JP2014093437A - レーザ励起レーザ装置、及びレーザ励起レーザ装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の信頼性を向上できるレーザ励起レーザ装置を提供する。
【解決手段】 レーザ励起レーザ装置1000は、反射鏡と該反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、該積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部50と、反射鏡とで活性層を挟む位置に配置された外部反射鏡700と、を有するレーザ発振器と、活性層を励起するためのレーザ光を射出する励起用半導体レーザ素子100と、を備えている。この場合、装置の信頼性を向上できる。
【選択図】図1
【解決手段】 レーザ励起レーザ装置1000は、反射鏡と該反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、該積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部50と、反射鏡とで活性層を挟む位置に配置された外部反射鏡700と、を有するレーザ発振器と、活性層を励起するためのレーザ光を射出する励起用半導体レーザ素子100と、を備えている。この場合、装置の信頼性を向上できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザ励起レーザ装置、及び該レーザ励起レーザ装置の製造方法に係り、更に詳しくは、活性層を有するレーザ発振器及び前記活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源を備えるレーザ励起レーザ装置、及び該レーザ励起レーザ装置の製造方法に関する。
従来、反射鏡と該反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、活性層に対して反射鏡と反対側に配置された外部反射鏡とを有するレーザ発振器と、活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源と、を備える垂直共振器型のレーザ装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているレーザ装置では、気体雰囲気中における積層構造体の劣化によって、装置の信頼性が低下していた。
本発明は、第1反射鏡と該第1反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、該積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部と、前記活性層に対して前記第1反射鏡と反対側に配置された第2反射鏡と、を有するレーザ発振器と、前記活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源と、を備えるレーザ励起レーザ装置である。
これによれば、装置の信頼性を向上できる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3(E)に基づいて説明する。図1には、第1実施形態に係るレーザ励起レーザ装置1000の概略構成が示されている。
レーザ励起レーザ装置1000は、例えば、レーザプリンタ、レーザスキャンディスプレイ、レーザプロジェクタ、レーザ加工用途などに用いられる。
レーザ励起レーザ装置1000は、一例として、励起用半導体レーザ素子100、集光レンズ200、積層チップ300、波長変換素子500、複屈折フィルタ600、外部反射鏡700などを備えている。以下では、図1に示されるようなXYZ3次元直交座標系を用いて説明する。なお、ここでは、Z軸方向を鉛直方向とする。
励起用半導体レーザ素子100としては、一例として、波長808nmのレーザ光(励起光)を射出する、出力30Wの半導体レーザ(端面発光レーザ)が用いられている。励起用半導体レーザ素子100は、レーザ光(励起光)を−Z側かつ+X側の斜め下方に射出する。
集光レンズ200は、励起用半導体レーザ素子100からのレーザ光(励起光)の光路上(励起用半導体レーザ素子100の−Z側かつ+X側の斜め下方)に配置されており、該レーザ光を集光する。
積層チップ300は、一例として、図2に示されるように、基板10、反射鏡12、活性層14、遮蔽部50及びヒートシンク70を有している。
