JP5322093B2 - プラズマ対向材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、核融合装置内の取付け台座に固定して使用されるプラズマ対向材に関する。より詳細には、台座との熱伝達性に優れ、かつ台座への取付けが容易であるプラズマ対向材およびその製造方法に関するものである。
近年、次世代のエネルギー源として核融合が注目され、その研究開発が世界各国で実施されている。通常、核融合に使用される核融合装置には、心臓部となる真空容器の内壁にプラズマ対向材が取付けられている。プラズマ対向材は、「第一壁」または「アーマータイル」と呼ばれることもあり、核融合時に発生する数億度にもおよぶ高温のプラズマから、金属性の真空容器を保護する重要な役割を果たしている。プラズマ対向材の材料としては、一般に、等方性又は異方性の人造黒鉛および炭素繊維強化炭素材料(C/C複合材)などの炭素系材料、炭化ケイ素および炭化ホウ素などのセラミック材料、タングステン、モリブデンおよびチタンなどの金属材料といった、耐熱性に優れた材料が使用されている。
プラズマ対向材は、通常、真空容器の内壁に設置された台座にボルトを用いて機械的に締結されており、台座への伝熱性の良否に依存して、プラズマ発生時の熱の影響を受けることになる。すなわち、台座への伝熱性が乏しい場合、プラズマ対向材の表面温度が上昇して対向材の損耗が大きくなり、著しく温度が上昇すると対向材が昇華してしまうことがある。このような現象は、対向材の寿命を短くするとともに、対向材の構成材料が不純物としてプラズマ内に混入してプラズマ温度を低下させ、核融合反応の障害となる。そのため、プラズマ対向材と取付け台座との間の伝熱性を向上させる、言い換えれば熱抵抗を小さくする、いくつかの試みがなされている。
プラズマ対向材と取付け台座との間の熱抵抗を小さくするために、カーボン繊維又は金属の織成シート、あるいは膨張黒鉛シートを間挿材として使用する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2および3を参照)。図1は、従来のプラズマ対向材の台座への取付け形態を示す模式的断面図であり、参照符号10はプラズマ対向材タイル、12は膨張黒鉛シート、14は取付け台座、16は締結ボルト、18は固定部材である。プラズマ対向材タイル10、膨張黒鉛シート12および取付け台座14にはそれぞれ締結用の穴が設けられており、この穴に締結ボルト16を挿入し、固定部材18にねじ込むことによって、プラズマ対向材が台座に固定されることになる。このように、伝熱性に優れたシートを間挿材として使用してプラズマ対向材を取付けることによって、プラズマ対向材および台座の各表面の微小な凹凸や、平面度のバラツキによる接触熱抵抗の増大を抑えることが可能となる。また、核融合などの過酷な熱負荷が掛かる環境下で異なる2種の材質の部材を機械的に締結する際には、通常、両材質の熱膨張係数の相違によって各部材の変形量が異なることを考慮する必要があるが、上述のように伝熱性に優れたシートを介在させることによって、そのような問題も解決することが可能である。
特開昭61−73089号公報 特表昭63−503548号公報 実開平2−35097号公報
上述のように、プラズマ対向材と取付け台座との間に間挿材として伝熱性に優れたシートを使用する技術は、対向材から取付け台座への伝熱性を改善するのに効果的である。しかし、従来の取付け手順によれば、シートは独立しており、対向材の台座への取付けに先立ち、対向材の取付け面からシートがズレないように注意しながら、それらと台座との位置を合わせる必要がある。取付け面が水平である場合にはさほど問題にはならないが、多くの場合、プラズマ対向材はドーナツリング状の真空容器の内壁に取付けられるため、取付け面は水平にならない。そのため、実際のプラズマ対向材の取付け作業は複雑で時間が掛かり、ロボットによる作業の機械化も困難である傾向がある。
また、介在させるシートとして膨張黒鉛シートを使用する場合は、取付け時の締結によって膨張黒鉛シートが圧縮され、台座あるいはプラズマ対向材の微小な凹凸に沿った形状にシートが変形して効率良く熱抵抗を下げる効果が期待できる。しかし、一般に膨張黒鉛シートは、脆くて機械的強度が弱く、取扱いが難しいため、作業性に劣る傾向がある。したがって、本発明は、従来法と比較して台座への取付け作業が簡便で、かつ台座との間の熱抵抗を効率良く低減することが可能なプラズマ対向材を提供することを課題とする。
本発明者らは上述の状況に鑑みプラズマ対向材について鋭意検討の結果、台座への取付け作業に先立ち、タイル状のプラズマ対向材に特定の接着剤を介して膨張黒鉛シートを固定し一体化することによって、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によるプラズマ対向材は、核融合装置内のプラズマ発生源に対向させて台座に取付けられるものであって、タイル形状部材と、上記タイル形状部材の上記台座への取付け面の少なくとも一部に設けられ一体化された膨張黒鉛層とを有することを特徴とする。ここで、上記タイル形状部材が、黒鉛材料または炭素繊維強化炭素材料を含むことが好ましい。
また、本発明によるプラズマ対向材は、上記タイル形状部材と上記膨張黒鉛層との間に接着層を有することが好ましい。その接着層は、熱硬化性樹脂の炭化物を含むことが好ましい。接着層は炭素粉または黒鉛粉をさらに含んでもよく、それら炭素粉または黒鉛粉は上記熱硬化性樹脂の炭化物中に分散していることが好ましい。また、上記熱硬化性樹脂の炭化物は、上記タイル形状部材および上記膨張黒鉛シートの少なくとも一方の組織内部に浸入していることが好ましい。
