JP2014074214A - 絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロム化合物を含有していなくても耐食性、密着性、耐粉吹き性に優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板、及びその絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】電磁鋼板の表面に、反応性官能基を有するシラン化合物の硬化反応により形成される絶縁被膜を有する絶縁被膜付き電磁鋼板において、絶縁被膜にSiおよびNを含有させ、絶縁被膜中のSiとNとのモル比(N/Si)を0.30〜0.80とし、絶縁被膜を95℃の熱水に10分間浸漬する浸漬試験前後における、絶縁被膜の質量変化率((浸漬後の絶縁被膜の質量/浸漬前の絶縁被膜の質量)×100)である固定率を50%以上とし、絶縁被膜中の、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数の平均値を2.4〜3.6とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、クロムを含有せず、密着性、耐食性、耐粉吹き性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板に関するものである。
モータや変圧器等に使用される電磁鋼板の絶縁被膜には、層間抵抗だけでなく、加工成形時の利便性および保管、使用時の安定性など種々の特性が要求される。電磁鋼板は多様な用途に使用されるため、その用途に応じて種々の絶縁被膜の開発が行われている。電磁鋼板に打抜加工、せん断加工、曲げ加工などを施すと残留歪みにより磁気特性が劣化するので、これを解消するために750〜850℃程度の温度で歪取り焼純を行う場合が多い。従って、この場合には、絶縁被膜が歪取り焼鈍に耐え得るものでなければならない。
絶縁被膜は大別して、(1)溶接性、耐熱性を重視し、歪取り焼鈍に耐える無機被膜、(2)打抜性、溶接性の両立を目指し歪取り焼鈍に耐える樹脂含有の無機被膜(すなわち、半有機被膜)、(3)特殊用途で歪取り焼鈍不可の有機被膜の3種に分類される。汎用品として歪取り焼鈍に耐えるのは、上記(1)、(2)に示した無機成分を含む被膜であり、両者ともクロム化合物を含むものであった。
特に、(2)のタイプのクロム酸塩系絶縁被膜は、1コート1ベークの製造で無機系絶縁被膜に比較して打抜性を格段に向上させることができるので広く利用されている。
例えば、特許文献1には、少なくとも1種の2価金属を含む重クロム酸塩系水溶液に樹脂エマルジョンを配合してなる処理液を用いる技術が記載されている。この処理液には、該水溶液中のCrO3:100質量部に対し、有機樹脂として酢酸ビニル/ベオバ比が90/10〜40/60の割合になる樹脂エマルジョンが樹脂固形分で5〜120重量部の割合で配合され、さらに有機還元剤が10〜60重量部の割合で配合される。特許文献1には、この処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、常法による焼付けを施して製造された絶縁被膜付き電磁鋼板が記載されている。
しかし、昨今、環境意識が高まり、電磁鋼板の分野においてもクロム化合物を含まない絶縁被膜を有する製品が需要家等からも望まれている。
そこで、クロム化合物を含まない絶縁被膜付き電磁鋼板が開発されている。例えば、リン酸塩等の無機主体の絶縁被膜を有する電磁鋼板が挙げられるが、この技術では脱水縮合させるため300℃程度以上の高い焼付温度が必要である。また、シラン化合物を使用した絶縁被膜を有する電磁鋼板が開発された。シラン化合物は200℃程度以下の低い温度で反応できるため有望な絶縁被膜形成材料であり検討がなされてきた。
例えば、特許文献2には有機ジもしくはトリアルコキシシランまたはその縮合物を主成分とする処理液を焼付硬化させた絶縁被膜が記載されている。特許文献3にはシランカップリング剤などの有機金属化合物による張力絶縁被膜が記載されている。しかし、これらシラン化合物による絶縁被膜付き電磁鋼板は、クロム化合物を含む場合と比べ、無機物同士の結合が比較的弱く、密着性、耐食性が劣化するという問題があった。また、スリット加工においてフェルトで鋼板表面を擦ってバックテンションをかけた場合(テンションパッドの使用)、粉吹き発生の問題があった。また、絶縁被膜として重要な層間抵抗の向上効果が不十分であった。
以上のようにシランカップリング剤を用いた被膜は、種々検討されてきたが、絶縁被膜として十分なものはなかった。
特公昭60−36476号公報 特開昭62−50483号公報 特開2001−279459号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、クロム化合物を含有していなくても耐食性、密着性、耐粉吹き性に優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板、及びその絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
