以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、印刷装置30及び印刷装置30に接続されたパーソナルコンピュータ(以下、PCという)1を含む印刷システム100について説明する。印刷装置30及びPC1は、ケーブルを介して相互に接続されている。印刷装置30は公知の布帛用インクジェットプリンタであり、印刷ヘッド35(図2参照)によって、印刷媒体である布帛に印刷を行うことができる。PC1は、汎用の情報処理装置である。PC1には、表示機器であるモニタ2と、入力機器であるキーボード3及びマウス4とが接続されている。PC1は、後述する印刷データを作成し、ケーブルを介して、印刷装置30に送信する機能を有する。印刷装置30は、PC1から送信された印刷データに基づき、印刷ヘッド35の底面に設けられた吐出口群361に液体(例えば、インク)を吐出させる印刷処理を実行する機能を有する。
図1,図2及び図3を参照して、印刷装置30ついて説明する。なお、図1の左下側及び右上側は、夫々、印刷装置30の正面側及び背面側である。図1の左右方向及び上下方向は、夫々、印刷装置30の左右方向及び上下方向である。
まず、図1及び図2を参照して、印刷装置30の物理的な構成について説明する。図1に示すように、印刷装置30は、矩形箱状の筐体31を有する。筐体31の内部の左右方向略中央下部に、一対のガイドレール37が前後方向に延びている。プラテン支持台38は、ガイドレール37により、ガイドレール37に沿って前後方向(副走査方向)に搬送可能に支持されている。プラテン支持台38上面の左右方向略中央には、取り換え可能なプラテン39が固定されている。プラテン39は、平面視略五角形の板体であり、その上面に、例えば、印刷媒体であるTシャツ等の布帛を載置するためのものである。詳細は図示しないが、プラテン39が固定されたプラテン支持台38は、副走査モータ56(図3参照)及びベルトを含む副走査機構によって副走査方向に搬送される。
筐体31の前後方向略中央、且つ、プラテン39よりも上方に、一対のガイドレール33が左右方向に延びている。キャリッジ34は、ガイドレール33によって、ガイドレール33に沿って左右方向(主走査方向)に搬送可能に支持されている。キャリッジ34には、複数の印刷ヘッド35(図2参照)が搭載されている。複数の印刷ヘッド35の配置については、図2を参照して後述する。詳細は図示しないが、複数の印刷ヘッド35を備えたキャリッジ34は、主走査モータ83(図3参照)及びベルトを含む主走査機構によって主走査方向に搬送される。
図2を参照して、キャリッジ34の構成について説明する。図2に示すように、本実施形態におけるキャリッジ34には、4個の印刷ヘッド35W並びに印刷ヘッド35C,35M,35Y,及び35Kが搭載されている。以下の説明では、4個の印刷ヘッド35W並びに印刷ヘッド35C,35M,35Y,及び35Kの夫々を印刷ヘッド35とも言う。各印刷ヘッド35の底面には複数の吐出口36が設けられている。本実施形態では、印刷ヘッド35の夫々に128個の吐出口36が設けられているが、図2では、図の簡略化のため、実際の個数よりも少ない数の吐出口36が図示されている。各吐出口36は、液体を吐出可能である。詳細は図示しないが、印刷装置30に装着されたインクカートリッジから印刷ヘッド35に供給されたインクは、吐出チャンネルに設けられた圧電素子の駆動によって、各吐出口36から下向きに吐出される。なお、印刷ヘッド35に供給されたインクは、吐出チャンネルに設けられた発熱体等の駆動によって、吐出口36から下向きに吐出されてもよい。
複数の吐出口36は、第一ユニット351と、第二ユニット352とにグループ化される。第一ユニット351は、前処理用の白インクを吐出する4組の吐出口群361Wを備える。4組の吐出口群361Wは夫々、4個の印刷ヘッド35Wの底面に設けられている。即ち、本実施形態では、1個の印刷ヘッド35の底面に設けられている複数の吐出口36が、1組の吐出口群361を構成する。4組の吐出口群361W(4個の印刷ヘッド35W)は夫々、主走査方向に並べて配置されている。
第二ユニット352は、第一ユニット351と、副走査方向において対向して離間した位置に配置されている。第二ユニット352は、前処理用の白インクの吐出よりも後に行われる後処理用のカラーインクを吐出する4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kを備える。4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kは夫々、印刷ヘッド35C,35M,35Y,及び35Kの底面に設けられている。4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kは、主走査方向に並べて配置されている。吐出口群361Cはシアンインクを吐出する。吐出口群361Mはマゼンタインクを吐出する。吐出口群361Yはイエローインクを吐出する。吐出口群361Kは黒インクを吐出する。
前処理用の白インク、後処理用のカラーインクとは、同じ所定の印刷領域に先にインクの吐出を行うのが前処理用の白インクで、前処理用の白インクよりも後にインクの吐出を行うのが後処理用カラーインクである。本実施形態では、前処理用の白インクを吐出する4組の吐出口群361Wと、後処理用のカラーインクを吐出する吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kとが副走査方向に対向して離間して配置されている。印刷装置30は、例えば、図4を参照して後述する印刷処理において、主走査方向(左右方向)における1ラインの印刷後に、プラテン39を副走査方向(前後方向)に移動させて1ラインの印刷を繰り返す。このような印刷処理において、印刷装置30は、所定の領域では、前処理用の第一ユニット351の4組の吐出口群361Wと、後処理用の第二ユニット352の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kとから同時に各色インクの吐出を行う。所定の領域は、前処理用インクを既に吐出した領域に、後処理用インクを吐出する領域である。なお、1ラインの印刷とは、1回(1パス)の走査によって印刷される画像の印刷に対応する。
以下の説明において、4組の吐出口群361W,並びに吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kの夫々を吐出口群361とも言う。また、第一ユニット351及び第二ユニット352のように、吐出口36を複数有する少なくとも1組の吐出口群361を吐出ユニットとも言う。本実施形態では、同一の吐出口群361に含まれる複数の吐出口36の夫々は、同一のインクカートリッジから供給されるインクを吐出する。
