JP2011072395A - 医療用容器への薬剤混注器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止部材離脱後のプレフィルドシリンジへの混注用針の装着作業が容易であり、直接穿刺による投与、輸液回路の途中に設けられている側管・三方活栓のポートへの接続を不能とする医療用容器への薬剤混注器具を提供する。
【解決手段】薬剤混注器具1は、プレフィルドシリンジと、封止部材4の離脱後に装着可能な混注用針3とからなる。シリンジのノズル部22は、内筒部23と外筒部24と、外筒部の内面に設けられ、外筒部の中心軸に対して等角度となっている3条以上の奇数条の螺旋状リブ81,82,83とを備える。混注用針3は、ノズル部の外筒部と内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な基端部31と、基端部の外面に設けられ、基端部31の中心軸に対してほぼ等角度となっており、かつ、螺旋状リブと係合可能な3以上の奇数個の係合用突出部35,36,37とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、プレフィルドシリンジを利用した医療用容器への薬剤混注器具に関する。
患者に輸液を投与するのに先立って、医療用容器(具体的には、輸液容器)内に充填された薬液(輸液)に、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質のような様々な薬剤を必要に応じて配合することが行われている。このような薬剤の配合は、バイアル瓶から注射器によって薬液を吸引し、次いで輸液容器に薬液を注入(混注)することによって行われている。しかしながら、このような薬剤の配合は操作が煩雑であり、配合に要する時間、投与に要する時間が長くかかるという欠点がある。そこで、予め薬液が充填されるいわゆるプレフィルドシリンジの採用が提案されている。
このような配合用のプレフィルドシリンジに充填される薬剤としては、希釈されないまま直接血管(静脈)に投与されるべきものでない薬剤があり、このような薬剤は、必ず上述したような医療用容器(輸液容器)内に混注・希釈した後に、投与される。このような薬剤を充填したプレフィルドシリンジを扱う場合、医療従事者は十分に注意を払って使用している。
また、このような薬剤を充填したプレフィルドシリンジには他の薬剤を充填したプレフィルドシリンジとは一見して識別可能とするデザインを施すなど、充填された薬剤が希釈されないまま直接血管に投与されないような工夫が発明されている。
本件出願人は、特開2007−98109号公報(特許文献1)のものを提案している。
特許文献1の薬剤混注器具1は、ノズル部22を備える外筒2と、ガスケット5と、充填された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ10と、ノズル部に装着可能な混注用針3とからなる。ノズル部22は、内筒部23と、外筒部24と、外筒部の外面に設けられた外側リブ25を備え、内筒部の先端部の外径と外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部の先端部の内径は、2〜3mmまたは6〜10mmとなっている。混注用針3は、針本体部31と、ノズル部22の外筒部24と内筒部23間に侵入可能な中筒部38と、内面にノズル部のリブ25と係合する内側リブ37を有する筒状部33と、混注用針3の先端より10〜25mm基端側の位置に設けられた側孔36を備えている。
特開2007−98109号公報
特許文献1のものでは、注射器内の薬剤溶解液のみの誤投与を起こす可能性はなく十分な効果を有するが、より混注用針の装着操作が容易なものが望まれていた。
そこで、本発明の目的は、封止部材離脱後のプレフィルドシリンジへの混注用針の装着作業が容易であり、かつ、直接穿刺による投与、輸液回路の途中に設けられている側管・三方活栓のポートへの接続を不能とし、輸液容器に混注されることなく投与される可能性を極めて低いものとした医療用容器への薬剤混注器具を提供する。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) バレル本体部と、該バレル本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備えるバレルと、前記ノズル部を封止する封止部材と、前記バレル内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記バレル内に充填された薬剤と、前記ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とを備えるプレフィルドシリンジと、前記封止部材の離脱後の前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針とからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
前記バレルのノズル部は、前記バレル本体部の先端面より外方に突出する内筒部と、該内筒部を被包するように設けられた外筒部と、該外筒部の内面に設けられ、前記外筒部の中心軸に対してほぼ等角度となっている3条以上の奇数条の螺旋状リブとを備え、
