JP2014087502A - シリンジ用外筒およびそれを用いたプレフィルドシリンジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリンジ用外筒2は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端側に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端側に設けられた外方に突出するフランジ23とを備える。そして、フランジ23は、向かい合いかつほぼ平行に設けられた2つの直線状部24a、24bを備え、かつ、直線状部24a、24bの側面には、直線状部を視覚により確認可能な視認可能部25a,25bを備えている。
【選択図】図4
Description
プレフィルドシリンジとしては、充填されている薬液の性状、患者の状態により、インジェクターまたはシリンジポンプのような自動投与器に装着されて持続的投与が行われるものがある。そして、このようなタイプのプレフィルドシリンジは、投与準備として、インジェクターまたはシリンジポンプのような自動投与器への装着作業が必要であり、この装着作業が容易なものが求められていた。
特許文献1の図2にもあるように、自動投与器にシリンジを装着する場合、自動投与器が備えるシリンジのフランジ収納部にシリンジのフランジを挿入し、装着することが必要である。そして、シリンジのフランジは、通常真円形ではなく、長径部および短径部を有する。自動投与器のフランジ収納部への挿入のためには、その自動投与器のフランジ収納部の形態に適合した長径部側もしくは短径部側より挿入することが必要である。このため、シリンジとしては、フランジの長径部側と短径部側を容易に確認可能とすることにより、自動投与器のフランジ収納部への装着作業が迅速側に行えるものとなる。
しかし、この溝は、直線状部(カット部)の側面のほぼ中央部に一つ設けられたのみであり、フランジは肉厚が薄いこともあり、その溝を視覚により確認することは極めて困難である。
特許文献2には、シリンジ外筒の鍔(フランジ)前面および後面の少なくとも一方が粗面化されているシリンジ外筒が開示されている。このような粗面化により、フランジ自体の視認は容易になると思われるが、上記粗面部では、フランジの長径部側と短径部側の視認には寄与しない。
そこで、本発明の目的は、シリンジのフランジの長径部側と短径部側を視覚により容易に確認可能とすることにより、自動投与器のフランジ収納部への装着作業が迅速に行えるシリンジ用外筒およびそれを用いたプレフィルドシリンジを提供するものである。
(1) 外筒本体部と、該外筒本体部の先端側に設けられたノズル部と、前記外筒本体部の後端側に設けられた外方に突出するフランジとを備えるシリンジ用外筒であって、前記フランジは、向かい合いかつほぼ平行に設けられた2つの直線状部を備え、かつ、前記直線状部の側面には、前記直線状部を視覚により確認可能な視認可能部を備えているシリンジ用外筒。
(2) 前記視認可能部は、触感により確認可能である上記(1)に記載のシリンジ用外筒。
(3) 前記フランジは、向かい合う2つの円弧状外縁部を有し、かつ、前記2つの直線状部間に形成された短径部と、前記2つの円弧状外縁部間に形成された長径部を有している上記(1)または(2)に記載のシリンジ用外筒。
(4) 前記視認可能部は、光の反射が他の部分と異なるものとなっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(5) 前記視認可能部は、多数のリブ、梨地表面もしくは多数の溝部により形成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(6) 前記視認可能部は、前記直線状部のほぼ全域に形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(7) 前記直線状部は、前記直線状部の側面のほぼ全域に形成された凹部を有し、前記視認可能部は、前記直線状部の前記凹部の表面に形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(8) 前記視認可能部は、前記直線状部の側面より外方に突出している上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(9) 前記視認可能部は、前記シリンジ用外筒の中心軸に対して平行に延びる多数のリブにより形成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記外筒の前記ノズル部を封止する封止部材と、前記外筒内に収納された摺動可能なガスケットと、前記ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャと、前記外筒と前記ガスケットと前記封止部材により形成される空間内に充填された薬液とからなるプレフィルドシリンジ。
(11) 前記プレフィルドシリンジは、前記フランジを挿入するフランジ収納部を備えた自動投与器に装着されるものである上記(10)に記載のプレフィルドシリンジ。
このシリンジ用外筒では、フランジは、向かいかつほぼ平行に設けられた2つの直線状部間に形成された短径部と、この短径部と直交する長径部を有している。そして、フランジの直線状部の側面には、直線状部を視覚により確認可能な視認可能部を備えているので、フランジの短径部側を視覚により容易に確認であり、自動投与器のフランジ収納部への装着作業を迅速に行うことができる。
本発明のシリンジ用外筒2は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端側に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端側に設けられた外方に突出するフランジ23とを備える。そして、フランジ23は、向かい合いかつほぼ平行に設けられた2つの直線状部24a、24bを備え、かつ、直線状部24a、24bの側面には、直線状部を視覚により確認可能な視認可能部25a,25bを備えている。本発明のシリンジ用外筒2は、プレフィルドシリンジ用外筒として用いることができる。
