JP2014092633A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 結着樹脂として結晶性樹脂を用いたトナーは、除去手段によって力が加えられると、結晶層がずれて変形や欠けが発生して小径化しやすい。これにより、小径化したトナーが除去手段と静電潜像担持体との間をすり抜けると、静電潜像担持体の表面にトナーが付着する。この場合、静電潜像担持体の表面が架橋樹脂により形成されていると、除去手段によってその表面が削られにくくなるため、付着したトナーが静電潜像担持体の表面に残存し続けて、形成される画像の品質に影響を及ぼすという課題が生じる。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、メタノールで測定した疎水化度が35質量%以上のトナーを用いるため、トナーが静電潜像担持体に残存した場合でも、トナーの吸湿に伴う静電潜像担持体の吸湿を抑制することができる。これにより、静電潜像担持体の吸湿に伴う画像品質の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【選択図】図4

Description

本発明は、結晶性樹脂を含有するトナーを用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
従来、トナーを用いて画像を形成する装置として、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置が用いられている。この画像形成装置は、静電潜像担持体としての感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を用紙に転写し、加熱溶融させて定着させることにより画像を形成する。この定着処理では、トナーを加熱溶融させるために多くの電力が必要となるため、省エネルギー化を図る観点から、低温定着性のトナーが用いられている。
低温定着性のトナーとしては、結晶性ポリエステル樹脂のような結晶性樹脂を結着樹脂として含有するものが知られている。このようなトナーは、結晶性樹脂の含有量を増やすほど、低温での定着性が改良されるだけでなく、架橋樹脂を含む表面層を有する感光体と組み合わせて画像形成を行った場合には、通常の非結晶性樹脂を用いたトナーに比べ転写効率が高くなり、高品質の画像が得られることが知られている(特許文献1参照)。
ところで、画像形成装置において、転写後に感光体の表面に残存したトナーは、除去手段としてのクリーニングブレードによって取り除かれる。この場合、ゴムのクリーニングブレードを感光体に食い込ませるように変形させることにより、感光体に残存するトナーを掻きとってクリーニングを行う。
しかしながら、結着樹脂として結晶性樹脂を用いたトナーは、除去手段によって力が加えられると、結晶層がずれて変形や欠けが発生して小径化しやすい。これにより、小径化したトナーが除去手段と静電潜像担持体との間をすり抜けると、静電潜像担持体の表面にトナーが付着する。この場合、静電潜像担持体の表面が架橋樹脂により形成されていると、除去手段によってその表面が削られにくくなるため、付着したトナーが静電潜像担持体の表面に残存し続けて、形成される画像の品質に影響を及ぼすという課題が生じる。
請求項1に係る発明は、架橋樹脂により形成された表面層を有する静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上の静電潜像を、トナーを用いてトナー像に現像する現像手段と、現像された前記トナー像を転写する転写手段と、転写後に前記静電潜像担持体上に残存する前記トナーを除去する除去手段とを有する画像形成装置であって、前記トナーが結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、メタノールで測定した疎水化度が35質量%以上であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の画像形成装置は、メタノールで測定した疎水化度が35質量%以上のトナーを用いるため、トナーが静電潜像担持体に残存した場合でも、トナーの吸湿に伴う静電潜像担持体の吸湿を抑制することができる。これにより、静電潜像担持体の吸湿に伴う画像品質の低下を抑制することができるという効果を奏する。
X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。 X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。 ポリウレアのカルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 トナーカートリッジ、サブホッパ、及び、現像装置を示す模式図である。 現像装置を示す横断面図である。 作像部を示す縦断面図である。 感光体ドラムの表層部を示す断面図である。 クリーニングブレードの斜視図である。 クリーニングブレードの拡大断面図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態のトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、メタノールで測定した疎水化度が35質量%以上である。トナーの結晶性樹脂は、好ましくはウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する。
<<結着樹脂>>>
まずは、本実施形態のトナーの結着樹脂について説明する。本実施形態において、結着樹脂は、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含有しても良いが、結着樹脂の主成分は、結晶性樹脂であることが好ましい。本実施形態において、結晶性樹脂とは、結晶構造を持った部位を有する樹脂を意味する。また、結晶性樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有することが好ましい。
樹脂に、結晶構造を持った部位を設ける方法としては、特に限定されないが、主鎖に結晶性を有するポリマーユニットを導入する方法が挙げられる。結晶性を有するポリマーユニットのうち、結晶性ポリエステルユニット、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等の長鎖アルキルエステルユニットは、トナー用の結着樹脂として好適な融点を有する点で好ましい。特に、結晶性ポリエステルユニットは、トナーとして好適な融点設計を行いやすく、紙への結着性に優れることから、結晶性樹脂の主成分とすることが好ましい。具体的には、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂は、結着樹脂全体の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%、更に好ましくは90質量%以上である。
<結晶性ポリエステルユニット>
結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は、結晶構造をとる部分は多いものの、外力により容易に変形しやすいことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることは困難であり、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形しやすい、あるいは結晶構造をとっている部分に関しても、通常その高次構造は分子鎖が折りたたまれながら面を形成したものが重なる、いわゆるラメラ構造となるが、そのラメラ層間には大きな結合力が働かないため容易にラメラ層がずれやすい、などの原因が考えられる。トナー用の結着樹脂としては、外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像が容易に傷がつく、などの問題が発生する可能性があるため、外力に対してある程度変形に耐えうるもの、強靭性を有するものでなければならない。
樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)が好ましい。この中でも特に、ウレタン結合部位やウレア結合部位は、分子鎖中に存在することにより、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができるため好ましい。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
−ポリオール−
上記のポリオールとしては、例えば、ジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール等が挙げられる。ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4乃至36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4乃至36の脂環式ジオール;脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも鎖炭素数が2乃至36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の直鎖型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性とが両立し、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
鎖炭素数が2乃至36の分岐型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
炭素数4乃至36のアルキレンエーテルグリコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
炭素数4乃至36の脂環式ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
脂環式ジオールのAOとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1乃至30)などが挙げられる。
ビスフェノール類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2乃至30)などが挙げられる。ポリラクトンジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6乃至24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1乃至6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1乃至6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらのジオールの中和塩基としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数3乃至30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2乃至12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要に応じて用いられる3乃至8価あるいはそれ以上のポリオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2乃至30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2乃至30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
−ポリカルボン酸−
上記のポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4乃至36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4乃至36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6乃至40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8乃至36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9乃至20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸又は3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1乃至4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
上記のジカルボン酸の中でも、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸を単独で用いることが好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共にテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸あるいはその低級アルキルエステル類を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
−ラクトン開環重合物−
上記のラクトン開環重合物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3乃至12のモノラクトン類(環中のエステル基数1個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、炭素数3乃至12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
炭素数3乃至12のモノラクトンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。また、ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ダイセル社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
−ポリヒドロキシカルボン酸−
ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4乃至12の環状エステル(環中のエステル基数2乃至3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられる。これらの中でも、分子量の調整の観点から開環重合する方法が好ましい。上記の環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
<結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂>
本実施形態において、結晶性ポリエステルユニットを連結させる方法としては、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。
芳香族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−あるいは1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−あるいは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−あるいは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、ジイソシアネートの変性物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDI、などのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6乃至20好ましくは6乃至15の芳香族ジイソシアネート、2乃至18好ましくは4乃至12の脂肪族ジイソシアネート、4乃至15の脂環式ジイソシアネート、8乃至15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。特に、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIは好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
<結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂>
また、本実施形態において、結晶性樹脂は、上記の結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーとを結合させたものであることが好ましい。他のポリマーを構成するポリマーユニットとしては、非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット、ビニル系ポリマーユニットが挙げられる。結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーとを結合させる方法としては、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法、あるいは結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法があるが、設計意図通りに反応を制御させやすいという点で、一つ目あるいは二つ目の方法が好ましい。
一つ目の方法としては、上記の結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法が挙げられる。また、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法を用いることもできる。この方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。なお、ポリイソシアネートとしては、前述のものを使用することができる。
二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを先に作成する場合、その末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを構成するモノマーとを反応させる。これにより、結晶性ポリエステルユニットと、非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等の他のポリマーとを結合させた樹脂が得られる。
−非結晶性ポリエステルユニット−
上記の非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えばポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。ポリオール及びポリカルボン酸については上記の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できるが、結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよい。屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2乃至30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
−ポリウレタンユニット−
結晶性ポリエステルユニットに結合させるユニットとしてポリウレタンユニットを選択した場合には、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンユニットとを有する共重合体が得られる。上記のポリウレタンユニットとしては、ジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートと、から合成されるポリウレタンユニットが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
ポリオールとしては、ポリエステルの構成成分として前述のジオール及び3乃至8価あるいはそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−ポリウレアユニット−
上記のポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット等が挙げられる。これらの中でも、ジアミンとジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
ジアミンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2乃至18の脂肪族ジアミン類、炭素数6乃至20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
炭素数2乃至18の脂肪族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2乃至6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4乃至18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4乃至15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4乃至15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8乃至15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
炭素数6乃至20の芳香族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔非置換芳香族ジアミン、炭素数1乃至4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
上記のジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン(アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。また、アミン化合物のアミノ基をケトン化合物などによりキャッピングしたものを用いてもよい。
−ビニル系ポリマーユニット−