そこで、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、特定量のNを含み、特定以上の固定率を有し、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数の平均値が特定量であるシラン化合物被膜により、上記の問題が有利に解決されることを見出した。本発明は、上記の知見に立脚するものである。すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)電磁鋼板の表面に、反応性官能基を有するシラン化合物の硬化反応により形成される絶縁被膜を有し、前記絶縁被膜は、SiおよびNを含み、前記絶縁被膜中のSiとNとのモル比(N/Si)が0.30〜0.80であり、前記絶縁被膜を95℃の熱水に10分間浸漬する浸漬試験前後における、前記絶縁被膜の質量変化率((浸漬後の絶縁被膜の質量/浸漬前の絶縁被膜の質量)×100)である固定率が50%以上であり、前記絶縁被膜中の、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数の平均値が2.4〜3.6である絶縁被膜付き電磁鋼板。
(2)前記絶縁被膜中の全Si原子に対する、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が3である割合が40モル%以上である請求項1記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
(3)アミノ基を有するアルコキシシラン(A)と、エポキシ基を有するアルコキシシラン(B)とを配合してなる処理液を電磁鋼板の表面に塗布する塗布工程と、前記電磁鋼板の表面に塗布された処理液を、最高到達鋼板温度が100〜350℃となる条件で加熱して、前記電磁鋼板の表面に絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成工程と、を備え、前記処理液に配合される前記(A)成分と前記(B)成分とのモル比(A/B)が0.40〜4.0である絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
クロム化合物を含有していなくても耐食性、密着性、耐粉吹き性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板を得ることができる。
絶縁被膜のN/Siモル比が密着性に与える影響を示した図である。 絶縁被膜の固定率が密着性に与える影響を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明は、電磁鋼板の表面に絶縁被膜が形成された絶縁被膜付き電磁鋼板である。以下、本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板について、絶縁被膜、電磁鋼板の順で説明する。
絶縁被膜は、反応性官能基を有するシラン化合物の硬化反応により形成される被膜である。絶縁被膜はどのような形態の原料から形成されてもよく、例えば、上記シラン化合物を含む処理液を原料として用いることができる。以下、処理液を用いる場合を例にして、絶縁被膜に含まれる成分を説明するが、本発明における絶縁被膜は、処理液以外の形態の原料から形成されてもよい。
シラン化合物は反応性官能基を有するシランカップリング剤やアルコキシシランである。反応性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、チオール基、ビニル基、ハロアルキル基等が挙げられる。これらの反応性官能基を有するシラン化合物を用いれば、反応性官能基の反応によって絶縁被膜が形成されるため、絶縁被膜と電磁鋼板の表面との密着性、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性、絶縁被膜の耐粉吹き性が高まる。
本発明においては、アミノ基を有するアルコキシシラン(本明細書において「アミノシラン」という場合がある)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(本明細書において「エポキシシラン」という場合がある)が好適に適用される。アルコキシシランの重縮合のみではなく、アミノ基とエポキシ基の反応によっても被膜が形成されることで、絶縁被膜と電磁鋼板の表面との密着性、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性、絶縁被膜の耐粉吹き性の全てにおいて非常に優れる。
アミノシランとしては例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
エポキシシランとしては例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。
これらは、単独添加は勿論のこと、2種以上複合して用いることもできる。なお、本発明の範囲内でアミノシラン、エポキシシラン以外のシランカップリング剤やアルコキシシランを添加することができる。
アミノシランを(A)成分とし、エポキシシランを(B)成分としたときに、(A)成分と(B)成分とのモル比(A/B)は0.40〜4.0であることが好ましい。上記モル比がこの範囲にあれば、後述する固定率を50%以上に調整しやすいため好ましい。より好ましい上記モル比は0.6〜2.0であり、最も好ましいモル比は0.8〜1.5である。