また、本発明のプレフィルドシリンジ1は、上記のシリンジ用外筒2と、外筒2のノズル部22を封止する封止部材3と、外筒内に収納された摺動可能なガスケット4と、ガスケット4の後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャ5と、外筒2とガスケット4と封止部材3により形成される空間内に充填された薬液8とからなるものである。なお、この実施例では、封止部材3は、着脱可能なシールキャップ3により形成されている。
シリンジ用外筒2は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
外筒2は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端側に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端側に設けられたフランジ23を備える。
外筒本体部は、ガスケット4を液密かつ摺動可能に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部は、外筒本体部21より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部の先端部はノズル部に向かって縮径するテーパ部となっている。
円弧状外縁を有するフランジ23は、図5に示すように、向かい合いかつほぼ平行に設けられた2つの直線状部24a、24bを備え、かつ、直線状部24a、24bの側面には、図4に示すように直線状部を視覚により確認可能な視認可能部25a,25bを備えている。また、フランジは、向かい合う2つの円弧状外縁部26a,26bを有している。そして、フランジ23は、図5に示すように、向かいかつほぼ平行に設けられた2つの直線状部24a、24b間に形成された短径部と、向かい合う2つの円弧状外縁部間に形成された長径部を有している。また、上記の短径部と上記の長径部は、ほぼ直交するものとなっている。長径部は、向かいあう2つの円弧状外縁部26a,26bの中央部間により形成されている。視認可能部は、他の部位と異なる表面性状を有し、光の反射が他の部位と明らかに異なるものとなっている。これにより、視認可能部は、視覚により容易に確認することができる。特に、視認可能部25a,25bは、直線状部24a、24bのほぼ全域に形成されていることが好ましい。これにより、直線状部24a、24bのほぼ全域において、光の反射が他の部位と明らかに異なるものとなるため、視覚による視認可能部の確認がより容易となる。
また、視認可能部は、指による接触により確認可能であることが好ましい。このようにすることにより、視覚のみならず、触感により、直線状部を確認することが可能となる。
さらに、視認可能部としては、図9に示す外筒2bの視認可能部62a,62bのように、直線状部24a,24bの側面に設けた多数の溝により形成されたものであってもよい。視認可能部62a,62bを形成する多数の溝としては、図9に示すような菱形目のローレット状であることが好ましい。なお、平目、斜目または、四角目のローレット状であってもよい。さらには、外筒の中心軸に対して平行に延びる多数の溝、外筒の中心軸に対して斜めに延びる多数の溝であってもよい。
また、上述したすべての実施例において、図11および図11のC−C線拡大部分断面図(説明図)である図12に示す外筒2dのように、直線状部24a,24bは、その側面の全域もしくは所定領域に設けた凹部60a、60bを有するものであってもよい。この実施例のものでは、凹部60a,60bは、直線状部24a,24bのほぼ全域となるように形成されている。そして、この凹部60a,60bの表面に視認可能部25a,25bが形成されている。図示するものでは、視認可能部は、上述した外筒2の視認可能部25a,25bと同じものとなっている。この凹部60a,60bの深さは、視認可能部25a,25bである多数のリブの高さと等しいものであり、視認可能部25a,25bである多数のリブが、直線状部24a,24bの側面よりも外方に突出することがない。これにより、例えば、フランジ収納部を有する自動投与器にシリンジ用外筒をセットする際、視認可能部25a,25bに邪魔されることなくフランジをフランジ収納部に挿入することができる。なお、視認可能部の形態は、上述したすべてのタイプのものを用いることができる。そして、上述したすべての実施例における視認可能部は、指による接触などの触感により確認可能なものとなっている。
なお、視認可能部としては、色によって確認可能なものでもよい。このような視認可能部としては、直線状部24a、24bにインクなどの印刷を施したもの、直線状部24a、24bをレーザーなどによりマーキングしたもの、直線状部24a、24bと外筒2の直線状部24a、24b以外の部分とを異なる色の樹脂により2色成形したものなどが挙げられる。
カラー25の内周面には、後述する封止部材(シールキャップ)3のノズル収納部30に形成されたリブ35および使用時に接続される注射針のハブ(図示せず)と係合するためのネジ溝(外筒側螺合部)26が形成されている。これにより、外筒2とシールキャップ3はカラー内周面とノズル収納部外周面との間で係合する。また、ネジ溝(外筒側螺合部)26は、シールキャップ3を外筒から取り外した後注射針(注射針のハブ)を取り付ける部分となる。
外筒2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような樹脂が好ましい。なお、内部に充填された薬液を外側から目視にて確認できるように透明性が高く、オートクレーブ滅菌に耐えられる耐熱性を有する環状ポリオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーが、外筒2の形成材料として特に好ましい。
また、キャップの外側面には、すべり止め用の突出部36が、閉塞端31の上面には、複数のリブ37が、筒状本体部32の下面にも複数のリブ38が形成されている。
封止部材(シールキャップ)の形成材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等の弾性材料が好ましい。
