JP2003095471A - 搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置

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JP2003095471A JP2001287447A JP2001287447A JP2003095471A JP 2003095471 A JP2003095471 A JP 2003095471A JP 2001287447 A JP2001287447 A JP 2001287447A JP 2001287447 A JP2001287447 A JP 2001287447A JP 2003095471 A JP2003095471 A JP 2003095471A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベルトの伸張を容認し、ベルトの伸張に伴う
ベルトの抵抗変化を抑制する。 【解決手段】 画像形成装置などで用いられる搬送ベル
ト1であって、ベルト基材2中に抵抗を調整するための
添加物3を分散させ、該添加物3の抵抗が、ベルト基材
2の伸長率の変化に応じて変化するように構成されてい
る。添加物3は、例えば中空フィラー3aであって、ベ
ルト基材2の伸長率の変化に応じて、中空フィラー3a
が圧縮変形する事で抵抗が変化するようにしたものであ
る。また、像担持体5上に形成されたトナー像を中間転
写ベルト6を介して記録材7に転写する画像形成装置に
おいて、上述した搬送ベルト1を中間転写ベルト6とし
て使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、ファクシミリ等の画像形成装置で用いられる搬送ベ
ルトに係り、特に、トナー像の転写性能を維持するなど
の要請から、所定の抵抗特性を具備する搬送ベルト及び
これを用いた画像形成装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からカラー化の普及に伴い、中間転
写方式を使用した複写機、プリンタ等の画像形成装置に
関する出願がされている。例えば特開昭63−3019
60号公報所載の直接転写方式の画像形成装置と比較す
ると、中間転写ベルト自体に何の変更もせずに、封筒、
はがき、ラベル紙や、厚紙までも大きさに関わらず転写
できる利点を有している。
【0003】このような中間転写ベルトにおいて、この
ような利点を生かすためには中間転写ベルトと感光ドラ
ムとのニップ域、及び、二次転写時での中間転写ベルト
と転写ローラとのニップ域の圧力を十分にかつ密着性を
上げることが必要である。そのためには、中間転写ベル
ト自体を柔軟なゴム材料などで形成することが考えられ
るが、このような方法としては、例えば特開平11−3
52787号公報に示されるように、弾性ベルト基材の
抵抗を調整するために導電性フィラーを分散させてい
る。ここでいう導電性フィラーとしては、具体的には、
銅粉末、アルミニューム粉末、カーボンブラック、炭素
繊維の微粉末などである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、弾性ベ
ルト基材を上記導電性粉末などで分散させたまま、使用
すると、弾性ベルト基材の伸長率の違いによって、体積
抵抗が変化(主に上昇)してしまう、弾性材料特有の問
題を抱えている。この問題は、弾性ベルトを中間転写ベ
ルトとして用いる場合、体積抵抗を調整するための導電
性粒子は、ベルト基材中の分散密度で体積抵抗が変化す
るため、図8に示すように、弾性ベルト500自体が張
架されずにフリーの状態の場合でのベルト基材501中
の導電性粒子502の分散密度と、弾性ベルト500が
張架されて弾性ベルト500が伸長した場合のベルト基
材501中での導電性粒子502の分散密度とは変化し
てしまう。基本的には、弾性ベルト500が張架された
場合、導電性粒子502の分散密度は見かけ上低下する
ため、1桁〜2桁程度、ベルト基材501の体積抵抗は
上昇してしまう。
【0005】このような弾性ベルトの場合、張架ロール
等に張架して使用されるため、弾性ベルト自体が伸長せ
ずに使用される事は実質的に不可能である。よって、前
述した問題は必ず起こり得る。そして、このような弾性
ベルトを中間転写ベルトとして使用した態様にあって
は、中間転写ベルトの体積抵抗が上昇してしまうと、中
間転写ベルトからの転写条件などの最適条件が変化して
しまうため、用紙等の記録材への適性なトナー像の転写
を行うことが困難になる。
【0006】一方、このように弾性ベルトを張架した際
において、弾性ベルトの伸長を抑制する方法としては、
例えば表面に弾性層を構成し、その弾性層における強度
を補うために、その弾性層の下層に高剛性のフィルム
や、高モジュラスの樹脂材料を補強材として、積層させ
る方法が既に知られている(例えば特開平11−778
45号公報)。この方法では、図9(a)に示すよう
に、弾性層521に、ウレタン等の樹脂やニトリルゴム
などを使用し、その下層に塗装膜522を設け、その塗
装膜512が乾燥しない間に、この表面に補強フィルム
523を圧着させて、補強フィルム513の一部が塗装
膜512に埋め込まれる事で、補強フィルム513との
密着性を稼いでいる。ここで、補強フィルム523材料
としては、ナイロン、ポリビニールなどの表面を接着処
理したものが使用されている。
【0007】このような構成にすることで、弾性層52
1での機械的強度を補強フィルム523で補う事が可能
になるが、前述したように、積層させた際の工数にかか
る製造コストがアップすることは免れない。更に、積層
構造の場合、いずれの場合も、度重なる屈曲による応力
集中により、積層界面の接着剥がれが発生してくる可能
性が高いなどの問題を抱えている。単層構造で製造でき
れば問題がないが、単層での高モジュラス材料になる
と、ポリイミド材料などしかなく、この場合、原材料が
通常のウレタン系材料に比べ、10倍以上してしまうた
め、コストアップとなってしまう。また、ポリイミド材
料などは非常に硬いために、表面に弾性を持たせる場合
などは別途、弾性部材を積層しなければならない。
【0008】また、ポリイミド材料ではなく、原材料費
の安価なポリカーボネート材を使用すれば安くなるが、
ポリイミド材料同様に、表面に弾性層を持たせたい場合
は、別途弾性部材が必要になるためコストアップにつな
がってしまう。更に、ポリカーボネートなどは、一般的
に製造コストの安い、連続押し出し成形法を利用するた
