JP2014066748A - 無端ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents

無端ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ベルトがロールの軸方向にずれる現象(ベルトウォーク)が抑制される無端ベルトを提供する。
【解決手段】弾性材料を含む基材21と、樹脂を含み、前記基材の外周面側を被覆する外側被覆層23とを有し、ベルトの内周面側の幅方向両端部の摩擦係数が該両端部の間の部分25の摩擦係数よりも相対的に大きい無端ベルト20。
【選択図】図1

Description

本発明は、無端ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を利用した複写機やプリンタ等の画像形成装置では、像保持体の表面に形成した静電潜像をトナー像として現像する。次いで、保持体のトナー像を転写装置により記録材に静電的に転写した後、例えば、加熱定着機構によりトナー像を記録材に定着させることにより画像形成が行われる。
転写装置にベルト(転写ベルト、搬送ベルト)を用いる場合、転写装置を構成する構造体の組み付け寸法公差やロールの平行度や外径のばらつきにより、ベルトの位置がロールの軸方向にずれる現象(ベルトウォークと呼ばれる)が生じる場合がある。
例えば、ベルトの内周面の少なくとも一端部にベルトの周方向全長に沿ってリブ(突条)を設けるとともに、それに対向する位置のロールに溝を設け、リブを溝と合致させることでベルトウォークを抑える技術などが知られている。
また、特許文献1では、「少なくとも2つのローラにより張架されたベルトと、該ベルトの外周面に接触してベルトとの間でニップを形成する加圧ローラと、上記ベルトの幅方向端部に設けられたベルト寄り防止手段とを備えたベルト駆動装置において、ベルト寄り防止手段に関わるローラでの軸線方向移動力が他のローラの個所での軸線方向移動力よりも大きいことを特徴とするベルト駆動装置」が開示されている。
特許文献2では、「各色成分トナー像が形成担持される一若しくは複数の像担持体と、この像担持体上の各色成分トナー像が中間的に転写担持される中間転写体と、この中間転写体上の各色成分トナー像が記録材上に一括転写せしめられる一括転写装置とを備えた画像形成装置において、一括転写装置は、複数のロール及び当該ロールに回転可能に張架された転写搬送ベルトを有し、複数のロールのうち記録材搬送方向上流側に位置するロールを転写ロールとし、この転写ロールを、転写搬送ベルトを介して中間転写体に圧接配置させると共に、転写搬送ベルト裏面と前記転写ロールとの接触面を摺接可能に構成したことを特徴とする画像形成装置」が開示されている。
特許文献3では、「表面にトナー像若しくは記録材を担持する搬送ベルトであって、弾性材からなるベルト基材と、ベルト基材の表面に被覆形成される表面被覆層と、ベルト基材裏面に被覆形成される裏面被覆層とを備え、この裏面被覆層の体積抵抗率をベルト基材の体積抵抗率より大きく且つ表面被覆層の体積抵抗率と同等以上に設定することを特徴とする搬送ベルト」が開示されている。
特開2002−173212号公報 特開2006−30778号公報 特開2005−321465号公報
本発明は、ベルトがロールの軸方向にずれる現象(ベルトウォーク)が抑制される無端ベルトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、弾性材料を含む基材と、樹脂を含み、前記基材の外周面側を被覆する外側被覆層とを有し、ベルトの内周面側の幅方向両端部の摩擦係数が該両端部の間の部分の摩擦係数よりも相対的に大きい無端ベルト。
請求項2に係る発明は、前記ベルトの内周面の両端部では、前記基材の内周面が露出し、前記両端部の間の部分では、樹脂を含み、前記基材の内周面側を被覆する内側被覆層が設けられている請求項1に記載の無端ベルト。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の無端ベルトと、前記無端ベルトの両端部が内側に曲がった状態で、かつ、前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備える転写ユニット。
請求項4に係る発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、請求項1又は請求項2に記載の無端ベルト、及び、前記無端ベルトの両端部が内側に曲がった状態で、かつ、前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールを含み、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
請求項1、2に係る発明によれば、ベルトウォークが抑制される無端ベルトが提供される。
請求項3、4に係る発明によれば、ベルトの劣化が抑制される転写ユニット、画像形成装置が提供される。
