JP2014080948A - バルブタイミング可変機構の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動部材での共振状態の発生を内燃機関の燃費悪化やドライバビリティ低下を招くことなく抑制でき、且つ、その共振状態の発生に起因する可動部材の振動増大を抑制する。
【解決手段】バルブタイミング可変機構16の可動部材19がばね17により付勢される位置でクランクシャフトに対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持される状況下では、可動部材19に伝達される吸気カムシャフト12のトルク変動の振動数と上記ばね17の振動数とが合致して共振状態となる可能性がある。こうした共振状態の発生に起因して可動部材19がその変位方向について振動すると、それを抑制するための往復制御が実施される。同往復制御では、オイルコントロールバルブ25のスプール30の位置調整に基づく進角側油圧室22内の油圧及び遅角側油圧室23内の油圧の調整により、可動部材19がその変位方向について緩やか且つ小さい幅で往復動する。
【選択図】図3

Description

本発明は、バルブタイミング可変機構の制御装置に関する。
自動車等の車両に搭載される内燃機関として、吸気バルブや排気バルブといった機関バルブのバルブタイミング(開閉タイミング)を可変とすべく、特許文献1に示すようにクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させるバルブタイミング可変機構を備えたものが知られている。こうしたバルブタイミング可変機構には、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させるべく変位する可動部材が設けられている。そして、同機構では、可動部材に隣接する進角側油圧室及び遅角側油圧室に対し油圧回路を通じてオイルの給排を行うことにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させる方向に上記可動部材が変位する。
進角側油圧室及び遅角側油圧室に対する上記オイルの給排は、油圧回路上に設けられたオイルコントロールバルブのスプールを変位させることによって実現される。
詳しくは、スプールをその変位範囲全体のうち基準側の端に向けて変位させると、遅角側油圧室へのオイルの供給が行われるとともに進角側油圧室からのオイルの排出が行われる。この場合、可動部材が遅角側油圧室を拡大(進角側油圧室を縮小)する方向に変位し、それによってクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が遅角側に変化する。一方、スプールをその変位範囲全体のうち基準側と反対側の端に向けて変位させると、進角側油圧室へのオイルの供給が行われるとともに遅角側油圧室からのオイルの排出が行われる。この場合、可動部材が進角側油圧室を拡大(遅角側油圧室を縮小)する方向に変位し、それによってクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が進角側に変化する。
また、オイルコントロールバルブにおいては、スプールの変位範囲全体のうちクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を保持することが可能な範囲(以下、不感帯という)も設定されている。従って、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を保持する際には、オイルコントロールバルブのスプールが上記不感帯内の位置に調整される。
特開2000−345869公報
ところで、バルブタイミング可変機構として、可動部材をその変位範囲の端以外の位置で固定するロック機構を備えたもの等には、可動部材を上記位置に向けて付勢するばねが設けられる。同ばねが設けられるバルブタイミング可変機構では、そのばねによって可動部材が付勢される状態となる位置で、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が保持される状況が生じる。こうした状況のもと、機関バルブの開閉駆動に起因するカムシャフトのトルク変動が可動部材に伝達されるとき、同トルク変動の振動数と上記ばねの振動数とが合致して共振状態になると、可動部材がその変位方向に振動する。更に、そうした可動部材の振動に伴って進角側油圧室及び遅角側油圧室の容積が変動すると、その変動時に外部から進角側油圧室や遅角側油圧室に空気が吸い込まれる。このように進角側油圧室や遅角側油圧室に外部から空気が吸い込まれることにより、上記可動部材の変位方向についての振動が増大してゆく。
なお、特許文献1には、可動部材に上記振動が発生したとき、同可動部材の変位範囲の基準側の端までの変位ともう一方の端までの変位とを交互に行い、それによって進角側油圧及び遅角側油圧室内から空気を含んだオイルを排出することが開示されている。しかし、こうした特許文献1の技術を用いたとしても、ばねによって可動部材が付勢される位置でクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が保持される状況のもと、可動部材に伝達されるカムシャフトのトルク変動の振動数と上記ばねの振動数とが合致して共振状態になることは抑制できない。このため、上記共振状態の発生に起因して可動部材がその変位方向に振動することから、その振動に起因して再び進角側油圧室や遅角側油圧室に外部から空気が吸い込まれ、それによって上記可動部材の変位方向についての振動の増大が繰り返されることは避けられない。
また、特許文献1のように、進角側油圧及び遅角側油圧室内から空気を含んだオイルを排出するために、可動部材の変位範囲の基準側の端までの変位ともう一方の端までの変位とを交互に行う際、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対位相が機関運転にとって最適な位相(目標位相)から大幅にずれる。その結果、内燃機関の燃費悪化やドライバビリティ低下を招くおそれがある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、可動部材での共振状態の発生を内燃機関の燃費悪化やドライバビリティ低下を招くことなく抑制でき、且つ、その共振状態の発生に起因する可動部材の振動増大を抑制することができるバルブタイミング可変機構の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するバルブタイミング可変機構の制御装置は、可動部材がばねにより付勢される位置でクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が保持される状況のもと、上記可動部材がその変位方向について振動するとき、制御手段により往復制御を実施する。ここで、可動部材がばねにより付勢される位置でクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が保持される状況のもとでは、可動部材に伝達されるカムシャフトのトルク変動の振動数と上記可動部材を付勢するばねの振動数とが合致して共振状態となることに起因して、上記可動部材がその変位方向について振動する。また、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を保持する際には、それを実現可能なスプールの変位範囲である不感帯内の位置に同スプールが調整された状態となる。この状態から上記往復制御が開始されると、同制御を通じて不感帯の上限に対応する第1位置へのスプールの調整と、同不感帯の下限に対応する第2位置へのスプールの調整とが交互に行われる。こうした往復制御でのスプールの位置調整に基づき進角側油圧室内の油圧及び遅角側油圧室内の油圧が調整されることにより、可動部材がその変位方向について緩やか且つ小さい幅で往復動する。なお、こうした小さい幅での可動部材の往復動では、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が適正状態(保持されているときの位相)から大きくずれることはない。そして、上記可動部材の緩やか且つ小さい幅での往復動により、可動部材に伝達されるカムシャフトのトルク変動の振動数と上記可動部材を付勢するばねの振動数との合致、及びそれに伴う上記共振状態の発生が、内燃機関の燃費悪化やドライバビリティ低下を招くことなく抑制される。更に、上記共振状態の発生に起因する可動部材の振動増大も抑制することができる。