なお、本実施形態の印刷装置30は、少なくとも2組の吐出口群361を備えていればよく、吐出口群361の種類及び数の夫々は、図2に示す例に限られない。例えば、白インクに対応する吐出口群361の数は、4組でなく1組だけでもよいし、白インクに対応して複数の吐出口群361がキャリッジ34に搭載される場合、その一部を用いて印刷が実行されてもよい。また、カラーインクについては、黒以外の3色(シアン、マゼンタ、イエロー)に対応する3組の吐出口群361が設けられてもよいし、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のうちいずれか1色に対応する1組の吐出口群361が設けられてもよい。シアン、マゼンタ、イエロー、黒以外(例えば、ゴールド、シルバー等)のインクを吐出可能な吐出口群361が設けられてもよい。
また、前処理用インク及び後処理用インクに関して、印刷画像によっては、必ずしも前処理用の白インクが吐出された後に、後処理用のカラーインクが吐出されなくてもよい。より具体的には、前処理用の白インクのみが吐出された領域、又は後処理用のカラーインクのみが吐出された領域があってもよい。また、本実施形態では、前処理用の液体として白インク、後処理用の液体としてカラーインクが使用されているが、前処理用の液体と後処理用の液体との組み合わせ及び液体の種類等は適宜変更可能であり、本実施形態の場合に限定されない。例えば、前処理用の液体として、インクの定着をよくするための処理剤、後処理用の液体としてカラーインクが使用されてもよい。例えば、抜染印刷において、前処理用の液体として抜染用の処理剤、後処理用の液体として抜染用のインクが使用されてもよい。他の例では、前処理用の液体と後処理用の液体とが同じ種類の液体であってもよい。
図3を参照して、印刷装置30の電気的構成について説明する。印刷装置30は、第一制御部40と、第二制御部70及び第三制御部90とが、USBハブ61を介して接続された構成を有する。第一制御部40は、印刷装置30の制御を司るCPU41を備える。CPU41は、印刷装置30が有する第一のプロセッサであり、CPU41には、ROM42,RAM43,第二搬送駆動部51,表示制御部52,入力検知部53,及びUSB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ60が、バス44を介して接続されている。CPU41は、後述するように、ROM42に記憶されているプログラムを実行することにより、第一位置取得部45,制御データ出力部47,第二搬送制御部48,頻度制御部49,及び情報出力部50として機能する。第一位置取得部45は、キャリッジ34の現在位置を取得する。制御データ出力部47は、吐出制御部毎に印刷データを出力する。印刷データは、吐出制御部に接続された吐出口群によって液体を吐出するためのデータである。吐出制御部は、吐出ユニットに接続され、接続された吐出ユニットの吐出口群361の吐出動作を制御する。本実施形態の吐出制御部は、後述する第二制御部70の第一吐出制御部78及び第三制御部90の第二吐出制御部95である。第二搬送制御部48は、第二搬送駆動部51を制御してプラテン39を搬送させる。頻度制御部49は、制御データ出力部47と、後述するUSBデバイス110との間のUSBハブ61を介したデータの伝送頻度を制御する。データの伝送頻度は、単位時間当たりのデータの伝送回数である。制御データ出力部47とUSBデバイス110との間のUSBハブ61を介したデータの伝送頻度は、制御データ出力部47からUSBデバイス110に出力されるデータ及びUSBデバイス110から制御データ出力部47に出力されるデータとの少なくともいずれかに関する、単位時間当たりのデータの伝送回数である。データの伝送回数は、制御データ出力部47がデータを出力した回数及び制御データ出力部47がデータを受信した回数に基づきカウントされるものとする。このようにデータの伝送回数をカウントするのは、CPU41(制御データ出力部47)の処理負荷に着目してデータの伝送回数をカウントするためである。情報出力部50は、頻度制御部49が制御データ出力部47と、外部機器との間のデータの伝送を禁止する場合に、データの伝送の禁止に関する情報を出力する。
ROM42には、印刷装置30の動作を制御するための印刷制御プログラム等の各種プログラム、各種初期値等が記憶されている。RAM43には、PC1から受信した印刷データ等の各種データが一時的に記憶される。本実施形態の印刷データは、第二制御部70に接続された第一ユニット351の4組の吐出口群361Wによって白インクを吐出するためのデータと、第三制御部90に接続された第二ユニット352の4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kによってカラーインクを吐出するためのデータとの双方を指す。より具体的には、印刷データは、4組の吐出口群361Wの夫々から白インクを吐出させる際の1回当たりの吐出量及び吐出位置を示すデータと、4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kの夫々からカラーインクを吐出させる際の1回当たりの吐出量及び吐出位置を示すデータとを含む公知のデータである。1回当たりの吐出量は、「1:吐出する」「2:吐出しない」の2値で表される他、3値以上のデータによって表されてもよい。吐出位置は、キャリッジ34の現在位置と対応している。
第二搬送駆動部51は、プラテン39を副走査方向に搬送させる副走査モータ56を駆動する。表示制御部52は、CPU41からの指示に応じてディスプレイ57の表示を制御する。入力検知部53は、操作ボタン58を介して入力された情報及び指示を検知する。なお、図示は省略するが、操作ボタン58には、例えば、図4を参照して後述する印刷処理の開始指示を入力するための印刷開始ボタン、印刷処理の中止指示を入力するための印刷中止ボタン、数値を入力するためのテンキー等が含まれる。ユーザは、操作ボタン58から各種情報及び指示を入力できる。USBホストコントローラ60は、USB2.0規格に適合するホストコントローラである。
