JP2014101503A - 難燃性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性を向上させることができる難燃性組成物を提供する。
【解決手段】本発明の難燃性組成物は、環状オレフィン(共)重合体(P)と分解温度が100℃以上500℃以下の範囲内にあるリン系難燃剤(N−1)(ただし、カチオン成分に窒素原子を含むものを除く)とを含む。そして、上記環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、上記リン系難燃剤(N−1)の含有量が30重量部以上300重量部以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性組成物などに関する。
環状オレフィン共重合体は耐熱性、機械的特性、透明性、誘電特性、耐溶剤性、成形性、寸法安定性などに優れているため、種々の分野に利用されている(特許文献1、特許文献2)。
また近年、環状オレフィン(共)重合体は、耐熱性および誘電特性のバランスに優れていることから、例えば、回路基板などの電子部品用の材料としても検討され始めている(特許文献2)。
特許文献2には、架橋性基を有する環状オレフィン共重合体が記載されている。この環状オレフィン共重合体の架橋体は、誘電特性の経時安定性に優れ、かつ、耐熱性、透明性、機械的特性などにも優れるので、高周波回路基板などの高周波用途に好適に用いることができると記載されている。
国際公開第2006/118261号パンフレット 国際公開第2012/046443号パンフレット
環状オレフィン(共)重合体を初めとする樹脂を、上記回路基板など高難燃性が求められる用途などに適用するためには難燃性を向上させる必要があった。しかしながら、極性化合物である難燃剤を樹脂に添加すると、誘電特性などの電気特性が低下する傾向があった。
そこで、本発明では、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性を向上させることができる難燃性組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分解温度が所定の範囲内にあるリン系難燃剤を環状オレフィン(共)重合体に対し、特定の割合で混合することにより、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性にも優れる成形体を得ることが可能な難燃性組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下に示すとおりである。
[1]
環状オレフィン(共)重合体(P)と、
分解温度が100℃以上500℃以下の範囲内にあるリン系難燃剤(N−1)(ただし、カチオン成分に窒素原子を含むものを除く)と、
を含み、
上記環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、上記リン系難燃剤(N−1)の含有量が30重量部以上300重量部以下である、難燃性組成物。
[2]
上記[1]に記載の難燃性組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、
上記リン系難燃剤(N−1)の含有量が50重量部を超えて200重量部以下である、難燃性組成物。
[3]
上記[1]または[2]に記載の難燃性組成物において、
上記リン系難燃剤(N−1)がホスフィン酸塩を含む、難燃性組成物。
[4]
上記[1]乃至[3]いずれか一つに記載の難燃性組成物において、
構造式中に窒素原子を含有し、かつ、分解温度が100℃以上500℃以下の範囲内にある窒素系難燃剤(N−2)をさらに含む、難燃性組成物。
[5]
上記[4]に記載の難燃性組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、
上記リン系難燃剤(N−1)の含有量と上記窒素系難燃剤(N−2)の含有量との合計が50重量部を超えて500重量部以下であり、
上記環状オレフィン(共)重合体(P)の分解温度と上記窒素系難燃剤(N−2)の上記分解温度との差の絶対値が、180℃以下である、難燃性組成物。
[6]
上記[4]または[5]に記載の難燃性組成物において、
上記窒素系難燃剤(N−2)の上記窒素原子を含有する上記構造式中に酸素原子をさらに含有する、難燃性組成物。
[7]
上記[6]に記載の難燃性組成物において、
上記窒素系難燃剤(N−2)が、メラミンシアヌレート、イソシアヌル酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、リン酸グアニジン、硫酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、テトラホウ酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、硫酸グアニル尿素からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、難燃性組成物。
[8]
上記[4]または[5]に記載の難燃性組成物において、
上記窒素系難燃剤(N−2)がメラミン化合物である、難燃性組成物。
[9]
上記[8]に記載の難燃性組成物において、
上記メラミン化合物が、メラミン、メラミン・メラム・メレム、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、硫酸メラミンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、難燃性組成物。
[10]
上記[1]乃至[9]いずれか一つに記載の難燃性組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(P)が架橋性基を有する、難燃性組成物。
[11]
上記[1]乃至[10]いずれか一つに記載の難燃性組成物において、
上記環状オレフィン(共)重合体(P)が、
下記繰り返し単位(A)と、
下記繰り返し単位(B)および下記繰り返し単位(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位と、
を含む、難燃性組成物;
(A)一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位、
(B)一般式(II)で表される繰り返し単位、一般式(III)で表される繰り返し単位および一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位、
(C)一般式(VI)で表される繰り返し単位、一般式(VII)で表される繰り返し単位、および一般式(VIII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位、
Figure 2014101503
(上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)、
Figure 2014101503
(上記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
Figure 2014101503
(上記一般式(III)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
Figure 2014101503
(上記一般式(IV)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
Figure 2014101503
(上記一般式(VI)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
Figure 2014101503
(上記一般式(VII)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)、
Figure 2014101503
(上記一般式(VIII)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)。
[12]
上記[11]に記載の難燃性組成物において、
上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)を構成する環状オレフィン(B)が、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジシクロペンタジエンからなる群から選ばれる少なくとも一種のジエンである、難燃性組成物。
[13]
上記[11]または[12]に記載の難燃性組成物において、
上記環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位(C)を構成する環状オレフィン(C)が、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンまたはテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンである、難燃性組成物。
[14]
上記[10]乃至[13]いずれか一つに記載の難燃性組成物において、上記環状オレフィン(共)重合体(P)が架橋性基を有し、これを架橋して得られる架橋体。
[15]
上記[1]乃至[13]いずれか一つに記載の難燃性組成物および上記[14]に記載
の架橋体のうち少なくとも一つを含む、成形体。
[16]
プリプレグ、積層体、回路基板、フィルム、シートからなる群から選択される、上記[15]に記載の成形体。
[17]
上記[1]乃至[13]いずれか一つに記載の難燃性組成物と溶媒とを含むワニス。
[18]
上記[1]乃至[13]いずれか一つに記載の難燃性組成物と溶媒とを混合する工程を含む、ワニスの製造方法。
[19]
上記[17]に記載のワニスを繊維基材に含浸し含浸体を得る工程と、上記含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む、プリプレグ製造方法。
本発明によれば、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性を向上させることができる難燃性組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施形態では、「〜」はとくに断りがなければ、以上から以下を表す。
[難燃性組成物]
本実施形態の難燃性組成物は、必須成分として、環状オレフィン(共)重合体(P)と、リン系難燃剤(N−1)とを含んでいる。
以下、各成分について具体的に説明する。
[環状オレフィン(共)重合体(P)]
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は環状オレフィンを必須構成単位とする重合体である。なお、本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は、環状オレフィンの単独重合体であっても、環状オレフィンと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)を構成する環状オレフィンとしては特に限定されないが、例えば、国際公開第2006/0118261号パンフレットの段落0037〜0063に記載の環状オレフィンモノマーを挙げることができる。
また、本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は、架橋構造を形成することにより耐熱性が向上する観点から、例えば二重結合などの架橋性基を有することが好ましい。
特に、本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は、下記繰り返し単位(A)と、下記繰り返し単位(B)および下記繰り返し単位(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位と、を含むことが好ましい。