実施形態に係る無端ベルトの一例を示す概略図である。 図1に示す無端ベルトのA−A線断面を示す概略図である。 実施形態に係る無端ベルトをロールで掛け渡した転写ユニットの一例を示す概略図である。 実施形態に係る無端ベルトをロールで掛け渡した転写ユニットの他の例を示す概略図である。 実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は対応する要素(部材)には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
[無端ベルト]
本実施形態に係る無端ベルトは、弾性材料を含む基材と、樹脂を含み、前記基材の外周面側を被覆する外側被覆層とを有し、ベルトの内周面側の幅方向両端部の摩擦係数が該両端部の間の部分の摩擦係数よりも大きく構成されている。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無端ベルトの構成の一例を示している。図2は、図1におけるA−A線断面を概略的に示している。第1実施形態に係る無端ベルト20(以下、単に「ベルト」という場合がある。)は、弾性材料を含む基材21(以下、ベルト基材という場合がある。)の表裏両面(外周面及び内周面)にそれぞれ樹脂を含む被覆層23,25が設けられている。
ベルト20の外周面側に位置する外側被覆層23は、基材21の外周面側全体を被覆している。一方、ベルト20の内周面側は、両端部では基材21の内周面が露出し、両端部の間の部分(以下、「中央部」という場合がある)には樹脂を含む内側被覆層25が設けられている。このような構成により、ベルト20の内周面の両端部において基材25が露出している両端部では、内側被覆層25が設けられている中央部よりも摩擦係数が相対的に高くなっている。
本実施形態に係る無端ベルト20を用いれば、リブを設けずにベルトウォークが抑制される。その理由は以下のように推測される。
例えば、図3に示すように、本実施形態に係る無端ベルト20の両端部が複数のロール(以下、「張架ロール」と記す場合がある。)の端部からはみ出して内側に曲がり、ベルト20を張力がかかった状態で掛け渡して駆動させると、ベルト20の内周面側と張架ロール27A,27Bが接する領域には摩擦係数が相対的に小さい内側被覆層25が設けられているため、ベルト20に局所的なストレスが生じ難いが、張架ロール27A,27Bの端部からはみ出して内側に傾斜した両端部では、ロール27A,27Bの軸方向に伸ばされたベルト20には内側に復元しようとする力が働いている。
例えば、ベルト20がロール27A,27Bの軸方向の左側に移動した場合、左側では内側被覆層25が張架ロール20と接触し続けるが、右側では、内側被覆層25が設けられていない両端部(基材21の内周面)と張架ロール27A,27Bが接触する。そして、両端部(基材21の内周面)と張架ロール27A,27Bとの接触による摩擦係数の変化(増加)により、ロール27A,27Bの軸方向の右側に向く力が増加し、左右のバランスは右向きの力となる。上記内側に働く力と右向きの力が合成され矢印方向Bの力となり、ベルトウォークを抑える力として働くと考えられる。
<基材>
本実施形態に係る無端ベルト20の基材21は主に弾性材料によって構成される。
ベルト基材21を構成する弾性材料としては、ゴム、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
原料ゴムとしては、一般的なジエン系ゴム、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IIR)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム(ACM,ANM)、クロロプレン(CR)、ヒドリンゴム(ECO)、NBR―EPDMブレンド物等が挙げられるが、比較的剛性が高く、それ自体が半導電性に近い体積抵抗率を有し、成型型内での流動性が良好であるという観点から、ニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、ポリウレタンゴム(PUR)などが望ましい。
一方、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリウレタン系、スチレン−ブタジエントリブロック系、ポリオレフィン系などが用いられる。このような熱可塑性エラストマーを使用するとリサイクルにも対応し易い。
ベルト基材21を構成する弾性材料は、一種類である必要はなく、二種以上の材料をブレンドしてもよい。例えば、難燃性クロロプレンゴム(CR)と耐オゾン劣化の高いEPDMとをブレンドした材料を用いてもよい。
ベルト基材21には、導電性フィラーや絶縁性フィラーを添加してベルト基材21の体積抵抗率を調整してもよい。
各フィラーの形状としては、粒子状、長繊維状など任意の形状のものが使用される。
導電性フィラーとしては、カーボンブラックのほか、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ、グラファイト、LiClO、LiAsFなどの金属塩、各種4級アンモニウム塩などが挙げられる。絶縁性フィラーとしてはシリカ、酸化亜鉛(亜鉛華)などが挙げられる。
更に、ベルト基材21には以下のようなゴム用配合原料を使用してもよい。