USBホストコントローラ60には、USBハブ61が接続されている。USBハブ61は、1つの第一接続口62,第二接続口63,64,及び第三接続口65を有する接続機器である。第一接続口62は、アップストリーム側のポートであり、USBホストコントローラ60及びバス44を介してCPU41と接続可能である。2つの第二接続口63及び64は、ダウンストリーム側のポートであり、夫々第二制御部70,及び第三制御部90に接続している。具体的には、第二接続口63は、USBコントローラ72を介してCPU71と接続可能である。第二接続口64は、USBコントローラ92を介してCPU91と接続可能である。第三接続口65は、ダウンストリーム側のポートであり、外部機器であるUSBデバイス110と接続可能である。USBデバイス110は、例えば、USBフラッシュメモリ、及びハードディスクである。USBハブ61の第三接続口65と、USBデバイス110との間には、スイッチ部122が設けられている。スイッチ部122は、CPU41(制御データ出力部47)と、外部機器であるUSBデバイス110との間の接続の許可と禁止とを切り替える。スイッチ部122は、CPU41と信号線121によって電気的に接続されており、信号線121を介してCPU41から出力される指示に従って、上記切り替えを実行する。スイッチ部122は、マグネットスイッチ等の機械的なスイッチであってもよいし、トランジスタ等のスイッチング素子であってもよい。USBハブ61の第三接続口65に接続されているUSBデバイス110は、USBハブ61から取り外し可能である。USBハブ61の第二接続口及び第三接続口の数は、USB61に接続される機器の数に応じて適宜変更可能である。印刷装置30に接続可能なUSBデバイスの数は、適宜変更されてよい。
なお、本実施形態では、USBハブ61の第二接続口63,64に接続されている第二制御部70及び第三制御部90については、ユーザが印刷装置30を使用中に取り外すことを想定していない。しかしながら、印刷装置30のバージョンアップ等の仕様の変更に伴い、8組の吐出口群361とは別の吐出口群を制御する他の吐出制御部を第二接続口に接続してもよい。例えば、後処理用のカラーインクの吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kに加えて、後処理用のカラーインクの種類を増やすために、ライトシアンを吐出する吐出口群、ライトマゼンタを吐出する吐出口群、イエローを吐出する吐出口群、ブラックを吐出する吐出口群等を制御する第四制御部を、USBハブ61の別の第2接続口を介して接続してもよい。また、例えば、抜染印刷用の前処理剤を吐出する吐出口群を制御する第五制御部と、抜染印刷用の後処理用のカラーインクを吐出する吐出口群を制御する第六制御部とを、第二制御部70及び第三制御部90と夫々置き換えて、USBハブ61の第二接続口に接続してもよい。このように印刷装置30では、機能を拡充する場合には、対応する吐出口群とその吐出口群を制御する吐出制御部とを含む制御部をUSB61ハブ61の第二接続口を介してCPU41と接続すればよい。このため印刷装置では、第一制御部40のROM42のプログラム等を大きく変更することなく、また、ユーザが印刷装置30を別の印刷装置に変更することなく、印刷装置30の機能を拡充したりする等の変更が可能である。なお、所定の印刷条件においてのみに使用される制御部を新たに追加する場合等には、第三接続口に制御部を接続させてもよい。
USBハブ61は、USBハブコントローラ66を備える。USBハブコントローラ66は、第二接続口63,64,及び第三接続口65に接続されたUSBデバイスの検知、データの伝送速度の検知、データの伝送速度の変換、データの分配、及びUSBデバイスへの電源供給の管理等を行なう。USBハブコントローラ66は、USBホストコントローラ60からの指示に従い、複数の第二接続口63,64,及び第三接続口65のうちの1つと第一接続口62とをデータ伝送可能に接続し、当該複数の第二接続口63,64,及び第三接続口65のうちの1つに接続されたUSBデバイスと、第一接続口62に接続されたUSBホストコントローラ60との間でデータの送受信を実行する。
第二制御部70は、System−on−a−chip(SoC)上に搭載された、CPU71,USBコントローラ72,第一搬送駆動部73,及び第一吐出駆動部74を備える。CPU71は、CPU41から出力されたデータ及び後述するROM84に記憶されているプログラムに従って第二制御部70の制御を司る、印刷装置30が備える第二のプロセッサである。CPU71は、USBコントローラ72,第一搬送駆動部73,及び第一吐出駆動部74の夫々と電気的に接続されている。CPU71は、後述するように、ROM84に記憶されているプログラムを実行することにより、第二位置取得部76,第一搬送制御部77及び第一吐出制御部78として機能する。第二位置取得部76は、キャリッジ34の現在位置を取得する。第一搬送制御部77は、第一搬送駆動部73を制御してキャリッジ34を搬送させる。第一吐出制御部78は、制御データ出力部47が出力する印刷データに基づき、第一ユニット351の4組の吐出口群361Wによる白インクの吐出を制御する。
USBコントローラ72は、USB2.0規格に適合するコントローラであり、USBハブ61の第二接続口63に接続されている。USBコントローラ72は、USBハブ61の第一接続口62に接続された第一制御部40との間でデータの送受信を行う。第一搬送駆動部73は、キャリッジ34を主走査方向に搬送させる主走査モータ83を駆動する。第一吐出駆動部74は、4組の吐出口群361Wの各吐出チャンネルに設けられた圧電素子(図示略)を駆動して、第一ユニット351が有する4組の吐出口群361Wの夫々に白インクを吐出させる。第二制御部70はさらに、CPU71と接続されたROM84及びRAM85を備える。ROM84は、第二制御部70の動作を制御するための印刷制御プログラム等の各種プログラム、及び各種初期値等が記憶されている。RAM85には、CPU41から受信した印刷データ等の各種データが一時的に記憶される。RAM85の記憶容量はRAM43の記憶容量よりも小さい。CPU41と、第二制御部70とは、第一制御部40側のバス44,USBホストコントローラ60,及びUSBハブ61を介して電気的に接続される。
第三制御部90は、第二制御部70のSoCとは別のSoCに搭載されたCPU91,USBコントローラ92,及び第二吐出駆動部93を備える。CPU91は、CPU71と同様にCPU41から出力されたデータ及び後述するROM87に記憶されているプログラムに従って第三制御部90の制御を司る、印刷装置30が備える第二のプロセッサである。CPU91は、USBコントローラ92及び第二吐出駆動部93と接続されている。CPU91は、後述するように、ROM87に記憶されているプログラムを実行することにより、第二位置取得部94及び第二吐出制御部95として機能する。第二位置取得部94は、キャリッジ34の現在位置を取得する。第二吐出制御部95は、第二ユニット352の4組の吐出口群361C,361M,361Y及び361Kによるカラーインクの吐出を制御する。
USBコントローラ92は、USB2.0規格に適合するコントローラであり、USBハブ61の第二接続口64に接続されている。第二吐出駆動部93は、4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kの各吐出口の吐出チャンネルに設けられた圧電素子(図示略)を駆動して、4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kにカラーインクを吐出させる。第三制御部90はさらに、CPU91に接続されたROM87及びRAM88を備える。ROM87は、第三制御部90の動作を制御するための印刷制御プログラム等の各種プログラム、及び各種初期値等が記憶されている。RAM88には、CPU41から受信した印刷データ等の各種データが一時的に記憶される。RAM88の記憶容量はRAM43の記憶容量よりも小さい。CPU41と、第三制御部90とは、第一制御部40側のバス44,USBホストコントローラ60,及びUSBハブ61を介して接続される。
