以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP」と称す)1の電気的構成を示すブロック図である。MFP1は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能など、複数の機能を有する複合機である。本実施形態のMFP1は、インク吐出による印刷(被記録媒体に対する画像の記録)を行うインクジェットプリンタであるプリンタ21を有し、そのプリンタ21が吐出するインクの着弾位置を高精度に調整可能に構成される。
MFP1には、CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、USB_I/F(USBインターフェイス)22が主に設けられている。CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12は、バスライン23を介して互いに接続される。操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、USB_I/F22、バスライン23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)24を介して互いに接続される。
CPU10は、フラッシュメモリ11に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータに従って、MFP1が有している各機能の制御や、ASIC24と接続された各部の制御を行う。フラッシュメモリ11は、不揮発性のメモリであり、MFP1の動作を制御する制御プログラム11a等が格納される。後述する図4のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム11aに従ってCPU10により実行される。
フラッシュメモリ11はまた、出荷時調整値メモリ11bと、現在調整値メモリ11cとを有する。出荷時調整値メモリ11b及び現在調整値メモリ11cには、いずれも、プリンタ21によって双方向印刷を行う場合のインクの着弾位置が揃うように調整するための値(以下、この値を「調整値」と称す)が記憶される。具体的に、出荷時調整値メモリ11bには、工場出荷時に設定された調整値が各色についてそれぞれ記憶される。一方、現在調整値メモリ11cには、現在の設定における調整値が各色についてそれぞれ記憶される。現在調整値メモリ11cには、初期値として、出荷時調整値メモリ11bに記憶されている値と同じ値が記憶され、後述する罫線自動調整処理(図5参照)が実行された場合に、当該処理により決定された調整値が記憶される。
RAM12は、CPU10の処理に必要な情報を一時的に記憶する書換可能な揮発性のメモリである。操作キー15はハードキーであり、MFP1に設定情報や指示を入力する。LCD16は液晶表示装置である。タッチパネル17は、LCD16に重ねて設けられ、MFP1に設定情報や指示を入力する。USB_I/F24は、USBケーブルを介して他の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)を通信可能に接続するための装置であり、周知の装置で構成される。スキャナ20は、原稿を読み取り、その読み取った原稿の画像データを、CPU10に出力する装置である。
プリンタ21は、インクを吐出させて、記録用紙に対して画像を印刷(記録)するインクジェットプリンタである。プリンタ21は、CR駆動モータ21aと、給紙モータ21bと、排紙モータ21cと、記録ヘッド21dと、メディアセンサ21eと、クリーニング機構21fとを有する。各部21a〜21fは、ASIC24に接続される。CR駆動モータ21aは、キャリッジ211(図2参照)を主走査方向に移動させる駆動力を与えるモータである。給紙モータ21bは、記録ヘッド21dより搬送方向の上流側に配置される給紙ローラ(図示せず)に駆動力を与えるモータである。排紙モータ21cは、記録ヘッド21dより搬送方向の下流側に配置される排紙ローラ(図示せず)に駆動力を与えるモータである。なお、各モータ21a,21b,21cを制御する駆動回路は、モータ毎にASIC24に組み込まれており、CPU10からの駆動信号に基づき、当該駆動信号に対応するモータが当該駆動信号に応じた回転速度で正転又は逆転する。
記録ヘッド21dは、キャリッジ211に搭載され、プラテン212(図2参照)に対向する側の面に形成される多数のノズルを有し、これらのノズルからインクを微小なインク滴として吐出する。メディアセンサ21eは、発光ダイオードなどからなる発光部(図示せず)と、光学式センサなどからなる受光部(図示せず)とから構成されるセンサであり、キャリッジ211の下面(プラテン212に対向する側の面)に設けられる。本実施形態のメディアセンサ21eは、ノズルの吐出状態を検知するためのノズルチェックパターンや、調整値(双方向印刷を行う場合のインクの着弾位置が揃うように調整するための値)を取得するための罫線調整パターンを検知するセンサとして機能する。クリーニング機構21fは、キャップ214(図2参照)に接続され、記録ヘッド21dのノズルをクリーニングするための吸引ポンプである。
ここで、図2を参照して、プリンタ21をより詳細に説明する。図2(a)は、プリンタ21の概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における概略側断面図である。図2(a)に示すように、プリンタ21は、キャリッジ211と、プラテン212と、フラッシング受け部材213と、キャップ214とを有する。