上記のビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)乃至(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素:
脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル系炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
芳香族ビニル系炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;及びビニルナフタレン。
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3乃至30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1乃至24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:
炭素数2乃至14のアルケンスルホン酸、例えはビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2乃至24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3乃至18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2乃至30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5乃至15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等。
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1乃至24)ホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びそれらの塩等。
なお、上記(2)乃至(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
(6)含窒素ビニル系モノマー:
アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩等。
アミド基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト等。
4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1乃至50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2乃至8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2乃至8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等。
ビニルケトン、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等。
ビニルスルホン類、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
(9)その他のビニル系モノマー:
イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
(10)フッ素原子元素含有ビニル系モノマー:
4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート及びビニルペルフルオロオクタノエート等。
<主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂>
また、本実施形態において、結着樹脂としては主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。Solubility Parameter Values(Polymer handbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50,230(J/mol)であり、ウレタン結合の凝集エネルギー26,370(J/mol)の二倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できる。
主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るには、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物を反応させる、あるいはポリイソシアネート化合物と水を反応させ、イソシアネートの加水分解によって発生したアミノ基と残りのイソシアネート基とを反応させる方法がある。また、主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るにあたり、上記の化合物のほかに、ポリオール化合物も同時に反応させることで樹脂設計の自由度を広げることができる。
−ポリイソシアネート−
ポリイソシアネートとしては、前述のようなジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート(以下、低分子量ポリイソシアネートとも記載する)のほか、イソシアネート基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、プレポリマーとも記載する)を使用してもよい。
プレポリマーの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートとポリアミン化合物を、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得る方法、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る方法が挙げられる。これらの方法で得られるプレポリマーは単独で使用してもよいし、同じ方法で得られる2種類以上のプレポリマー、あるいは二通りの方法で得られる2種類以上のプレポリマーを併用しても構わないし、さらにはプレポリマーと低分子量ポリイソシアネートを1種類あるいは複数種併用しても構わない。
ポリイソシアネートの使用比率は、イソシアネート基[NCO]と、ポリアミンのアミノ基[NH]の当量比[NCO]/[NH]、あるいはポリオールの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1.01/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]のモル比が5を超えるとウレタン結合やウレア結合が多くなりすぎ、最終的に得られる樹脂をトナー用の結着樹脂として使用すると溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性がある。一方、[NCO]のモル比が1.01未満では、重合度が高くなり生成するプレポリマーの分子量が大きくなるため、トナーを製造するときに他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性があるため好ましくない。
−ポリアミン−
ポリアミンとしては、前述のようなジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
−ポリオール−
ポリオールとしては、前述のようなジオール、3乃至8価あるいはそれ以上のポリオール(以下、低分子量ポリオールとも記載する)のほか、水酸基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、高分子量ポリオールとも記載する)を使用してもよい。高分子量ポリオールの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法が挙げられる。
水酸基を末端に有するポリウレタンあるいはポリエステルを調整するために、低分子量ポリオールと低分子量ポリイソシアネートの比率[OH]/[NCO]、あるいは低分子量ポリオールとポリカルボン酸の比率[OH]/[COOH]は、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。水酸基のモル比が2を超えると重合反応が進まないため所望の高分子量ポリオールが得られず、1.02を下回ると重合度が高くなり得られる高分子量ポリオールの分子量が大きくなりすぎるためトナーを製造するときに他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が低下する可能性があるため好ましくない。
−ポリカルボン酸−
ポリカルボン酸としては前述のジカルボン酸、3乃至6価あるいはそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
<結晶性樹脂の組み合わせ>
本実施形態における結着樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、第1の結晶性樹脂と、第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量(Mw)が大きい第2の結晶性樹脂を含むことで、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することができる。
また、第2の結晶性樹脂は、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂(結着樹脂前駆体)を、活性水素基を有する化合物と反応させることで、伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましい。これにより、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。
更に、第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性樹脂であり、且つ、第2の結晶性樹脂は、第1の結晶性樹脂を変性した結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。なお、この場合、第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂が共にウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有することとなる。
従来、トナーの結着樹脂として、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合、形成される画像の搬送傷が発生しやすかった。これは、この樹脂が溶融した状態から融点以下に冷却された際に、再結晶化速度が小さいことに起因する。この場合、トナーを熱定着させた直後の画像は、室温付近に冷却された後も再結晶化速度が小さいために一時的に過冷却状態になる。この過冷却状態では結晶化時と比較して弾性率が著しく低いので、定着直後に接触する搬送部材から受ける機械的ストレスに対して十分な耐久性が無い。
再結晶化速度を小さくするために、物理的架橋点や分子構造の不均一性を調整すべくウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方の量を減じた場合には、弾性率が低下して画像の強度が低下するため、搬送傷が発生しやすくなり、耐ホットオフセット性も低下する。同様に、分子量を調整した場合にも、搬送傷の発生を抑制できず、画像の再結晶化速度と弾性率という二律背反的な両特性を同時に改良することはできなかった。
そこで、発明者らは鋭意検討の結果、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂と未変性の結晶性ポリエステルを複合させることで、弾性率を維持しつつ再結晶化速度を向上させることが可能であることを見出した。すなわち、画像が溶融状態から融点を超えて冷却された場合に、分子鎖が動きやすく対象性の高い未変性の結晶性ポリエステルが即座に結晶化し、結晶核を形成することで画像全体の結晶化を促す。これにより、結晶化速度を著しく向上させることができる。
この未変性の結晶性ポリエステル樹脂による結晶化速度向上効果により、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた場合であっても、搬送部材に接触する前に画像の弾性率、強度を大きく向上させることができるため、搬送傷の発生を抑制することができる。しかも、このときウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂の存在により耐ホットオフセット性は維持されたままであり、かつ、未変性の結晶性ポリエステル樹脂は低温定着性に有利に働く効果も与える。
このように、結着樹脂として少なくともウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂と、未変性の結晶性ポリエステル樹脂とを含有させることで、低温定着と耐熱保存性を高いレベルで両立しつつ、かつ、搬送傷の発生及び出力画像の強度不足を解消することができる。
上記の効果を得るために、未変性の結晶性ポリエステル樹脂とウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂は、画像中において両者が均一に混合された状態であることが好ましい。したがって、トナー内部において、両者が均一に混合又は一様に分布した状態であることが好ましい。トナー内部における均一混合性、分散性の観点より、未変性の結晶性ポリエステル樹脂と、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部は、類似の骨格を有することが好ましい。
<<造核剤>>
また、結晶性樹脂の再結晶化を促進するために、本実施形態のトナーは造核剤を含んでもよい。造核剤は、結晶性樹脂あるいはトナーの発熱ピーク温度を上昇させる効果をもつ。なお、「発熱ピーク温度」とは、示差走査熱量測定(DSC)における発熱ピーク温度を意味し、以下においても特に断りがない限り同様とする。造核剤は結晶性樹脂より高い融点を持ち、かつ結晶性樹脂と非相溶であるために、トナー中において結晶性樹脂より高い温度で結晶化するため、結晶性樹脂の結晶化を促進させる。そのため、造核剤を用いることでトナーの製造工程中で結晶性樹脂の結晶化度を向上させる効果があり、トナーの耐熱保存性を向上させることが可能となる。また、造核剤は、定着後の画像の結晶化促進にも効果があり画像(印刷物)の耐ブロッキング性の向上も見込めるだけでなく、結晶核のサイズが均一に小さく出来ることから、画像表面が平滑となり光沢性を向上させることが出来る。
本実施形態においては造核剤としては、公知のものが利用でき、無機結晶核剤および有機結晶核剤のいずれも使用することができる。具体的には、無機結晶核剤としては、シリカ、タルク、カオリン、アルミナ、ミョウバン、酸化チタンなどが挙げられる。有機結晶核剤としては、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトールなどの低級アルキルジベンジリデンソルビトール、アルミニウムベンゾエート化合物、リン酸エステル金属塩化合物、モンタン酸ナトリウム等の直鎖脂肪酸金属塩、ロジン酸部分金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等が挙げられる。本実施形態においては上記の中でも特にリン酸エステル金属塩化合物及びその複合体や含窒素化合物を造核剤として用いることが好ましい。これらの有機化合物は、結晶性ポリエステルの結晶化速度を速め、機械的強度を大幅に向上させる効果がある。また、ソルビトール系結晶核剤のように、高温での分解し易さや、分解による臭気および性能の低下に注意を要する必要がないので好ましい。造核剤のトナー中の含有量は0.1質量%以上5.0質量%以下であり、0.3質量%以上2.0質量%が好ましい。含有量が0.1質量%より小さい場合には十分な結晶化促進効果が得られずトナー画像の耐ブロッキング性を向上する効果が発現しない場合がある。含有量が5.0質量%よりも多い場合には、造核剤は結晶性樹脂及びトナーよりも高い融点を有することから、トナーの粘弾性を上昇させ十分な低温定着性が得られない場合がある。
<<離型剤>>
本実施形態のトナーに用いられる離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
上記のカルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
上記のポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
上記のポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。上記の長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
上記の離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。前記融点が50℃未満であると、耐熱保存性に影響を与えることがあり、100℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することができる。この場合、離型剤5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
離型剤の溶融粘度としては、100℃における測定値として、5mPa・sec〜100mPa・secが好ましく、5mPa・sec〜50mPa・secがより好ましく、5mPa・sec〜20mPa・secが特に好ましい。溶融粘度が、5mPa・sec未満の場合、離型性が低下することがあり、100mPa・secより大きい場合、耐ホットオフセット性、及び低温での離型性が低下することがある。
離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。含有量が、1質量%未満の場合、耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、20質量%を超えると耐熱保存性、帯電性、転写性、耐ストレス性が低下することがある。
<<着色剤>>
本実施形態のトナーに用いられる着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤から目的に応じて適宜選択することができる。
着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
ブラック用着色顔料としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、150、163、177、179、184、202、206、207、209、211、269;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36等が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、139、151、154、155、180、185;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36等が挙げられる。
トナー中における着色剤の含有量は、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はないが、本実施形態における結着樹脂との相溶性の点から、本実施形態の結着樹脂等を用いることが好ましい。
マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤を混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
<<帯電制御剤>>
また、トナーに適切な帯電能を付与するために、必要に応じて帯電制御剤をトナーに含有させることも可能である。帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤がいずれも使用可能である。帯電制御剤として有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂に対し0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.02質量%以上2質量%以下がより好ましい。添加量が、5質量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.01質量%未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
<<フッ素系化合物>>
本実施形態ではトナーにフッ素化合物を添加することができる。使用するフッ素系化合物としては、フッ素原子を含む化合物であれば、有機、無機化合物いずれも使用可能で、フッ素原子を含むこと以外は特に限定されない。その中でも一般式(F1)の化合物がより好ましい。
Figure 2014092633
(式中、Xは−SO−または−CO−であり、R、R、R、Rは、H、炭素数1乃至10のアルキル基およびアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mとnは正数である。Yは、I、BrCl等のハロゲン原子である。)
また、荷電制御剤としては一般式(F1)で示される含フッ素4級アンモニウム塩に含金属アゾ染料を併用することも好ましい。一般式(F1)の化合物の代表的な具体例としては、以下のようなフッ素系化合物(f1)〜(f27)が挙げられ、すべて白色または淡黄色を示している。またYはヨウ素がより好ましい。
Figure 2014092633
Figure 2014092633
Figure 2014092633
上記の中でも特に、N,N,N−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム・ヨージドが、帯電付与能力の点で好ましい。また上記の化合物と他のフッ素系化合物との混合物であっても良い。
フッ素化合物は、トナーに対し0.01〜5質量%の範囲で好ましくは0.01〜3質量%の範囲でトナーに表面処理を施すことができる。表面処理量が5質量%を越える場合には、現像剤の定着不良等を生じる場合がある。