上記バルブタイミング可変機構の制御装置において、制御手段は、不感帯の上限及び下限を学習する学習制御を実行するものであり、その学習制御による不感帯の上限及び下限の学習が完了しているときに上記往復制御を実施するものとすることが好ましい。この場合、学習制御を通じて不感帯の上限及び下限が学習されることにより、それら上限及び下限が適正な値になる。このため、上記学習制御による不感帯の上限及び下限の学習完了後には、それら上限及び下限に基づいて定められる第1位置及び第2位置も適正な値とすることができる。このことから、上記第1位置へのスプールの調整と上記第2位置へのスプールの調整とが交互に行われる往復制御での可動部材の緩やかな往復動が、より一層適切に行われる。
上記バルブタイミング可変機構の制御装置において、第1位置としては不感帯の上限と一致する位置を採用するとともに、第2位置としては不感帯の下限と一致する位置を採用することが考えられる。この場合、第1位置や第2位置にスプールが調整されたとき、進角側油圧室及び遅角側油圧室に対しオイルの給排が、より一層少しずつ行われるようになる。こうしたオイルの給排を通じた進角側油圧室内の油圧及び遅角側油圧室内の油圧の調整により、可動部材をその変位方向についてより一層緩やかに且つ小さい幅で往復動させることができる。
上記バルブタイミング可変機構の制御装置において、第1位置としては不感帯の上限に対し同不感帯から外れる方向に定められた間隔をおいた位置を採用するとともに、第2位置としては不感帯の下限に対し同不感帯から外れる方向に定められた間隔をおいた位置を採用することも考えられる。この場合、第1位置や第2位置にスプールが調整されたとき、進角側油圧室及び遅角側油圧室に対するオイルの給排が少しずつ且つ的確に行われるようになる。こうしたオイルの給排を通じた進角側油圧室内の油圧及び遅角側油圧室内の油圧の調整により、可動部材のその変位方向についての緩やか且つ小さい幅での往復動をより的確に行うことができる。
上記バルブタイミング可変機構の制御装置において、制御手段は、学習制御による不感帯の上限及び下限の学習が未完であるとき、往復制御によるスプールの調整を行う代わりに、次のようにスプールを変位させるものとすることが好ましい。すなわち、上記制御手段は、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の目標位相を予め定められた量だけずらし、そのずらした後の目標位相に向けて上記相対回転位相が変化するようにスプールを変位させる。この場合、学習制御による不感帯の上限及び下限の学習が未完であって、それら上限及び下限が適正でない可能性があるときには、それら上限及び下限に基づいて定められる第1位置及び第2位置を用いた往復制御を行うと、可動部材の往復動の幅が大きくなり過ぎるおそれがある。このように可動部材の往復動の幅が大きくなり過ぎると、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が適正状態から大きくずれ、それによって内燃機関の燃費悪化やドライバビリティ低下という問題を招く。しかし、学習制御による不感帯の上限及び下限の学習が未完であるときには往復制御が行われないため、こうした問題が生じることは抑制される。なお、上述したように往復制御が行われないとしても、その代わりに、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が上述したようにずらした後の目標位相に向けて調整される。これにより、不感帯の上限及び下限が適正でない可能性があることに起因して、スプールの変位による可動部材の変位を適切に行えず、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を上記目標位相に調整しきれない可能性はあるものの、可動部材での上記共振状態の発生を抑制することはできる。
上記バルブタイミング可変機構の制御装置において、往復制御は、第1位置及び第2位置のうちの一方へのスプールの調整後、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が目標位相に対し予め定められた量だけずれたとき、第1位置及び第2位置のうちの他方への前記スプールの調整を行い、それらスプールの調整を繰り返すことによって実現されるものとすることが好ましい。この場合、往復制御でのスプールの調整に基づく同スプールの変位により、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が共振状態の生じる位相で保持されることを的確に抑制できる。
バルブタイミング可変機構の制御装置が適用される内燃機関を示す略図。 バルブタイミング可変機構の動作に基づく吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を示すグラフ。 バルブタイミング可変機構の構造、及び同機構を油圧動作させる油圧回路を示す略図。 バルブタイミング可変機構の進角側油圧室及び遅角側油圧室に対しオイルの給排を行う際の同オイルの流量の変化、詳しくはオイルコントロールバルブのスプールの位置に応じた上記オイルの流量の変化を示すグラフ。 吸気バルブのバルブタイミングの制御手順を示すフローチャート。 共振抑制処理の実行手順を示すフローチャート。
以下、バルブタイミング可変機構の制御装置の一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示される内燃機関1は、自動車等の車両に搭載されている。この内燃機関1においては、燃焼室2に繋がる吸気通路3にスロットルバルブ13が開閉可能に設けられており、同吸気通路3を通じて燃焼室2に空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から同機関1の吸気ポート3aに向けて噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。一方、燃焼室2で燃焼した後の混合気は、排気として排気通路8に送り出される。
内燃機関1における燃焼室2と吸気通路3との間は、吸気バルブ11の開閉動作を通じて連通・遮断される。この吸気バルブ11は、クランクシャフト7からの回転伝達を受ける吸気カムシャフト12の回転に伴って開閉動作する。そして、吸気カムシャフト12の回転に伴い吸気バルブ11が開弁する際には、バルブスプリング11aの圧縮時の弾性力に基づき吸気カムシャフト12に対しその回転方向と逆方向のトルク(負トルク)が作用する。また、吸気カムシャフト12の回転に伴い吸気バルブ11が閉弁する際には、バルブスプリング11aの膨張時の弾性力に基づき吸気カムシャフト12に対しその回転方向と同方向のトルク(正トルク)が作用する。
一方、内燃機関1における燃焼室2と排気通路8との間は、排気バルブ14の開閉動作を通じて連通・遮断される。この排気バルブ14は、クランクシャフト7からの回転伝達を受ける排気カムシャフト15の回転に伴って開閉動作する。そして、排気カムシャフト15の回転に伴い排気バルブ14が開弁する際には、バルブスプリング14aの圧縮時の弾性力に基づき排気カムシャフト15に対しその回転方向と逆方向のトルク(負トルク)が作用する。また、排気カムシャフト15の回転に伴い排気バルブ14が閉弁する際には、バルブスプリング14aの膨張時の弾性力に基づき排気カムシャフト15に対しその回転方向と同方向のトルク(正トルク)が作用する。
内燃機関1には、吸気バルブ11の開閉タイミングを可変とすべく、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を変化させるバルブタイミング可変機構16が設けられている。このバルブタイミング可変機構16は、オイルコントロールバルブ25の駆動によるオイルの給排を通じて、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を変化させるよう油圧動作される。こうしたバルブタイミング可変機構16の動作により、吸気バルブ11のバルブタイミング(開閉タイミング)が可変とされる。詳しくは、図2に示すように、吸気バルブ11の開弁期間を一定に保持した状態で同バルブ11の開弁時期及び閉弁時期が共に進角又は遅角される。
次に、バルブタイミング可変機構16、及びその動作を行うための油圧回路について詳しく説明する。