キャリッジ211は、CR駆動モータ21aの正転又は逆転により主走査方向に往復移動される。具体的に、キャリッジ211は、ホームポジションから主走査方向に離れる方向であるフォワード方向と、その反対方向であるリバース方向とに交互に移動される。記録ヘッド21dは、キャリッジ211の移動によって、主走査方向(フォワード方向又はリバース方向)に走査され、プラテン212上を搬送される記録用紙(被記録媒体)Sに対してインクを吐出して画像を形成する。なお、記録用紙Sは、給紙モータ21b及び排紙モータ21cにより同期駆動される図示されない給紙ローラおよび排紙ローラにより、主走査方向に直交する搬送方向(副走査方向)に沿って、搬送方向の上流から下流側(図2(b)における矢印A方向)に、又は、その反対方向に搬送される。
本実施形態のプリンタ21は、記録ヘッド21dが複数色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)をそれぞれ吐出可能なノズルを有し、複数色で画像を形成可能に構成される。各色のノズル(シアン用ノズルC,マゼンタ用ノズルM,イエロー用ノズルY,ブラック用ノズルK)は、それぞれ搬送方向(主走査方向に直交する方向)に並ぶ1又は複数列のノズル列からなるノズル群を構成する。なお、図2(a)では、各色のノズルC,M,Y,Kを分かり易く大きな円で示したが、実際には、どの色についても、小さな開口のノズルが多数形成されている。
フラッシング受け部材213は、プラテン212におけるキャリッジ211のホームポジション側に形成され、その内部に、多孔質部材からなるフラッシングフォーム213aが配置される。MFP1は、必要に応じて、記録ヘッド21dをフラッシング受け部材213に対向する位置に移動させ、フラッシングフォーム213aに対し、ノズルC,M,Y,Kからインクの空吐出(フラッシング)を行う。
キャップ214は、プラテン212における記録用紙の搬送領域を介してフラッシング受け部材213の反対側に設けられる。MFP1は、必要に応じて、記録ヘッド21dをキャップ214に対向する位置に移動させた後、キャップ214を上方に移動させ、キャップ214を記録ヘッド21dのノズル形成面に密着させた状態(キャピング状態)とする。このキャッピング状態において、キャップ214内をクリーニング機構21fによる吸引によって減圧させると、ノズルC,M,Y,Kの開口から、各インク流路内に存在する塵や気泡、増粘インクなどが、インクとともに吸引排出される(吸引パージ)。なお、MFP1は、各色のノズルC,M,Y,Kについて、それぞれ、吸引パージによるクリーニングを実行可能に構成される。
図2(b)に示すように、メディアセンサ21eは、キャリッジ211の下面(プラテン212に対向する側の面)における記録ヘッド21dより上流側に設けられる。メディアセンサ21eは、発光部(図示せず)からプラテン212に向けて光を照射し、プラテン212又はその上の記録用紙Sで反射した反射光が受光部(図示せず)に受光され、その光量(反射光量)が受光部により検出される。メディアセンサ21eは、受光部により検出された反射光量の検出値(AD値)をCPU10へ出力する。CPU10は、メディアセンサ21eから供給された検出値に基づき、検知対象の反射率の差異を認識できる。CPU10は、この反射率の差異に基づき、記録用紙Sに印刷されたノズルチェックパターンP1や罫線調整パターンP2(いずれも図3参照)の検知を行う。
ここで、図3(a),(b)を参照して、本実施形態のMFP1(プリンタ21)により印刷されるノズルチェックパターンP1について説明する。図3(a)は、不吐出ノズルがないときのノズルチェックパターンP1の一例を示す図であり、図3(b)は、不吐出ノズルがあるときのノズルチェックパターンP1の一例を示す図である。ノズルチェックパターンP1は、記録ヘッド21dに形成される各ノズルの吐出状態を検知するために記録用紙に印刷されるパターンであり、具体的に、個々のノズルで所定形状(例えば、矩形)のブロックを所定間隔で印刷することにより形成されるパターンである。
1つのノズルチェックパターンP1を構成するブロックの数は、当該ノズルチェックパターンP1による吐出状態の検知対象となるノズルの数に等しい。図3(a),(b)には、160本のノズルにより印刷された、160個のブロックから構成されるノズルチェックパターンP1が例示される。当該ノズルチェックパターンP1に基づき、各ブロックを印刷した160本のノズルに対する吐出状態が検知される。なお、本実施形態では、記録ヘッド21dが複数色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)をそれぞれ吐出可能に構成されているので、1色に対して1つのノズルチェックパターンP1が印刷される。つまり、各色のノズルチェックパターンP1c,P1m,P1y,P1kが、それぞれ、各色のノズルC,Y,M,Kにより印刷される。
記録ヘッド21dに形成されるノズルの吐出状態が全て正常である場合(即ち、不吐出ノズルが存在しない場合)には、図3(a)に示すように、印刷されるべき全てのブロックが印刷されたノズルチェックパターンP1が得られる。一方、図3(b)に示すように、不吐出ノズルに対応するブロックが欠けた状態のノズルチェックパターンP1が得られる。図3(b)に示す例のように、ノズルチェックパターンP1にブロックの欠けがある場合、欠け部分における反射光量が、正常にブロックが印刷された場合に比べて上昇する。CPU10は、メディアセンサ21eから供給された、ノズルチェックパターンP1に対する反射光量の検出値に基づき、不吐出ノズルの存在状態を検知する。
次に、図3(c),(d)を参照して、罫線調整パターンP2について説明する。着弾位置調整パターンP2は、調整値(双方向印刷を行う場合のインクの着弾位置が揃うように調整するための値)を取得するために記録用紙に印刷されるパターンである。
