JP2014082059A - 発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費ガス量をなるべく抑制しつつ、負荷に対して必要な電力を供給することのできる発電装置を提供する。
【解決手段】 発電ユニット2と、発電ユニット2の出力電圧を変圧する変圧部3と、変圧部3から負荷50に対して流れる負荷電流Izと所定の閾値電流を比較する電流比較部4と、閾値電流の値を設定する機能を有する制御部5を備え、変圧部3は、負荷電流Izと閾値電流が等しくなるように発電ユニット2の出力電圧を変圧する動作を行い、制御部5は、発電ユニット2の出力電圧V2が第1所定範囲内であれば、閾値電流の値を変更せず、前記発電ユニット2の出力電圧V2が第1所定範囲より高ければ、許容最大値を超えない範囲内で閾値電流の値を所定レベル上昇させる制御を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料ガスを発生させるガス発生部と、前記ガス発生部から供給される燃料ガスで発電を行なう発電セルを有する発電装置に関し、特に、接続される負荷の消費電力に応じたガス量をガス発生部から取り込んで発電を行う発電装置に関する。
近年のITの発展に伴い、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどのモバイル機器のほとんどの電源は、リチウムイオン二次電池が用いられている。しかし、これらのモバイル機器の高機能化に伴い、消費電力がますます増加する傾向にあり、その電源用又は充電用としてクリーンで高効率な燃料電池に注目が集まっている。
特に、ノートパソコンや携帯電話のような携帯機器に使用する場合に、携帯性あるいは小型化を維持できるような構造が望まれる。下記特許文献1には、このような小型の燃料電池システムが開示されている。
特開2010−27594号公報
特許文献1に記載された燃料電池システムでは、消費される電力と無関係に反応液が供給されるため、消費電力に応じて燃料ガスの発生量を調整できないという問題があった。これを受けて、本出願人は、接続される負荷の消費電力に応じたガス量の燃料ガスをガス発生部から取り込んで発電を行う発電装置の開発を行なっている。
このような発電装置においては、負荷の消費電力に応じて燃料ガスの消費ガス量が決定される構成であるため、いったん発生した燃料ガスをいかに有効に活用するかという従来の燃料電池が抱えていた問題を意識する必要はない。一方で、このような発電装置においては、負荷の消費電力に応じて燃料ガスの消費ガス量を調整することができる構成であるため、なるべく消費ガス量を少なくしながら必要な電力を供給することが要求される。
本発明は、上記の課題に鑑み、消費ガス量をなるべく抑制しつつ、負荷に対して必要な電力を供給することのできる発電装置を提供することを目的とする。
本発明の発電装置は、燃料ガスを発生させるガス発生部と、前記ガス発生部から供給される燃料ガスで発電を行なう発電セルを有し、接続される負荷の消費電力に応じたガス量の前記燃料ガスを前記ガス発生部から取り込んで発電を行う装置であって、
一の前記発電セルで構成されるか、又は複数の前記発電セルが直列に接続されて構成された発電ユニットと、
前記発電ユニットの出力電圧を変圧する変圧部と、
前記変圧部から前記負荷に対して流れる負荷電流と所定の閾値電流を比較する電流比較部と、
前記閾値電流の値を設定する機能を有する制御部を備える。
そして、前記変圧部は、前記負荷電流と前記閾値電流が等しくなるように前記発電ユニットの出力電圧を変圧する動作を行う。また、前記制御部は、前記発電ユニットの出力電圧が第1所定範囲内であれば、前記閾値電流の値を変更せず、前記発電ユニットの出力電圧が前記第1所定範囲より高ければ、許容最大値を超えない範囲内で前記閾値電流の値を所定レベル上昇させる制御を行う。
電力は電圧と電流の積で規定される。そして、出力電流は発電装置内における消費ガス量に依存する。つまり、負荷が要求する電力を最も効率的に、すなわち最も少ない消費ガス量にて供給するには、できるだけ高い出力電圧にて電力供給を行うのが好ましい。
そして、特に負荷として充電機器を想定した場合、当該機器を充電する際には、発電装置から出力される電流量によって充電に要する時間が決定される。このため、短時間にて充電動作を完了させるためには、なるべく負荷電流量を多くするのが好ましい。しかし、発電装置と負荷を接続する接続線の形式や、負荷を構成する充電器の仕様により、流すことのできる最大電流(最大許容電流)が決定されていることが多い。
以上を鑑みると、充電器を構成する負荷に対して発電装置からの出力電力を供給して充電動作を実行する際には、なるべく高い出力電圧の下で、最大許容電流を供給することが、短時間で効率良く充電動作を行う観点からは好ましいといえる。
燃料ガスで発電を行う発電セルを備えた発電装置においては、発電セルを構成する材料、発電セルへの燃料ガスの供給態様、発電セルの劣化度合いなどによって、電流−電圧特性(I-V特性)が決定される。このため、出力電圧を固定した発電制御を行えば、I-V特性によって決定される電流を出力し、逆に、出力電流を固定した発電制御を行えば、I-V特性によって決定される電圧を出力することとなる。
上述したように、負荷として充電機器を想定した場合には、負荷に対して最大許容電流を流すことが短時間充電には効果的である。しかし一方で、発電ユニットのI-V特性により、この最大許容電流に相当する負荷電流を出力させるために必要な電圧が低い場合には、いくつかの問題を生じさせる。
発電ユニットからの出力電圧を変圧部(例えばDC-DCコンバータ)にて昇圧した後、負荷に対して電圧を供給する構成である場合、変圧部が変圧することのできる入力電圧には下限値が存在するのが通常である。つまり、変圧部が変圧できる下限値を下回るような電圧しか発電ユニットから出力されない場合には、負荷に対して必要な電圧が供給されなくなってしまう。