図3に示すように、バルブタイミング可変機構16は、吸気カムシャフト12に固定された可動部材19と、吸気カムシャフト12の軸線上に上記可動部材19を囲むように設けられてクランクシャフト7(図1)の回転が伝達されるケース20とを備えている。このケース20の内周面には、吸気カムシャフト12の軸線に向かって突出する突部20aが周方向について所定の間隔をおいて複数形成されている。また、可動部材19の外周面には、吸気カムシャフト12の軸線から離れる方向に突出する複数のベーン19aがそれぞれ上記各突部20aの間に位置するように形成されている。これにより、ケース20内における各突部20aの間に位置する部分が、ベーン19aにより進角側油圧室22と遅角側油圧室23とに区画されている。言い換えれば、可動部材19とケース20との間に進角側油圧室22及び遅角側油圧室23が形成されている。
可動部材19は、吸気カムシャフト12の軸線を中心とする回転方向に変位することが可能となっている。そして、可動部材19がケース20に対し図3の右回転方向に相対回転すると、吸気カムシャフト12のクランクシャフト7に対する相対回転位相が進角側に変化して吸気バルブ11のバルブタイミングが進角側に変化する。また、可動部材19がケース20に対し図中左回転方向に相対回転すると、吸気カムシャフト12のクランクシャフト7に対する相対回転位相が遅角側に変化して吸気バルブ11のバルブタイミングが遅角側に変化する。従って、バルブタイミング可変機構16では、上述したように可動部材19がケース20に対し相対回転する方向に変位することにより、吸気カムシャフト12のクランクシャフト7に対する相対回転位相の進角側もしくは遅角側への変化が実現される。
また、バルブタイミング可変機構16には、吸気バルブ11のバルブタイミングを保持したり、その保持を解除したりするロック機構51が設けられている。ロック機構51は、可動部材19をその変位範囲の端以外の位置(例えば変位範囲全体の中間)でケース20に対し固定し、それによって可動部材19のケース20に対する相対回転を禁止する。これにより、吸気バルブ11のバルブタイミングが保持される。また、ロック機構51による可動部材19のケース20に対する固定が解除されると、それによって可動部材19のケース20に対する相対回転の禁止が解除される。バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室22内には、可動部材19を遅角側に付勢するためのばね17が設けられている。そして、可動部材19は、上記ばね17により、ロック機構51での同可動部材19とケース20との固定が行われる位置(可動部材19の変位範囲の端以外の位置)に向けて付勢される。
バルブタイミング可変機構16においては、可動部材19のベーン19aに隣接する進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対し、同機構16とオイルポンプ24とを繋ぐ油圧回路を構成する複数の油路を通じてオイルの給排が行われる。上記油圧回路における複数の油路の途中には、それら油路によるバルブタイミング可変機構16に対するオイルの給排態様を変更するための上記オイルコントロールバルブ25が設けられている。オイルコントロールバルブ25は、オイルポンプ24に対し供給油路41を介して接続されるとともに、そのオイルポンプ24により汲み上げられるオイルを貯留するためのオイルパン42に対し排出油路43を介して接続されている。また、オイルコントロールバルブ25は、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室22に対し進角側油路44を介して接続されるとともに、同機構16の遅角側油圧室23に対し遅角側油路45を介して接続されている。
オイルコントロールバルブ25には、供給油路41を接続するための供給ポート26、排出油路43を接続するための排出ポート27、進角側油路44を接続するための進角ポート28、及び、遅角側油路45を接続するための遅角ポート29が形成されている。また、オイルコントロールバルブ25には、上記各ポート26〜29同士の連通遮断状態を切り換えるべく変位するスプール30と、同スプール30に対しその変位方向一方側に向けて弾性力を作用させるばね31aと、上記スプール30に対しその変位方向のもう一方側に向けて電磁力を作用させる電磁ソレノイド31bとが設けられている。そして、オイルコントロールバルブ25では、ばね31aの弾性力及び電磁ソレノイド31bの電磁力に基づくスプール30の位置調節を通じて各ポート26〜29同士の連通遮断状態が切り換えられ、それによってバルブタイミング可変機構16の進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対するオイルの供給及び排出が行われる。
オイルコントロールバルブ25におけるスプール30の上記位置調節は、電磁ソレノイド31bの印可電圧をデューティ比指令値に応じて変更することによって行われる。上記デューティ比指令値は、例えば「0〜100%」という定められた範囲内で変更されるものであって、その範囲内で小さくなるほど電磁ソレノイド31bの電磁力が小さくなる一方、大きくなるほど電磁ソレノイド31bの電磁力が大きくなる。
このため、デューティ比指令値を小さくして電磁ソレノイド31bの電磁力を小さくすると、その電磁力よりもばね31aの付勢力が大きくなって同付勢力に基づきスプール30が一方側(図中左側)に変位し、供給ポート26と遅角ポート29とが連通するとともに、進角ポート28と排出ポート27とが連通するようになる。更に、デューティ比指令値を小さくしてスプール30を図中左側に変位させるほど、供給ポート26と遅角ポート29との間のオイルの流通面積が大きくなる一方、進角ポート28と排出ポート27との間のオイルの流通面積が大きくなる。一方、デューティ比指令値を大きくして電磁ソレノイド31bの電磁力を大きくすると、その電磁力がばね31aの付勢力よりも大きくなって同電磁力に基づきスプール30がもう一方側(図中右側)に変位し、供給ポート26と進角ポート28とが連通するとともに、遅角ポート29と排出ポート27とが連通するようになる。更に、デューティ比指令値を大きくしてスプール30を図中右側に変位させるほど、供給ポート26と進角ポート28との間のオイルの流通面積が大きくなる一方、遅角ポート29と排出ポート27との間のオイルの流通面積が大きくなる。
図4は、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対しオイルの給排を行う際の同オイルの流量の変化、詳しくはオイルコントロールバルブ25のスプール30の位置(デューティ比指令値に対応)に応じた上記オイルの流量の変化を示すグラフである。なお、同図において、実線L1は遅角側油圧室23に供給されるオイルの流量の変化を示しており、破線L2は進角側油圧室22から排出されるオイルの流量の変化を示している。また、実線L3は進角側油圧室22に供給されるオイルの流量の変化を示しており、破線L4は遅角側油圧室23から排出されるオイルの流量の変化を示している。
スプール30がその変位範囲全体のうち領域A1に位置しているときには、進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対するオイルの給排は行われず、その際の同オイルの流量は「0」となる。スプール30が上記領域A1よりも図中の左側の領域A2に位置しているときには、遅角側油圧室23に対するオイルの供給は行われるものの、進角側油圧室22からのオイルの排出が行われずに同オイルの流量が「0」となる。また、スプール30が上記領域A1よりも図中の右側の領域A3に位置しているときには、進角側油圧室22に対するオイルの供給は行われるものの、遅角側油圧室23からのオイルの排出が行われずに同オイルの流量が「0」となる。
デューティ比指令値が小さくなってスプール30の位置が領域A2よりも更に図4の左側の位置に変化したときには、同スプール30の位置が図中の左側の位置に変化するほど、実線L1で示すように遅角側油圧室23に供給されるオイルの流量が多くなるとともに、破線L2で示すように進角側油圧室22から排出されるオイルの流量が多くなる。その結果、進角側油圧室22内の油圧が上昇する一方で遅角側油圧室23内の油圧が低下し、それによって可動部材19がケース20に対し図3の左回転方向に相対回転する。一方、デューティ比指令値が大きくなってスプール30の位置が図4の領域A3よりも更に右側の位置に変化すると、同スプール30の位置が図中の右側の位置に変化するほど、実線L3で示すように進角側油圧室22に供給されるオイルの流量が多くなるとともに、破線L4で示すように遅角側油圧室23から排出されるオイルの流量が多くなる。その結果、進角側油圧室22内の油圧が上昇する一方で遅角側油圧室23内の油圧が低下し、それによって可動部材19がケース20に対し図3の右回転方向に相対回転する。