(A)一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位
(B)一般式(II)で表される繰り返し単位、一般式(III)で表される繰り返し単位および一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位
(C)一般式(VI)で表される繰り返し単位、一般式(VII)で表される繰り返し単位、および一般式(VIII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位
なお、本実施形態において、架橋性基を有する環状オレフィン(共)重合体(P)は、架橋性基が全く反応していない形態(未架橋体)も、架橋性基の少なくとも一部が反応した形態(架橋体)も本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)に含まれる。
Figure 2014101503
上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
Figure 2014101503
上記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(III)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(IV)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(VI)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(VII)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(VIII)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。
(オレフィンモノマー)
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)の共重合原料の一つであるオレフィンモノマーは、付加共重合して上記一般式(I)で表される骨格を与えるモノマーであり、下記一般式(Ia)で表されるオレフィンである。
Figure 2014101503
上記一般式(Ia)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。優れた耐熱性、機械的特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性を有する架橋体(Q)を得る観点から、これらのなかでも、エチレンとプロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーは二種類以上を用いてもよい。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)中に含まれる、上記オレフィン由来の繰り返し単位(A)と、上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)と、上記環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位(C)との合計モル数を100モル%としたとき、オレフィン由来の繰り返し単位(A)の割合が、好ましくは40モル%以上90モル%以下、より好ましくは45モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは50モル%以上80モル%以下である。
(環状オレフィン(B)モノマー)
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)の共重合原料の一つである環状オレフィン(B)は付加共重合して上記一般式(II)、上記一般式(III)、または上記一般式(IV)の構成単位を形成するものである。具体的には、上記一般式(II)、上記一般式(III)、上記一般式(IV)にそれぞれ対応する一般式(IIa)、(IIIa)、(IVa)で表される環状オレフィン(B)が用いられる。
Figure 2014101503
上記一般式(IIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(IIIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(IVa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
上記一般式(IIa)で表される環状オレフィン(B)としては、特に限定されるものではないが、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−n-プロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−6−メチル−2−ノルボルネン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどが挙げられる。このうち5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
上記一般式(IIIa)で表される環状オレフィン(B)としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式で表される環状オレフィン(B)を挙げることができる。これらのうち5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネンが特に好ましい。
Figure 2014101503
Figure 2014101503
上記一般式(IVa)で表される環状オレフィン(B)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジシクロペンタジエン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,10−ペンタデカジエンなどが挙げられる。このうちジシクロペンタジエンが好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は、上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)を含むことによって、側鎖部分、すなわち共重合の主鎖以外の部分に二重結合を有することできる。
環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)として、上記一般式(II)、上記一般式(III)または上記一般式(IV)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)中に含まれる、上記オレフィン由来の繰り返し単位(A)と、上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)と、上記環状オレフィン由来の繰り返し単位(C)との合計モル数を100モル%としたとき、上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)の割合が、好ましくは1モル%以上50モル%以下、より好ましくは3モル%以上45モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上40モル%以下である。
特に、上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)の割合が上記範囲内であると、環状オレフィン(共)重合体(P)から得られる架橋体(Q)は、誘電特性の経時的安定性がより一層優れるとともに耐熱性にも優れる。さらに、機械特性、誘電特性、透明性およびガスバリア性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。言い換えればこれらの物性のバランスに優れた架橋体を得ることができる。
環状オレフィン(B)由来の構成単位(B)の割合が上記上限値以下とすることにより、環状オレフィン(共)重合体(P)の成形性や溶解性を向上させつつ、架橋体(Q)の誘電特性の経時的安定性をより一層向上させることができる。また、環状オレフィン(B)由来の構成単位(B)の割合が上記下限値以上とすることにより、架橋体(Q)の耐熱性、機械的特性をより一層向上させることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は架橋性基を有することが好ましい。架橋性基を有する上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)は、上記一般式(II)、上記一般式(III)または上記一般式(IV)で表される繰り返し単位であることが好ましく、上記一般式(III)または上記一般式(IV)で表される繰り返し単位であることがより好ましく、上記一般式(III)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
具体的には、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジシクロペンタジエンからなる群から選ばれる少なくとも一種のジエンが好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジシクロペンタジエンがより好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンがさらに好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネンが特に好ましい。
(環状オレフィン(C)モノマー)
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)の共重合原料の一つである環状オレフィン(C)は付加共重合して上記一般式(VI)、上記一般式(VII)または上記一般式(VIII)で表される構成単位を形成するものである。具体的には、上記一般式(VI)、上記一般式(VII)または上記一般式(VIII)にそれぞれ対応する一般式(VIa)、(VIIa)または(VIIIa)で表される環状オレフィンモノマーが用いられる。
Figure 2014101503
上記一般式(VIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(VIIa)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2014101503
上記一般式(VIIIa)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。
共重合成分として、上述した一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(VIa)、(VIIa)または(VIIIa)で表される環状オレフィン(C)を用いることにより、環状オレフィン(共)重合体(P)の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりが向上する。
一般式(VIa)、(VIIa)または(VIIIa)で表される環状オレフィン(C)の具体例については国際公開第2006/118261号パンフレットの段落0037〜0063に記載の化合物を用いることができる。
具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体が挙げられる。
