以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に移動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク99が装置本体に対して交換可能に装着される。
また、維持回復機構81と搬送ベルト51との間には、記録ヘッド34のノズルからの液滴吐出状態を検知する液滴吐出検知手段(装置)90が配置され、所要のタイミングで滴吐出状態の検知が行われる。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
次に、液滴吐出検知装置90の一例について図3を参照して説明する。図3は同装置の説明に供する説明図である。
この液滴吐出検知装置90は、レーザーダイオード91から照射された光を、コリメートレンズ92を通して集光して、レーザー光93として射出し、レーザー光93が液滴201で散乱されて生じる散乱光94をフォトダイオード95で受光して電圧に変換して出力する。そして、この出力電圧を予め定めた閾値と比較することによって当該液滴を吐出するノズルが正常であるか異常であるかを判定(検出)する。
例えば、ノズル内のインクの乾燥度合いと吐出される液滴の滴体積の関係は、図4に示すように、乾燥度合いが高くなるに従って滴体積が小さく関係にある。
そこで、図5に示すように、記録ヘッド34の各ノズル104から順次液滴201を吐出するとき、例えば、同図で左から6番目のノズル104について吐出された液滴202の滴体積が所定体積より少ないとする。
このとき、当該ノズル104からの液滴202を検出したときのフォトダイオード95の出力電圧(滴検知出力)V1は図6に実線で示すようになる。つまり、図8に破線で示す正常吐出状態であるとき(正規)の出力電圧V0に対し、当該液滴202を検出した時の出力電圧V1は差分電圧ΔVだけ低くなる。
ここで、正規の出力電圧V0に対する実際の出力電圧V1との差分電圧ΔVは、滴体積に対応したものになり、滴体積が所定の滴体積よりも小さくなると電圧ΔVも大きくなる。
そこで、例えば、実際の出力電圧V1と正規の出力電圧V0との差分電圧ΔVを、許容される滴体積の変動範囲に基づいて予め定めた値(閾値)と比較して、閾値以上であるときには、当該液滴を吐出したノズルを異常吐出と判定し、閾値未満であるときには正常吐出と判定することができる。
また、例えばノズル内のインクの乾燥度合いと吐出される滴速度の関係は、図7に示すように、乾燥度合いが高くなるに従って滴速度が遅くなる関係にある。
そこで、図8に示すように、記録ヘッド34の各ノズル104から順次液滴201を吐出するとき、例えば、同図で左から6番目のノズル104について吐出された液滴203の滴速度が所定滴速度より少ないとする。
このとき、当該ノズル104からの液滴203を検出したときのフォトダイオード95の出力電圧(液滴検知出力)は図11に実線で示すようになる。つまり、図9に破線で示す正常吐出状態であるときの隣り合う検知出力の検知間隔である正規の検知間隔t0に対し、当該液滴203を検出するまでの検知間隔t1は差分時間Δtだけ遅くなる。
ここで、正規の検知間隔t0に対する実際の検知間隔t1との差分時間Δtは、滴速度に対応したものになり、滴速度が所定の滴速度よりも遅くなると差分時間Δtも大きくなる。
そこで、例えば、実際の検知間隔t1と正規の検知間隔t0との差分時間Δtを、許容される滴速度の範囲に基づいて予め定めた値(閾値)と比較して、閾値以上であるときには、当該液滴を吐出したノズルを異常吐出と判定し、閾値未満であるときには正常吐出と判定することができる。
なお、液滴吐出検知装置90の構成はこれに限るものではない。例えば、液滴に静電荷を帯びさせ、所定の場所に、吐出するときに、静電場の変化を読み取って、正常吐出や異常吐出を判定するもの、所定のパターンを出力し、これをスキャナで読み取って、正常吐出や異常吐出を判定するものなどでもよい。