フッ素化合物をトナーに処理する方法として、無機微粒子添加前の母体トナーを、フッ素化合物を分散させた水系溶媒(界面活性剤を含んだ水も好ましい)に分散させ、トナー表面にフッ素化合物を付着(またはイオン結合)させた後、溶媒を除去、乾燥させてトナー母体を得ることができるが、この方法に限定されない。この際アルコールを5〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%になるように混合するとフッ素系化合物の分散性がより向上し、トナー表面への付着状態が均一となり、トナー粒子間の帯電均一性等が向上しより好ましい。
また同時にトナー表面にもフッ素系化合物を付着、或いは固定化せしめる周知の方法が使用できる。例えば、機械的剪断力を利用したトナー表面へのフッ素系化合物の付着、固定化、混合と加熱処理の併用によるトナー表面へのフッ素化合物の固定化、或いは混合と機械的衝撃の併用によるトナー表面への固定化、あるいはトナーとの共有結合、或いは水素結合、イオン結合等の化学結合による固定化等の化学的方法も挙げられる。
<<結着樹脂のトナーへの導入>>
結着樹脂をトナーへ導入する場合、上記の結着樹脂を、外添剤、造核剤、着色剤、離型剤、および帯電制御剤などの結着樹脂以外のトナー構成材料と混合し、公知の方法により粒子化する。結着樹脂がウレア結合を有する樹脂である場合には、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物および水の少なくとも一方とを、トナー構成材料と混合することで、ウレア結合を形成させてもよい。特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用した場合には、ウレア結合を有する高分子量の結晶性樹脂を均一にトナー中に導入できる。これにより、トナーの熱特性や帯電性が均一になり、定着性とトナーの耐ストレス性とを両立しやすくなるため好ましい。さらに、プレポリマーとして、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるものを使用した場合には、粘弾性を抑えられる点で好ましい。トナーに適した熱特性を得るために、ポリオール化合物としては、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて得られる末端に水酸基を有するポリエステルが好ましい。さらには、ポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。また、本実施形態のトナーが水系媒体中で造粒することにより得られるものである場合、分散媒の水がポリイソシアネート化合物と反応することで温和な条件でウレア結合を形成させることができる。
<<トナー物性>>
(トナーの疎水化度)
本実施形態のトナーのMeOH疎水化度は35質量%以上であることが好ましい。疎水化度が、35質量%未満の場合、周辺湿度による帯電性への影響が大きいとともに、感光体上にトナーがフィルミングを起こしたとき、感光体表面が吸湿するため、感光体表面の帯電分布が安定せず異常画像を発生しやすくなる。疎水化度が35質量%未満であると、トナーが感光体上にフィルミングを起こしても、感光体の吸湿が抑えられ異常画像の発生を抑制することができる。
本実施形態において疎水化度はRHESCA社製粉体濡れ性装置試験機WET-100Pを使用して測定することができる。この場合、透明な容器にイオン交換水を入れて、イオン交換水上にトナーを浮遊させ、撹拌しながら水中にメタノールを毎分1.6ml供給して混合する。ある濃度に達するとトナーは液中に沈降、分散し始め、この時の容器内の透過率変化のデータから疎水化度を求める。
透過率が沈殿し始めた濃度を濃度A質量%、沈殿が終了し、透過率が安定し始めた濃度を濃度B質量%とすると、疎水化度は以下の式で計算できる。
疎水化度[質量%]=(濃度A+濃度B)/2
(X線回折スペクトル強度比)
本実施形態のトナーは結晶性樹脂を含むため、X線回折装置によって得られるトナーの回折スペクトルは、結晶構造に由来する回折ピークを有する。また、本実施形態における非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂のことであり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。
X線回折装置によって得られる本実施形態のトナーの回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした場合に、比率(C)/((C)+(A))は、定着性と耐熱保存性の両立の観点から、0.15以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましく、0.45以上であることが特に好ましい。なお、従来公知の、結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、この比率がおおよそ0.15未満である。
本実施形態のトナーがワックスを含有する場合、回折スペクトルにおける2θ=23.5〜24°の位置にワックス固有の回折ピークが現れる事が多い。しかし、トナー全質量に対するワックス含有量が15質量%以下の場合は、ワックス固有の回折ピークの寄与がわずかであることから考慮しなくてもよい。ワックス含有量が15質量%以上の場合には、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度から、ワックスの結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を差し引いた値を上記の「結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)」と置き換えることとする。
比率(C)/((C)+(A))は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。本実施形態において、X線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定することができる。測定に使用するキャピラリーは、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用する。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定する。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とする。測定の詳細条件を以下に示す。
管電流 : 40mA
管電圧 : 40kV
ゴニオメーター2θ軸 : 20.0000°
ゴニオメーターΩ軸 : 0.0000°
ゴニオメーターφ軸 : 0.0000°
検出器距離 : 15cm(広角測定)
測定範囲 : 3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間 : 600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/((C)+(A))を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図1及び図2に示す。図1及び図2は、X線回折によって得られる回折スペクトルの一例を示す図である。図1及び図2に示された横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図1におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、主要なピーク(P1、P2)は、結晶構造に由来するものであり、ハロー(h)は非晶構造に由来するものである。
この2の主要なピーク(P1、P2)とハロー(h)をガウス関数、
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)/(2cp1)}
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)/(2cp2)}
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)/(2ch)}
(fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数)
で表し、この3つの関数の和
f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)
をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図2に図示する)とし、最小二乗法によるフィッティングを行う。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図1の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致させて得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率(C)/((C)+(A))を算出することができる。
(融解熱ピーク温度)
本実施形態のトナーは、低温定着性と耐熱保存性とを両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするために、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃以上70℃以下であることが好ましく、55℃以上68℃以下がより好ましく、58℃以上65℃以下が特に好ましい。トナーの融解熱の最大ピーク温度が50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生しやすくなり、70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。
本実施形態のトナーは、示差走査熱量計(DSC)により測定される、昇温2回目の融解熱量が、30J/g以上75J/g以下であることが好ましく、45J/g以上70J/g以下がより好ましく、50J/g以上60J/g以下が特に好ましい。トナーの融解熱量は、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなり、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。
トナーの融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。この場合、測定用の試料を、20℃から150℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、次いで降温速度10℃/minで0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/minで昇温して吸発熱変化を測定する。そして、DSC−60システム中の解析プログラム等を用いて、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、昇温2回目の吸熱量の最大ピークに対応する温度と吸熱量を求める。なお、測定条件を以下に示す。
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:−20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
(最大吸熱・発熱ピーク温度の差)
また、本実施形態のトナーは、画像搬送傷の発生を抑制するために、以下条件で測定される最大吸熱・発熱ピーク温度を(T1,T2)(℃)とした時、下記条件(1)を満たすことが好ましい。
T1−T2≦30℃ かつT2≧30℃ (1)
トナーの最大吸熱ピークは、DSCシステムQ−200(TAインスツルメント社製)を用いて測定される。具体的には、まず、測定用の試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次に、窒素雰囲気下、0℃から10℃/minで100℃まで昇温させた後、100℃から10℃/minで0℃まで降温させる。更に0℃から10℃/minで100℃まで昇温させる。DSCシステムQ−200(TAインスツルメント社製)中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、トナーの最大吸熱ピーク温度T1を測定する。また、同様にして降温時におけるトナーの最大発熱ピーク温度T2を測定する。
本実施形態のトナーの最大吸熱ピーク温度T1としては、50℃以上70℃以下が好ましく、53℃以上65℃以下がより好ましく、58℃以上62℃以下が特に好ましい。最大吸熱ピーク温度T1が、50℃以上70℃以下であると、トナーに要求される耐熱保存性を確保することができ、且つ、従来にはない優れた低温定着性が得られる。最大吸熱ピーク温度T1が、50℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
最大発熱ピーク温度T2としては30℃以上55℃以下が好ましく、35℃以上55℃以下がより好ましく、40以上55℃以下が特に好ましい。最大発熱ピーク温度T2が30℃未満であると定着画像が冷却されて、固化する速度が遅く、トナー画像(印刷物)のブロッキングや搬送傷が生じることがある。また、最大発熱ピーク温度T2は可能な限り高い温度であることが望ましいが、T2は結晶化温度であることから、融点であるT1より高い温度を取り得ることは不可能である。即ち優れた耐熱保存性、低温定着性を維持しつつ、トナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制する為にはT1とT2の差(T1−T2)がある程度狭い範囲であることが望ましい。T1−T2は30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、20℃以下が特に好ましい。T1−T2が30℃より大きい場合には、定着温度とトナー画像の固化される温度の差が大きくトナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制する効果が得られない場合がある。
(軟化温度及び融解熱)
本実施形態において、結晶性樹脂は、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6、好ましくは0.8〜1.5、より好ましくは0.8〜1.3であって、熱により急峻に軟化する。非結晶性樹脂は、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が、例えば、1.6より大きく、熱により緩やかに軟化する。
樹脂の軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより2.94MPaの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とする。
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、結着樹脂として結晶性樹脂を主成分とするトナーは、融点以上で急激に粘弾性が低下する性質(シャープメルト性)を有し、この性質が紙種によって定着可能温度領域が大きく異ならせる原因となり得ることを見出した。さらに、発明者らは、ゲル拡散クロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算の分子量が100,000以上の成分を一定量以上含有し、さらに重量平均分子量が一定の範囲内にあることによって、紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着を可能にすることができることを見出した。なお、この成分の分子量は、従来の低温定着性に優れるトナーに使用される結着樹脂の分子量としては高めである。
本実施形態のトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量100,000以上の成分としては5%以上有することが好ましく、7%以上有することがさらに好ましく、9%以上有することがより好ましい。分子量100,000以上の成分が5%以上有することで、トナーの溶融後の流動性や粘弾性の温度依存性が小さくなるため、定着時において熱が伝わりやすい薄紙であっても熱がトナーに伝わりにくい厚紙であってもトナーの流動性や弾性率に大きく違いが生じにくく、定着装置において一定温度かつ一定速度で定着することが可能となる。分子量100,000以上の成分が5%未満であると、トナー溶融後の流動性や粘弾性が温度によって大きく変わるため、例えば薄紙における定着ではトナーの変形性が大きくなりすぎてしまい定着部材への接着面積が増大し、その結果定着部材からの離型がうまくできずに紙の巻きつきが発生することがある。さらに、本実施形態のトナーは、分子量250,000以上の成分を0.5%以上有することにより、低温定着性と耐熱保存性の両立が可能であり、しかも薄紙と厚紙での光沢度の差を縮めることができるため好ましい。
高分子量の成分を所定量含有させたときの作用について説明する。結晶性樹脂は前述のとおりシャープメルト性を有しているが、溶融状態におけるトナーの内部凝集力や粘弾性は、樹脂の分子量や構造によって大きく異なる。例えば、凝集エネルギーの大きな連結基であるウレタン結合やウレア結合を有する場合、溶融時においても比較的低温であればゴムのような弾性体に近い挙動を示す一方、高温になるのに従い高分子鎖の熱運動エネルギーが増大していくため、徐々に結合間の凝集が解れて粘性体に近づいていく。
このような樹脂をトナー用結着樹脂として用いると、定着温度が低いときには問題なく定着ができたとしても、定着温度が高温であるときにはトナー溶融時の内部凝集力が小さいために定着時にトナー画像の上側が定着部材に付着してしまう、いわゆるホットオフセット現象が発生することがあり、画像品位が損なわれる。ホットオフセットを回避するためにウレタン結合やウレア結合部位を多くすると、高温での定着においては問題なく行うことができる反面、低温で定着を行う場合には画像光沢が低く、紙への溶融含浸が不十分となり画像が紙から離脱しやすい状態となる。特に厚みがあり表面の凹凸が多い紙への定着を行う場合には、定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いためにトナーが定着しにくくなり、凹部においては定着部材でトナーに圧力が十分にかからないため特に弾性的な状態にあるトナーは定着しにくくなる。
溶融後の粘弾性を制御する手段として分子量を考えた場合、当然ながら分子量が大きいほど分子鎖の移動に障害が多くなるため粘弾性が大きくなる。さらに、分子量が大きい場合には絡まりが発生するために弾性的な挙動を示すようになる。紙への定着性に着目して考えると、分子量が小さいほうが溶融時の粘度が低いため好ましい反面、ある程度の弾性がなければホットオフセットが発生してしまう。しかしながら、分子量を全体的に上げてしまうと、特に厚紙においては定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いためにトナーが定着しにくくなる。そこで、結着樹脂の分子量全体としてはあまり大きくせず、高分子量の結晶性成分を含むようにすることにより、溶融後の粘弾性を好適に制御でき、薄紙や厚紙といった紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着可能なトナーを得ることができる。
本実施形態のトナーの重量平均分子量は20,000以上70,000以下であることが好ましく、より好ましくは、30,000以上60,000以下、特に好ましくは35,000以上50,000以下である。重量平均分子量が70,000を超えるような場合、結着樹脂全体の分子量が高くなるのでトナーが定着しにくくなり、光沢が低したり、定着後の画像が外的ストレスで欠落しやすくなったりするため好ましくない。また、20,000未満の場合にはいくら高分子量成分が多く存在していたとしてもトナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎ、ホットオフセットや定着部材への紙の巻きつきを引き起こすため好ましくない。
上記のような分子量分布を有するような結着樹脂を有するトナーを得る方法としては、分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する方法や、重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する方法がある。分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する場合、少なくとも相対的に高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の2種類を使用する。高分子量の樹脂としては、あらかじめ分子量の大きな樹脂を使用してもよいし、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂をトナーの製造過程で伸長させて高分子量体を形成させても良い。後者のほうが、高分子量体をトナー中に均一に存在させることができ、結着樹脂を有機溶媒中に溶解させる工程があるような製造方法においては、はじめから高分子量である樹脂よりも溶解させることが容易であるため好ましい。
高分子量の樹脂(イソシアネート基を有する変性樹脂も含む)と低分子量の樹脂の2種類で結着樹脂が構成される場合の比率としては、高分子量の樹脂/低分子量の樹脂の比が5/95〜60/40、好ましくは8/92〜50/50、より好ましくは12/88〜35/65、さらに好ましくは15/85〜25/75である。5/95よりも高分子量体が少ない場合、あるいは60/40よりも高分子量体が多い場合には、上記の分子量分布を有する結着樹脂を有するトナーを得るのが困難となる。
重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する場合、このような樹脂を得る方法としては、例えば、縮重合や重付加、付加縮合のような重合形態であれば、2官能のモノマーのほかに官能基数の異なるモノマーを少量添加することにより分子量分布を広げることができる。官能基数の異なるモノマーとしては、3官能以上のモノマー、単官能のモノマーがあるが、3官能以上のモノマーを使用すると分岐構造が生成するため、結晶性を有する樹脂を使用する場合には結晶構造を形成しにくくなる場合がある。単官能のモノマーを使用すれば、単官能のモノマーにより重合反応が停止することで2種類以上の樹脂を用いる場合における低分子量の樹脂を精製させつつ、一部は重合反応が進行し高分子量成分となる。