め、表面性のディフェクトが発生し易く、成形後の後処
理などにコストがかかってしまう。
【0009】一方、弾性部材を用いて強度をもたせる方
法としては、例えば図9(b)に示すように、弾性層5
31の内部に補強用繊維材532を入れ、中間転写ベル
トとして、色ずれなどが起きないように補強した技術が
提案されている(例えば特開平10−240020号公
報)。この場合、弾性層531としては一般的なイソプ
レンゴムやシリコーンゴムなどが用いられており、補強
用繊維材532には、ポリエステル繊維、ナイロン繊
維、アクリル繊維などが使用されている。
【0010】しかしながら、上記のような構成にした場
合、繊維の直径は0.02〜0.5mmと記載されてい
るが、あまり細いと機械的な補強効果が得られにくい。
また、太い場合には弾性層自体の厚さを薄くすることが
できなくなり、設計の自由度が狭くなってしまう。ま
た、繊維状シートを使用するために、成膜する時の工数
が発生するため、単一の弾性層を成膜させる場合に比べ
て明らかに、コストアップは避けられない。更に、この
繊維の隣り合う繊維間の間隔は、あまり狭くすると弾性
部材の溶液が繊維の上部で止まってしまい、繊維材がそ
のまま絶縁層になってしまう懸念があるため、補強する
繊維材の形態も限定されてしまうなどの潜在的な問題を
有している。また、このような先行技術では、記載され
ている機械的強度が、最高で、100%モジュラスで1
50kgf/cm2、引っ張り破断強度が200kgf
/cm2であるが、弾性ベルトの伸長を抑制するには不
十分である。
【0011】このように、基本的には、どの先行技術も
積層構造を用いる事で、各層での機能を分離させている
ため、単層で成形するベルトに比べ、コストアップは避
けられないのが現状である。また、下層を高モジュラス
にした場合、ベルトのウォーク制御などが必要になり、
駆動制御の面でも、弾性部材を単一で使用する場合に比
べコストが高くなる事は避けられない。
【0012】本発明は、以上の技術的課題を解決するた
めになされたものであって、ベルトの伸張を容認し、ベ
ルトの伸張に伴うベルトの抵抗変化を抑制できるように
した搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置を提供す
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、図
1(a)に示すように、画像形成装置などで用いられる
搬送ベルト1であって、ベルト基材2中に抵抗を調整す
るための添加物3を分散させ、該添加物3の抵抗が、ベ
ルト基材2の伸長率の変化に応じて変化するように構成
されている事を特徴とするものである。
【0014】このような技術的手段において、搬送ベル
ト1には、中間転写ベルトに限らず、用紙搬送ベルトな
ど広く含む。また、添加物3は、ベルト基材2中の抵抗
を調整するためのものであればよいが、少なくとも、添
加物3は、ベルト基材2の伸張率の変化に応じて抵抗が
変化する要素を含んでいればよい。このように、搬送ベ
ルト1、具体的にはベルト基材2が伸長する事によっ
て、ベルト基材2中に分散された添加物3の抵抗が変化
するように構成する事で、ベルト基材2の伸長によって
変化する体積抵抗に対してある程度の制御因子とするこ
とが可能になる。通常、搬送ベルト1が伸長する事によ
り、体積抵抗は、導電性粒子の分散密度が低下するた
め、高くなる方向しか変化しない。このため、本件に適
応させる添加物3は、搬送ベルト1が伸長する事によ
り、その抵抗が低下する方向の添加物3を分散させるよ
うにすればよい。このような添加物3を分散させる事に
より、搬送ベルト1が伸長した際の体積抵抗の上昇分を
添加物3の抵抗低下により、抑制するのである。
【0015】この添加物3が搬送ベルト1の伸長に応じ
て抵抗を変化させるには、図1(a)(b)に示すよう
に、添加物3は、中空フィラー3aであって、ベルト基
材2の伸長率の変化に応じて、中空フィラー3aが圧縮
変形する事で抵抗が変化するようにしたものであればよ
い。このように、分散させる添加物3を圧縮変形な中空
フィラー3aにする事により、搬送ベルト1の伸長に伴
い、搬送ベルト1の厚みが低下する。この低下に伴い、
分散中の中空フィラー3aも圧縮変形する(図1(b)
参照)。このとき、中空フィラー3aが圧縮変形する
と、中空フィラー3aの抵抗がベルト基材2中で低下す
る。
【0016】この抵抗変化は、中空フィラー3a自身
が、カーボンなどの導電粉を含んでいるために、ベルト
基材2中において、中空の状態では、搬送ベルト1の厚
み方向での分散密度が圧縮した場合に比べ低いため、体
積抵抗が圧縮した場合に比べ高くなる。また、圧縮した
場合は、空隙のない分、導電パスが多くなり、搬送ベル
ト1全体の体積抵抗が結果として低くなると考えられ
る。
【0017】また、中空フィラー3aの代表的態様とし
ては、長繊維型が挙げられる。これは、搬送ベルト1が
張架されると、横方向へ伸長するため、球形の粒子状フ
ィラーでは、伸長した際にフィラー間の距離も伸びてし
まう。その点、長繊維型フィラー(中空フィラー3a)
の場合は、ベルト基材2が横方向へ伸長しても、フィラ
ー間の距離が粒子状フィラーの場合に比べて小さい。よ
って、搬送ベルト1が伸長した際の体積抵抗の上昇が抑
制し易くなる。
【0018】しかしながら、搬送ベルト1に長繊維型フ
ィラーだけで抵抗調整すると以下の様な不具合が生じ
る。一つには、長繊維型フィラーを多く入れすぎると成
形の際に表面に突出したりして、表面の平滑性に悪影響
を与える。また、ベルト基材2中の含有量が多すぎる
と、長繊維型フィラー自体はベルト基材2と接着する事
により、補強効果が顕著に発揮されてしまうため、搬送
ベルト1として弾性ベルトを使用する場合には、モジュ
ラスが上昇してしまい、本来の弾性ベルトの利点が失わ
れてしまう。
【0019】よって、このような場合には、図1(a)
に示すように、添加物3は長繊維型フィラー3aと粒子
状フィラー3bとが混在しており、その分散比率が長繊
維型フィラー3aをA、粒子状フィラー3bをBとした
場合に、A<Bの関係を満たすようにすればよい。この
ように、ベルト基材2中のフィラー量として、抵抗調整
用の粒子状フィラー3bを多くし、長繊維型フィラー3
aとしてはあくまで搬送ベルト1が伸長した際の抵抗上
昇の抑制フィラーとしてのみ働くように必要最低限に分
散させるようにすれば、長繊維型フィラー3aが多いこ
とに伴う二次障害(搬送ベルト1表面にその一部が突出