また、不吐出ノズルは、ユーザーの長期使用によって紙紛などに代表される異物がノズル外部から詰まったり、インク内に含まれる突発的な異物により内部から詰まったりする場合がある。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図10を参照して説明する。図10は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行する本発明に係る制御(処理)をするプログラムなどの各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の吸引ポンプ812及び詳細は省略するがキャップ82等を昇降させるキャップ昇降機構820を作動する維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511を備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
また、この制御部500には、液滴吐出検知装置90からの液滴吐出検知信号が入力されている。制御部500は、滴吐出状態の検知を行うときには、キャリッジ33を移動走査して記録ヘッド34を液滴吐出検知装置90による検知位置まで移動させ、記録ヘッド34の各ノズル104から順次液滴を吐出させて液滴吐出検知装置90による滴吐出状態の検知を行わせる。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
次に、この画像形成装置における滴吐出状態の検知に係る部分の詳細について図11のブロック説明図を参照して説明する。
制御部500からは所定の液滴吐出検知開始タイミングになると、液滴吐出検知装置90の液滴検知判定部803に対して液滴吐出状態の検出動作の開始を指示する。このとき、制御部500は、キャリッジ33を所定の記録ヘッド34が液滴吐出検知装置90に対応する位置まで移動させ、そして、液滴検知判定部803の判定結果を受けながら記録ヘッド34のノズルから順次液滴を吐出させる制御をする。
液滴吐出検知装置90の液滴検知判定部803は、I/F804を介して、発光部91を駆動制御して前述したようにレーザー光を射出させ、受光部95からの受光出力を入力し、前述したように滴体積に対応する差分電圧ΔVあるいは滴速度に対応する差分時間Δtを演算して、差分電圧ΔVあるいは差分時間Δtと予め定めた閾値とを比較して正常吐出(正常ノズル)か異常吐出(異常ノズル)かを判定し、判定結果を制御部500に与える。
次に、この画像形成装置における液滴吐出検知開始タイミングの設定について図12を参照して説明する。
この画像形成装置は、操作パネル514或いはホスト600のプリンタドライバ601によるユーザーインターフェース(印刷プロパティ)を使用して、液滴吐出検知の検知動作を開始するタイミングを設定することができる。
例えば、操作パネル514や印刷プロパティ上のシステム設定ボタン220によって、液滴吐出検知設定221を選択することで、液滴吐出検知ON(速度優先)222、液滴吐出検知ON(画質優先)223、液滴吐出検知OFF224のいずれかを設定できる。
ここで、液滴吐出検知ON(速度優先)222が設定されたときには、装置の制御部500は、電源投入後、あるいは、省エネモード復帰後、記録ヘッド34の回復動作後に、液滴吐出検知動作を実施し、印刷開始前は液滴吐出検知動作を実施しない(これを「第1のモード」という。)。
また、液滴吐出検知ON(画質優先)223が設定されたときには、装置の制御部500は、記録ヘッド34の印刷開始前、回復動作後に、液滴吐出検知動作を実施する(これを「第2のモード」という。)。また、液滴吐出検知ON(画質優先)223から液滴吐出検知ON(速度優先)222に変更されたときにも、液滴吐出検知動作を実施する。
また、液滴吐出検知OFF224が選択されたときには、液滴吐出検知動作を実施しない。
ユーザーは、この中から所望の設定を選択し、液滴吐出検知の実施タイミングを切り替えることができる。これにより、各ユーザーは、使用状況に応じて、所望の生産性と画質信頼性で出力させることができる。
また、ユーザーによる設定ではなく、選択された印刷モードによって設定する構成とすることもできる。
つまり、この画像形成装置では、上記のとおり、印刷モードとして速度優先モードと画質優先モードとを有している。速度優先モードは、画質は画質優先モードよりも低いが、印刷速度は画質優先モードよりも速くなるモードであり、画質優先モードは、画質は速度優先モードよりも高いが、印刷速度は速度優先モードよりも遅くなるモードである。印刷モードも操作パネル514或いはホスト600のプリンタドライバ601によるユーザーインターフェース(印刷プロパティ)を用いて設定できる。
