呈する。従って、本発明のエステル化物はモノマーとしてのみならず、得られる樹脂成形品や繊維材料などとしても好適に提供される。また、本発明のエステル化物およびその紫外線照射による重合物は不快臭を発しない。

Claims (3)

  1. 下記の一般式(I):
    CH2=CH(CH2)8COO−(A1)α1−OC−C(R1)=CH2 (I)
    (式中、R1はHまたはCH3を示し、A1は一種以上のオキシアルキル基を示し、α1はオキシアルキル基A1の平均繰り返し単位数を示す1〜20の整数である)で表されるエステル化物。
  2. 下記の一般式(II):
    CH2=CH(CH2)8CH2O−(A2)α2−OC−C(R1)=CH2 (II)
    (式中、R1はHまたはCH3を示し、A2は一種以上のオキシアルキル基を示し、α2はオキシアルキル基A2の平均繰り返し単位数を示す1〜20の整数である)で表されるエステル化物。
  3. 請求項1または請求項2に記載のエステル化物を紫外線照射により重合させて成る重合物。
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