図1は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示している。同図において画像形成装置100は、4個の像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkを図の左から順に有しており、各感光体ドラム1の周面には左から順にイエロトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成される。
各感光体ドラム1に対向して、非圧縮性材料の無端ベルトよりなる1段目の中間転写体としての中間転写ベルト2が配設されている。中間転写ベルト2は、テンションローラ5、駆動ローラ6、2次転写対向ローラ8に巻き掛けられており、4個の1次転写ローラ3Y,3M,3C,3Bk、3次転写対向ローラを兼ねた2次転写ローラ101、ベルトクリーニング装置10、及び各感光体ドラム1の周面に接触しつつ図1において時計回り方向に走行駆動され、各感光体ドラム1の周面に形成された各トナー像が重畳転写される。
ここで、感光体ドラム1上にトナー像を形成する構成を、感光体ドラム1Yを代表して説明する。感光体ドラム1Yは図1において反時計回り方向に回転駆動され、このときその周面近傍に配設された帯電ローラ11によってその周面が所定の極性に帯電される。本実施形態では、マイナス極性に帯電されたものとする。次いで、感光体ドラム1Yの帯電面に図示しない露光装置から出射された、光変調された書き込み光であるレーザ光Lが照射され、このレーザ光Lによって感光体ドラム1Yの周面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、感光体ドラム1Yの周面近傍に配設された反転現像方式の画像形成手段である現像装置23Yから供給されるイエロトナーによってイエロトナー像として可視像化される。現像装置23Yは現像バイアスが印加された現像ローラを有しており、この現像ローラに担持されて搬送される乾式現像剤によって静電潜像がトナー像へと可視像化される。ここで用いられる乾式現像剤としては、トナーとキャリアとを有する2成分系現像剤またはキャリアを有していない1成分系現像剤が用いられ、何れの場合にもそのトナーが正規の帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電されており、このトナーが感光体ドラム1Yに形成された静電潜像に静電的に移行することにより、静電潜像の可視像化が行われる。
中間転写ベルト2を介して感光体ドラム1Yと対向する位置には、中間転写ベルト2の裏面に接触し1次転写装置を構成する1次転写ローラ3Yが配設されている。1次転写ローラ3Yには感光体ドラム1Y上に形成されたトナー像とは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写電圧が印加され、これにより感光体ドラム1Yと中間転写ベルト2との間に1次転写に必要な電界が形成されて感光体ドラム1Y上のトナー像が走行駆動する中間転写ベルト2上に1次転写される。この1次転写時において、感光体ドラム1Y上にトナー像を形成するトナーの帯電量が1次転写前で−10〜−50μC/g程度であれば、1次転写ローラ3Yに印加する1次転写バイアスは+0.5〜+1.5kV程度が好適である。トナー像転写後の感光体ドラム1Yは、その周面近傍に設けられた除電ランプ21から照射される除電光によってその表面電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
上述と同様に他の感光体ドラム1M,1C,1Bkの周面上にもマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらの各トナー像がイエロトナー像の転写された中間転写ベルト2上に順次重ねて転写される。これにより中間転写ベルト2上には4色の重ねトナー像が形成される。
中間転写ベルト2を介して2次転写対向ローラ8と対向する位置には、2段目の中間転写体でありトナー像が転写材に転写される直前に転写される最終中間転写体としての2次転写ローラ101が配設されており、2次転写ローラ101を介して2次転写対向ローラ8と対向する位置には3次転写ローラ102が、また2次転写ローラ101の下方にはレジストローラ対19等を有する給紙部4が配設されている。給紙部4から送り出された転写紙または樹脂フィルム等からなる転写材としての記録媒体Pは、レジストローラ対19の回転により所定のタイミングで2次転写ローラ101とこれに接触する3次転写ローラ102との間に送り込まれる。
