JP4461898B2 - 搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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ところで、この種の画像形成装置のうち、中間転写型を例に挙げると、搬送ベルトとしての中間転写ベルトには、ベルト基材として硬質樹脂材を使用した態様が多く用いられているが、画像(例えばトナー像)への集中荷重による像抜け等の不具合が見られる。
このような不具合を解決するには、例えば特許文献1に示すように、ベルト基材として、柔軟なゴム材料等の弾性材を使用することで、トナー像への集中荷重の低減を図り、像抜け等の問題を根本的に解決することが好ましい。
一般に、中間転写ベルトは、複数の張架部材に掛け渡されて回転駆動するようになっており、使用されるゴム材料には中間転写ベルトに要求される、例えば、耐オゾン性、難燃性、可塑性、老化防止性等のため、各種薬品が添加されている。そのため、経時的な変化によって各種薬品がゴム表面に析出する所謂ブリードが発生することがある。
このようなブリード等が発生すると、中間転写ベルトに要求される特性が変化することに加え、中間転写ベルトのベタつきや表面クラック等が発生するようになる。
そこで特性変化を抑えるために、ベルト基材のゴム材料をクロロプレンゴム(CR)とEPDMの混合基材とし、基材中に二種の異なる導電性カーボンブラック(アセチレンブラックとファーネスブラック、または、アセチレンブラックとケッチェンブラック)を分散させて構成する提案がなされている(例えば特許文献2参照)。このタイプによれば、ベルト基材にCRとEPDMとの混合基材を使用することで耐オゾン性を向上させることができ、更に、二種の異なる導電性カーボンブラックを分散させることで、電気的特性を安定させることができる。しかしながら、例えば特許文献2に所載の技術を採用したとしても、ベルト基材裏面は何らの処理もなされていないため、バイアス印加等によるオゾン劣化の影響等を直接受けてしまう。
一般に、ゴム材を使用した中間転写ベルトにあっては、トナーを担持する面、すなわち、中間転写ベルトの表面へ各種被膜が形成されることはよく知られている。例えば、転写電界を安定させるための抵抗調整層やトナーの固着を防ぐ離型層等が挙げられる。一方、裏面は、通常、研磨による機械的仕上げが施され、この研磨面がそのまま露出している状態である。
また、このような中間転写ベルトを使用する場合、ベルト上の残留トナーの除去に際してはクリーニング部材としてブレード等の機械的な手段のみでは除去性能が不足し易く、ブラシ状部材を使い且つバイアス印加を行って除去する方式が用いられる。このクリーニングバイアスには、高電界(例えば、感光体等の像担持体から中間転写ベルトへトナー像を転写するときの電界の数倍)が印加されるため、特にクリーニング部材とのプレニップ域で気中放電が起こりオゾンが発生する。そして、この発生したオゾンによりゴムの酸化や劣化が起こり、環境劣化によりベルト基材面にクラックが入ったり、放電生成物のNOx(窒素酸化物)等の付着が起こる。
一方、研磨面のままの裏面は、特に裏面上を掻き取るような対向部材もなく、中間転写ベルトの張架部材によって単に押し当てられるのみのため、裏面への付着物の除去効果は期待できない。そのため、裏面では、上述したようなクラックや堆積物(放電生成物)によって、機械的な強度低下がもたらされると共に、水分への耐性が損なわれ、特に堆積したNOxが水分と結合することで裏面の低インピーダンス化現象をもたらし、その結果、中間転写ベルトの抵抗変化にも繋がり、適切な転写電界を付与することも困難となってくる。
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、ベルト基材の経時変化や環境変化による抵抗変動を有効に抑えることで、安定した転写条件を確保することができ、一層安定した出力画像が得られるようにした搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置を提供するものである。
弾性ベルトでは、ベルト自体の伸長によって、ベルト基材の抵抗値が大きく変化したり、経時劣化等によってもベルト基材の抵抗値が大きく変化する。これは、使用されるゴム材料中への導電性フィラーの分散状態がベルトの伸長や経時変化によって大きく変化することによるものであり、また、この変化の程度は導電性フィラーの充填量(密度)によっても大きく異なる。