一般式(VIa)、(VIIa)または(VIIIa)で表される環状オレフィン(C)の中でも、一般式(VIa)で表される環状オレフィンが好ましい。
上記一般式(VIa)で表される環状オレフィン(C)として、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(テトラシクロドデセン)を用いることが好ましく、テトラシクロドデセンを用いることがより好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および架橋体の弾性率が保持され易く、また異種二重結合構造を含まないため架橋の制御をし易くなる利点がある。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)中に含まれる、上記オレフィン由来の繰り返し単位(A)と上記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)と上記環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位(C)との合計モル数を100モル%としたとき、上記環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位(C)の割合が、好ましくは1モル%以上50モル%以下、より好ましくは3モル%以上45モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上40モル%以下である。
[環状オレフィン(共)重合体(P)が含んでもよいコモノマー]
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は、通常入手できるモノマーをさらに共重合してもよい。例えば、下記一般式(Va)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2014101503
上記一般式(Va)において、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。
上記一般式(Va)で表される直鎖状ポリエンとして、特に限定されるものではないが、例えば、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、DMDT、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエンなどが挙げられる。また1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエンなどのポリエンから環化した環化性のポリエンを用いてもよい。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)は目的とする用途に応じて、モノマーの仕込み比により、そのコモノマー含有量、およびガラス転移温度(Tg)をコントロールできる。本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)のTgは、通常は50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、とくに好ましくは70℃以上200℃以下である。Tgが上記上限値以下であると、環状オレフィン(共)重合体(P)の成形性をより一層向上させることができる。また、Tgが上記下限値以上であると、環状オレフィン(共)重合体(P)を架橋することによって得られる架橋体(Q)の耐熱性や機械的特性が向上する。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)の、135℃中デカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.2〜15dl/gであり、好ましくは0.5〜5dl/gであり、より好ましくは0.5〜3dl/gである。極限粘度[η]が上記上限値以下であると、成形性が向上する。また、極限粘度[η]が上記下限値以上であると、環状オレフィン(共)重合体(P)を架橋することによって得られる架橋体(Q)の耐熱性や機械的特性が向上する。
なお、環状オレフィン(共)重合体(P)の極限粘度[η]は、重合触媒、助触媒、H添加量、重合温度などの重合条件により制御することが可能である。
[環状オレフィン(共)重合体(P)の製造方法]
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)の製造方法は、例えば、国際公開第2012/046443号パンフレットの段落0075〜0219に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法や国際公開第2006/118261号パンフレットの段落0095〜0234に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法にしたがって製造することができる。ここでは詳細は省略する。
[リン系難燃剤(N−1)]
本実施形態の難燃性組成物は、必須成分としてリン系難燃剤(N−1)を含んでいる。ここで、本実施形態のリン系難燃剤(N−1)は、構造式中にリン原子を含む難燃剤をいう。なお、リン系難燃剤(N−1)が塩である場合は、アニオン成分およびカチオン成分の少なくとも一方の構造式中にリン原子が含まれていればよいが、通常はアニオン成分に含まれている。
本実施形態のリン系難燃剤(N−1)は分解温度が100℃以上500℃以下の範囲内にあり、好ましくは200℃以上470℃以下の範囲内にあり、より好ましくは250℃以上450℃以下の範囲内にある。
ここで、上記分解温度の測定方法を説明する。熱重量測定装置(TGA)において、一定温度で昇温しながら(例えば毎分プラス10℃)700℃までサンプル重量を測定する。測定開始時のサンプル重量から5%重量が減少した温度(Td5)を読み取る。この5%重量減少温度(Td5)を分解温度とする。
このような分解温度を有するリン系難燃剤(N−1)としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ポリリン酸塩化合物、リン酸塩化合物、ホスフィン酸塩、ホスホン酸化合物、ホスフィンオキサイド化合物、ホスファイト化合物、ホスフォナイト化合物、ホスフィナイト化合物、ホスフィン化合物、ホスファフェナントレン化合物、赤リンなどが挙げられる。これらの中で、ホスフィン酸塩および赤リンが好ましく、ホスフィン酸塩が特に好ましい。リン系難燃剤(N−1)として、ホスフィン酸塩を用いると、環状オレフィン(共)重合体の優れた誘電特性を維持しつつ難燃性をより一層向上させることができる。なお、本実施形態においては、上記ポリリン酸塩化合物または上記リン酸塩化合物のうち、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、リン酸グアニジン、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、などカチオン成分に窒素原子を含むポリリン酸塩化合物またはリン酸塩化合物は、後述する窒素系難燃剤(N−2)に含まれるため、上記リン系難燃剤(N−1)には含まれない。
本実施形態に係るホスフィン酸塩の好適な具体例としては、下記一般式(1)および一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014101503
Figure 2014101503
上記一般式(1)および一般式(2)において、RおよびRは、互いに同じであっても異なっていてもよい。RおよびRの好ましい例としては、直鎖状のまたは枝分かれした炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜12のアリール基などが挙げられる。
上記一般式(2)において、Rの好ましい例としては、直鎖状のまたは枝分かれした炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数6〜12のアルキルアリーレン基、炭素数6〜12アリールアルキレン基などが挙げられる。
上記一般式(1)および一般式(2)において、Mは金属原子を示し、Mの好ましい例としては、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kなどが挙げられる。m及びnはそれぞれ1〜4の整数を示す。xは1〜4の整数を示す。
上記一般式(1)および一般式(2)で示される化合物の例としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛などが挙げられる。
これらの中でも、好ましくはジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛であり、特に好ましくはジエチルホスフィン酸アルミニウムである。
また、本実施形態に係るリン系難燃剤(N−1)のホスフィン酸塩以外の具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキシノンビスホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)などのリン酸エステル化合物;フェノキシシクロホスファゼン、シアノフェノキシ(フェノキシ)シクロホスファゼンなどのホスファゼン化合物;リン酸アルミニウムなどのリン酸塩化合物;フェニルホスホン酸などのホスホン酸化合物;トリフェニルホスファイトなどのホスファイト化合物;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどのホスファフェナントレン化合物;赤リンなどが挙げられる。
赤リンは破砕片状、球状どちらでもよく、また表面を別な化合物で被覆されていてもかまわない。
上記リン系難燃剤(N−1)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の難燃性組成物中のリン系難燃剤(N−1)の含有量は、本実施形態の環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、30重量部以上300重量部以下であり、好ましくは40重量部以上250重量部以下であり、より好ましくは50重量部を超えて以上200重量部以下である。
本実施形態のリン系難燃剤(N−1)の含有量が、上記上限値以下であると、環状オレフィン(共)重合体(P)の誘電特性の低下を抑制することができたり、後述するプリプレグ作製時の歩留まりを向上させることができたりする。また、本実施形態のリン系難燃剤(N−1)の含有量が、上記下限値以上であると、環状オレフィン(共)重合体(P)の難燃性を向上させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、環状オレフィン(共)重合体(P)に対し、上記リン系難燃剤(N−1)を上記範囲内で混合させることにより、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性にも優れる成形体を得ることが可能な難燃性組成物を得ることができる。このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
まず、分解温度が上記範囲内にあるリン系難燃剤(N−1)は、環状オレフィン(共)重合体(P)が燃焼する前後に、高熱に触れて酸化されると、脱水作用をもつリン酸化合物に変化する。このリン酸化合物は強酸であり、環状オレフィン(共)重合体(P)から脱水あるいは脱水素させ、上記重合体(P)の加熱された表面を炭化させるとともに自らは水と結合してポリリン酸となり、炭化した上記重合体(P)を覆って酸素などの燃焼ガスとの接触を遮断する。これにより燃焼が抑制される。また炭化した層(炭化層)によって、環状オレフィン(共)重合体(P)が熱で分解して生じる炭化水素ガスの発生を防止し、燃焼を抑制すると推察される。