中間転写ベルト2上に1次転写されたトナー像は、2次転写ローラ101、2次転写対向ローラ8、及び中間転写ベルト2によって形成される2次転写ニップ部において、圧縮性弾性部材層を有する2次転写ローラ101の表面に2次転写される。2次転写ローラ101に印加するバイアス電圧が+0.5〜+1.5kV程度であれば2次転写対向ローラ8に印加するバイアス電圧はトナー極性側に偏倚し、2次転写ローラ101に対する電位差が好適な−0.5〜−2.0kVとなる−2.5〜+1.0kVの範囲に設定する。トナー像の転写後に中間転写ベルト2上に残留したトナーは、中間転写ベルト2を介して2次転写対向ローラ8と対向配置された除電手段22による除電効果で中間転写ベルト2との付着力を弱められた後、ベルトクリーニング装置10によって除去される。
送り込まれた記録媒体Pが3次転写ローラ102を通過するときに、3次転写ローラ102には中間転写ベルト2上に転写されたトナー像とは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写電圧が印加され、これにより2次転写ローラ101と記録媒体Pとの間に電界が形成されて2次転写ローラ101上のトナー像が記録媒体Pに静電的に3次転写される。このとき3次転写ローラ102に印加されるバイアスを2次転写ローラ101に印加されるバイアスよりも+0.5〜+2.0kV高くすることにより、好適な3次転写電界を形成することができる。トナー像転写後に2次転写ローラ101上に残留したトナーは、2次転写ローラ101の周面に接触しつつ回転する帯電制御ブラシ103によって2次転写ローラ101との付着力を弱められた後、帯電制御ブラシ103によってあるいは中間転写ベルト2を介して2次転写ローラ101の周面より除去される。
トナー像が転写された記録媒体Pは、2次転写ローラ101と3次転写ローラ102との対向部の上方に配設された周知の定着装置20に送られ、熱と圧力との作用によって転写されたトナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置20を通過した記録媒体Pは図示しない排紙部に排出され、上述した一連の動作によってフルカラー画像が形成された記録媒体Pを得ることができる。この画像形成装置100によれば、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を、この感光体ドラム1に接触しながら走行駆動される平滑な表面でかつ非圧縮性材料からなる中間転写ベルト2に1次転写し、中間転写ベルト2上のトナー像を、圧縮性弾性部材層を芯金上に積層し柔軟性に富んだ2次転写ローラ101に2次転写し、さらに記録媒体Pに3次転写しているので、非平滑性に対しても転写ムラのない記録画像を得ることができる。
図2は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示している。同図において画像形成装置200は、4個の像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkを図の左から順に有しており、各感光体ドラム1の周面には左から順にイエロトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成される。
各感光体ドラム1の上方には、圧縮性弾性部材層を芯金上に積層してなる1段目の中間転写体でありトナー像が転写材に転写される直前に転写される最終中間転写体としての1次転写ローラ202Y,202M,202C,202Bkがそれぞれ配設されている。各1次転写ローラ202には各感光体ドラム1上に形成されたトナー像とは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写電圧が印加され、これにより各感光体ドラム1と各1次転写ローラ202との間に1次転写に必要な電界が形成され、各感光体ドラム1上のトナー像が図2において時計回り方向に回転する1次転写ローラ202上に1次転写される。
各1次転写ローラ202の上方には、各1次転写ローラ202の周面に接触しつつ転写材としての記録媒体Pを搬送する搬送ベルト201が配設されている。搬送ベルト201は駆動ローラ7及び従動ローラ9に巻き掛けられており、その内周面には、搬送ベルト201を介して各1次転写ローラ202Y,202M,202C,202Bkに接触する2次転写ローラ203Y,203M,203C,203Bkが配設されている。各2次転写ローラ203には、各感光体ドラム1上のトナー像とは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の2次転写電圧がそれぞれ印加される。搬送ベルト201は各1次転写ローラ202の周面に接触しつつ、周知の静電吸着力や吸引力等によって記録媒体Pを吸着して図2において反時計回り方向に走行駆動される。