図3(c)は、本実施形態のMFP1(プリンタ21)により印刷される罫線調整パターンP2の一例を説明する図である。説明を容易にするために、色の区別をすることなく説明するが、1つの着弾位置調整パターンP2は、1つの色によって印刷される。つまり、各色の着弾位置調整パターンP2c,P2m,P2y,P2kは、それぞれ、各色のノズルC,Y,M,Kによって印刷される。まず、キャリッジ211をフォワード方向(矢印F方向)へ移動させつつ、搬送方向に並ぶ所定列のドットから構成されるラインLfを、そのラインLfの主走査方向の幅に等しい幅の等間隔で複数本印刷する。これにより、図3(c)の左側に示すように複数本のラインLfが等間隔で印刷される。なお、図3(c)及び後述する図3(d)では、分かり易いように、罫線調整パターンP2を構成するラインLfの数を4本としているが、実際には、多数のラインLfが印刷される。次に、ラインLfの印刷後、記録用紙を搬送せず、そのままキャリッジ211をリバース方向(矢印R方向)へ移動させつつ、ラインLfと同じ幅のラインLrを印刷する。調整値が適切である場合には、ラインLfの間隔はラインLrの幅に等しいので、図3(c)の右側に示すように、ラインLfとラインLrとが隙間なく並んだ状態となる。
図3(d)は、調整値が不適切である場合の罫線調整パターンP2の一例を示す図である。調整値が不適切である場合、ラインLfとラインLrとの間に幅wの隙間が生じる。CPU10は、メディアセンサ21eから供給された、罫線調整パターンP2に対する反射光量の検出値に基づき、隙間の存在を検知するとともに、その幅wに関する情報を取得した後、取得した情報(幅wに関する情報)に応じた調整値を取得する。CPU10は、キャリッジ211がリバース方向に移動されるときのインクの吐出タイミングを、取得した調整値を用いて調整する。これにより、双方向印刷を行う場合のインクの着弾位置が揃うように、リバース方向で印刷されるときのインクの着弾位置が調整される。
詳細は後述するが、本実施形態のMFP1によれば、ノズルチェックパターンP1に基づき検知された不吐出ノズルの存在状態に応じて、罫線調整パターンP2の印刷に使用するノズルの領域が設定される。例えば、図3(b)に示すように、ノズルチェックパターンP1を、上流側半分のノズルにより印刷された領域Vaと、下流側半分のノズルにより印刷された領域Vbとに分けたうちの、領域Vaのみにブロックの欠けが存在する場合には、下流側の各ノズル(領域Vbに存在する各ノズル)を用いて、罫線調整パターンP2の印刷を行う。一方、ノズルチェックパターンP1における領域Vbのみにブロックの欠けが存在する場合には、上流側の各ノズル(領域Vaに存在する各ノズル)を用いて、罫線調整パターンP2の印刷を行う。このように、本実施形態のMFP1は、不吐出ノズルが存在する場合には、不吐出ノズルが存在しない所定領域のノズルを用いて罫線調整パターンP2の印刷を行うので、不吐出ノズルを用いることとなく印刷された罫線調整パターンP2に基づき、調整値として最適な値を取得できる。
図4は、MFP1のCPU10が実行する罫線自動調整処理を示すフローチャートである。罫線自動調整処理は、ノズルチェックパターンP1と罫線調整パターンP2とに基づき調整値を取得する処理である。この処理は、ユーザによって、調整値の取得(罫線自動調整の実行)が指示された場合に実行される。なお、理解を容易にする目的で、図4に示すフローチャートは、単色の処理として説明する。
まず、ステップS401(以下、ステップを省略)において、CPU10は、RAM12内に記憶されているクリーニング回数の値をゼロに初期化する(S401)。次に、CPU10は、給紙トレイ(図示せず)から1枚の記録用紙を給紙し(S402)、その記録用紙に対し、ノズルチェックパターンP1を印刷する(S403)。次に、CPU10は、メディアセンサ21eが記録用紙に印刷されたノズルチェックパターンP1を読み取る位置まで、当該記録用紙を搬送する(S404)。メディアセンサ21eは、記録ヘッド21dより上流側に設けられているので、S404において記録用紙は逆搬送される(即ち、搬送方向の下流から上流側へ搬送される)。
次に、CPU10は、記録用紙を上流から下流側へ搬送しつつ、キャリッジ211を主走査方向に往復移動しながら、メディアセンサ21eを走査させ、メディアセンサ21eによるノズルチェックパターンP1の読み取りを行い(S405)、メディアセンサ21eから供給された反射光量の検出値に基づき、不吐出ノズルの検出を行う(S406)。ここで、不吐出ノズルが存在しない場合(S407:No)、CPU10は、記録用紙を上流から下流側へ所定量だけ搬送し(S419)、全てのノズルを用いて罫線調整パターンP2を印刷する(S420)。なお、所定量とは、全てのノズルがノズルチェックパターンP1に対向しない位置まで搬送される搬送量である。一方、不吐出ノズルが存在し、かつ、不吐出ノズルが上流側半分のみに存在する場合(S407:Yes,S408:Yes)、CPU10は、S419と同様に記録用紙を搬送し(S409)、不吐出ノズルのない下流側半分のノズルを用いて罫線調整パターンP2を印刷する(S410)。また、不吐出ノズルが存在し、かつ、不吐出ノズルが下流側半分のみに存在する場合(S407:Yes,S408:No,S416:Yes)、CPU10は、S409やS419と同様に記録用紙を搬送し(S417)、上流側半分のノズルを用いて罫線調整パターンP2を印刷する(S418)。
S410、S418、又はS420の処理後、CPU10は、メディアセンサ21eが記録用紙に印刷された罫線調整パターンP2を読み取る位置まで、当該記録用紙を逆搬送する(S411)。次に、CPU10は、記録用紙を上流から下流側へ搬送しつつ、キャリッジ211を主走査方向に往復移動しながら、メディアセンサ21eを走査させ、メディアセンサ21eによる罫線調整パターンP2の読み取りを行い(S412)、メディアセンサ21eから供給された反射光量の検出値に基づき、調整値を取得する(S413)。つまり、CPU10は、罫線調整パターンP2に対する反射光量の検出値に基づいて、幅wに関する情報を取得した後、その情報に応じた調整値を取得する。なお、幅wに関する情報と調整値との関係は、フラッシュメモリ11内にテーブルとして記憶されている。次に、CPU10は、取得した調整値を現在調整値メモリ11cに記憶し(S414)、各パターンP1,P2が印刷された記録用紙を排紙し(S415)、本処理を終了する。