そこで、制御部500は、内部のプログラムで、印刷モードとして、速度優先モードが選択されたときには、液滴吐出検知動作を第1検知モードで行うように設定し、また、画質優先モードが選択されたときには、液滴吐出検知動作を第2検知モードで行うように設定する。
次に、本発明の第1実施形態における制御部による液滴吐出検知要否判定処理について図13のフロー図を参照して説明する。なお、以下では電源投入時、省エネモード復帰時は省略して説明する。
まず、速度優先モードが画質優先モードかを判別する。
そして、速度優先モードであれば、回復処理実施後か否かを判別し、回復処理実施後であれば、回復処理を実施したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
これに対し、画質優先モードであれば、印刷開始前か否かを判別し、印刷開始前であれば、印刷に使用するノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、印刷開始前でなければ、回復処理実施後か否かを判別し、回復処理実施後であれば、回復処理を実施したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、回復処理後実施後でなければ、画質優先モード(第2検知モード)から速度優先モード(第1検知モード)に変更されたか否かを判別し、第2検知モードから第1検知モードに変更されたときには、全ノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
次に、液滴吐出検知開始以降の処理について図14のフロー図を参照して説明する。
まず、実施対象ノズルの全てについて液滴吐出検知動作を実施した後、異常吐出ノズルがあるか否かを判別する。
ここで、異常吐出ノズルがあれば、画像補償印刷モードを設定し、異常吐出ノズルがなければ、通常印刷モードを設定する。
その後、印字命令があれば、印刷モードに応じた方法で印刷を実行し、印刷終了後印刷待機状態となる。
次に、上記の画像補償印刷の異なる例について図15及び図16の説明図を参照して説明する。
図15に示す第1例は、マルチスキャン処理で画像補償を行う例である。これは、図15(a)に示すように、例えば1スキャン目で異常吐出ノズルによってノズル抜けが生じたドット列225について、同図(b)に示すように、用紙送りを行って正常吐出ノズルに対向させて、再スキャンを行い、正常吐出ノズルを使用して、ドット列26を印刷する。
図16に示す第2例は、ノズル冗長処理で画像補償を行う例である。これは、図16(a)に示すように、異常吐出ノズルと判定された該当ノズルを印刷に使用しないで、本来当該異常吐出ノズルから吐出される液滴228の両隣りの正常吐出ノズルから通常よりも大きな滴体積の液滴229、230を吐出させることで、同図(b)に示すように、異常吐出ノズルで本来印刷するべき箇所を目立ちにくくして印刷する。
すなわち、本実施形態においては、速度優先モード(第1検知モード)選択時の印刷前には、液滴吐出検知を実施しない。そのため、画質優先モード(第2検知モード)から速度優先モード(第1検知モード)に変更された後の次の印刷開始時は、液滴吐出の状況が不確定である。つまり、前回液滴吐出検知した時点は、時間的に過去の液滴吐出状態であり、最新の液滴吐出の状況が不明である。
そこで、画質優先モード(第2検知モード)から速度優先モード(第1検知モード)に変更されたときには、全ノズルに対して液滴吐出検知を実施する。そして、最新の液滴吐出状態を検知して異常吐出ノズルの判定を行う。ここで、異常吐出ノズルがあれば、画像補償による印刷を行うモード(画像補償印刷モード)に移行し、異常吐出ノズルがなければ、通常の印刷モードで印刷を行う。
逆に、速度優先モード(第1検知モード)から画質優先モード(第2検知モード)に変更された場合は、画質優先モード(第2検知モード)では印刷前に必ず液滴吐出検知を行うので、モード変更されたタイミングで、液滴吐出検知を実施する必要性がない。
このように、印刷開始前に液滴吐出検知動作を行わない第1検知モードと、印刷開始前に液滴吐出検知動作を行う第2検知モードを設定可能とすることで、画像形成を開始する毎に毎回検知動作を行う場合に比べて生産性を向上することができる。そして、第2検知モードから第1検知モードに変更されたときには、液滴吐出検知動作を行うようにすることで、画質の信頼性を確保することができる。