処理液中の全固形分におけるシラン化合物の含有量は特に限定されず、絶縁被膜中のSiとNのモル比(N/Si)、固定率、絶縁被膜中でSi原子1個当たりに結合する酸素原子(O)の数の平均値が後述する範囲になるように調整すればよい。本発明においては、アルコキシシランを60質量%以上使用することが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、最も好ましくは95質量%以上である。
本発明では、処理液中の固形分がシラン化合物からなるものを好ましく使用することができるが、本発明では発明の効果を損なわない範囲内で樹脂、顔料、防錆剤、界面活性剤などを適宜添加することができる。シラン化合物以外のその他の成分の添加量には特に制限はないが、好ましくは40質量%以下が好ましい。より好ましいその他の成分の含有量は20質量%以下であり、最も好ましくは5質量%以下である。
特に本発明においては、処理液の安定性のため、酢酸などの安定化剤を処理液に0.1〜2.0質量%程度添加することが有利である。
なお、その他の成分として、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、シリコーン樹脂シロキサン等のSi原子やN原子を含むものが使用される場合、後述するモル比(N/Si)を導出する際に測定するSi含有量やN含有量には、これらのその他の成分に含まれるSi原子やN原子も含めたSi含有量やN含有量を測定する。
次いで、上記のような処理液を用いて、電磁鋼板の表面に形成した絶縁被膜について説明する。
絶縁被膜は、Si及びNを含む。Siを含むことで歪取り焼鈍にも耐え、密着性および耐粉吹き性を向上させるという効果が得られる。また、Nを含むことで耐食性を高めるという効果が得られる。さらに、本発明においては、絶縁被膜がOも含むことが好ましい。Oを含むことで耐食性を高め、密着性および耐粉吹き性を向上させるという効果が得られる。
絶縁被膜は、絶縁被膜に含まれるSi含有量とN含有量との比がモル比(N/Si)で0.30〜0.80である。モル比が上記範囲にあれば、絶縁被膜と電磁鋼板の表面との密着性、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性、絶縁被膜の耐粉吹き性の全てにおいて優れる。なお、N含有量の測定方法、Si含有量の測定方法は以下の通りである。
N含有量を測定する方法は、測定できれば特に制限されないが、例えばケルダール法によって測定することができる。また、蛍光X線分光分析により測定できる。電磁鋼板中のN含有量をブランクとして測定結果から差し引くことで、絶縁被膜中のN含有量を測定できる。ここで、N含有量は絶縁被膜中の平均値として考える。
Si含有量を測定する方法は、測定できれば特に制限されないが、例えば、ICP、蛍光X線分光分析で測定可能である。電磁鋼板中のSi含有量をブランクとして測定結果から差し引くとで、絶縁被膜中のSi含有量として測定できる。また、Si含有量は被膜中の平均値として考える。
また、絶縁被膜は、絶縁被膜を95℃の熱水に10分間浸漬する浸漬試験前後における、絶縁被膜の質量変化率((浸漬後の絶縁被膜の質量/浸漬前の絶縁被膜の質量)×100)である固定率が50%以上である。固定率が50%以上であれば、未反応の反応性官能基(アミノ基、エポキシ基など)が少なくなるという理由で、絶縁被膜と電磁鋼板の表面との密着性、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性、絶縁被膜の耐粉吹き性の全てにおいて優れる。より好ましい固定率は70%以上である。
また、絶縁被膜中のSi原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数の平均値が2.4〜3.6であることが必要である。Si−Oの結合を持つ絶縁被膜は、原料としてアルコキシシリル基、シラノール基などを含むシラン化合物を含有する処理液を用いればよい。シラン化合物としては、1官能性であるRSi(OSi)、2官能性であるRSi(OSi)、3官能性であるRSi(OSi)、4官能性であるSi(OSi)(なお、RはH又は有機官能基であり、2以上のRはそれぞれ異なってもよい)のシラン化合物の1種または2種以上を好ましく使用できる。このような処理液を用いて、硬化反応によりシロキサン結合を生成させることで絶縁被膜を得ることができる。1つのSi原子に化学結合しているO(酸素)の平均数は固体NMR(Dipolar Decoupling法)で確認することができる。日本電子製のJNM−ECAシリーズで測定できる。Si原子1個あたりに結合しているO(酸素)の数が平均で2.4以上であれば架橋が充分であり、絶縁被膜と電磁鋼板の表面との密着性、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性、絶縁被膜の耐粉吹き性の全てにおいて優れる。3.6以下であれば、絶縁被膜は脆化傾向がほとんどなく、絶縁被膜と電磁鋼板の表面との密着性、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性、絶縁被膜の耐粉吹き性の全てにおいて優れる。また、絶縁被膜の透明度がほとんど低下せず、絶縁被膜付き電磁鋼板の外観も良好である。