本実施形態においては、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布や重量平均分子量は、ゲル拡散クロマトグラフィー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)を使用する。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定する。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて算出する。標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズおよびトルエンを用いる。以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成する。
溶液A:S-7450 2.5mg, S-678 2.5mg, S-46.5 2.5mg, S-2.90 2.5mg, THF 50ml
溶液B:S-3730 2.5mg, S-257 2.5mg, S-19.8 2.5mg, S-0.580 2.5mg, THF 50ml
溶液C:S-1470 2.5mg, S-112 2.5mg, S-6.93 2.5mg, トルエン2.5mg, THF 50ml
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
分子量100,000以上の成分の割合、および分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000、および分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
(不溶分の吸熱量)
本実施形態において、結着樹脂の高分子量の成分は、結着樹脂の他の成分と樹脂構造が近いことが好ましく、結晶性を有することが好ましい。高分子量成分が他の成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できなくなる。高分子量の成分と他の成分との結晶性構造の含有量の比率は、トナーのテトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)測定における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSC測定における吸熱量(ΔH(T))との比率(ΔH(H)/ΔH(T))により求められる。本実施形態では、比率(ΔH(H)/ΔH(T))が、0.2以上1.25以下の範囲にあることが好ましく、0.3以上1.0以下の範囲にあることがより好ましく、0.4以上0.8以下の範囲にあることが特に好ましい。テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は重量比で50:50)に対する不溶分を得る具体的な試験方法としては、常温(20℃)の上記混合溶媒40gに対してトナー0.4gを添加し20分振とう混合をした後、遠心分離機により不溶成分を沈降させて上澄み液を除去したものを真空乾燥させることにより得ることができる。
なお、本実施形態において、トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(重量比で50/50)に対する不溶分が10%以上であることが低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から好ましい。
(THF可溶分のN元素の量)
本実施形態のトナーのTHF可溶分の元素(CHN)分析を行った場合に、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方に由来するN元素の量は、0.3質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上1.8質量%以下であることがより好ましく、0.7質量%以上1.6質量%以下であることが更に好ましい。N元素の量が2.0質量%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎて、定着性、光沢、あるいは、帯電性が低下する可能性がある。N元素の量が0.3質量%未満であるとトナーの強靭性の低下するため、画像形成装置内でトナーが凝集して部材を汚染させたり、溶融状態の粘弾性の低下により高温オフセットを生じさせたりする可能性がある。
このN元素の量は、vario MICRO cube(Elementar社製)を使用し、燃焼炉950℃、還元炉550℃、ヘリウム流量200ml/min、酸素流量25〜30ml/minの条件でCHN同時測定を行い、2回測定した値の平均値として求めることができる。なお、本測定方法でN元素の量が0.5質量%未満であった場合は、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)により測定を行う。この場合、電気炉温度は(横型反応炉)熱分解部分800℃、触媒部分900℃であり、測定条件は、メインO流量300ml/min、O流量300ml/min、Ar流量400ml/min、感度Lowとし、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行う。なお、トナー中におけるTHF可溶分は、予めトナー5gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて70mLのTHF(テトラヒドロフラン)で20時間抽出を行ったものからTHFを加熱減圧除去することにより得られる。
(トナー中のウレア結合)
本実施形態において、トナー中のウレア結合の存在は、トナーのTHF可溶分の13C−NMRによって行うことができる。具体的には以下のようにして分析を行う。分析するサンプル2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mlに浸し50℃で24hrおいた後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥する。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mlの濃度で加え、70℃で12〜24時間溶解させた後50℃にし、13C−NMR測定を行う。なお、測定周波数は、例えば、125.77MHz、1H_60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとすることができる。
トナー中のウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行う。カルボニル炭素の化学シフトは、図3に示したように、一般に150〜160ppmに見られる。なお、図3は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアの、カルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルの一例を示す図である。この例では、153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
<<画像形成装置の構成>>
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。まず、図4を用いて、画像形成装置の全体構成を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。本実施形態の画像形成装置1は、架橋樹脂により形成された表面層を有する感光体ドラム231(静電潜像担持体の一例)と、感光体ドラム231の静電潜像を、本実施形態のトナーを用いてトナー像に現像する現像装置180(静電潜像担持体の一例)と、現像された前記トナー像を転写する転写部240(転写手段の一例)と、転写後に感光体ドラム231に残存するトナーを除去するクリーニングブレード236a(除去手段の一例)とを有する。なお、本実施形態のトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、メタノールで測定した疎水化度が35質量%以上である。本実施形態では、画像形成装置1がプリンターである例を示すが、複写機、ファクシミリ、複合機等、トナーを使って画像を形成するものであれば、特に限定されない。
図4に示されているように、画像形成装置1は、給紙部210と、搬送部220と、作像部230と、転写部240と、定着部250とを備えている。
給紙部210は、図4に示されるように、給紙される用紙が積載された給紙カセット211と、給紙カセット211に積載された用紙を一枚ずつ給紙する給紙ローラ212とを備えている。
搬送部220は、給紙ローラ212によって給紙された用紙を転写部240の方向へ搬送するローラ221と、ローラ221によって搬送された用紙の先端部を挟み込んで待機し、用紙を所定のタイミングで転写部240に送り出す一対のタイミングローラ222と、定着部250でトナーを定着させた用紙を排紙トレイ224に排紙する排紙ローラ223とを備えている。
作像部230は、所定の間隔をおいて、図4の左方から右方に向かって順に、イエローのトナー(トナーY)を有した現像剤を用いて画像を形成する画像形成ユニットYと、シアンのトナー(トナーC)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットCと、マゼンタのトナー(トナーM)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットMと、ブラックのトナー(トナーK)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットKと、露光器233とを備えている。なお、本実施形態では、画像形成ユニット(Y,C,M,K)のうち任意の画像形成ユニットを示す場合には「画像形成ユニット」を用いる。また、現像剤は、本実施形態のトナーとキャリアとを有する。
図4において4つの画像形成ユニットは、それぞれに用いられる現像剤が異なるのみで、機械的な構成は実質的に同様である。それぞれの画像形成ユニットは、図4において時計回りに回転可能に設けられ、静電潜像及びトナー像を担持する感光体の一例としての感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)と、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面を一様に帯電させる各帯電器(232Y,232C,232M,232K)と、各色のトナー(Y,C,M,K)を供給する各トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)と、露光器233で感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に形成された静電潜像をトナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)から供給されたトナーを補給するためのサブホッパ(160Y,160C,160M,160K)と、サブホッパ(160Y,160C,160M,160K)によって補給された本実施形態のトナーを用いてトナー像に現像する現像ユニットの一例としての各現像装置(180Y,180C,180M,180K)と、各感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に残った転写残トナーを除去する各清掃器(236Y,236C,236M,236K)とを備えている。
なお、本実施形態では、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)のうち任意の感光体ドラムを示す場合には「感光体ドラム231」を用いる。帯電器(232Y,232C,232M,232K)のうち任意の帯電器を示す場合には「帯電器232」を用いる。トナーカートリッジ(234Y,234C,234M,234K)のうち任意のトナーカートリッジを示す場合には「トナーカートリッジ234」を用いる。また、サブホッパ(160Y,160C,160M,160K)のうち任意のサブホッパを示す場合には「サブホッパ160」を用いる。また、現像装置(180Y,180C,180M,180K)のうち任意の現像装置を示す場合には「現像装置180」を用いる。また、清掃器(236Y,236C,236M,236K)のうち任意の清掃器を示す場合には「清掃器236」を用いる。
帯電器232は、それぞれ図4中の時計回りに回転する感光体ドラム231の表面を一様に帯電する(帯電工程)。露光器233は、画像情報に基づいて光源233aから発せられたレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー233によって反射させて感光体ドラム231に照射する装置である。これにより感光体ドラム231には、画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程)。現像装置180は、現像装置と感光体間に発生する電界により、トナーを感光体ドラム231表面の静電潜像に吸着させてトナー像を現像する(現像工程)。
清掃器236は、感光体ドラム231に残存した未転写トナーを機械的に掻き取って回収する(クリーニング工程)。その後、感光体ドラム231の表面は、除電されて、残存電位が除去されることにより、感光体ドラム231上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
転写部240は、駆動ローラ241及び従動ローラ242と、駆動ローラ241の駆動に伴い図4において反時計回りに回転可能な転写媒体としての中間転写ベルト243と、中間転写ベルト243を挟んで、感光体ドラム231に対向して設けられた一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)と、トナー像の用紙への転写位置において中間転写ベルト243を挟んで対向して設けられた二次対向ローラ245および二次転写ローラ246とを備えている。なお、一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)のうち任意の一次転写ローラを示す場合には「一次転写ローラ244」を用いる。
一次転写ローラ244には、トナーの極性とは逆極性の一次転写バイアスがかけられる。一方、中間転写ベルト243には、一次転写ローラ244および感光体ドラム231に挟み込まれて一次転写ニップが形成される。これにより、感光体ドラム231の表面に形成された各トナー像が中間転写ベルト243上に転写(一次転写)される(一次転写工程)。この場合、中間転写ベルト243が図4中の矢印方向に回転することにより、感光体ドラム(231Y,231C,231M,231K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト243上に順次重ねて1次転写されてカラー画像が形成されることになる。
転写部240の二次転写ローラ246には、二次転写バイアスがかけられる。これにより、二次転写ニップ位置で、二次転写ローラ246と二次対向ローラ245とに挟み込まれた搬送中の用紙に、中間転写ベルト243上のトナー像が転写(二次転写)される(二次転写工程)。
定着部250は、ヒータが内部に設けられ、用紙をトナーの定着下限温度よりも高い温度に加熱する加熱ローラ251と、加熱ローラ251に回転可能に押し当てて加圧することにより接触面(ニップ部)を形成する加圧ローラ252とを備えている。なお、本実施形態において、定着下限温度とは、トナーが定着する下限の温度を意味する。これにより、用紙上のトナー像に熱と圧力が加えられて、トナー像が定着する(定着工程)。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ223によって排紙トレイ224に排紙され、一連の画像形成プロセスが完了する。
<<作像部の構成>>
続いて、図5乃至図8を用いて画像形成装置1における作像部230の構成について更に詳しく説明する。図5は、トナーカートリッジ、サブホッパ、及び、現像装置を示す模式図である。図6は、現像装置を示す横断面図である。図7は、作像部を示す縦断面図である。図8は、感光体ドラムの表層部を示す断面図である。
トナーカートリッジ234は、本実施形態のトナーを収容する。トナーカートリッジ234に収容されたトナーは、吸引ポンプ234cによって排出され、供給管234dによってサブホッパ160に供給される。サブホッパ160は、トナーカートリッジ234から排出されたトナーを搬送して、現像装置180に補給する。現像装置180は、サブホッパ160によって補給されたトナーを用いて感光体ドラム231上に形成された静電潜像を現像する。
<現像装置>
現像装置180は、図6および図7に示すように第1収容部181に設けられた第1搬送スクリュー182と、濃度検知センサ187、第2収容部183に設けられた第2搬送スクリュー184と、現像ローラ185と、ドクターブレード186とを有する。第1収容部181および第2収容部183は予め磁性キャリアを収容している。
図6の符号B1で示す位置の上方にはサブホッパ160と接続した補給口B1が形成されている。なお、サブホッパ160によるトナーの補給は、濃度検知センサ187による検知結果に基づいて、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように制御されている。
補給されたトナーは、第1搬送スクリュー182および第2搬送スクリュー184によって、キャリアとともに混合・攪拌されながら、第1収容部181および第2収容部183を、図6中の矢印方向に循環する。搬送されるトナーは、摩擦帯電によりキャリアに吸着する。
現像ローラ185は、マグネットローラを内包する。このマグネットローラの発する磁力によって、第2収容部183内を搬送されるトナーは、キャリアとともに現像ローラ185に吸着する。現像ローラ185に吸着したトナーは、現像ローラ185の回転に伴い搬送され、ドクターブレード186によってその層厚が規制される。層厚が規制されたトナーは、感光体ドラム231に対向する位置に搬送され、感光体ドラム231の担持する静電潜像に吸着する。この吸着により感光体ドラム231上にトナー像が形成される。現像ローラ185上のトナーを消費した現像剤は、現像ローラ185の回転に伴って第2収容部183に戻される。さらに、トナーを消費した現像剤は第2搬送スクリュー184によって第2収容部183内を搬送され、連通孔B3を経て第1収容部181内に戻される。
<感光体>
続いて、感光体ドラム231について説明する。本実施形態で使用される感光体ドラム231は、導電性支持体231a上に少なくとも感光層231bを有するものである。
まず、感光体ドラム231における層構造について説明する。図8(a)は、導電性支持体231a上に、感光層231bを設けた一例である。図8(b)は、導電性支持体231a上に、感光層231bと、表面層231cとを設けた一例である。また、図8(c)は、導電性支持体231a上に電荷発生層231b1、電荷輸送層231b2を積層した感光層231bと、表面層231cとを設けた一例である。また、図8(d)は、導電性支持体231a上に下引き層231dを設け、電荷発生層231b1、電荷輸送層231b2を積層した感光層231bと、表面層231cとを設けた一例である。
導電性支持体231aとしては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、導電性支持体231aとして用いることができる。導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本実施形態の導電性支持体231aとして好適に用いることができる。
次に、感光層231bについて説明する。感光層231bは単層でも積層でもよい。まず、図8(c)に示す、感光層231bが電荷発生層231b1と電荷輸送層231b2とからなる積層構成の場合について説明する。
電荷発生層231b1は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層231b1には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
特に、アゾ顔料およびフタロシアニン顔料の少なくとも一方が有効に用いられる。特に、アゾ顔料、およびチタニルフタロシアニン(特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン)が有効に使用できる。
電荷発生層231b1は、任意の結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体231a上に塗布し、乾燥することにより形成される。
電荷発生層231b1に用いられる任意の結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層231b1の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層231b2は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層231b1上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は、結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。また、電荷輸送層231b2の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、特に限定されないが、5μm以上が好ましい。
上記の溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
本実施形態の感光体ドラム231は、その電荷輸送層231b2中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30質量%程度が適当である。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1質量%が適当である。
次に、図8(b)に示す、感光層231bが単層構成の場合について説明する。電荷発生物質、電荷輸送物質としては前述したものが使用できる。単層の感光層231bは、電荷発生物質、電荷輸送物質、および、結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。
