JP2014086648A - レーザ励起レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置の信頼性を向上できるレーザ励起レーザ装置を提供する。
【解決手段】 レーザ励起レーザ装置1000は、基板と該基板上に積層された反射鏡と該反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、該積層構造体の一部を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽膜16と、活性層に対して反射鏡と反対側に配置された外部反射鏡700と、を有するレーザ発振器と、活性層を励起するためのレーザ光を射出する励起用半導体レーザ素子100と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ励起レーザ装置に係り、更に詳しくは、活性層を有するレーザ発振器及び前記活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源を備えるレーザ励起レーザ装置に関する。
従来、反射鏡と該反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、活性層に対して反射鏡と反対側に配置された外部反射鏡とを有するレーザ発振器と、活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源と、を備える垂直共振器型のレーザ装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているレーザ装置では、気体雰囲気中における積層構造体の劣化によって、装置の信頼性が低下していた。
本発明は、第1反射鏡と該第1反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、該積層構造体の一部を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽膜と、前記活性層に対して前記第1反射鏡と反対側に配置された第2反射鏡と、を有するレーザ発振器と、前記活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源と、を備えるレーザ励起レーザ装置である。
これによれば、装置の信頼性を向上できる。
本発明の第1実施形態に係るレーザ励起レーザ装置の概略構成を示す図である。 図1における積層チップのXZ断面図である。 図3(A)〜図3(E)は、それぞれ積層チップの製造手順を説明するための図(その1〜その5)である。 第2実施形態の積層チップのXZ断面図である。 図5(A)〜図5(F)は、それぞれ第2実施形態の積層チップの製造手順を説明するための図(その1〜その6)である。 第3実施形態の積層チップのXZ断面図である。 図7(A)〜図7(D)は、それぞれ第3実施形態の積層チップの製造手順を説明するための図(その1〜その4)である。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3(E)に基づいて説明する。図1には、第1実施形態に係るレーザ励起レーザ装置1000の概略構成が示されている。
レーザ励起レーザ装置1000は、例えば、レーザプリンタ、レーザスキャンディスプレイ、レーザプロジェクタ、レーザ加工用途などに用いられる。
レーザ励起レーザ装置1000は、一例として、励起用半導体レーザ素子100、集光レンズ200、積層チップ300、ヒートシンク400、波長変換素子500、複屈折フィルタ600、外部反射鏡700、これらが実装されるパッケージ(不図示)などを備えている。以下では、図1に示されるようなXYZ3次元直交座標系を用いて説明する。ここでは、一例として、Z軸方向を鉛直方向とする。
励起用半導体レーザ素子100としては、一例として、出力が30W、発振波長が808nm帯の半導体レーザ(端面発光レーザ)が用いられている。励起用半導体レーザ素子100は、レーザ光(励起光)を−Z側かつ+X側の斜め下方に射出する。
集光レンズ200は、励起用半導体レーザ素子100からのレーザ光(励起光)の光路上(励起用半導体レーザ素子100の−Z側かつ+X側の斜め下方)に配置されており、該レーザ光を集光する。