詳述すると、積層チップ300は、XY平面に平行に配置された基板10の+Z側に反射鏡12と活性層14とがこの順に積層されて成る積層構造体300aと、積層構造体300aを気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部50と、該遮蔽部50を介して積層構造体300aに接合されたヒートシンク70とを有している。積層構造体300aは、一例として、XY断面形状が一辺5mm程度の正方形の直方体形状の外形を有している。
積層チップ300は、一例として、その+Z側の面が、集光レンズ200を介したレーザ光(励起光)の光路上(集光レンズ200の−Z側かつ+X側の斜め下方)に位置するように配置されている(図1参照)。
基板10は、例えば厚さ500μmのGaAs単結晶基板である。
反射鏡12は、Z軸方向に交互に積層された低屈折率層及び高屈折率層を含む分布ブラッグ反射鏡(DBR)である。詳述すると、反射鏡12は、低屈折率層としてのAlAs層と、高屈折率層としてのAl0.1Ga0.9As層のペアを25ペア有しており、高反射率を実現できる。各屈折率層の光学的厚さは、一例として、後述するレーザ発振器の発振波長(以下では、単に、発振波長と称する)をλとして、λ/4とされている。
活性層14は、量子井戸構造を有している。詳述すると、活性層14は、圧縮歪みを有するように交互に積層された量子井戸層(例えばGaAs層)及び障壁層(例えばInGaAs層)を含み、内部の正味歪みが相殺された多層構造(例えば15層〜20層)を有している。
量子井戸層に、GaAs系の化合物半導体を使用する場合、組成及び膜厚の設計により、発振波長を900nm〜1200nmに設定することができる。
また、化合物半導体の場合には、活性層14における障壁層での光子吸収によりキャリアを発生させることで量子井戸層を励起することができる。すなわち、障壁層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギの光子が障壁層で吸収されれば、量子井戸層が励起される。そこで、励起用半導体レーザ素子100からの励起光の波長が、発振波長以下であれば、量子井戸層を励起することができる。
ここでは、活性層14は、発振波長が1060nmとなるように設計され、反射鏡12は、1060nmで高反射率となるように設計されている。また、活性層14の+Z側の面は、GaAsからなるキャッピング層となっている。
なお、活性層の材料としては、例えばAlGaAs系、AlGaInP系、GaInPAs系、GaInAs系などを用いることもできる。
遮蔽部50は、一例として、一対の放熱板16a、16b、及び接合材18を有している。
一対の放熱板16a、16bは、例えばダイヤモンド、SiC、SiN等からなる平滑性に優れた板状部材であり、積層構造体300aをZ軸方向(積層方向)に挟持するようにXY平面に平行に配置されている。ここでは、放熱板16aが+Z側に配置され、放熱板16bが−Z側に配置されている。
一対の放熱板16a、16bは、それぞれの中央部が積層構造体300aに接合されており、それぞれの周辺部が互いに対向している。
+Z側の放熱板16aは、励起光の波長(例えば808nm)及び発振波長(例えば1060nm)に対して透明となっている。
接合材18は、一対の放熱板16a、16bの周辺部間で、積層構造体300aを囲んだ状態で一対の放熱板16a、16bを接合している。接合材18としては、例えばAuSn、InAg、In、はんだ等の金属又は合金が用いられる。
このようにして、積層構造体300aは、一対の放熱板16a、16b及び接合材18によって気体雰囲気から遮蔽されている。
ヒートシンク70は、一例として、Cu、SiC、SiN、ダイヤモンド又はこれらを組み合わせた材料からなる熱伝導性が高い部材であり、−Z側の放熱板16bの−Z側の面に接合されている。なお、ヒートシンク70としては、中空構造を有する部材であって、内部に水冷又は空冷の冷却機能を有する部材であることが好ましい。
そこで、集光レンズ200からのレーザ光(励起光)の一部は、+Z側の放熱板16aを透過して、活性層14に達し、該活性層14が励起されて発光する。活性層14で発生した光は、直接又は反射鏡12で反射されて+Z側の放熱板16aを透過する。すなわち、積層チップ300から+Z側に射出される。
図1に戻り、波長変換素子500は、一例として、XY断面が一辺3mmの正方形であり、かつZ軸方向の長さが10mmの直方体形状のLBO(LiB3O5)結晶から成り、積層チップ300からの光の光路上(積層チップ300の+Z側)に配置されている。波長変換素子500の光を透過させる面には、1060nm及び530nmの波長の光を全透過させる、誘電体によるコーティングが施されている。