従って、図4に示すスプール30の変位範囲全体のうち領域A1〜A3は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を保持する際、それを実現可能なスプール30の変位範囲である不感帯となる。この不感帯の下限Rから上限Fまでの間、すなわち領域A1〜A3内にスプール30の位置を調整すると、進角側油圧室22と遅角側油圧室23との少なくとも一方でオイルの排出が行われない状態となる。詳しくは、領域A1内にスプール30の位置が調整されていれば、進角側油圧室22と遅角側油圧室23との両方からオイルの排出が行われない状態となる。なお、このときには進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対するオイルの供給も行われない。領域A2内にスプール30の位置が調整されていれば、進角側油圧室22からオイルの排出が行われない状態となり、且つ遅角側油圧室23に対するオイルの供給は可能な状態となる。また、領域A3内にスプール30の位置が調整されていれば、遅角側油圧室23からオイルの排出が行われない状態となり、且つ進角側油圧室22に対するオイルの供給は可能な状態となる。これらの状態のときには可動部材19がケース20に対し変位することが規制されるため、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相、すなわち吸気バルブ11のバルブタイミングが保持される。
スプール30の変位範囲全体内での同スプール30の位置は、デューティ比指令値に対応している。このため、上記不感帯の下限R及び上限Fにスプール30が位置するときのデューティ比指令値をそれぞれ、下限R及び上限Fに対応するパラメータとして記憶しておくことにより、それら記憶された二つのデューティ比指令値の間を不感帯として特定することが可能である。なお、不感帯の下限Rにスプール30が位置するときのデューティ比指令値を以下では下限デューティ比DRといい、不感帯の上限Fにスプール30が位置するときのデューティ比指令値を以下では上限デューティ比DFという。
次に、バルブタイミング可変機構16の制御装置について、図1を参照して詳しく説明する。
この制御装置は、内燃機関1の運転に関する各種制御を実行する電子制御装置21を備えている。同電子制御装置21には、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等が設けられている。
電子制御装置21の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・吸気通路3を通過する空気の量(吸入空気量)を検出するエアフローメータ32。
・吸気カムシャフト12の回転に基づき同シャフト12の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ33。
・クランクシャフト7の回転に対応する信号を出力するクランクポジションセンサ34。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ13の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ35。
・車両の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル36の踏み込み量(アクセル操作量)を検出するアクセルポジションセンサ37。
電子制御装置21の出力ポートには、燃料噴射弁4の駆動回路、点火プラグ5の駆動回路、スロットルバルブ13の駆動回路、及び、バルブタイミング可変機構16(オイルコントロールバルブ25)の駆動回路などの各種機器の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置21は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、機関回転速度や機関負荷(内燃機関1の1サイクル当たりに燃焼室2に吸入される空気の量)といった機関運転状態を把握する。なお、機関回転速度はクランクポジションセンサ34からの検出信号に基づき求められる。また、機関負荷は、アクセルポジションセンサ37、スロットルポジションセンサ35、及びエアフローメータ32等の検出信号に基づき求められる内燃機関1の吸入空気量と上記機関回転速度とから算出される。また、電子制御装置21は、クランクポジションセンサ34及びカムポジションセンサ33からの検出信号に基づき、吸気バルブ11の実際のバルブタイミングに対応するパラメータとして、吸気バルブ11のリフト量が最大となるタイミング(クランク角)を測定する。
電子制御装置21は、機関負荷や機関回転速度といった機関運転状態、及び、吸気バルブ11のバルブタイミングの実測値に基づき、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして内燃機関1における燃料噴射制御、点火時期制御、吸入空気量制御、及び吸気バルブ11のバルブタイミング制御等が電子制御装置21を通じて実施される。
吸気バルブ11のバルブタイミング制御は、例えば内燃機関1の燃費及び出力が最良となるように行われる。こうしたバルブタイミング制御は、機関運転状態等に基づいてデューティ比指令値を算出し、その算出されたデューティ比指令値に基づきオイルコントロールバルブ25の電磁ソレノイド31b(図3)に対する印可電圧のデューティ比を調整することによって実現される。上記デューティ比指令値は、例えば、次の式「デューティ比指令値D=フィードバック補正項P+保持デューティ学習値H …(1)」を用いて算出される。
上記式(1)のフィードバック補正項Pは、吸気バルブ11のバルブタイミングの実測値である実バルブタイミングVTを、機関運転状態に基づき設定された目標バルブタイミングVTtに制御するためのフィードバック制御に用いられる値である。このフィードバック補正項Pは、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに近づくよう、両者の乖離状態に基づき増減される。すなわち、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtよりも進角側である場合には、フィードバック補正項Pがゲインp分だけ減少されてデューティ比指令値Dが小さくされる。このようにデューティ比指令値Dを小さくすることで、実バルブタイミングVTが遅角されて目標バルブタイミングVTtに近づけられる。一方、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtよりも遅角側である場合には、フィードバック補正項Pがゲインp分だけ増加されてデューティ比指令値Dが大きくされる。このようにデューティ比指令値Dを大きくすることで、実バルブタイミングVTが進角されて目標バルブタイミングVTtに近づけられる。
上記式(1)の保持デューティ学習値Hは、吸気バルブ11の実バルブタイミングVTを一定に保持するために必要な理論上のデューティ比指令値Dとして学習される値であって、式(1)で求められるデューティ比指令値Dをフィードバック補正項Pの増減に併せて増減させる際の中心値となる。この保持デューティ学習値Hの学習は、実バルブタイミングVTの目標バルブタイミングVTtへのフィードバック制御中、それら実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの差が判定値未満となったとき、その時点でのデューティ比指令値Dを最新の保持デューティ学習値Hとすることによって実現される。こうして学習された保持デューティ学習値Hは、デューティ比指令値Dにおける図4の不感帯に対応する範囲内の値となる。
電子制御装置21は、不感帯の上限F及び下限R(正確には上限デューティ比DF及び下限デューティ比DR)を学習、すなわち同装置21の不揮発性のRAMに記憶するための学習制御を実行する。こうした学習制御は、内燃機関1の始動開始後に予め定められた学習条件が成立したときに実行され、内燃機関1の停止完了までの間において上限F及び下限Rの学習が完了するまでは上記学習条件の成立毎に実行される。