上述の構成より、各感光体ドラム1上から各1次転写ローラ202上に1次転写されたトナー像は、搬送ベルト201によって吸着搬送される記録媒体Pの表面にイエロトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像の順で全色転写される。4色のトナー像が転写された記録媒体Pは、転写紙搬送方向下流側に配設された定着装置20において熱と圧力とによってトナー像を定着された後、図示しない排紙部に排出される。
2次転写後に各1次転写ローラ202の周面に残留したトナーは、各1次転写ローラ202の周面に接触しつつ回転する帯電制御ブラシ204によって各1次転写ローラ202との付着力を弱められた後、帯電制御ブラシ204によってあるいは各感光体ドラム1を介して各1次転写ローラ202の周面より除去される。トナー像転写後の各感光体ドラム1は、その周面近傍にそれぞれ設けられた除電ランプ21から照射される除電光によってその表面電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
図3は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示している。同図において画像形成装置300は、4個の像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkが垂直方向に配設されていてこれらを図の下から上述の順に有しており、各感光体ドラム1の周面には下から順にイエロトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成される。
各感光体ドラム1の左方には、圧縮性弾性部材層を芯金上に積層してなる1段目の中間転写体でありトナー像が転写材に転写される直前に転写される最終中間転写体としての1次転写ローラ303Y,303M,303C,303Bkがそれぞれ配設されている。各1次転写ローラ303には各感光体ドラム1上に形成されたトナー像とは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写電圧が印加され、これにより各感光体ドラム1と各1次転写ローラ303との間に1次転写に必要な電界が形成され、各感光体ドラム1上のトナー像が図3において時計回り方向に回転する1次転写ローラ303上に1次転写される。
各1次転写ローラ303の左方には、各1次転写ローラ303の周面に接触しつつ転写材としての記録媒体Pを搬送する搬送ベルト302が配設されている。搬送ベルト302は駆動ローラ7及び従動ローラ9に巻き掛けられており、その内周面には、搬送ベルト302を介して各1次転写ローラ303Y,303M,303C,303Bkに接触する2次転写ローラ304Y,304M,304C,304Bkが配設されている。各2次転写ローラ304には、各感光体ドラム1上のトナー像とは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の2次転写電圧がそれぞれ印加される。搬送ベルト302は各1次転写ローラ303の周面に接触しつつ、周知の静電吸着力や吸引力等によって記録媒体Pを吸着して図3において反時計回り方向に走行駆動される。
上述の構成より、各感光体ドラム1上から各1次転写ローラ303上に1次転写されたトナー像は、搬送ベルト302によって吸着搬送される記録媒体Pの表面にイエロトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像の順で全色転写される。4色のトナー像が転写された記録媒体Pは、転写紙搬送方向下流側に配設された定着装置20において熱と圧力とによってトナー像を定着された後、図示しない排紙部に排出される。
2次転写後に各1次転写ローラ303の周面に残留したトナーは、各1次転写ローラ303の周面に接触しつつ回転する帯電制御ブラシ305によって各1次転写ローラ303との付着力を弱められた後、帯電制御ブラシ305によってあるいは各感光体ドラム1を介して各1次転写ローラ303の周面より除去される。トナー像転写後の各感光体ドラム1は、その周面近傍にそれぞれ設けられた図示しない除電ランプから照射される除電光によってその表面電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
図4は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示している。同図において画像形成装置400は、4個の像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkが垂直方向に配設されていてこれらを図の上から上述の順に有しており、各感光体ドラム1の周面には下から順にイエロトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成される。