したり、搬送ベルト1の剛性が上昇してしまうなど)を
有効に防止することができる。
【0020】また、本発明の搬送ベルト1としては、任
意の素材からなるベルト基材2を用いて差し支えない
が、搬送ベルト1として好ましい態様としては、ベルト
基材2を弾性材料で構成するのがよい。このように、弾
性材料のみを使用する事により、製造コストを従来の樹
脂ベルトなどの積層タイプに比べ極端に安く抑える事が
可能になる。基本的に樹脂材料(例えばポリイミド)な
どは、原料その物が一般的な弾性部材(例えばクロロプ
レンモノマー)に比べ極端に高い。また、積層などのコ
ストアップや、搬送ベルト1の裏面が樹脂などの硬い素
材の場合は、搬送ベルト1のウォーク制御などのリブな
どが新たに必要になるが、本態様にあっては、このよう
な手段は不要である。
【0021】また、添加物3として、粒子状フィラー3
bを含んでいる態様にあっては、粒子状フィラー3bは
カーボンブラック又は導電性金属酸化物である。エラス
トマーなどは、特に体積抵抗が一般的に下がりにくいも
のが多いため、これらの導電性粒子をベルト基材2の混
練の際に混入させる事により、ベルト基材2中での分散
性と抵抗制御性が向上する。
【0022】また、添加物3として長繊維型フィラー
(中空フィラー)3aを含んでいる態様にあっては、中
空の長繊維型フィラー3aはJIS−A 硬度で、45
度以下のエラストマーであればよい。これは、搬送ベル
ト1として弾性ベルトが張架された際に、微小な張力に
より、長繊維型フィラー(中空フィラー)3aが少しづ
つ変形しその体積抵抗値が変化しなければならないこと
を考慮したものである。例えばJIS−A 硬度で、4
5度を超える大きさの硬さでは、搬送ベルト1としての
弾性ベルトは張架による圧縮変形が起きずに、体積抵抗
が上昇してしまうことが確認されている。
【0023】また、搬送ベルト1は、ベルト基材2の表
面にフッ素系樹脂からなる保護層4を備えていてもよ
い。このような構成にする事で、表面の摩擦抵抗の低
減、電気特性の環境安定性、残留トナークリーニング性
の向上が達成できる。特に、ゴムベルトの場合、モノマ
ーの主鎖中に二重結合を有している物が多く、酸化など
が起き易いが、保護層4で有効に保護される。
【0024】更に、ベルト基材2上に保護層4を有する
搬送ベルト1にあっては、ベルト基材2の抵抗よりも保
護層4の抵抗が高くなるように調整されることが好まし
い。このような抵抗調整をする事により、例えば搬送ベ
ルト1を中間転写ベルトとして使用する態様では、表面
には転写電界がきちんと形成され、かつ、像担持体から
の電荷の注入を防ぐことが可能である。一方、ベルト基
材2の抵抗が低い事により、電荷をリークさせ、転写電
荷の履歴を消去するのに有効となる。
【0025】また、上述したように、保護層4について
は抵抗調整することが必要であるが、その調整は、例え
ばカーボンブラック及び導電性金属酸化物を含有させる
ようにすればよい。この態様によれば、表面の摩擦抵抗
の低減、電気特性の環境安定性、残留トナークリーニン
グ性の向上が達成でき、これらの目的を達成できる物で
あれば、特に限定されるものではない。
【0026】更に、搬送ベルト1としては、各種製法で
製作されるものを含むが、代表的には、シリンダ状の支
持体中の内周面に該添加物を含んだベルト基材2を投入
した後に、押出成形してエンドレスベルト状に成形した
ものが挙げられる。また、ベルト基材2上に保護層4を
設ける態様にあっては、添加物3を含んだベルト基材2
を成形した後に、ベルト基材2の表面に保護層4を形成
するようにすればよい。ここで、保護層4の形成には、
ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコ
ート等がある。
【0027】本発明は搬送ベルト1を対象とするもので
あるが、これに限られるものではなく、これを用いた画
像形成装置をも対象とする。この場合、本発明は、例え
ば図1に示すように、像担持体5上に形成されたトナー
像を中間転写ベルト6を介して記録材7に転写する画像
形成装置において、上述した各種搬送ベルト1を中間転
写ベルト6として使用することを特徴とするものであ
る。尚、図1において、符号8は像担持体5上のトナー
像を中間転写ベルト6に一次転写する一次転写装置、9
は中間転写ベルト6上のトナー像を記録材7に二次転写
する二次転写装置である。また、本態様では、搬送ベル
ト1は中間転写ベルト6として利用されるが、これに限
られるものではなく、記録材搬送ベルトとして利用する
ようにしてもよいことは勿論である。
【0028】また、図1(a)に示す画像形成装置にお
いて、像担持体5及び中間転写ベルト6のいずれか一方
を駆動源とし、他方を従動回転させるようにする態様が
好ましい。本態様によれば、このような駆動構成にする
ことで、一方の駆動機構を省略することができ、その
分、駆動コストを抑制できるほか、中間転写ベルト6と
像担持体5との駆動干渉からくる、中間転写ベルト6の
厚み変動や、プロセス方向の送り変動などの変動要因を
除外することができる。
【0029】更に、図1(a)に示す画像形成装置にお
いて、中間転写ベルト6は複数の張架ロールに張架さ
れ、ドラム状の像担持体5の形状に沿って接触配置され
ている態様が好ましい。本態様によれば、中間転写ベル
ト6を出来るだけ像担持体5の形状に沿わせる事で、転
写の際のニップ域前後での無駄な空隙による放電をなく
し、トナー像の飛び散りを防止することができる。ま
た、樹脂系の硬いベルトでは、像担持体1に対する押圧
が高くなりすぎ、トナー像の中抜けなどが発生してしま
うので、本態様では、弾性材料などを用いることで、低
い接触圧で像担持体5との密着性を上げなければならな
いのである。更に、両者の接触面積を拡大することに伴
って、前述した従動回転方式を採用し易くなり、その
分、両者の駆動干渉に伴う像乱れを有効に防止すること
ができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態
に基づいて本発明を詳細に説明する。図2は本発明が適
用された画像形成装置の実施の形態1を示す。同図にお
いて、画像形成装置は、感光体ドラム10と、この感光
体ドラム10からトナー像を転写させるために前記感光
体ドラム10に一定領域にて感光体ドラム10形状に沿
うように接触する中間転写ベルト20とを有する。本実
施の形態において、感光体ドラム10は光の照射によっ
て抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感