また、I-V特性によって、要求される出力電流を実現するための出力電圧が低いということは、発電セルに対して十分な燃料ガスが供給されない状態になっていることが考えられる。このような原因の一つとして、発電セル内に燃料ガス以外のガス(例えば窒素ガス)が流入していることが考えられる。このように燃料以外のガスが流入している発電セル(不良セル)を含む複数の発電セルが直列に接続されている場合において、発電ユニットに対して高い出力電流が要求されると、良好な他の発電セルが、当該電流量の出力を実現すべく多量の燃料ガスを消費して発電を行う。この時、不良セル内に存在する燃料以外のガスが抵抗化して逆電位状態となり、最悪の場合には、当該セルが劣化してしまうことがある。
つまり、発電ユニットを構成する発電セルの現状のI-V特性に応じて、出力電流を決定しながら、なるべく高い出力電圧を確保する制御を行うことが、負荷に対して効率良く電力を供給する上では重要となる。
本発明の構成では、前記負荷電流と所定の閾値電流を比較する電流比較部を備え、変圧部は、負荷電流が閾値電流と等しくなるように発電ユニットの出力電圧を変圧する動作を行う。つまり、本発明の発電装置は、負荷電流を目標となる閾値電流に設定し、その負荷電流を実現させるように出力電圧を調整する構成である。
そして、負荷電流の目標となる閾値電流の値は、制御部によって制御することが可能な構成である。より詳細には、発電ユニットの出力電圧が第1所定範囲より高ければ、制御部は、現時点で設定されている閾値電流の値を所定レベル上昇させる。ただし、閾値電流は許容最大値を超えない範囲内とする。一方、発電ユニットの出力電圧が第1所定範囲内であれば、制御部は、現時点で設定されている閾値電流の値を変更しない。
発電ユニットの出力電圧が第1所定範囲より高いということは、発電ユニットは十分な出力電圧を確保できていることを意味している。このため、負荷電流を上昇させる制御を行なっても、変圧部での変圧ができないとか、発電セルを劣化させるといった危険性はない。
一方、発電ユニットの出力電圧が第1所定範囲内であるとき、これ以上負荷電流を上昇させる制御を行うと、I-V特性によって発電ユニットの出力電圧が、あるレベルを下回ることが考えられる。上述したように、燃料ガスの消費量を抑制する観点からは
電力を供給する際にはなるべく高い電圧を確保しながら電流を供給することが好ましいため、この第1所定範囲内にあるときは、現状の負荷電流を維持する制御を行う。
そして、このような制御を行う中で、閾値電流の値が許容最大値に達すると、接続される負荷においては、もはやこれ以上の電流を発電ユニットから供給される必要がなくなる。つまり、この許容最大値を接続される負荷の最大許容電流としておくことで、高い出力電圧の下で、許容される最大電流を負荷に対して供給することが可能となる。
発電を行う時点における発電セルのI-V特性は、実際に発電動作を開始してみなければ分からない。このため、制御部が、発電ユニットの出力電圧の大きさに応じて負荷電流の大きさを調整する制御を行い、且つ、負荷電流が許容最大値に達した時点でその状態を継続させる制御を行うことで、発電セルの現時点での能力を加味しつつ、ガス消費量をなるべく抑制しながら負荷に対して電力供給を行うことが可能となる。
なお、上記構成に加えて、
前記制御部は、前記発電セルの出力電圧が前記第1所定範囲より低ければ、前記閾値電流の値を所定レベル減少させる制御を行うものとしても構わない。
発電ユニットの出力電圧が第1所定範囲より低いということは、発電ユニットを構成する発電セルに何らかの問題が生じていることを示している。すなわち、もし発電セルが良好な状態であれば、第1所定範囲内、又はそれ以上の出力電圧によって現時点の負荷電流を実現できるはずであるが、何らかの原因によって出力電圧を低下しなければ現時点の負荷電流を出力させることができない状態であることが示唆される。この場合、上述したように、発電ユニット内の発電セルに燃料ガス以外のガスが流入するなどの状況が生じている可能性があり、このままこのような発電状態を継続していると、当該発電セルの劣化が進行する懸念がある。本発明の構成によれば、このような状況においては、制御部が閾値電流の値を減少させて負荷電流を減少させる制御を自動的に行うため、発電セルに無理な負担を強いることなく一定レベルの発電を継続させる状態にシフトさせることができる。
なお、本発明の発電装置は、電流比較部及び変圧部を、以下のような構成とすることができる。
すなわち、前記電流比較部は、前記変圧部と前記負荷との間に流れる電流を電圧に変換する第1電流電圧変換部と、前記制御部からの制御によって前記閾値電流の値が調整されると共に、調整された前記閾値電流を電圧に変換する第2電流電圧変換部と、前記第1電流電圧変換部の出力電圧と前記第2電流電圧変換部の出力電圧を比較して比較結果を前記変圧部に出力する電圧比較部とを有する構成である。
また、前記変圧部は、前記第1電流電圧変換部の出力電圧と前記第2電流電圧変換部の出力電圧が等しくなるように前記発電ユニットの出力電圧を変圧する動作を行う構成である。
本発明の発電装置によれば、消費ガス量をなるべく抑制しつつ、負荷に対して必要な電力を供給することが可能である。また、発電セルの状態が悪化してきた場合においても、当該発電セルの状態に応じた最適な運転状態に自動的に遷移させることで、発電装置の効率的な運転が可能となる。
発電装置の構造の一例を模式的に示す断面図である。 図1AにおいてB−B線で切断したときの模式的な断面図である。 発電装置が備える出力処理部の構成を概念的に示すブロック図である。 出力処理部が備える制御部が行う動作を模式的に示すフローチャートである。
[発電装置の構造]
まず、本発明の発電装置の構造につき、図面を参照して説明する。図1Aは、発電装置1の構造の一例を模式的に示す断面図である。また、図1Bは、図1AにおいてB−B線で切断したときの模式的な断面図である。
(全体)
図1Aに示す例では、発電装置1が、燃料電池本体10と燃料供給カートリッジ20を有して構成される。燃料供給カートリッジ20内にて発生した燃料ガスが、燃料電池本体10内に搭載された発電ユニット2に供給され、発電ユニット2にて発電が行われる。燃料供給カートリッジ20は、「ガス発生部」の一実施形態である。