各感光体ドラム1の左方には、非圧縮性材料の無端ベルトよりなる1段目の中間転写体としての中間転写ベルト402が配設されている。中間転写ベルト402は、テンションローラ405、2次転写対向ローラを兼ねた駆動ローラ406に巻き掛けられており、4個の1次転写ローラ403Y,403M,403C,403Bk、3次転写対向ローラを兼ねた2次転写ローラ401、クリーニング前除電ブラシ404、ベルトクリーニングブレード407、及び各感光体ドラム1の周面に接触しつつ図1において反時計回り方向に走行駆動され、各感光体ドラム1の周面に形成された各トナー像が重畳転写される。
中間転写ベルト402を介して駆動ローラ406と対向する位置には、2段目の中間転写体でありトナー像が転写材に転写される直前に転写される最終中間転写体としての2次転写ローラ401が配設されており、2次転写ローラ401を介して駆動ローラ406と対向する位置には3次転写ローラ408が、また3次転写ローラ408を介して2次転写ローラ401と対向する位置には従動ローラ409が配設されている。従動ローラ409の下方には駆動ローラ410が配設されており、各ローラ409,410には待機ベルト411が掛け渡されている。
中間転写ベルト402上に1次転写されたトナー像は、2次転写ローラ401、駆動ローラ406、及び中間転写ベルト402によって形成される2次転写ニップ部において、圧縮性弾性部材層を有する2次転写ローラ401の表面に2次転写される。トナー像の転写後に中間転写ベルト402上に残留したトナーは、クリーニング前除電ブラシ404による除電効果で中間転写ベルト402との付着力を弱められた後、ベルトクリーニングブレード407によって除去される。
記録媒体Pの片面にのみ画像形成を行う場合には、3次転写ローラ408と2次転写ローラ401とで形成される3次転写ニップ部においてトナー像が記録媒体Pに3次転写される。記録媒体Pの両面に画像形成を行う場合には、第1面画像を3次転写ローラ408の周面に転写し、さらに待機ベルト411に周知の電界転写条件により電界転写して第2面画像が3次転写部に到達するまで待機する。待機ベルト411の近傍にはクリーニング前除電ブラシ412及びベルトクリーニングブレード413が配設されており、トナー画像の待機状態が完了した場合にはこれらを待機ベルト411に接触させ、待機ベルト411の除電及びクリーニングを行う。
待機ベルト411上に担持させて迂回及び待機させた第1面画像は、第2面画像と同時に3次転写する前に再度3次転写ローラ408上に戻し、3次転写ローラ408上でコロナ帯電装置等の非接触トナー極性反転及び3次転写ローラ408の周面近傍に配設された帯電量制御手段414によって第2面画像とは異なる極性に帯電量を制御される。その後、第1面画像及び第2面画像は3次転写ニップ部において、複数の転写材搬送ローラ対415等によってガイドされつつ搬送される記録媒体Pに一括して3次転写される。
トナー像が転写された記録媒体Pは、2次転写ローラ401と3次転写ローラ408との対向部の上方に配設された両面同時定着装置416に送られ、熱と圧力との作用によって転写されたトナー像が記録媒体P上に定着される。両面同時定着装置416を通過した記録媒体Pは図示しない排紙部に排出され、上述した一連の動作によって片面あるいは両面にフルカラー画像が形成された記録媒体Pを得ることができる。
次に図5及び図6を用い、本発明の特徴部である圧縮性弾性部材層を有する中馬転写体としての中間転写ローラを使用し、非平滑転写材(例えばエンボス加工紙、更紙等)への転写ムラの発生防止、及び厚手の転写紙やフィルム等の転写材が転写ニップ部に突入した際にショックジターの発生を防止するための構成条件について説明する。ここで説明する中間転写ローラは、上述した画像形成装置100の2次転写ローラ101、画像形成装置200の1次転写ローラ202、画像形成装置300の1次転写ローラ303、画像形成装置400の2次転写ローラ401に適用可能である。
図5は紙やフィルム等の転写材Pの転写面の凹部に圧縮性弾性部材層を有する最終中間転写体としての中間転写ローラ501が当接した場合を示し、図6は転写材Pの転写面の凸部に圧縮性弾性部材層を有する中間転写ローラ501が当接した場合をそれぞれ示している。各図において、符号502は中間転写ベルトを、符号503は中間転写ローラ501を2次転写ローラとした際の3次転写ローラを、符号504は2次転写対向ローラをそれぞれ示している。