また、必要により、感光層231bに、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層231b2で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層231b1で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。結着樹脂100質量部に対する電荷発生物質の量は5〜40質量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150質量部である。
単層の感光層231bは、電荷発生物質、結着樹脂、電荷輸送物質をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層の感光層231bの膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
また、本実施形態の感光体ドラム231においては、導電性支持体231aと感光層231bとの間に下引き層231dを設けることができる。図8(d)は、図8(c)の導電性支持体231aと電荷発生層231b1との間に下引き層を設けた構成である。一般的に、下引き層231dは樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層231bを溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、下引き層231dにはモアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
下引き層231dは前述の感光層231bの如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本実施形態では、下引き層231dとして、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層231dには、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層231dの膜厚は0〜5μmが適当である。
本実施形態の感光体ドラム231においては、上記単層または積層の感光層231bの上に微粒子を含有させた表面層231cを設ける。表面層231cは、少なくとも微粒子とバインダー樹脂で構成される。バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの架橋樹脂が用いられる。微粒子としては、有機系微粒子または無機微粒子が用いられる。有機系微粒子としては、フッ素含有樹脂微粒子、ダイヤモンド微粒子などが挙げられる。無機微粒子としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の酸化物、チタン酸カリウムなどが挙げられる。この中でも、特に酸化物微粒子が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が有効に使用できる。
表面層231cの厚みは、1〜8.0μmであることが好ましい。長期的に繰り返し使用される感光体ドラム231は、機械的に耐久性が高く、摩耗しにくいものが好ましい。しかしながら、画像形成装置1における、帯電部材などから、オゾン及びNOxガスなどが発生し、感光体ドラム231の表面に付着し、このような付着物が存在すると、画像流れが発生する。画像流れを防止するためには、感光体ドラム231をある一定速度以上に摩耗する必要がある。このようなことから、長期的な繰り返し使用による摩耗の余裕度を考慮した場合、表面層231cは少なくとも1.0μm以上の膜厚であることが好ましい。また、表面層231cの膜厚が8.0μmよりも大きい場合は、残留電位上昇や微細ドット再現性の低下が考えられる。
また、例えば、アクリル系及びメタクリル系の少なくとも一方の架橋樹脂を表面層231cに使用することができる。この場合、表面層231cは、少なくとも電荷輸送機能を有しないアクリル系又はメタクリル系のラジカル重合性モノマーと電荷輸送機能を有するアクリル又はメタクリル系のラジカル重合性化合物とを含む塗布液を塗布、硬化することにより形成されるものが使用される。
本実施形態で用いるラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合性化合物に関しては、たとえば特開2011−164455号公報に記載されているような材料を用いることができる。かかる塗布液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
かかる塗布液を塗布後、外部から光エネルギーを与え硬化させ、架橋表面層を形成するものが好適に用いられる。光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。また、ラジカル重合による架橋反応は温度によってその反応性が大きく影響を受け、UV照射時の塗膜の表面温度は20℃以上170℃以下に維持することが好ましい。塗膜の表面温度制御手段は、前述の温度範囲を維持できれば何れの方法でも良いが、熱媒体を用いて温度を制御する方法が好ましい。
架橋樹脂からなる表面層231cの形成材料を用いた場合において、塗工方法について例示すると、例えば、塗布液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し0.03以上0.2以下で添加し、さらに溶媒を加えて塗布液を調製する。例えば、架橋表面層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、架橋表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗布液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。硬化し、作製された架橋樹脂からなる表面層231cは、有機溶媒に対して、不溶であることが好ましい。硬化が充分でない膜は、有機溶媒に対して、可溶であり、且つ架橋密度が低いため、機械的耐久性も低くなる。
例えば、アルミシリンダー等の導電性支持体231a上に、下引き層231d、電荷発生層231b1、上記電荷輸送層231b2を順次積層した積層感光体上に、上記調製した塗布液をスプレー等により塗布、指触乾燥を経て、UV照射して硬化させる。
光照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば700mW/cmのUV光を照射する場合、硬化に際し、ドラムを回転して全ての面を均一に2分程度照射する。このとき熱媒体等を用いて、表面温度が高くなりすぎないように制御する。硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
また、硬化反応を促進するためにUV照射時の雰囲気の酸素濃度を著しく低くすることが好ましい。また、UV照射時には、回転しつつUV照射を受けるが、UV光が当たる部分だけでなくUV光が当たらない部分も含めて、周りの雰囲気の酸素濃度を下げることがより好ましい。これによりラジカル重合反応時の酸素阻害を著しく低減できるため、より架橋密度が高い表面層を得ることができる。また、スプレー塗工により形成する場合、塗工設備内を窒素で満たして酸素濃度を下げた雰囲気下での塗工、または指触乾燥を行うことも有効な手段となる。
架橋樹脂からなる表面層231cの厚みは、1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは、2〜20μmであり、さらに好ましくは3〜10μmである。1μmより薄いと、キャリア付着などが起こった場合の感光体ドラム231表面へのめりこみ量に対して、架橋樹脂表面層231cの膜厚が小さすぎるため、十分な耐久性を確保できないことが多い。一方、30μmよりも厚いと、残留電位の上昇などの不具合を発生させてしまう場合がある。従って、摩耗や傷に対する余裕度の確保と残留電位の発生が少なくなるような好適な膜厚で架橋樹脂からなる表面層231cを形成する必要がある。
また、感光体ドラム231の表面層231c中に、フィラー微粒子を分散させることができ、これにより耐摩耗性が著しく向上し、感光体の長寿命化が達成される。さらに、フィラー微粒子によって表面に微細な凹凸が形成され、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩からなる潤滑剤の塗布性が高くなり、クリーニング性や転写性が向上するため好ましい。フィラー微粒子としては、以下のようなものが使用できる。
有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に金属酸化物が感光体の静電特性への副作用が小さく良好に用いられ、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンが有効に使用できる。またコロイダルシリカやコロイダルアルミナなどの微粒子も有効に使用できる。
また、フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが表面層231cの光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5μmを超える場合には、分散液中においてフィラーの沈降性が促進されたり、画像形成装置中での感光体表面へのトナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
表面層231c中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、保護層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、0.05以上0.5以下、好ましくは0.3以下程度である。
また、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位上昇のような静電特性への悪影響を引き起こすだけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30質量%が適しており、5〜20質量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラーを3次元の網目構造を形成させた架橋性表面層中に分散させることで、耐摩耗性が著しく向上させることができ、特に好ましい。
また、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層231b1、電荷輸送層231b2、下引き層231d、表面層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノ−ル系化合物:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、ブチル化ヒドロキシアニソ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノ−ル、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロ−ル類など。
(b)パラフェニレンジアミン類:N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類:ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネ−トなど。
(e)有機燐化合物類:トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤:リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤:トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤:アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体:オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤:アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤:エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤:ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤:塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤:ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体:p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体:クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他:ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物:流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物:ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物:脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物:セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん:ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス:カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他:シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系:2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系:フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系:(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール
(d)シアノアクリレート系:エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系):ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン):ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
上記により形成された感光体ドラム231の架橋樹脂表面層231cの硬度は、クリーニングブレード236aの感光体ドラム231表面への追随性をより長期にわたって維持することができるため、マルテンス硬さ160N/mm以上であり、且つ、弾性仕事率(We/Wt値)が37.0%以上とすることが好ましい。ここで記述しているマルテンス硬さ、弾性仕事率は以下の条件で測定される。
評価装置:Fisherscope H−100
試験方法:負荷除荷繰り返し(1回)
試験圧子:マイクロビッカース圧子
最大荷重:9.8mN負荷(除荷)
時間:30秒
保持時間:5sec
感光体ドラム231の架橋樹脂表面層231cの硬度がマルテンス硬さ160N/mm未満の場合は、トナーが感光体表面に固着しやすくなる。また弾性仕事率(We/Wt値)が37.0%未満の場合は、感光体軸方向で、画像面積率が変化した場合など、感光体摩耗スピードが変化し、摩耗ムラが発生する不具合が生じる。感光体の表面層231cの硬度および弾性仕事率は、無機微粒子の添加量や樹脂種で制御できる。また、アクリル樹脂あるいはメタクリル樹脂の場合、ラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合性化合物の混合比、外部から光エネルギーを与えて硬化させる際の光エネルギー量、さらには硬化させる際の温度などによって制御することができる。
<クリーニングブレード>
図9は、本実施形態のクリーニングブレード236aの斜視図であり、図10は、クリーニングブレード236aの拡大断面図である。図10(a)は、クリーニングブレード236aが感光体ドラム231の表面に当接している状態の説明図であり、図10(b)は、クリーニングブレード236aの先端稜線部62c近傍の拡大説明図である。クリーニングブレード236aは、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなる短冊形状のホルダー621と、短冊形状の弾性体ブレード622とで構成されている。弾性体ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、清掃器236のケースに片持ち支持されている。
弾性体ブレード622の先端稜線部62cには、混合層62dが形成されている。さらに、ブレード先端面62aとブレード下面62bには、ブレード長手方向にわたってアクリル樹脂及びメタクリル樹脂の少なくとも一方からなる樹脂表面層623が形成されている。
弾性体ブレード622としては、感光体ドラム231の偏心や感光体ドラム231の表面の微小なうねりなどに追随できるように、高い反発弾性体率を有するものが好ましく、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムなどの一般的な合成ゴム材料が用いられる。好ましくは、ウレタン基を含むゴムであるウレタンゴムなどが用いられる。
基材と混合層62dは、弾性体ブレード622にハケ塗り、スプレー塗工、ディップ塗工などによって、アクリル系あるいはメタクリル系モノマーを含浸させ、架橋させることにより形成される。表面層623は、スプレー塗工、ディップ塗工、あるいはスクリーン印刷等によって、クリーニングブレード236aの先端稜線部62cをアクリル系あるいはメタクリル系モノマーで被覆し、架橋させることにより形成される。アクリル系あるいはメタクリル系モノマーは、熱、光、電子線などのエネルギーを加えることにより、架橋反応を行う。
本実施形態において使用するアクリル及びメタクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトール・トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
例えば、弾性体ブレード622にアクリル系あるいはメタクリル系架橋性樹脂液に所定時間浸漬させて風乾させた後に、スプレー塗工、ディップ塗工、あるいはスクリーン印刷等によって、クリーニングブレード236aの先端稜線部62cを被覆する。このようにアクリル系あるいはメタクリル系架橋性樹脂液に浸漬させる工程で、基材と混合層62dを形成し、その後の塗工において、樹脂表面層623を設けることができる。基材と混合層62dの架橋樹脂を硬化させるために熱または光エネルギーを加えるタイミングとしては、架橋性樹脂液に所定時間浸漬させた後、もしくは別に表面層623を形成させた後のどちらでもかまわない。
架橋性樹脂液に所定時間浸漬させ、形成された基材と混合層62dの膜厚は、樹脂液を構成するアクリル又はメタクリル系モノマーや溶媒種、固形分濃度、浸漬時間、温度等で制御することが可能である。混合層62dの膜厚は、5μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは、10μm以上30μm以下である。基材と混合層62dの膜厚がこの範囲より薄い場合は、クリーニングブレード236aの先端稜線部62cの適度な変形抑制機能を長期的に発現することが難い。逆に、基材と混合層62dの膜厚がこの範囲より厚い場合は、クリーニングブレード236aの硬度が大きくなり、感光体ドラム231への負荷が増加し、感光体ドラム231の摩耗が大きくなったり、低温環境下で異音が発生したりする。さらにはクリーニングブレード自体に微小なクラックが入りやすくなる。なお、基材と混合層の膜厚62dの測定方法は、公知の顕微IRを用いた手法で求めることができる。
なお、表面層623は、架橋性樹脂液に所定時間浸漬させた状態でも形成できるが、この場合は、形成される樹脂層の膜厚が薄いことがある。そのため架橋性樹脂液に所定時間浸漬させ、基材と混合層62dを形成させた後、架橋性樹脂液を塗工し、形成することが好ましい。表面層623の材料は、含浸材料と同種のアクリル系あるいはメタクリル系モノマーを塗工し、熱、光、電子線などのエネルギーを加えることにより、形成される。
表面層623の膜厚は、0.5μm以上1.0μm以下であることが好ましい。膜厚がこの範囲より薄い場合は、クリーニングブレード236aの先端稜線部62cの適度な変形抑制機能を長期的に発現することが難い。また、膜厚がこの範囲より厚い場合は、長期的使用時にブレード先端稜線部62cの捲れやクラックなどの問題が発生しやすい。アクリル樹脂層あるいはメタクリル樹脂層の膜厚の測定方法は、断面を切断し、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡画像により、測定することが可能である。
このように、本実施形態のクリーニングブレード236aの先端稜線部は、弾性体ブレード622の基材に対してアクリル樹脂あるいはメタクリル樹脂を含浸させて基材と混合層62dを形成し、その上に弾性体ブレード622よりも硬い表面層623を設けた積層構成としている。このような構成では、当接する弾性体ブレード622の先端稜線部62cが感光体ドラム231表面移動方向に変形するのを抑制することができる。さらに、経時で表面層623が摩耗して弾性体ブレード622が露出したときも、基材と混合層62dにより、同様に変形を抑制することができる。これにより、クリーニングブレード236aが早期に摩耗や、先端稜線部62cのめくれ、異音や振動、先端稜線部の欠落などの問題を抑制することができる。
また、本実施形態のクリーニングブレード236aは、硬度の高い表面層623の内側に、弾性体ブレード622の基材と混合層62dが存在する。これにより、基材となる弾性ゴム(ウレタンゴム)の機械強度や剛性が適度に強化され、感光体ドラム231表面との摺動においてブレード先端部の挙動を適度に抑えることで良好なクリーニングを行うことができる。