ガスケット4の形成材料としては、弾性を有するゴム(例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴムなど)、合成樹脂(例えば、SBSエラストマー、SEBSエラストマー等のスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー等のオレフィン系エラストマーなど)等を使用することが好ましい。
プランジャ本体部50は、図17ないし図19に示すように断面十字状に形成されたシャフト部を備え、シャフト部は、4つの平板部51a,51b,51c,51dにより形成されている。そして、本体部50(シャフト部)の先端には、フランジ56が設けられ、後端部には、円盤状のプランジャ押圧部53が設けられている。
そして、装着用先端部52の外面には、ガスケット4のガスケット側螺合部43と螺合するプランジャ側螺合部57が設けられている。プランジャ側螺合部57は、螺旋状リブにより形成されている。ガスケット4の螺旋状螺合部43に対応するように、二条(二本)の螺旋状リブ57を備えている。螺旋状リブは、一条(一本)のみであってもよい。そして、この実施例の注射器では、後述するガスケット4とプランジャ5は、プランジャ5を回転させることにより両者が装着状態となる。
各補強部54は、図17ないし図19に示すように、平板状の軸方向補強部54aと、軸方向補強部と54aと一端が接合した周方向補強部54bにより構成されている。軸方向補強部54aは、シャフト部を構成するいずれかの平板部51a,51b,51c,51dの表面より直交するように、かつ、フランジ56の後端面からも直交するように、所定長延びる平板状のものとなっている。そして、軸方向補強部54aは、プランジャの中心軸にほぼ平行となるように設けられている。また、軸方向補強部54aの軸方向長は、シャフト部の全長(平板部の全長)の1/6〜1/4程度であることが好ましい。また、軸方向補強部54aは、図18に示すように、その終端(基端)は、面取り形状もしくは円弧状となっている。
このような補強部54を有することにより、ガスケットに装着されたプランジャの外筒内での傾倒を防止できる。
外筒2とガスケット4と封止部材により形成される空間内に充填される薬液8としては、例えば、造影剤、高濃度塩化ナトリウム注射液、ミネラル類、ヘパリンナトリウム水溶液、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、シクロスポリン、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンのような抗血栓剤、インスリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正用電解質、抗ウイルス剤、免疫賦活剤等が挙げられる。充填される薬液8としては、特に、外筒2のフランジ23を挿入するフランジ収納部を有するインジェクター、シリンジポンプなどの自動投与器にプレフィルドシリンジ1(外筒2)が装着されて、投与されるものであることが好ましい。このように投与される薬液8としては、血管造影用の造影剤が挙げられる。
2 シリンジ用外筒
3 封止部材
4 ガスケット
5 プランジャ
8 薬液
21 外筒本体部
23 フランジ
24a、24b 直線状部
25a,25b 視認可能部
Claims (11)
- 外筒本体部と、該外筒本体部の先端側に設けられたノズル部と、前記外筒本体部の後端側に設けられた外方に突出するフランジとを備えるシリンジ用外筒であって、
前記フランジは、向かい合いかつほぼ平行に設けられた2つの直線状部を備え、かつ、前記直線状部の側面には、前記直線状部を視覚により確認可能な視認可能部を備えていることを特徴とするシリンジ用外筒。 - 前記視認可能部は、触感により確認可能である請求項1に記載のシリンジ用外筒。
- 前記フランジは、向かい合う2つの円弧状外縁部を有し、かつ、前記2つの直線状部間に形成された短径部と、前記2つの円弧状外縁部間に形成された長径部を有している請求項1または2に記載のシリンジ用外筒。
- 前記視認可能部は、光の反射が他の部分と異なるものとなっている請求項1ないし3のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記視認可能部は、多数のリブ、梨地表面もしくは多数の溝部により形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記視認可能部は、前記直線状部のほぼ全域に形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記直線状部は、前記直線状部の側面のほぼ全域に形成された凹部を有し、前記視認可能部は、前記直線状部の前記凹部の表面に形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記視認可能部は、前記直線状部の側面より外方に突出している請求項1ないし7のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記視認可能部は、前記シリンジ用外筒の中心軸に対して平行に延びる多数のリブにより形成されている請求項1ないし8のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記外筒の前記ノズル部を封止する封止部材と、前記外筒内に収納された摺動可能なガスケットと、前記ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャと、前記外筒と前記ガスケットと前記封止部材により形成される空間内に充填された薬液とからなることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
- 前記プレフィルドシリンジは、前記フランジを挿入するフランジ収納部を備えた自動投与器に装着されるものである請求項10に記載のプレフィルドシリンジ。
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