光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電す
る帯電装置11と、帯電された感光体ドラム10上に各
色成分(本例ではブラック、イエロ、マゼンタ、シア
ン)の静電潜像を書込む露光装置12と、感光体ドラム
10上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて
可視像化するロータリ型現像装置13と、前記中間転写
ベルト20と、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃
するクリーニング装置17とが配設されている。
【0031】ここで、帯電装置11としては、例えば帯
電ロールが用いられるが、コロトロンなどの帯電器を用
いてもよい。また、露光装置12は感光体ドラム10上
に光によって像を書き込めるものであればよく、本例で
は、例えばLEDを用いたプリントヘッドが用いられる
が、これに限られるものではなく、ELを用いたプリン
トヘッドでも、レーザビームをポリゴンミラーでスキャ
ンするスキャナなど適宜選定して差し支えない。更に、
ロータリ型現像装置13は各色成分トナーが収容された
現像器13a〜13dを回転可能に搭載したものであ
り、例えば感光体ドラム10上で露光によって電位が低
下した部分に各色成分トナーを付着させるものであれば
適宜選定して差し支えなく、使用するトナーも形状、粒
径など特に制限はなく、感光体ドラム10上の静電潜像
上に正確に載るものであればよい。尚、本例では、ロー
タリ型現像装置13が用いられているが、4台の現像装
置を用いるようにしてもよい。更にまた、クリーニング
装置17については、感光体ドラム10上の残留トナー
を清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を
採用したもの等適宜選定して差し支えない。但し、転写
率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング装置1
7を使用しない態様もあり得る。
【0032】また、中間転写ベルト20は、図2に示す
ように、4つの張架ロール21〜24に掛け渡されるも
のであって、ロータリ型現像装置13とクリーニング装
置17との間に位置する感光体ドラム10面に沿う形で
所定の接触領域だけ密着配置されている。ここで、この
中間転写ベルト20と感光体ドラム10とは夫々別駆動
系で駆動されていてもよいが、本実施の形態では、中間
転写ベルト20が後述するように弾性ベルトであり、し
かも、感光体ドラム10の周面に沿って接触配置されて
いることから、中間転写ベルト20は、例えば感光体ド
ラム10を駆動源として、従動回転するようになってい
る。
【0033】そして、中間転写ベルト20が感光体ドラ
ム10に密着した接触領域の一部には中間転写ベルト2
0の裏側から一次転写装置としての一次転写ロール25
が接触配置されており、所定の一次転写バイアスが印加
されている。更に、中間転写ベルト20の張架ロール2
2に対向した部位には、二次転写装置としての二次転写
ロール30が張架ロール22をバックアップロールとし
て対向配置されており、例えば二次転写ロール30に所
定の二次転写バイアスが印加され、バックアップロール
を兼用する張架ロール22が接地されている。更にま
た、中間転写ベルト20の張架ロール23に対向した部
位には、ベルトクリーニング装置としてのクリーニング
ロール26が配設されており、このクリーニングロール
26には所定のクリーニングバイアスが印加され、張架
ロール23が接地されている。また、用紙などの記録材
40は、供給トレイ41に収容されており、ピックアッ
プロール42にて供給された後、レジストロール43を
経て二次転写部位に導かれ、搬送ベルト44を通じて定
着装置45へ搬送されるようになっている。
【0034】また、本実施の形態において、中間転写ベ
ルト20は、図3に示すように、弾性を有するベルト基
材51と、このベルト基材51の表面を被覆する保護層
52とを備えている。ここで、本実施の形態で用いられ
るベルト基材51としては、例えばクロロプレン(C
R)とEPDMとをブレンドした材料が用いられてい
る。ベルト基材51の製法については任意の製法を用い
て差し支えないが、例えば以下のように製造される。す
なわち、ベルト基材51を製造する工程は、先ず、クロ
ロプレンゴムにEPDMを混練させ、抵抗調整に、粒子
状フィラー511と弾性中空フィラー512とを混入さ
せてミキサーで混練させ、加硫剤を加えて押し出し成形
を行う。
【0035】ここで、粒子状フィラー511としては導
電剤が用いられるが、導電剤としては、カーボンブラッ
クを始め、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、
酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ、グラファイ
ト、LiClO4、LiAsF6などの金属塩、各種4級
アンモニューム塩などが挙げられる。また、弾性中空フ
ィラー512としては、例えば長繊維型フィラーが用い
られる。この長繊維型フィラーの基材は例えばシリコー
ンを使用するが、一般的の可塑剤を含む架橋ゴム材料に
対する密着性が高いものとして、アクリル樹脂、ウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。更に、ポリイ
ソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエ
ンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴムなど
の、ジエン系合成ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブ
チルゴムフッソゴム、エピクロロヒドリンゴムなどの、
非ジエン系合成ゴムなどでもよい。更に、本実施の形態
では、両フィラーの分散比率としては、粒子状フィラー
511の方が弾性中空フィラー512よりも多く設定さ
れる。例えば長繊維型フィラーの大きさは外径0.7μ
m、長さ20μmで、添加量は15wt%であるのに対
し、ベルト基材51の抵抗調整用の導電剤としての粒子
状フィラー(例えばカーボンブラック)511は50w
t%である如くである。
【0036】また、弾性中空フィラー512の製造方法
について説明する。一般的には粒子状の中空フィラーは