例えば充填剤として、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等、クレー、タルク、シリカ等、また、ゴム用薬品として、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、プロセスオイル等、着色剤として、各種顔料等が挙げられる。
また、受酸剤、補強剤、などを添加してもよい。
ベルト基材21の製法については特に限定されないが、例えば以下のように製造される。
クロロプレンゴム(CR)とEPDMとをブレンドした材料を例に挙げると、ベルト基材21を製造するには、クロロプレンゴム、EPDMに対し例えば導電性フィラーを混入分散させた後これらのクロロプレンゴムとEPDMとをバンバリミキサーで混練させ、加硫剤,加硫促進剤、発泡剤を加えて押し出し成形を行う。
上記混練したベルト基材21を押出成形する場合には、加硫マンドレルと呼ばれる、ベルト内径と同サイズの外径を持つ金属製のシリンダに混練したベルト基材21を覆い被せた状態で予め定めた条件(例えば150℃で約1時間)にて加硫させる。次いで、必要とするモジュラスに応じて時間を変更しながら予め定めた条件(例えば110℃で約15時間)にて二次加硫を行う。その後、研磨用マンドレルにベルト基材21を被せてベルト基材21の内周面と外周面とを研磨し、表面の平滑性を得るようにすればよい。
ベルト基材21の厚みは、無端ベルトとしての強度を保持するとともに張架時ベルト剛性保持、永久伸び変化抑制、ベルト研磨時の破損・破れ・表面平滑性保持の観点から、100μm以上1000μm以下、より好ましくは300μm以上600μm以下とすることが望ましい。
<外側被覆層>
本実施形態に係る無端ベルト20は、ベルト基材21の外周面側を覆う外側被覆層23が設けられている。ゴム等から構成される基材21は、シワが生じやすく、また、画像形成に伴って生成する放電生成物が付着しやすいが、外側被覆層23が設けられていることでシワの発生や放電生成物の付着が抑制される。
外側被覆層23は樹脂を含んで構成され、必要に応じてフィラー、代表的には潤滑性フィラー及び導電性フィラー等を分散させて構成される。
外側被覆層23を構成する樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂などが挙げられる。
外側被覆層23に含み得る潤滑性フィラーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等のフッ化化合物の樹脂粉体などが挙げられ、必要に応じて界面活性剤を分散させて用いられる。
外側被覆層23に含み得る導電性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、ホワイトカーボン、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ケイ素アンチモン、酸化アルミニウムのような金属酸化物などが挙げられる。
外側被覆層23を基材21の外周面に形成する方法は特に限定されず、例えば、樹脂中にフィラーを混入して分散させた被覆層形成用塗布液を、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコート等により、ベルト基材21上に塗布して乾燥させればよい。
外側被覆層23の膜厚は、材料等に応じて設定すればよいが、機械的強度に必要な耐久性と、剪断力による剥がれを抑制する観点などから、例えば10μm以上100μm以下に設定される。
<内側被覆層>
ベルト基材21の内周面側には、両端部を除いてベルト基材21の内周面側を覆う内側被覆層25が設けられている。これにより、無端ベルト20の内周面側の両端部では基材21の内周面が露出し、内側被覆層25が設けられている中央部よりも摩擦係数が高くなっている。
内側被覆層25は、外側被覆層23と同じ材料で構成してもよいし、異なる材料で構成してもよい。例えば、外側被覆層23は樹脂のほかにフィラー等の添加剤を加えた材料で構成し、内側被覆層25は添加剤を入れずに樹脂で構成してもよい。また、外側被覆層23を構成する樹脂とは異なる樹脂を用いて内側被覆層25を構成してもよい。
内側被覆層25を形成する方法は特に限定されず、最終的に無端ベルト20の内周面側の幅方向両端部では基材21の内周面が露出すればよい。
例えば、樹脂中にフィラー等を混入して分散させ、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコート等により、ベルト基材21の内周面に塗布して乾燥させる。このとき、基材21の内周面側において両端部を除く領域に内側被覆層25を選択的に形成してもよいし、基材21の内周面全体に内側被覆層25を形成した後、両端部の内側被覆層25を選択的に除去してもよい。
内側被覆層25を設けない各端部の幅Wは無端ベルト20全体の幅や張架ロールの長さにもよるが、通常は、それぞれ無端ベルト20の全幅の5%以上10%以下に設定する。
内側被覆層25の膜厚は材料等に応じて設定すればよいが、機械的強度に必要な耐久性と、剪断力による剥がれを抑制する観点などから、例えば2μm以上10μm以下に設定される。