また、弾性体ブレード622に混合層62dを設けず、基材よりも硬い表面層623のみを備える構成では、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化して応力が集中し、弾性体ブレード622が破損するおそれがある。これに対して、本実施形態のクリーニングブレード236a、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化することを抑制し、応力集中に起因して弾性体ブレード622が破損することを防止できる。
さらに、本実施形態のクリーニングブレード236aでは、表面層と混合層がいずれもアクリル樹脂あるいはメタクリル樹脂を含んでいるので、混合層の樹脂が表面層のアクリル樹脂あるいはメタクリル樹脂に対し、いわゆる「アンカー効果」を発揮して、表面層と弾性体ブレードとの密着性を増大させていると考えられる。これにより表面層の耐久性が向上していると考えられる。
ここで、弾性体ブレード622の基材に混合層62dを設けず、この基材よりも硬い表面層623のみを備える構成について説明する。基材よりも硬い表面層623を設けても、経時で表面層623は摩耗し減少する。このとき、長期使用に耐え得るように、表面層623を厚くすると、弾性体ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害して、クリーニング不良となるおそれがある。一方、弾性体ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害しないように、表面層623を薄くすると、短時間で基材が露出する程度に表面層623が摩耗する。硬度の低い基材が露出して感光体ドラム231の表面に直接接触すると、クリーニングブレード236aと感光体ドラム231表面との摩擦が大きくなり、異常摩耗や異音が発生する。
また、樹脂材料を含浸させた混合層のみを設ける構成であると、使用開始当初のクリーニングブレードの感光体ドラム231と当接する部分の硬度が表面層を設けるものほどの硬度を得ることが出来ず、耐磨耗性が不十分となる。特に、表面層として鉛筆硬度B〜6Hの樹脂を設ける構成とした場合には、表面層の耐摩耗性が十分ではなく、感光体との摺擦によって表面層が磨耗して早期に消失してしまいやすい。そこで、表面層の層厚を厚くすると、弾性体ブレードの弾性性能が低下してしまい、像担持体の偏心などの変動に対する追随性が低下して、良好なクリーニング性が得られなくなってしまう。
また、シリコーンを含有した紫外線硬化材料を弾性体ブレードに含浸させて膨潤させた後、紫外線照射処理して像担持体と当接する当接部に弾性体ブレードよりも硬い表面層を形成する構成では、表面層を十分な硬度とするには多量の紫外線硬化材料を含浸させる必要がある。しかし、多量の紫外線硬化材料を含浸させると、弾性体ブレードの内部に染み込んだ紫外線硬化材料の量も多くなり、含浸部が過剰硬く且つ過剰に深く形成されて、弾性体ブレードの弾性が阻害される。このため、先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下して、良好なクリーニング性が得られなくなってしまう。
このようなことから、本実施形態のクリーニングブレードは、従来のクリーニングブレードに比べて、クリーニングブレードの異常摩耗及び異音の発生、クリーニングブレード先端稜線部のめくれの発生を抑制しつつ、長期に渡って、クリーニングブレードの先端稜線部の感光体に対する追随性を良好にして良好なクリーニング性能を維持する効果が得られる。
<<プロセスカートリッジ>>
なお、本実施形態において、感光体ドラム231及びクリーニングブレード236aは、プロセスカートリッジPCの一部として、画像形成装置1本体に着脱可能に構成されていても良い。例えば、クリーニング不良が発生した部位でトナーがすり抜けた場合には、感光体ドラム231にトナーが固着して、クリーニングブレード236aおよび感光体ドラム231が共にダメージを受けることがある。この場合でも、これらを一体的に構成にすることで、感光体ドラム231及びクリーニングブレード236aを同時に交換できるため、交換作業が容易であり、ユーザーでも簡単にメンテナンスを行うことが出来るなどの効果を奏する。
<<<実施形態の補足>>>
本実施形態のトナーは、登録第4531076号に示されるような粒子製造方法、すなわち、トナーを構成する材料を液状または超臨界状態の二酸化炭素に溶解させた後に、この液状又は超臨界状態の二酸化炭素を除去することによりトナー粒子を得る粒子製造方法、によっても製造することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕
(結晶性ポリウレタン樹脂A−1の製造)
撹拌機及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール45質量部(0.50mol)、1,6−ヘキサンジオール59質量部(0.50mol)、及びメチルエチルケトン(以下、MEKと記載する。)200質量部を入れた。この溶液に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)250質量部(1.00mol)を入れ、80℃で5時間反応した後、溶媒を除去して[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]を得た。得られた[結晶性ポリウレタン樹脂A−1]は、重量平均分子量(Mw)20000、融点(Tm)60℃であった。
〔製造例2〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸15質量部(0.10mol)、1,6−ヘキサンジオール177質量部(1.50mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ12,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]は、Mw12,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル350質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30質量部(0.12mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]は、Mw22,000、融点62℃であった。
〔製造例3〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール189質量部(1.60mol)、及び縮合触媒としてジブチル錫オキサイド0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]は、Mw6,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−3]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)38質量部(0.15mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]は、Mw10,000、融点64℃であった。
〔製造例4〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール106質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ14,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]は、Mw14,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−4]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12質量部(0.07mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4]は、Mw39,000、融点63℃であった。
〔製造例5〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸166質量部(0.82mol)、アジピン酸26質量部(0.18mol)、1,4−ブタンジオール131質量部(1.45mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]は、Mw8,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−5]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)33質量部(0.13mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5]は、Mw17,000、融点54℃であった。
〔製造例6〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、アジピン酸18質量部(0.12mol)、1,6−ヘキサンジオール139質量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ18,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]は、Mw18,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−6]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]は、Mw42,000、融点62℃であった。
〔製造例7〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール149質量部(1.26mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]は、Mw9,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−7]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28質量部(0.11mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7]は、Mw30,000、融点67℃であった。
〔製造例8〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール191質量部(1.62mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ4,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]は、Mw4,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−8]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)35質量部(0.14mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−8]は、Mw8,500、融点64℃であった。
〔製造例9〕
(結晶性ポリウレア樹脂A−9の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン123質量部(1.40mol)、1,6−ヘキサンジアミン212質量部(1.82mol)、メチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336質量部(2.00mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂A−9]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂A−9]は、Mwが23,000、融点64℃であった。
〔製造例10〕
(結晶性ポリエステル樹脂A−10の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185質量部(0.91mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール125質量部(1.39mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ10,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−10]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A−10]は、Mw9,500、融点57℃であった。
〔製造例11〕
(結晶性ポリエステル樹脂A−11の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール130質量部(1.10mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ30,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A−11]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A
−11]は、Mw27,000、融点62℃であった。
〔製造例12〕
(結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−12の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール25質量部(0.33mol)、メチルエチルケトン(MEK)170質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)147質量部(0.59mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−1]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ9,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]は、Mw8,500、融点63℃であった。
次いで、[非晶性部c−1]のMEK溶液340質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320質量部をMEK320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−12]を得た。得られた[ブロック樹脂A−12]は、Mw26,000、融点62℃であった。
〔製造例13〕
(結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−13の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール39質量部(0.51mol)、メチルエチルケトン(MEK)270質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)228質量部(0.91mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する[非晶性部c−2]のMEK溶液を得た。
別途、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160質量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ8,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂A’−13]は、Mw7,500、融点62℃であった。
次いで、[非晶性部c−2]のMEK溶液540質量部に、結晶性部として、[結晶性ポリエステル樹脂A’−12]320質量部をMEK320質量部に溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[ブロック樹脂A−13]を得た。得られた[ブロック樹脂A−13]は、Mw23,00
0、融点61℃であった。
〔製造例14〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸113質量部(0.56mol)、テレフタル酸ジメチル109質量部(0.56mol)、1,6−ヘキサンジオール132質量部(1.12mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水、メタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ35,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]は、Mw34,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−1]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)10質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]は、Mw63,000、融点65℃であった。
〔製造例15〕
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸204質量部(1.01mol)、アジピン酸13質量部(0.09mol)、1,6−ヘキサンジオール136質量部(1.15mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ20,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]は、Mw20,000であった。
続いて、得られた[結晶性ポリエステル樹脂B’−2]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15質量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去して[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]を得た。得られた[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]は、Mw39,000、融点63℃であった。
〔製造例16〕
(結晶性ポリウレア樹脂B−3の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、1,4−ブタンジアミン79質量部(0.90mol)、1,6−ヘキサンジアミン116質量部(1.00mol)、メチルエチルケトン(MEK)600質量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)475質量部(1.90mol)を加え、窒素気流下にて60℃で5時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去して[結晶性ポリウレア樹脂B−3]を得た。得られた[結晶性ポリウレア樹脂B−3]は、Mwが57,000、融点66℃であった。
〔製造例17〕
(結晶性ポリエステル樹脂B−4の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、ドデカン二酸230質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール118質量部(1.00mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ50,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂B−4]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂B−4]は、Mw52,000、融点66℃であった。
〔製造例18〕
(結晶性樹脂前駆体B’−5の製造)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202質量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122質量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ25,000に達するまで反応を行った。
得られた[結晶性樹脂]を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27質量部(0.16mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[結晶性樹脂前駆体B’−5]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。得られた[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液10質量部をテトラヒドロフラン(THF)10質量部と混合し、これにジブチルアミン1質量部を添加して、2時間撹拌させた。得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]のMwは54,000であった。また、この溶液から溶媒を除去して得られた試料について
DSC測定を行った結果、[結晶性樹脂前駆体B’−5]の融点は57℃であった。
以上、結晶性樹脂の製造に使用した原材料、及び結晶性樹脂の物性について、表1乃至表4にまとめて示した。
Figure 2014092633
Figure 2014092633
Figure 2014092633
Figure 2014092633
〔製造例19〕
(非結晶性樹脂C−1の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129質量部、イソフタル酸166質量部、及びテトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸35質量部を加え、常圧で3時間反応させ、[非結晶性樹脂C−1]を得た。得られた[非結晶性樹脂C−1]は、Mw8,000、ガラス転移温度(Tg)62℃であった。
〔製造例20〕