複屈折フィルタ600は、波長変換素子500を介した光の光路上(波長変換素子500の+Z側)に、XY平面に対して傾斜して配置されている。複屈折フィルタ600は、特定の波長(例えば1060nm及び530nmの波長)の光のみを透過させ、かつ透過させる光の偏向方向を調整する機能を有している。このため、波長変換素子500と複屈折フィルタ600を組み合わせることで、波長変換効率を向上させることができる。
外部反射鏡700は、反射鏡12及び活性層14と共に、レーザ発振器を構成している。外部反射鏡700は、複屈折フィルタ600を介した光の光路上(複屈折フィルタ600の+Z側)に配置されており、−Z側の面(入射面)が+Z側に凸となるように湾曲している。この場合、複屈折フィルタ600からの光は、その一部が、外部反射鏡700によって、−Z側に収束されつつ反射される。外部反射鏡700は、1060nmに対しては、高反射であり、530nmに対しては、約5%の透過率を有している。
外部反射鏡700で−Z側に反射された光は、複屈折フィルタ600及び波長変換素子500を介して、積層チップ300に入射される。積層チップ300に入射された光は、反射鏡12で+Z側に反射され、波長変換素子500及び複屈折フィルタ600を介して、外部反射鏡700に入射し、その一部が、−Z側に反射される。
以上のように構成されるレーザ励起レーザ装置1000では、励起用半導体レーザ素子100からのレーザ光によって活性層14が励起されて発光し、活性層14で発生した光は、共振器を構成する反射鏡12及び外部反射鏡700間で反復的に反射されて増幅されることでレーザ発振が起こる。そして、波長変換素子500及び複屈折フィルタ600によって、波長変換された波長530nmの第二高調波が外部反射鏡700を透過する。すなわち、外部反射鏡700を透過した波長530nmの第二高調波が、レーザ励起レーザ装置1000から射出されたレーザ光(射出光)である。
レーザ励起レーザ装置1000、及び積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部を有しない比較例1のレーザ励起レーザ装置(不図示)を、温度が85℃、湿度が85%の高温高湿環境下に200時間放置後、それぞれに対してレーザ発振テストを行った。その際、レーザ励起レーザ装置1000では、レーザ発振が起こったが、比較例1のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こらなかった。なお、比較例1のレーザ励起レーザ装置は、遮蔽部の有無を除いて、レーザ励起レーザ装置1000と実質的に同一の構成を有している。
比較例1では、気体雰囲気に曝された積層構造体に水分吸収による変質が生じ、積層構造体の端部からの亀裂の発生、積層構造体の表面形状の異常が確認できた。これらが、レーザ発振に影響したものと考えられる。
一方、第1実施形態では、遮蔽部50によって気体雰囲気から遮蔽された積層構造体300aが変質することはなかった。このため、レーザ発振に影響がなかったものと考えられる。また、最大30Wの出力が確認された。
ここで、発明者らが行った実験・調査によって、例えば反射鏡に用いられるAlを含有する半導体層は、特に、周辺環境(気体雰囲気)の湿度(水分)の影響を受け易いことが確認された。具体的には、水分によるAlの酸化(Al2O3化)が進み、組成変化による屈折率の変化、体積変化による積層構造の破壊等の劣化が生じていた。また、Alを含有する半導体層は、レーザ発振器の構成要素を含む積層構造体に用いられる場合のように、加熱及び冷却を繰り返すような状況においては、その劣化が顕著になることが分かった。
そこで、発明者らは、積層構造体の長期に亘る信頼性を確保するために、上述の如く、積層構造体を気体雰囲気から遮蔽することとした。
以下に、積層チップ300の製造方法について、図3(A)〜図3(E)を参照して説明する。なお、基板10上に複数の半導体層が積層されたものを、以下では、便宜上「積層体」と称する
(1)有機金属気相成長法(MOCVD法)又は分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって積層体を作成する。
ここでは、有機金属気相成長法を用いて、厚さ500μmの基板10上に、第1反射鏡12及び活性層14を、この順に積層して積層体を作成する(図3(A)参照)。
(2)積層体の基板10をラップ仕上げ及び研磨することで、約150μmの厚さにした後、積層体を、スクライブ工程、ヘキ開工程によって、複数の積層構造体300aに分割する(図3(B)参照)。なお、図3(B)では、1つの積層構造体300aのみが示されている。