また、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が3であるシラン化合物はSi原子同士が3次元ネットワークを形成し、被膜強度を高める効果があり、耐粉吹き性に有利である。このため、絶縁被膜中の全Si原子に対する、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が3である割合が40モル%以上である絶縁被膜であることが好ましい。上記割合が40モル%以上であれば、絶縁被膜の耐粉吹き性が顕著に高まるため好ましい。より好ましい上記割合は80モル%以上である。なお、上記割合は上記した固体NMRでSi−O、Si−O、Si−O、Si−Oの存在割合から、導出することができる。
絶縁被膜中の全Si原子に対する、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が2以下である割合が少ない方が、耐粉吹き性の観点から好ましい。Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が2以下であるシラン化合物はSi原子同士が3次元ネットワークを取りにくく、被膜強度が低下する傾向にある。しかしながら、上記割合が30モル%以下であれば、優れた耐粉吹き性に必要な被膜強度を保持できるため好ましい。より好ましくは10モル%以下である。なお、上記割合の導出方法は、絶縁被膜中のSi原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が3である割合の導出方法と同様である。
絶縁被膜中の全Si原子に対する、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が4である割合が少ない方が、上記固定率が高まり、絶縁被膜の性能が向上しやすいという観点から好ましい。Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が4であるシラン化合物はSi原子同士が3次元ネットワークを形成しうる、剛直な結合になり、結合の欠陥が増加するため、却って上記固定率や被膜性能が低下する傾向となる。しかしながら、上記割合が30モル%以下であれば、問題を生じることがないので、好ましい。より好ましくは10モル%以下である。なお、上記割合の導出方法は、絶縁被膜中のSi原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が3である割合の導出方法と同様である。
絶縁被膜の電磁鋼板表面への付着量は特に限定しないが、片面当たり0.05〜5g/m程度とすることが好ましい。付着量、すなわち本発明の絶縁被膜の全固形分質量は、アルカリ剥離による被膜除去後の重量減少から測定することができる。また、付着量が少ない場合には蛍光X線とアルカリ剥離法との検量線から測定することができる。付着量が0.05g/m以上であれば、絶縁被膜付き電磁鋼板は非常に優れた耐食性を有し、絶縁被膜も充分な絶縁性を絶縁被膜つき電磁鋼板に付与できる。付着量が5g/m以下であれば、絶縁被膜と電磁鋼板表面との間の密着力が充分高く、塗装焼付時にふくれが発生することがほとんど無いため塗装性に非常に優れる。より好ましくは0.10〜3.0g/mである。絶縁被膜は電磁鋼板の両面にあることが好ましいが、目的によっては片面のみでも構わない。また、目的によっては片面のみ施し、他面は他の絶縁被膜としても構わない。
次いで、電磁鋼板について説明する。本発明において、素材である電磁鋼板としては、特に制限はなく、従来から公知のものいずれもが適合する。
すなわち、磁束密度の高いいわゆる軟鉄板(電気鉄板)やSPCC等の一般冷延鋼板、また比抵抗を上げるためにSiやAlを含有させた無方向性電磁鋼板や結晶方向を1方向に揃えた方向性電磁鋼板など、いずれもが有利に適合する。
次に、絶縁被膜の形成方法について説明する。本発明では、素材である電磁鋼板の前処理については特に規定しない。すなわち、未処理でもよいが、アルカリなどの脱脂処理、塩酸、硫酸、リン酸などの酸洗処理を施すことは有利である。
そして、この電磁鋼板の表面に、シラン化合物を所定の割合で配合した処理液を塗布する塗布工程を行う。上述の通り、シラン化合物として、アミノシラン(A)とエポキシシラン(B)を用い、モル比(A/B)を0.40〜4.0にすることが、上記固定率を高めやすい観点から好ましい。なお、絶縁被膜用処理液の塗布方法は、一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。
次いで、表面に塗布された塗布液を加熱することにより(以下、加熱を「焼付け」という場合がある)絶縁被膜を形成させる。また、焼き付け方法についても、通常実施されるような熱風式、赤外式、誘導加熱式等が可能である。焼付け温度も通常レベルであればよく、加熱時間が1秒〜10分程度で、最高到達鋼板温度で100〜350℃程度となるようにすればよい。好ましい焼付け条件の一例としては、誘導加熱式の焼付け方法を採用し、1〜10秒加熱して最高到達鋼板温度が100〜350℃となる条件である。
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、歪取り焼鈍を施してもよい。歪取り焼鈍を施すことで、打抜き加工による歪みを除去することができる。好ましい歪取り焼鈍雰囲気としては、N2雰囲気、DXガス雰囲気などの鉄が酸化されにくい雰囲気が適用される。ここで、露点を高く、例えばDp:5〜60℃程度に設定し、表面および切断端面を若干酸化させることで耐食性をさらに向上させることができる。また、好ましい歪取り焼鈍温度としては700〜900℃、より好ましくは750〜850℃である。歪取り焼鈍温度の保持時間は長い方が好ましいが、2時間以上がより好ましい。保持時間の上限は特に限定されないが、保持時間が長すぎると、絶縁被膜付き電磁鋼板の生産性が低下するため、10時間以下であることが好ましい。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1に示すシラン化合物を、焼付け後の絶縁被膜の成分が表2に示す割合になるように酢酸2.0質量%を含む脱イオン水に添加し、処理液とした。なお、脱イオン水量に対するシラン化合物の添加濃度は合計で50g/lとした。