一方、不吐出ノズルが存在し、かつ、その不吐出ノズルが上流側半分にも下流側半分にも存在する場合(S407:Yes,S408:No,S416:No)には、CPU10は、ノズルチェックパターンP1が印刷されている記録用紙を排紙する(S421)。次に、RAM12内に記憶されているクリーニング回数の値が2に達していなければ(S422:No)、CPU10は、記録ヘッド21dをキャップ214の位置まで移動させ、クリーニング機構21fによるノズルのクリーニング(吸引パージ)を実行する(S424)。次に、CPU10は、RAM12内に記憶されているクリーニング回数の値に1を加算し(S425)、処理をS402に移行する。また、S422において、RAM12内に記憶されているクリーニング回数の値が2である場合には(S422:Yes)、出荷時の調整値(即ち、出荷時調整値メモリ11bに記憶されている調整値)を、現在調整値メモリ11cに記憶し(S423)、本処理を終了する。
なお、図4のフローチャートは、単色の処理として説明したが、複数色であっても適用可能である。各色のノズルC,M,Y,Kを用いて、ノズルチェックパターンP1(P1c,P1m,P1y,P1k)及び罫線調整パターンP2(P2c,P2m,P2y,P2k)を印刷する場合には、CPU10は、S407,S408,S416の判断を、各色のノズルチェックパターンP1c,P1m,P1y,P1k毎に行えばよい。そして、不吐出ノズルが上流側半分にも下流側半分にも存在する色(即ち、クリーニング対象となる色)が1色も存在しなければ、CPU10は、各色のノズルC,M,Y,Kにおける不吐出ノズルの存在状態に応じて、各色のノズルC,M,Y,K毎に、S410、S418、又はS420の処理を実行すればよい。
一方、クリーニング対象となる色が1色でも存在する場合には、CPU10は、S421の処理を実行して、記録用紙を一旦排紙した後、少なくとも当該クリーニング対象の色のノズル(クリーニング非対象の色のノズルを含んでもよい)に対して、S422〜S425の処理を実行するように構成すればよい。あるいは、クリーニング対象の色が全ての色でない場合には、CPU10は、クリーニング対象の色以外の色(即ち、不吐出ノズルが存在しない色、及び、上流側半分か下流側半分のいずれかに不吐出ノズルが存在する色)について、先に、色毎に、不吐出ノズルの存在状態に応じて、S410、S418、又はS420の処理を実行して、各色の罫線調整パターンP2に基づき得られる各色の調整値を現在調整値メモリ11cに記憶する構成としてもよい。
本実施形態のMFP1によれば、不吐出ノズルが存在する場合であっても、その存在が上流側半分又は下流側半分のいずれかであれば、不吐出ノズルのない側のノズルを用いて罫線調整パターンP2が印刷される。これにより、吐出状態が正常なノズルを用いて印刷された罫線調整パターンP2に基づいて調整値が取得されるので、調整値として最適な値を取得できる。よって、記録ヘッド21dによるインクの着弾位置を高精度に調整でき、高品質な印刷画像を得ることができる。また、ノズルをクリーニングすることなく最適な調整値を取得可能な罫線調整パターンP2を印刷できるので、クリーニングに伴う時間やインクの消費を抑制しつつ、最適な調整値を取得できる。
また、キャリッジ211に設けられたメディアセンサ21eをノズルチェックパターンP1の検知に用いるので、ノズルチェックパターンP1の印刷と検知とを一連の動作で行い得る。また、ノズルチェックパターンP1と同じ記録用紙に罫線調整パターンP2を印刷できるとともに、罫線調整パターンP2の印刷と検知とを一連の動作で行い得る。よって、記録用紙の排紙に要する時間や、記録用紙の無駄な消費を抑制できる。
次に、図5及び図6を参照して、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、不吐出ノズルが存在する場合には、不吐出ノズルが存在しない領域のノズルを用いて行う構成としたが、第2実施形態では、不吐出ノズルが存在する場合には、ノズルのフラッシング又はクリーニングを実行する。なお、この第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
図5及び図6は、MFP1のCPU10が実行する第2実施形態の罫線自動調整処理を示すフローチャートである。図5及び図6のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム11aに従ってCPU10により実行される。この処理もまた、第1実施形態と同様、ユーザによって、調整値の取得が指示された場合に実行される。
まず、CPU10は、給紙トレイ(図示せず)から1枚の記録用紙を給紙し(S501)、その記録用紙に対し、各色のノズルC,M,Y,Kを用いてノズルチェックパターンP1(P1c,P1m,P1y,P1k)を印刷する(S502)。次に、CPU10は、S404の処理と同様に、記録用紙を逆搬送する(S503)。次に、CPU10は、S405と同様にメディアセンサ21eを走査させ、メディアセンサ21eによるノズルチェックパターンP1c,P1m,P1y,P1kの読み取りを行い(S504)、メディアセンサ21eから供給された反射光量の検出値に基づき、不吐出ノズルの検出を行う(S505)。