積層チップ300は、一例として、図2に示されるように、基板10、反射鏡12、活性層14及び遮蔽膜16を有している。
詳述すると、積層チップ300は、XY平面に平行に配置された基板10の+Z側に反射鏡12と活性層14とがこの順に積層されて成る積層構造体300aと、該積層構造体300aの一部を覆う遮蔽膜16とを有している。反射鏡12及び活性層14は、一例として、XY断面形状が一辺5mm程度の正方形となっている。
積層チップ300は、その+Z側の面が、集光レンズ200を介したレーザ光(励起光)の光路上(集光レンズ200の−Z側かつ+X側の斜め下方)に位置するように配置されている(図1参照)。
基板10は、例えば厚さ500μmのGaAs単結晶基板である。基板10の+Z側の面のX軸方向両端には、XZ断面L字状の一対の段部10aが形成されている。すなわち、基板10は、XY平面に平行なXZ断面矩形状の基板から、+X側かつ+Z側のXZ断面矩形の角部、及び−X側かつ+Z側のXZ断面矩形の角部が切り欠かれた形状を有している。
反射鏡12は、一例として、Z軸方向に交互に積層された低屈折率層及び高屈折率層を含む分布ブラッグ反射鏡(DBR)である。詳述すると、反射鏡12は、低屈折率層としてのAlAs層と、高屈折率層としてのAl0.1Ga0.9As層のペアを25ペア有しており、高反射率を実現できる。各屈折率層の光学的厚さは、一例として、後述するレーザ発振器の発振波長をλとして、λ/4とされている。
活性層14は、量子井戸構造を有している。詳述すると、活性層14は、圧縮歪みを有するように交互に積層された量子井戸層(例えばGaAs層)及び障壁層(例えばInGaAs層)を含み、内部の正味歪みが相殺された多層構造(例えば15層〜20層)を有している。
量子井戸層に、GaAs系の化合物半導体を使用する場合、組成及び膜厚の設計により、発振波長を900nm〜1200nmに設定することができる。
また、化合物半導体の場合には、活性層14における障壁層での光子吸収によりキャリアを発生させることで量子井戸層を励起することができる。すなわち、障壁層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギの光子が障壁層で吸収されれば、量子井戸層が励起される。そこで、励起用半導体レーザ素子100からの励起光の波長が、後述するレーザ発振器の発振波長以下であれば、量子井戸層を励起することができる。
ここでは、活性層14は、後述するレーザ発振器の発振波長が1060nmとなるように設計され、反射鏡12は、1060nmで高反射率となるように設計されている。また、活性層14の+Z側の面は、GaAsからなるキャッピング層となっている。
なお、活性層の材料としては、例えばAlGaAs系、AlGaInP系、GaInPAs系、GaInAs系などを用いることもできる。
遮蔽膜16は、一例として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により積層構造体300aに密着して形成された、屈折率1.68で約446nmの厚さのSiNからなる膜である。
遮蔽膜16は、積層構造体300aにおける活性層14の+Z側の面及び4つの側面(+X側の面、−X側の面、+Y側の面、−Y側の面)、反射鏡12の4つの側面(+X側の面、−X側の面、+Y側の面、−Y側の面)、及び基板10の一対の段部10aを密着して覆っている。この結果、反射鏡12及び活性層14は、気体雰囲気から遮蔽されている。
また、遮蔽膜16における活性層14の+Z側の面を覆う部分の厚さは、遮蔽膜16の屈折率をn(例えば1.68)、発振波長をλとしたときに、n×λ/4の整数倍とされている。
なお、遮蔽膜16の材料であるSiNは、発振波長1060nmに対しての反射率が低いため、レーザ発振効率の低下を防ぐことができる。
そこで、集光レンズ200からのレーザ光(励起光)の一部は、遮蔽膜16を透過して、活性層14に達し、該活性層14が励起されて発光する。活性層14で発生した光は、直接又は反射鏡12で反射されて遮蔽膜16を透過する。すなわち、積層チップ300から+Z側に射出される。