[窒素系難燃剤(N−2)]
本実施形態の難燃性組成物は、構造式中に窒素原子を含有し、かつ、分解温度が100℃以上500℃℃以下の範囲内、好ましくは200℃以上470℃以下の範囲内、より好ましくは250℃以上450℃以下の範囲内にある窒素系難燃剤(N−2)をさらに含むことが好ましい。ここで、本実施形態の窒素系難燃剤(N−2)は、構造式中に窒素原子を含む難燃剤をいう。なお、窒素系難燃剤(N−2)が塩である場合は、アニオン成分およびカチオン成分の少なくとも一方の構造式中に窒素原子が含まれていればよいが、通常はカチオン成分に含まれている。また、ホスファゼン化合物のように一つの構造式中に窒素原子とリン原子を両方含むものは、上述したリン系難燃剤(N−1)に該当するため、本実施形態では、ホスファゼン化合物は窒素系難燃剤(N−2)に含まれない。窒素系難燃剤(N−2)の分解温度の測定方法は、上述したリン系難燃剤(N−1)の分解温度と同様である。
本実施形態の難燃性組成物は、難燃剤として、リン系難燃剤(N−1)に加え、窒素系難燃剤(N−2)をさらに含むことにより、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性をより一層向上させることができる。このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
まず、上述したように、本実施形態のリン系難燃剤(N−1)を用いると、環状オレフィン(共)重合体(P)の表面にポリリン酸の被膜が効果的に形成され、酸素などの燃焼ガスと上記重合体との接触が遮断され、上記重合体の燃焼が抑制されると推察される。
一方、分解温度が上記範囲内にある窒素系難燃剤(N−2)は環状オレフィン(共)重合体(P)が燃焼する前後に分解し、窒素ガスを発生すると推察される。そして、発生した窒素ガスにより、環状オレフィン(共)重合体(P)の表面近傍に存在する酸素などの燃焼ガスが希釈される。その結果、上記重合体の燃焼が抑制されると考えられる。
また窒素系難燃剤(N−2)がその化合物中に酸素原子を有する場合には、環状オレフィン(共)重合体(P)が燃焼する前後に分解し、窒素ガスだけではなく、炭酸ガスも発生し、より燃焼に係る酸素ガスの希釈効果が高まると推察される。
また、上記リン系難燃剤(N−1)と上記窒素系難燃剤(N−2)を併用することにより、リン系難燃剤(N−1)が炭化層を形成する際に、窒素ガス、場合によっては、炭酸ガスによって炭化層が発泡して、ポリリン酸の粘性のある被覆膜と絡みあって、より難燃効果の高い炭化層となると推察される。
このように、リン系難燃剤(N−1)と窒素系難燃剤(N−2)とは、環状オレフィン(共)重合体(P)の燃焼抑制メカニズムが異なる。そのため、リン系難燃剤(N−1)と窒素系難燃剤(N−2)とを併用することにより、環状オレフィン(共)重合体(P)の難燃性をより効果的に向上させることができると考えられる。
すなわち、本実施形態の難燃性組成物は、難燃剤として、リン系難燃剤(N−1)に加え、窒素系難燃剤(N−2)をさらに含むことにより、リン系難燃剤(N−1)によるポリリン酸被膜の形成効果と窒素系難燃剤(N−2)による燃焼ガス希釈効果とが高度にバランスされ、さらに、炭化層が発泡して厚みを持ち、ポリリン酸の粘性のある皮膜と絡み合うことによって、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性をより一層向上させることができると推察される。
窒素系難燃剤(N−2)が酸素原子をその構造中に有する場合には、さらなる難燃効果を発揮すると考えられる。
上記窒素系難燃剤(N−2)としては、メラミン、メラミン・メラム・メレム、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、硫酸メラミンなどのメラミン化合物;塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、リン酸グアニジン、硫酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、テトラホウ酸グアニジン、炭酸グアニジンなどのグアニジン化合物;イソシアヌル酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌル化合物;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラムなどのポリリン酸塩;リン酸グアニル尿素;硫酸グアニル尿素などが挙げられる。
上記窒素系難燃剤(N−2)としては、メラミン、メラミン・メラム・メレム、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、硫酸メラミンなどのメラミン化合物;メラミンシアヌレート、イソシアヌル酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、リン酸グアニジン、硫酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、テトラホウ酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、硫酸グアニル尿素などの窒素原子を含有する構造式中に酸素原子をさらに含有するものが好ましく、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、硫酸メラミンがより好ましく、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、硫酸メラミンがさらに好ましく、メラミンシアヌレートが特に好ましい。
ここで、窒素系難燃剤(N−2)が塩である場合、「窒素原子を含有する構造式中に酸素原子をさらに含有する」とは、アニオン成分およびカチオン成分の少なくとも一方の構造式中に窒素原子および酸素原子の両方が含まれていることを意味する。リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、硫酸メラミンなどのように、アニオン成分の構造式中のみに酸素原子を含有し、カチオン成分の構造式中のみに窒素原子を含有する場合は「窒素原子を含有する構造式中に酸素原子をさらに含有する」に該当しない。
なお、メラミンシアヌレートとは別名シアヌル酸メラミンと呼び、メラミンとイソシアヌル酸からなる有機塩である。
上記窒素系難燃剤(N−2)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
リン系難燃剤(N−1)と窒素系難燃剤(N−2)を併用する効果を上記で既に説明したが、併用するその他の効果について説明する。環状オレフィン(共)重合体(P)中でのリン系難燃剤(N−1)の分散性が悪い場合に、窒素系難燃剤(N−2)を添加することでリン系難燃剤(N−1)の分散性を向上させることができる。
また、窒素系難燃剤(N−2)の添加量を多くすると、環状オレフィン(共)重合体(P)の誘電特性、とくに誘電正接(tanδ)が悪化する場合があるが、リン系難燃剤(N−1)と窒素系難燃剤(N−2)とを併用することで、環状オレフィン(共)重合体(P)の誘電特性の悪化を抑制することができる。実際、本発明者らは、リン系難燃剤(N−1)であるジエチルホスフィン酸アルミニウムと、窒素系難燃剤(N−2)であるメラミンシアヌレートとを併用することにより、ジエチルホスフィン酸アルミニウムの添加量を増加しても、環状オレフィン(共)重合体(P)の誘電特性の悪化が抑制されることを確認した。
本実施形態の難燃性組成物中の窒素系難燃剤(N−2)の含有量は、環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、好ましくは1重量部以上300重量部以下であり、より好ましくは2重量部以上250重量部以下であり、さらに好ましくは3重量部以上200重量部以下である。
本実施形態の窒素系難燃剤(N−2)の含有量が、上記上限値以下であると、環状オレフィン(共)重合体(P)の誘電特性の低下をより一層抑制することができる。また、本実施形態の窒素系難燃剤(N−2)の含有量が、上記下限値以上であると、環状オレフィン(共)重合体(P)の難燃性をより一層向上させることができる。すなわち、窒素系難燃剤(N−2)の含有量が上記範囲内にあると、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性をより一層向上させることができる。
また、環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、上記リン系難燃剤(N−1)の含有量と上記窒素系難燃剤(N−2)の含有量との合計が、好ましくは50重量部を超えて500重量部以下であり、より好ましくは60重量部以上450重量部以下であり、さらに好ましくは65重量部以上400重量部以下である。上記リン系難燃剤(N−1)の含有量と上記窒素系難燃剤(N−2)の含有量との合計が上記範囲内にあると、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性をより一層向上させることができる。
また、上記窒素系難燃剤(N−2)の含有量に対する上記リン系難燃剤(N−1)の含有量の比は、好ましくは0.1以上100以下であり、より好ましくは0.2以上50以下であり、さらに好ましくは0.3以上20以下であり、とくに好ましくは0.4以上15以下である。上記窒素系難燃剤(N−2)の含有量に対する上記リン系難燃剤(N−1)の含有量との比が上記範囲内にあると、環状オレフィン(共)重合体の優れた耐熱性および誘電特性を維持しながら難燃性をより一層向上させることができる。
また、上記環状オレフィン(共)重合体(P)の分解温度と上記窒素系難燃剤(N−2)の上記分解温度との差の絶対値が、好ましくは180℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、とくに好ましくは120℃以下である。上記環状オレフィン(共)重合体(P)の上記分解温度と上記窒素系難燃剤(N−2)の上記分解温度との差の絶対値が上記上限値以下であると、リン系難燃剤(N−1)と窒素系難燃剤(N−2)による上記環状オレフィン(共)重合体(P)の燃焼抑制効果がより一層効果的に起きる。
ここで、上記環状オレフィン(共)重合体(P)の分解温度は、上述したリン系難燃剤(N−1)と同様であり、5%重量減少温度のことをいう。上記環状オレフィン(共)重合体(P)の分解温度の測定方法は、上述したリン系難燃剤(N−1)の分解温度と同様である。また、上記環状オレフィン(共)重合体(P)が架橋性基を有する場合、上記環状オレフィン(共)重合体(P)を架橋して得られる架橋体の分解温度を上記環状オレフィン(共)重合体(P)の分解温度とする。
本実施形態の難燃性組成物は、本発明の効果を大きくは損なわない範囲内で、リン系難燃剤(N−1)および窒素系難燃剤(N−2)以外にさらに公知の難燃剤を含んでもよい。
具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ベーマイトなどの金属水酸化物;酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなどのアンチモン化合物;2ZnO・3B、4ZnO・B・HO、2ZnO・3B・3.5HOなどのホウ酸亜鉛;スズ酸亜鉛、リン酸亜鉛などの亜鉛化合物;ホウ酸カルシウム、モリブデン酸カルシウムなどのカルシウム化合物;リン酸アルミニウム;シリコーン系難燃剤;硫黄系難燃剤などが挙げられる。
本実施形態の難燃性組成物においては、本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)のうち、2種類以上を混合しても構わない。