市販化されており、シリカや硝子粒子のバルーンフィラ
ーがそれだが、製造方法もそれと似ている。基本的に
は、予め中空のコアを成型しておき、この型に混練した
基材を挿入して中で発泡させ、その表層のみを取り出す
事により、微小な弾性中空フィラー512が成形され
る。ここで、弾性中空フィラー512自身の長さは型の
形状で決まるが、長い状態で成形し、順次所望の長さに
切断する事で得られる。尚、ベルト基材51に導電性を
付与するために、中空フィラー成形前に、例えばカーボ
ン粒子を所定量(例えば5重量部)混入させ、成形する
ことが行われる。この方法以外にも、加熱可能な型内に
基材を挿入し、外部より型を加熱する事により、基材を
熱膨張させ、その膨張力で型の内面に基材を押し付ける
とともに、その基材を硬化させて、中空成型フィラーを
得るものなどがある。
【0037】上記混練したベルト基材、すなわち、予備
成形後のベルト基材を押出成形する場合には、加硫マン
ドレルといわれる金属製のベルト内径と同サイズの外径
を持つシリンダに混練したベルト基材を覆い被せた状態
で所定条件(例えば150℃で約1時間)にて加硫さ
せ、しかる後に、必要とするモジュラスに応じて時間を
変更しながら所定条件(例えば110℃で15時間)に
て二次加硫を行う。その後、研磨用マンドレルにベルト
基材を被せてベルト基材の内周面と外周面とを研磨し、
表面の平滑性を得るようにする。
【0038】このようにしてベルト基材51を作成した
後、ベルト基材51の表面に保護層52が形成される。
この保護層512の材料は、摩擦抵抗低減、表面粗さ低
減による残留トナークリーニング性の向上という目的を
達成できるものであれば、特に限定されるものではない
が、一般的に、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル
の共重合体、又は、フッソ系樹脂ポリマーをアルコール
可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、などに溶解、分
散した塗料を使用する事ができる。これらの保護層52
はディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロール
コートなどにより塗布する事が可能で、膜厚は5μm〜
20μm程度が適当である。あまり厚く塗布してしまう
と、下層の弾性力が阻害されて、転写の際に、トナー像
との密着性が低下してしまう。具体例を述べると、保護
層52を形成するためのオーバーコート剤としては、例
えばウレタン系の樹脂マスターバッチをベースにPTF
E樹脂を添加し、カーボンブラックで抵抗調整を行うも
のが用いられる。そして、塗装はスプレーガンによる塗
装方式で、ベルト基材が冷えたマンドレルに被せられ、
約200rpm程度回転させながら、スプレーガンにて
所定厚さ(例えば10μm)に吹き付けらる。この後、
オーバーコート剤の乾燥は所定条件(150℃で約5mi
n)にてオーブンで行う。
【0039】この中間転写ベルト20の抵抗について説
明する。基本的にベルト基材51の部分は105〜10
11Ω、最表層の保護層52は1010〜1014Ωになるよ
うに調整し、高電圧印加時の絶縁耐圧を確保するために
全体で、体積抵抗が108〜1012Ω程度になるように
膜厚調整をするのが好ましい。
【0040】次に、本実施の形態モデルに係る画像形成
装置を用いて、本実施の形態に係る画像形成装置の性能
を評価する。ここで、本実施の形態モデルは以下の通り
である。図2において、感光体ドラム10はOPC感光
体を使用し、現像装置13には非磁性一成分方式の現像
方式が使用されている。潜像電位は−100V、背景部
電位は−350V、現像ロールはRa0.1〜5.0μ
m程度の凹凸を設け、アルミニウムなどを切削加工した
もので、他に表面に導電粉を分散させた樹脂層を形成し
たものでもよい。今回はφ10のアルミニウムを切削加
工の後に、サンドブラスト処理をし、表面に陽極酸化処
理を施したものを使用した。帯電方法はコロナ放電によ
る非接触帯電である。
【0041】現像ロール上のトナー層形成方法はシリコ
ーンゴムで、硬度がJIS−Aで、50〜60度程度の
ものを、ドクター方式で現像ロールに圧接させたものを
使用し、その圧力は15〜20g/cm2程度に設定し
た状態に設定した。次に、使用するトナーはスチレン樹
脂、アクリル樹脂若しくはポリエステル樹脂などの各種
熱可塑性樹脂中に顔料や含金属アゾ染料系などの極性制
御材を分散し粉砕、分級により5〜8μm(平均粒径
7μm)の大きさにしたものを使用した。具体的には、
富士ゼロックス社製、A COLOR 935用のマゼ
ンタ、シアン、イエロ、ブラックトナーを使用した。
【0042】次に、一次転写ロール25は、φ15の半
導電性スポンジ材からなる体積抵抗率が108Ω・cm
程度のものを使用した。また、定着装置45は定着ロー
ルと加圧ロールとを圧接したものであり、定着ロールは
φ40のSUS材で、厚さ0.5mmのものを使用し、
熱源には定格電力が550Wのタングステンランプを使
用した。一方、定着時の圧力ロールはφ30のアルミニ
ウムの円筒に肉厚が約50μm程度のゴムの弾性層を付
けたものを使用した。
【0043】更に、今回使用した中間転写ベルト20は
以下の通りである。まず、使用したベルト基材51は、
クロロプレンゴムにEPDMを混練させ、抵抗調整に、
ケッチェンブラック(粒子状フィラー)と中空シリコー
ンゴムフィラー(弾性中空フィラー)とを混入させ、バ
ンバリーミキサーで混練させ、加硫剤を加えて押し出し
成形を行った。弾性中空フィラーは、軸径2μm、軸長
20μmであった。 基材: ポリクロロプレンゴム 100重量部 EPDM 20重量部 酸化亜鉛 5重量部 プロセスオリル 15重量部 硫黄 1重量部 ケッチェンブラック 50重量部 加硫促進剤 1 1重量部 加硫促進剤 2 1重量部 中空フィラー: シリコーン変性ゴム 10重量部 ケッチェンブラック 15重量部 保護層 : 水系塗料エムラロン345(日本アチソン社製)膜厚10μm PTFE 10重量部 上記混練した基材を約150℃で1時間、金属製のマン
ドレルに覆い被せた状態で加硫させ、さらに、110℃
で15時間調質が行われる。その後、研磨を両面に対し
て、同様に研磨用マンドレルで研磨し表面の平滑性を得
た。その後、PTFE樹脂を混入させた、オーバーコー
ト剤をスプレーガンにて厚さ10μmになるように、マ
ンドレルを回転させながら塗布し、オーブンにて150
℃で約5min程度乾燥させて、表面粗さで、Rz2.
