JP2014080314A - 黒鉛構造体、黒鉛ヒータ、黒鉛構造体の製造方法および黒鉛ヒータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の座面と雄ネジとを有する第1の黒鉛部材10と、第2の座面と雌ネジとを有する第2の黒鉛部材20と、第1の座面と第2の座面との間に形成され、前記第1の黒鉛部材と前記第2の黒鉛部材とを接続する炭素系接着層2と、からなり、前記炭素系接着層には、セラミック粒子1を含有している。炭素系接着層の前駆体である炭素系接着剤2にセラミック粒子1を含有させているので、炭素系接着剤の粘度が低い場合には、滑り止めとして作用し、炭素系接着剤の粘度が高い場合には、第1の黒鉛部材の座面と、第2の黒鉛部材の座面との一定のギャップを確保することにより、過度な締め付け力(剪断力)をかけることなくネジを強く締め付けることができる。
【選択図】図8
Description
また、部材間には、膨張黒鉛シートが挟まれている。膨張黒鉛シートは、面方向に結晶の六角網面が広がった特徴を有しているので、厚み方向には電気抵抗が高い材料である。このため、部材間に空隙がある場合より電気抵抗を下げる効果はあるものの膨張黒鉛シートの厚み分の抵抗によって発熱しやすくなるといった問題がある。
さらに、ボルトによってストレート孔を有する部材を締め込むように接合されているため、ボルトと、ストレート孔壁面との間には空隙を有し、電気抵抗を高める原因の1つとなっている。
(1)第1の座面と雄ネジとを有する第1の黒鉛部材と、
第2の座面と雌ネジとを有し、第1の黒鉛部材と螺号し接続される第2の黒鉛部材と、
第1の座面と第2の座面との間に形成され、前記第1の黒鉛部材と前記第2の黒鉛部材とを接続する炭素系接着層と、
からなり、
前記炭素系接着層には、セラミック粒子を含有する、
ことを特徴とする。
さらに以下の態様が望ましい。
(2)前記雄ネジ及び雌ネジは、平行ネジであること。
(3)前記セラミック粒子は、炭素系粒子であること。
(4)前記セラミック粒子は、50%体積累積径が黒鉛部材の50%累積気孔径より大きいこと。
(5)前記記載のセラミック粒子は、50%体積累積径が、1μm以上であること。
(6)前記記載のセラミック粒子は、50%体積累積径が、100μm以下であること。
(7)前記記載の黒鉛構造体は黒鉛ヒータであること。
(8)第1の座面と雄ネジとを有する第1の黒鉛部材と、第2の座面と雌ネジとを有する第2の黒鉛部材とを螺合する黒鉛構造体の製造方法において、
第1の座面または第2の座面にセラミック粒子を含有する炭素系接着剤を塗布した後、螺合すること
を含む。
さらに以下の態様が望ましい。
(9)前記黒鉛構造体の製造方法は、第1の黒鉛部材と第2の黒鉛部材とを螺合したのち、炭素系接着剤を硬化し、炭素化させる工程を含むこと。
(10)前記雄ネジ及び雌ネジは、平行ネジであること。
(11)前記セラミック粒子は、炭素系粒子であること。
(12)前記セラミック粒子は、50%体積累積径が黒鉛部材の50%累積気孔径より大きいこと。
(13)前記セラミック粒子は、50%体積累積径が、1μm以上であること。
(14)前記セラミック粒子は、50%体積累積径が、100μm以下であること。
(15)前記記載の黒鉛構造体は黒鉛ヒータであること。
第1の黒鉛部材の座面と、第2の黒鉛部材の座面を、炭素系接着層を介して接合しているので、高い強度と、低い接合抵抗を得ることができる。
また、黒鉛構造体の製造段階において、第1の黒鉛部材の座面と、第2の黒鉛部材の座面とを接合する炭素系接着剤(炭素系接着層の前駆体)にセラミック粒子を含有させて接着している。炭素系接着剤は温度、濃度などにより粘度が大きく変動する。ネジを締め付ける際、炭素系接着剤の粘度が小さくなると摩擦力が小さくなり潤滑剤として作用し、粘度が大きくなるとネジで炭素系接着剤を薄く引き伸ばすために大きな剪断力が必要となる特徴がある。ネジを締め付ける際の炭素系接着剤が潤滑剤として作用すると、ネジ部分にかかる力が過度に大きくなりネジを折損しやすく、内部応力となって残留しやすい。