上記接着層は、別法として無機系接着剤を含むことが好ましい。無機系接着剤は、タイル形状部材および膨張黒鉛シートの少なくとも一方の組織内部に侵入していることが好ましい。
上記接着層は、互いに不連続な複数の領域から構成されることが好ましい。そのような接着層を有する対向材において、上記タイル形状部材と非接着となる上記膨張黒鉛シートの領域に少なくとも1つの貫通穴が設けられていることが好ましい。
本発明によるプラズマ対向材の製造方法は、核融合装置内のプラズマ発生源に対向させて台座に取付けられ、タイル形状部材と、上記タイル形状部材の前記台座への取付け面の少なくとも一部に設けられ一体化された膨張黒鉛層とを有するプラズマ対向材に向けたものであって、上記タイル形状部材の台座への取付け面および前記膨張黒鉛シートの表面の少なくとも一方に接着剤を塗布する工程と、上記接着剤を介して上記タイル形状部材と上記膨張黒鉛シートとを貼り合わせて積層体を形成し、次いで上記接着剤を硬化させる工程と、上記積層体を熱処理する工程とを有することを特徴とする。
ここで、上記接着剤が熱硬化性樹脂を含み、上記熱処理の工程で上記熱硬化性樹脂の炭化および焼成が実施されることが好ましい。また、上記熱硬化性樹脂中には、炭素粉または黒鉛粉が分散されていることが好ましい。上記接着剤は、別法として無機系接着剤を含むことが好ましく、上記熱処理の工程が800℃以上の温度で実施されることが好ましい。
また、上記熱処理の工程後に、非酸化性の雰囲気下、1500℃以上の高温で熱処理する工程をさらに有することが好ましい。上記熱処理の工程後に、500℃以上、10−2Pa以下の圧力下で真空熱処理する工程をさらに有することが好ましい。
本発明によれば、核融合装置内の台座に取付けられるプラズマ対向材に関し、従来法に従い独立した膨張黒鉛シートを介して対向材を取付け台座に締結した場合と同等またはそれ以上の優れた伝熱特性を達成することが可能となる。また、本発明によれば取付け台座への取付け作業性が格段に改善されたプラズマ対向材を提供することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のプラズマ対向材は、核融合装置内のプラズマ発生源に対向させて台座に取付けて使用されるものであり、タイル形状部材と、タイル形状部材の台座への取付け面の少なくとも一部に設けられ一体化された膨張黒鉛層とを有することを特徴とする。本発明の好ましい一実施形態では、タイル形状部材と膨張黒鉛層との間に接着層が設けられる。そのような構成を有する本発明のプラズマ対向材の模式的断面図を図2に拡大して示す。図2に示すように、本発明のプラズマ対向材10aは、タイル形状部材20と、タイル形状部材20の台座への取付け面の少なくとも一部に接着層30を介して一体化された膨張黒鉛層22とを有する。
本発明のプラズマ対向材に使用されるタイル形状部材は、核融合炉のプラズマ対向材として従来から使用されている材料から作製されるタイル形状の部材であればよい。部材材料の具体例としては、等方性または異方性の人造黒鉛、および炭素繊維強化炭素材料(C/C複合材)などの炭素材料、炭化ケイ素および炭化ホウ素などのセラミック材料、タングステン、モリブデンおよびチタンなど金属材料といった材料が挙げられるが、それらに特に制限するものではない。但し、プラズマ発生時の熱を台座へ効率良く伝熱させるためには、膨張黒鉛シートの介在のみならず、タイル形状部材自体の伝熱特性も重要となる。そのため、特に限定するものではないが、部材材料として、熱伝導率100W/mK以上の高熱伝導性炭素材料を選択することが好ましい。そのような高熱伝導性炭素材料は、例えば、日立化成工業株式会社製のC/C複合材である「PCC−2S」として入手可能である。
本発明のプラズマ対向材における膨張黒鉛層は、膨張黒鉛シートを使用して形成することが可能である。本発明で使用する膨張黒鉛層シートは、公知の方法に従って容易に作製することが可能である。例えば、膨張黒鉛シートの作製例として、(a)天然黒鉛、キッシュ黒鉛などの結晶の発達した黒鉛を、濃硫酸などの酸性物質と硝酸、過マンガン酸カリウムなどの酸化剤との混合溶液に浸漬して黒鉛層間化合物を生成させ、次いでそれらを水洗する工程、(b)水洗いした黒鉛層間化合物を急速に加熱して黒鉛結晶のC軸方向に膨張させて膨張黒鉛を得る工程、および(c)得られた膨張黒鉛を圧縮してシート形状に成形する工程を有する方法が挙げられる。
なお、膨張黒鉛シートを成形する場合、シートの厚さは、0.1〜1.5mmの範囲にすることが望ましい。膨張黒鉛シートの厚さが0.1mm未満の場合、シートの強度が十分でなく、取扱い性が悪く破損しやすくなり、所期の効果を十分に得ることが困難である。すなわち、膨張黒鉛シートを介在させることによって、プラズマ対向材と台座との間の平面度および表面粗さの影響を低減し、接触熱抵抗を低下させるといった効果が低減してしまう傾向にある。一方、膨張黒鉛シートの厚さが1.5mmを超える場合、シートの熱抵抗が高くなり、先と同様に所期の効果が得られなくなる傾向にある。
本発明で使用する膨張黒鉛シートの特性の中でも熱伝導率は特に重要である。熱伝導率は、かさ密度に大きく依存するため、接触熱抵抗およびシート接着時の安定性を考慮して適切なかさ密度を有するシートを選択することが望ましい。一般に、かさ密度が低いほどシートは柔軟となり、接触熱抵抗は低下する傾向がある。一方、かさ密度が高くなると、膨張黒鉛シートが加熱された際に吸着水分等に由来して発生するガスがシートを透過し難くなり、シートの膨れが生じやすくなる傾向がある。また、接着剤を使用してタイル形状部材に膨張黒鉛シートを固定し膨張黒鉛層を形成する場合、接着剤に由来してガスが発生し、シートの膨れが生じやすくなるという問題も生じやすくなる。