なお、図1Aでは、構造の理解のために、燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着される前の状態を図示している。実際には、燃料供給カートリッジ20を燃料電池本体10に装着することで、発電装置1による発電が行われる。図1Bには、燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着された状態が図示されている。
(燃料電池本体10)
図1Aの例において、燃料電池本体10は、発電ユニット2、セル保持体52、逆止弁53、燃料ガス供給口54、並びに連通路55によって相互に連通する第1開口部55a及び第2開口部55bを備える。また、図1Aでは、セル保持体52が箱状に形成され、箱状の予備空間形成部59及び筒状のカートリッジ収容部58が一体的に形成されている燃料電池本体10の構成が図示されている。
発電ユニット2は、複数の発電セル2a、2b、2c、2dが直列に接続されて構成されている。燃料ガス供給口54より供給される燃料ガスは、まず発電セル2aに送られ、その後、発電セル2b、2c、2dの順に送られる。各発電セルには、開孔56が設けられ、燃料電池本体10の表面から開孔56を介して空気が供給される構成であり、この空気中の酸素と燃料ガスを用いて発電が行われる。なお、各セル2a、2b、2c、2dにおける発電電圧は、それぞれ出力処理部40に出力され、後述する電気的処理がなされた後、負荷50に対して電力供給される。出力処理部40は、複数の電子回路を備えたチップや基板にて構成されるものとして構わない。
セル保持体52は、空間を含めて発電ユニット2を覆うように構成されており、各発電セルにおける発電を安定的に実行させる。また、逆止弁53は、セル保持体52によって形成された空間内に存在するガスの排出のみを許容する弁であり、セル保持体52内の気圧を一定レベルに調整する機能を有している。
逆止弁53としては、小型軽量のものが好ましく、例えば、ダックビルタイプ、アンブレラタイプ、ボールとゴム板の併用、ボールとスプリングの併用、フート弁などの逆止弁を使用することができる。逆止弁53は、内部空間が大気圧を超えると、ガスを放出し、内部空間が大気圧未満になるときでも、大気を内部交換に流入をさせないという機能を有する。逆止弁53の開弁圧は、ゲージ圧力で10kPa以内に設定されることが好ましく、5kPa以内に設定されることがより好ましい。
予備空間形成部59には、燃料ガス供給口54を形成するパイプが設けられており、これにより燃料ガス供給口54から内部空間(発電ユニット2側)へと連通されている。また、予備空間形成部59には、内部空間から独立した連通路55が設けられており、これによって第1開口部55a及び第2開口部55bが相互に連通している。
連通路55は、後述する燃料発生部62が大気圧未満となったときにも、反応液収容部61から反応液が燃料発生部62に過剰に供給されないように、流量を調節する役割を有する。図1Aでは、流量を調整するために、連通路55が内径の細いパイプ55cを有している構造が示されている。
(燃料供給カートリッジ20)
燃料供給カートリッジ20は、反応液61aを収容する反応液収容部61、燃料ガス発生剤62aを収容する燃料発生部62、反応液排出口63、反応液供給口64、及び燃料ガス排出口65を備える。
図1Aに示した例では、反応液収容部61は、密閉され変形可能な袋状容器により形成されている。収納される反応液61aとしては、燃料ガス発生剤62aと反応して燃料ガスを発生させる液体が使用される。具体的には、燃料ガス発生剤62aの種類に応じて、水、又は酸水溶液、アルカリ水溶液などが使用される。
反応液収容部61は、反応液61aを外部に排出するための反応液排出口63を備えている。図1Aに示す例では、反応液排出口63から反応液収容部61の底面付近まで延びるパイプが設けられている。燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着されると、このパイプに、燃料電池本体10の第1開口部55aを形成するパイプが連結される。両者のパイプの連結部分には、気密性を維持するためのシール部材を設けることが好ましい。
反応液収容部61は、どのような向きに設置したときでも反応液61aの排出を容易にする目的で、吸水シートなどの吸水体を設けても構わない。吸水体としては、水を含浸可能なものであればいずれでもよいが、吸水性樹脂、脱脂綿、吸水性不織布、吸水紙などが好ましい。
燃料発生部62は、反応液61aを外部から取り込むための反応液供給口64、及び燃料ガスを外部に排出するための燃料排出口65を備えている。図1Aに示す例では、反応液供給口64及び燃料排出口65は、それぞれパイプで形成される。そして、燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着されると、反応液供給口64を構成するパイプに燃料電池本体10の第2開口部55bが連結され、燃料排出口65を構成するパイプに燃料電池本体10の燃料ガス供給口54を形成するパイプが連結される。各パイプの連結部分には、気密性を維持するためのシール部材を設けることが好ましい。
燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着されると、反応液収容部61に収容された反応液61aが、反応液排出口63、連通路55、及び反応液供給口64を介して燃料発生部62に供給される。燃料発生部62では、燃料ガス発生剤62aが反応液61aと反応し、燃料ガスを生成する。この生成された燃料ガスは、燃料排出口65及び燃料ガス供給口54を介して、発電ユニット2に供給される。
なお、燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着されていない状態で反応液61aが燃料発生部62内に流入することを防止すべく、図1Aに示すように、反応液収容部61と燃料発生部62は障壁68によって隔てられる構成とするのが好ましい。更に、このとき、内部空間を有効利用するために隔壁68を可動型とするのが好ましい。このようにすることで、反応液61aの体積の減少と、燃料ガス発生剤62aの反応後の膨張に合わせて、障壁68の位置を動かして位置のバランスを取ることができる。