第1の座面11と雄ネジ12とを有する第1の黒鉛部材10と、
第2の座面21と雌ネジ22とを有し、第1の黒鉛部材と螺号し接続される第2の黒鉛部材20と、
第1の座面と第2の座面との間に形成され、前記第1の黒鉛部材と前記第2の黒鉛部材とを接続する炭素系接着層2と、
からなり、
前記炭素系接着層には、セラミック粒子1を含有すること、
を特徴とする。
以下に本発明を実施形態1〜5を用いて説明するが、本発明は、これらの実施形態に限定されない。
本発明の実施形態2は、第1の黒鉛部材及び第2の黒鉛部材は共に円柱状であり、第1の黒鉛部材は第2の黒鉛部材より細い黒鉛構造体である。
本発明の実施形態3は、第1の黒鉛部材及び第2の黒鉛部材は共に円柱状であり、第1の黒鉛部材は第2の黒鉛部材より太い黒鉛構造体である。
本発明の実施形態4は、第1の黒鉛部材が円筒状であり第2の黒鉛部材は平板状である黒鉛構造体である。
本発明の実施形態5は第1の黒鉛部材及び第2の黒鉛部材は共に円筒状であり、第1の黒鉛部材と第2の黒鉛部材とが同じ外径、同じ内径の黒鉛構造体である。
ワッシャは、どのような面でも良いが、第2の黒鉛部材との密着性を確保するために、容易に精度の高い加工面の得られる平面であることが好ましい。
図8は、本発明の実施形態1の黒鉛構造体の説明図であり、図1の拡大図である。図9は、図8の黒鉛構造体の接合前の説明図である。
前記第1の黒鉛部材と前記第2の黒鉛部材とは第1の座面11と第2の座面21との間に形成された炭素系接着層2によって接続している。炭素系接着層としては、炭素系のものであれば特に限定されず、炭素系接着剤を硬化・焼成することによって得ることができる。炭素系接着剤としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、コプナ樹脂などを利用することができる。これらの樹脂は、炭化収率の高い有機物であり、硬化・焼成することにより、炭素系接着層2を得ることができる。
本発明の構造体に使用する炭素系接着剤は、炭化収率が高いとともに、分子量が大きいので高粘度の液体である。このような液体は、変形速度に比例した応力(剪断応力)を発生させるため、炭素系接着剤を挟んでネジ込む際に、炭素系接着剤に剪断力を作用させながら締め付けられる。炭素系接着剤の粘度が高いと、大きな剪断力が必要であり、粘度が低いと潤滑剤として作用し大きな剪断力は必要でない。必要とされる剪断力の大きさは、炭素系接着剤が薄くなるほど大きくなる特徴があり、炭素系接着剤の粘度、接着層の温度、力の加え方(速度)など様々な要因が影響し剪断応力の大きさを決定する。
締め付け力から、剪断力を減ずるとネジに加わる力となり、ネジの摩擦力に逆らって締め付けられ緩みを防止する。締め付け時に剪断力のバラつきが大きいとネジに加わる力が不安定になり、過大な力が加わり、ネジの根元に強い張力をかける。ネジの根元に強い張力がかかると、構造材に内部応力として残留し、破損する原因となる。
以上より、セラミック粒子1は、炭素系接着剤3の粘度が発生させる剪断力の不安定さを安定化させ、ネジの折損、内部応力の発生を防止しながら、強く締め付けることができる。
また、黒鉛構造体を黒鉛ヒータとして使用したときには、2つの座面を密着させることができるので電気抵抗を小さくすることができる。
また、炭素系粒子は、導電性を備えているので、黒鉛ヒータとして使用すると炭素系接着層の電気抵抗を上げることがなく好適に利用することができる。
黒鉛部材の50%累積気孔径(直径)は、水銀圧入法により測定することができる。
水銀圧入法による50%累積気孔径の測定は以下のように行うことができる。