なお、本実施形態に係る無端ベルト20の全体としての厚みは、例えば、100μm以上1000μm以下であり、好ましくは300μm以上600μm以下である。無端ベルト20の厚みが100μm以上であれば、無端ベルトとして必要な機械特性が得られ、50μm以下であれば、ロール屈曲部での変形によってベルト表面の応力が集中して表面に亀裂が発生することがより効果的に抑制される。
[他の実施形態]
第1実施形態の無端ベルト20は、内周面側の各端部には内側被覆層を設けず、張架ロールと接する中央部に内側被覆層25を選択的に設けることで両端部の摩擦係数を相対的に高くしているが、本実施形態の無端ベルトはこのような形態に限定されない。本実施形態の無端ベルトは、ベルトの内周面側の両端部の摩擦係数がた中央部の摩擦係数よりも高くなれば他の形態を採用してもよい。例えば、以下の第2〜第5実施形態の無端ベルトが挙げられる。
(第2実施形態)
基材の内周面側に内側被覆層を設けず、基材の内周面側の両端部を粗面化することで、両端部の摩擦係数を相対的に高くした無端ベルトとしてもよい。
(第3実施形態)
基材の内周面側の両端部に基材の内周面よりも摩擦係数が高い内側被覆層を選択的に設けることで、両端部の摩擦係数を相対的に高くした無端ベルトとしてもよい。
(第4実施形態)
例えば、基材の内周面側全体に内側被覆層を設け、両端部の内側被覆層を粗面化することで両端部の摩擦係数を相対的に高くした無端ベルトとしてもよい。
(第5実施形態)
基材の内周面側の両端部には摩擦係数が相対的に高い第1内側被覆層を設け、両端部の間の中央部には第1内側被覆層よりも摩擦係数が相対的に低い第2内側被覆層を選択的に設けることで、第1内側被覆層が設けられた両端部の摩擦係数を相対的に高くした無端ベルトとしてもよい。
[転写ユニット]
本実施形態に係る転写ユニットは、前記した本実施形態の無端ベルトと、無端ベルトの両端部が内側に曲がった状態で、かつ、無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備えて構成される。
例えば、図3に示される転写ユニットは、無端ベルト20の幅よりも長さが短い複数のロール(張架ロール)27A,27Bを備え、無端ベルト20の両端部がそれぞれ各張架ロール27A,27Bの末端からはみ出て内側(ロール27A,27Bの軸側)に曲がっているとともに、無端ベルト20が張力がかかった状態で掛け渡された構成を有する。
図4は、別の張架ロール29A,29Bを用いた転写ユニットを示している。この転写ユニットにおける張架ロール29A,29Bは、それぞれ両端部付近が末端に向けて径が小さくなったテーパ形状を有している。無端ベルト20の両端部は、張架ロール29A,29Bの末端部からはみ出さずに各ロール29A,29Bの端部のテーパ形状に沿って内側(ロール29A,29Bの軸側)曲がっており、ベルト20の幅方向全体がロール29A,29Bと接触して張力がかかった状態で掛け渡されている。このような構成を有する転写ユニットでは、無端ベルト20のベルトウォークが効果的に抑制され、ベルト20の端部付近に応力集中が抑制されるため、亀裂の発生なども効果的に抑制される。
[画像形成装置]
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記した本実施形態の無端ベルト、及び、前記無端ベルトの両端部が内側に曲がった状態で、かつ、前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールを含み、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を備えて構成される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を概略的に示している。
図5に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに特定距離で離間して並設されている。これら画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1画像形成ユニット10Yを代表例として説明する。尚、第1画像形成ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4の画像形成ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1画像形成ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を特定の電位に帯電させる帯電ロール2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ロール5Y(転写手段の一部)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを、クリーニングブレードにて除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