中間転写ベルト502上に中間転写されたトナー像は、圧縮性弾性部材層を有する中間転写ローラ501に周知の電界転写条件で転写された後、転写ニップ部で表面に凹凸を有する転写紙Pに、中間転写ローラ501の表面が転写紙Pの凹凸表面に密着する態様で周知の電界転写条件によって転写される。この転写の際に、転写ニップ部の中央における中間転写ローラ501の転写紙Pの表面に対する寸法上の食い込み量、すなわち中間転写ローラ501の径方向における変形量dが(ρ・t)>d>0となる密着条件とすることにより、図5に示すように中間転写ローラ501の加圧圧縮による変形歪みが気孔の減容によって吸収される形で転写ニップ部の外部にほとんど伝わらず、転写電界の不均一化を防止して非平滑転写材への転写ムラの発生を防止し、同時に厚手の転写材が転写ニップ部に突入した場合での中間転写体の駆動源に及ぼす駆動負荷の増大を抑えることができショックジターの発生を防止することができる。本実施形態の効果の一例を表1に示す。
ここで、符号ρは中間転写ローラ501の芯金上に設けた弾性層の平均気孔率(弾性層全体体積に対する気孔の体積比率;中間転写ローラ501を加圧するほど、すなわち食い込み寸法を大きくするほど減少する)を、符号tは中間転写ローラ501の無負荷及び無加圧時における可撓性部材からなる被覆最外層表面から芯金までの距離(厚み)を、符号dは最終中間転写体である中間転写ローラ501が最終出力する転写材に当接する転写部中央における径方向での変形量をそれぞれ示している。また図5及び図6において、符号Pは転写材を、符号g1は中間転写ベルト502の表面から中間転写ローラ501の芯金までの最短距離(t−g1=d1:中間転写ローラ501のトナー像層を含む中間転写ベルト502表面への最大食い込み寸法)を、符号g2は転写材Pの転写面凹部表面から中間転写ローラ501の芯金までの最短距離(t−g2=d2MIN:中間転写ローラ501のトナー像層を含む転写材Pの転写面凹部への最大食い込み寸法)を、符号g3は転写材Pの転写面凸部表面から中間転写ローラ501の芯金までの最短距離(t−g3=d2MAX:中間転写ローラ501のトナー像層を含む転写材Pの転写面凸部への最大食い込み寸法)をそれぞれ示しており、g2>g3、(t−g2)<(t−g3)の関係となっている。
また、符号ρ0を中間転写ローラ501の無負荷及び無加圧時における圧縮性弾性部材層の気孔の圧縮性弾性部材層に占める体積比率とすると、ρ0>(1−g1/t)、ρ0>(1−g2/t)、ρ0>(1−g3/t)、すなわちρ0・t>d1、ρ0・t>d2MIN、ρ0>d2MAXの関係となっている。さらに、符号ρ1を気孔のある圧縮性弾性部材層の開気孔率(開気孔率=(飽和質量−乾燥質量)/(飽和質量−水中質量)×100(%))、符号V1を気孔を有する圧縮性弾性部材層の体積、負号Vを弾性層全体(芯金上に積層した圧縮性弾性部材層や表面被覆層の弾性層全体)の体積とすると、ρ=ρ1・V1/Vの関係が成り立つ。
図1ないし図4に示すように、本発明の圧縮性弾性部材層を有する最終中間転写体としての画像形成装置100の2次転写ローラ101、画像形成装置200の1次転写ローラ202、画像形成装置300の1次転写ローラ303、画像形成装置400の2次転写ローラ401は、その直径が各感光体ドラム1の直径よりも小さく、表1に示した例では感光体ドラムの直径30mm以上に対して中間転写ローラの直径を24mmとしている。一方、従来の画像形成装置、例えば上述した「特許文献1」である特許第3377781号公報に開示された画像形成装置では、弾性を有する中間転写体は芯金を有する場合には感光体ドラムよりも直径が大きくなっている。本発明では、従来技術に比して最終中間転写体の直径が著しく小さく、転写材が曲率分離し易いので転写材の分離性能を良好かつ安定に行うことができ、さらに平滑紙への均一転写性も良好であり、画像形成装置全体をコンパクト化することができる。
本発明の圧縮性弾性部材層を有する最終中間転写体としての画像形成装置100の2次転写ローラ101、画像形成装置200の1次転写ローラ202、画像形成装置300の1次転写ローラ303、画像形成装置400の2次転写ローラ401において、これらの最終中間転写体から最終出力する転写材に電界転写する際に最終中間転写体を少なくとも同一の転写材に転写する間は一定の周速度で回転させ、かつ転写材を介してこれらの最終中間転写体と対向する加圧回動部材、すなわち画像形成装置100の3次転写ローラ102、画像形成装置200の2次転写ローラ203、画像形成装置300の2次転写ローラ304、画像形成装置400の3次転写ローラ408を最終中間転写体の回転により従動回転可能に構成することにより、最終中間転写体と転写材間の転写ニップ部中央における速度が一定に保たれ、かつ転写材裏面の加圧回動部材も連れ回りするため、最終中間転写体と転写材との間ではスリップが非常に少なくなると共に速度の同期ムラが非常に少なくなり、画像の伸縮による転写ムラの発生、転写材へのしわの発生、転写材の搬送不良発生等の不具合の発生を防止することができる。