ここで、不吐出ノズルが存在しない場合(S506:No)、CPU10は、記録用紙を上流から下流側へ所定量だけ搬送し(S509)、全ての色について、それぞれ罫線調整パターンP2(P2c,P2m,P2y,P2k)を印刷する(S510)。次に、CPU10は、S411と同様に、記録用紙を逆搬送する(S511)。次に、CPU10は、S412と同様にメディアセンサ21eを走査させ、メディアセンサ21eによる各色の罫線調整パターンP2の読み取りを行い(S512)、メディアセンサ21eから供給された反射光量の検出値に基づき、各色についてそれぞれ調整値を取得し(S513)、取得した各色の調整値をそれぞれ現在調整値メモリ11cに記憶する(S514)。次に、CPU10は、各パターンP1,P2が印刷された記録用紙を排紙し(S515)、本処理を終了する。
一方、不吐出ノズルが存在するが、不吐出ノズルが10本以上ある色が存在しない場合(S506:Yes,S507:No)、CPU10は、記録ヘッド21dをフラッシング受け部材213の位置まで移動させ、不吐出ノズルがある色について、ノズルのフラッシング(インクの空吐出)を実行する(S508)。S508の処理後、CPU10は、S509〜S515の各処理を実行する。
また、不吐出ノズルが存在し、かつ、一部の色について不吐出ノズルが10本以上ある場合(S506:Yes,S507:Yes,S516:No)、CPU10は、1〜9本の不吐出ノズルがある色について、ノズルのフラッシングを実行する(S517)。次に、CPU10は、S509と同様に記録用紙を搬送し(S518)、不吐出ノズルがない色、及び、S516においてフラッシングを行った色について、色毎に罫線調整パターンP2を印刷する(S519)。次に、CPU10は、S511〜S514の処理と同様に、記録用紙を逆搬送して、メディアセンサ21eによる罫線調整パターンP2の読み取りを行い、罫線調整パターンP2毎に調整値を取得し、取得した調整値を色毎に現在調整値メモリ11cに記憶する(S520〜S523)。次に、CPU10は、現在の印刷対象である記録用紙を排紙し(S524)、処理をS601(図6)へ移行する。
さらに、不吐出ノズルが存在し、かつ、全ての色について不吐出ノズルが10本以上ある場合(S506:Yes,S507:Yes,S515:No)、CPU10は、現在の印刷対象である記録用紙を排紙し(S524)、処理をS601(図6)へ移行する。
S601において、不吐出ノズルの数が50本以上ある色が存在しない場合(S601:No)、CPU10は、記録ヘッド21dをキャップ214の位置まで移動させ、不吐出ノズルの数が10本以上かつ50本未満である色について、クリーニング機構21fによるノズルの通常クリーニングを実行する(S602)。なお、本実施形態のMFP1では、実行可能なクリーニングとして、通常クリーニングと、通常クリーニングよりインク供給量が多くクリーニング強度の高い強力クリーニングとの2種類が準備されており、クリーニング機構21fは、色毎に通常クリーニングと強力クリーニングとを使い分けることができるものとする。
一方、不吐出ノズルの数が50本以上ある色が存在する場合(S601:Yes)、不吐出ノズルが10本以上かつ50本未満である色については、その色のノズルに対してクリーニング機構21fによる通常クリーニングを実行し、不吐出ノズルが50本以上ある色については、その色のノズルに対してクリーニング機構21fによる強力クリーニングを実行する(S618)。
S601又はS618の処理後、CPU10は、給紙トレイ(図示せず)から1枚の記録用紙を給紙し(S603)、その記録用紙に対し、クリーニングを実行した色について、色毎にノズルチェックパターンP1を印刷する(S604)。次に、CPU10は、S503〜S505と同様に、記録用紙を逆搬送し、メディアセンサ21eによるノズルチェックパターンP1の読み取りを行い、ノズルチェックパターンP1毎に不吐出ノズルの検出を行う(S605〜S607)。
ここで、不吐出ノズルが存在しない場合(S608:No)、CPU10は、S509と同様に記録用紙を搬送し(S611)、クリーニングを実行した色について、色毎に罫線調整パターンP2を印刷する(S612)。次に、CPU10は、S511〜S514の処理と同様に、記録用紙を逆搬送し、メディアセンサ21eによる罫線調整パターンP2の読み取りを行い、罫線調整パターンP2毎に調整値を取得し、取得した調整値を色毎に現在調整値メモリ11cに記憶する(S613〜S616)。次に、CPU10は、現在の印刷対象である記録用紙を排紙し(S617)、本処理を終了する。
一方、不吐出ノズルが存在するが、不吐出ノズルが10本以上ある色が存在しない場合(S608:Yes,S609:No)、CPU10は、S508の処理と同様に、不吐出ノズルがある色について、ノズルのフラッシングを実行する(S610)。S610の処理後、CPU10は、S611〜S617の各処理を実行し、本処理を終了する。
また、不吐出ノズルが存在し、かつ、少なくとも一部の色について不吐出ノズルが10本以上ある場合(S608:Yes,S609:Yes)、CPU10は、10本以上の不吐出ノズルがある色について、対象の色に対する出荷時の調整値(即ち、出荷時調整値メモリ11bに記憶されている調整値のうち、対象の色に対する値)を、現在調整値メモリ11cに記憶する(S619)。次に、CPU10は、S509と同様に記録用紙を搬送し(S620)、クリーニングを実行した色のうち、不吐出ノズルがない色、及び、1〜9本の不吐出ノズルが存在する色について、色毎に罫線調整パターンP2を印刷する(S621)。なお、不吐出ノズルがない色も、1〜9本の不吐出ノズルが存在する色も存在しない場合には、CPU10は、S621の処理の実行を省略する。次に、CPU10は、S613〜S617の各処理を実行し、本処理を終了する