上記学習制御では、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相(実バルブタイミングVT)が一定に保持された状態のもと、実バルブタイミングVTを徐々に進角すべくデューティ比指令値Dが徐々に大きくされたとき、次のように上限デューティ比DFの学習が行われる。すなわち、上述したようにデューティ比指令値Dが徐々に大きくされることに基づき実バルブタイミングVTが進角し始めたとき、そのときのデューティ比指令値Dを最新の上限デューティ比DFとして電子制御装置21の不揮発性のRAMに記憶する。なお、不揮発性のRAMに最新の上限デューティ比DFが記憶される前、すなわち上限デューティ比DFの学習完了前には、不揮発性のRAMに同上限デューティ比DFの前回値が記憶されており、上記学習完了後には前回値が最新の上限デューティ比DFに置き換えられる。
また、上記学習制御では、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が一定に保持された状態のもと、吸気バルブ11のバルブタイミングを徐々に遅角すべくデューティ比指令値Dが徐々に小さくされたとき、次のように下限デューティ比DRの学習が行われる。すなわち、上述したようにデューティ比指令値Dが徐々に小さくされることに基づき吸気バルブ11のバルブタイミングが遅角し始めたとき、そのときのデューティ比指令値Dを最新の下限デューティ比DRとして電子制御装置21の不揮発性のRAMに記憶する。なお、不揮発性のRAMに最新の下限デューティ比DRが記憶される前、すなわち下限デューティ比DRの学習完了前には、不揮発性のRAMに同下限デューティ比DRの前回値が記憶されており、上記学習完了後には前回値が最新の下限デューティ比DRに置き換えられる。
ところで、バルブタイミング可変機構16には、図3に示すように、可動部材19をその変位範囲の端以外の位置に向けて付勢するばね17が設けられている。同バルブタイミング可変機構16では、上記ばね17によって可動部材19が付勢された状態となる位置にて、オイルコントロールバルブ25のスプール30が不感帯内の位置に調節され、それによってクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持されるという状況が生じる。
こうした状況のもと、吸気バルブ11の開閉駆動に起因して吸気カムシャフト12にトルク変動(正トルクと負トルクとが交互に生じること)が発生し、そのトルク変動が可動部材19に伝達されるとき、同トルク変動の振動数と上記ばね17の振動数とが合致して共振状態になると、可動部材19がその変位方向に振動する。更に、そうした可動部材19の振動に伴って進角側油圧室22及び遅角側油圧室23の容積が変動すると、その変動時に外部から進角側油圧室22や遅角側油圧室23に空気が吸い込まれる。このように進角側油圧室22や遅角側油圧室23に外部から空気が吸い込まれることにより、上記可動部材19の変位方向についての振動が増大してゆく。
このことに対処するため、本実施形態では、可動部材19がばね17によって付勢される位置でクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持される状況下で、可動部材19がその変位方向について振動するときには、電子制御装置21を通じて次のような往復制御が実施される。すなわち、同往復制御では、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を保持すべくスプール30が上記不感帯内の位置に調節されている状況のもと、その不感帯の上限Fに対応する第1位置P1へのスプール30の調整と、同不感帯の下限Rに対応する第2位置P2へのスプール30の調整とが交互に行われる。なお、上記第1位置P1としては、不感帯の上限Fに対し同不感帯から外れる方向(図4の右方向)に定められた間隔、例えばデューティ比指令値の1%変化分に対応する間隔をおいた位置を採用することが考えられる。また、上記第2位置P2としては、不感帯の下限Rに対し同不感帯から外れる方向(図4の左方向)に定められた間隔、例えばデューティ比指令値の1%変化分に対応する間隔をおいた位置を採用することが考えられる。
次に、バルブタイミング可変機構16の制御装置の動作について説明する。
同機構16の可動部材19がばね17により付勢される位置でクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持される状況下では、可動部材19に伝達される吸気カムシャフト12のトルク変動の振動数と上記可動部材19を付勢するばね17の振動数とが合致して共振状態となる可能性がある。そして、こうした共振状態の発生に起因して上記可動部材19がその変位方向について振動すると、上述した往復制御が実施される。すなわち、オイルコントロールバルブ25のスプール30が不感帯内の位置に調整された状態のもと、第1位置P1へのスプール30の調整と第2位置P2へのスプール30の調整とが交互に行われる。こうした往復制御でのスプール30の位置調整に基づき、第1位置P1や第2位置P2にスプール30が調整されたときには、進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対するオイルの給排が少しずつ且つ的確に行われる。
そして、進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対する上記オイルの給排に基づき、それら進角側油圧室22内の油圧及び遅角側油圧室23内の油圧が調整されることにより、可動部材19がその変位方向(吸気カムシャフト12の軸線を中心とする回転方向)について緩やか且つ小さい幅で往復動する。なお、こうした小さい幅での可動部材19の往復動では、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が適正状態(保持されているときの位相)から大きくずれることはない。そして、上記可動部材19の緩やか且つ小さい幅での往復動により、可動部材19に伝達される吸気カムシャフト12のトルク変動の振動数と上記可動部材19を付勢するばね17の振動数との合致、及びそれに伴う上記共振状態の発生が、内燃機関1の燃費悪化やドライバビリティ低下を招くことなく抑制される。更に、上記共振状態の発生に起因する可動部材19の振動増大も抑制することができる。
図5は、上記往復制御によって可動部材19での共振状態の発生を抑制するためのバルブタイミング制御ルーチンを示すフローチャートである。このバルブタイミング制御ルーチンは、電子制御装置21を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
電子制御装置21は、同ルーチンのステップ101(S101)の処理として、フラグXが「0」であるか否かを判断する。このフラグXは、上記往復制御を行うための共振抑制処理が実施中であるか否かを判断するためのものであって、上記共振抑制処理の停止中には「0」に設定される一方、上記共振抑制処理の実施中には「1」に設定される。そして、フラグXが「0(停止中)」であればS102に進む。
電子制御装置21は、S102の処理として、可動部材19がばね17により付勢される位置でクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持された状態か否かを判断する。ちなみに、可動部材19がばね17からの付勢力を受ける位置にあるか否かは、実バルブタイミングVTが上記付勢力の作用する領域にあるか否かに基づいて判断することが可能である。また、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持された状態であるか否かは、オイルコントロールバルブ25のスプール30が不感帯内に位置しているか否か、言い換えればデューティ比指令値Dが下限デューティ比DRと上限デューティ比DFとの間の値であるか否かに基づいて判断することが可能である。そして、S102で肯定判定であればS103に進む。