前記混注用針は、針本体部と、該針本体部の基端部に設けられ、前記ノズル部の前記外筒部と前記内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な基端部と、該基端部の外面に設けられ、前記基端部の中心軸に対してほぼ等角度となっており、かつ、前記螺旋状リブと係合可能な3以上の奇数個の係合用突出部とを備える医療用容器への薬剤混注器具。
(2) 前記螺旋状リブの先端部は、前記外筒部の先端面と連続する平坦面となっている上記(1)に記載の医療用容器への薬剤混注器具。
(3) 前記内筒部の先端部の外径と前記外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmである上記(1)または(2)に記載の医療用容器への薬剤混注器具。
(4) 前記奇数条の螺旋状リブは、3条の螺旋状リブであり、前記3以上の奇数個の係合用突出部は、3個の係合用突出部である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用容器への薬剤混注器具。
(5) 前記混注用針は、先端に形成された針部と、側面に形成された側孔とを有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用容器への薬剤混注器具。
本発明の医療用容器への薬剤混注器具は、バレル本体部と、バレル本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備えるバレルと、ノズル部を封止する封止部材と、バレル内に摺動可能に収納されたガスケットと、バレル内に充填された薬剤と、ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とを備えるプレフィルドシリンジと、封止部材の離脱後のノズル部に装着可能かつ薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針とからなる。バレルのノズル部は、バレル本体部の先端面より外方に突出する内筒部と、内筒部を被包するように設けられた外筒部と、外筒部の内面に設けられ、外筒部の中心軸に対してほぼ等角度となっている3条以上の奇数条の螺旋状リブとを備え、混注用針は、針本体部と、針本体部の基端部に設けられ、ノズル部の外筒部と内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な基端部と、基端部の外面に設けられ、基端部の中心軸に対してほぼ等角度となっており、かつ、螺旋状リブと係合可能な3以上の奇数個の係合用突出部とを備える。
通常の注射針のハブの外面には、向かい合うように設けられた2つの突起を備えている。しかし、本発明の医療用容器への薬剤混注器具では、バレルの外筒部の内面には、外筒部の中心軸に対してほぼ等角度となっている3条以上の奇数条の螺旋状リブを備えており、通常の注射針の接続ができないので、生体に穿刺することが不可能である。また、輸液回路の途中に設けられている側管・三方活栓のポートも通常ポートの外面には向かい合うように設けられた2つの突起を備えているためそれらへの接続が不能であり、輸液容器に混注されることなく投与される可能性が極めて低い。
図1は、本発明の薬剤混注器具の外観図である。 図2は、本発明の薬剤混注器具の混注可能状態の一部破断外観図である。 図3は、本発明の薬剤混注器具に使用されるプレフィルド用シリンジの外筒の正面図である。 図4は、図3のA−A線断面図である。 図5は、図3に示す外筒の拡大右側面図である。 図6は、図3に示した外筒の先端部の拡大斜視図である。 図7は、本発明の薬剤混注器具に使用される混注用針の拡大正面図である。 図8は、図7の混注用針の断面図である。 図9は、図7に示す混注用針の拡大左側面図である。 図10は、図7に示した混注用針の基端部付近の拡大斜視図である。 図11は、本発明の薬剤混注器具に使用される封止部材の断面図である。
本発明の医療用容器への薬剤混注器具を図示する実施例の薬剤混注器具を用いて説明する。
薬剤混注器具1は、バレル本体部21と、バレル本体部21の先端部に設けられ先端が開口したノズル部22を備えるバレル2と、ノズル部22を封止する封止部材4と、バレル2内に摺動可能に収納されたガスケット5と、ガスケット5の後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子6と、バレル2内に充填された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ10と、封止部材4の離脱後のノズル部22に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器(例えば、輸液容器)のゴムやエラストマーで形成された刺通可能な栓体を有する混注ポート(図示せず)に、穿刺可能な混注用針3とからなる。
そして、バレル2のノズル部22は、バレル本体部21の先端面より外方に突出する内筒部23と、内筒部23を被包するように設けられた外筒部24と、外筒部24の内面に設けられ、外筒部の中心軸に対してほぼ等角度となっている3条以上の奇数条の螺旋状リブ81,82,83とを備える。混注用針3は、針本体部30と、針本体部30の基端部に設けられ、ノズル部22の外筒部24と内筒部23間に侵入かつ液密状態を形成可能な基端部31と、基端部31の外面に設けられ、基端部31の中心軸に対してほぼ等角度となっており、かつ、螺旋状リブ81,82,83と係合可能な3以上の奇数個の係合用突出部35,36,37とを備える。