かさ密度の好ましい範囲は、プラズマ対向材の形状、対向材を取付ける相手面の状態、締付け圧力の程度といったその他の実施形態によって変化するため、特に制限されるものではない。例えば、本発明の一実施形態では、かさ密度が、好ましくは0.1〜1.0g/cmの範囲、より好ましくは0.2〜0.8g/cmの範囲の膨張黒鉛シートを使用することが望ましい。また、別の実施形態では、かさ密度が、好ましくは1.0〜〜1.4g/cmの範囲、より好ましくは1.0〜1.2g/cmの範囲の膨張黒鉛シートを使用することが望ましい。各実施形態で示した各々のかさ密度を有する膨張黒鉛シートは、市販品として入手することも可能である。例えば、日立化成工業株式会社製の製品名「HGP−207」のシリーズが挙げられる。
本発明の好ましい実施形態において、タイル形状部材と膨張黒鉛シートとの固定は接着剤を使用して実施される。タイル形状部材と膨張黒鉛層との間に接着剤から構成される接着層を設けることによって、膨張黒鉛シートはタイル形状部材に強固に保持される。その結果、本発明によるプラズマ対向材は取扱い性に優れるとともに、熱抵抗の低減効果を良好に得ることが可能となる。しかし、本発明によるプラズマ対向材は、高真空の核融合装置内で使用され、プラズマ発生時には高温に加熱されることになるため、通常の有機材料からなる接着剤を使用して接着層を構成することは困難である。したがって、本発明では、高温加熱時であってもガスを発生せずに安定であり得る接着剤を適切に選択する必要がある。
本発明によるプラズマ対向材の一実施形態では、熱硬化性樹脂の炭化物から接着層を構成する。より具体的には、タイル形状部材および膨張黒鉛シートのいずれか一方または両方の面に熱硬化性樹脂を塗布した後に、その塗布層を非酸化性の雰囲気下で炭化および焼成することによって熱硬化性樹脂の炭化物からなる接着層が得られる。この実施形態では、フェノール樹脂、フラン樹脂、ジヒドロベンゾオキサジン環を含むフェーノール樹脂(RO樹脂)、エポキシ樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を特に制限なく使用することが可能であるが、炭化率が40%以上の熱硬化性樹脂を選択することがより好ましい。本発明で好ましく使用できる市販の熱硬化性樹脂の一例として、日立化成工業株式会社製の製品名「VP−13N」、「VP−231N」および「RO樹脂」、群栄化学株式会社製の製品名「PL−2211」が挙げられる。
なお、接着層の熱伝導率を向上させるために、熱硬化性樹脂に炭素粉あるいは黒鉛粉を分散させて使用することも可能である。炭素粉あるいは黒鉛粉としては、特に制限はなく、カーボンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛などいかなる種類のものであっても使用可能である。但し、それらの粒径は、目標とする接着層の厚さよりも小さいことが望ましい。熱硬化性樹脂への炭素粉あるいは黒鉛粉の混合および分散は、デゾルバー、スターラー、ホモジナイザー、ライカイ機などを使用して実施することが可能であり、必要に応じて、溶剤などで樹脂を希釈してもよい。黒鉛粉の配合量は、1〜30wt%の範囲が好ましく、2〜10wt%の範囲がより好ましい。
使用する熱硬化性樹脂の状態は、液体、固体のいずれであってもよい。熱硬化性樹脂が液体の場合は原液のまま、あるいは溶剤で希釈して、タイル形状部材の台座への取付け面および膨張黒鉛シート表面の少なくとも一方の面に塗布する。塗布方法は、刷毛塗り、スプレーなど公知の方法を適用すればよい。また、熱硬化性樹脂が固体の場合には、樹脂を溶剤で溶解して塗布する方法、または粉体塗装によって樹脂を膨張黒鉛シート表面に付着させた後に加熱溶融する方法など、特に制限なく、樹脂の性状に応じて適切な方法を選択すればよい。
接着層の厚さは、樹脂の炭化および焼成時の収縮を見込んで熱硬化性樹脂の塗布層の厚さを設定することで調節することが可能である。接着層が薄すぎると接着力が弱くなり、厚すぎると熱抵抗が大きくなる。特に限定するものではないが、本発明では、接着層の厚さを1〜50μmの範囲とすることが好ましく、5〜20μmの範囲とすることがより好ましい。なお、熱硬化性樹脂を塗布する際の樹脂粘度を低下させるか、または樹脂の塗布量を増加させることによって、本発明では塗布時の膨張黒鉛シートやタイル形状部材への樹脂の浸透深さを大きくすることが好ましい。塗布時の樹脂の浸透深さを大きくすることによって、炭化および焼成工程を経て、膨張黒鉛シートおよびタイル形状部材の組織内部まで樹脂の炭化物を浸入させることが可能となる。このようにして形成された接着層は、強固な接着性を有し、かつ優れた耐熱衝撃性を示す。
本発明によるプラズマ対向材の他の実施形態では、無機系接着剤から接着層を構成する。より具体的には、タイル形状部材および膨張黒鉛シートのいずれか一方または両方の面に無機系接着剤を塗布し、その塗布層を硬化させた後に、例えば800℃以上で熱処理することによって接着層が得られる。この形態では、ケイ酸塩系、リン酸塩系、ケイ酸塩系などの公知の無機系バインダーにセラミック粒子など粒子が分散された市販の耐熱性無機系接着剤を使用することが可能であり、特に800℃以上の耐熱性を有するものが望ましい。
本発明で使用可能な市販の耐熱性無機系接着剤の一例として、スリーボンド社製の接着材料「品番「3732」、ティーエーケミカル株式会社製の「ベタックス」シリーズが挙げられる。なお、無機系接着剤から構成される接着層の厚さは、熱硬化性樹脂の炭化物からなる接着層の場合と同様に、1〜50μmの範囲とすることが好ましく、5〜20μmの範囲とすることがより好ましい。また、塗布時の樹脂の浸透深さを大きくすることによって、膨張黒鉛シートおよびタイル形状部材の組織内部まで接着剤由来の無機物を浸入させることが可能となる。このようにして形成された接着層は、強固な接着性を有し、かつ優れた耐熱衝撃性を示す。