上述した各最終中間転写体が転写材に電界転写する際に、転写材を介して互いに対向する各最終中間転写体と各加圧回動部材との圧接力を周知の技術により一定とした状態で転写を行うと、転写ニップ部に転写材が突入した際にこの転写ニップ部における最終中間転写体に加わる圧力の増加を最終中間転写体が有する圧縮性弾性部材層の気孔の減容効果で吸収することができ、最終中間転写体の駆動源に及ぼす駆動負荷の増大を抑え転写ニップ部に転写材が突入した際のショックジターの発生を防止することができる。
上述した各最終中間転写体が転写材に電界転写する際に、転写材を介して対向配置された各加圧回動部材に各最終中間転写体が食い込む食い込み量、すなわち各最終中間転写体の径方向における変形量を周知の技術により一定とした状態で転写を行うと、転写ニップ部に転写材が突入した際にこの転写ニップ部における最終中間転写体に加わる圧力の増加を最終中間転写体が有する圧縮性弾性部材層の気孔の減容効果で吸収することができ、最終中間転写体の駆動源に及ぼす駆動負荷の増大を抑え転写ニップ部に転写材が突入した際のショックジターの発生を防止することができる。
上述の各最終中間転写体の径方向における変形量を一定とする構成として、各最終中間転写体の端部表面と各加圧回動部材の表面に配設された突き当て部材とを突き当てる周知技術を採用することにより、各最終中間転写体の端部表面と各突き当て部材とによって各最終中間転写体の径方向における変形量が決定するので、各最終中間転写体の表面や各加圧回動部材の表面における同芯度のずれが大きい場合であっても過不足のない食い込み寸法規制性能を発揮することができる。また、上述の各最終中間転写体の径方向における変形量を一定とする構成として、各最終中間転写体の回転軸と各加圧回動部材の回転軸との軸間距離を保持する周知技術を採用することにより、各最終中間転写体の径方向における変形量を互いの表面を突き当てることなく決定できるので、各最終中間転写体及び各加圧回動部材の表面における破損や摩耗を防止でき、各最終中間転写体及び各加圧回動部材の表面形状及び寸法を安定化することができる。
上述の構成において、転写材の厚みを検知する非接触変位センサ等からなる転写材厚み検知手段を用いて転写材の厚みを検知し、検知された転写材の厚みに応じて各最終中間転写体の食い込み寸法すなわち径方向における変形量を、ローラ軸またはローラ軸の軸受位置を偏心カムにより移動制御する等の周知の技術によって制御及び調整し、転写材が各最終中間転写体の転写ニップ部に到達してその中央において厚さT(mm)の転写材を挟持した際に、(ρ・t)>(d2+T/2)>0の関係を満足するように構成すると、各最終中間転写体が転写材に食い込む寸法すなわち径方向における変形量が転写材の厚みに影響されず過不足のない適切な値となり、多様な厚みの非平滑紙等の転写材を使用した際に転写ムラの発生を防止することができる。
上述の各最終中間転写体として、その表層におけるマイクロゴム硬度計による測定硬度が90度以下のものを用いることにより、各最終中間転写体の表面が軟らかく転写ニップ部の中央において転写材の非平滑表面に追従及び密着するので、均一かつ良好な転写性能を発揮することができる。また、各最終中間転写体の表層に接触する全ての部材が転写動作中に移動する構成とすると、転写ニップ部の熱を拡散して放熱するため、各最終中間転写体の表面の温度上昇による異常な軟化現象に伴う摩耗や変形(圧痕)等の劣化現象の発生を防止できる。
上述した構成において、各最終中間転写体の表層に接触する材の1つを、画像形成装置100における帯電制御ブラシ103、画像形成装置200における帯電制御ブラシ204、画像形成装置300における帯電制御ブラシ305等のようにブラシ部材とすることにより、回転する空気の流通が良好なブラシ部材が転写ニップ部の熱を拡散及び放熱するため、各最終中間転写体の表面の温度上昇による異常な軟化現象に伴う摩耗や変形等の劣化現象の発生を防止できる。
上述した各最終中間転写体において、各最終中間転写体を構成する圧縮性弾性部材層の厚みt1を100μm以上、この圧縮性弾性部材層の気孔の平均気孔率ρ2を30%以上(表1記載の実施例1,2参照)、この圧縮性弾性部材層の最表層部分に存在する気孔の平均間隔Smを最小画素径e1以下とすると、最終中間転写体を構成する圧縮性弾性部材層の気孔率が高くかつ気孔がきめ細かいため、転写ニップ部の中央において転写材の凹凸やトナー画像パタンの凹凸に応じて最終中間転写体と転写材とを低い圧接力で密着させることができ、非平滑転写材に高精度な画像を忠実に転写できると共に転写ムラの発生を防止できる。
上述した各最終中間転写体において、体積トナー平均粒径r(μm)より厚くかつ圧縮性弾性部材層の最表層部分に存在する気孔の平均間隔Smより薄い厚さt2(μm)(r<t2<Sm)の非圧縮性弾性部材層をその表層に有する構成とすることにより、最終中間転写体の表層に気孔を有する圧縮性弾性部材層の最表層部分より著しく平滑でかつ孔のない適度な柔軟性を発現でき、非平滑転写材に600dpi以上の高精度な画像を忠実に転写できると共に転写ムラの発生を防止でき、さらに最終中間転写体の高耐久化を図ることができる。