1次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に配置されている。各1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各画像形成ユニットを通過して各トナー像が一次転写される中間転写ベルト20が設けられている。中間転写ベルト20は、離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に掛け渡され、中間転写ベルト20の両端部は駆動ロール22と支持ロール24の端部からはみ出して内側に曲がった状態で掛け渡されている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20は張力がかかった状態で掛け渡されている。第1画像形成ユニット10Yから第4画像形成ユニット10Kに向う方向に走行される。
中間転写ベルト20の周囲には、中間転写ベルト20を介して支持ロール24と対向した二次転写ロール26(転写手段の一部)が配置されている。また、二次転写ロール26よりも中間転写ベルト20の回転方向の下流側には中間転写ベルト20を介して駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が配置されている。
また、二次転写ロール26の下流側には、記録用紙P(記録媒体)にトナー像を定着する定着装置28が配置されている。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が例えば−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。
帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像は、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Yの表面に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って特定の現像位置4Yまで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー像として可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、イエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き特定速度で回転され、感光体1Y上のトナー像が特定の1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ロール5Yに特定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用し、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部(図示せず)によって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
第2画像形成ユニット10M以降の1次転写ロール5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1画像形成ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4画像形成ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ロール(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ロール26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に特定のタイミングで給紙され、特定の2次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の極性(−)であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録媒体Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれ、トナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録媒体P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録媒体Pに転写する構成となっているが、本実施形態に係る画像形成装置は、感光体から直接トナー像が記録媒体Pに転写される構成としてもよい。この場合、例えば、像保持体上のトナー像を記録媒体に転写させる位置に記録媒体を搬送してトナー像を転写させた後、トナー像が転写された記録媒体を定着装置まで搬送する機能を備えた転写ベルト(転写搬送ベルト)として本実施形態に係る無端ベルトを用いればよい。
以下、実施例について説明する。なお、以下の説明において、量を表す「部」、「%」は特に断りのない限り、質量基準である。
<実施例1>