これらの各処理液を、板厚:0.5mmの電磁鋼板〔A230(JIS C 2552(2000))〕から幅:150mm、長さ:300mmの大きさに切り出した試験片の表面にロールコーターで塗布し、IH焼付け炉により、表3に示す各焼付け温度(最高到達鋼板温度)になるように、3秒間加熱した後、常温に放冷して、絶縁被膜を片面に形成した。付着量は1.0g/m2とした。
かくして得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の密着性、耐食性および耐粉吹き性について調べた結果を、表3、図1(比較例1、比較例2、実施例1〜6、比較例3、4)、図2(比較例5、6、実施例7〜10)に示す。
さらに、窒素雰囲気中にて750℃、2時間の歪取り焼鈍を行ったのちの密着性について調査を行い、得られた結果を表3に併記する。
また、各特性の評価方法は次のとおりである。
<外観>
被膜表面の外観を、以下の判定基準で目視判定した。
(判定基準)
◎:均一
○:軽度のムラがあるが、ほぼ均一
△:ムラあり
×:激しいムラまたは白濁あり
<密着性>
供試材の被膜表面に対してセロハン粘着テープを貼り、10mmΦの圧縮側となるように曲げた後にセロハン粘着テープを剥がし、被膜の残存率を下記の判定基準で目視判定した。
(判定基準)
◎:残存率 75%以上
○:残存率 50%以上、75%未満
△:残存率 25%以上、50%未満
×:残存率 25%未満
<耐食性>
端面および裏面をシールした被膜付き電磁鋼板に対して湿潤試験(50℃、相対湿度 >98%)を行い、48時間後の赤錆発生率を目視で観察し、被膜付き電磁鋼板の耐食性を、面積率を用いた下記判定基準で評価した。
(判定基準)
◎:赤錆発生面積率 20%未満
○:赤錆発生面積率 20%以上、40%未満
△:赤錆発生面積率 40%以上、60%未満
×:赤錆発生面積率 60%以上
<耐粉吹き性>
試験条件;フェルト接触面幅20mm×10mm、荷重:0.4MPa(3.8kg/cm2)、被膜表面を100回単純往復。試験後の擦り跡を目視観察し、被膜の剥離状態および粉吹き状態を下記の判定基準で評価した。
(判定基準)
◎:ほとんど擦り跡が認められない
○:若干の擦り跡および若干の粉吹きが認められる程度
△:被膜の剥離が進行し擦り跡および粉吹きがはっきりわかる程度
×:地鉄が露出するほど剥離し粉塵が甚大
Figure 2014074214
Figure 2014074214
Figure 2014074214
表2、3から明らかなように、本発明によれば、絶縁被膜が充分な絶縁性を備えながら、絶縁被膜と電磁鋼板の表面との密着性、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性、絶縁被膜の耐粉吹き性の全てにおいて優れる。また、図1は、絶縁被膜のN/Siモル比が密着性に与える影響を示した図である。図1から、N/Siモル比と密着性との関係を確認できる。さらに、図2は、絶縁被膜の固定率が密着性に与える影響を示した図である。図2から、固定率と密着性との関係を確認できる。

Claims (3)

  1. 電磁鋼板の表面に、反応性官能基を有するシラン化合物の硬化反応により形成される絶縁被膜を有し、
    前記絶縁被膜は、SiおよびNを含み、
    前記絶縁被膜中のSiとNとのモル比(N/Si)が0.30〜0.80であり、
    前記絶縁被膜を95℃の熱水に10分間浸漬する浸漬試験前後における、前記絶縁被膜の質量変化率((浸漬後の絶縁被膜の質量/浸漬前の絶縁被膜の質量)×100)である固定率が50%以上であり、
    前記絶縁被膜中の、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数の平均値が2.4〜3.6である絶縁被膜付き電磁鋼板。
  2. 前記絶縁被膜中の全Si原子に対する、Si原子1個当たりに結合している酸素原子(O)の数が3である割合が40モル%以上である請求項1記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
  3. アミノ基を有するアルコキシシラン(A)と、エポキシ基を有するアルコキシシラン(B)とを配合してなる処理液を電磁鋼板の表面に塗布する塗布工程と、
    前記電磁鋼板の表面に塗布された処理液を、最高到達鋼板温度が100〜350℃となる条件で加熱して、前記電磁鋼板の表面に絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成工程と、を備え、
    前記処理液に配合される前記(A)成分と前記(B)成分とのモル比(A/B)が0.40〜4.0である絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
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