黒鉛材の一部を切り出し、水銀圧入式ポロシメータで、気孔径分布を測定する。水銀圧入式ポロシメータとしては、Carlo Erba社製ポロシメータ2000及びマクロポアユニットを用いることができる。水銀ポロシメータは、圧力によって水銀が含浸される気孔径が変化することを利用する測定方法であり、真空から大気圧まではマクロポアユニット、大気圧より高い圧力はポロシメータ2000を用いて計測し、得られた結果を合成することにより気孔分布を得ることができる。本発明においては、0〜190MPaの範囲で測定し、50%の累積気孔径と定義する。
セラミック粒子が、単独で存在する場合、走査電子顕微鏡、光学顕微鏡などで個々の粒子を直接観察し、直径を計測する。直径に対する度数分布を作成した後、体積に対する度数分布に変換するため度数を3乗し、体積粒子径分布を得る。体積粒子径分布から体積累積分布を作成し50%体積累積径を得る。
炭素系接着層または炭素系接着剤の内部に含有しているセラミック粒子は、以下のようにして計測することができる。
セラミック粒子が、アルミナ、炭化珪素など炭化珪素など耐酸化性を有している場合には、炭素系接着層2を空気酸化させ、セラミック粒子を取り出すことができる。取り出されたセラミック粒子は、前記の単独で存在する場合と同様に測定することができる。
コークス、黒鉛など炭素系粒子である場合には、断面を研磨し観察することによって、セラミック粒子の大きさを測定することができる。具体的には、二つのステップによって行われる。
(1) 断面に存在するセラミック粒子の断面から50%体積累積径を算出する。(粒子断面から得られる50%体積累積径)
(2) セラミック粒子そのものの大きさを統計的に算出する。(実際の50%体積累積径)
セラミック粒子の断面から得られる50%体積累積径は、実際のセラミック粒子の50%体積累積径よりも小さな値をとる。例えば粒子断面基準の50%体積累積径が1μmであれば、実際の50%体積累積径は、1μmより大きいといえる。厳密に算出するには、統計的な処理によって得ることができる。セラミック粒子を球形近似し、球の中心と切断面の距離は確率的に一様分布に従うとして統計的な処理を行って実際の50%体積累積径を算出することができる。なお、セラミック粒子の断面から得られるセラミック粒子の最大の粒子径は、多数の粒子を計測して得るので実際のセラミック粒子の最大の粒子径と考えて良い。
本発明の実施形態の炭素質接着層2に対するセラミック粒子1の含有量は、特に限定されないが炭素質接着層2の20〜80体積%であることが好ましい。セラミック粒子1の含有量が炭素質接着層2の20体積%以上であると、滑り止め効果、締め過ぎを防ぐ効果が得られると考えられる。セラミック粒子1の含有量が炭素質接着層2の80体積%以下であると、炭素質接着層2がセラミック粒子1の隙間に十分に入り込むことができ、炭素質接着層2の有する接着力を維持でき強度低下が小さいと考えられる。
第1の座面11と雄ネジ12とを有する第1の黒鉛部材10と、第2の座面21と雌ネジ22とを有する第2の黒鉛部材10とを螺合する黒鉛構造体の製造方法において
第1の座面11または第2の座面12にセラミック粒子1を含有する炭素系接着剤3を塗布した後、螺合することを特徴とする。
本発明の黒鉛構造体の製造方法は、前記製造方法が含まれていれば特に限定されないが、例えば加工工程、炭素系接着剤塗布工程、締め付け工程、硬化工程、焼成工程とからなる以下方法によって製造することができる。
図14は本発明の実施形態1の黒鉛構造体100の製造工程のフローチャートを示す。図15は、実施形態1の黒鉛構造体100の各工程の断面図である。(a)は、第1の黒鉛部材10及び第2の黒鉛部材20を示し、第1の黒鉛部材10には雄ネジ12が形成され、第2の黒鉛部材20には対応する雌ネジ22が形成されている。雄ネジ12、雌ネジ22とも平行ネジである。(b)は、炭素系接着剤塗布工程を示し、第1の黒鉛部材の座面にセラミック粒子1を含む炭素系接着剤3が塗布される。(c)は締め付け工程を示し、第1の黒鉛部材10と第2の黒鉛部材20を螺合し締め付ける。締め付けによって炭素系接着剤の余剰部4が流出している。(d)は硬化工程を示す。(e)は焼成工程を示す。