同様に、燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着されていない状態で反応液61a、その他の物質が燃料発生部62内に流入することを防止すべく、反応液排出口63、反応液供給口64、及び燃料排出口65は、いずれも外部に連通していないことが好ましい。図1Aに示す燃料供給カートリッジ20は、反応液排出口63、反応液供給口64、及び燃料排出口65の開口部を封止するように形成された封止材67を備える構成としている。このとき、燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着されると、反応液排出口63を構成するパイプと第1開口部55aが封止材67を貫通して連結され、反応液供給口64を構成するパイプと第2開口部55bが封止材67を貫通して連結され、燃料排出口65を構成するパイプと燃料ガス供給口54を構成するパイプが封止材67を貫通して連結される。
封止材67は、樹脂フィルム、ゴムシート、金属箔などで形成することができ、接着剤、粘着剤、熱融着フィルムなどで、反応液排出口63、反応液供給口64、及び燃料排出口65の形成面に貼り付けられる。封止材67は、装着時にパイプにより穿孔されることで、前述した連結が実現されるよう、厚みや材質が選択されるのが好ましい。
なお、図1Aでは、燃料供給カートリッジ20が加圧機構66を備える構成が図示されている。この加圧機構66は、具体的には、燃料供給カートリッジ20をカートリッジ収容部58に装着する際に、カートリッジ収容部58の形状に従って揺動する側壁にて構成されている。装着時に、加圧機構66が内側に変形して袋状容器にて構成される反応液収容部61を押圧することで、反応液収容部61の内部圧力を増加させる。揺動可能な側壁は、ヒンジ部によって構成することができるが、可とう性の材料で側壁を形成することで同様の変形が可能となる。
燃料発生部62に収容される燃料ガス発生剤62aとしては、反応液61aと反応して、水素ガスなどの燃料ガスを発生させるものが使用される。例えば、水などの反応液と反応して水素ガスを発生する水素発生剤又は高反応性の水素発生剤を樹脂に包埋したものが使用できる。反応性を制御できる観点からは、高反応性の水素発生剤を樹脂に包埋したものを使用するのが好ましい。
高反応性の水素発生剤としては、水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化アルミニウムナトリウム、又は水素化マグネシウムなどの水素化金属化合物を含有するものが挙げられる。
また、上記化合物以外の水素発生剤として、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウムなどの金属、上記以外の金属水素錯化合物などを含有してもよい。水素化金属化合物、金属、金属水素錯化合物は、それぞれを組み合わせて使用することも可能である。
水素発生剤を樹脂に包埋する場合、粒状の水素発生剤の平均粒径は、樹脂中への分散性や反応性を制御する観点から、1〜100μmが好ましく、6〜30μmがより好ましく、8〜10μmが更に好ましい。また、水素発生剤の含有量は、適度な反応性とある程度の水素発生量を確保する観点から、樹脂中、10〜85重量%が好ましく、30〜80重量%が好ましい。
用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、耐熱性樹脂などが挙げられるが、熱硬化性樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。また、耐熱性樹脂としては、芳香族系のポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。水素発生反応中に多孔質構造を適度に維持できる観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
燃料ガス発生剤62aには、上記の成分以外の任意成分として、触媒、充填材、発泡剤などのその他の成分を含有してもよい。触媒としては、水素発生剤用の金属触媒の他、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ化合物も有効である。
(発電ユニット2)
図1Aに図示した発電ユニット2は、4つの発電セル2a、2b、2c及び2dが直列に接続されることで構成されている。各発電セルは同一の材料、寸法で構成されているものとして構わない。以下では、発電セルの構成を説明するに際しては、発電セル2aを代表して説明する。
発電セル2aは、図1Bに示すように、固体高分子電解質層71、固体分子電解質層71の両側に設けられた第1電極層72及び第2電極層73、並びに、これらの電極層72,73の外側にそれぞれ配置された第1導電層74及び第2導電層75を備える。
固体高分子電解質層71としては、従来の固体高分子膜型の燃料電池に用いられるものであればよいが、化学的安定性及び導電性の点から、超強酸であるスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換膜が好適に用いられる。このような陽イオン交換膜としては、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられる。その他、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものとしても構わない。
固体高分子電解質層71の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、イオン伝導機能、強度、ハンドリング性などを考慮すると、10〜300μmが好ましく、15〜50μmがより好ましい。
電極層72,73は、固体高分子電解質層71の表面付近でアノード側及びカソード側の電極反応を生じさせるものであればよい。なかでも、ガス拡散層としての機能を発揮して、燃料ガス、燃料液、酸化ガス及び水蒸気の供給・排出を行なうと同時に、集電の機能を発揮するものが好適に使用できる。電極層72,73としては、同一又は異なるものが使用でき、その基材には電極触媒作用を有する触媒を担持させることが好ましい。触媒は、固体高分子電解質層71と接する内面側に少なくとも担持させるのが好ましい。