(非結晶性樹脂前駆体C’−2の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物720質量部、ビスフェノールA PO2mol付加物90質量部、テレフタル酸290質量部、及びテトラブトキシチタネート1質量部を入れ、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下にて7時間反応させ、[非結晶性樹脂]を得た。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、得られた[非結晶性樹脂]400質量部、イソホロンジイソシアネート95質量部、酢酸エチル500質量部を入れ、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[非結晶性樹脂前駆体C’−2]の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
〔実施例1〜17、比較例1〜4〕
(トナーの製造)
−グラフト重合体の製造−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業社製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解し、窒素置換した後、スチレン740質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル60質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行い、[グラフト重合体]を合成した。得られた[グラフト重合体]はMw24,000、Tg67℃であった。
−離型剤分散液(1)の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器にパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)50質量部、グラフト重合体30質量部、及び酢酸エチル420質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い[離型剤分散液(1)]を得た。
−マスターバッチ(1)〜(14)の作製−
・結晶性ポリウレタン樹脂A−1(結着樹脂) 100質量部
・カーボンブラック(Printex35、デグサ社製) 100質量部
(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)
・イオン交換水 50質量部
上記の原材料を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して[マスターバッチ(1)]を作製した。
結着樹脂を表5に示したとおり変更した以外は、[マスターバッチ(1)]と同様にして[マスターバッチ(2)]〜[マスターバッチ(14)]を作製した。
Figure 2014092633
―油相(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)及び(21)の作製―
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]31.5質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液100質量部、[離型剤分散液(1)]60質量部、[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(1')]を得た。なお、[油相(1')]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作製から5時間以内に使用した。
次いで、後述するトナー母体の作製直前に、前記50℃に保たれた[油相(1')]235部に[結晶性樹脂前駆体B'−5]の酢酸エチル溶液25部を添加し、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して[油相(1)]を調製した。
油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)及び(21)についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表6に従って変更した以外は、油相(1)と同様に作製した。なお、表6中の[結晶性樹脂B'−5]、及び[非結晶性樹脂前駆体C−2]については、[油相(1)]の調整における[結晶性樹脂前駆体B'−5]と同様に、トナー母体の作製直前に添加し、各油相を調整した。
−樹脂微粒子の水分散液の製造−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水600質量部、スチレン120質量部、メタクリル酸100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業製)10質量部、過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に1%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で6時間熟成して[樹脂微粒子の水分散液]を得た。この[樹脂微粒子の水分散液]中に含まれる粒子の体積平均粒径は80nmであり、樹脂分の重量平均分子量は160,000、Tgは74℃であった。
Figure 2014092633
−水相(1)の調製−
水990質量部、[樹脂微粒子の水分散液]83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(1)]を得た。
−トナー母体(1)〜(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)の作製−
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(1)]520質量部を入れて40℃まで加熱した。50℃に保たれた[油相(1)]235質量部に[結晶性樹脂前駆体B’−5]の酢酸エチル溶液25質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して[油相(1’)]を調製した。40〜50℃に保持したままの[水相(1)]をTK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(1’)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー1]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。得られた[スラリー1]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(1)を得た。
得られた濾過ケーキ(1)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(1)を作製した。同様に、油相(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)をそれぞれ用いて、トナー母体(2)、(3)、(5)、(7)〜(10)、(14)〜(17)、(21)を作製した。
−油相(4)、(13)、(18)〜(20)の作製−
温度計および撹拌機を備えた容器に、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]62質量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2]12質量部を入れ、固形分濃度が50質量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、[非結晶性樹脂C−1]の50質量%酢酸エチル溶液40質量部、[離
型剤分散液]60質量部、[マスターバッチ(2)]12質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相(4)]を得た。なお、[油相(4)]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
[油相(13)、(18)〜(20)]についても、結晶性樹脂Aの種類・添加量、結晶性樹脂Bの種類・添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、及びマスターバッチの種類を、表7に従って変更した以外は[油相(4)]と同様に作製した。
−水相(2)の調製−
水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相(2)]を得た。
−トナー母体(4)、(13)、(18)〜(20)の作製−
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、[水相(2)]520質量部を入れて40℃まで加熱し、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相(4)]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー4]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー4]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー4]を得た。得られた[スラリー4]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ(4)を得た。
得られた濾過ケーキ(4)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(4)を作製した。同様に、油相(13)、(18)〜(20)をそれぞれ用いて、トナー母体(13)、(18)〜(20)を作製した。
Figure 2014092633
−結晶性樹脂粒子分散液(A−3)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−3]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−3]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
−結晶性樹脂粒子分散液(A−6)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーA−6]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーA−6]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.18μmであった。
−結晶性樹脂粒子分散液(B−1)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーB−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーB−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.16μmであった。
−非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)の作製−
[非結晶性樹脂C−1]60質量部に、酢酸エチル60質量部を加えて混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6質量部、及び2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4質量部を混合した[水相]に、上記の樹脂溶液120質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリーC−1]を得た。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリーC−1]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]を得た。得られた[結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
−離型剤分散液(2)の調製−
パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)25質量部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)5質量部、水200質量部を混合し、95℃で溶融させた。次いで、この溶融液をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[離型剤分散液(2)]を得た。
−着色剤分散液の調製−
カーボンブラック(Printex35、デグサ社製)20質量部、アニオン界面活性剤(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)2質量部、及び水80質量部を混合し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で分散し、[着色剤分散液]を得た。
−トナー母体(6)の作製−
[結晶性樹脂粒子分散液(A−3)]190質量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63質量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63質量部、[離型剤分散液(2)]46質量部、[着色剤分散液]17質量部、水600質量部を混合し、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10質量%の塩化マグネシウム水溶液50質量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.3μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー6]を得た。
得られた[スラリー6]を減圧濾過した後、上記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(6)を得た。得られた濾過ケーキ(6)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(6)を作製した。
−トナー母体(11)の作製−
[結晶性樹脂粒子分散液(A−6)]190質量部、[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)]63質量部、[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)]63質量部、[離型剤分散液(2)]46質量部、[着色剤分散液]17質量部、水600質量部を混合し、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10質量%の塩化マグネシウム水溶液50質量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.9μmに成長するまで60℃に維持し、[スラリー11]を得た。得られた[スラリー11]を減圧濾過した後、上記の洗浄処理(1)〜(4)を行い、濾過ケーキ(11)を得た。得られた濾過ケーキ(11)を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(11)を作製した。
−トナー母体(12)の作製−
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2]60質量部、[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1]20質量部、[非結晶性樹脂C−1]20質量部、パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)5質量部、及び[マスターバッチ(2)]12質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で80℃〜120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、[トナー母体(12)]を得た。
―トナー母体(2−2)の作製―
トナー母体(2)の濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、上記のフッ素化合物(f1)を1質量%で分散させた。水溶媒槽中で、トナー母体に対してフッ素化合物(f1)が0.09質量%になるように混合し、フッ素化合物を付着(結合)させた後、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(2−2)を作製した。
―トナー母体(13−2)の作製―
トナー母体(13)の濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、上記のフッ素化合物(f1)を1質量%で分散させた。水溶媒槽中で、トナー母体に対してフッ素化合物(f1)が0.09質量%になるように混合し、フッ素化合物を付着(結合)させた後、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体(13−2)を作製した。
―トナー母体(15−2)、(15−3)の作成―
トナー母体(15)の脱溶剤条件(60℃,6時間)を、70℃,3時間に変更した以外はトナー母体(15)と同様にしてトナー(15−2)を作製した。また、脱溶剤条件を、40℃,10時間に変更した以外はトナー母体(15)と同様にしてトナー(15−3)を作製した。
―トナー母体(17−2)、(17−3)、(17−4)、(17−5)の作成―
トナー母体(17)の乾燥条件(45℃,48時間)を、55℃、24時間に変更した以外はトナー母体(17)と同様にしてトナー母体(17−2)を作製した。また、同様に、乾燥条件を35℃、96時間に変更した以外はトナー母体(17)と同様にしてトナー母体(17−3)を作製した。また、油相(17)に[造核剤](ADEKA社製アデカスタブNA−11、融点400℃)0.06質量部を加えたこと以外はトナー母体(17)と同様にしてトナー(17−4)を作成した。さらに、油相(17)に[造核剤](ADEKA社製アデカスタブNA−11、融点400℃)1.1質量部を加えたこと以外はトナー母体(17)と同様にしてトナー(17−5)を作成した。
−トナーの作製−
得られたトナー母体(2−2)、(2−3)、(13−2)、(13−3)を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0質量部、を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(2−2)、(2−3)、(13−2)、(13−3)を作製した。トナー母体(2−2)、(2−3)、(13−2)、(13−3)を除くトナー母体については、疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)2.0質量部とした以外は同様に処理してトナーを作成した。
得られたトナー(1)〜(21)、(2−2)〜(2−4)、(13−2)〜(13−3)、(15−2)〜(15−3)、(17−2)〜(17−5)について、疎水化度、THF可溶分のN元素の量、トナー中のウレア結合の有無、融解熱ピーク温度、昇温2回目の融解熱量、貯蔵弾性率、X線回折スペクトル比、昇温2回目の最大吸熱ピーク温度T1と、降温時の最大発熱ピーク温度T2、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、テトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量100,000以上及び250,000以上の成分の割合、トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(重量比で50/50)に対する不溶分、トナーのテトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)測定における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSC測定における吸熱量(ΔH(T))を測定した。その結果を表8及び表9に示す。なお、各測定は、上記の実施形態に記載の方法により行った。
Figure 2014092633
Figure 2014092633
(キャリアの作製)
・シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100質量部
・γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5質量部
・カーボンブラック 10質量部
・トルエン 100質量部
上記の原材料を、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000質量部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<現像剤の作製>
トナー(1)〜トナー(21)、(2−2)〜(2−4)、(13−2)〜(13−3)、(15−2)〜(15−3)、(17−2)〜(17−4)のそれぞれを5質量部と、上記のキャリア95質量部とを混合して、実施例1〜17及び比較例1〜15の各現像剤を作製した。
<感光体の作製>
感光体1〜11を以下のような条件で作製した。
(感光体1)
(支持体)
アルミニウム製支持体(外径40mmΦ)素管を使用した。
(下引き層)
支持体上に乾燥後の膜厚が3.5[μm]になるように、下引き層塗工液を浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
−下引き層塗工液−
・アルキッド樹脂: ベッコゾール1307−60−EL(大日本インキ化学工業)
・メラミン樹脂 : スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業)
・酸化チタン : CR−EL(石原産業)
・メチルエチルケトン
混合比(質量):アルキッド樹脂/メラミン樹脂/酸化チタン/メチルエチルケトン=3/2/20/100
(電荷発生層)
下引き層上にチタニル二ロシアニンを含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2[μm]の電荷発生層を形成した。
−電荷発生層塗工液−
・チタニル二ロシアニン
・ポリビニルブチラール(XYHL:UCC)
・2−ブタノン