上述した実施形態において、画像形成装置100の中間転写ベルト2、画像形成装置400の中間転写ベルト402としては、画像が伸縮することを抑える目的から伸縮し難いものを用いることが望ましい。本実施形態では、単層のポリイミド製ベルト基体からなる単層ベルトを用いている。中間転写ベルトの材質としては、ポリイミド(PI)の他、周知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマ、熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えばフッ化ビニルデン(PVDF)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂に導電性粒子や導電性粉末を分散させて電気抵抗を調整した混合・合成材料がベルトの素材として適している。体積抵抗率としては、1次転写時に与える1次転写バイアスの電圧レベルが+1kV程度であれば107〜1013Ω・cm程度が好ましく、1次転写バイアスが印加される裏面の表面抵抗は109Ω/□程度が好ましい。電気抵抗測定時に用いる電極としては、主電極外径5.9mm、ガード電極内径11.0mm、ガード電極外径17.8mm、厚さ50〜200μm程度の薄くて曲がり易いものを用いることが望ましい。この電極に500V程度の電圧を印加し、両電極間に流れる電流値から電気抵抗を求める。
上述した中間転写ベルトの抵抗を調整するための導電材料としては、カーボン、アルミニウム、ニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含ホウ素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等から1種類あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
上述した最終中間転写体として用いられる圧縮性弾性部材層を有する中間転写ローラとしては、転写ニップ部における加圧時に減容して加圧部分の影響により非加圧部分が膨らむことがないように周知の技術で発泡させた気孔を有し、この気孔の発泡・圧縮性弾性部材層に占める体積比率(気孔率)は無加圧時で30〜80%が適度な硬度を得るために好適である。また、圧縮性弾性部材層を備えた中間転写ローラの電気抵抗は、芯金と表面との間で107〜108Ωオーダ(ローラを下方に水平設置した金属平板に自重で当接させて芯金と平板との間に1kVの電圧を印加)が、局所的に電流が集中してローラ特性が不適当な値に変化することを防止するために好適である。
また圧縮性弾性部材層としては、ゴムまたは熱可塑性エラストマを主体として周知の手法で形成した独立気泡あるいは連続気泡構造、あるいは単独気泡と連続気泡との混合気泡構造である多孔体が挙げられる。この圧縮性弾性部材層を構成する材料として、高分子エラストマのゴムを使用することができる。ここでいうゴムとは、例えば天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)エピクロルヒドリンゴム(ECO,GECO)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及びこれらのアロイ等が挙げられる。圧縮性弾性部材層は、これらの材料に硫黄または過酸化物等の架橋剤、老化防止剤、架橋促進剤、補強剤、可塑剤、導電剤、及び気孔生成物質等を混練した後、成形加硫され所定の寸法に研磨することにより形成できる。また発泡剤を使用する場合は、上述した配合物に発泡剤またはマイクロバルーンを混合して成形加硫し、所定の寸法に研磨することによって形成する。
上述の圧縮性弾性部材層を構成する材料として、液状高分子エラストマを使用することができる。この場合、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、またはその他の液状エラストマ材料にトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニールメタンジイソシアネート(MDI)等の架橋剤、鎖伸長剤、導電剤、触媒、整泡剤等を混合した後、所望の型で成型される。また圧縮層として発泡剤を使用する場合は、マイクロバルーンを混合するか発泡剤を混合して加熱硬化させて成型するか、または機械的に空気を混入させて型に注型し、加熱硬化した後に離型して所望の寸法に研磨する。