第2実施形態のMFP1によれば、不吐出ノズルが存在する場合には、所定の回復動作(クリーニング動作)として、フラッシング、又は、インクの吸引排出(吸引パージ)によるクリーニングを実行した後に、罫線調整パターンP2が記録用紙に印刷される。これにより、調整値を、フラッシングやクリーニングによって吐出状態が回復されたノズルを用いて印刷された罫線調整パターンP2に基づいて取得できる。よって、調整値として最適な値を取得できるので、記録ヘッド21dによるインクの着弾位置を高精度に調整でき、高品質な印刷画像を得ることができる。
また、第2実施形態によれば、不吐出ノズルの数が比較的多い色のノズルについては、吸引パージによるクリーニングの実行後に、ノズルチェックパターンP1を再度印刷し、クリーニング後における不吐出ノズルの数が許容範囲内である場合に、罫線調整パターンP2に基づく調整値の取得を行うので、調整値として最適な値をより好適に取得できる。
また、第2実施形態によれば、不吐出ノズルの存在状態(存在する不吐出ノズルの数)に応じて、回復動作の種類が変更される。具体的に、不吐出ノズルの数が1〜9本の色についてはフラッシングを行い、10〜49本の色については通常クリーニングを行い、50本以上の色については強力クリーニングを行う。不吐出ノズルが多くなる程に、段階的により高いクリーニング強度の回復動作を実行するので、回復動作後に不吐出ノズルが残ることを抑制できる。また、クリーニング強度が高い程、回復動作に伴うインク消費量が多いので、不吐出ノズルの数に対して必要以上に高いクリーニング強度の回復動作が実行されて、インクが無駄に消費されることも防止できる。
また、第2実施形態によれば、S510,S519において、不吐出ノズルがない色、及び、フラッシングを行った色(不吐出ノズルが比較的少ない色)については、記録用紙の排紙前に、罫線調整パターンP2の印刷と調整値の取得とを行っているので、クリーニングを行う必要のない色については、ノズルチェックパターンP1と罫線調整パターンP2とを同じ記録用紙に印刷することができ、記録用紙を有効に活用でき、記録用紙の無駄を省くことができる。
次に、図7及び図8を参照して、第3実施形態について説明する。上述した第1及び第2実施形態では、メディアセンサ21eを用いて各パターンP1,P2の検知を行う構成としたが、第3実施形態では、各パターンP1,P2の検知をスキャナ20を用いて行う。なお、この第3実施形態において、上述した第1,2実施形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
図7及び図8は、MFP1のCPU10が実行する第3実施形態の罫線自動調整処理を示すフローチャートである。図7及び図8のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム11aに従ってCPU10により実行される。この処理もまた、第1,2実施形態と同様、ユーザによって、調整値の取得が指示された場合に実行される。
まず、CPU10は、給紙トレイ(図示せず)から1枚の記録用紙を給紙し(S701)、その記録用紙に対し、各色のノズルC,M,Y,Kを用いてノズルチェックパターンP1(P1c,P1m,P1y,P1k)を印刷する(S702)。次に、CPU10は、記録用紙を上流から下流側へ所定量だけ搬送し(S703)、各色のノズルC,M,Y,Kを用いて罫線調整パターンP2(P2c,P2m,P2y,P2k)を印刷する(S704)。その後、CPU10は、各パターンP1,P2が印刷された記録用紙を排紙し(S705)、各パターンP1,P2が印刷された記録用紙をスキャナ20で読み取らせるための案内画面をLCD16に表示する(S706)。S706の表示を目視したユーザは、S705において排紙された記録用紙をスキャナ20にセットする。
その後、CPU10は、操作キー15の1つであるスタートボタンに対する操作を受け付けなければ(S707:No)、CPU10は、処理をS707に戻し、スタートボタンが操作されるのを待機する。一方、CPU10がスタートボタンに対する操作を受け付けると(S708:Yes)、CPU10は、記録用紙に記録されているノズルチェックパターンP1及び罫線調整パターンP2をスキャナ20で読み取り(S708)、ノズルチェックパターンP1の読み取り結果に基づき、各色のノズルC,M,Y,Kについて、不吐出ノズルの検出を行う(S709)。
ここで、不吐出ノズルが5本以上ある色が存在しない場合(S710:No)、CPU10は、全ての色について、S708において読み取った罫線調整パターンP2に基づいて、各色についてそれぞれ調整値を取得し(S711)、取得した各色の調整値をそれぞれ現在調整値メモリ11cに記憶する(S712)。次に、CPU10は、記録用紙をスキャナ20から取り出させるための案内画面をLCD16に表示し(S713)、本処理を終了する。
一方、不吐出ノズルが5本以上ある色が存在する場合(S710:Yes)、CPU10は、不吐出ノズルがない色、及び、1〜4本の不吐出ノズルがある色について、S708において読み取った罫線調整パターンP2に基づいて、対応する色の調整値を取得し(S714)、取得した調整値を色毎に現在調整値メモリ11cに記憶する(S715)。なお、S714において調整値の取得対象となる色が存在しない場合には、CPU10は、S714,S715の処理の実行を省略する。次に、CPU10は、クリーニングを実行させるための案内画面をLCD16に表示する(S716)。
その後、CPU10は、スタートボタンに対する操作を受け付けなければ(S717:No)、CPU10は、処理をS717に戻し、スタートボタンが操作されるのを待機する。一方、CPU10がスタートボタンに対する操作を受け付けると(S717:Yes)、CPU10は、処理をS801へ移行する。