ゴム基材(ゴム層)の加工においては、CR(クロロプレン)100部に対して、アセチレンブラック:25重量部、加硫剤として硫黄(鶴見化学社製):0.1部、硫黄加硫促進剤としてサンセラー22-C(三新化学工業社製):0.5部、ノクセラーTT-P(大内新興化学社製):0.7部、ノクセラーDM−P(大内新興化学社製):1部、バルノックR(大内新興化学社製):0.2部、及び受酸剤としてMgO(神島化学社製):4部、ZnO(正同化学社製):5部、さらにシリカ(日本シリカ工業社製)RS150:20部を補強剤として、10Lニーダーでブレンドした後、2本ロールによるリボン成形し、押し出し(45mmφスクリュー)、成形により40mmφ×幅400mm×肉厚1mmでベルト化した。
さらに2軸研磨機で500μmの肉厚まで両面を研磨してゴムベルトとした。
シリコン変性アクリルウレタン(日本アチソン(株)製JYL841)100質量部に、デグサ社製カーボンブラック「FW200」を20質量部を配合して被覆層形成用溶液を調製した。
ゴムベルトの両面に被覆層形成用溶液をスプレーコートし、表面層(外側被覆層、厚さ:8μm)及び裏面層(内側被覆層、厚さ:6μm)を形成した。
両端を切断して長さを355mmにして無端の弾性ベルトAを得た。
無端の弾性ベルトAの裏面側両縁部から25mm幅の領域の被覆層をリューターで研磨して取り除いた。これを実施例1の無端ベルトとした。
<実施例2>
実施例1と同様にして作製した無端の弾性ベルトAの作製において、内側被覆層を設けずに裏面側両縁部から25mm幅のゴム基材(ゴム層)をリューターで研磨して粗面化した。これを実施例2の無端ベルトとした。
<実施例3>
実施例1と同様にして作製した無端の弾性ベルトAの裏面側両縁部から25mm幅の領域の被覆層をリューターで研磨して被覆層を粗面化した。これを実施例3の無端ベルトとした。
<比較例1>
実施例1と同様にして作製した無端の弾性ベルトAに対し、実施例1と同様に裏面側両縁部から10mmの幅の領域の被覆層をリューターで研磨して被覆層を取り除いた。
その後、弾性ベルトのゴム基材と同質材料で作製した、内径39mm、幅5mmのリブを用意し、セメダイン社製スーパーX8008#接着剤で、ベルト裏面の被覆層を研磨した端部に接着した。これを比較例1の無端ベルトとした。
[評価]
実施例及び比較例で作製した無端ベルトを、富士ゼロックス社製 Color1000Pressの二次転写ユニットの中間転写ベルトとしてそれぞれ取りつけてテストを行なった。なお、二次転写ユニットの張架ロールの軸間距離の左右バランスを0.1mmずらし、ウォークが生じ易い環境にした。
そのまま、装置内で600000枚のプリントを行ない、終了後にベルトの位置について観察を行なった。
実施例1で作製した無端ベルトを用いた場合は、内側被覆層を設けていない位置以上にウォークの進行はなく、ベルトにも異常は見られなかった。
実施例2、3で作製した無端ベルトを用いた場合も、内側被覆層またはゴム基材を粗面化した位置以上にウォークの進行はなく、ベルトにも異常は見られなかった。
比較例1で作製した無端ベルトを用いた場合は、リブが張架ロール端でウォークが規制された状態になっていたが、ベルトの内周面側のリブに対応する位置の外周面には周方向に亀裂が多数見られた。
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置(潜像形成手段の一例)
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ロール(転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(転写手段の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 2次転写ロール(転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
100 画像形成装置
P 記録用紙(記録媒体の一例)

Claims (4)

  1. 弾性材料を含む基材と、樹脂を含み、前記基材の外周面側を被覆する外側被覆層とを有し、ベルトの内周面側の幅方向両端部の摩擦係数が該両端部の間の部分の摩擦係数よりも相対的に大きい無端ベルト。
  2. 前記ベルトの内周面の両端部では、前記基材の内周面が露出し、前記両端部の間の部分では、樹脂を含み、前記基材の内周面側を被覆する内側被覆層が設けられている請求項1に記載の無端ベルト。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の無端ベルトと、前記無端ベルトの両端部が内側に曲がった状態で、かつ、前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備える転写ユニット。
  4. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    請求項1又は請求項2に記載の無端ベルト、及び、前記無端ベルトの両端部が内側に曲がった状態で、かつ、前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールを含み、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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