上述の圧縮性弾性部材層を含む弾性層には、上述した電気抵抗特性を付与するために電子導電剤あるいはイオン導電剤を添加することが好ましい。ここで電子導電剤としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、金属酸化物等が挙げられる。またイオン導電剤としては、例えばエピクロルヒドリンゴムと他種ゴムとのアロイ、界面活性剤、テトラシアノエチレンとその誘導体、ベンゾキノンとその誘導体、フェロセンとその誘導体等の電荷移動物質、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質等が挙げられる。
上述した中間転写ローラの最表面にはトナーが離型し易い層を形成することが好ましく、図1に符号11で示すように潤滑剤12(例えばステアリン酸亜鉛等からなる固形潤滑剤)を塗布する塗布ブラシを各感光体ドラム1の周面近傍に設け、各感光体ドラム1の周面及び中間転写ベルト2の表面を介して中間転写ローラである2次転写ローラ101の周面にトナーが離型し易い層を形成してもよい。また、予め圧縮性弾性部材層の表層をトナー離型層としてもよい。このトナー離型層としては、例えばFEVE変性フッ素樹脂塗料(商品名:FE−3000;旭硝子製)、含フッ素ポリオール変性フッ素樹脂塗料(商品名:アクアトップF;住友精化製)、PVDF変性フッ素樹脂塗料(商品名:カンペフロン10;関西ペイント製)、ポリウレタン変性フッ素樹脂塗料(商品名:エラストフロンFT20Z505;日本ミラクトラン製)、アクリル変性フッ素樹脂塗料(商品名:エムラロン312;日本アチソン製)、エポキシ変性フッ素樹脂塗料(商品名:エムラロン314;日本アチソン製)、エポキシ変性シリコーン塗料(商品名:ES1004;信越化学製)、アクリル変性シリコーン塗料(商品名:KR9706;信越化学製)、ポリエステル変性シリコーン塗料(商品名:KR5203;信越化学製)等が挙げられる。このトナー離型層は吹き付け法で塗布することにより形成できるが、これに限定されるものではない。
本発明に適用可能なトナーとしては、ポリエステル、ポリオール、スチレンアクリル等の粒子母材樹脂に帯電制御剤(CCA)や色剤を混合し、その粒子の周りにシリカ、酸化チタン等の物質を外添することでその帯電特性、流動性を高めたものが挙げられる。添加剤の粒径は0.1〜1.5μmの範囲が好適であり、使用する色剤としてはカーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン、カーミン等が挙げられる。
トナーの正規帯電極性は、本実施形態ではマイナス極性である。トナーとしては、ワックス等を分散混合させた母体樹脂に上述した添加剤を外添したものを用いてもよい。また粉砕法で製造されたものでも重合法で製造されたものでもよいが、重合法で製造されたものは球形度や円形度が比較的高いので高画質を得ることができる。
トナーとしては、形状係数が90%以上であるものを用いることが望ましい。ここでいう形状係数とは、本来であれば球形度であり「粒子と同体積の球の表面積/実粒子の表面積×100%」で定義されるが、測定がかなり困難となるので円形度で算出し、「粒子と同じ投影面積を持つ円の周長/実粒子の投影輪郭長さ×100%」という公式で求めることができる。この円形度の解釈は、トナー粒子を投影した円像が真円に近づくほど100%に近づくこととなる。トナーの体積平均粒径は3〜12μmの範囲が好適である。本実施形態では体積平均粒径6μmのトナーを用いており、600dpi以上の解像度の画像にも十分に対応することが可能である。
2成分現像剤に用いられる磁性キャリアとしては、金属または樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層がシリコン樹脂等で被覆された磁性粒子が用いられる。粒径は20〜50μmの範囲が良好であり、抵抗はダイナミック抵抗で104〜106Ωの範囲が最適である。ダイナミック抵抗は、磁石を内包した直径20mmで回転数600r.p.m.のローラに磁性粒子を担持させ、幅65mm、長さ1mmの電極を0.9mmのギャップを介して磁性粒子に対向させ、耐圧上限レベル(高抵抗シリコーンコートキャリアでは400V、鉄粉キャリアでは数V)の電圧を印加した際に流れる電流値に基づいて測定される。
本発明では、転写電界を形成する方法として、転写部に流れる電流を一定に保ついわゆる定電流制御方式、転写部バイアス印加手段に与える電圧を一定に保ついわゆる定電圧制御方式の何れにおいても同様の効果が確認された。
上記実施形態では、本発明が適用可能な画像形成装置としてカラー複写装置を用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限られず、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、これらの複合機に本発明を適用してもよい。