(3)積層構造体300aの基板10と、ヒートシンク70とを、放熱板16bを介して接合する(図3(C)参照)。この際、基板10と放熱板16bとの接合、及び放熱板16bとヒートシンク70との接合は、例えばAuSn、はんだ、In、InAg等を接合剤に用いて行われる。
(4)放熱板16bの周辺部上に接合材18を、積層構造体300aを囲むように配置する(図3(D)参照)。
(5)放熱板16aを積層構造体300a上及び接合材18上に載せて、N2雰囲気化で加圧しながら加熱して、活性層14と放熱板16aとをオプティカルコンタクトによって接合するとともに、接合材18と一対の放熱板16a、16bとを接合する(図5(E)参照)。この結果、積層チップ300が得られる。
以上説明した第1実施形態のレーザ励起レーザ装置1000は、基板10と該基板10上に積層された反射鏡12と該反射鏡12上に積層された活性層14とを含む積層構造体300aと、該積層構造体300aを気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部50と、活性層14に対して反射鏡12と反対側に配置された外部反射鏡700と、を有するレーザ発振器と、活性層14を励起するためのレーザ光を射出する励起用半導体レーザ素子100と、を備えている。
この場合、遮蔽部50によって積層構造体300aが気体雰囲気から遮蔽されているため、積層構造体300aが例えば酸化等により劣化することを防止でき、ひいては装置性能の低下を防止できる。すなわち、装置の信頼性を向上できる。
また、遮蔽部50は、積層構造体300aをZ軸方向(積層方向)に挟持する、平滑性に優れた一対の放熱板16a、16bと、一対の放熱板16a、16bを接合する接合材18と、を有している。この場合、パッシベーション機能を向上させることができる。
また、各放熱板は、例えばダイヤモンド、SiC等からなる。この場合、遮蔽部50の強度及び耐衝撃性を向上することができる。また、積層構造体300aで発生した熱(活性層14で発生した熱)を、気体雰囲気に効率良く放出することができる。この結果、積層構造体300aの冷却効率を向上させ、ひいてはレーザ発振器の高出力を図ることができる。
また、接合材18は、例えばAuSn、In、InAg等の金属又は合金からなる。この場合、一対の放熱板16a、16b間での熱の伝達効率を向上させることができ、積層構造体300aの冷却効率を向上させることができる。
また、活性層14が放熱板16aに接触しているため、積層構造体300aの冷却効率を向上させることができる。
また、基板10が放熱板16bを介してヒートシンク70に接合されているため、活性層14で発生した熱を、反射鏡12、基板10及び放熱板16bを介してヒートシンク70に伝達することができ、積層構造体300aの冷却効率を向上させることができる。
また、活性層14と放熱板16aとがオプティカルコンタクトによって接合されている。この場合、仮に活性層と放熱板とを接合剤を介して接合する場合に比べて、界面状況良く接合することができる。
また、放熱板16aは、励起光の波長及び発振波長に対して透明である。この場合、励起光及び活性層で発生した光の放熱板16aでの反射を防止することができ、ひいてはレーザ発振効率の低下を防止できる。
なお、上記第1実施形態では、遮蔽部50は、積層構造体300aを積層方向に挟持する一対の放熱板16a、16bを有しているが、これに限らず、例えば、図4に示されるように、放熱板16bを有していなくても良い。この場合、積層構造体300aの基板10、及び接合材18をヒートシンク70に直接的に接合することとしても良い。すなわち、放熱板16aとヒートシンク70とで積層構造体300aを積層方向に挟持するとともに、放熱板16aとヒートシンク70とを接合材18を介して接合することとすれば良い。この場合、放熱板16aとヒートシンク70と接合材18とを含んで、積層構造体300aを気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部150が構成される。
以下に、本発明の第2実施形態を、図5〜図6(F)を参照して説明するが、第2実施形態では、主に上記第1実施形態と異なる点を説明し、上記第1実施形態と同様の構成を有する部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
《第2実施形態》
第2実施形態は、図5に示されるように、積層チップの構成が、上記第1実施形態と異なる。
第2実施形態は、図5に示されるように、積層チップの構成が、上記第1実施形態と異なる。