また、弾性ベルトでは、ゴム等へ導電性フィラーを練り込んで分散させるため基材中の抵抗むらも起こり易く、転写時にはこの抵抗むらによる転写電流の偏流も発生し易い。
したがって、弾性ベルトを使用する際には、転写時の転写条件の安定化を図ることが望ましい。
そのため、転写部材として低抵抗領域(106Ω・cm以下)、好ましくは電子伝導タイプ(104Ω・cm以下)を使用して転写部材側の抵抗変化を抑え、搬送ベルト側の抵抗変化にのみ要因を絞り込むことがよい。
しかしながら、ベルト基材の抵抗値を低くすると、通常転写時に行われる定電流制御では、ベルト基材に抵抗むらがあると、転写電流が低い抵抗部分に集中して流れる偏流を起こし、均一な転写ができなくなる現象が現れる。その結果、トナーの転写性が悪化することになる。また、この抵抗むらは、ベルト基材内部の抵抗むらに起因するのみならず、ベルト基材表面への過度なフィルミングが原因で発生することもあり、単に表面層の抵抗値をベルト基材の抵抗値より大きくすることでは、このような問題を解決するには至らない。
また、ベルト基材2は弾性材を使用したものであれば特に限定されず、合成ゴム材又はエラストマー材が挙げられ、更に、ベルト基材2の中に、例えば抵抗調整用の導電性フィラーを始めとする各種添加物(補強用繊維も含む)を含めることは差し支えない。
更に、像抜けやブラーを一層防止する観点から、ベルト基材2のヤング率は8MPa以下、好ましくは3〜5MPaとすることがよい。
尚、表面被覆層3a及び裏面被覆層3bの体積抵抗率の比較は、ベルト基材2上に配設した状態で測定することができ、ベルト基材2、ベルト基材2+表面被覆層3a、ベルト基材2+裏面被覆層3bの間の体積抵抗値を比較することで求めることができる。
更に、表面被覆層3a及び裏面被覆層3bは、少なくともポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂のいずれかをバインダとした樹脂層で構成することが、長期的に安定した被覆層3を構築できる点で好ましく、また、この被覆層3に導電剤、難燃剤等の各種添加剤を含む態様であっても差し支えない。尚、表面被覆層3a及び裏面被覆層3bに使用されるバインダは、同一であってもよいし、異なっていても差し支えない。
また、裏面被覆層3bを3〜15μmの被覆層3とすることで、裏面被覆層3bが抵抗被覆層として機能する膜厚を維持し、かつ、転写性及びベルト変形に対し良好な性能の確保が可能になる。仮に、裏面被覆層3bが3μmより薄い場合には、抵抗被覆層として機能しないばかりか、転写時のベルト基材2の抵抗むらによる転写電流の偏流が抑えられず、転写不良を生じることになる。一方、15μmを超えると、搬送ベルト1に有効な転写電流が流せないばかりか、搬送ベルト1が張架されたまま長期間放置されると、搬送ベルト1へ巻き癖等の欠陥が発生する。
特に、本発明では、裏面被覆層3bを備えることで、ベルト基材2裏面が直接他の部材と接触することを防ぎ、また、外気と直接触れないようになり、汚れ付着防止、汚染防止(酸化等)等に効果があり、ベルト基材2の抵抗値変化を一層少なくできる。
この場合、本発明は、例えば図1(b)に示すように、トナー像を形成担持する像担持体4と、この像担持体4に対向する搬送ベルト1と、像担持体4上に形成されたトナー像を搬送ベルト1に転写する一次転写装置6とを備えた画像形成装置において、搬送ベルト1として、上述の搬送ベルト1を用いるようにすればよい。
そのため、一次転写装置6の転写部材として導電性転写部材(電子伝導特性保有)が使用でき、転写部材の抵抗自体が環境変動等に強くなり、安定した転写特性を確保できるようになる。
一方、搬送ベルト1を記録材搬送ベルトとして使用する態様にあっては、図1(b)に示すように、搬送ベルト(記録材搬送ベルト)1上に記録材5を保持した後、像担持体4上のトナー像を転写装置8にて搬送ベルト(記録材搬送ベルト)1上の記録材5に転写する。
本態様によれば、搬送ベルト1を出来るだけ像担持体4の形状に沿わせることで、転写の際のニップ域が広くでき、また、ニップ域前後での無駄な空隙による放電をなくし、放電によるトナー像の飛び散りを防止することができる。
更に、像担持体4及び搬送ベルト1のいずれか一方を駆動源とし、他方を従動回転させるような駆動構成にすることで、一方の駆動機構を省略することができ、その分、駆動コストを抑制できるほか、搬送ベルト1と像担持体4との駆動干渉からくる搬送ベルト1の厚み変動や、プロセス方向の送り変動等の変動要因をも除外することができる。