雄ネジ12を有する第1の黒鉛部材10と、雌ネジ22を有する第2の黒鉛部材20を準備する。第1の黒鉛部材19の雄ネジ12の根元周囲には第1の座面11を有している。第2の黒鉛部材20の雌ネジ22の開口側周囲には第2の座面21を有している。第1の黒鉛部材の雄ネジ12と、第2の黒鉛部材の雌ネジ22は、ピッチ、径とも対応し、第2の黒鉛部材の雌ネジ12に第1の黒鉛部材の雄ネジ22を螺合することにより組み合わせることができる。第1の黒鉛部材の雄ネジ12と、第2の黒鉛部材の雌ネジ22は共に平行ネジであるので、それぞれの座面が当接するまで強く締め付けられることはない。
黒鉛材としては、等方性黒鉛材、押出電極材などどのようなものでも利用することができ特に限定されない。中でも等方性黒鉛材は、高強度であるので、黒鉛構造体として好適に利用することができる。また、等方性黒鉛材は、固有抵抗の異方性が小さいので、ヒータ設計時に電流の流れる方向の考慮が不要であるので黒鉛ヒータとして好適に利用できる。
第1の黒鉛部材、第2の黒鉛部材とは、同一の材質であっても異なる材質であっても良い。
セラミック粒子1を含有する炭素系接着剤3を座面に塗布する。塗布する座面は、第1の座面、第2の座面のいずれであっても良く、両方でも良い。炭素系接着剤3は、特に限定されないが例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、コプナ樹脂などを利用することができる。これらの樹脂は、炭化収率の高い有機物であり、硬化・焼成することにより、炭素系接着層2を得ることができる。
炭素系接着剤3は、どのように塗布しても良い。炭素系接着剤3は一般に高粘度の液体であるので、塗布する炭素系接着剤3が軟化するように第1の黒鉛部材10または第2の黒鉛部材20を加熱することが好ましい。好ましい加熱の温度は特に限定されないが、50〜150℃が好ましい。
炭素系接着剤3の塗布箇所は、第1の座面11または第2の座面21に限定されず、さらに雄ネジまたは雌ネジに塗布しても良い。セラミック粒子1が雄ネジ12と雌ネジ22との間隔より小さい場合には、そのまま螺合することができ、セラミック粒子が雄ネジと雌ネジとの間隔より大きい場合には、雄ネジ12または雌ネジ22の表面を削りながら螺合することができる。
本発明の実施形態1のセラミック粒子1は、どのようなものでも利用することができる。炭化珪素、アルミナ、ジルコニア、コークス、黒鉛、など特に限定されない。中でも炭素系の粒子であることがこのましい。炭素系粒子は、コークス、黒鉛等が挙げられ、母材である黒鉛と同じ元素からなり、高い耐熱性を有しているので、高温で使用する黒鉛構造体として好適に使用することができる。
また、炭素系粒子は、導電性を備えているので、黒鉛ヒータとして使用すると炭素系接着層の電気抵抗を上げることがなく好適に利用することができる。
本発明の実施形態の締め付け工程は、前記工程で塗布された炭素系接着剤3を、第1の黒鉛部材10と第2の黒鉛部材20とを螺合することにより薄く引き伸ばし、強固に締め付ける。
締め付け工程は、第1の黒鉛部材10と第2の黒鉛部材20とを加熱して行うことが好ましい。好ましい加熱の温度は、特に限定されないが50〜150℃が好ましい。加熱温度が50℃未満であると、炭素系接着剤3の粘度が高いので塗布しにくい。加熱温度が150℃を超えると、炭素系接着剤3の硬化時間が早くなり、作業中に硬化しやすくなる。加熱は、前記炭素系接着剤塗布工程で加熱したまま引き続き締め付け工程を実施しても一旦冷却してから再度加熱して締め付け工程を実施も良い。