図1に戻り、ヒートシンク400は、一例として、Cu、SiC、SiN、ダイヤモンド又はこれらを組み合わせた材料からなる熱伝導性が高い板状部材であり、積層チップ300の−Z側の面(基板10の−Z側の面)にXY平面に平行になるように接合されている。なお、ヒートシンク400としては、中空構造を有する部材であって、内部に水冷又は空冷などの冷却機能を有する部材であることが好ましい。
波長変換素子500は、一例として、XY断面が一辺3mmの正方形であり、かつZ軸方向の長さが10mmの直方体形状のLBO(LiB)結晶から成り、積層チップ300からの光の光路上(積層チップ300の+Z側)に配置されている。波長変換素子500の光を透過させる面には、1060nm及び530nmの波長の光を全透過させる、誘電体によるコーティングが施されている。
複屈折フィルタ600は、波長変換素子500を介した光の光路上(波長変換素子500の+Z側)に、XY平面に対して傾斜して配置されている。複屈折フィルタ600は、特定の波長(例えば1060nm及び530nmの波長)の光のみを透過させ、かつ透過させる光の偏向方向を調整する機能を有している。このため、波長変換素子500と複屈折フィルタ600を組み合わせることで、波長変換効率を向上させることができる。
外部反射鏡700は、反射鏡12及び活性層14と共に、レーザ発振器を構成している。外部反射鏡700は、複屈折フィルタ600を介した光の光路上(複屈折フィルタ600の+Z側)に配置されており、−Z側の面(入射面)が+Z側に凸となるように湾曲している。この場合、複屈折フィルタ600からの拡散した光は、その一部が、外部反射鏡700によって、−Z側に収束されつつ反射される。外部反射鏡700は、1060nmに対しては、高反射であり、530nmに対しては、約5%の透過率を有している。
外部反射鏡700で−Z側に反射された光は、複屈折フィルタ600及び波長変換素子500を介して、積層チップ300に入射される。積層チップ300に入射された光は、反射鏡12で+Z側に反射され、波長変換素子500及び複屈折フィルタ600を介して、外部反射鏡700に入射し、その一部が、−Z側に反射される。
以上のように構成されるレーザ励起レーザ装置1000では、励起用半導体レーザ素子100からのレーザ光によって活性層14が励起されて発光し、活性層14で発生した光は、共振器を構成する反射鏡12及び外部反射鏡700間で反復的に反射されて増幅されることでレーザ発振が起こる。そして、波長変換素子500及び複屈折フィルタ600によって、波長変換された波長530nmの第二高調波が外部反射鏡700を透過する。すなわち、外部反射鏡700を透過した波長530nmの第二高調波が、レーザ励起レーザ装置1000から射出されたレーザ光(射出光)である。
以上のように構成される第1実施形態のレーザ励起レーザ装置1000、及び積層構造体を覆う遮蔽膜を有しない比較例1のレーザ励起レーザ装置を、温度が85℃、湿度が85%の高温高湿環境下に200時間放置後、それぞれに対してレーザ発振テストを行った。その際、レーザ励起レーザ装置1000では、レーザ発振が起こったが、比較例1のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こらなかった。なお、比較例1のレーザ励起レーザ装置は、遮蔽膜の有無を除いて、レーザ励起レーザ装置1000と実質的に同一の構成を有している。
すなわち、比較例1では、気体雰囲気に曝された積層構造体に水分吸収による変質が生じ、積層構造体の端部からの亀裂の発生、積層構造体の表面形状の異常が確認された。これらが、レーザ発振に影響したものと考えられる。一方、第1実施形態では、遮蔽膜16によって気体雰囲気から遮蔽された積層構造体300aが変質することはなかった。このため、レーザ発振に影響がなかったものと考えられる。
ここで、発明者らが行った実験・調査によって、例えば反射鏡に用いられるAlを含有する半導体層は、特に、周辺環境(気体雰囲気)の湿度(水分)の影響を受け易いことが確認された。具体的には、水分によるAlの酸化(Al化)が進み、組成変化による屈折率の変化、体積変化による積層構造の破壊等の劣化が生じていた。また、Alを含有する半導体層は、レーザ発振器の構成要素を含む積層構造体に用いられる場合のように、加熱及び冷却を繰り返すような状況においては、その劣化が顕著になることが分かった。