また、本実施形態の難燃性組成物においては、難燃性、誘電特性、耐熱性、生産性等本発明の目的を損なわない範囲で、その他の樹脂を混合して用いてもよい。
混合してもよい樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン、AS(アクリロニトリル‐スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン)樹脂等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリメタクリル酸メチル、アクリル樹脂等のアクリル系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリエチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド樹脂;アセタール樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;フェノール樹脂;メラミン樹脂;ユリア樹脂;ポリウレタン樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、等が挙げられる。
混合の方法としては、粉体で混合する方法、本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)とその他の樹脂の両方を溶媒に溶解させて混合する方法、環状オレフィン(共)重合体(P)もしくはその他の樹脂のどちらか一方を溶媒に溶解させて混合する方法、環状オレフィン(共)重合体(P)とその他の樹脂の両方を溶融させて混合する方法、環状オレフィン(共)重合体(P)もしくはその他の樹脂のどちらか一方を溶融させて混合する方法、等が挙げられる。
本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)とその他の樹脂とを混合する場合、本実施形態に係る架橋体(Q)は、その他の樹脂と架橋等の反応により結合をしていてもよく、架橋体(Q)とその他の樹脂が反応せずに分散していてもよい。
(ワニス)
本実施形態において得られた難燃性組成物は、溶媒と混合することによりワニスとすることができる。上記ワニスを調整するための溶媒としては、環状オレフィン(共)重合体(P)に対して溶解性または親和性を示し、リン系難燃剤(N−1)および窒素系難燃剤(N−2)を分散または溶解させることができるものが好ましい。溶媒として好ましく用いられるものは、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。より好ましくはトルエン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレンである。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態において、ワニスを作製する方法としては、いかなる方法で実施してもよいが、通常は難燃性組成物と溶媒とを混合する工程を含む。各成分の混合については、その順序に制限はなく、一括または分割などのいかなる方式でも実施することができる。ワニスを調製する装置としても、制限はなく、撹拌、混合が可能な、バッチ式、もしくは連続式の、いかなる装置で実施してもよい。ワニスを調製する際の温度は、室温から溶媒の沸点までの範囲で任意に選択することができる。
なお、環状オレフィン(共)重合体(P)が得られた際の反応溶液をそのまま溶媒として用いてワニスを調製してもよい。また、環状オレフィン(共)重合体(P)を精製した後、別途溶媒を添加することによりワニスを調製してもよい。
[架橋体(Q)の製造方法]
本実施形態の架橋体(Q)は、上述の難燃性組成物を架橋することにより得られる。難燃性組成物の架橋方法としては特に制限はないが、ラジカル重合開始剤や硫黄、電子線や他の放射線を用いて、任意の形に成形しながら、または成形後に架橋する方法などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤による架橋は、ポリオレフィンで適用されている通常のラジカル重合開始剤による架橋方法をそのまま適用できる。すなわち本実施形態に係る環状オレフィン(共)重合体(P)にジクミルペルオキシドのようなラジカル重合開始剤を配合し、加熱、架橋する。ラジカル重合開始剤の配合割合は特に制限がないものの、環状オレフィン(共)重合体(P)100重量部あたり通常は0.02〜20重量部であり、好ましくは0.05〜10重量部であり、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。ラジカル重合開始剤の配合割合が上記上限値以下であると、架橋体(Q)の誘電特性が向上し、上記下限値以上であると、架橋体(Q)の耐熱性、機械的特性を向上させることができる。
本実施形態において、ラジカル重合開始剤としては、公知の熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤およびこれらを併用することができる。これらのラジカル重合開始剤のうち、熱ラジカル開始剤を使用する場合は、保存安定性の観点から10時間半減期温度が通常80℃以上、好ましくは120℃以上のものである。このような開始剤として、例えば、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)2,5−ジメチルヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、イソプロピルクミル−t−ブチルペルオキシド、ビス(α−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、エチル−3,3−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトラオキシシクロノナンなどのペルオキシケタール類;ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシアセテートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルハイドロペルオキシド、t−ヘキシルハイドロペルオキシド、クミンハイドロペエルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、p−メンタンハイドロペルオキシドなどのハイドロペルオキシド類;2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどのビベンジル化合物類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパンなどが挙げられる。
ラジカル重合開始剤のうち、光ラジカル開始剤は具体的には、例えば、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントンおよびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。また、これらの光ラジカル開始剤とともに増感剤を使用することもできる。増感剤の例としては、アントラキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、ベンズアントロン、p,p'−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、クロラニルなどのカルボニル化合物、ニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、2−ニトロフルオレンなどのニトロ化合物、アントラセン、クリセンなどの芳香族炭化水素、ジフェニルジスルフィドなどの硫黄化合物、ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−ニトロ−2−アミノトルエン、テトラシアノエチレンなどの窒素化合物などを挙げることができる。
硫黄などにより架橋する場合には、難燃性組成物に硫黄系化合物、必要に応じて加硫促進剤、加硫促進助剤を配合して加熱し、架橋反応を行う。硫黄系化合物の配合量はとくに制限はないものの、架橋反応を効率よく進行させ、かつ得られる架橋体の物性改善を計ることおよび経済性の面などから、環状オレフィン(共)重合体(P)100重量部に対して通常は0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の範囲で使用される。加硫促進剤や加硫促進助剤を併用する場合には通常は0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の範囲で使用される。
架橋反応を起こすため使用される硫黄系化合物は公知の種々のものが使用でき、例えば、硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。また加硫促進剤も種々のものを使用でき、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミドなどのチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジンなどのグアニジン系;アセトアルデヒド−アニリン反応物;ブチルアルデヒド−アニリン縮合物;ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン、またはアルデヒド−アンモニア系;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系;チオカルバニリド、ジエチルチオユリアジブチルチオユリアなどのチオユリア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛などのジチオ酸塩系;ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザンテート系;などを挙げることができる。加硫促進剤としては、酸化亜鉛、活性亜鉛華、炭酸亜鉛、複合亜鉛華、酸化マグネシウム、リサージ、鉛丹、塩基性炭酸鉛などの金属酸化物系;ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸鉛などの脂肪酸系;トリエタノールアミン、ジエチレングリコールなどの有機アミン・グリコール系などを挙げることができる。
本実施形態における難燃性組成物をラジカル開始剤架橋または硫黄架橋する場合、架橋する温度は通常は100〜350℃、好ましくは120〜300℃、さらに好ましくは120〜250℃の温度で行い、温度を段階的に変化させて架橋を行ってもよい。上記下限値以上であると、架橋を十分に進行させることができる。また、上記上限値以下であると、得られる架橋体の着色が抑制できたり、プロセスを簡略化できたりする。なお、参考として、代表的な二重結合含有重合体であるポリブタジエンは、300℃のような高温での架橋条件を必要とする。
電子線や他の放射線を用いて架橋する方法は、成形時の温度、流動性の制限を伴わないという利点があり、放射線としては、電子線の他、γ線、UVなどを挙げることができる。
ラジカル重合開始剤や硫黄などを用いる方法、放射線を用いて架橋する方法のいずれの場合も、架橋助剤の併用下に架橋することができる。