電極層72,73の電極基材としては、例えば、カーボンペーパー、カーボン繊維不織布などの繊維質カーボン、導電性高分子繊維の集合体などの電導性多孔質材が使用できる。また、触媒を固体高分子電解質層71に直接付着させたもの、又はカーボンブラックなどの導電性粒子に担持させて固体高分子電解質層71に付着させた電極層72,73を用いることも可能である。
電極層72,73は、電導性多孔質材にフッ素樹脂などの撥水性物質を添加して作製される。触媒を担持させる場合、白金微粒子などの触媒とフッ素樹脂などの撥水性物質とを混合し、これに溶媒を混合して、ペースト状又はインク状とした後に固体高分子電解質層71と対向すべき電極基材の片面に塗布して形成される。
電極層72,73や固体高分子電解質層71は、燃料電池に供給される還元ガスと酸化ガスに応じた設計がなされる。本実施形態では、酸化ガスとして空気を、還元ガスとして水素ガスを利用する構成としているが、還元ガスの代わりにメタノールなどの燃料液を使用することも可能である。
例えば、水素ガスと空気を使用する場合、空気が自然供給される側のカソード側の第2電極層73(本明細書では、アノード側を第1電極層72、カソード側を第2電極層73とする。)では、酸素と水素イオンの反応が生じて水が生成されるため、かかる電極反応に応じた設計をするのが好ましい。特に、低作動温度、高電流密度及び高ガス利用率の運転条件では、特に水が生成する空気極において水蒸気の凝縮による電極多孔体の閉塞(フラッディング)現象が起こりやすい。従って、長期にわたって燃料電池の安定な特性を得るためには、フラッディング現象が起こらないように電極の撥水性を確保することが有効である。
触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の金属か、又はその酸化物が使用できる。また、これらの触媒をカーボンブラックなどに予め担持させたものも使用できる。
電極層72,73の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、電極反応、強度、ハンドリング性などを考慮すると、1〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。電極層72,73と固体高分子電解質層71とは、予め接着、融着、又は塗布形成などを行って積層一体化させても構わないし、単に積層配置させても構わない。このような積層体は、膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly: MEA)として入手することができ、これを使用してもよい。
アノードとなる第1電極層72の表面にはアノード側の第1導電層74が配置され、カソードとなる第2電極層73の表面にはカソード側の第2導電層75が配置される。第1導電層74は、第1電極層72を部分的に露出させる露出部を有する。
第1導電層74の露出部は、第1電極層72が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは問わない。例えば、第1導電層74に規則的又はランダムに複数の円孔やスリットなどを設けたり、又は金属メッシュによって開孔を設けたり、第1導電層74を櫛形電極のような形状にして第1電極層72を露出させてもよい。開孔部分の面積が占める割合(開孔率)は、電極との接触面積とガスの供給面積のバランスなどの観点から、10〜50%が好ましく、15〜30%がより好ましい。
また、カソード側の第2導電層75は、第2電極層73を部分的に露出させる露出部を有するが、本実施形態では、第2導電層75には、空気中の酸素を供給(自然吸気)するための多数の開孔56が設けられている例を示す。開孔56は、第2電極層73が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは問わない。例えば、第2導電層75に規則的又はランダムに複数の円孔やスリットなどを設けたり、又は金属メッシュによって開孔を設けたり、第2導電層75を櫛形電極のような形状にして第2電極層73を露出させてもよい。開孔部分の面積が占める割合(開孔率)は、電極との接触面積とガスの供給面積のバランスなどの観点から、10〜50%が好ましく、15〜30%がより好ましい。
導電層74,75としては、電極反応に悪影響がないものであればどのような金属材料も使用でき、例えばステンレス板、ニッケル、銅、銅合金などが使用可能である。ただし、導電性、コスト、形状付与性、加圧のための強度などの観点から、銅、銅合金、ステンレス板などが好ましい。また、上記の金属に金メッキなどの金属メッキを施したものでも構わない。
なお、導電層74,75の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、導電性、コスト、重量、形状付与性、加圧のための強度などを考慮すると、10〜1000μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
導電層74,75は、少なくとも一部が樹脂成形体76から露出することにより、その部分を電極として電気を外部に取り出すことができる。このため、樹脂成形体76に対して、導電層74,75を一部露出させた端子部を設けても構わない。本実施形態では、直列に接続される各発電セルの両端に位置するセルの導電層74又は75が、電極となる突出部を備え、これが樹脂成形体76から外部に出ている構成とすることができる。この突出部は、インサート成形を行う際に、導電層74,75などを成形型内に保持するためにも利用できる。
導電層74,75の形成や開孔の形成は、プレス加工(プレス打ち抜き加工)を利用して行うことができる。また、導電層74,75の突出部には、樹脂の流動や密着性を良好にする目的で、インサート成形される部分に貫通孔を設けてもよい。
