JP2014069875A - 二重容器、その容器用プリフォーム、及びその容器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物の注出に伴う内層体の底部の持ち上がりを防止でき、また内層体を均等に減容させることができる二重容器を提案する。
【解決手段】本発明の二重容器は、内容物を収納する充填空間Mを有し、充填空間Mの減容を可能とする内層体10と、内層体10を内側に収納する外層体20とを備え、外層体20は、その底部24に貫通孔26を有し、内層体10は、貫通孔26から外側へ突き出す突出部16と、突出部16から張り出して貫通孔26に係止される環状爪部17とを備え、貫通孔26の周壁及び突出部16の外周壁の少なくとも一方に、外層体20と内層体10との相互間に外気を導入する溝部18を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内容物の充填空間を有するとともに内容物の注出に伴って減容する内層体と、この内層体を内側に収納する外層体とを備える二重容器、その容器用プリフォーム、及びその容器の製造方法に関するものである。
化粧水などの化粧料やシャンプーやリンスあるいは液体石鹸、各種の薬剤、また食品調味料などを収納する容器としては、内容物の充填空間を有する内層体と、この内層体を剥離可能に収納するとともに内層体との間に外気を取り込む導入口を備える外層体とからなり、内容物の注出に伴って内層体を減容できるようにした二重容器が知られている。(例えば特許文献1参照)。この種の容器は、充填空間内の内容物と外気との置換を行うことなく内容物を注出することができるので、特に、外気との接触によって品質が低下するおそれのある内容物を収納する容器として好適である。
また、このような二重容器を製造する方法として、例えば特許文献2には、有底円筒形状となる外側プリフォーム(外層ピースA’)と、外側プリフォーム内に嵌合する内側プリフォーム(内層ピースB’)とをそれぞれ成形し、内側プリフォームを外側プリフォームに嵌め合わせて延伸可能な温度まで加熱した後、延伸ピンで延伸させながらブロー成形することが示されている。
特開2011−136704号公報 実開昭53−25856号公報
ところで、このような二重容器に、例えばポンプ機能を有するとともに内層体の底部に向けて延びる吸引チューブを備える吐出器を装着して使用する場合には、内容物の注出に伴い内層体の底部が口部側に持ち上げられて吸引チューブの先端開口を塞いでしまい、内容物の注出が行い難くなることがあった。また、内層体の減容が不均一に進んで胴部が括れるように潰れてしまい、胴部の下方に内容物を残したままその中間部が閉塞されてしまうこともあった。このため、内容物の注出が進んで内層体が減容しても内層体の底部の持ち上がりが防止でき、また、内層体が均等に減容して内容物を最後まで無駄なく注出させることができる新たな二重容器が求められていた。
本発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、内容物の注出に伴う内層体の底部の持ち上がりを確実に防止でき、また内層体を均等に減容させることができる新規の二重容器を提案するところにある。
本発明は、内容物を収納する充填空間を有し該充填空間の減容を可能とする内層体と、該内層体を内側に収納する外層体とを備える二重容器であって、
前記外層体は、その底部に貫通孔を有し、
前記内層体は、該貫通孔から外側へ突き出す突出部と、該突出部から張り出して該貫通孔に係止される環状爪部とを備え、
該貫通孔の周壁及び該突出部の外周壁の少なくとも一方に、該外層体と該内層体との相互間に外気を導入する溝部を有する二重容器である。
また本発明は、内容物を収納する充填空間を有し該充填空間の減容を可能とする内層体と、該内層体を内側に収納する外層体とを備える二重容器を成形するためのプリフォームであって、
前記プリフォームは、前記内層体を形成する内側プリフォームと前記外層体を形成する外側プリフォームとからなり、
前記外側プリフォームは、その底部に貫通孔を有し、
前記内側プリフォームは、該貫通孔から外側へ突き出す突出部と、該突出部から張り出して該貫通孔に係止される環状爪部とを備え、