本発明の薬剤混注器具1は、プレフィルドシリンジと、混注用針3とからなる。
プレフィルドシリンジは、バレル2と、バレル2のノズル部22を封止する封止部材4(具体的には、取り外し可能なキャップ)と、バレル2内に摺動可能に収納されたガスケット5と、ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子6と、バレル2内に充填された薬剤8とからなる。
バレル2は、透明もしくは半透明材料により、必要に応じて、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
バレル2は、図3に示すように、バレル本体部21と、バレル本体部21の先端部に設けられたノズル部22と、バレル本体部21の後端部に設けられたフランジ26を備える。
バレル本体部21は、ガスケット5を液密かつ摺動可能に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部22は、バレル本体部21より小径の筒状部となっている。また、バレル本体部21の先端部(肩部)は、ノズル部22に向かってテーパー状に縮径している。
フランジ26は、図3、図4および図5に示すように、バレル本体部21の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ26は、向かい合う幅広となった2つの把持部を備え、さらに、把持部の先端面側には、複数のリブが形成されている。また、フランジ26の後端面は、周縁および外筒後端部がリブ部分以外となる部分は凹部となっている。
ノズル部22は、図3ないし図6に示すように、バレル本体部21の先端面より外方に突出する内筒部23と、内筒部23を被包するように設けられた外筒部24を有する。
そして、外筒部24の内面には、外筒部の中心軸に対してほぼ等角度となっている3条の螺旋状リブ81,82,83が形成されている。なお、螺旋状リブとしては、3条が好ましいが、5条以上の奇数条であってもよい。そして、螺旋状リブ81,82,83は、外筒部24の先端より基端付近まで延びるものとなっている。さらに、この実施例のバレル2では、図6に示すように、3条の螺旋状リブ81,82,83との先端部は、外筒部24の先端面と連続する平坦面81a,82a,83aとなっている。このようにすることにより、2条タイプの螺旋状リブと螺合可能な突出部を有する注射針ハブの侵入を確実に阻止する。また、外筒部24の外面には、軸方向に延びる外面リブ25が複数設けられている。
さらに、内筒部23の先端部の外径と外筒部24の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmであり、外筒部24の先端部の内径は、2〜3mmまたは6〜10mmとなっている。このようにすることにより、基端部に螺合用の突出部を持たない通常規格の医療用雌型接続部の接続を不能なものとしている。
また、この実施例のバレル2では、ノズル部22は、6%テーパーを備えず、かつ外筒部24と内筒部23間が狭小に形成されることにより、6%テーパーを有する通常規格の医療用雌型接続部(例えば、注射針ハブ、三方活栓のポート)の接続を不能なものとしている。通常規格の医療用雌型接続部とは、ISO594-1:1986にある「注射筒、注射針や他の医療用具の6%(約3.43°)テーパーとの接合部の合致−パート1:一般的要求事項」を示すものである。
ISO594-1:1986に規定される規格(通常規格)の医療用雌形接続部の端部は、内径が4.0mm〜4.315mm、外径が最大6.73mmである。そして、本発明の薬剤混注器具1では、内筒部の先端部の外径と外筒部の先端部の内径の直径の差および外筒部の先端部の内径が、上述したものとなっているので、上記のISO594-1:1986に規定される規格の医療用雌型接続部の本発明の薬剤混注器具のノズル部22の外筒部24と内筒部23との間への侵入を防止する。
具体的には、内筒部23は、実質的にテーパーを持たない円筒状となっている。実質的にテーパーを持たないとは、0〜5.5%(0〜約3.15°)程度のテーパーを有するものを含む概念である。同様に、外筒部24も実質的にテーパーを持たない円筒状となっている。実質的にテーパーを持たないとは、0〜5.5%(0〜約3.15°)程度のテーパーを有するものを含む概念である。そして、ノズル部22の内筒部23の外径と外筒部24の内径との差は、上述したように、0.5〜1.5mmであることが好ましく、さらには0.6〜1.0mmであることが好ましい。このようにすることにより、医療用雌型接続部の外筒部24と内筒部23との間への侵入を防止する。また、内筒部23の先端は、外筒部24の先端より若干突出していることが好ましい。突出長としては、1.5mm以下であることが好ましい。また、内筒部23の軸方向の長さとしては、6.5〜9.0mm程度が好ましい。
また、バレル2のノズル部22は、封止部材によりシールされている。この実施例では、封止部材として、取り外し可能なキャップ4が用いられている。なお、封止部材としては、ノズル部22の内筒部23の先端面を封止する剥離可能なフィルム状のものであってもよい。