炭素系接着剤3は粘性流体であるので、時間の経過と共に余剰部側に移動し、第1の黒鉛部材と第2の黒鉛部材との締め付けが緩くなる。このため時間をおいて複数回締め付けを行うことが好ましい。複数回に分けて締め付けすることにより、炭素系接着剤3の流出が収束し、強固に締め付けることができる。
締め付け工程で炭素系接着剤3が流出した余剰部4は、製品に残留して悪影響が無い場合、そのまま残しても良いし、除去しても良い。製品に残留して悪影響がある場合には、除去する。除去の方法は特に限定されないが、スクレーパで削る、繊維で吸収する等の方法がある。
前記締め付け工程で螺合し第1の座面11と第2の座面21間で薄く引き伸ばされた炭素系接着剤3を硬化し、第1の黒鉛部材10と第2の黒鉛部材20とを接着する。
締め付け工程と後の焼成工程との間に硬化工程を加えることにより、接合の検査を行うことができる。硬化した炭素系接着剤3の熱膨張係数は黒鉛材より大きいので、黒鉛構造体の形状、締め付け方によっては破損することがある。硬化工程の後に黒鉛構造体の検査を行い、検査で異常のない黒鉛構造体を次の焼成工程に送る。また、金属など治具を使用した硬化が必要な場合、硬化工程で炭素系接着剤が硬化した後に治具を取り外し、焼成工程に送ることができる。
検査が必要でない場合、治具を使用しない場合などは、硬化工程を別途行うことなく、後述の焼成工程で同時に硬化させてもよい。
硬化工程での加熱温度が100℃未満であると、加熱に長時間を要するので作業性が悪い。硬化温度が300℃を超えると、炭素系接着剤の炭化が始まり、硬化工程を加える意味が無くなり、そのまま焼成工程に送る方が良い。
前記硬化工程で第1の黒鉛部材10と第2の黒鉛部材20とを接合した炭素系接着剤3を焼成し炭素系接着層2を形成する。なお、硬化工程を別途行わなかった場合には、締め付け工程で引き伸ばされた炭素系接着剤を硬化させると共に焼成する。
焼成工程は、黒鉛部材、炭素系接着剤3が酸化しないように、不活性雰囲気、還元性雰囲気または真空下で行う。不活性雰囲気は、特に限定されないが例えば窒素、アルゴンなどが挙げられる。還元性雰囲気は、特に限定されないが例えば炭化水素、水素、一酸化炭素ガスなどが挙げられる。
加熱温度が1000℃未満であると、炭素系接着剤3の炭素化が不十分であり炭素系接着層2から炭化水素ガス、水素ガスなどを発生させる。加熱温度が800℃未満であると、炭素系接着剤の炭素化が不十分であり炭素系接着層2から発生する炭化水素ガス、水素ガスなどの量が多くなる。
加熱温度が2200℃を超えると、黒鉛部材がクリープ変形しやすくなるため寸法精度を確保しにくくなる。加熱温度が2500℃を超えると、黒鉛部材がさらにクリープ変形しやすくなるためさらに寸法精度を確保しにくくなる。
本実施例の黒鉛ヒータ200は、発熱体201とコネクタ202とを組み合わせ黒鉛ヒータを構成している。発熱体どうしおよび発熱体とコネクタとの接合部には、本発明の炭素系接合層を有している。発熱体201とコネクタ202との接合は、発熱体201側が雄ネジ、コネクタ側が雌ネジとなり実施形態4の接合が適用されている。発熱体201同士の接合は、一方が雌ネジ、他方が雄ネジであり実施形態1の接合が適用されている。発熱体201、コネクタ202を組み合わせることにより、複雑な形状の黒鉛ヒータが得られている。
本実施例の黒鉛構造体100は、高温加熱炉のマッフル、保温筒等に適用できる。第1の黒鉛部材と第2の黒鉛部材とを、螺合し組み合わせることによって高さを確保している。
本実施例の黒鉛構造体100は、半導体ウェハの加熱テーブル、シリコン単結晶引き上げ装置の回転軸とルツボ受け皿との接合等に適用できる。第1の黒鉛部材と第2の黒鉛部材とを、螺合し組み合わせることによって材料の歩留まりを高めることができる。
本実施例は、発熱部201とコネクタ202とを組み合わせ黒鉛ヒータを構成している。発熱体201とコネクタ202との接合は、発熱体201側が雄ネジ、コネクタ側が雌ネジとなり実施形態4の接合が適用されている。