該貫通孔の周壁及び該突出部の外周壁の少なくとも一方に、該外層体と該内層体との相互間に外気を導入する溝部を有するプリフォームである。
前記プリフォームにて二重容器を成形するにあたり、
前記内側プリフォームを前記外側プリフォームに挿入するとともに、前記環状爪部を前記貫通孔に係止させ、
次いで、該内側プリフォーム及び該外側プリフォームを延伸可能な温度まで加熱した後、二軸延伸ブロー成形を行うことが好ましい。
二重容器を、減容可能な内層体とこの内層体を内側に収納する外層体にて構成し、外層体の底部に貫通孔を設け、内層体に、貫通孔から外側に突き出す突出部と、この突出部から張り出して貫通孔に係止される環状爪部とを設けたので、内層体の底部は外層体に係合保持されて口部側への持ち上がりが防止され、また、内層体を均等に減容させることができる。また、貫通孔の周壁及び突出部の外周壁の少なくとも一方に、外層体と内層体との相互間に外気を導入する溝部を設けたので、内層体の減容が阻害されることがなく、また溝部は、容器の底部に設けられることになるので目立ちにくく、見栄えが損なわれることがない。
また、このような二重容器を、内層体を形成する内側プリフォームと外層体を形成する外側プリフォームとからなり、外側プリフォームの底部に設けた貫通孔から突き出す突出部及びこの貫通孔に係止される環状爪部を内側プリフォームに設けるとともに、貫通孔の周壁及び突出部の外周壁の少なくとも一方に、外層体と内層体との相互間に外気を導入する溝部を設けたプリフォームにて成形することが好ましい。この場合、内側プリフォームを外側プリフォームに挿入するとともに環状爪部を貫通孔に係止させ、次いで、内側プリフォーム及び外側プリフォームを延伸可能な温度まで加熱した後、二軸延伸ブロー成形を行えば、上述した二重容器を簡単に成形することができる。
本発明に従う二重容器の実施形態を一部断面で示す側面図であり、破線部分は、この二重容器の二軸延伸ブロー成形前のプリフォームを示す側面図である。 図示しない吐出器にて内容物を注出して内層体が減容した状態を、一部断面で示した側面図である。 図2に示す二重容器の底部周辺の拡大図である。 図1に示す二重容器のプリフォームにつき、内層体を形成する内側プリフォームを一部断面で示した側面図である。 図1に示す二重容器のプリフォームにつき、外層体を形成する外側プリフォームを一部断面で示した側面図である。 図4に示す内側プリフォーム及び図5に示す外側プリフォームを組み合わせた状態を一部断面で示した側面図である。
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う二重容器の実施形態を一部断面で示す側面図であり、破線部分は、この二重容器の二軸延伸ブロー成形前のプリフォームを示す側面図であって、図2は、図示しない吐出器にて内容物を注出して内層体が減容した状態を、一部断面で示した側面図であって、図3は、図2に示す二重容器の底部周辺の拡大図であって、図4は、図1に示す二重容器のプリフォームにつき、内層体を形成する内側プリフォームを一部断面で示した側面図であって、図5は、図1に示す二重容器のプリフォームにつき、外層体を形成する外側プリフォームを一部断面で示した側面図であって、図6は、図4に示す内側プリフォーム及び図5に示す外側プリフォームを組み合わせた状態を一部断面で示した側面図である。
図1において、符号1は、本発明に従う二重容器である。二重容器1は、その内側に内容物を収納する充填空間Mを有するとともに、この充填空間Mの減容を可能とする内層体10と、内層体10を内側に収納する外層体20とを備えている。なお、図1に示す破線部分は、後述する製造方法にて二重容器1を成形するプリフォーム2を示している。
内層体10及び外層体20との相互間は、内層体10のみを減容させるために剥離可能となっていて、本実施形態では、内層体10をPP(ポリプロピレン)製とし、外層体20をPET(ポリエチレンテレフタレート)製としている。なお、内層体10及び外層体20の材質は、剥離可能であれば同材質でも異材質でもよく、他にもPE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)等、適宜選択することができる。