電子制御装置21は、S103の処理として、実バルブタイミングVTの変動の有無に基づき、可動部材19にその変位方向についての振動が生じているか否かを判断する。ここで、可動部材19に上記共振状態の発生に基づく同可動部材19の変位方向についての振動が生じているときには、S103で肯定判定がなされてS104に進む。電子制御装置21は、S104の処理として、上述したフラグXを「1(実施中)」に設定する。更に、電子制御装置21は、S105の処理として可動部材19での上記共振状態の発生を抑制するための上記往復制御を行うべく共振抑制処理を実行した後、このバルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。なお、S104の処理でフラグXが「1」に設定されると、次回のS101の処理で否定判定がなされるため、S102〜S104をスキップしてS105に進む。
一方、S102もしくはS103で否定判定がなされた場合にはS106に進む。電子制御装置21は、S106の処理として、通常どおりのバルブタイミング制御を実行する。すなわち、機関運転状態に基づき設定された目標バルブタイミングVTtに実バルブタイミングVTが制御されるよう、上記式(1)で求められるデューティ比指令値Dに基づきオイルコントロールバルブ25の電磁ソレノイド31bに対する印可電圧のデューティ比を調整する。これにより、吸気バルブ11の実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtに制御するためのフィードバック制御が行われる。こうした吸気バルブ11の通常通りのバルブタイミング制御が実行された後、電子制御装置21は、このバルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。
図6は、図5のバルブタイミング制御ルーチンにおけるS105に進む毎に、電子制御装置21を通じて実行される共振抑制ルーチンを示すフローチャートである。
電子制御装置21は、同ルーチンのS201の処理として、今回の内燃機関1の始動開始後に学習制御による上限デューティ比DF及び下限デューティ比DR(それぞれ不感帯の上限F及び下限Rに対応)の学習が完了しているか否かを判断する。ここで肯定判定であれば、電子制御装置21は、可動部材19での上記共振状態の発生に起因する同可動部材19の変位方向についての振動を抑制すべく、上述した往復制御に相当する一連の処理(S202〜S210)を実行する。
すなわち、電子制御装置21は、S202の処理として、フラグXFが「0」であるか否かを判断する。このフラグXFは、上記往復制御における第1位置P1へのオイルコントロールバルブ25のスプール30の調整中であるか否かを判断するためのものであって、第1位置P1へのスプール30の調整中でないときには「0」に設定される一方、第1位置P1へのスプール30の調整中には「1」に設定される。また、電子制御装置21は、S203の処理としてフラグXRが「0」であるか否かを判断する。このフラグXRは、上記往復制御における第2位置P2へのスプール30の調整中であるか否かを判断するためのものであって、第2位置P2へのスプール30の調整中でないときには「0」に設定される一方、第2位置P2へのスプール30の調整中には「1」に設定される。
上記往復制御の開始直後にS202に進んだときには、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持すべく、スプール30が不感帯内の位置に調整された状態となっていることから、第1位置P1や第2位置P2へのスプール30の調整中ではない。このため、フラグXF及びフラグXRが共に「0(調整中でない)」となっており、それに基づきS202及びS203で共に肯定判定がなされてS204に進む。電子制御装置21は、S204の処理として、上限デューティ比DFに対し所定量(この例では1%)を加算した値をデューティ比指令値Dとして設定する。こうして設定されたデューティ比指令値Dに基づきオイルコントロールバルブ25の印可電圧のデューティ比を調整することにより、同オイルコントロールバルブ25のスプール30が第1位置P1に調整される。このように第1位置P1へのスプール30の調整が行われると、電子制御装置21は、S205の処理としてフラグXFを「1(調整中)」に設定する。なお、このようにフラグXFが「1」に設定されると、次回のS202の処理で否定判定がなされるため、S203をスキップしてS204に進むようになる。
上述した第1位置P1へのスプール30の調整が行われると、吸気バルブ11の実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに対し進角側に変化する。言い換えれば、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が、上記目標バルブタイミングVTtに対応した相対回転位相(目標位相)に対し進角側に変化する。そして、電子制御装置21は、S206の処理として、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに対し予め定められた量(この例では1°CA分)だけ進角側にずれたか否かを判断する。ここで肯定判定であればS207に進む。電子制御装置21は、S207の処理として、フラグXFを「0(調整中でない)」に設定するとともにフラグXRを「1(調整中)」に設定する。
このようにフラグXFが「0」に設定され、且つ、フラグXRが「1」に設定されることにより、S203で否定判定がなされてS208に進む。電子制御装置21は、S208の処理として、下限デューティ比DRに対し所定量(この例では1%)を減算した値をデューティ比指令値Dとして設定する。こうして設定されたデューティ比指令値Dに基づきオイルコントロールバルブ25の印可電圧のデューティ比を調整することにより、同オイルコントロールバルブ25のスプール30が第2位置P2に調整される。
上述したように第2位置P2へのスプール30の調整が行われると、吸気バルブ11の実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに対し遅角側に変化する。言い換えれば、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が、上記目標バルブタイミングVTtに対応した相対回転位相(目標位相)に対し遅角側に変化する。そして、電子制御装置21は、S209の処理として、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに対し予め定められた量(この例では1°CA分)だけ遅角側にずれたか否かを判断する。ここで肯定判定であればS210に進む。電子制御装置21は、S210の処理として、フラグXFを「1(調整中)」に設定するとともにフラグXRを「0(調整中でない)」に設定する。
以上のS202〜S210の処理により、可動部材19での上記共振状態の発生に起因する同可動部材19の変位方向についての振動を抑制するための上記往復制御が実現される。すなわち、第1位置P1へのスプール30の調整後、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相(実バルブタイミングVT)が目標位相(目標バルブタイミングVTt)に対し予め定められた量(1°CA分)だけ進角側にずれたとき、第2位置P2へのスプール30の調整が行われる。更に、第2位置P2へのスプール30の調整後、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相(実バルブタイミングVT)が目標位相(目標バルブタイミングVTt)に対し予め定められた量(1°CA分)だけ遅角側にずれたとき、第1位置P1へのスプール30の調整が行われる。上記往復制御では、こうして第1位置P1へのスプール30の調整と第2位置P2へのスプール30の調整とが交互に、且つ繰り返し行われる。
一方、S201の処理で、今回の内燃機関1の始動開始後に学習制御による上限デューティ比DF及び下限デューティ比DR(それぞれ不感帯の上限F及び下限Rに対応)の学習が未完である旨判断されたときにはS211に進む。ここで、上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRの学習が未完であるときには、それら上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRが適正でない可能性がある。こうしたとき、仮に上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRに基づいて定められる第1位置P1及び第2位置P2を用いた上記往復制御(S202〜S210)を行ったとすると、同制御による可動部材19の往復動の幅が大きくなり過ぎるおそれがある。このように可動部材19の往復動の幅が大きくなり過ぎると、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相(実バルブタイミングVT)が適正状態から大きくずれ、それによって内燃機関1の燃費悪化やドライバビリティ低下という問題を招く。