なお、本発明によるプラズマ対向材において接着層は、タイル形状部材と膨張黒鉛シートとの間に連続的な1つの層として形成されるだけでなく、不連続な層として形成されてもよい。図3は、本発明によるプラズマ対向材の一実施形態を模式的に示すものであり、(a)は平面図、(b)は図中A−A線に沿った断面図である。図3において、接着層32は互いに不連続な複数の領域から構成されており、接着層32が存在せずに非接着となるタイル形状部材20と膨張黒鉛シート22との間は空間34となっている。なお、図中、参照符号24はプラズマ対向材を取付け台座にボルトで締結するためのボルト穴である。このように接着層を不連続な層として構成することによって、接着剤塗布後の硬化および炭化などの熱処理時に発生するガスの総量を減らすことができる。また、発生したガスが接着層のない部分を経由してシートの端面から放出されるため、接着層での膨れの発生を抑制することが可能となる。さらに図4に示すように、タイル形状部材と非接着となる前記膨張黒鉛シートの領域に少なくとも1つの貫通穴26を設けることによって、発生したガスをより容易に外部に放出させることが可能となる。なお、接着層を不連続な複数の領域から構成する場合、それらはタイル形状部材と前記膨張黒鉛シートとの一体化が実現できる範囲において任意に配置してよい。貫通穴についても特に限定されることなく任意に配置することができる。
本発明によるプラズマ対向材の製造方法は、核融合装置内のプラズマ発生源に対向させて台座に取付けられ、タイル形状部材と、タイル形状部材の台座への取付け面の少なくとも一部に設けられ一体化された膨張黒鉛層とを有するプラズマ対向材に向けたものであり、タイル形状部材の台座への取付け面および膨張黒鉛シートの表面の少なくとも一方に接着剤を塗布する工程と、接着剤を介してタイル形状部材と膨張黒鉛シートとを貼り合わせて積層体を形成し、次いで接着剤を硬化させる工程と、積層体を熱処理する工程とを有することを特徴とする。
上述の製造方法では、接着剤として、先に説明した熱硬化性樹脂または耐熱性無機系接着剤を使用することが可能である。接着剤の塗布は、先に説明したように、熱硬化性樹脂または無機系接着剤の性状に応じ、公知の方法を選択して実施することが可能である。熱硬化性樹脂に炭化物および黒鉛粉を分散させたものを使用してもよく、この場合、それらを塗布する前に分散処理を行うことが好ましい。特に限定するものではないが、接着剤の塗布時には塗布面への浸透深さを大きくする方法を適用し、かつ引き続き実施される硬化、および熱処理といった工程での収縮を見込んで塗布層の厚さを調整することが好ましい。
タイル形状部材と膨張黒鉛シートとの貼り合わせは、通常はタイル形状部材と膨張黒鉛シートとを重ね合わせることで実施されるが、それらを同時に加圧または加熱条件下におくことによって、接着剤の硬化を促進してもよい。本発明では、接着剤を硬化させた後に、接着剤の性状に応じた条件下で熱処理を実施し、接着剤の後硬化を促進することが好ましい。例えば、無機系接着剤を使用する場合、熱処理の工程は800℃以上の温度で実施することが好ましい。また、接着剤として熱硬化性樹脂を使用する場合、熱硬化性樹脂を硬化させた後に、熱処理の工程で熱硬化性樹脂の炭化および焼成が実施される。熱硬化性樹脂の炭化および焼成方法は、特に限定されるものではなく、炭素材料の製造に通常適用される方法に準じて実施することが可能である。具体例としては、窒素、アルゴン、真空等の非酸化性の雰囲気下において、好ましくは800℃以上、より好ましくは900℃以上の温度で熱処理を施すことによって実施することが可能である。
なお、本発明による製造方法では、上述の工程に加えて、窒素、アルゴン、真空等の非酸化性の雰囲気下において、積層体を1500℃以上の高温で熱処理する工程を実施することが好ましい。このような熱処理の工程を追加することによって、プラズマ対向材が高温になった際に接着層から放出されるガスを低減させることが可能である。また、熱硬化性樹脂の炭化物から接着層を構成する場合には、熱伝導率をさらに向上させることも可能となる。
プラズマ対向材は高真空の雰囲気で使用される。そのため、上述の工程に加えて、引き続き、積層体を真空熱処理する工程を設けることによって、放出ガスの低減を図ることが好ましい。真空熱処理の温度は、500℃以上が好ましく、より好ましくは800℃以上、さらに好ましくは900℃以上である。また熱処理時の最高温度における真空度は、1×10−2Pa以下であることが好ましく、より好ましくは5×10−3Pa以下である。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
最初に、核融合装置のプラズマ対向材として使用可能な炭素繊維強化炭素材料(日立化成工業株式会社製、製品名「PCC−2S」)を100×80×24mmの外寸に切り出しタイル形状部材とした。そのタイル形状部材を所定の形状に加工し、台座への取付け面(100×80mmの外寸を有する面)の中心にΦ7mmのボルト穴を設けた(図5を参照)。
次に、タイル形状部材の台座への取付け面に、刷毛を用いて、液状のフェノール樹脂(日立化成工業株式会社製、製品名「VP−13N」)を塗布した。この塗布面に、膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、製品名「HGP−207」)を重ね合わせ、軽く荷重をかけることによって、タイル形状部材と膨張黒鉛シートとを貼り合わせた。なお、膨張黒鉛シートは、かさ密度が0.2g/cm、厚さが0.9mmであり、タイル形状部材の取付け面と同一寸法に予め切断しておいた。