S801において、不吐出ノズルの数が50本以上ある色が存在しない場合(S801:No)、CPU10は、不吐出ノズルの数が5本以上かつ50本未満である色について、クリーニング機構21fによるノズルの通常クリーニングを実行する(S802)。なお、本実施形態のMFP1もまた、第2実施形態と同様に、色毎に通常クリーニングと強力クリーニングとを使い分けることができるものとする。一方、不吐出ノズルの数が50本以上ある色が存在する場合(S801:Yes)、不吐出ノズルが5本以上かつ50本未満である色については、その色のノズルに対してクリーニング機構21fによる通常クリーニングを実行し、不吐出ノズルが50本以上ある色については、その色のノズルに対してクリーニング機構21fによる強力クリーニングを実行する(S816)。
S802又はS816の処理後、CPU10は、CPU10は、給紙トレイ(図示せず)から1枚の記録用紙を給紙し(S803)、その記録用紙に対し、クリーニングを実行した色について、色毎にノズルチェックパターンP1を印刷する(S804)。次に、CPU10は、記録用紙を上流から下流側へ所定量だけ搬送し(S805)、クリーニングを実行した色について、色毎に罫線調整パターンP2を印刷し(S806)、各パターンP1,P2が印刷された記録用紙を排紙する(S807)。次に、CPU10は、S706と同様の案内画面をLCD16に表示し(S808)、ユーザに、S807において排紙された記録用紙をスキャナ20にセットさせる。
その後、CPU10は、スタートボタンに対する操作を受け付けなければ(S809:No)、CPU10は、処理をS809に戻し、スタートボタンが操作されるのを待機する。一方、CPU10がスタートボタンに対する操作を受け付けると(S809:Yes)、CPU10は、記録用紙に記録されている各パターンP1,P2をスキャナ20で読み取り(S810)、ノズルチェックパターンP1の読み取り結果に基づき、クリーニングを実行した色のノズルについて、不吐出ノズルの検出を行う(S811)。
ここで、不吐出ノズルが5本以上ある色が存在しない場合(S812:No)、CPU10は、クリーニングを実行した全ての色について、S810において読み取った罫線調整パターンP2に基づいて、各色についてそれぞれ調整値を取得し(S813)、取得した各色の調整値をそれぞれ現在調整値メモリ11cに記憶した後(S814)、S713と同様の案内画面をLCD16に表示し(S815)、本処理を終了する。
一方、不吐出ノズルが5本以上ある色が存在する場合(S812:Yes)、CPU10は、5本以上の不吐出ノズルがある色について、対象の色に対する出荷時の調整値を、現在調整値メモリ11cに記憶する(S817)。次に、CPU10は、クリーニングを実行した色のうち、不吐出ノズルがない色、及び、1〜4本の不吐出ノズルが存在する色について、S810において読み取った罫線調整パターンP2に基づいて、対応する色の調整値を取得し(S818)、処理をS814へ移行する。なお、S818において調整値の取得対象となる色が存在しない場合には、CPU10は、S818,S814の処理の実行を省略して、処理をS815へ移行する。
第3実施形態のMFP1によれば、上述した第2実施形態と同様、不吐出ノズルが存在する場合には、所定の回復動作を実行した後に、罫線調整パターンP2が記録用紙に印刷されるので、調整値として最適な値を取得することができ、記録ヘッド21dによるインクの着弾位置を高精度に調整できる。
上記各実施形態において、MFP1が、インクジェット記録装置の一例である。給紙モータ21b、排紙モータ21cが、搬送手段の一例である。CRモータ21a、記録ヘッド21dが、記録手段の一例である。メディアセンサ21eが、検知部の一例である。また、上記第1実施形態において、S410,S418,S420を実行するCPU10が、着弾位置調整パターン記録手段の一例である。S413を実行するCPU10が、調整情報取得手段の一例である。S403を実行するCPU10が、吐出状態検出パターン記録手段の一例である。S407を実行するCPU10が、第1判断手段の一例である。S408,S416を実行するCPU10が、第2判断手段の一例である。S424を実行するCPU10が、回復制御手段の一例である。また、上記第2,3実施形態において、S510,S519,S612,S621,S704,S806を実行するCPU10が、着弾位置調整パターン記録手段の一例である。S513,S522,S615,S711,S714,S813,S818を実行するCPU10が、調整情報取得手段の一例である。S502,S702を実行するCPU10が、未処理吐出状態検出パターン記録手段の一例である。S506,S507,S516,S608,S609,S710,S812を実行するCPU10が、第1判断手段の一例である。S508,S517,S602,S610,S618,S802,S816を実行するCPU10が、回復制御手段の一例である。S604,S804を実行するCPU10が、処理後吐出状態検出パターン記録手段の一例である。S601,S801を実行するCPU10が、第3判断手段の一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。また、上記各実施形態では、インクジェット装置の一例として、印刷機能以外の機能も有するMFP1を説明したが、印刷機能に特化したインクジェットプリンタもインクジェット記憶装置の一例となり得る。
上記第1,2実施形態では、キャリッジ211の下面に設けられたメディアセンサ21eを用いて各パターンP1,P2を読み取る構成としたが、メディアセンサ21eに換えて、CCDなどの撮像素子を用いる構成としてもよい。また、メディアセンサ21eを設ける位置は、記録ヘッド21dより上流側に限らず、記録ヘッド21dより下流側や、主走査方向の一側などであってもよい。なお、メディアセンサ21eが記録ヘッド21dより下流側に設けられている場合、S404,S411,S503,S511,S520,S605,S613において、CPU10は、記録用紙を逆搬送することなく、ノズルチェックパターンP1または罫線調整パターンP2を読み取る位置まで、記録用紙を搬送方向の上流から下流側へ搬送する。また、メディアセンサ21eを、キャリッジ211とは別体とし、キャリッジ211とは独立して移動可能にしてもよい。