印刷装置30はさらに、主電源部81を備える。主電源部81は、第一制御部40,第二制御部70及び第三制御部90の夫々に電力を供給される。即ち、第二制御部70及び第三制御部90の夫々には、USBハブ61を介さずに、主電源部81から電力が供給される。主電源部81は、図示しない、商用電源からコンセント及び電源コードを介して印刷装置30内に電力を導入する。主電源部81は必要に応じて、第一制御部40,第二制御部70及び第三制御部90の夫々への電力の供給を遮断(OFF)することができるように構成されている。第二制御部70及び第三制御部90は、主電源部81から適宜必要な電圧に変換される等して直接供給される電力によって、安定して駆動部の制御を行うことができる。
印刷装置30はさらに、エンコーダ82を備える。エンコーダ82は、キャリッジ34(図1参照)の搬送方向(主走査方向)に沿って設けられたエンコーダストリップのパターンを、キャリッジ34に固定された光学センサにより検知し、検知結果をパルス信号で出力するリニアエンコーダである。キャリッジ34は、印刷装置30の主電源部81をONにすることにより、ガイドレール33(図1参照)の一方の端まで搬送される。このとき、印刷装置30は、キャリッジ34の現在位置を初期化する。キャリッジ34が初期位置からガイドレール33上を搬送されると、エンコーダ82は、検知結果に基づくパルス信号を第一位置取得部45,第二位置取得部76及び第二位置取得部94の夫々に入力する。第一位置取得部45は、エンコーダ82から入力があった場合に、キャリッジ34の現在位置を更新する。同様に、第二位置取得部76,94は、エンコーダ82から入力があった場合に、キャリッジ34の現在位置を更新する。
次に図4を参照して印刷装置30で実行される印刷処理を簡単に説明する。本実施形態の印刷装置30は、PC1から印刷データを受信した後、ユーザによって布帛がプラテン39へ載置がされ、印刷開始ボタンが押下されることで、印刷処理を開始する。印刷データは、USBデバイス110であるUSBフラッシュメモリ等の他の外部機器から取得されてもよい。印刷処理は、ROM42,84,及び87の夫々に記憶されたプログラムに従って、CPU41,71及び91が協働して実行する。
図4に示すように、印刷処理ではまず、CPU41(第一位置取得部45)は、第一位置取得部45がレジスタに記憶しているキャリッジ34の現在位置を基準位置として取得し、取得した基準位置をUSBハブ61を介して、第二制御部70及び第三制御部90に出力する(S1)。基準位置を受信した第二制御部70の第二位置取得部76及び第三制御部90の第二位置取得部94は、夫々キャリッジ34の現在位置を更新する。
次にCPU41(第二搬送制御部48)は第二搬送駆動部51に指示を出力して、白インクを吐出する吐出口群361の搬送経路が印刷開始位置となるように、プラテン39を搬送させる(S3)。CPU71(第一搬送制御部77)は、CPU41からの指示に基づき、第一搬送駆動部73を駆動させて、キャリッジ34を開始位置まで搬送させる(S3)。次いで、印刷装置30は、キャリッジ34を主走査方向に搬送する処理を開始する(S5)。S5の処理の開始の指示は、CPU41が、USBハブ61を介して第二制御部70のCPU71(第一搬送制御部77)に対して出力する。指示を受信したCPU71(第一搬送制御部77)は、第一搬送駆動部73を制御して、キャリッジ34の搬送制御を開始し、一定の速度でキャリッジ34を搬送させる。
次に、印刷装置30は、キャリッジ34を主走査方向に搬送させながら、1ラインの印刷を行う(S5,S7)。印刷開始直後は、印刷データ(CMYKW)における白(W)のデータに従って吐出口群361Wによる白インクの吐出のみが行われる。吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kが、吐出口群361Wによって白インクが吐出された領域に搬送された場合、キャリッジ34を主走査方向に搬送させながら、印刷データ(CMYKW)における白(W)のデータに従って吐出口群361Wによる白インクの吐出と、カラー(CMYK)のデータに従って吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kによるカラーインクの吐出とが並行して行われる。印刷終了直前は、白インクの吐出は終了し、印刷データ(CMYKW)におけるカラー(CMYK)のデータに従って吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kによるカラーインクの吐出のみが行われる。
S7の処理の実行に際しては、図5を参照して後述するように、CPU41(制御データ出力部47)はUSBハブ61を介して印刷データを第二制御部70のCPU71(第一吐出制御部78)及び第三制御部90のCPU91(第二吐出制御部95)の夫々に出力する。CPU71(第一吐出制御部78)及びCPU91(第二吐出制御部95)の夫々は、CPU41が出力した印刷データを受信し、受信した印刷データと、第二位置取得部76及び94が取得したキャリッジ34の現在位置とに基づき、印刷データによって指定される吐出位置に吐出口36によるインクを吐出する処理を制御する。S1の処理によって、第二位置取得部76及び94の基準位置を一致させている。第二位置取得部76及び94の夫々は、同じエンコーダ82から入力された検知信号に基づき、キャリッジ34の現在位置を更新する。したがって、第二位置取得部76及び94が取得したキャリッジ34の現在位置に基づき、吐出位置が判断されることで、第二制御部70によって実行される白インクの吐出処理と、第三制御部90によって実行されるカラーインクの吐出処理との同期が図られている。吐出処理は、印刷データに基づき液体を吐出する処理である。
S7の次に第二制御部70のCPU71(第一搬送制御部77)は、第一搬送駆動部73を制御して、キャリッジ34の搬送を停止させる(S9)。次にCPU41(第二搬送制御部48)は、印刷が完了していなければ(S11:NO)、第二搬送駆動部51に指示を出力して、プラテン39を印刷方法に応じた量搬送させ(S13)、処理はS5に戻る。印刷方法には、例えば、マルチパス方式、及びシングルパス方式を用いる方法がある。マルチパス方式は、画素列の夫々に対して同じ印刷ヘッド35(吐出口群361)の異なる吐出口36によって1つの画素列を形成させるように、印刷ヘッド35を同じ領域に複数回走査させることで印刷を行う方式である。シングルパス方式は、画素列の夫々に対して同じ印刷ヘッド35を1回走査させることで印刷を行う方式である。印刷が完了すると(S11:YES)、CPU41(第二搬送制御部48)は、第二搬送駆動部51に指示を出力して、布帛の取り外しが可能となる位置まで前方へプラテン39を搬送させる。CPU71(第一搬送制御部77)は、CPU41からの指示に基づき、第一搬送駆動部73を駆動させて、キャリッジ34を終了位置まで搬送させる(S15)。印刷処理は以上で終了する。