次に、本発明の第2実施形態における制御部による液滴吐出検知要否判定処理について図17のフロー図を参照して説明する。
まず、速度優先モードが画質優先モードかを判別する。
そして、速度優先モードであれば、回復処理実施後か否かを判別し、回復処理実施後であれば、回復処理を実施したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、回復処理実施後でなければ、画像補償印刷に移行した後の経過時間が所定時間以上であるノズルがあるか否かを判別し、所定時間以上経過したノズルがあるときには、当該所定時間以上経過したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
これに対し、画質優先モードであれば、印刷開始前か否かを判別し、印刷開始前であれば、印刷に使用するノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、印刷開始前でなければ、回復処理実施後か否かを判別し、回復処理実施後であれば、回復処理を実施したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、回復処理後実施後でなければ、画質優先モード(第2検知モード)から速度優先モード(第1検知モード)に変更されたか否かを判別し、第2検知モードから第1検知モードに変更されたときには、全ノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
次に、液滴吐出検知開始以降の処理について図18のフロー図を参照して説明する。
まず、実施対象ノズルの全てについて液滴吐出検知動作を実施した後、異常吐出ノズルがあるか否かを判別する。
ここで、異常吐出ノズルがあれば、画像補償印刷モードを設定し、画像補償印刷モードに移行した時刻を記憶する。この記憶した時刻と現在時刻との差分と所定時間とを比較して、前述した画像補償印刷に移行した後の経過時間が所定時間以上であるノズルがあるか否かを判別が行われる。また、異常吐出ノズルがなければ、通常印刷モードを設定する。
その後、印字命令があれば、印刷モードに応じた方法で印刷を実行し、印刷終了後印刷待機状態となる。
すなわち、速度優先モード(第1検知モード)においては、画像補償印刷モード移行後に所定時間経過したノズルがあるか否かを判定する。既に画像補償印刷モード移行後に所定時間経過したノズルがある場合は、液滴吐出検知を実施する。そして、異常吐出ノズルがない場合は、通常印刷モードで印刷を行う。異常吐出ノズルがあった場合は、画像補償印刷モードへ移行する際に、画像補償印刷モードへ移行した時刻を新たに記憶する。
速度優先モード(第1検知モード)では、一旦、画像補償印刷モードに移行すると、次の電源投入時や、回復処理実施後に液滴吐出検知を行うまでは画像補償印刷モードから抜け出せる可能性がない。それを回避するためには、あるタイミングで液滴検知する必要がある。軽微な吐出異常の場合、時間が経過すると回復する可能性もあるため、画像補償印刷モード移行後、一定時間経過したかどうか判定し、一定時間経過した時には、液滴吐出検知を行う。
これに対して、画質優先モード(第2検知モード)は、印刷前に液滴吐出検知を行うので、一定時間経過した時に液滴吐出検知を行う必要性がない。
次に、本発明に係る画像形成装置の他の例におけるヘッド配置構成について図19を参照して説明する。
この画像形成装置では、キャリッジ上に、4個の記録ヘッド34a〜34dを備え、記録ヘッド34aと記録ヘッド34b〜34dは主走査方向と直交する方向である副走査方向に1ヘッド分(1ノズル列分)位置をずらして配置されている。また、記録ヘッド34a〜34dはいずれも2列のノズル列Na、Nbを有している。
そして、記録ヘッド34aと34bの各ノズル列はいずれも同色である黒色(K)の液滴を吐出し、記録ヘッド34cの1つのノズル列でシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34dの2つのノズル列でそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)の液滴を吐出する。
これにより、モノクロ画像については記録ヘッド34a、34bを使用して1スキャン(主走査)で2ヘッド分の幅で画像を形成でき、カラー画像については例えば記録ヘッド34b〜34dを使用して形成することができる。