0μm〜8.0μmを得た。
【0044】また、今回使用した保護層52の材料は、
4フッ化エチレン樹脂(PTFE)を含有したウレタン
変性エマルション塗料と硬化剤であるシランカップリン
グ剤で構成されたJLY−841 B(日本アチソン社
製)塗料を静電塗装法により塗装し、膜厚5μmの導電
性保護層を形成した。ちなみに、電気抵抗はDC500
V印加時に、基材込みで1011.5Ωであった。また、中
間転写ベルト20が回転するプロセススピードは、10
5mm/sec(A4横:20ppm相当)にて実施し
た。
【0045】このように成形された中間転写ベルト20
で、張架ロール上にセットして5kgのテンションをか
けた状態で、ベルト基材自体の硬度は、JIS−A硬度
で約70度であった。ちなみに、この硬度測定は、島津
製作所製ダイナミック超微小硬度計(DUH 201)
を用い、三角錘圧子、変位フルスケール10μm、試験
荷重0.25kgf、負荷速度0.0145gf/se
cで、保持時間5secの条件で測定した。表面抵抗
は、1011Ω/□で、体積抵抗は107.7Ωであった。
この状態のまま、回転させつづけても、図5に示すよう
に、弾性中空フィラーのない態様(比較の形態A,B)
に比べて明らかに、本実施の形態モデルの体積抵抗の上
昇は認められなかった。
【0046】この要因は以下のように推測される。すな
わち、中間転写ベルト20が伸張すると、図3に示すよ
うに、弾性中空フィラー512が圧縮変形することにな
るが、弾性中空フィラー512が圧縮変形した際の抵抗
変化を図4に示す。通常の状態から、弾性中空フィラー
512が圧縮変形した場合に、その抵抗がベルト基材5
1中で約0.5桁〜最大で2桁程度低下することが理解
される。一方、中間転写ベルト20が伸張すると、これ
に伴って、ベルト基材51中の粒子状フィラーの距離が
離間する分、ベルト基材51の体積抵抗が上昇しようと
する。ところが、弾性中空フィラー512はベルト基材
51が伸張した際に圧縮変形して抵抗が低下するため、
中間転写ベルト20が伸長した際の体積抵抗の上昇分は
前記弾性中空フィラー512の抵抗低下により、抑制す
されることになり、中間転写ベルト20の体積抵抗の上
昇は防止されるのである。特に、弾性中空フィラー51
2として、長繊維型フィルタを用いると、粒状のものよ
り圧縮変形した際でのベルト基材51内部の導電パスが
多くなるため、ベルト基材51の酸化などによる劣化が
原因での抵抗上昇に対しても、上昇をある程度抑制する
効果が認められた。
【0047】また、本実施の形態モデルにおいては、感
光体ドラム10上に各色成分トナー像が順次形成され、
一次転写ロール25の転写電界により中間転写ベルト2
0上に順次一次転写される。しかる後、この中間転写ベ
ルト20に一次転写されたトナー像は二次転写ロール3
0の転写電界により記録材40に二次転写され、定着工
程へと運ばれる。今回、本実施の形態モデルでは、感光
体ドラム10の駆動により、中間転写ベルト20を従動
回転させるようにしたため、中間転写ベルト20の駆動
制御コストを大幅に削減できた。また、一次転写での中
間転写ベルト20の感光体ドラム10への接触幅が例え
ば50mm以上と非常に広く設定されるため、中間転写
ベルト20に対し安定した従動が実現でき、しかも、無
駄な転写ニップ前後での空隙がないため、放電によるト
ナーの飛び散りがない状態で一次転写される。
【0048】その後、中間転写ベルト20に残留した未
転写トナーはベルトクリーニング装置であるクリーニン
グロール26により静電的に回収され、再度像形成工程
へと中間転写ベルトが運ばれていく。尚、クリーニング
された中間転写ベルト20に残留電荷が残っている場合
には、必要に応じて除電機構を設ける場合もある。但
し、本実施の形態モデルの弾性中空フィラー自身の抵抗
を下げたり、公知のカーボンブラックなどの分散量の調
整で、ベルト基材51の体積抵抗をある程度低く調整す
れば、除電機構を新たに設ける必要が無い事が実験的に
確認されている。
【0049】以上により、本実施の形態モデルによれ
ば、原材料の安い弾性部材を使用し、一度の成形工程
で、弾性部材の伸張に伴って抵抗変化する弾性中空フィ
ラーが分散するベルト基材を作成するようにしたので、
中間転写ベルト20を張架した際の伸張にに伴って体積
抵抗が上昇する事態を有効に抑制することができ、中間
転写ベルト20の抵抗特性を安定させることができる。
更に、本形態モデルによれば、感光体ドラム10の駆動
により、中間転写ベルト20を従動回転させるようにし
たため、中間転写ベルト20の駆動制御コストを大幅に
削減でき、また、中間転写ベルト20が幅広く感光体ド
ラム10の周面に沿うように接触しているため、トナー
像の乱れや、飛び散りなどがない高画質が得られた。
【0050】尚、本実施の形態においては、感光体ドラ
ム10と中間転写ベルト20とはオーバーラップした状
態で接触配置されており、しかも、中間転写ベルト20
が感光体ドラム10からの駆動力に基づいて従動回転す
るようになっているが、これに限定されるものではな
く、例えば図6に示す変形形態のように、感光体ドラム
10、中間転写ベルト20が別々の駆動系を持ち、しか
も、感光体ドラム10に対して中間転写ベルト20を線
接触させるようにした態様(実施の形態1と同様な構成
要素については同様な符号を付す)にも本件発明を適用
できることは勿論である。
【0051】
【実施例】◎実施例1 本実施の形態に係る中間転写ベルトを使用し、中間転写
ベルトの抵抗変化とプリント性能を把握するために下記
の様な構成で実験を行った。基本的なプロセス全体の構
成は図2と略同様の構成がとられており、中間転写ベル
ト自体の構成も図3と同様の構成がとられたものを使用