なお、本実施形態の印刷装置30は、上記の印刷処理において説明したように、キャリッジ34を主走査方向に搬送させ、且つプラテン39を副走査方向に搬送させることで、キャリッジ34をプラテン39(プラテン39に載置された印刷媒体)に対して相対的に搬送させる。しかし、印刷装置30は、キャリッジ34をプラテン39に対して相対的に搬送させることが可能であればよく、具体的な搬送方法は本実施形態の方法に限定されない。つまり、プラテン39を主走査方向に搬送させ且つキャリッジ34を副走査方向に搬送させる場合、プラテン39のみを主走査方向及び副走査方向に搬送させる場合、キャリッジ34のみを主走査方向及び副走査方向に搬送させる方法が採用可能である。
次に図5を参照して、印刷データ出力処理を説明する。図5の印刷データ出力処理は、CPU41,71,及び91が協働して実行する図4のS7の処理のうち、CPU41によって実行される処理である。具体的には、CPU41は、図5に示す印刷データ出力処理において、吐出制御部毎に印刷データを出力する処理を実行する。CPU41が印刷データを出力する処理を実行している期間の、CPU41と外部機器との間のデータの伝送の処理負荷を低減するために、頻度制御部49は、CPU41(制御データ出力部47)と、USBデバイス110との間のデータ伝送頻度を調整する。印刷データ出力処理は、図4に示す印刷処理と同様に、印刷装置30がPC1から印刷データを受信すると開始され、ROM42に記憶された印刷制御プログラムに従ってCPU41(制御データ出力部47)により実行される。なお、処理の過程で取得されたデータ、変数及び設定値等は、適宜RAM43に記憶されるものとする。
図5に示すように、CPU41は、USBデバイス110に記憶された印刷データを取得し、RAM43に記憶させる(S21)。ユーザはPC1で作成した印刷データをUSBデバイス110に記憶させ、USBハブ61の第三接続口65に接続するものとする。なお、印刷データは、ユーザの指示によりPC1で作成されたものをPC1よりケーブルを介して直接取得されてもよい。次に、CPU41は、印刷データを印刷順に読み出すための変数Nに1を設定する(S23)。CPU41は、印刷データを複数回に分けて第二制御部70及び第三制御部90に出力する。1回に出力する印刷データの量は、予め定められており、ROM42等の不揮発性記憶機器に記憶されている。本実施形態の1回に出力する印刷データの量は、3ライン分の印刷データである。1度に出力する印刷データの量は適宜変更されてよい。
次にCPU41(頻度制御部49)は、信号線121を介してスイッチ部122にOFF信号を出力し、USBハブ61とUSBデバイス110との間の信号線を断線させる(S25)。S25の処理によって、USBハブ61は、USBデバイス110を検知することができなくなる。USBハブ61は、USBホストコントローラ60を介してCPU41に、USBデバイス110が検知されなくなったことを報告する。したがって、S25の処理以降、再度USBデバイス110が検知される状態になるまで、CPU41は、USBデバイス110に対しデータを伝送しなくなる。即ち、制御データ出力部47とUSBデバイス110との間のUSBハブ61を介したデータの伝送頻度は、0になる。次にCPU41(情報出力部50)は、表示制御部52に指示を出力し、ディスプレイ57に接続情報を表示させる(S27)。S25の接続情報は、CPU41と、外部機器との間のデータの伝送を禁止する場合に出力される、データの伝送の禁止に関する情報である。印刷装置30は、接続情報によって、CPU41(制御データ出力部41)と、外部機器との間のデータの伝送が禁止されているか否かをユーザに報知する。接続情報は例えば、「USBデバイスを安全に取り外せます」である。
次にCPU41(制御データ出力部47)は、RAM43に記憶されている印刷データの中から、第一ユニット351の4組の吐出口群361W用のN番目の印刷データを取得する。CPU41(制御データ出力部47)は、取得した印刷データを、第一制御部40側のバス44,USBホストコントローラ60,及びUSBハブ61を介して、第二制御部70の第一吐出制御部78に出力する(S29)。S29の処理によって、例えば3ライン分の印刷データが出力される。印刷データの出力に際して、出力先を示すデータに加え、例えば、以下の事項を示すデータが付加されてもよい。Nが1である印刷データを出力する場合、印刷処理により1つの画像を形成するのに必要な第一ユニット351用の全ての印刷データの大きさ(データサイズ)に関するデータが付加される。このデータは、後述する印刷データ受信処理において、全ての印刷データを受信したか否かを判断する処理において参照される。また、変数Nを表すデータが付加される。このデータは、印刷データが印刷順に出力されているか否かを判断するのに用いられる。
第二制御部70の第一吐出制御部78への印刷データの出力が完了後、CPU41(制御データ出力部47)は、RAM43に記憶されている印刷データの中から、第二ユニット352の4組の吐出口群361C,361M,361Y,及び361K用のN番目の印刷データを取得する。CPU41(制御データ出力部47)は、取得した印刷データを第一制御部40側のバス44,USBホストコントローラ60,及びUSBハブ61を介して、第三制御部90に出力する(S31)。S31の処理によって、例えば、3ライン分(S29の処理と同じ量)の印刷データが出力される。印刷データの出力に際して、付加されるデータについては、第二ユニット352用の全ての印刷データの大きさに関するデータ等、S29の処理の記載と同様である。
次に、CPU41は、印刷順序が最後の印刷データを出力したか否かを判断する(S33)。S21で取得した全ての印刷データが出力されていなければ(S33:NO)、CPU41はNをインクリメントする(S35)。次に処理はS29に戻る。S21で取得した印刷データが全て出力されていれば(S33:YES)、CPU41(情報出力部50)は、表示制御部52に指示を出力し、ディスプレイ57に接続情報を表示させる(S37)。S37での接続情報は、CPU41と、外部機器との間のデータの伝送の禁止を解除する場合に出力される、データの伝送の再開に関する情報である。S35での接続情報は例えば、「USBデバイスとのデータ伝送を再開します」である。次にCPU41(頻度制御部49)は、信号線121を介してスイッチ部122にON信号を出力し、USBハブ61とUSBデバイス110との間の信号線を接続させる(S39)。第三接続口65にUSBデバイス110が接続している場合、CPU41は、第三接続口65に接続されたUSBデバイス110との間のデータの伝送を再開させる。即ち、S37の処理により、USBハブ61とUSBデバイス110との間でデータの伝送が可能となる。印刷データ出力処理は以上で終了する。