ここでは、モノクロ印刷で使用する記録ヘッド34a、34bのノズルを「ノズル群A」とし、カラー印刷で使用する記録ヘッド34b〜34dのノズルを「ノズル群B」とする。
そこで、本発明の第3実施形態における制御部による液滴吐出検知要否判定処理について図20のフロー図を参照して説明する。
まず、速度優先モードが画質優先モードかを判別する。
そして、速度優先モードであれば、回復処理実施後か否かを判別し、回復処理実施後であれば、回復処理を実施したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、回復処理実施後でなければ、画像補償印刷に移行した後の経過時間が所定時間以上であるノズルがあるか否かを判別し、所定時間以上経過したノズルがあるときには、当該所定時間以上経過したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
これに対し、画質優先モードであれば、印刷開始前か否かを判別し、印刷開始前であれば、印刷に使用するノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、印刷開始前でなければ、回復処理実施後か否かを判別し、回復処理実施後であれば、回復処理を実施したノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、回復処理実施後でなければ、画質優先モード(第2検知モード)から速度優先モード(第1検知モード)に変更されたか否かを判別し、第2検知モードから第1検知モードに変更されたときには、全ノズルを対象として液滴吐出検知動作を開始する。
また、画質優先モード(第2検知モード)から速度優先モード(第1検知モード)に変更されていなければ、印刷に使用するノズル群が変更されたか否かを判別し、印刷に使用するノズル群が変更されたときには、新規使用ノズル(これまでの印刷で使用されず、かつ、これからの印刷に使用するノズル)を対象として液滴吐出検知動作を開始する。
つまり、上述したようにモノクロ画像印刷に使用するノズル群Aとカラー画像印刷に使用するノズル群Bがあり、印刷中に、使用するノズル群を変更する印刷命令(例えば、モノクロ印刷からカラー印刷へ変更する)を受け付けた場合は、それまで印刷に使用していないノズル群の液滴吐出状態が不確定である。
ここで、画質優先モード(第2検知モード)では、印刷に使用するノズルに対してのみ印刷前に液滴吐出検知を実施するので、例えば、10枚セットの印刷命令の内、初めの9枚目までがモノクロ印刷で、10枚目がカラー印刷の場合は、1枚目の印刷前にノズル群Aに対して液滴吐出検知を実施し、その検知結果を元に、1枚目から9枚目までの印刷を実施するが、10枚目はノズル群Bを使用してカラー印刷を行う。
このとき、ノズル群Aに属する記録ヘッド34bのノズルは、1枚目の印刷前に液滴吐出検知を実施しているが、ノズル群Bに属する記録ヘッド34c、34dのシアン、イエロー、マゼンタ用の各ノズルは液滴吐出検知を実施していないので吐出状態が不確定である。
そこで、印刷に使用するノズル群が変更された場合は、今まで印字に使用していない、かつ、これから印刷に使用するノズルに対して、液滴吐出検知動作を実施することで、ノズル吐出状態を確定させる。
これにより、印刷に使用するノズル群が変更されても、最新の液滴吐出状態を反映させた状態で、画像形成を開始することができる。
次に、液滴吐出検知動作において回復動作を行う例について図21のフロー図を参照して説明する。
まず、実施対象ノズルの全てについて液滴吐出検知動作を実施した後、異常吐出ノズルがあるか否かを判別する。
ここで、異常吐出ノズルがあれば、異常吐出ノズルに対して回復動作を行う。
回復動作では、例えば、記録ヘッド34のノズル面をキャップ82aでキャッピングして図示しない吸引ポンプから吸引することで、ノズルからインクを吸引排出(ヘッド吸引)させてノズルの目詰まりを解消し、あるいは、記録ヘッド34にインクを加圧供給してノズルから排出させることで目詰まりを解消する。あるいは、ノズルから画像形成に寄与しない液滴を吐出させることでもよい。
次に、液滴吐出検知動作で異常報知を行う例について図22のフロー図を参照して説明する。