そこで、発明者らは、積層構造体の長期に亘る信頼性を確保するために、上述の如く、積層構造体の一部を気体雰囲気から遮蔽することとした。
レーザ励起レーザ装置1000は、励起用半導体レーザ素子100、集光レンズ200、積層チップ300、ヒートシンク400、波長変換素子500、複屈折フィルタ600及び外部反射鏡700が、図1に示される位置関係となるように、パッケージ(不図示)に実装されて、製造される。
以下に、積層チップ300の製造方法について、図3(A)〜図3(E)を参照して説明する。なお、基板10上に複数の半導体層が積層されたものを、以下では、便宜上「積層体」ともいう。
(1)有機金属気相成長法(MOCVD法)又は分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって積層体を作成する。
ここでは、有機金属気相成長法を用いて、厚さ500μmの基板10上に、第1反射鏡12及び活性層14を、この順に積層して積層体を作成する(図3(A)参照)。
(2)図3(A)の積層体上に、例えば一辺が5mmの正方形状の複数のレジストパターンをX軸方向に等間隔(例えば100μm)で形成する(図3(B)参照)。
(3)図3(B)の積層体上におけるレジストパターンが形成されていない領域を例えばドライエッチングによって基板10の内部に達するまでエッチングして除去する。この結果、複数のメサが形成される(図3(C)参照)。
(4)図3(C)の積層体における複数のメサ上及び隣接する2つのメサ間の領域上に化学蒸着法(CVD法)により、SiNからなる遮蔽膜16を形成する(図3(D)参照)。
(5)基板10を研磨して、約150μmの厚さにし、基板10の−Z側の面に10nmのCr、20nmのAuZn、600nmのAuを蒸着した後、スクライブ工程、ヘキ開工程によって、それぞれが1つのメサを含む複数の積層チップ300に分割する(図3(E)参照)。なお、図3(E)では、1つの積層チップ300のみが示されている。
以上のようにして製造された積層チップ300は、例えばインジウム、はんだ、AuSn等を接合材として用いて、ヒートシンク400に接合される。
以上説明した第1実施形態のレーザ励起レーザ装置1000は、基板10と該基板10上に積層された反射鏡12と該反射鏡12上に積層された活性層14とを含む積層構造体300aと、該積層構造体300aにおける基板10の一部、反射鏡12及び活性層14を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽膜16と、活性層14に対して反射鏡12と反対側に配置された外部反射鏡700と、を有するレーザ発振器と、活性層14を励起するためのレーザ光を射出する励起用半導体レーザ素子100と、を備えている。
この場合、遮蔽膜16によって反射鏡12及び活性層14が気体雰囲気から遮蔽されているため、積層構造体300aにおける活性層14及び反射鏡12が例えば酸化等により劣化することを防止でき、ひいては装置性能の低下を防止できる。すなわち、装置の信頼性を向上できる。
また、遮蔽膜16は、SiNからなるため、製膜を比較的容易に行うことができ、かつパッシベーション性能を向上することができる。
また、遮蔽膜16は、積層構造体300aにおける活性層14及び反射鏡12のみならず、基板10の一対の段部10aまで覆っているため、反射鏡12及び活性層14を気体雰囲気から確実に遮蔽することができる。
また、遮蔽膜16は、積層構造体300aを+Z側からキャッピングするように覆っているため、密着性を向上させることができ、積層構造体300aからの剥離を防止できる。
また、遮蔽膜16における活性層14の+Z側の面を覆う部分の厚さは、遮蔽膜16の屈折率をn、発振波長をλとしたときに、n×λ/4の整数倍とされている。
この場合、レーザ発振器内における反射損失を低減でき、レーザ発振効率を向上させることができる。
なお、上記第1実施形態では、積層構造体300aは、ヒートシンク400に接合されているが、これに限らず、要は、ヒートシンク400に接触して配置されていれば良い。