次に、図6を参照して、第二制御部70及び第三制御部90で実行される印刷データ受信処理を説明する。図6の印刷データ受信処理は、CPU41,71,及び91が協働して実行する図4のS7の処理のうち、CPU71及び91によって実行される処理である。具体的には、CPU71及び91は夫々、図6の印刷データ受信処理では、図5に示す印刷データ出力処理でCPU41から出力された印刷データを受信する処理を実行する。第二制御部70での印刷データ受信処理は、第二制御部70がCPU41から印刷データを受信すると開始され、ROM84に記憶された印刷制御プログラムに従ってCPU71により実行される。第三制御部90での印刷データ受信処理は、第三制御部90がCPU41から印刷データを受信すると開始され、ROM87に記憶された印刷制御プログラムに従ってCPU91により実行される。第二制御部70での印刷データ受信処理と、第三制御部90での印刷データ受信処理とは、基本的に同様な処理であるので、第二制御部70で印刷データ受信処理が実行される場合について説明し、第三制御部90で印刷データ受信処理が実行される場合については説明を省略する。
図6に示すように、CPU71は、CPU41が出力した印刷データを受信したか否かを判断する(S71)。印刷データを受信した場合(S71:YES)、CPU71は、S71の処理で受信した印刷データと、これまで受信した印刷データのデータサイズの積算値とをRAM85に記憶する(S73)。RAM85には印刷データを記憶するためのデータバッファとしての機能があり、所定容量の印刷データを印刷順に記憶可能である。図7に模式的に示すように、第二制御部70のRAM85及び第三制御部90のRAM88のデータバッファ851,881の容量は、第一制御部40のRAM43のデータバッファ431の容量に比べ小さい。状態1に示すように、データバッファ851にN番目の印刷データが記憶されている状態で、制御データ出力部47がN+1番目の印刷データを出力した場合、状態2に示すように、N+1番目の印刷データが、データバッファ851に追加される。印刷データを受信していない場合(S71:NO)、又はS73の処理の次にCPU71は、印刷データ受信処理を終了するか否かを判断する(S75)。印刷データ受信処理を終了するか否かは、RAM85に記憶された、印刷データのデータサイズの積算値と、1番目の印刷データに付加された全ての印刷データのデータサイズとを比較して判断する。印刷処理が終了していない場合(S75:NO)、処理はS71に戻る。印刷データに基づく印刷処理が終了した場合(S75:YES)、印刷データ受信処理は終了する。
なお、第二制御部70及び第三制御部90では、図6の印刷データ受信処理で受信した印刷データと、第二位置取得部76,94が取得したキャリッジ34の現在位置とに従って、図4のS7の1ラインの印刷における吐出処理が実行される。図7の状態2に示すように、N番目及びN+1番目の印刷データがデータバッファ851に記憶された状態で、N番目の印刷データに基づく吐出処理が終了した場合、状態3に示すようにN番目の印刷データはデータバッファ851から削除される。
以上のように、印刷装置30は印刷データを用いて印刷媒体に画像を形成する処理を実行する。吐出口36,及び8組の吐出口群361は夫々は、本発明の吐出口及び複数の吐出口群に相当する。図4のS7の処理及び図6の処理を実行する第一吐出制御部78及び第二吐出制御部95は、本発明の吐出制御手段として機能する。白インク及びカラーインクは、本発明の液体に相当する。図5のS21,S27,S29,S31,S33,及びS35の処理を実行する制御データ出力部47は、本発明の制御データ出力手段として機能する。USBハブ61は、本発明の接続手段に相当し、USBハブコントローラ66は、本発明の接続制御手段として機能する。スイッチ部122は本発明のスイッチ手段に相当する。図5のS23及びS37を実行する頻度制御部49は、本発明の頻度制御手段として機能する。図5のS25及びS35を実行する情報出力部50は、本発明の情報出力手段として機能する。
上記実施形態の印刷装置30は、印刷データを出力する処理の開始後の、第一接続口62と、第二接続口63又は第二接続口64とを介してデータ伝送する頻度を、第一接続口62と第三接続口65とを介してデータ伝送する頻度よりも多くしている。このため、印刷装置30は、印刷データを出力する処理の開始後の、第一接続口と第二接続口とを介してデータ伝送する頻度が第一接続口と及び第三接続口とを介してデータ伝送する頻度よりも低い場合に比べ、印刷データ出力処理実行時のCPU41が第三接続口に接続された外部機器にデータ伝送するのに要する処理負荷の割合が少ない。別の観点から印刷装置30は、印刷データを出力する処理を実行している期間は、印刷データを出力する処理を実行していない期間に比べ、制御データ出力部47と外部機器との間でデータを伝送する頻度を少なくしている。このため印刷装置30は、印刷データを出力する処理を実行している期間と印刷データを出力する処理を実行していない期間とで、制御データ出力部47と外部機器との間でデータを伝送する頻度が同じである場合に比べ、印刷データ出力処理実行時のCPU41が第三接続口に接続された外部機器にデータ伝送するのに要する処理負荷が少ない。したがって、印刷装置30は制御データ出力部47とUSBデバイス110との間のデータの伝送に起因して、CPU41(制御データ出力部47)による印刷データの出力速度が低下し、印刷速度が低下することを抑制することが可能である。