樹脂成形体76は、以上のような発電セル(2aなど)及び接続部をインサート成形により一体化して形成される。樹脂成形体76は、第1電極層72及び第2電極層73に気体又は液体を供給するための供給部を有することが好ましく、この供給部は、第1導電層74又は第2導電層75の露出部に対応する位置に設けられた開孔56であることが好ましい。本実施形態では、第1電極層72及び第2電極層73が開孔56から露出するように、第1導電層74及び第2導電層75を両側から加圧した状態で、樹脂成形体76によりインサート成形して一体化された構成を示している。
樹脂成形体76の材質としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、耐熱性樹脂などが挙げられるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、液晶ポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。なかでも、成形型内での樹脂の流動性、強度、溶融温度などの観点から、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル樹脂が好ましく、これらはアプリケーションによって選択することが可能である。
樹脂成形体76の全体の厚みとしては、樹脂による一体化の強度や、金属層を加圧する圧力、薄型化などの観点から、0.3〜4mmが好ましく0.5〜2mmがより好ましい。特に、金属層を覆う部分の樹脂成形体76の厚みとしては、金属層を加圧する圧力の観点から、0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1.0mmがより好ましい。
樹脂成形体76は、平板形状のものを予めインサート成形しておき、セル保持体52を構成する他の壁面と接合するか、又はセル保持体52を構成する他の壁面と共にインサート成形することで、セル保持体52と一体化することができる。
(別構成)
発電装置1の別構成につき、説明する。
〈1〉 図1Aでは、複数の発電セル(2aなど)が直列に接続されて発電ユニット2を構成するものとしたが、単独の発電セルによって構成されていても構わない。また、複数の発電セルが直列に接続されたセル群が更に並列に接続されて発電ユニット2を構成するものとしても構わない。
〈2〉 発電装置1は、燃料発生部62で発生した燃料ガス(水素ガスなど)から、不純物であるアンモニアを除去するために、燃料発生部62又は他の内部空間にアンモニア除去剤を備える構成としても構わない。具体的には、シート状のアンモニア除去剤を内部空間の壁面、又は燃料発生部62の壁面などに配置することができる。また、予備空間形成部59内において、燃料ガス供給口54から内部空間へと連通する流路空間を設けて、その内部にアンモニア除去剤を設けてもよい。このようなアンモニア除去剤は、シート状に形成されたものが市販されているが、粒状の吸着剤等を通気性の袋に収容したものを使用することも可能である。
アンモニア除去剤としては、例えば、水素中のアンモニアを吸着除去する吸着剤(吸着・分解や反応吸着などの化学吸着を含む)、アンモニアを溶解除去する吸収剤、アンモニアを反応により除去する反応剤、アンモニアを分解(加熱分解・触媒反応分解等)により除去する分解手段、などが挙げられるが、アンモニアを物理吸着又は化学吸着により除去する吸着剤を備えることが好ましい。
中でも吸着剤が、物理吸着又は化学吸着によりアンモニアを除去するものであることがより好ましく、固体酸、活性炭(固体酸に相当するものを除く)、ゼオライト(固体酸に相当するものを除く)、及びモレキュラーシーブからなる群から選ばれる1種以上であることが更に好ましい。中でも、アンモニアの吸着除去能力やより高温で吸着可能な観点から、固体酸を用いることが好ましい。
[動作説明]
前述したように、図1Aは燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着される前の状態を示している。利用時には、図1Bのように、燃料供給カートリッジ20が燃料電池本体10に装着される。この装着により、反応液排出口63は第1開口部55aに、反応液供給口64は第2開口部25bに、燃料ガス排出口65は燃料ガス供給口54にそれぞれ連結される。
そして、燃料供給カートリッジ20が、燃料電池本体10のカートリッジ収容部58の内部形状に従って変形することで、反応液収容部61の内部圧力が増加し、連通路55を経て燃料発生部62に反応液61aが供給される。
その後、供給された反応液61aが燃料ガス発生剤62aと反応し、発生した燃料ガスが燃料ガス供給口54を経て、セル保持体52の内部空間に導入され、発電セル2aなどに供給される。これにより、発電セル2aなどによって発電が行われる。
燃料供給カートリッジ20の装着により燃料電池システムが起動する際、初期に発生した燃料ガスによる圧力で、内部空間内のガス(主に空気中の窒素ガス)が逆止弁53を経て排出されて、内部空間の燃料ガス濃度が上昇する。これが発電により消費され、大気圧未満のときには、逆止弁53は閉じているため、内部空間とともに燃料発生部62の圧力が低下する。これにより、反応液収容部61に収容された反応液61aが減圧により吸引され、連通路55を経て燃料発生部62に供給されるようになる。
定常動作時には、負荷50において消費される電力に応じて燃料ガスが消費されるため、消費電力に応じて反応液61aが吸引供給される。この結果、消費電力に応じて燃料ガスの発生量が自動的に調整される。
以上のように、本実施形態の発電装置1によれば、接続される負荷50の消費電力に応じたガス量の燃料ガスを燃料供給カートリッジ20(ガス発生部20)から取り込んで発電が行われる。
[出力処理部40の構成及び動作]
次に、発電装置1が備える出力処理部40の構成について、図2を参照して説明する。図2は、出力処理部40の構成を概念的に示すブロック図である。なお、図2において、破線の矢印はガス発生部20から供給される燃料ガスの流れを表している。
出力処理部40は、変圧部3、電流比較部4、制御部5を備える。なお、電源部6は制御部5の電源電圧を供給する電源装置であり、図2では出力処理部40が備える構成としている。
変圧部3は、発電ユニット2の出力電圧を変圧して出力する構成であり、例えばDC-DCコンバータにて実現される。なお、変圧部3は変圧比を変更させることが可能な構成である。