以下に、本発明の他の実施形態を説明するが、以下の実施形態では、主に上記第1実施形態と異なる点を説明し、上記第1実施形態と同様の構成を有する部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
《第2実施形態》
第2実施形態は、図4に示されるように、積層チップの構成が、上記第1実施形態と異なる。
第2実施形態の積層チップ310は、ヒートシンク400上に反射鏡12及び活性層14がこの順に重ねて配置されて成る積層構造体310aと、該積層構造体310aの一部を密着して覆う遮蔽膜160とを有している。
すなわち、積層チップ310の積層構造体310aは、上記第1実施形態の積層チップ300の積層構造体300aにおける基板10をヒートシンク400に置き換えたものである。
遮蔽膜160は、上記第1実施形態の遮蔽膜16と同様の材料からなり、積層構造体310aの−Z側の面(ヒートシンク400の−Z側の面)以外の全ての面を覆っている。
第2実施形態のレーザ励起レーザ装置、及び積層構造体を覆う遮蔽膜を有しない比較例2のレーザ励起レーザ装置を、温度85度、湿度85%の高温高湿環境下に400時間放置後、レーザ発振テストを行った。その際、第2実施形態のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こったが、比較例2のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こらなかった。なお、比較例2のレーザ励起レーザ装置は、遮蔽膜の有無を除いて、第2実施形態のレーザ励起レーザ装置と実質的に同一の構成を有する。
比較例2では、気体雰囲気に曝されている積層構造体に水分吸収による変質が生じ、積層構造体の端部に発生した亀裂、及び積層構造体のヒートシンクからの剥離が確認できた。これらが、レーザ発振に影響を及ぼしたものと考えられる。一方、第2実施形態では、遮蔽膜160によって気体雰囲気から遮蔽されている積層構造体310aに変質がなく、このため、レーザ発振に影響がなったものと考えられる。
次に、第2実施形態の積層チップ310の製造方法について、図5(A)〜図5(F)を参照して説明する。
(1)厚さ500μmの基板10上に、活性層14及び反射鏡12を、この順に積層して積層体を作成し、該積層体上に10nmのCr、20nmのAuZn、600nmのAuを蒸着する(図5(A)参照)。
(2)図5(A)の積層体上に例えば一辺が5mmの正方形状の複数のレジストパターンをX軸方向に等間隔(約100μm)で形成し、該積層体上におけるレジストパターンが形成されていない領域を基板10の内部に達するまでドライエッチングして除去する(図5(B)参照)。この結果、複数のメサが形成される。
(3)図5(B)の積層体における基板10を、例えば約150μmの厚さになるまで研磨した後、スクライブ工程、ヘキ開工程によってメサ単位で分割して、それぞれが1つのメサを含む複数のチップ状体を作成する(図5(C)参照)。なお、図5(C)では、1つのチップ状体のみが示されている。
(4)図5(C)のチップ状体の反射鏡12と、ヒートシンク400とを、例えばAuSn、はんだ、インジウム等を接合材に用いて接合して接合体を作成する(図5(D)参照)。
(5)図5(D)の接合体における基板10を厚さ30μmになるまで研磨する(図5(E)参照)。
(6)図5(E)の接合体における基板10をウエットエッチングによって除去した後、CVD法(化学蒸着法)を用いて、遮蔽膜160を形成する(図5(F)参照)。ここでは、遮蔽膜160は、屈折率が1.68のSiNからなる厚さが約446nmの膜であり、発振波長1060nmに対しての反射率が低く、レーザ発振効率の低下が防止される。
以上説明した第2実施形態の積層チップ310では、上記第1実施形態の積層チップ300に比べて、活性層14とヒートシンク400との距離を短くできるため、活性層14で発生する熱の放熱性を向上でき、ひいては高出力化を図ることができる。
また、積層チップ310は、上記第1実施形態における積層チップ300とヒートシンク400とを接合して成る接合体に比べて、基板10のスペース分、薄型化を図ることができる。
また、積層チップ310では、積層構造体310aが遮蔽膜160によって全体的に(但し、積層構造体310aの−Z側の面を除く)コーティングされているため、化合物半導体からなる活性層14及び第1反射鏡12を気体雰囲気からより確実に遮蔽することができ、信頼性を向上させることができる。