架橋助剤としては、特に制限はないが、例えば、p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム類;エチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどのアクリレートもしくはメタクリレート類;ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジンなどのビニルモノマー類;ヘキサメチレンジアリルナジイミド、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのアリル化合物類;N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−(4,4'−メチレンジフェニレン)ジマレイミドなどのマレイミド化合物類;ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの環状非共役ジエン類などが挙げられる。これらの架橋助剤は単独で用いてもよいし、組み合わせて使用することもできる。
本実施形態の架橋体(Q)には、必要に応じて、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤などを本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。任意成分として配合される安定剤として、具体的には、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス〔エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレートなどの多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらは単独で配合してもよいし、組合せて配合してもよく、例えば、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンとステアリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せなどを例示できる。
有機または無機の充填剤としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。
本実施形態の架橋体(Q)と各種添加剤を混合するには、難燃性組成物と各種添加剤を押出機などで溶融ブレンドする方法、または難燃性組成物と各種添加剤を適当な溶媒、例えばヘプタン、ヘキサン、デカン、シクロヘキサンのような飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素などに溶解、分散させて行う溶液ブレンド法などを採用することができる。
架橋反応は、本実施形態の難燃性組成物と、上記したラジカル重合開始剤の如き架橋に与る化合物の混合物を溶融状態として行うこともできる。また、該混合物を溶媒に溶解、または分散させた溶液状態で行うこともできるし、溶媒に溶解した溶液状態から溶媒を揮発させフィルム、コーティングなど任意の形に成形した後にさらに架橋反応を進行させることもできる。
溶融状態で反応を行う場合はミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機、ニーダ、連続ミキサーなどの混練装置を用いて、原料の混合物を溶融混練して反応させる。また、任意の手法で成形した後に、さらに架橋反応を進行させることもできる。
溶液状態で反応を行う場合に使用する溶媒としては上記溶液ブレンド法で用いた溶媒と同様の溶媒が使用できる。
電子線またはその他の放射線、UVを用いて架橋反応を行う場合には、任意の方法で付形した後に、反応を行うことができる。
[架橋体(Q)]
上述の方法により得られる本実施形態の架橋体(Q)は、誘電特性および、その経時的安定性に極めて優れている。難燃剤は通常極性成分化合物であるため、難燃性組成物は、難燃剤を含まない樹脂組成物に比べて誘電特性が悪化することが多い。
本実施形態の架橋体(Q)として、フィルムを積層して積層シートを得る場合の製造方法を述べる。
まず、本実施形態の難燃組成物と有機溶媒を混合して、難燃剤を含んだワニスを得る。次にこのワニスを離型フィルムなどの支持体上にキャストし、オーブン中で乾燥させる。次いで、オーブンから取り出し、離型フィルムから剥がすことにより、難燃剤を含んだキャストフィルムが得られる。この作業を必要回数繰り返して、キャストフィルムを複数枚作製する。得られた複数のキャストフィルムを積層して、加熱下でプレスすることによって、積層シートを得ることができる。
架橋体(Q)、すなわち積層シートの電気特性として、12GHzにおける誘電率が好ましくは3.3以下であり、より好ましくは3.0以下であり、誘電正接(tanδ)が、好ましくは0.007以下であり、より好ましくは0.005以下である。
また、本実施形態の架橋体(Q)は、周波数1Hz、引っ張りモードで測定された260℃での固体粘弾性測定において、貯蔵弾性率(E')が、好ましくは0.1GPa以上であり、より好ましくは0.2GPa以上であり、さらに好ましくは0.25GPa以上1.0GPa以下である。このような架橋体(Q)は、耐熱性に優れ、高い耐熱性を要求される電子部品などの分野に適している。
さらに、本実施形態の架橋体(Q)は、周波数1Hz、引っ張りモードで測定された固体粘弾性測定において、温度260℃での貯蔵弾性率(E')をAとし、温度30℃での貯蔵弾性率(E')をBとした場合において、式:A/B≧0.05を満たすことが好ましい。
また、本実施形態の架橋体(Q)は、上記と同様の条件で測定された固体粘弾性測定において、30℃〜300℃の温度範囲における損失正接(tanδ)の最大値が、好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.45以下である。
また、本実施形態の架橋体(Q)のうち、ガラスクロスに含浸させたプリプレグ、プリプレグを積層した積層体(架橋体:Q')の製造方法を述べる。
まず、本発明の難燃組成物と有機溶媒を混合して、難燃剤を含んだワニスを得る。次にこのワニス中にガラスクロスを含浸し、オーブン中で乾燥させ、オーブンから取り出すことによって、難燃剤を含んだプリプレグが得られる。この作業を必要回数繰り返し、プリプレグを複数枚作製する。得られた複数枚のプリプレグを積層し、加熱下でプレスすることによって、積層体、すなわち架橋体(Q')を得ることができる。
ここで使用するガラスクロスは幾つかの種類があるが、ガラスクロスの種類によっては誘電特性を悪化させる場合がある。一番汎用で使用されるEガラスクロスは、安価であるが、誘電率6.1〜6.7、誘電正接0.0011であり、使用した積層体は、誘電特性が悪化する傾向となる。
本実施形態に係る難燃性組成物をEガラスクロスに含浸させたプリプレグを10枚積層し加熱下で加圧して架橋させた積層体すなわち架橋体(Q')は、12GHzにおける誘電率が好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.7以下であり、さらに好ましくは3.4以下である。また誘電正接(tanδ)が、好ましくは0.0085以下であり、より好ましくは0.0065以下であり、さらに好ましくは0.0050以下である。
ガラスクロスを含む積層体、すなわち架橋体(Q')の動的粘弾性測定について説明する。まず、TA-Instruments社製のRSA−IIIを用いて窒素下で動的粘弾性を測定する。ここで、貯蔵弾性率(E')および損失弾性率(E")は、粘弾性体に正弦的振動ひずみを与えたときの応力と、ひずみの関係を表わす複素弾性率を構成する項であり、TA-Instruments社製のRSA−IIIによる三点曲げモード(Auto tension、Autostrain制御)により3℃/minの昇温速度、周波数1Hzにて測定される値である。ガラス転移温度は損失正接(tanδ)=E'/E"のピークトップにより決定することができ、本実施形態に係る架橋体(Q')のガラス転移温度Tgは、通常は150℃以上300℃以下である。
本実施形態の架橋体(Q')は、上記方法で測定された260℃での固体粘弾性測定において、貯蔵弾性率(E')が、好ましくは0.1GPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。
本実施形態の架橋体(Q')は、ガラス転移点を超えても貯蔵弾性率(E')が低下しにくい。つまり、ガラス転移点を超えた高温領域においても高弾性率を維持することができ、耐熱性に優れ、高い耐熱性を要求される上記のような電子部品などの分野に好適に用いることができる。
また、本実施形態の架橋体(Q')は、上記と同様の条件で測定された固体粘弾性測定において、30℃〜300℃の温度範囲における損失正接(tanδ)の最大値が、好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.45以下である。
このように、損失正接(tanδ)の最大値が上記の範囲内にあると、架橋体(Q)おおよび(Q')の架橋密度は高く、熱膨張率(CTE)は低くなる。したがって、例えば、高周波回路を製造する際のプロセス温度(はんだ工程:260℃程度)においても耐熱性を有し、基板やフィルム(シートを含む)として形態安定性に優れる。
[用途]
本実施形態の架橋体(Q)は、難燃性、耐溶剤性、耐熱性、機械的強度、透明性に優れるので、当該架橋体を含む成形体は、例えば、光ファイバー、光導波路、光ディスク基板、光フィルター、レンズ、光学用接着剤、PDP用光学フィルター、有機EL用コーティング材料、航空宇宙分野における太陽電池のベースフィルム基材、太陽電池や熱制御システムのコーティング材、半導体素子、発光ダイオード、各種メモリー類などの電子素子、ハイブリッドIC、MCM、回路基板、回路基板の製造に用いられるプリプレグや積層体、表示部品などのオーバコート材料あるいは層間絶縁材料、液晶ディスプレイや太陽電池の基板といった用途で使用することができる。
特に、誘電特性、耐熱性、難燃性だけでなく、機械的特性などにも優れるので、高周波回路基板、該高周波回路基板の製造に用いられるフィルムやシート、プリプレグ、積層体などに好適に用いることができる。
[フィルムまたはシート]
本実施形態の難燃性組成物はフィルムまたはシート状に成形して各種用途に用いることができる。本実施形態の難燃性組成物を用いて、フィルムまたはシートを形成する方法としては、各種公知の方法が適用可能であるが、例えば、熱可塑性樹脂フィルムなどの支持基材上に上述したワニスを塗布して乾燥後、加熱処理などして難燃性組成物を架橋することにより形成する方法が挙げられる。ワニスの支持基材への塗布方法は特に限定されないが、例えば、スピンコーターを用いた塗布、スプレーコーターを用いた塗布、バーコーターを用いた塗布などを挙げることができる。
また、本実施形態の難燃性組成物を溶融成形して、フィルムまたはシートを得る方法も挙げることができる。
[プリプレグ]
また、本実施形態のプリプレグは、本実施形態の難燃性組成物と補強繊維とを複合して形成されたものである。
プリプレグの製造方法としては特に限定されず、各種公知の方法が適用可能である。例えば、上述したワニスを補強繊維に含浸し含浸体を得る工程と、得られた含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む方法が挙げられる。
上記ワニスの補強繊維への含浸は、例えば、所定量のワニスを、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の方法により補強繊維に塗布し、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。
また、上記含浸体を加熱し上記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程はとくに限定されないが、例えば、バッチ式で送風乾燥機により空気中あるいは窒素中で乾燥する、あるいは、連続工程で加熱炉を通すことによって乾燥する、などの方法を挙げることができる。
本実施形態においては、ワニスを補強繊維に含浸させた後、得られた含浸体を所定温度に加熱することにより、上記ワニスに含まれる溶媒が蒸発し、プリプレグが得られる。