次に、先の工程で得られた積層体を、50℃および90℃の各温度で、それぞれ12時間ずつ保持して樹脂層を硬化させた後に、引き続き160℃で12時間保持して後硬化を実施した。さらに積層体を、窒素雰囲気の炉に入れ、10℃/hの昇温速度で900℃まで加熱し、5時間保持して樹脂層を炭化させることによって接着層を形成した。
以上のようにして、タイル形状部材と接着層と膨張黒鉛シートとの積層構造を有する本発明のプラズマ対向材を得た。次に、得られたプラズマ対向材の後処理として、プラズマ対向材を真空熱処理炉内で1000℃まで加熱し、さらに5×10−3Paの圧力下で2時間保持した。
次に、得られたプラズマ対向材を同一寸法のアルミブロックに取付けて試験サンプルを作製し、プラズマ対向材の伝熱特性について検討した。より具体的には、最初に、図5に示すように、アルミブロックの主面にボルト穴を加工し、さらに熱電対を取付けるためのΦ0.6mm、深さ10mmの穴をアルミブロックおよびプラズマ対向材の各側面(100×24mmの面)中心に加工した。次いで、プラズマ対向材10aとアルミブロック40とを膨張黒鉛シート22の面を内側にして重ね合わせ、それぞれ予め加工しておいた中央のΦ7mmの穴にM6のボルト16を挿入して3Nmのトルクで固定部材18に締結した。
次いで、先に加工した熱電対用の穴にΦ0.5mmの熱電対50aおよび50bをそれぞれ挿入し、さらにプラズマ対向材10a(タイル形状部材20)の面を下にして、115℃に加熱したホットプレート60に載せることによって試験サンプルを得た。アルミブロックおよびプラズマ対向材のそれぞれに取付けた熱電対の温度を測定し、両者の温度差から試験サンプルの伝熱特性を評価した。なお、温度の絶対値は環境の影響(室温、風速など)を受けるため、試験サンプルの加熱開始30分後における温度差を膨張黒鉛シートによる伝熱特性の指標として定義する。測定結果を表1に示す。
なお、伝熱特性の測定後に試験サンプルに用いたプラズマ対向材を切断し、その断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、接着層の厚さは約10μmであり、接着層を構成する樹脂炭化物がタイル形状部材を構成する炭素繊維強化炭素材料表面の気孔からその組織内部にまで浸入していることが確認できた。
次に、本発明によるプラズマ対向材の取付け作業性を確認するために、プラズマ対向材と同一寸法に予め加工したアルミブロックを斜め45°に傾け、プラズマ対向材のタイル形状部材が下面になる配置とし、トルク3Nmの条件下で、同一品10セットの締結作業を実施した。その平均所要時間を測定したところ、40秒/セットであった。
(実施例2)
最初に、かさ密度が0.45g/cm、厚さが1.5mmの膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、製品名「HGP−207」)の表面に、ジヒドロベンゾオキサジン環を含む粉体フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製、RO樹脂、平均粒径25μm)を5g/mの条件で塗布し、1分間加熱して塗布層の樹脂を溶解させ、引き続き100×80mmの寸法にシートを切断した。
次に、実施例1と同一形状に予め加工したタイル形状部材と、先に樹脂を塗布した膨張黒鉛シートとを重ね合わせ、170℃に加熱した熱プレスを用いて、両者を0.5MPaの圧力で10分間保持して熱圧着させて積層体を得た。得られた積層体を200℃で5時間保持して後硬化を実施し、引き続き窒素雰囲気の炉に入れ、20℃/hの昇温速度で900℃まで加熱し、5時間保持して塗布層の樹脂を炭化させることによって接着層を形成した。以上のようにして、タイル形状部材と接着層と膨張黒鉛シートとの積層構造を有する本発明のプラズマ対向材を得た。さらに得られたプラズマ対向材の後処理として、プラズマ対向材を真空熱処理炉内にて800℃まで加熱し、6×10−3Paの圧力下で2時間保持した。
次に、実施例1と同様にして、得られたプラズマ対向材をアルミブロックに取付けて試験サンプルを作製し、プラズマ対向材について伝熱特性を測定した。測定結果を表1に示す。なお、伝熱特性の測定後に試験サンプルに用いたプラズマ対向材を切断し、その断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、接着層の厚さは約5μmであり、接着層を構成する樹脂炭化物が膨張黒鉛シートの組織内部にまで浸入していることが確認できた。
次に、上述のようにして作製したプラズマ対向材を用い、アルミブロックに対して、実施例1と同様にして10セットの締結作業を実施した。その平均所要時間を測定したところ、41秒/セットであった。
(実施例3)
実施例1と同様に、炭素繊維強化炭素材料から構成されるタイル形状部材を準備し、その部材の台座への取付け面にスリーボンド社製の耐熱性無機系接着剤(品番3732)を薄く塗布した後に、100×80×24mmの外寸に切断し、引き続き、膨張黒鉛シートを重ね合わせ、軽く荷重をかけることによって、タイル形状部材と接着層と膨張黒鉛シートとの積層構造を有する本発明のプラズマ対向材を得た。さらに、得られたプラズマ対向材の後処理として、プラズマ対向材を真空熱処理炉に入れ1000℃まで加熱し、引き続き5×10−3Paの圧力下で2時間保持した。
次に、実施例1と同様にして、得られたプラズマ対向材をアルミブロックに取付けて試験サンプルを作製し、プラズマ対向材について伝熱特性を測定した。測定結果を表1に示す。なお、伝熱特性の測定後に試験サンプルに用いたプラズマ対向材を切断し、その断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、接着層の厚さは約15μmであり、接着層を構成する接着剤の無機物が、タイル形状部材を構成する炭素繊維強化炭素材料表面の気孔からその組織内部にまで侵入していることが確認できた。