また、積層チップ310では、積層構造体310aの−Z側の面、すなわちヒートシンク400の−Z側の面が露出しているため、ヒートシンク400から気体雰囲気へ熱を確実に放出させることができる。
《第3実施形態》
第3実施形態は、図6に示されるように、積層チップの構成が上記第1及び第2実施形態と異なる。
第3実施形態の積層チップ320は、ヒートシンク400と、該ヒートシンク400の+Z側に遮蔽膜260を介して配置された反射鏡12と、該反射鏡12の+Z側に積層された活性層14とを有している。
遮蔽膜260は、一例として、厚さ0.5μm程度のAuSn膜であり、反射鏡12及び活性層14を含む積層構造体320aの−Z側の面及び4つの側面(+X側の面、−X側の面、+Y側の面、−Y側の面)を密着して覆っている。また、遮蔽膜260は、積層構造体320aとヒートシンク400とを接合する接合材としても機能している。なお、遮蔽膜260の材料としては、例えば半田、インジウムなどであっても良い。
第3実施形態のレーザ励起レーザ装置、及び積層構造体を覆う遮蔽膜を有しない比較例3のレーザ励起レーザ装置を、温度85度、湿度85%の高温高湿環境下に400時間放置後、レーザ発振テストを行った。その際、第3実施形態のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こったが、比較例3のレーザ励起レーザ装置では、レーザ発振が起こらなかった。なお、比較例3のレーザ励起レーザ装置は、遮蔽膜の有無を除いて、第3実施形態のレーザ励起レーザ装置と実質的に同一の構成を有する。
比較例3では、気体雰囲気に曝されている積層構造体に水分吸収による変質が生じ、積層構造体の端部から発生した亀裂、及び積層構造体のヒートシンクからの剥離が確認できた。これらが、レーザ発振に影響を及ぼしたものと考えられる。一方、第2実施形態では、遮蔽膜260によって気体雰囲気から遮蔽されている積層構造体320aに変質がなく、このため、レーザ発振に影響がなったものと考えられる。
次に、第3実施形態の積層チップ320の製造方法について、図7(A)〜図7(D)を参照して説明する。
(1)厚さ500μmの基板10上に、活性層14及び反射鏡12を、この順に積層して積層体を作成し、該積層体上に10nmのCr、20nmのAuZn、600nmのAuを蒸着する(図7(A)参照)。
(2)図7(A)の積層体における基板10を厚さ200μmになるまで研磨し、該積層体を、スクライブ工程、ヘキ開工程によって、例えばXY断面が一辺5mmの正方形状のチップ状体に分割する(図7(B)参照)。
(3)図7(B)のチップ状体の反射鏡12とヒートシンク400とを、例えばAuSnを用いて接合して接合体を作成する(図7(C)参照)。この際、厚さ5μmのAuSn膜を用いて、最終的に反射鏡12とヒートシンク400との間に形成されるAuSn膜の厚さが0.5μm程度になるように加圧接合することにより、チップ状体の4つの側面に沿ってAuSnを回り込ませることで、遮蔽膜260を形成することができる。
(4)図7(C)の接合体の基板10を厚さ30μmになるまで研磨した後、基板10をウエットエッチングによって完全に除去する(図7(D)参照)。
以上説明した第3実施形態の積層チップ320では、上記第1実施形態の積層チップ300に比べて、活性層14とヒートシンク400との距離を短くできるため、活性層14で発生する熱の放熱性を向上させることができ、ひいては高出力化を図ることができる。
また、積層構造体320aを囲む遮蔽膜260は、金属製(例えばAuSn)なので、活性層14で発生した熱を効率良く、ヒートシンク400に伝達することができ、積層構造体320aの冷却効率を高めることができる。
また、積層構造体320aに遮蔽膜260を形成すること、及び積層構造体320aとヒートシンク400とを接合することを一度に行うことができ、かつエッチング工程を行わないため、上記第2実施形態に比べて、製造効率の向上を図ることができる。
また、遮蔽膜260は、積層構造体320aとヒートシンク400との間で加圧されて形成されるため、積層構造体320aの−Z側の面及び4つの側面に対する密着性を向上させることができる。