まず、実施対象ノズルの全てについて液滴吐出検知動作を実施した後、異常吐出ノズルがあるか否かを判別する。
ここで、異常吐出ノズルがあれば、異常吐出ノズルがあることをユーザーに報知する。
例えば、操作パネル514或いはホスト600の画面に異常吐出ノズルがある旨を報知し、その後の処理、例えば、回復動作の実施、サービス拠点への連絡を促す。これにより、異常吐出ノズルに対する迅速な処理を実施することができる。
報知例としては、図23(a)に示すように、出力物に不良が発生する可能性があるため、回復処理の実施を勧める報知をする。これにより、ユーザーが、回復処理を実施することで、吐出不良のある出力物の印刷を抑制することができる。
また、図23(b)に示すように、吐出不良の発生するヘッドを指定し、回復処理の実施を勧める方法である。これにより、ユーザーが、必要なヘッドに対して回復処理を実施することで、吐出不良のある出力物の印刷を抑制することができる。
また、図23(c)に示すように、出力物に不良が発生する可能性がある場合、例えば指定された連絡先への連絡を指示し、サービスマンに対応してもらう方法である。これにより、ヘッドの故障などが起きていても、所定の対応、例えば故障ヘッドの交換を実施することで、画像形成装置を正常に使用できるようになる。
次に、電源投入後の液滴吐出検知動作について図24のフロー図を参照して説明する。
前述したように第1検知モードにおいては、電源投入時に液滴吐出検知動作を実施する。
つまり、電源投入後か否かを判別し、電源投入後であれば、実施対象ノズルの全てについて液滴吐出検知動作を実施した後、異常吐出ノズルがあるか否かを判別する。
ここで、異常吐出ノズルがあれば、画像補償印刷モードを設定し、異常吐出ノズルがなければ、通常印刷モードを設定する。
このように、電源投入時に、異常吐出ノズルがある場合は、画像補償印刷モードに移行し、正常な場合は通常モードに移行することで、次の印刷指令を受けたときに、吐出状態に応じて、迅速に適切な処理を選択し、印刷を開始することができる。
次に、省エネモード復帰後の液滴吐出検知動作について図25のフロー図を参照して説明する。
前述したように第1検知モードにおいては、省エネモードからの復帰時にも液滴吐出検知動作を実施するようにしている。省エネモードとは、装置の使用電力を電源オン状態よりも少ない使用電力にするモードである。
つまり、省エネモード復帰後か否かを判別し、省エネモード復帰後であれば、実施対象ノズルの全てについて液滴吐出検知動作を実施した後、異常吐出ノズルがあるか否かを判別する。
ここで、異常吐出ノズルがあれば、画像補償印刷モードを設定し、異常吐出ノズルがなければ、通常印刷モードを設定する。
これにより、印刷の前に事前にノズルの吐出状態を検知できるので、生産性の低下を抑えることができる。また、省エネモードからの復帰時に、異常吐出ノズルがある場合は、画像補償印刷モードに移行し、正常な場合は通常モードに移行することで、次の印刷指令を受けたときに、吐出状態に応じて、迅速に適切な処理を選択し、印刷を開始することができる。
次に、回復処理実施後の液滴吐出検知動作について図26のフロー図を参照して説明する。
前述したように第1検知モード及び第2検知モードにおいては、回復動作実施後にも液滴吐出検知動作を実施するようにしている。
つまり、回復動作実施後か否かを判別し、回復動作実施後であれば、実施対象ノズルの全てについて液滴吐出検知動作を実施した後、異常吐出ノズルがあるか否かを判別する。
ここで、異常吐出ノズルがあれば、画像補償印刷モードを設定し、異常吐出ノズルがなければ、通常印刷モードを設定する。
これにより、回復動作実施後の最新の吐出状態を得ることができる。すなわち、回復動作を実施することで、異常吐出ノズルが復帰する可能性がある。そこで、回復動作の実施によってノズル吐出状態に変化があった場合でも、最新のノズル吐出状態を反映させた状態で、印刷を開始することができる。
以上の回復制御や液滴吐出検知処理など、本発明に係る処理は、ROM502に格納されている本発明に係るプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、上記処理は、情報処理装置(ホスト600)側のプリンタドライバで行う構成とすることもできる。さらに、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。