している。 感光体 材質:OPC感材(84φ) プロセス速度 105mm/sec 現像担持体 φ15のアルミの中空パイプにアルマイト処理を 施したもの(表面粗さ Ra:1.0) 層形成部材 厚さ0.5mmのSUS板にゴム硬度50度の シリコーンゴムを貼り合わせた物をドクター 方式に設定したもの。 転写装置 一次 金属ロールにウレタン発泡し、φ12の体積抵抗率が 103Ω・cm 二次 発泡製シリコーンゴムにイオン導伝体を配合した もので、φ18の体積抵抗率が108Ω・cm 潜像電位 −100V 背景部電位 −350V 中間転写ベルト 感光体ドラム駆動によるベルト従動駆動、 接触幅30mm 基材: クロロプレンモノマー 100重量部(デュポン社製) EPDM 18重量部(住友バイエル社製) 酸化亜鉛 5重量部 プロセスオリル 15重量部 硫黄 1重量部(ライオンアクゾ社製) ケッチェンブラック 50重量部 加硫促進剤 1重量部 弾性中空フィラー: シリコーン変性ゴム 10 重量部(信越化学社製) ケッチェンブラック 15 重量部(三井金属) 軸径 2μm、軸長20μm 保護層: 水性塗料エムラロン345(日本アチソン社製) 膜厚10μm PTFE 10重量部 加硫時間: 一次 (150℃、1時間) 二次 (110℃、15時間) 膜厚: 500μm 外径: 168φ 幅: 330mm ベルト表面抵抗:1011Ω/□ 体積抵抗: 109Ω 定着装置 厚さ0.5mmのSUS材を使用した φ40の中空パイプを使用 ヒートランプ 定格650Wのタングステンランプ プレッシャロール SUS30φの円筒に肉厚50μmの ゴム層を被覆させたものを使用した 。 ベルトクリーナ ナイロンブラシのシャフトにDCバイアス+500V 記録材 富士ゼロックス社製J紙 上記のような構成で作成された中間転写ベルトをテンシ
ョン5kg(片側張架時)で張架し、中間転写ベルトを
上記プロセススピードで回転させても、体積抵抗の上昇
はなく、中間転写ベルトが広範囲にわたり感光体ドラム
へ接触しているため、トナーの飛び散りや中抜けのない
高品位な画像が得られた。
【0052】◎実施例2 上記の基本構成は変えずに、中間転写ベルト20の弾性
中空フィラーの基材をシリコーンからウレタンゴムに変
更し、弾性中空フィラーの軸径を5μm、軸長を12μ
mに変更した。このように変更した事で、中間転写ベル
ト20が微小に伸張した際でも、弾性中空フィラーの軸
径が広くなっているため、抵抗上昇抑制作用は働かなく
なる。このように、中間転写ベルト20を使用する張架
条件の違いに対して抵抗制御が可能になる。更に、中間
転写ベルト20の回転するプロセス速度を実施例1の約
2倍にアップさせたが、7kgf以上の張架でも、体積
抵抗が上昇せず、安定してトナー像の飛び散りのない高
品位な画像が得られた。この時使用した記録材(用紙)
は富士ゼロックス社製R紙を使用した。
【0053】◎実施例3 実施例1の構成のまま、中間転写ベルト20と感光体ド
ラム10との接触する長さを、二倍の60mmに変更
し、一次転写での一次転写ロールの押圧を200gf/
cm2で行った。このような構成にすることにより、感
光体ドラム10の駆動による中間転写ベルト20の従動
性がより安定し、弾性層によるトナー像への押圧力も低
下する事から、一次転写時でのトナー像の中抜けや、飛
び散りがない高品位な画像が安定して得られた。
【0054】◎実施例4 実施例1の構成のまま、中間転写ベルト20のベルト基
材をクロロプレンモノマーからウレタンゴムに変更し、
中間転写ベルト20自体のヤング率を、30Mpaから
50Mpaに変更した。この条件では、中間転写ベルト
20自体の張架による伸張率の変化は縮小し、弾性中空
フィラーの量も少なく5重量部のみで済んだため、製造
時にかかる、表面性の確保が容易であった。同様に環境
変動を含めても、クロロプレンよりも張架力が安定して
おり、安定して高品位のカラー画像が得られた。
【0055】◎実施例5 実施例3の構成のまま、中間転写ベルト20の表層に、
フッソ系樹脂ポリマーであるPVdFをディップコート
して厚さ約10μmの保護層52を得た。このようにト
ナーに対して離型しやすい材料を表面に構成すること
で、中間転写ベルト20の転写残トナーを回収しやすく
なり、安定して高品位のカラー画像を得る事ができた。
【0056】◎比較例1 実施例1と同様な構成のまま、中空フィラーとして軸径
2μm、軸長20μmのナイロン繊維を使用した。この
条件では、中間転写ベルトの伸張に伴う中空フィラーの
圧縮変形がナイロン繊維自体が硬いために、全く変化せ
ず、体積抵抗は伸張した分だけ上昇してしまった。
【0057】◎比較例2 実施例1と同様な構成で、長繊維型フィラーの代わり
に、粒子状の弾性中空フィラーを用いた中空径は2μm
である。材質はシリコンを使用した。この条件では、初
期的なベルトの伸張で0.5%程度のときの体積抵抗の
上昇は抑制されたが、それ以上伸張した場合はその効果
はなく、体積抵抗は約1桁程度上昇してしまった。
【0058】◎比較例3 実施例1と同様な構成で、感光体ドラム10の駆動で従
動させる中間転写ベルト20の接触幅を84φの感光体
ドラム10を使用した場合で、30mmから5mmに変
更した。この状態では、感光体ドラム10の駆動のみで
の中間転写ベルト20の従動は不安定で、感光体ドラム
10と中間転写ベルト20とがスリップしてしまい、ト
ナー像が乱れてしまった。また、転写ニップ前後での感
光体ドラム10との空隙での放電で、トナーの飛び散り
が発生してしまい、高品位な画像を得る事はできなかっ
た。
【0059】◎比較例4 実施例1と同様な構成で、弾性中空フィラーの分散量を
抵抗調整するためのカーボン粒子よりも多く分散させ
て、約50wt%入れた。カーボン粒子は20wt%で
あった。この条件では、中空の長繊維型フィラーが中間
転写ベルト20表面に研磨の際に突出してしまい、表面
性を確保することが困難であった。また、長繊維型フィ
ラーによるベルト基材51の補強効果が強すぎ、ベルト
基材51にクラックが入ってしまった。
【0060】ここで、実施例1〜5及び比較例1〜4に
おける性能評価(体積抵抗変動、転写効率、従動性/ブ
ラー)を図7に示す。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る搬送
ベルトによれば、ベルト基材中の抵抗調整のための添加
剤を工夫し、添加剤の抵抗をベルト基材の伸張率の変化
に応じて変化させるようにしたので、搬送ベルトの伸張
を容認しながら、搬送ベルトの伸張に伴う搬送ベルトの
抵抗変化を抑制することが可能になり、搬送ベルトの伸
長に伴う抵抗変化を有効に防止でき、もって、搬送ベル
トの抵抗特性を安定させることができる。このため、こ
のような搬送ベルトを画像形成装置の中間転写ベルトと
して利用するようにすれば、中間転写ベルトの伸張に伴
う抵抗変化を効果的に抑制でき、もって、像担持体から
中間転写ベルトへの転写性能を常時良好に保つことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明に係る搬送ベルト及びこれを
用いた画像形成装置の概要を示す説明図、(b)はベル
ト基材中の添加物の態様を示す説明図である。
【図2】 本発明が適用された画像形成装置の実施の形
態1を示す説明図である。