なお、上記第1及び第2実施形態では、遮蔽膜の材料として、SiNが用いられているが、これに限らず、例えばSiO、SiON等を用いても良い。
また、上記第1及び第2実施形態では、積層チップの製造時における積層体のエッチングは、基板10の内部に達するまで行われているが、要は、少なくとも基板10の+Z側の面が露出するまで行われれば良い。
また、上記第1及び第2実施形態では、遮蔽膜は、積層構造体における活性層14及び反射鏡12のみならず、基板又はヒートシンクの一部も覆っているが、要は、積層構造体における少なくとも活性層14及び反射鏡12を覆っていれば良い。
また、上記第1〜第3実施形態の積層構造体の反射鏡12及び活性層14は、XY断面形状が正方形とされているが、これに限らず、例えば、正方形以外の多角形状、円形状、楕円形状等の他の形状であっても良い。
また、上記第1〜第3実施形態では、活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源として、端面発光型の励起用半導体レーザ素子100が用いられているが、これに限らず、他のレーザであっても良い。
また、上記第1〜第3実施形態のレーザ励起レーザ装置は、集光レンズ、波長変換素子及び複屈折フィルタを備えているが、これらの少なくとも1つを備えていなくても良い。
10…基板、12…反射鏡(第1反射鏡)14…活性層、16、160、260…遮蔽膜、100…励起用半導体レーザ素子(光源)、300a、310a、320a…積層構造体、400…ヒートシンク、700…外部反射鏡(第2反射鏡)、1000…レーザ励起レーザ装置。
特表2002−523889号公報 特開2007−158308号公報 特開2007−142394号公報

Claims (8)

  1. 第1反射鏡と該第1反射鏡上に積層された活性層とを含む積層構造体と、該積層構造体の一部を気体雰囲気から遮蔽する遮蔽膜と、前記活性層に対して前記第1反射鏡と反対側に配置された第2反射鏡と、を有するレーザ発振器と、
    前記活性層を励起するためのレーザ光を射出する光源と、を備えるレーザ励起レーザ装置。
  2. 前記遮蔽膜は、少なくとも前記活性層の前記第1反射鏡側の面と反対側の面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ励起レーザ装置。
  3. 前記遮蔽膜の、前記活性層の前記第1反射鏡側の面と反対側の面を覆う部分の厚さは、前記遮蔽膜の材料の屈折率をn、前記レーザ発振器の発振波長をλとすると、n×λ/4の整数倍となることを特徴とする請求項2に記載のレーザ励起レーザ装置。
  4. 前記積層構造体は、前記第1反射鏡に対して前記活性層と反対側に配置された基板を含み、
    前記遮蔽膜は、前記積層構造体における前記基板の一部、前記第1反射鏡及び前記活性層を覆っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ励起レーザ装置。
  5. 前記積層構造体は、前記第1反射鏡に対して前記活性層と反対側に配置されたヒートシンクを含み、
    前記遮蔽膜は、前記積層構造体における前記ヒートシンクの一部、前記第1反射鏡及び前記活性層を覆っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ励起レーザ装置。
  6. 前記遮蔽膜は、SiN、SiO及びSiONのいずれかを含んで構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ励起レーザ装置。
  7. 前記レーザ発振器は、前記積層構造体の前記第1反射鏡に前記遮蔽膜を介して接合されたヒートシンクを有し、
    前記遮蔽膜は、前記積層構造体における、前記活性層の前記第1反射鏡側の面と反対側の面を除く全ての面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ励起レーザ装置。
  8. 前記遮蔽膜は、金属を含んで構成されていることを特徴とする請求項7に記載のレーザ励起レーザ装置。
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