混合比(質量):チタニル二ロシアニン/ポリビニルブチラール/2−ブタノン=8/5/400
(電荷輸送層)
この電荷発生層上に下記(化1)構造式に示す電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22[μm]の電荷輸送層とした。
−電荷輸送層塗工液−
・電荷輸送層用塗工液ビスフェノールZ型ポリカーボネート
Figure 2014092633
・テトラヒドロフラン
混合比(質量):ポリカーボネート/電荷輸送物質/テトラヒドロフラン=1/1/10
〔表面層〕
この電荷輸送層上に、下記架橋表面層塗布液1を用いて、スプレー塗工し、5分間指触乾燥を実施した。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換したUV照射ブースにて、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:700mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行い、更に130度で20分乾燥を加え5μmの架橋表面層を設けた。これにより本実施形態の感光体1を得た。
(架橋表面層塗布液1)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
下記(化2)構造式のモノマー 10部
Figure 2014092633
(SR355 サートマー社製)
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物:
下記(化3)構造式の化合物 10部
Figure 2014092633
・光重合開始剤: 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・無機微粒子: 酸化アルミナ(AA03 住友化学社製) 2部
・溶剤 : テトラヒドロフラン 100部
<感光体2>
感光体1の架橋表面層塗布液1を、下記に示す架橋表面層塗布液2に変更した以外は、感光体1と同様にして感光体2を作製した。
(架橋表面層塗布液2)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
下記(化4)構造式のモノマー 6部
下記(化5)構造式のモノマー 6部
Figure 2014092633
(TMPTA サートマー社製)
Figure 2014092633
(化5)
(KAYARAD DPCA−120 日本化薬社製)
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物:
下記(化6)構造式の化合物 10部
Figure 2014092633
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・無機微粒子:シリカ微粒子(KMPX100:信越化学製) 2部
・溶剤:テトラヒドロフラン 100部
<感光体3>
感光体1の電荷輸送層に用いる電荷輸送物質を下記(化7)構造式の電荷輸送物質に、架橋表面層塗布液1を下記に示す架橋表面層塗布液3に、それぞれ変更した以外は、感光体1と同様に感光体3を作製した。
Figure 2014092633
(架橋表面層塗布液3)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
(化4)構造式のモノマー 8部
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物:
(化6)構造式 10部
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・無機微粒子:シリカ微粒子(KMPX100:信越化学製) 2部
・溶剤 :テトラヒドロフラン 100部
<感光体4>
感光体1の電荷輸送層に用いる電荷輸送物質を(化7)構造式の電荷輸送物質に、架橋表面層塗布液1を下記に示す架橋表面層塗布液4に、それぞれ変更した以外は、感光体1と同様に感光体4を作製した。
(架橋表面層塗布液4)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
(化4)構造式のモノマー 8部
(化5)構造式のモノマー 6部
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物
(化6)構造式の化合物 10部
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・無機微粒子:酸化アルミナ(AA03 住友化学社製) 2部
・溶剤:テトラヒドロフラン 100部
<感光体5>
感光体1の電荷輸送層に用いる電荷輸送物質を(化7)構造式の電荷輸送物質に、架橋表面層塗布液1を下記に示す架橋表面層塗布液5に、それぞれ変更した以外は、感光体1と同様に感光体5を作製した。
(架橋表面層塗布液5)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
(化2)構造式のモノマー 10部
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物:
(化6)構造式の化合物 10部
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・無機微粒子:酸化アルミナ(AA03 住友化学社製) 2部
・溶剤:テトラヒドロフラン 100部
<感光体6>
感光体1の電荷輸送層に用いる電荷輸送物質を(化7)構造式の電荷輸送物質に、架橋表面層塗布液1を下記に示す架橋表面層塗布液6に、それぞれ変更した以外は、感光体1と同様に感光体6を作製した。
(架橋表面層塗布液6)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
(化4)構造式のモノマー 8部
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物:
(化6)構造式の化合物 10部
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・溶剤:テトラヒドロフラン 100部
<感光体7>
感光体1の架橋表面層塗布液1を下記に示す架橋表面層塗布液7に変更した以外は、感光体1と同様に感光体7を作製した。
(架橋表面層塗布液7)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
(化4)構造式のモノマー 4部
(化5)構造式のモノマー 4部
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物:
(化3)構造式の化合物 10部
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・溶剤:テトラヒドロフラン 100部
<感光体8>
感光体1の架橋表面層塗布液1を下記に示す架橋表面層塗布液8に変更した以外は、感光体1と同様に感光体8を作製した。
(架橋表面層塗布液8)
・電荷輸送性機能を有さないラジカル重合性モノマー:
(化5)構造式のモノマー 12部
・電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物:
(化3)構造式の化合物 10部
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5部
・溶剤:テトラヒドロフラン 100部
<感光体9>
感光体1の電荷輸送層の膜厚を27μmとし、表面層を積層させないこと以外は感光体1と同様に感光体9を作製した。
<感光体10>
電荷輸送層上に電荷輸送層に用いた低分子電荷輸送物質を含む表面層2用塗工液を用いて、下記条件で、スプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体2とした。
(表面層2用塗工液)
・上記(化1)の電荷輸送物質
・ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製)
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学社製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(質量) : 電荷輸送物質/ポリカーボネート/アルミナ微粒子/テトラヒドロ
フラン/シクロヘキサノン=3/4/3/170/50
<感光体11>
電荷輸送層上に下記高分子電荷輸送物質を含む表面層5用塗工液を用いて、下記条件で、スプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体5とした。
(表面層5用塗工液)
・下記(化8)構造の高分子電荷輸送物質(n=2.3、m=3.2、粘度平均分子量65
000)
Figure 2014092633
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(重量) : 高分子電荷輸送物質/アルミナ微粒子/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=7/3/170/50
<感光体12>
電荷輸送層上に電荷輸送層に用いた低分子電荷輸送物質を含む表面層6用塗工液を用いて、下記条件で、スプレー塗工し、150℃、20分、加熱乾燥させ、感光体6とした。
(表面層6塗工液)
・上記(化1)の電荷輸送物質
・ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(TS2050:帝人化成)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
混合比(重量) : 電荷輸送物質/ポリカーボネート/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=4/5/170/50
作製した感光体2〜12について、表面の硬度(マルテンス硬さ)と、弾性仕事率(We/Wt値)を測定した結果を表10に示す。
Figure 2014092633
(弾性体ブレード)
弾性体ブレードとしては、25℃における物性が以下ようになっている5つのウレタンゴムを用意した。
ウレタンゴム1:硬度66度、反発弾性率46%(バンドー化学製)
ウレタンゴム2:硬度70度、反発弾性率50%(東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム3:硬度72度、反発弾性率31%(東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム4:硬度75度、反発弾性率21%(東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム5:硬度77度、反発弾性率19%(シンジーテック製)
ウレタンゴムの硬度は、島津製作所製デュロメーターを用い、JIS K6253に準じて測定した。試料は厚さ12mm以上となるように約2mmのシートを重ね合わせたものとした。ウレタンゴムの反発弾性は、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚さ4mm以上となるように約2mmのシートを重ね合わせたものとした。
上記ウレタンゴムを用いて厚さ1.8mmの短冊形状の弾性体ブレードを作製し、この弾性体ブレードに以下の処理を加えて、基材とアクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する混合層、及び、アクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する表面層を積層した。
(混合層材料)
以下の混合層材料中に基材となる弾性体ブレードを所定時間浸漬し、基材とアクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する混合層を作製した。なお、架橋反応は、アクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する表面層の被膜後に、熱及び光エネルギーを加えることによりおこなった。
−混合層材料1−
モノマー : PETIA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン 149部
−混合層材料2−
モノマー1 : PETIA(ダイセル・サイテック社) 9部
モノマー2 : HDDA(ダイセル・サイテック社) 1部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン 149部
−混合層材料3−
モノマー : DPHA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン 149部
−混合層材料4−
モノマー : DPCA−120(日本化薬) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : テトラヒドロフラン ン 149部
−混合層材料5−
モノマー1 : スミジュールHT<HDIアダクト>(住化バイエルン社製) 8部
モノマー2 : 下記式の構造のポリオール(関東化学社製) 2部
Figure 2014092633
溶媒 : テトラヒドロフラン 110部
(ブレード表面層作製材料)
以下の表面層材料液をスプレー塗工方法で、基材とアクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方とを有する混合層表面上に塗工し、アクリル及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を有する表面層を製膜した。表面層材料1〜4に関しては、紫外線照射により光架橋反応を行った。また表面層材料5に関しては、加熱により熱架橋反応を行った。表面層膜厚は、スプレー塗工条件(吐出量、塗工速度)を制御して所定膜厚の表面層とした。
−表面層材料1−
モノマー : PETIA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料2−
モノマー1 : PETIA(ダイセル・サイテック社) 9部
モノマー2 : HDDA(ダイセル・サイテック社) 1部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料3−
モノマー : DPHA(ダイセル・サイテック社) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料4−
モノマー : DPCA−120(日本化薬) 10部
重合開始剤 : イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 1部
溶媒 : 2−ブタノン 89部
−表面層材料5−
モノマー1 : スミジュールHT<HDIアダクト>(住化バイエルン社製) 8部
モノマー2 : 上記(化2)の構造のポリオール(関東化学社製) 2部
溶媒 : 2−ブタノン 70部
−光架橋条件−
UV照射 : メタルハライドランプ(ウシオ電機社製)
照射強度 : 500mW/cm(365nm)
UVランプ−ブレード距離 : 100mm
照射時間 : 60秒
−熱架橋条件−
加熱温度 : 150℃
加熱時間 : 20分
表11に作製したブレード1〜20の条件を示す。
Figure 2014092633
得られた各現像剤を用いて、以下のようにして定着性(定着下限温度、定着幅、耐ホットオフセット性)を評価した。結果を表12に示す。
−定着性(定着下限温度)−
画像形成装置(株式会社リコー製imagioMP C5001)を用いて、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85±0.10mg/cmの紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れる。
−定着性(耐ホットオフセット性・定着幅)−
画像形成装置(株式会社リコー製imagioMP C50001)を用いて、転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.10mg/cmの紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度と、定着下限温度との差を定着幅とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着幅は、広い程、耐ホットオフセット性に優れ、約50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。
(異常画像)
次に、作製した現像剤、ブレード、及び、感光体を表3に示す組み合わせで、リコー製、カラーレーザープリンタiPSi0 SP C811に搭載し、実施例1〜17−5、比較例1〜15の画像形成装置を作製した。この画像形成装置で、10,000枚、20,000枚および30,000枚の実機通紙試験を、以下の条件で実施した。結果を表12に示す。
使用用紙:NBSリコー製
MyPaperA4
使用ステーション:ブラック
出力画像:画像面積率30%チャート画像
〔評価基準〕
○:異常画像が発生しなかった。
△:用紙の端部で異常画像が発生した。
×:異常画像が生じた。
結果の通り、本実施形態のトナーを用いることにより、低温定着に優れた結晶性樹脂を主結着樹脂に用いたトナーでも長期的に安定した画像を得ることができる。
Figure 2014092633
1 画像形成装置
180 現像装置
181 第1収容部
182 第1搬送スクリュー
183 第2収容部
184 第2搬送スクリュー
185 現像ローラ
186 ドクターブレード
187 濃度検知センサ
210 給紙部
211 給紙カセット
212 給紙ローラ
220 搬送部
221 ローラ
222 タイミングローラ
223 排紙ローラ
224 排紙トレイ
230 作像部
231 感光体ドラム
232 帯電器
233 露光器
233a 光源
234 トナーカートリッジ
234c 吸引ポンプ
234d 供給管
236 清掃器
236a クリーニングブレード
240 転写部
241 駆動ローラ
242 従動ローラ
243 中間転写ベルト
244 一次転写ローラ
245 二次対向ローラ
246 二次転写ローラ
250 定着部
251 加熱ローラ
252 加圧ローラ
A1 導入口
A2,B2,B3 連通孔
A4,B1 補給口
特許第3797168号公報

Claims (12)

  1. 架橋樹脂により形成された表面層を有する静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上の静電潜像を、トナーを用いてトナー像に現像する現像手段と、
    現像された前記トナー像を転写する転写手段と、
    転写後に前記静電潜像担持体上に残存する前記トナーを除去する除去手段とを有する画像形成装置であって、
    前記トナーが結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、メタノールで測定した疎水化度が35質量%以上であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記結晶性樹脂が、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. X線回折装置によって得られる前記トナーの回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来する回折スペクトルの積分強度を(A)とした場合に、比率(C)/((C)+(A))が、0.15以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナーの示差走査熱量測定における、昇温2回目の最大吸熱ピーク温度T1と、降温時の最大発熱ピーク温度T2が以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
    T1−T2≦30℃ かつ T2≧30℃ ・・・(1)
    (但し、示差走査熱量測定における昇温速度を10℃/minとし、降温速度を10℃/minとする。)
  5. 前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量測定を、ゲル拡散クロマトグラフィー測定を用いて行った場合に、分子量100000以上の成分の割合が7%以上であり、かつ重量平均分子量が20000以上70000以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 示差走査熱量測定における、前記トナーの吸熱量をΔH(T)(J/g)、前記トナーのテトラヒドロフランおよび酢酸エチルの混合溶媒(質量比で50:50)に対する不溶分の吸熱量をΔH(H)(J/g)としたとき、ΔH(H)/ΔH(T)が0.2以上1.25以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であること特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記静電潜像担持体の前記表面層は、微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記静電潜像担持体の前記表面層のマルテンス硬さが160N/mm以上であり、弾性仕事率が37.0%以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 前記除去手段は、
    弾性体を含有する基材と、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を含有する混合層と、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂の少なくとも一方を含有する表面層と、を有するクリーニングブレードであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記クリーニングブレードの前記表面層の厚さが、0.5μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記クリーニングブレードの前記混合層の厚さが、10μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
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