本実施形態において内層体10は、円筒状の口部11と、口部11に肩部12を介して連結し口部11よりも大径となる円筒状の胴部13と、胴部13の下端部を閉鎖する底部14とを備えていて、これら口部11、肩部12、胴部13、及び底部14にて区画した内側空間を充填空間Mとしている。また、口部11の上端部には、径方向外側に向けて折り返した環状の折り返し部15が設けられている。そして底部14の中心部には、口部11に対して反対側に突き出す円筒状の突出部16と、突出部16の先端から径方向外側に向けて張り出す環状爪部17とが設けられている。
外層体20は、口部11を取り囲むとともにその外周面にねじ部を設けた口部21と、口部21に肩部22を介して連結し胴部13を取り囲む円筒状の胴部23と、底部14を内側に収めて胴部23の下端部を閉鎖する底部24とを備えている。また口部21の上部には折り返し部15に係合する環状壁25が設けられている。そして、底部24の中心部には貫通孔26が設けられている。貫通孔26は、突出部16を内側から外側に向けて挿通させるとともに、その端部に環状爪部17を係止させることができる。なお、底部24は、図1に示すように突出部16及び環状爪部17が、底部24の外縁部よりも外側に飛び出さない位置まで径方向内側に向かって上向きに傾斜しているので、二重容器1を起立させた状態で、これら突出部16及び環状爪部17が邪魔になることはない。
ここで本実施形態では、図3に示すように、突出部16の外周壁に溝部18を設けていて、この溝部18を通して内層体10と外層体20との相互間に外気を導入することができる。なおここでは、溝部18を環状爪部17まで延在させている。また、図示は省略するが、この溝部は貫通孔26の周壁に設けていてもよい。また、この溝部は突出部16の外周壁及び貫通孔26の周壁の少なくとも一方に設けていればよい。
上記のように構成される二重容器1は、図示は省略するが、例えばヘッドの押し込み動作の繰り返しによってポンプを駆動させて充填空間M内の内容物を注出可能とする吐出器を、口部21に固定保持して使用される。そして、充填空間M内の内容物が注出されるに伴って、図2に示すように内層体10は減容していくが、内層体10の底部14は、環状爪部17が外層体20の貫通孔26に係止されているので、口部側に向かう持ち上がりが防止できる。また、内層体10は、折り返し部15が環状壁25に係合して口部11の先端も係止されていて、胴部13は内容物の注出に従って二重容器1の中心軸線に向けて全体が均等に収縮するので、内容物の取り残しがなくなる。なお、内層体10及び外層体20の相互間には、溝部18を通して外気が導入されるので、充填空間M内の内容物の注出に伴って内層体10が減容する一方、外層体20の形状はそのまま維持される。
また、例えば溝部18を通して内層体10と外層体20との相互間に加圧した空気を導入可能とする加圧装置を用いれば、上述した吐出器のヘッドを押し下げている間、連続して内容物を注出させることもできる。なお、この場合の吐出器としては、例えば、ヘッドを押し下げたりレバーを牽曳したりすることで、充填空間Mと外界とが連通するようにした逆止弁の機能を備える一方、ポンプ機能は省略したものを用いることができる。
次に、本発明に従う二重容器1の製造方法について説明する。二重容器1を製造するに当たっては、図4〜図6に示すように、内層体10を形成する内側プリフォーム30と、外層体20を形成する外側プリフォーム40とからなるプリフォーム2を準備する。なお、内側プリフォーム30及び外側プリフォーム40は、例えば射出成形によって成形される。
ここで、本実施形態の内側プリフォーム30は、図4に示すように口部31を有する有底筒状であって、口部31の上端部には、径方向外側に向けて折り返した環状の折り返し部32が設けられている。そして内側プリフォーム30の底部には、口部31に対して反対側に突き出す円筒状の突出部33と、突出部33の先端から径方向外側に向けて張り出す環状爪部34とが設けられている。また環状爪部34の端縁には、テーパ35を設けている。さらに、本実施形態では、上述した溝部18となる溝部36が設けられている。