次に、上述のようにして作製したプラズマ対向材を用い、アルミブロックに対して、実施例1と同様にして10セットの締結作業を実施した。その平均所要時間を測定したところ、39秒/セットであった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様の炭素繊維炭素複合材料からなるタイル形状部材およびアルミブロックを使用し、タイル形状部材のみをアルミブロックに取付けた試験サンプルとして作製した。次いで、作製した試験サンプルの伝熱特性について実施例1と同様の方法および条件に従って測定した。測定結果を表1に示す。また、取付け作業性の比較のために、実施例1と同様の条件下で、アルミブロックに対して、上述のタイル形状部材10セットの締結作業を実施した。その平均所要時間は35秒/セットであった。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と同様のタイル形状部材およびアルミブロックを使用し、さらに、かさ密度が1.0g/cm、厚さ0.7mmの膨張黒鉛シートを間挿材として使用して、対向材の試験サンプルを作製した。より具体的には、接着剤の介在なしにアルミブロック上に、独立した膨張黒鉛シートと炭素繊維炭素複合材料からなるタイル形状部材とを順に重ねて位置を合わせ、さらに締結することによって試験サンプルを作製した。次いで、作製した試験サンプルの伝熱特性について、実施例1と同様の方法および条件に従って測定した。測定結果を表1に示す。
また、取付け作業性の比較のために、実施例1と同様の条件下で、アルミブロックに対して、上述の手順に従い対向材10セットの締結作業を実施した。締結作業時には、間挿材として使用した膨張黒鉛シートの位置がズレないように注意を払う必要があった。その平均所要時間は55秒/セットとなり、実施例1と比較して低効率となった。
(実施例4)
最初に、核融合装置のプラズマ対向材として使用可能な等方性黒鉛材料(日立化成工業株式会社製、製品名「PD−330S」)を使用し、実施例1のタイル形状部材と同様の形状に加工した。次に、タイル形状部材の台座への取付け面に、液状のフェノール樹脂(群栄化学株式会社製、製品名「PL−2211」)100重量部に対し、人造黒鉛粉末(Timcal社製、製品名「KS−4」)を20重量部、メタノールを50重量部の割合で混合した混合液を刷毛で塗布した。引き続き、その塗布層上に、かさ密度が0.2g/cm、厚さが0.9mmであり、予め取付け面と同一寸法に切断しておいた膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、製品名「HGP−207」)を重ね合わせ、軽く荷重をかけて固定し積層体を得た。
得られた積層体を50℃および90℃の各温度で、それぞれ12時間ずつ保持して樹脂を硬化させた。引き続き、窒素雰囲気の炉に入れ、10℃/hの昇温速度で900℃まで加熱し、5時間保持して塗布層の樹脂を炭化させることによって接着層を形成した。以上のようにして、タイル形状部材と接着層と膨張黒鉛シートとの積層構造を有する本発明のプラズマ対向材を得た。さらに得られたプラズマ対向材の後処理として、プラズマ対向材を真空熱処理炉内に入れ1800℃まで加熱し、引き続き5×10−3Paの圧力下で2時間保持した。
次に、上述のようにして作製したプラズマ対向材を実施例1と同様にしてアルミブロックに取付けて試験サンプルを作製し、プラズマ対向材について伝熱特性を測定した。測定結果を表1に示す。なお、伝熱特性の測定後に試験サンプルに用いたプラズマ対向材を切断し、その断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、接着層の厚さは約15μmであった。
次に、上述のようにして作製したプラズマ対向材を用い、実施例1と同様にして、アルミブロックに対して10セットの締結作業を実施した。その平均所要時間を測定したところ、39秒/セットであった。
(比較例3)
比較例3として、実施例4と同様の等方性黒鉛材料からなるタイル形状部材およびアルミブロックを使用し、タイル形状部材のみをアルミブロックに取付けた試験サンプルとして作製し、その伝熱特性について実施例4と同様の方法および条件に従って測定した。測定結果を表1に示す。
また、取付け作業性の比較のために、実施例1と同様の条件下で、アルミブロックに対し、上述のタイル形状部材10セットの締結作業を実施した。その平均所要時間は37秒/セットであった。
(比較例4)
比較例4では、実施例4と同様のタイル形状部材およびアルミブロックを使用し、さらに、かさ密度が1.2g/cm、厚さ1.0mmの膨張黒鉛シートを間挿材として使用して、対向材の試験サンプルを作製した。より具体的には、アルミブロック上に、接着剤の介在なしに独立した膨張黒鉛シートと等方性黒鉛材料からなるタイル形状部材とを順に重ねて位置を合わせ、さらに締結することによって試験サンプルを作製した。次いで、作製した試験サンプルの伝熱特性について、実施例4と同様の方法および条件に従って測定した。測定結果を表1に示す。
また、取付け作業性の比較のために、実施例1と同様の条件下で、アルミブロックに対し、上述の手順に従って対向材10セットの締結作業を実施した。締結作業時には、間挿材として使用した膨張黒鉛シートの位置がズレないように注意を払う必要があった。その平均所要時間は57秒/セットとなり、実施例4と比較して低効率となった。
Figure 0005322093
表1から明らかなように、本発明によるプラズマ対向材によれば、接着剤の介在なしに構成される比較例2及び4の対向材と同等あるいはそれ以上の熱伝導性を達成することができ、その取付け作業性については格段に優れていることが分かる。なお、比較例1および3では、膨張黒鉛シートを使用することなくタイル状部材のみを対向材としているため、取付け作業時間は短くなっているが、熱伝導性に劣る結果となっている。