本実施形態に係る補強繊維としては特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維:などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス、Qガラスなどの繊維が好適に用いることができる。
これらの補強繊維は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、所望により適宜選択されるが、プリプレグあるいは積層体中の、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械強度が高度にバランスされ、好適である。
本実施形態に係るプリプレグの厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常は0.001〜10mmであり、好ましくは0.005〜1mmであり、より好ましくは0.01〜0.5mmである。この範囲にあれば、積層時の賦形性、また、硬化して得られる積層体の機械強度や靭性などの特性が充分に発揮され好適である。
(高周波回路基板)
上述したように、本実施形態の難燃性組成物は、誘電特性、耐熱性および難燃性に優れることから、高周波回路基板に好適に用いることができる。
高周波回路板の製造方法としては一般的に公知の方法が採用でき特に限定はされないが、例えば、前述の方法により製造したフィルム、シートまたはプリプレグを積層プレスなどにより加熱硬化し、架橋体を形成する。次いで、得られた架橋体に導体層を公知の方法で積層し、積層体を作製する。その後、該積層体中の導体層を回路加工などすることにより、高周波回路基板を得ることができる。
導体層となる金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ステンレスなどの金属を用いることができる。導体層の形成方法としては、該金属類を箔などにして架橋体に熱融着させる方法以外にも、接着剤を用いて張り合わせる方法、もしくはスパッタ、蒸着、めっきなどの方法で積層して形成する方法で作成することができる。積層体の態様としては、片面板、両面板のいずれでもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
なお、合成例、実施例、比較例で用いた環状オレフィン(共)重合体(P)の組成、極限粘度η(dl/g)、ガラス転移温度Tg(℃)、架橋体(Q)のガラス転移温度Tg(℃)は、次に述べる方法で測定した。
組成:H−NMR測定を行い、二重結合炭素に直接結合している水素由来のピークとそれ以外の水素のピークの強度により環状非共役ジエン含量を算出した。
極限粘度[η]:135℃デカリン中で測定した。
環状オレフィン(共)重合体(P)のガラス転移温度(架橋前):
示差走査熱量測定(DSC)セイコーインスツル社製DSC−6220を用いて、窒素気流下、20℃から200℃まで10℃/分で昇温した後、200℃から20℃まで、−10℃/分で降温し、再度20℃から300℃まで同条件で昇温したときのピークをTgとして読み取った。
架橋体Qのガラス転移温度:
TA-Instruments社製のRSA−IIIを用いて窒素下で動的粘弾性を測定した。ここで、貯蔵弾性率(E')および損失弾性率(E")は、粘弾性体に正弦的振動ひずみを与えたときの応力と、ひずみの関係を表わす複素弾性率を構成する項であり、TA-Instruments社製のRSA−IIIによる引張粘弾性測定により3℃/minの昇温速度、周波数1Hz、ひずみ0.1にて測定される値である。ガラス転移温度は損失正接(tanδ)=E'/E"のピークトップにより決定した。
実験には以下の原材料を用いた。
遷移金属化合物(1)
(特開2004−331965号公報に記載の方法により合成。)
Figure 2014101503
メチルアルミノキサン(アルベマーレ社製:20%MAOトルエン溶液)
シクロヘキサン(和光純薬工業社製:和光特級)
トルエン(和光純薬工業社製:和光特級)
キシレン(和光純薬工業社製:和光特級)
ジシクロペンタジエン(関東化学社製:鹿1級)
5−ビニル−2−ノルボルネン(東京化成工業社製)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(三井化学社製)
2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(関東化学社より購入)
Figure 2014101503
ジエチルホスフィン酸アルミニウム(Clariant社製、Exolit OP935、分解温度387℃)
赤リン(燐化学工業社製、ノーバエクセル140F、分解温度416℃)
メラミンシアヌレート(日産化学社製、MC−6000、分解温度342℃)
ポリリン酸メラミン・メラム・メレム(日産化学社製、PHOSMEL−200、分解温度395℃)
水酸化アルミニウム(昭和電工社製、ハイジライトH−10、分解温度202℃)
破砕シリカ(龍森社製、AS−1)
表1および表2の共重合体P−2:環状オレフィン系共重合体(三井化学社製、アペル6015T、Tg=145℃、分解温度445℃)
〔合成例1:環状オレフィン(共)重合体(P−1)の合成〕
十分に窒素置換した内容積2Lのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン1500mL、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)36.5g、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(TD)16.3gを装入し、液相および気相を100NL/hの流量のエチレンガスで飽和させた。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で3mmol、引き続き、遷移金属化合物(1)0.010mmolをトルエン1mLに溶解させて加え、重合を開始した。上記のエチレンガス雰囲気下25℃常圧で25分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することで重合を停止した。重合終了後、反応物を、20mLの濃塩酸を加えたアセトン5600mLとメタノール1900mLの混合溶媒に投入してポリマーを全量析出させ、撹拌後濾紙でろ過した。本操作を反応物がなくなるまで繰り返して得られた全ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TD/VNB共重合体P−1(未架橋体)を4.6g得た。必要に応じて合成を繰り返し所定の量を得た。
エチレン/TD/VNB共重合体P−1(未架橋体)の分析を行ったところ、極限粘度[η]は0.83(dl/g)、NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は30.8mol%、TD由来構造の組成比は8.6mol%であった。ガラス転移温度は106℃であった。なお、エチレン/TD/VNB共重合体P−1の未架橋体の分解温度も参考のために測定すると442℃であった。
[実施例1]
(ワニス1の調製)
合成例1で得られたエチレン/TD/VNB共重合体P−1を20g、重合(架橋)開始剤として上記化学式で表される2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(DMDPB)を1g、難燃剤としてジエチルホスフィン酸アルミニウムを24g、フィラーとして破砕シリカを5g、キシレン80gに加えて混合し、スラリー状のワニス1を得た。
(プリプレグ1の作製)
以下の手順に従い、プリプレグの生産性を評価した。まず、得られたワニス1にEガラスクロス(旭シュエーベル社製、#1080)を含浸し、送風乾燥機中140℃で10分乾燥することにより、厚さ0.08mmのプリプレグ1を作製した。このとき、送風乾燥機の窓より送風乾燥機内の状態を観察し、以下の評価をした。
○ : 特に問題なし
△ : ワニスがガラスクロス表面上部より下部に向かって垂れるもの
× : ワニスが乾燥機床面に設置した受器に垂れ落ちるもの
次いで、得られたプリプレグ1の厚みを測定した。また、形状・外観を目視で観察し、以下の評価をした。
○ : 厚みムラが14%未満で、外観良好
△ : 厚みムラが14%以上25%未満、形状は問題なし
× : 厚みムラが25%以上あり、形状が不良
(積層体1の作製)
以下の手順に従い、積層体1の生産性を評価した。
まず、得られたプリプレグ1の端を切り落として150mm角とした。このとき、プリプレグ1の状態を観察し、以下の評価をした。
○ : 特に問題なし
△ : プリプレグ切り出し時に切り出し粉がポロポロ落ちる
× : プリプレグ切り出し時に切り出し粉がポロポロ落ちると共にプリプレグ表面が割れてしまう
次いで、150mm角に切り出したプリプレグ1を10枚重ねて、加熱および加圧して積層体1を作製した。なお、この加熱によって、環状オレフィン(共)重合体(P)に含まれる架橋基が架橋され、架橋体(Q1)となった。加熱条件は140℃/20分、220℃/120分、240℃/120分、プレス圧力1.5MPaの多段階加熱とした。
そして、得られた積層体1を目視で観察し、以下の評価をした。
○ : 特に問題なし
△ : やや厚みムラ、ベタツキ、あるいはブリードアウトがあり
× : 厚みムラ、形状が不良(難燃剤の可塑剤効果による樹脂の流出)あるいは発泡(難燃剤の分解によるガス発生)によるボイドがあり
(誘電特性)
得られた積層体1を用いて、円筒空洞共振器法により、12GHzでの誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)の測定を行った。
次いで、下記の式より誘電率の変化率を算出し、下記の評価をした。つまり、難燃剤の添加によって、難燃剤を含まない樹脂と比べて、誘電率がどれだけ悪化したかを確認した。
ここで、上記ワニス1から難燃剤を除いたワニスを用いて上記方法により作製した積層体の誘電率をεp、上記ワニス1を用いて上記方法により作製した積層体の誘電率をεfrとした。
誘電率の変化率=(εfr−εp)/εp×100
○ : 誘電率の変化率が0%以上10%以下
△ : 誘電率の変化率が10%を超えて20%以下
× : 誘電率の変化率が20%を超える
次いで、下記の式より誘電正接(tanδ)の変化率を算出し、下記の評価をした。つまり、難燃剤の添加によって、誘電正接(tanδ)がどれだけ悪化したかを確認した。
ここで、上記ワニス1から難燃剤を除いたワニスを用いて上記方法により作製した積層体の誘電正接をDp、上記ワニス1を用いて上記方法により作製した積層体の誘電正接をDfrとした。
誘電正接の変化率=(Dfr−Dp)/Dp×100
◎ : 誘電正接の変化率が0%以上50%以下
○ : 誘電正接の変化率が50%を超えて80%以下
△ : 誘電正接の変化率が80%を超えて150%以下
× : 誘電正接の変化率が150%を超える
(燃焼試験)
上記で得られた積層体1より、長さ70mm、幅10mm、のサンプル5本を切り出した。次いで、以下の手順により燃焼試験を行った。
はじめに、サンプルを垂直にクランプにセットし、バーナー(100W、径10mm)を用いて、サンプルの下端から10mmに10秒間接炎し、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)を測定した。炎が消えたらすぐに再び10秒間接炎し、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)を測定した。次いで、1回目と2回目の燃焼時間の合計(t1+t2)を算出した。なお、炎の高さは、20±1mmとした。
上記燃焼試験において、以下の自己消火性を評価した。
◎ : 燃焼試験で10秒接炎後、バーナーを離すと同時に消火するもの