【図3】 本実施の形態に係る中間転写ベルトの構成を
示す説明図である。
【図4】 本実施の形態に係る中間転写ベルトのベルト
伸張率と中空フィラーの体積抵抗値変化との関係を示す
グラフ図である。
【図5】 本実施の形態に係る中間転写ベルトのベルト
伸張率と体積抵抗値変化との関係を示す説明図である。
【図6】 本実施の形態に係る画像形成装置の変形形態
を示す説明図である。
【図7】 実施例1〜5及び比較例1〜4についての体
積抵抗変化、転写効率、従動性/ブラーの評価結果を示
す説明図である。
【図8】 従来における中間転写ベルトの一例を示す説
明図である。
【図9】 (a)(b)は従来における中間転写ベルト
の夫々別異の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…搬送ベルト,2…ベルト基材,3…添加物,3a…
中空フィラー(長繊維型フィラー),3b…粒子状フィ
ラー,4…保護層,5…像担持体,6…中間転写ベル
ト,7…記録材,8…一次転写装置,9…二次転写装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西出 秀一 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 渡辺 幸市 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 佐藤 雅弘 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 鈴木 渡 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 山本 光雄 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H071 BA42 DA23 2H072 CA05 JA03 JC02 JC07 JC09 2H200 GA23 JC03 JC09 JC13 JC15 LA27 LC00 MA03 MA11 MA12 MA14 MA20 3F049 AA06 BA14 DA04 LA02 LA05 LA07 LB03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト基材中に抵抗を調整するための添
    加物を分散させ、該添加物の抵抗が、ベルト基材の伸長
    率の変化に応じて変化するように構成されている事を特
    徴とする搬送ベルト。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、 添加物は、中空フィラーであって、ベルト基材の伸長率
    の変化に応じて、中空フィラーが圧縮変形する事で抵抗
    が変化するようにした事を特徴とする搬送ベルト。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の搬送ベルトにおいて、 中空フィラーは長繊維型である事を特徴とする搬送ベル
    ト。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、 添加物は、長繊維型フィラーと粒子状フィラーとが混在
    しており、その分散比率が長繊維型フィラーをA、粒子
    状フィラーをBとした場合に、A<Bの関係を満たす事
    を特徴とする搬送ベルト。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、 ベルト基材が弾性材料である事を特徴とする搬送ベル
    ト。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の搬送ベルトにおいて、 粒子状フィラーはカーボンブラック又は導電性金属酸化
    物である事を特徴とする搬送ベルト。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の搬送ベルトにおいて、 中空の長繊維型フィラーは、JIS−A硬度で45度以
    下のエラストマーからなることを特徴とする搬送ベル
    ト。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、 ベルト基材の表面にフッ素系樹脂からなる保護層を設け
    た事を特徴とする搬送ベルト。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の搬送ベルトにおいて、 ベルト基材の抵抗よりも表面の保護層の抵抗が、高くな
    るように、抵抗調整されている事を特徴とする搬送ベル
    ト。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の搬送ベルトにおいて、 保護層中にはカーボンブラック又は導電性金属酸化物を
    含有する事を特徴とする搬送ベルト。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、 シリンダ状の支持体中の内周面に該添加物を含んだベル
    ト基材を投入した後に、押出成形してエンドレスベルト
    状に成形したものである事を特徴とする搬送ベルト。
  12. 【請求項12】 請求項8記載の搬送ベルトにおいて、 添加物を含んだベルト基材を成形した後に、ベルト基材
    の表面に保護層を形成するようにしたものである事を特
    徴とする搬送ベルト。
  13. 【請求項13】 像担持体上に形成されたトナー像を中
    間転写ベルトを介して記録材に転写する画像形成装置に
    おいて、 請求項1ないし12いずれかに記載の搬送ベルトを中間
    転写ベルトとして使用することを特徴とする画像形成装
    置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の画像形成装置にお
    いて、 像担持体及び中間転写ベルトのいずれか一方を駆動源と
    し、他方を従動回転させるようにしたことを特徴とする
    画像形成装置。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の画像形成装置におい
    て、 中間転写ベルトは複数の張架ロールに張架され、ドラム
    状の像担持体の形状に沿って接触配置されていることを
    特徴とする画像形成装置。
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