(実施例5)
最初に、実施例1と同様の炭素繊維強化炭素材料から構成されるタイル形状部材を準備した。このタイル状部材の取付け面に、液状フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製、製品名「VP−231N」)を図4に示すように不連続に塗布した。各塗布領域の寸法はそれぞれ10×10mmであり、隣接する塗布領域の間には10mmの間隔を設けた。この複数の塗布領域からなる塗布層に、上記タイル状部材の取付け面と同一寸法に切断した膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、製品名「HGP−207」、かさ密度が0.50g/cm、厚さが0.5mm)を重ね合わせ、軽く荷重をかけて固定し、積層体を得た。
次いで、得られた積層体を50℃、90℃、および150℃の各温度で10時間ずつ保持して硬化させた後、窒素雰囲気の炉の中で15℃/hの昇温速度で850℃まで加熱し3時間にわたって保持することにより塗布層の樹脂を炭化させることにより接着層を形成した。
上述の方法に従って20個のプラズマ対向材を作製し、得られた各対向材における膨張黒鉛シートの上面を目視にて観察した。観察したプラズマ対向材20個に関し、膨れが確認された対向材の数から、膨れの発生率を算出した。
また、膨れのない対向材の1つについて、実施例1と同様にして伝熱特性を測定した。膨れの発生率と伝熱特性の測定結果を表2に示す。なお、実施例1と同様にして接着層の厚さを確認したところ約10μmであった。
(実施例6)
タイル状部材の取付け面の全面に液状フェノール樹脂を塗布して接着層を構成したこと以外、全て実施例5と同様の方法および条件下で、20個のプラズマ対向材を作製した。膨れの発生率と伝熱特性の測定結果を表2に示す。
(実施例7)
最初に、実施例4と同様の等方性黒鉛材料から構成されるタイル形状部材を準備した。このタイル状部材の取付け面に、液状フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製、製品名「VP−13N」)を図3に示すように不連続に塗布した。各塗布領域の寸法はそれぞれ10×10mmであり、隣接する塗布領域の間には10mmの間隔を設けた。この複数の塗布領域からなる塗布層に、上記タイル状部材の取付け面と同一寸法に切断した膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、製品名「HGP−207」、かさ密度が1.0g/cm、厚さが0.5mm)を重ね合わせ、軽く荷重をかけて固定し、積層体を得た。
次いで、得られた積層体を50℃、90℃、および150℃の各温度で10時間ずつ保持して硬化させた後、窒素雰囲気の炉の中で15℃/hの昇温速度で850℃まで加熱し3時間にわたって保持して塗布層の樹脂を炭化させることにより接着層を形成した。次いで、真空熱処理炉を使用して、180℃まで1×10−3Pa以下の真空度で加熱した。
上述の方法に従って20個のプラズマ対向材を作製し、得られた各対向材における膨張黒鉛シートの上面を目視にて観察した。観察したプラズマ対向材20個に関し、膨れが確認された対向材の数から、膨れの発生率を算出した。また、膨れのない対向材の1つについて、実施例1と同様にして伝熱特性を測定した。膨れの発生率と伝熱特性の測定結果を表2に示す。なお、実施例1と同様にして接着層の厚さを確認したところ約10μmであった。
(実施例8)
タイル状部材の取付け面の全面に液状フェノール樹脂を塗布して接着層を構成したこと以外、全て実施例7と同様の方法および条件下で、20個のプラズマ対向材を作製した。膨れの発生率と伝熱特性の測定結果を表2に示す。
(実施例9)
最初に、かさ密度が1.0g/cm、厚さが0.5mmの膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、製品名「HGP−207」)を実施例5で使用したシートと同一寸法に切断し、さらに複数のΦ1mmの貫通穴を設けた。貫通穴は、図4に示すように、後述する樹脂の不連続な塗布領域の間に対向する配置とした。
次いで、実施例4と同様の等方性黒鉛材料から構成されるタイル形状部材を準備した。このタイル状部材の取付け面に、液状フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製、製品名「VP−13N」)を図4に示すように不連続に塗布した。各塗布領域の寸法はそれぞれ10×10mmであり、隣接する塗布領域の間には10mmの間隔を設けた。この複数の塗布領域からなる塗布層に、上記タイル状部材の取付け面と同一寸法に切断した膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、製品名「HGP−207」、かさ密度が1.0g/cm、厚さが0.5mm)を重ね合わせ、軽く荷重をかけて固定し、積層体を得た。
次いで、得られた積層体を50℃、90℃、および150℃の各温度で10時間ずつ保持して硬化させた後、窒素雰囲気の炉の中で15℃/hの昇温速度で850℃まで加熱し3時間にわたって保持し塗布層の樹脂を炭化させることにより接着層を形成した。次いで、真空熱処理炉を使用して、180℃まで1×10−3Pa以下の真空度で加熱した。
上述の方法に従って20個のプラズマ対向材を作製し、得られた各対向材における膨張黒鉛シートの上面を目視にて観察した。観察したプラズマ対向材20個に関し、膨れが確認された対向材の数から、膨れの発生率を算出した。また、膨れのない対向材の1つについて、実施例1と同様にして伝熱特性を測定した。膨れの発生率と伝熱特性の測定結果を表2に示す。なお、実施例1と同様にして接着層の厚さを確認したところ約10μmであった。