USBハブ61を介したデータの伝送頻度を調整するに当たり、頻度制御部49は、制御データ出力部47が吐出制御部78,95に印刷データを出力するときは、制御データ出力部47とUSBデバイス110との間の信号線を断線させる。これにより、制御データ出力部47とUSBデバイス110との間のデータの伝送が禁止される。したがって印刷装置30は、制御データ出力部47が吐出制御部78,95に印刷データを出力するときは、制御データ出力部47から外部機器にデータが伝送されることを確実に禁止することができる。したがって、印刷装置30は制御データ出力部47とUSBデバイス110との間のデータの伝送に起因して、印刷速度が低下することを抑制することが可能である。第二制御部70のRAM85及び第三制御部90のRAM88が、第一制御部40のRAM43に比べ記憶容量が小さいことを考慮し、制御データ出力部47は複数回に分けて印刷データを出力する。データバッファ851の容量以上の印刷データが一度に出力されることに起因して、印刷速度が遅くなることを回避することができる。また、印刷装置30は、印刷データを出力する毎に、CPU41が外部機器との間でデータの伝送を実行する場合に比べ、CPU41(制御データ出力部47)の処理負荷が低減する。このため、印刷データを複数回に分けて出力する場合にもCPU41への処理負荷の増加に起因して印刷速度が低下することを防止することができる。さらに印刷装置30は、接続情報をディスプレイ57に表示させ、接続情報をユーザに報知する。このため印刷装置30は、印刷装置30が外部機器を取り外してもよい状態であることをユーザにいち早く知らせることができる。印刷装置30は、印刷装置30が外部機器を取り外してもよい状態であるか否かをディスプレイ57を参照して確認してから外部機器を取り外すことをユーザに促すことで、外部機器内のデータが壊れる等の不具合が発生することを抑制することができる。また、例えばユーザは第三接続口に接続されたUSBフラッシュメモリ等の外部機器を取り外して、次に印刷する画像を外部機器に保存する等、次の作業のための準備をいち早く行うことができる。
印刷装置30の制御データ出力部47は、USBハブ61を介して第一吐出制御部78及び第二吐出制御部95と接続することで、印刷装置の処理部の設計上の自由度を向上させることができる。制御データ出力部47によって制御される処理手段、又は機器を追加したい場合には、USBハブ61の第二接続口を介して容易に追加することができるため、従来の印刷装置に比べ拡張性が高い。また、この場合であっても、印刷データ出力処理実行時のCPU41の処理負荷が少ない。したがって、印刷装置30は制御データ出力部47とUSBデバイス110との間のデータの伝送に起因して、印刷速度が低下することを抑制することが可能である。
頻度制御部49は、通常の印刷処理時のみならず、制御データ出力部47が、吐出制御部に対し、吐出口36のメンテナンス用の印刷データを出力する期間にも、スイッチ部122を制御して、USBハブ61及びUSBデバイス110間のデータの伝送頻度を制御する処理を実行してもよい。メンテナンス用の印刷データは、吐出口36の目詰まりの解消等を目的に実行されるフラッシングを実行するためのデータであって、印刷ヘッド35に設けられた吐出口群361が有する複数の吐出口36(ノズル)から液体を吐出するための公知のデータである。メンテナンス用の印刷データに基づき、例えば、全ての吐出口36から液体が吐出される。図8を参照して、メンテナンス用のデータを出力する場合に、データ伝送頻度が制御される場合について簡単に説明する。図5及び図8において同様の処理を行う場合には同じステップ番号を付与している。図8に示す印刷データ出力処理は、吐出口36のメンテナンスを行うことを指示された場合に、ROM42に記憶されているプログラムに従ってCPU41によって実行される。メンテナンス用の印刷データは、例えば、ROM42等の不揮発性の記憶機器に記憶されている。
図8を示すように、CPU41(頻度制御部49,情報出力部50)は、図5のS25及びS27の処理と同様の処理を実行した後、CPU41(制御データ出力部47)は、第一ユニット351の吐出口群361Wが有する複数の吐出口(ノズル)の全てからの白インクを吐出するためのデータを、USBハブ61を介して第一吐出制御部78に出力する(S28)。次にCPU41(制御データ出力部47)は、第二ユニット352の吐出口群361C,361M,361Y,及び361Kが有する複数の吐出口(ノズル)の全てからのカラーインクを吐出するためのデータを、USBハブ61を介して第二吐出制御部95に出力する(S30)。次にCPU41(頻度制御部49,情報出力部50)は、図5のS37及びS39の処理と同様な処理を実行後、印刷データ出力処理を終了する。
図8のS28及びS30の処理を実行するCPU41(制御データ出力部47)は、本発明の制御データ出力手段として機能する。この場合の印刷装置30によれば、外部機器と電気的に接続していることに起因して、印刷ヘッドのメンテナンスのためのフラッシングを実行する速度が低下することを抑制することができる。なお、印刷ヘッドのメンテナンスのためのフラッシング時に、データの伝送頻度を調整する必要がない場合は、図8のS28及びS30の処理のみが実行されてもよい。
本発明の印刷装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の(A)から(F)の変形が適宜加えられてもよい。
(A)印刷装置30の構成は必要に応じて適宜変更してよい。例えば、以下(A−1)及び(A−2)のような変更を加えてもよい。
(A−1)吐出口が吐出可能な液体は、吐出口が吐出可能な粘度等の性質を有する液体であればよい。したがって液体は、インクに限らず、例えば、脱色剤等の化学薬剤でもよい。吐出口群及び吐出制御部の数は適宜変更されてよい。複数の吐出制御部のすべてが、USBハブ等の接続機器を介して制御データ出力部に接続されていなくてもよい。即ち、一部の吐出制御部は接続機器を介さず制御データ出力部と接続されてもよい。1つの吐出ユニットに含まれる吐出口群の数は、1以上であればよい。
キャリッジに搭載される印刷ヘッド及び吐出口群の変形例を図9を参照して説明する。図9(A)に示すように、変形例におけるキャリッジ341には、印刷ヘッド356,357及び358を備える。印刷ヘッド357及び358は、印刷ヘッド356と、主走査方向において対向して離間した位置に配置されている。印刷ヘッド356,357及び358が備える複数の吐出口36は、第一ユニット355と、第二ユニット359とにグループ化される。第一ユニット355は、前処理用の白インクを吐出する2組の吐出口群362Wを備える。2組の吐出口群362Wは、印刷ヘッド356の底面に設けられている。2組の吐出口群362Wは、主走査方向に並べて配置されている。第二ユニット359は、後処理用のカラーインクを吐出する4組の吐出口群362C,362M,362Y,及び362Kを備える。2組の吐出口群362C,及び362Mは、印刷ヘッド358の底面に設けられ、2組の吐出口群362Y,及び362Kは、印刷ヘッド357の底面に設けられている。吐出口群362Cはシアンインクを吐出する。吐出口群362Mはマゼンタインクを吐出する。吐出口群362Yはイエローインクを吐出する。吐出口群362Kは黒インクを吐出する。例えば、第一ユニット355は、第一吐出制御部を備える第二制御部701によって制御され、第二ユニット359は、第二吐出制御部を備える第三制御部901によって制御される。