バレル2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。また、バレル2の形成材料としては、密封性を高めるために、キャップ4より相対的に硬度が高い樹脂を使用することが好ましい。このようにすると、ノズルへのキャップの取り付けの際、螺合操作に伴ってキャップがノズルに密着し、より密封性を高めることができる。
ガスケット5は、図1に示すようにほぼ同一外径にて延びる本体部と、この本体部に設けられた複数の環状リブ(この実施例では2つ、2つ以上であれば、液密性と摺動性を満足できれば適宜数としてもよい)を備え、これらリブが、バレル2の内面に液密に接触する。また、ガスケット5の先端面は、バレル2の先端内面に当接した時に、両者間に極力隙間を形成しないように、バレル2の先端内面形状に対応した形状となっている。
ガスケット5の形成材料としては、弾性を有するゴム(例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴムなど)、合成樹脂(例えば、SBSエラストマー、SEBSエラストマー等のスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー等のオレフィン系エラストマーなど)等を使用することが好ましい。
そして、ガスケット5には、その後端部より内部に延びる凹部が設けられ、この凹部は、雌ねじ状となっており、押子6の先端部に形成された突出部の外面に形成された雄ねじ部と螺合可能となっている。両者が螺合することにより、押子6は、ガスケット5より離脱しない。なお、押子6は、取り外しておき、使用時に取り付けるようにしてもよい。
押子6は、上述したように、先端部に筒状に突出する突出部を備え、突出部の外面には雄ねじが形成されている。また、押子6は、断面十字状の軸方向に延びる本体部と、後端部に設けられた押圧用の円盤部と、本体部の途中に設けられたリブを備えている。
バレル内に充填される薬剤8としては、ニトログリセリン、シクロスポリン、ベンゾジアゼピン系薬剤、高濃度塩化ナトリウム注射液、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質などの薬液、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンのような抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正用電解質、抗ウイルス剤、免疫賦活剤等いかなるものでも良いが、塩化カリウムやアスパラギン酸カリウム等の、静脈へ急速投与すると重大な健康被害が生じる恐れのある薬剤である場合に特に有効である。
混注用針3は、図7ないし図9に示すように、針本体部30と、針本体部30の基端側に設けられ、ノズル部22の外筒部24と内筒部23間に侵入かつ液密状態を形成可能な基端部31と、基端部31の外面に設けられ、基端部31の中心軸に対してほぼ等角度となっており、かつ、螺旋状リブ81,82,83と係合可能な3個の係合用突出部35,36,37とを備える。また、混注用針3は、針本体部30の先端部に設けられた穿刺針部32と、穿刺針部32の先端(混注用針3の先端)より、3〜20mm基端側に位置し、混注用針内部38と外部とを連通する複数(この実施例では、3つ)の側孔33を備えている。特に、この実施例では、係合用突出部35,36,37は、混注用針3の基端部31の基端に設けられている。また、係合用突出部の数は、上述した螺旋状リブの条数に対応した数、具体的には、同じ数であることが好ましい。また、各係合用突出部の厚さ(高さ)は、上述した螺旋状リブの軸方向間隔(螺旋状リブ間の凹部の軸方向長)より、短い(小さい)ものとなっている。また、各係合用突出部の混注用針の周方向長は、3条の螺旋状リブ81,82,83の平坦面81a,82a,83a間の周方向長より短い(小さい)ものとなっている。また、この実施例では、係合用突出部35,36,37は、基端部31の中心軸に対して直交するように周方向に延びるものとなっている。なお、各係合用突出部35,36,37は、基端部31の中心軸に対して螺旋状に延びるものであってもよい。
混注用針3の針本体部30は、図7ないし図9に示すように、先端側より、穿刺針部32を形成する鋭角のテーパー角を有する第1領域と、この第1領域と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第2領域と、この第2領域と連続し、第2領域のテーパー角より所定角大きいテーパー角を有する第3領域と、この第3領域と連続し、なだらかなテーパー角もしくは実質的にテーパー角を持たない第4領域を有するものとなっている。
上記のように途中にその前後の部分よりテーパー角が大きい第3領域を有することにより、輸液回路の途中に設けられている側管ポートやニードルレス接続部への誤穿刺を確実に回避することができる。
通常、薬剤容器の混注ポートに組み込まれた栓体は、通常直径1〜5cm程度の領域を刺通部として開口させており、その領域の厚みは0.5〜1.5cm程度である。従って、後述する混注用針3における針本体部30は、側孔33より基端側の長さは0.5cm以上、好ましくは1.5cm以上である。
混注用針3の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルラクトン、液晶ポリエステル等の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂の熱硬化性樹脂などが使用できる。