第2実施形態の積層チップ310は、反射鏡12と該反射鏡12上に積層された活性層14とを含む積層構造体310aと、該積層構造体310aを気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部150とを有している。すなわち、積層チップ310は、基板10及び放熱板16bを有していない。
遮蔽部150は、放熱板16aとヒートシンク70と接合材18とを含んで構成されている。
第2実施形態のレーザ励起レーザ装置、及び積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部を有しない比較例2のレーザ励起レーザ装置(不図示)を、温度85度、湿度85%の高温高湿環境下に200時間放置後、レーザ発振テストを行った。その際、第2実施形態のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こったが、比較例2のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こらなかった。なお、比較例2のレーザ励起レーザ装置は、遮蔽部の有無を除いて、第2実施形態のレーザ励起レーザ装置と実質的に同一の構成を有する。
比較例2では、気体雰囲気に曝されている積層構造体に水分吸収による変質が生じ、積層構造体の端部から発生した亀裂、及び積層構造体のヒートシンクからの剥離が確認できた。これらが、レーザ発振に影響を及ぼしたものと考えられる。
一方、第2実施形態では、遮蔽部150によって気体雰囲気から遮蔽されている積層構造体310aに変質がなく、このため、レーザ発振に影響がなったものと考えられる。また、最大30Wの出力が確認された。
以下に、積層チップ310の製造方法について、図6(A)〜図6(F)を参照して説明する。
(1)有機金属気相成長法(MOCVD法)又は分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって積層体を作成する。
ここでは、有機金属気相成長法を用いて、厚さ500μmの基板10上に、活性層14及び反射鏡12を、この順に積層して積層体を作成する(図6(A)参照)。
(2)基板10をラップ仕上げ及び研磨することで、約150μmの厚さにした後、積層体を、スクライブ工程、ヘキ開工程によって、複数のチップ状体(第1積層構造体)に分割する(図6(B)参照)。なお、図6(B)では、1つのチップ状体のみが図示されている。
(3)図6(B)のチップ状体の反射鏡12と、ヒートシンク70とを例えばAuSn、はんだ、In、InAg等を接合剤に用いて接合する(図6(C)参照)。
(4)基板10をウエットエッチングによって除去する(図6(D)参照)。この結果、ヒートシンク70上に積層構造体310a(第2積層構造体)が形成される。
(5)ヒートシンク70の+Z側の面の周辺部上に、接合材18を、積層構造体310aを囲むように配置する(図6(E)参照)。
(6)積層構造体300a上及び接合材18上に放熱板16aを載せて、N2雰囲気化で加圧しながら加熱して、活性層14と放熱板16aとをオプティカルコンタクトによって接合するとともに、接合材18と、放熱板16a及びヒートシンク70とを接合する(図6(F)参照)。この結果、積層チップ310が得られる。
以上説明した第2実施形態の積層チップ310では、上記第1実施形態の積層チップ300に比べて、活性層14とヒートシンク70との距離を短くでき、活性層14で発生する熱の放熱性を向上でき、ひいては高出力化を図ることができる。
また、積層チップ310は、上記第1実施形態の積層チップ300に比べて、基板10及び放熱板16bを有していないため、部品点数の削減及び薄型化を図ることができる。
なお、上記第2実施形態では、積層構造体310a及び接合材18と、ヒートシンク70とを、直接的に接合しているが、図7に示されるように、放熱板16bを介して接合しても良い。すなわち、放熱板16aと、ヒートシンク70に接合された放熱板16bとで積層構造体310aを挟持させるとともに、一対の放熱板16a、16bを、接合材18を介して接合しても良い。この場合、一対の放熱板16a、16bと接合材18とを含んで、積層構造体310aを気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部50が構成される。
また、上記第1及び第2実施形態では、放熱板16aと活性層14との接合を、オプティカルコンタクトによって行っているが、例えば接合剤を用いて行っても良い。
また、上記第1及び第2実施形態では、積層構造体を積層方向に狭持する一対の狭持部材として、いずれも放熱性を有する部材(一対の放熱板16a、16b、又は放熱板16a及びヒートシンク70)を用いているが、一対の狭持部材の少なくとも一方は、放熱性を有していなくても良い。