電流比較部4は、変圧部3から負荷50に対して流れる負荷電流Izと所定の閾値電流を比較して、比較結果を変圧部3のFB端子に出力する構成である。電流比較部4は、第1電流電圧変換部11、第2電流電圧変換部12、及び電圧比較部13を備える。
第1電流電圧比較部11は、負荷電流Izを電圧に変換し、必要に応じて増幅処理を行なって電圧比較部13の一方の入力端子に出力する。第2電流電圧比較部12は、制御部5からの制御によって閾値電流の値が調整されると共に、調整された前記閾値電流を電圧に変換して電圧比較部13の他方の入力端子に出力する。電圧比較部13は、第1電流電圧変換部11の出力電圧と第2電流電圧変換部12の出力電圧を比較して比較結果を変圧部3のFB端子に出力する。
変圧部3は、電圧比較部13からの出力結果に基づいて、変圧比を調整する。より具体的には、第1電流電圧変換部11の出力電圧と第2電流電圧変換部12の出力電圧が等しくなるように変圧比を調整して、発電ユニット2の出力電圧を変圧する動作を行う。
電源部6は、発電ユニット2の出力電圧を、制御部5の電源電圧に適した電圧に変圧して制御部5に出力する構成であり、例えば固定電圧出力型のDC-DCコンバータにて実現される。
制御部5は、後述する制御機能を実現する制御プロセッサで構成され、より詳細には、マイコン、CPUなどで実現される。
制御部5は、各発電セル(2a、2b、2c、2d)の現時点の出力電位を認識する機能を有しており、これによって発電ユニット2全体の出力電圧(以下、「電圧V2」と呼ぶ。)を認識する機能を有している。本実施形態では、必ずしも各発電セルの出力電位に関する情報が制御部5によって認識される必要はなく、少なくとも電圧V2が認識される態様であればよい。
更に、制御部5は、負荷電流Izを認識する機能を有している。図2では、第1電流電圧変換部11の出力電圧が制御部5に入力されることで、制御部5が負荷電流Izを認識する構成としているが、この態様は一例であり、他の方法で認識するものとしても構わない。
以下、制御部5が行う制御内容につき、図3のフローチャートを参照して説明する。
(ステップS1)
まず、制御部5は、閾値電流を所定の値に設定する。ここで、所定の値としては、例えば接続される負荷50が電流の供給を受け入れる最小値以上でその近傍の値とすることができる。一例として、負荷50がスマートフォン用の充電器である場合、360mA程度とすることができる。
(ステップS2)
制御部5は、発電ユニット2の出力電圧、すなわち、本実施形態では直列に接続された4セルの両端間電圧を認識する。
(ステップS3A、S3B)
制御部5は、ステップS2にて認識された発電ユニット2の出力電圧が、第1所定範囲内であるか、第1所定範囲よりも高いか、第1所定範囲よりも低いかを判定する。
ここで、第1所定範囲としては、例えば負荷50の定格電圧を含む近傍の電圧値とすることができる。一例として、負荷50がスマートフォン用の充電器である場合、第1所定範囲を2.3V〜2.6Vとすることができる。
(ステップS4)
電圧V2が第1所定範囲より高い場合(ステップS3AにてYes)、制御部5は、現時点の負荷電流Izが所定の許容最大値を超えていないかどうかを認定する。許容最大値に関する情報は、制御部5内に備えられているメモリに記録されているものとして構わない。
ここで、許容最大値としては、接続される負荷50が受け入れることのできる電流の最大値又はその近傍とするのが好ましい。例えば、負荷50がスマートフォン用の充電器である場合であって、出力処理部40と負荷50をUSBケーブルにて接続する構成の場合、USBケーブルが流すことのできる最大電流である500mAに、抵抗損などの損失を加味した510mA程度の値とすることができる。
(ステップS5)
負荷電流Izが許容最大値を超えている場合(ステップS4においてYes)、制御部5は、電流比較部4における閾値電流の値を前記の許容最大値に設定する。これにより、変圧部3は負荷電流Izが閾値電流と一致するように変圧比を自動的に設定し、電圧V2を変圧する。この後、自動的に負荷電流Izは許容最大値となる。
この状態では、電圧V2が第1所定範囲より高いため、発電ユニット2は十分な出力電圧を確保できている。よって、出力電圧が高い状態の下で、負荷50が許容できる最大の電流を供給することができる。つまり、高い出力電圧の下で高い電流を出力できているため、効率的な電力出力が実現できている状態である。
(ステップS6)
負荷電流Izが許容最大値に達していない場合(ステップS4においてNo)、制御部5は、電流比較部4における閾値電流の値を所定レベル上昇させる。これにより、変圧部3は負荷電流Izが新たに設定された閾値電流の値と一致するように変圧比を自動的に設定し、電圧V2を変圧する。この後、負荷電流Izは、新たに設定された閾値電流の値に上昇する。
この状態では、電圧V2が第1所定範囲より高いため、発電ユニット2は十分な出力電圧を確保できている。一方で、負荷電流Izが許容最大値を超えていない。つまり、発電ユニット2に負荷電流Izの値を更に上昇させる余力がある状態である。
なお、電圧V2が第1所定範囲より高い場合において、更に、その値に応じて、上昇させる電流レベルを異ならせるものとしても構わない。例えば、第1所定範囲を2.3V〜2.6Vとした場合において、電圧V2が2.6Vより大きく2.8V以下の場合には閾値電流を5mA上昇させ、2.8Vより大きい場合には閾値電流を15mA上昇させるといった制御を行うものとしても構わない。電圧V2が第1所定範囲よりも十分大きい値を示していることは、発電ユニット2にそれだけ出力電流を上昇させる余力が残されていることを示しているといえる。
(ステップS7)
電圧V2が第1所定範囲内である場合(ステップS3AにてNo、且つステップS3BにてYes)、制御部5は、閾値電流の値をそのまま維持する。電圧V2が第1所定範囲内であるということは、電圧V2が第1所定範囲より大きい場合と比べて、発電ユニット2に負荷電流Izを上昇させるだけの余力が少ないことを示している。もし、この状態の下でこれ以上負荷電流Izを上昇させる制御を行うと、発電ユニット2のI-V特性によって電圧V2が低下してしまうことが考えられる。燃料ガスの消費量を抑制する観点からは、電力を供給する際にはなるべく高い電圧を確保しながら電流を供給することが好ましいため、この第1所定範囲内にあるときは、現状の負荷電流を維持する制御を行う。