このため、上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRの学習が未完であるときには、電子制御装置21は、上記往復制御(S202〜S210)ではなく、上記S211でVTtずらし処理を実行する。VTtずらし処理は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相(実バルブタイミングVT)の目標位相(目標バルブタイミングVTt)を予め定められた量(例えば1°CA)だけ進角側もしくは遅角側にずらし、そのずらした後の目標バルブタイミングVTtに向けて実バルブタイミングVTを制御するものである。詳しくは、上記VTtずらし処理を通じて目標バルブタイミングVTtが機関運転状態に基づいて定められた値から1°CA分ずらされると、そのずらした後の目標バルブタイミングVTtに向けて実バルブタイミングVTが制御されるよう、上記式(1)を用いてデューティ比指令値Dが算出される。このデューティ比指令値Dに基づきオイルコントロールバルブ25の電磁ソレノイド31bに対する印可電圧のデューティ比が調整されることにより、吸気バルブ11の実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtに調整するためのフィードバック制御が行われる。
上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRの学習が未完であるとき、往復制御を行わずにVTtずらし処理を実施することにより、同往復制御の実行に伴う上述した問題が生じることを抑制できる。なお、上記往復制御が行われないとしても、その代わりにVTtずらし処理を通じて実バルブタイミングVTが上記ずらした後の目標バルブタイミングVTtに向けて調整される。これにより、上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRが適正でない可能性があることに起因して、スプール30の変位による可動部材19の変位を適切に行えず、実バルブタイミングVTを上記目標バルブタイミングVTtに調整しきれない可能性はあるものの、可動部材19での上記共振状態の発生を抑制することはできる。なお、実バルブタイミングVTを上記目標バルブタイミングVTtに調整しきれないという状況の発生を抑制するため、このときには実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtに調整するためのフィードバック制御のゲインpを通常よりも大きくすることが好ましい。
上述した往復制御(S202〜S210)、もしくはVTtずらし処理(S211)が行われた後、電子制御装置21は、S212の処理として、機関運転状態に基づいて設定される目標バルブタイミングVTt(VTtずらし処理の実行時には、ずらす前の目標バルブタイミングVTt)が、機関運転状態の変化に応じて変化したか否かを判断する。ここで、上記往復制御もしくはVTtずらし処理を通じて可動部材19での共振状態の発生が抑制されているとき、機関運転状態の変化に応じて目標バルブタイミングVTtが変化すると、実バルブタイミングVTが上記共振状態が生じるバルブタイミングに保持されるおそれがなくなる。従って、S212で肯定判定がなされたときには、上記往復制御もしくは上記VTtずらし処理を行うための共振抑制処理を停止すべくS213に進む。電子制御装置21は、同S213の処理としてフラグXを「0(停止中)」に設定するとともに、フラグXF及びフラグXRも「0(調整中でない)」に設定する。フラグXが「0」に設定されると、図5のバルブタイミング制御ルーチンのS101の処理で肯定判定がなされてS102に進む。更に、S102もしくはS103で否定判定がなされてS106に進むため、このS106で通常どおりのバルブタイミング制御が実施されるようになる。このように通常どおりのバルブタイミング制御が実施されることにより、上記往復制御もしくは上記VTtずらし処理を行うための共振抑制処理が停止される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)可動部材19がばね17により付勢される位置でクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が保持される状況下では、可動部材19に伝達される吸気カムシャフト12のトルク変動の振動数と上記可動部材19を付勢するばね17の振動数とが合致して共振状態となる可能性がある。こうした共振状態の発生に起因して可動部材19がその変位方向について振動すると、それを抑制するための往復制御が実施される。同往復制御では、オイルコントロールバルブ25のスプール30の位置調整に基づき進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対するオイルの給排が少しずつ行われ、それら進角側油圧室22内の油圧及び遅角側油圧室23内の油圧が調整されることにより、可動部材19がその変位方向について緩やか且つ小さい幅で往復動する。なお、こうした小さい幅での可動部材19の往復動では、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が適正状態(保持されているときの位相)から大きくずれることはない。そして、上記可動部材19の緩やか且つ小さい幅での往復動により、可動部材19に伝達される吸気カムシャフト12のトルク変動の振動数と上記可動部材19を付勢するばね17の振動数との合致、及びそれに伴う上記共振状態の発生が、内燃機関1の燃費悪化やドライバビリティ低下を招くことなく抑制される。更に、上記共振状態の発生に起因する可動部材19の振動増大も抑制することができる。
(2)上記往復制御は、不感帯の上限F及び下限R(正確には上限デューティ比DF及び下限デューティ比DR)を学習する学習制御での同学習が完了しているとき、すなわち同学習により上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRが適正になった状態で実施される。従って、往復制御において、上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRに基づいて定められる第1位置P1及び第2位置P2が適正な値となり、第1位置P1へのスプール30の調整と第2位置P2へのスプール30の調整とが交互に行われる上記往復制御により、可動部材19の緩やかな往復動をより一層適切に行うことができる。
(3)第1位置P1として不感帯の上限Fに対し同不感帯から外れる方向に定められた間隔をおいた位置が採用されるとともに、第2位置P2として不感帯の下限Rに対し同不感帯から外れる方向に定められた間隔をおいた位置が採用されている。この場合、第1位置P1や第2位置P2にスプール30が調整されたとき、進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対するオイルの給排が少しずつ且つ的確に行われる。こうしたオイルの給排を通じた進角側油圧室22内の油圧及び遅角側油圧室23内の油圧の調整により、可動部材19のその変位方向についての緩やか且つ小さい幅での往復動をより的確に行うことができる。
(4)学習制御による不感帯の上限F及び下限R(正確には上限デューティ比DF及び下限デューティ比DR)の学習が未完である状況下では、上記往復制御ではなくVTtずらし処理が実行される。このVTtずらし処理により、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相(実バルブタイミングVT)の目標位相(目標バルブタイミングVTt)を予め定められた量(例えば1°CA)だけ進角側もしくは遅角側にずらされる。そして、上述したようにずらした後の目標バルブタイミングVTtに向けて実バルブタイミングVTが制御される。このため、上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRの学習が未完である状況下で往復制御を行うことに伴う問題、すなわち往復制御での可動部材19の往復動の幅が大きくなり過ぎて実バルブタイミングVTが適正状態から大きくずれ、ひいては内燃機関1の燃費悪化やドライバビリティ低下に繋がるという問題の発生を抑制できる。なお、上記往復制御が行われないとしても、その代わりにVTtずらし処理を通じて実バルブタイミングVTが上記ずらした後の目標バルブタイミングVTtに向けて調整される。これにより、上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRが適正でない可能性があることに起因して、スプール30の変位による可動部材19の変位を適切に行えず、実バルブタイミングVTを上記目標バルブタイミングVTtに調整しきれない可能性はあるものの、可動部材19での上記共振状態の発生を抑制することはできる。