図9に示す変形例のように、1個の印刷ヘッドは、複数の吐出口群を含んでいてもよい。1つの吐出制御部が制御する吐出口群の数は1以上であればよい。したがって、1個の印刷ヘッドに、複数の吐出口群が設けられている場合、各吐出口群は、同じ吐出制御部によって制御されてもよいし、互いに異なる吐出制御部によって制御されてもよい。具体的には、例えば、図9(A)と同様のキャリッジ341において、図9(B)に示すように、1個の印刷ヘッド358に備えられる吐出口群362C及び吐出口群362Mは夫々、第四吐出制御部を備える第四制御部911及び第五吐出制御部を備える第五制御部912によって制御されてもよい。また、1個の印刷ヘッド357に備えられる吐出口群362Y及び吐出口群362Kは夫々、第六吐出制御部を備える第六制御部913及び第七吐出制御部を備える第七制御部914によって制御されてもよい。1個の印刷ヘッドが複数の吐出口群を備える場合、各吐出口群の配置は、主走査方向に並んで配置される例に限定されず、適宜変更されてよい。複数の吐出ユニットを備える場合、キャリッジにおける各吐出ユニットの配置は適宜変更されてよい。
(A−2)接続機器は、制御データ出力部と、吐出制御部とを接続する接続機器は制御データ出力部を接続可能な第一接続口と、第一接続口とデータ伝送可能に個別に接続可能な複数の第二接続口とを有すればよく、USBハブ61に限定されない。例えば、イーサーネット(登録商標)ハブでもよい。接続機器は、データの伝送効率の観点から、スイッチング機能を有することが好ましいが、スイッチング機能を有していなくてもよい。印刷装置は、複数種類の接続機器を備えてもよい。この場合、複数の吐出制御部の夫々が、異なる接続機器を介して制御データ出力手段と接続されてもよい。
(B)頻度制御部49によるデータの伝送頻度の調整方法は適宜変更されてよい。印刷装置は、上記実施形態のスイッチ部122のように物理的な構成によりデータの伝送頻度を調整してもよいし、ソフトウェアとの協働によってデータの伝送頻度を調整してもよい。例えば、第三接続口に接続されているUSBデバイスがUSBハブ61から電力の供給を受けて駆動している場合、頻度制御部49は、当該USBデバイスへの電力の供給/供給停止を制御することによってデータの伝送頻度を調整してもよい。USB2.0では、ホストは接続されたデバイスに一定間隔で要求を確認する「ポーリング」が行われる。USB2.0を採用する印刷装置において、頻度制御部49は、このポーリング間隔を調整することによって、データの伝送頻度を調整してもよい。この場合印刷装置は、制御データ出力部47が印刷データを出力している期間のポーリング間隔P1が、制御データ出力部47が印刷データを出力していない期間のポーリング間隔P2よりも長くなるようにしてもよい。他の例では、印刷装置は、制御データ出力部47が印刷データの出力を開始した後の、制御データ出力部47から印刷データを伝送中の吐出制御部へのデータ伝数頻度を、制御データ出力部47から第三接続口65に接続されたUSBデバイス110へのデータ伝数頻度よりも多くしてもよい。このようにしても、スイッチ部122等の物理的な構成を用いることなく、データの伝送頻度を調整することができる。
(C)接続情報の内容、出力態様及び出力するタイミングは適宜変更されてよい。例えば、音声によって接続情報が報知されてもよい。他の例では、ランプの点灯/消灯によって、接続情報が表示されてもよい。他の例では、接続情報は、外部機器を取り外すタイミングをユーザに報知するという観点から出力されることが好ましいが、外部機器を取り外すことが想定されない場合等には、印刷装置は接続情報を出力する処理を省略してよい。また、スイッチON,OFFのいずれかの報知だけが実行されても構わない。他の例では、図5の印刷データ出力処理において、印刷データの出力が完了した後に、S39でのスイッチ部122をONにする処理をしなくてもよい。この場合は、印刷装置30は例えば、ユーザがONにする処理を実行することを指示した場合に、スイッチ部122をONにする処理を実行してもよい。また、図5においてCPU41はS25でスイッチをOFFにする処理を行ってから、S27でスイッチをOFFに関する報知を行っているが、スイッチOFFの報知を行ってからスイッチをOFFにする処理を行ってもよい。スイッチONに関しても同様に、図5においてCPU41はS37でスイッチONに関する報知を行ってから、S39でスイッチONする処理を行っているが、スイッチONの処理を行ってからスイッチONに関する報知を行ってもよい。
印刷処理は、第三接続口65に接続されたUSBデバイス110との間でデータの伝送が実行されている場合は、実行不能とされてもよい。例えば、印刷装置30が、USBデバイス110との間でデータ伝送が実行されている場合は、操作ボタン58(印刷ボタン)を点滅させ、操作ボタン58の押下を無効化してもよい。この場合、図5の印刷処理中に実行されるスイッチ部122のON/OFF切り替えは、必ず印刷装置30とUSBデバイス110との間でデータの伝送が実行されていない期間に実行される。このため、印刷装置30とUSBデバイス110との間でデータ伝送が実行されているか否かを確認することなく、印刷装置30がスイッチ部122の切り替えを実行したとしても、USBデバイス110のデータが壊れる等の不具合が生じることはない。この場合ユーザは、印刷中は印刷装置30とUSBデバイス110の間でデータ伝送が実行されないので、印刷装置30が接続情報を報知しなくても外部機器を安全に取り外すことができる。
(D)制御データ出力部47は、複数回に分けて印刷データを吐出制御部に出力していたが、第二制御部70及び第三制御部90のデータバッファの容量、及びデータの伝送速度等を考慮して、一度に全ての印刷データを出力してもよい。第二制御部70及び第三制御部90のデータバッファ851,881の容量は、第一制御部40のデータバッファ431の容量以上であってもよい。
(E)図4の印刷処理、並びに図5及び図8の印刷データ出力処理を実行させるための指示を含むプログラムは、印刷装置30がプログラムを実行するまでに、印刷装置30が備える記憶装置に記憶されればよく、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する装置の夫々は適宜変更されてよい。したがって、印刷装置30が備えるプロセッサが実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC,及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
(F)図4の印刷処理、図5及び図8の印刷データ出力処理、並びに図6の印刷データ受信処理の各ステップは、CPU41,71又は91によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。また、上記処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。さらに、印刷装置30が備えるCPUからの指示に基づき、印刷装置30上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施形態の機能が実現される場合も本発明の範囲に含まれる。