2 炭素系接着層
3 炭素系接着剤
4 余剰部
6 ニップル
7 ワッシャ
10 第1の黒鉛部材
11 第1の座面
12 雄ネジ
20 第2の黒鉛部材
21 第2の座面
22 雌ネジ
100 黒鉛構造体
200 黒鉛ヒータ
201 発熱体
202 コネクタ
Claims (15)
- 第1の座面と雄ネジとを有する第1の黒鉛部材と、
第2の座面と雌ネジとを有し、第1の黒鉛部材と螺合し接続される第2の黒鉛部材と、
第1の座面と第2の座面との間に形成され、前記第1の黒鉛部材と前記第2の黒鉛部材とを接続する炭素系接着層と、
からなり、
前記炭素系接着層には、セラミック粒子を含有していることを特徴とする黒鉛構造体。 - 前記雄ネジ及び雌ネジは、平行ネジであることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛構造体。
- 前記セラミック粒子は、炭素系粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の黒鉛構造体。
- 前記セラミック粒子は、50%体積累積径が黒鉛部材の50%累積気孔径より大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の黒鉛構造体。
- 前記セラミック粒子は、50%体積累積径が、1μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の黒鉛構造体。
- 前記セラミック粒子は、50%体積累積径が、100μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の黒鉛構造体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の黒鉛構造体を用いることを特徴とする黒鉛ヒータ。
- 第1の座面と雄ネジとを有する第1の黒鉛部材と、第2の座面と雌ネジとを有する第2の黒鉛部材とを螺合する黒鉛構造体の製造方法において
第1の座面または第2の座面にセラミック粒子を含有する炭素系接着剤を塗布した後、螺合することを含む黒鉛構造体の製造方法。 - 前記黒鉛構造体の製造方法は、第1の黒鉛部材と第2の黒鉛部材とを螺合したのち、炭素系接着剤を硬化し、炭素化させる工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の黒鉛構造体の製造方法。
- 前記雄ネジ及び雌ネジは、平行ネジであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の黒鉛構造体の製造方法。
- 前記記載のセラミック粒子は、炭素系粒子であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の黒鉛構造体の製造方法。
- 前記セラミック粒子は、50%体積累積径が黒鉛部材の50%累積気孔径より大きいことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の黒鉛構造体の製造方法。
- 前記セラミック粒子は、50%体積累積径が、1μm以上であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の黒鉛構造体の製造方法。
- 前記セラミック粒子は、50%体積累積径が、100μm以下であることを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の黒鉛構造体。
- 請求項8〜14のいずれか一項に記載の黒鉛構造体の製造方法を用いることを特徴とする黒鉛ヒータの製造方法。
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