(5)往復制御は、第1位置P1及び第2位置P2のうちの一方へのスプール30の調整後、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに対し予め定められた量だけずれたとき、第1位置P1及び第2位置P2のうちの他方へのスプール30の調整を行い、それらスプール30の調整を繰り返すことによって実現される。より詳しくは、第1位置P1へのスプール30の調整後、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTt)に対し予め定められた量(1°CA分)だけ進角側にずれたとき、第2位置P2へのスプール30の調整が行われる。更に、第2位置P2へのスプール30の調整後、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに対し予め定められた量(1°CA分)だけ遅角側にずれたとき、第1位置P1へのスプール30の調整が行われる。上記往復制御では、こうして第1位置P1へのスプール30の調整と第2位置P2へのスプール30の調整とが交互に且つ繰り返し行われ、それによって実バルブタイミングVTが共振状態の生じる状態で保持されることを的確に抑制できる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・往復制御については、内燃機関1の始動開始後における学習制御での上限デューティ比DF及び下限デューティ比DRの学習が完了しているときに限って実施するようにしたが、上記学習が完了しているか未完であるかに関係なく実施するようにしてもよい。この場合、VTtずらし処理を省略することが可能である。
・VTtずらし処理において、実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtに調整するためのフィードバック制御を実行する際、必ずしも同制御のゲインを通常より大きくする必要はない。
・往復制御で用いられる第1位置P1は、不感帯の上限Fに対し同不感帯から外れる方向にデューティ比指令値の1%変化分の間隔を置いた位置としたが、その間隔を適宜変更してもよい。また、往復制御で用いられる第2位置P2は、不感帯の下限Rに対し同不感帯から外れる方向にデューティ比指令値の1%変化分の間隔を置いた位置としたが、その間隔を適宜変更してもよい。
・上記第1位置P1は不感帯の上限Fと一致しており、且つ、上記第2位置P2は不感帯の下限Rと一致していてもよい。この場合、第1位置P1や第2位置P2にスプール30が調整されたとき、進角側油圧室22及び遅角側油圧室23に対しオイルの給排が、上記実施形態と比較してより一層少しずつ行われる。こうしたオイルの給排を通じた進角側油圧室22内の油圧及び遅角側油圧室23内の油圧の調整により、可動部材19をその変位方向についてより一層緩やかに且つ小さい幅で往復動させることができる。
・往復制御において、第1位置P1へのスプール30の調整と第2位置P2へのスプール30の調整との切り換えは、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに対し予め定められた量(1°CA分)ずれたことに基づいて行うようにしたが、その量を適宜変更してもよい。
1…内燃機関、2…燃焼室、3…吸気通路、3a…吸気ポート、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、11…吸気バルブ、11a…バルブスプリング、12…吸気カムシャフト、13…スロットルバルブ、14…排気バルブ、14a…バルブスプリング、15…排気カムシャフト、16…バルブタイミング可変機構、17…ばね、19…可動部材、19a…ベーン、20…ケース、20a…突部、21…電子制御装置(制御手段)、22…進角側油圧室、23…遅角側油圧室、24…オイルポンプ、25…オイルコントロールバルブ、26…供給ポート、27…排出ポート、28…進角ポート、29…遅角ポート、30…スプール、31a…ばね、31b…電磁ソレノイド、32…エアフローメータ、33…カムポジションセンサ、34…クランクポジションセンサ、35…スロットルポジションセンサ、36…アクセルペダル、37…アクセルポジションセンサ、41…供給油路、42…オイルパン、43…排出油路、44…進角側油路、45…遅角側油路、51…ロック機構。

Claims (6)

  1. クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させるべく変位する可動部材と、同可動部材をその変位範囲の端以外の位置に向け付勢するばねと、前記可動部材を変位させるために同可動部材に隣接する進角側油圧室及び遅角側油圧室に対するオイルの給排を行うべくスプールを変位させるオイルコントロールバルブとを備え、前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの相対回転位相を保持する際、それを実現可能な前記スプールの変位範囲である不感帯内の位置に同スプールを調整するバルブタイミング可変機構の制御装置において、
    前記可動部材が前記ばねにより付勢される位置で前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの相対回転位相が保持される状況のもと、前記可動部材がその変位方向について振動するとき、前記不感帯の上限に対応する第1位置への前記スプールの調整と同不感帯の下限に対応する第2位置への前記スプールの調整とを交互に行う往復制御を実施する制御手段を備える
    ことを特徴とするバルブタイミング可変機構の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記不感帯の上限及び下限を学習する学習制御を実行するものであり、その学習制御による前記不感帯の上限及び下限の学習が完了しているときに前記往復制御を実施する
    請求項1記載のバルブタイミング可変機構の制御装置。
  3. 前記第1位置は前記不感帯の上限と一致しており、前記第2位置は前記不感帯の下限と一致している
    請求項2記載のバルブタイミング可変機構の制御装置。
  4. 前記第1位置は前記不感帯の上限に対し同不感帯から外れる方向に定められた間隔をおいた位置であり、前記第2位置は前記不感帯の下限に対し同不感帯から外れる方向に定められた間隔をおいた位置である
    請求項2記載のバルブタイミング可変機構の制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記学習制御による前記不感帯の上限及び下限の学習が未完であるときには、前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの相対回転位相の目標位相を予め定められた量だけずらし、そのずらした後の目標位相に向けて前記相対回転位相が変化するように前記スプールを変位させる
    請求項2〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング可変機構の制御装置。
  6. 前記往復制御は、前記第1位置及び前記第2位置のうちの一方への前記スプールの調整後、前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの相対回転位相が目標位相に対し予め定められた量だけずれたとき、前記第1位置及び前記第2位置のうちの他方への前記スプールの調整を行い、それらスプールの調整を繰り返すことによって実現される
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブタイミング可変機構の制御装置。
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