また、上記第1及び第2実施形態の積層構造体は、XY断面形状が正方形とされているが、これに限らず、例えば、正方形以外の多角形状、円形状、楕円形状等の他の形状であっても良い。
また、上記第1及び第2実施形態では、活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源として、端面発光型の励起用半導体レーザ素子100が用いられているが、これに限らず、他のレーザであっても良い。
また、上記第1及び第2実施形態のレーザ励起レーザ装置は、集光レンズ、波長変換素子及び複屈折フィルタを備えているが、これらの少なくとも1つを備えていなくても良い。
10…基板(積層構造体の一部)、12…反射鏡(第1反射鏡)14…活性層、16a、16b…放熱板(挟持部材)、18…接合材、50…遮蔽部、70…ヒートシンク(狭持部材)、100…励起用半導体レーザ素子(光源)、300a、310a…積層構造体、700…外部反射鏡(第2反射鏡)、1000…レーザ励起レーザ装置。
Claims (10)
- 第1反射鏡と該第1反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、該積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽部と、前記活性層に対して前記第1反射鏡と反対側に配置された第2反射鏡と、を有するレーザ発振器と、
前記活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源と、を備えるレーザ励起レーザ装置。 - 前記遮蔽部は、前記積層構造体を積層方向に挟持する一対の挟持部材と、前記積層構造体を囲んだ状態で前記一対の挟持部材を接合する接合材と、を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザ励起レーザ装置。
- 前記一対の挟持部材の少なくとも一方は、放熱性を有することを特徴とする請求項2に記載のレーザ励起レーザ装置。
- 前記一対の挟持部材の少なくとも一方は、Cu、SiC、SiN及びダイヤモンドのいずれかを含んで構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のレーザ励起レーザ装置。
- 前記接合材は、金属を含んで構成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のレーザ励起レーザ装置。
- 前記接合材は、AuSn、InAg、In及びSnのいずれかを含んで構成されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザ励起レーザ装置。
- 前記一対の挟持部材のうちの前記活性層側に配置された挟持部材と、前記活性層とは、オプティカルコンタクトによって接合されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のレーザ励起レーザ装置。
- 前記一対の挟持部材のうちの前記活性層側に配置された挟持部材は、前記レーザ光の波長及び前記レーザ発振器の発振波長に対して透明であること特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載のレーザ励起レーザ装置。
- レーザ光によって励起される活性層と、該活性層を挟むように配置された第1及び第2反射鏡とを備えるレーザ励起レーザ装置の製造方法であって、
基板上に第1反射鏡及び活性層をこの順に積層し、積層構造体を作成する工程と、
前記積層構造体を一対の挟持部材で積層方向に挟持させるとともに、前記積層構造体を囲むように配置された接合材を介して前記一対の挟持部材を接合することで、前記積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する工程と、を含むレーザ励起レーザ装置の製造方法。 - レーザ光によって励起される活性層と、該活性層を挟むように配置された第1及び第2反射鏡とを備えるレーザ励起レーザ装置の製造方法であって、
基板上に活性層及び第1反射鏡をこの順に積層し、第1積層構造体を作成する工程と、
前記第1積層構造体から前記基板を除去して第2積層構造体を形成する工程と、
前記第2積層構造体を一対の挟持部材で積層方向に挟持させるとともに、前記第2積層構造体を囲むように配置された接合材を介して前記一対の挟持部材を接合することで、前記第2積層構造体を気体雰囲気から遮蔽する工程と、を含むレーザ励起レーザ装置の製造方法。
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