上記第3実施形態では、MFP1に内蔵されるスキャナ20を用いて各パターンP1,P2を読み取る構成としたが、MFP1とは別体のスキャナを用いて各パターンP1,P2を読み取り、その読み取り画像をUSBメモリなどに記憶し、MFP1に読み込ませる構成としてもよい。あるいは、USB_I/F22を介してMFP1に接続されるパーソナルコンピュータに、MFP1とは別体のスキャナを接続し、そのスキャナを用いて各パターンP1,P2を読み取り、その読み取り画像や、読み取り画像に基づき得られた結果(不吐出ノズルの存在状態や、調整値)をMFP1に読み込ませる構成としてもよい。
上記第1実施形態では、搬送方向に並ぶノズル列を搬送方向に2分割し、一方の側(例えば、上流側)のノズル列に不吐出ノズルが存在する場合に、他方の側(例えば、下流側)のノズル列を用いて罫線調整パターンP2を印刷する構成とした。これに対し、分割後の各領域のノズル列が調整値を得るのに十分な数であれば、ノズル列を搬送方向に3つ以上に分割してもよい。この場合には、不吐出ノズルのない少なくとも1つの領域を用いてパターンP2を印刷すればよい。また、主走査方向にノズル列の単位で2以上に分割し、不吐出ノズルのないノズル列を用いてパターンP2を印刷する構成としてもよい。搬送方向の分割と主走査方向の分割とを組み合わせてもよい。あるいは、ノズルチェックパターンP1の検知結果に基づき、少なくとも搬送方向に所定数のノズルが並ぶノズル列を含む所定サイズ以上の領域が存在するか否かを検出し、当該所定サイズ以上の領域が1又は複数箇所存在する場合に、例えば、最も大きなサイズの領域に含まれるノズルを用いて、罫線調整パターンP2を印刷する構成としてもよい。
上記第2実施形態の罫線自動調整処理(図5,6)のS507などでは、10を閾値とし、上記第3実施形態の罫線自動調整処理(図7,8)のS710などでは、5を閾値としたが、この閾値は適宜の値を採用できる。閾値が0であってもよい。また、S507,S710などでは、対象領域に含まれる不吐出ノズルの全体数が閾値を超えるか否かを判断したが、不吐出ノズルの全体数が当該閾値以下の数であっても、所定数以上の不吐出ノズルが一部に集中する(即ち、所定数以上の不吐出ノズルが隣接して存在する)場合には、当該閾値を超えた場合と同じ判断をする構成としてもよい。
上記第1実施形態の罫線自動調整処理(図4)では、上流側又は下流側に不吐出ノズルが1本でもあれば、S410又はS418の処理が実行される構成としたが、第2,3実施形態と同様に、不吐出ノズルの数が所定の閾値以下であれば、全てのノズルを用いて罫線調整パターンP2を印刷する構成としてもよい。また、上流側及び/又は下流側に不吐出ノズルが存在する場合であっても、不吐出ノズルの数が所定の閾値以下の領域があれば、その領域に含まれるノズルを用いてパターンP2を印刷する構成としてもよい。なお、この閾値としては、上述した通り、所定数以上の不吐出ノズルが一部に集中する場合を考慮するものであってもよい。
上記第2,3実施形態では、S602,S618,S802,S816においてノズルのクリーニングを実行した後、ノズルチェックパターンP1を印刷し、不吐出ノズルを再度検出する構成としたが、ノズルのクリーニング後には、ノズルチェックパターンP1を印刷することなく、罫線調整パターンP2を印刷する構成としてもよい。
上記第2,3実施形態では、ノズルのクリーニングを実行した後、クリーニングを実行した色について、ノズルチェックパターンP1の印刷と罫線調整パターンP2の印刷とを行う構成としたが、全ての色について、ノズルチェックパターンP1や罫線調整パターンP2を印刷してもよい。ただし、クリーニングを実行した色についてのみ各パターンP1,P2の印刷を行う構成とすることにより、無駄なインクの消費を抑制でき、最低限のインク消費量で各パターンP1,P2を印刷できる。
上記各実施形態では、不吐出ノズルがある色についてのみノズルのクリーニングを実行する構成としたが、不吐出ノズルがある色が1つでもあれば、全ての色についてノズルのクリーニングを実行してもよい。ただし、不吐出ノズルがある色についてのみノズルのクリーニングが実行される構成とすることにより、無駄なインクの消費を抑制できる。
上記第2,3実施形態では、ノズルチェックパターンP1に基づいて不吐出ノズルの検出を行った後に、罫線調整パターンP2を印刷する構成としたが、不吐出ノズルを検出する前に、罫線調整パターンP2を印刷する構成としてもよい。
上記各実施形態では、ノズルチェックパターンP1として、図3(a),(b)に示すパターンを例示したが、メディアセンサ21eやスキャナ20を用いて個々の吐出状態を検知可能なパターンであれば、上記例示したパターンP1以外のパターンを適宜採用できる。また、上記各実施形態では、罫線調整パターンP2として、図3(c),(d)に示すパターンを例示したが、メディアセンサ21eやスキャナ20を用いて調整値を取得可能なパターンであれば、上記例示したパターンP2以外のパターンを適宜採用できる。例えば、特開2004−58385号公報に記載される検査パターンを罫線調整パターンP2として採用してもよい。
上記各実施形態では、可能な場合(例えば、クリーニングを実行することなく罫線調整パターンP2を印刷する場合)、各パターンP1,P2を同一の記録用紙に印刷する構成としたが、かかる場合であっても、ノズルチェックパターンP1及び罫線調整パターンP2をそれぞれ異なる記録用紙に印刷する構成としてもよい。
上記各実施形態では、CPU10が、図4〜図8の各ステップ処理を実行する構成として説明したが、CPU10の代わりに、ASIC24が図4〜図8の各ステップ処理を実行する構成としてもよい。また、CPU10とASIC24とが協働して、図4〜図8の各ステップ処理を実行する構成としてもよい。