○ : 燃焼試験で10秒接炎後に、燃焼が起こった後に消火するもの
△ : 燃焼試験で10秒接炎後に、燃焼が連続的に起こるが、消火するもの
× : 燃焼試験で10秒接炎後に、燃焼が連続的に起こり、燃え尽きるもの
次いで、燃焼時間合計(t1+t2)のサンプル5本での平均値を平均燃焼時間として算出し、下記の式より平均燃焼時間の減少率を算出し、下記の評価をした。
ここで、上記ワニス1から難燃剤およびフィラーを除いたワニスを用いて作製したサンプルの燃焼試験を行った際の平均燃焼時間をtp、上記ワニス1を用いて上記方法により作製したサンプルの平均燃焼時間をtfrとした。
平均燃焼時間の減少率=(tp-tfr)/tp×100
◎ : 平均燃焼時間の減少率が97%以上
○ : 平均燃焼時間の減少率が60%以上97%未満
△ : 平均燃焼時間の減少率が40%以上60%未満
× : 平均燃焼時間の減少率が0%以上40%未満
(架橋体Q1の動的粘弾性)
積層体1(架橋体Q1)を動的粘弾性測定により評価した。
TA-Instruments社製のRSA−IIIを用いて窒素下で動的粘弾性を測定した。ここで、貯蔵弾性率(E')および損失弾性率(E")は、粘弾性体に正弦的振動ひずみを与えたときの応力と、ひずみの関係を表わす複素弾性率を構成する項であり、TA-Instruments社製のRSA−IIIによる三点曲げモード(Auto tension、Autostrain制御)により3℃/minの昇温速度、周波数1Hzにて測定される値である。
○ : 260℃における貯蔵弾性率(E')が1GPa以上
△ : 260℃における貯蔵弾性率(E')が0.1GPa以上1GPa未満
× : 260℃における貯蔵弾性率(E')が0.1GPa未満
(架橋体Q1のガラス転移温度)
積層体1(架橋体Q1)を動的粘弾性測定によりガラス転移温度を算出したところ、215℃であった。
なお架橋体Q1のガラス転移温度は、上記と同様の条件で動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度は損失正接(tanδ)=E'/E"のピークトップにより決定した。
(保存安定性)
誘電特性の測定の項目で述べたように、円筒空洞共振器法により、12GHzでの誘電率(εfr)および誘電正接(Dfr)の測定を行った。その後、同サンプルを110℃に加熱したオーブン中に5時間保管した後に、再度12GHzでの誘電率(ε110)および誘電正接(D110)を測定した。
誘電率の悪化率=(ε110−εfr)/εfr×100
○ : 誘電率の悪化率が0%以上5%以下
△ : 誘電率の悪化率が5%を超えて10%以下
× : 誘電率の悪化率が10%を超える
誘電正接の悪化率=(D110−Dfr)/Dfr×100
○ : 誘電正接の悪化率が20%以下
△ : 誘電正接の悪化率が20%を超えて40%以下
× : 誘電正接の悪化率が40%を超える
(エチレン/TD/VNB共重合体P−1の架橋体の分解温度)
エチレン/TD/VNB共重合体P−1の架橋体(上記ワニス1から難燃剤を除いたワニスを用いた以外は積層体1と同様の方法により作製した積層体)のTGA測定をしたところ、分解温度は433℃であった。
なお、分解温度の測定方法を説明する。熱重量測定装置(TGA):島津製作所社製DTG−60において、一定温度で昇温しながら(例えば毎分プラス10℃)700℃までサンプル重量を測定した。測定開始時のサンプル重量から5%重量が減少した温度(Td5)を読み取り、この5%重量減少温度(Td5)を分解温度とした。
[実施例2〜17、比較例1〜3]
ワニスに用いる重合体および難燃剤の種類を表1または表2に示すものに変え、かつ、各配合比を表1または表2に示す値に変えた以外は実施例1と同様にサンプルを作製し、各種評価をおこなった。
以上の結果を表1および表2に示す。
Figure 2014101503
Figure 2014101503
実施例の結果から、本実施形態の難燃性組成物は、誘電特性および耐熱性に優れ、さらに難燃性に優れる架橋体を提供することができることが確認された。さらに、本実施形態の難燃性組成物は、プリプレグの生産性および積層体の生産性も優れていた。

Claims (19)

  1. 環状オレフィン(共)重合体(P)と、
    分解温度が100℃以上500℃以下の範囲内にあるリン系難燃剤(N−1)(ただし、カチオン成分に窒素原子を含むものを除く)と、
    を含み、
    前記環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、前記リン系難燃剤(N−1)の含有量が30重量部以上300重量部以下である、難燃性組成物。
  2. 請求項1に記載の難燃性組成物において、
    前記環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、
    前記リン系難燃剤(N−1)の含有量が50重量部を超えて200重量部以下である、難燃性組成物。
  3. 請求項1または2に記載の難燃性組成物において、
    前記リン系難燃剤(N−1)がホスフィン酸塩を含む、難燃性組成物。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の難燃性組成物において、
    構造式中に窒素原子を含有し、かつ、分解温度が100℃以上500℃以下の範囲内にある窒素系難燃剤(N−2)をさらに含む、難燃性組成物。
  5. 請求項4に記載の難燃性組成物において、
    前記環状オレフィン(共)重合体(P)の含有量を100重量部としたとき、
    前記リン系難燃剤(N−1)の含有量と前記窒素系難燃剤(N−2)の含有量との合計が50重量部を超えて500重量部以下であり、
    前記環状オレフィン(共)重合体(P)の分解温度と前記窒素系難燃剤(N−2)の前記分解温度との差の絶対値が、180℃以下である、難燃性組成物。
  6. 請求項4または5に記載の難燃性組成物において、
    前記窒素系難燃剤(N−2)の前記窒素原子を含有する前記構造式中に酸素原子をさらに含有する、難燃性組成物。
  7. 請求項6に記載の難燃性組成物において、
    前記窒素系難燃剤(N−2)が、メラミンシアヌレート、イソシアヌル酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、リン酸グアニジン、硫酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、テトラホウ酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、硫酸グアニル尿素からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、難燃性組成物。
  8. 請求項4または5に記載の難燃性組成物において、
    前記窒素系難燃剤(N−2)がメラミン化合物である、難燃性組成物。
  9. 請求項8に記載の難燃性組成物において、
    前記メラミン化合物が、メラミン、メラミン・メラム・メレム、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、硫酸メラミンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、難燃性組成物。
  10. 請求項1乃至9いずれか一項に記載の難燃性組成物において、
    前記環状オレフィン(共)重合体(P)が架橋性基を有する、難燃性組成物。
  11. 請求項1乃至10いずれか一項に記載の難燃性組成物において、
    前記環状オレフィン(共)重合体(P)が、
    下記繰り返し単位(A)と、
    下記繰り返し単位(B)および下記繰り返し単位(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位と、
    を含む、難燃性組成物;
    (A)一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位、
    (B)一般式(II)で表される繰り返し単位、一般式(III)で表される繰り返し単位および一般式(IV)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位、
    (C)一般式(VI)で表される繰り返し単位、一般式(VII)で表される繰り返し単位、および一般式(VIII)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位、
    Figure 2014101503
    (前記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)、
    Figure 2014101503
    (前記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
    Figure 2014101503
    (前記一般式(III)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
    Figure 2014101503
    (前記一般式(IV)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
    Figure 2014101503
    (前記一般式(VI)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
    Figure 2014101503
    (前記一般式(VII)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)、
    Figure 2014101503
    (前記一般式(VIII)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)。
  12. 請求項11に記載の難燃性組成物において、
    前記環状オレフィン(B)由来の繰り返し単位(B)を構成する環状オレフィン(B)が、5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジシクロペンタジエンからなる群から選ばれる少なくとも一種のジエンである、難燃性組成物。
  13. 請求項11または12に記載の難燃性組成物において、
    前記環状オレフィン(C)由来の繰り返し単位(C)を構成する環状オレフィン(C)が、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンまたはテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンである、難燃性組成物。
  14. 請求項10乃至13いずれか一項に記載の難燃性組成物において、前記環状オレフィン(共)重合体(P)が架橋性基を有し、これを架橋して得られる架橋体。
  15. 請求項1乃至13いずれか一項に記載の難燃性組成物および請求項14に記載の架橋体のうち少なくとも一つを含む、成形体。
  16. プリプレグ、積層体、回路基板、フィルム、シートからなる群から選択される、請求項15に記載の成形体。
  17. 請求項1乃至13いずれか一項に記載の難燃性組成物と溶媒とを含むワニス。
  18. 請求項1乃至13いずれか一項に記載の難燃性組成物と溶媒とを混合する工程を含む、ワニスの製造方法。
  19. 請求項17に記載のワニスを繊維基材に含浸し含浸体を得る工程と、前記含浸体を加熱し前記ワニスに含まれる溶媒を乾燥する工程とを含む、プリプレグ製造方法。
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