(ステップS8)
電圧V2が第1所定範囲より低い場合(ステップS3AにてNo、且つステップS3BにてNo)、制御部5は、閾値電流の値を所定レベル減少させる制御を行う。これにより、変圧部3は負荷電流Izが新たに設定された閾値電流の値と一致するように変圧比を自動的に設定し、電圧V2を変圧する。この後、負荷電流Izは、新たに設定された閾値電流の値に減少する。
電圧V2が第1所定範囲より低いということは、発電ユニット2を構成する発電セル(2a、2b、……)に何らかの問題が生じている可能性があることが示唆される。すなわち、もし発電セル2aなどが良好な状態であれば、第1所定範囲内又はそれより高い出力電圧V2によって現時点の負荷電流Izを実現できるはずであるが、何らかの原因によって電圧V2を低下しなければ現時点の負荷電流Izを出力させることができない状態であることが示唆される。
この場合、発電セル2aなどに燃料ガス以外のガスが流入するなどの状況が生じている可能性があり、このままこのような発電状態を継続していると、当該発電セルの劣化が進行する懸念がある。そこで、本ステップS8のように、制御部5が閾値電流の値を減少させて負荷電流Izを減少させる制御を自動的に行うことで、発電セルに無理な負担を強いることなく一定レベルの発電を継続させる状態にシフトさせることができる。
なお、電圧V2が第1所定範囲より低い場合においても、その値に応じて、減少させる電流レベルを異ならせるものとしても構わない。例えば、第1所定範囲を2.3V〜2.6Vとした場合において、電圧V2が2.1Vより大きく2.3V以下の場合には閾値電流を5mA減少させ、2.1V以下の場合には(2.1−V2)/4 〔mA〕の値だけ閾値電流を減少させるといった制御を行うものとしても構わない。
発電ユニット2から負荷50に対して電力が供給されている間、制御部5は上述したステップS2〜S8を繰り返し実行する。
なお、負荷50の状態を理由として、負荷電流Izを流せない場合には、制御部5が変圧部3のEN端子に出力を停止する旨の制御信号を入力して、変圧部3の出力を停止する制御を行うものとしても構わない。このような例としては、例えば負荷50がスマートフォン用の充電器である場合において、この充電器が満充電状態となっている状況が挙げられる。
[別実施形態]
上述の実施形態では、図1A及び図1Bを参照して、カートリッジ型の発電装置1を例示して説明した。しかし、本発明の出力処理部40は、図1A及び図1Bに図示された構造に限らず、一般的に、接続される負荷の消費電力に応じたガス量の燃料ガスをガス発生部から取り込んで発電を行う発電装置に適用することが可能である。
1 : 発電装置
2 : 発電ユニット
2a、2b、2c、2d : 発電セル
3 : 変圧部
4 : 電流比較部
5 : 制御部
6 : 電源部
10 : 燃料電池本体
11 : 第1電流電圧変換部
12 : 第2電流電圧変換部
13 : 電圧比較部
20 : 燃料供給カートリッジ(ガス発生部)
40 : 出力処理部
50 : 負荷
52 : セル保持体
53 : 逆止弁
54 : 燃料ガス供給口
55 : 連通路
55a : 第1開口部
55b : 第2開口部
55c : パイプ
56 : 開孔
58 : カートリッジ収容部
59 : 予備空間形成部
61 : 反応液収容部
61a : 反応液
62 : 燃料発生部
62a : 燃料ガス発生剤
63 : 反応液排出口
64 : 反応液供給口
65 : 燃料ガス排出口
66 : 加圧機構
67 : 封止材
68 : 障壁
71 : 固体高分子電解質層
72 : 第1電極層
73 : 第2電極層
74 : 第1導電層
75 : 第2導電層
76 : 樹脂成形体

Claims (3)

  1. 燃料ガスを発生させるガス発生部と、前記ガス発生部から供給される燃料ガスで発電を行なう発電セルを有し、接続される負荷の消費電力に応じたガス量の前記燃料ガスを前記ガス発生部から取り込んで発電を行う発電装置であって、
    一の前記発電セルで構成されるか、又は複数の前記発電セルが直列に接続されて構成された発電ユニットと、
    前記発電ユニットの出力電圧を変圧する変圧部と、
    前記変圧部から前記負荷に対して流れる負荷電流と所定の閾値電流を比較する電流比較部と、
    前記閾値電流の値を設定する機能を有する制御部を備え、
    前記変圧部は、前記負荷電流と前記閾値電流が等しくなるように前記発電ユニットの出力電圧を変圧する動作を行い、
    前記制御部は、
    前記発電ユニットの出力電圧が第1所定範囲内であれば、前記閾値電流の値を変更せず、
    前記発電ユニットの出力電圧が前記第1所定範囲より高ければ、許容最大値を超えない範囲内で前記閾値電流の値を所定レベル上昇させる制御を行うことを特徴とする発電装置。
  2. 前記制御部は、前記発電ユニットの出力電圧が前記第1所定範囲より低ければ、前記閾値電流の値を所定レベル減少させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
  3. 前記電流比較部は、
    前記負荷電流を電圧に変換する第1電流電圧変換部と、
    前記制御部からの制御によって前記閾値電流の値が調整されると共に、調整された前記閾値電流を電圧に変換する第2電流電圧変換部と、
    前記第1電流電圧変換部の出力電圧と前記第2電流電圧変換部の出力電圧を比較して比較結果を前記変圧部に出力する電圧比較部とを有し、
    前記変圧部は、前記第1電流電圧変換部の出力電圧と前記第2電流電圧変換部の出力電圧が等しくなるように前記発電ユニットの出力電圧を変圧する動作を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
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