(実施例10)
タイル状部材の取付け面の全面に液状フェノール樹脂を塗布して接着層を構成したこと以外、全て実施例9と同様の方法および条件下で20個のプラズマ対向材を作製した。本実施例では実施例9と同様に貫通穴を設けた膨張黒鉛シートを使用した。膨れの発生率と伝熱特性の測定結果を表2に示す。
Figure 0005322093
表2から明らかなように、実施例5〜10の本発明によるプラズマ対向材は、実施例1〜4の対向材と同様に、いずれも優れた伝熱特性を示すことが分かる。また、接着層を不連続な複数の領域から構成し、さらにその領域間に対向する膨張黒鉛シート部分に任意に複数の貫通穴を設けることによって、膨れの発生をより効果的に抑制できることが分かる。
プラズマ対向材の台座への一般的な取付け形態を示す模式的断面図である。 本発明によるプラズマ対向材の一実施形態を拡大して示す模式的断面図である。 本発明によるプラズマ対向材の一実施形態を模式的に示すものであり、(a)は平面図、(b)はA−A線に沿った断面図である。 本発明によるプラズマ対向材の一実施形態を模式的に示すものであり、(a)は平面図、(b)はB−B線に沿った断面図である。 実施例で伝熱特性の測定のために作製した試験サンプルの構造を示す模式的断面図である。
符号の説明
10 プラズマ対向材タイル
10a プラズマ対向材
12 膨張黒鉛シート
14 取付け台座
16 締結ボルト
18 固定部材
20 タイル形状部材
22 膨張黒鉛層(膨張黒鉛シート)
24 ボルト穴
26 貫通穴
30、32 接着層
34 空間
40 アルミブロック
50a,50b 熱電対
60 ホットプレート

Claims (12)

  1. 核融合装置内のプラズマ発生源に対向させて台座に取付けられるプラズマ対向材であって、黒鉛材料または炭素繊維強化炭素材料を含むタイル形状部材と、前記タイル形状部材の前記台座への取付け面の少なくとも一部に設けられ一体化された膨張黒鉛層とを有し、
    前記タイル形状部材と前記膨張黒鉛層との間に、互いに不連続な複数の領域から構成される接着層を有し、前記タイル形状部材と非接着となる前記膨張黒鉛シートの領域に少なくとも1つの貫通穴が設けられている
    ことを特徴とするプラズマ対向材。
  2. 前記接着層が熱硬化性樹脂の炭化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ対向材。
  3. 前記接着層が炭素粉または黒鉛粉をさらに含み、前記炭素粉または黒鉛粉は前記熱硬化性樹脂の炭化物中に分散していることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ対向材。
  4. 前記熱硬化性樹脂の炭化物が、前記タイル形状部材および前記膨張黒鉛シートの少なくとも一方の組織内部に浸入していることを特徴とする請求項2または3に記載のプラズマ対向材。
  5. 前記接着層が無機系接着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ対向材。
  6. 前記無機系接着剤がタイル形状部材および膨張黒鉛シートの少なくとも一方の組織内部に侵入していることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ対向材。
  7. 核融合装置内のプラズマ発生源に対向させて台座に取付けられ、黒鉛材料または炭素繊維強化炭素材料を含むタイル形状部材と、前記タイル形状部材の前記台座への取付け面の少なくとも一部に設けられ一体化された膨張黒鉛層とを有し、前記タイル形状部材と前記膨張黒鉛層との間に、互いに不連続な複数の領域から構成される接着層を有し、前記タイル形状部材と非接着となる前記膨張黒鉛シートの領域に少なくとも1つの貫通穴が設けられているプラズマ対向材の製造方法であって、
    前記タイル形状部材の台座への取付け面および前記膨張黒鉛シートの表面の少なくとも一方に接着剤を塗布する工程と、
    前記接着剤を介して前記タイル形状部材と前記膨張黒鉛シートとを貼り合わせて積層体を形成し、次いで前記接着剤を硬化させる工程と、
    前記積層体を熱処理する工程と
    を有することを特徴とする、プラズマ対向材の製造方法。
  8. 前記接着剤が熱硬化性樹脂を含み、前記熱処理の工程で前記熱硬化性樹脂の炭化および焼成が実施されることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ対向材の製造方法。
  9. 前記熱硬化性樹脂中に炭素粉または黒鉛粉が分散されていることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマ対向材の製造方法。
  10. 前記接着剤が無機系接着剤を含み、前記熱処理の工程が800℃以上の温度で実施されることを特徴とする、請求項7に記載のプラズマ対向材の製造方法。
  11. 前記熱処理の工程後に、非酸化性の雰囲気下、1500℃以上の高温で熱処理する工程をさらに有することを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のプラズマ対向材の製造方法。
  12. 前記熱処理の工程後に、500℃以上、10−2Pa以下の圧力下で真空熱処理する工程をさらに有することを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載のプラズマ対向材の製造方法。
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