また、外側プリフォーム40は、図5に示すように、その外周面にねじ部が形成された口部41を有する有底筒状となっている。また、口部41の上部には、折り返し部32に係合する環状壁42が設けられている。本実施形態において成形後の外側プリフォーム40の底部は、中心部が口部41とは反対側に突出していて塞がる形状となっているが、線cに沿って切り取ることで、図6に示すように貫通孔43を形成する。なお、最初から貫通孔43が形成されるような金型構造にて外側プリフォーム40を成形してもよい。
そして、図6に示すように内側プリフォーム30を外側プリフォーム40に挿入し、最後まで押し込むことで環状爪部34が貫通孔43に係止され、また、折り返し部32が環状壁42に係止されて、二重容器用のプリフォーム2が形成される。なお、本実施形態では環状爪部34にテーパ35を設けているので、内側プリフォーム30を外側プリフォーム40に組み付ける力はそれ程大きくなくて済む。
次いで、プリフォーム2を延伸可能な温度まで加熱し、ブロー成形用金型内にセットした後、二軸延伸ブロー成形を行う。本実施形態では、図示は省略するが、口部31から挿通されて内側プリフォーム30の底部を突き出すように構成された延伸ロッドと、この延伸ロッドに対向して配置され、外側プリフォーム40の底部に当接するとともに延伸ロッドの突き出しに応じて後退するように設けた受けロッドとを備えている。そして、口部31から所定圧力の空気を内側プリフォーム30内に送り込み、延伸ロッドを突き出しつつ受けロッドを後退させることによって、二重容器1が成形される。なお内側プリフォーム30の口部31は、折り返し部32が環状壁42に係止されているので、延伸ブロー成形中に外側プリフォーム40から外れてしまうことはない。
このように、突出部33及び環状爪部34を有する内側プリフォーム30と貫通孔43を有する外側プリフォーム40とからなるプリフォーム2を用いて二軸延伸ブロー成形を行えば、通常の容器と同様の二軸延伸ブロー成形にて、二重容器1を製造することができる。
本発明によれば、内容物の注出に伴う内層体の底部の持ち上がりを確実に防止できるので、吸引チューブを有する吐出器を設ける場合にも注出が妨げられることがなく、また、内層体を均等に減容させることが可能となるので、内容物を最後まで無駄なく注出させることができ、しかも従来と同様の二軸延伸ブロー成形にて簡単に製造することができる二重容器を提供できる。
1 二重容器
2 プリフォーム
10 内層体
14 底部
16 突出部
17 環状爪部
18 溝部
20 外層体
24 底部
26 貫通孔
30 内側プリフォーム
33 突出部
34 環状爪部
36 溝部
40 外側プリフォーム
43 貫通孔
M 充填空間

Claims (3)

  1. 内容物を収納する充填空間を有し該充填空間の減容を可能とする内層体と、該内層体を内側に収納する外層体とを備える二重容器であって、
    前記外層体は、その底部に貫通孔を有し、
    前記内層体は、該貫通孔から外側へ突き出す突出部と、該突出部から張り出して該貫通孔に係止される環状爪部とを備え、
    該貫通孔の周壁及び該突出部の外周壁の少なくとも一方に、該外層体と該内層体との相互間に外気を導入する溝部を有する二重容器。
  2. 内容物を収納する充填空間を有し該充填空間の減容を可能とする内層体と、該内層体を内側に収納する外層体とを備える二重容器を成形するためのプリフォームであって、
    前記プリフォームは、前記内層体を形成する内側プリフォームと前記外層体を形成する外側プリフォームとからなり、
    前記外側プリフォームは、その底部に貫通孔を有し、
    前記内側プリフォームは、該貫通孔から外側へ突き出す突出部と、該突出部から張り出して該貫通孔に係止される環状爪部とを備え、
    該貫通孔の周壁及び該突出部の外周壁の少なくとも一方に、該外層体と該内層体との相互間に外気を導入する溝部を有するプリフォーム。
  3. 請求項2に記載のプリフォームにて二重容器を成形するにあたり、
    前記内側プリフォームを前記外側プリフォームに挿入するとともに、前記環状爪部を前記貫通孔に係止させ、
    次いで、該内側プリフォーム及び該外側プリフォームを延伸可能な温度まで加熱した後、二軸延伸ブロー成形を行う二重容器の製造方法。
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