さらに、混注用針の形成材料は、補強繊維を含有していることが好ましい。補強繊維としては、長繊維が好ましいが、短繊維であってもよい。また、形成材料中の樹脂材料に対する繊維の添加量は、使用する樹脂や繊維の組合わせにより異なるが混注用針全体に基づいて概ね10〜80容量%程度が好ましく、より好ましくは30〜80容量%であり、特に、好ましくは40〜70容量%である。
また、補強繊維としては、炭素繊維、ウイスカー(ひげ結晶)、ガラス繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、ポリアミド系繊維、ポリアリレート繊維などが好適である。
そして、混注用針3には、図1に示すように、プロテクター7が取り付けられている。
プロテクター7は、図1に示すように、混注用針3を被包し、穿刺針部の露出を防止するとともに、混注用針3のバレル2のノズル部への装着および離脱操作を補助するものである。
また、バレル2のノズル部22に取り付けられている封止部材であるシールキャップ4は、図1および図11に示すように、閉塞端51と、内筒部収納部53と外筒部収納部52を備えている。
内筒部収納部53は、シールキャップ4の中央部に設けられ、先端が閉塞し円筒状である。内筒部収納部53の内径は、ノズル部22の内筒部23の外径より若干大きく作製され、基端開口からノズル部全体を収納するものとなっている。また、内筒部収納部53の内側閉塞面(閉塞端51の内面)には、バレル2の先端開口部を液密に密封するためのシール部材55が収納されている。シール部材55としては、バレル2の先端開口部を液密に密封可能なように弾性部材であることが好ましい。シール部材の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。
また、内筒部収納部53の外面には、バレル2の外筒部24の内面に形成された3条の螺旋状リブと螺合するための3条の螺旋状リブ54が形成されている。これにより、バレル2とシールキャップ4は、ノズル収納部の外面と外筒部の内面との間で螺合する。
外筒部収納部52は、内筒部収納部53を取り囲むように形成され先端が閉塞した円筒状体であり、外筒部収納部の内面と内筒部収納部の外面との間に外筒部24を収納する。また、円筒状に形成された外筒部収納部52は、内筒部収納部53と同心状となっており、外筒部収納部52の内径は、先端から基端までほぼ同一径となっている。
また、図1に示すようにシールキャップ4の外側面(外筒部収納部52の外周面)には、シールキャップを回転させる時指等が滑らないようにするために縦方向に刻み加工が施されている。
シールキャップの形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
1 薬剤混注器具
2 バレル
3 混注用針
4 封止部材
5 ガスケット
6 押子
7 プロテクター
21 バレル本体部
22 ノズル部
23 内筒部
24 外筒部
81,82,83 螺旋状リブ
35,36,37 係合用突出部

Claims (5)

  1. バレル本体部と、該バレル本体部の先端部に設けられ先端が開口したノズル部を備えるバレルと、前記ノズル部を封止する封止部材と、前記バレル内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記バレル内に充填された薬剤と、前記ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取付可能な押子とを備えるプレフィルドシリンジと、前記封止部材の離脱後の前記ノズル部に装着可能かつ、薬液を収納した医療用容器の混注ポートに穿刺可能な混注用針とからなる医療用容器への薬剤混注器具であって、
    前記バレルのノズル部は、前記バレル本体部の先端面より外方に突出する内筒部と、該内筒部を被包するように設けられた外筒部と、該外筒部の内面に設けられ、前記外筒部の中心軸に対してほぼ等角度となっている3条以上の奇数条の螺旋状リブとを備え、
    前記混注用針は、針本体部と、該針本体部の基端部に設けられ、前記ノズル部の前記外筒部と前記内筒部間に侵入かつ液密状態を形成可能な基端部と、該基端部の外面に設けられ、前記基端部の中心軸に対してほぼ等角度となっており、かつ、前記螺旋状リブと係合可能な3以上の奇数個の係合用突出部とを備えることを特徴とする医療用容器への薬剤混注器具。
  2. 前記螺旋状リブの先端部は、前記外筒部の先端面と連続する平坦面となっている請求項1に記載の医療用容器への薬剤混注器具。
  3. 前記内筒部の先端部の外径と前記外筒部の先端部の内径の差は、0.5mm〜1.5mmである請求項1または2に記載の医療用容器への薬剤混注器具。
  4. 前記奇数条の螺旋状リブは、3条の螺旋状リブであり、前記3以上の奇数個の係合用突出部は、3個の係合用突出部である請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用容器への薬剤混注器具。
  5. 前記混注用針は、先端に形成された針部と、側面に形成された側孔とを有する請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用容器への薬剤混注器具。
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