また、裏面被覆層を設けることで、搬送ベルト裏面への汚れ付着等を防ぎ、各種バイアス印加によるオゾンの発生があっても搬送ベルトの酸化劣化等を防ぐことができる。
更に、このような搬送ベルトを使用した画像形成装置にあっては、搬送ベルトの経時劣化や環境劣化を抑え、像抜けやブラー等の画像欠陥を有効に防止でき、抵抗むらがあっても画像品質に影響しない転写特性の安定した画像形成装置を簡単に構築することができる。
図2は、本発明が適用された画像形成装置の実施の形態を示す。
同図において、画像形成装置は、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10からトナー像を転写させるために一定領域にて感光体ドラム10の形状に沿うように接触する中間転写ベルト20とを有する。
本実施の形態において、感光体ドラム10は光の照射によって抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電装置11と、帯電された感光体ドラム10上に各色成分(本例ではイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))の静電潜像を書き込む露光装置12と、感光体ドラム10上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化するロータリ型現像装置13と、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するクリーニング装置17とが配設されている。
また、露光装置12は感光体ドラム10上に光によって像を書き込めるものであればよく、本例では、例えばLEDを用いたプリントヘッドが用いられるが、これに限られるものではなく、ELを用いたプリントヘッド、レーザビームをポリゴンミラーでスキャンするスキャナ等適宜選定して差し支えない。
更に、ロータリ型現像装置13は各色成分トナーが収容された現像器13a〜13dを回転可能に搭載したものであり、例えば感光体ドラム10上で露光によって電位が低下した部分に各色成分トナーを付着させるものであれば適宜選定して差し支えなく、使用するトナーも形状、粒径等には特に制限はなく、感光体ドラム10上の静電潜像上に正確に載るものであればよい。尚、本例では、ロータリ型現像装置13が用いられているが、四台の現像装置を用いるようにしてもよい。
更にまた、クリーニング装置17については、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を採用したもの等適宜選定して差し支えない。但し、転写率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング装置17を使用しない態様もあり得る。
ここで、この中間転写ベルト20と感光体ドラム10とは夫々別駆動系で駆動されていてもよいが、本実施の形態では、中間転写ベルト20が後述するように弾性ベルトであり、しかも、感光体ドラム10の周面に沿って接触配置されていることから、中間転写ベルト20は、例えば感光体ドラム10を駆動源として、従動回転するようになっている。
更に、中間転写ベルト20の張架ロール22に対向した部位には、二次転写装置としての二次転写ロール30が張架ロール22をバックアップロールとして対向配置されており、例えば二次転写ロール30に所定の二次転写バイアスが印加され、バックアップロールを兼用する張架ロール22が接地されている。
更にまた、中間転写ベルト20の張架ロール23に対向した部位には、ベルトクリーニング装置としてのクリーニングブラシ26が配設されており、このクリーニングブラシ26には所定のクリーニングバイアスが印加され、張架ロール23が接地されている。
また、用紙等の記録材40は、供給トレイ41に収容されており、ピックアップロール42にて供給された後、レジストロール43を経て二次転写部位に導かれ、搬送ベルト44を通じて定着装置45へ搬送され、搬送ロール46及び排出ロール47を経て排出トレイ48へと排出されるようになっている。
ここで、本実施の形態で用いられるベルト基材51としては、加硫ゴム、熱可塑性エラストマーが挙げられる。ここで、原料ゴム材料としては、一般的なジエン系ゴム、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、EPDM、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム等が挙げられるが、比較的剛性が高く、それ自体が半導電性に近い体積抵抗率を有し、成形型内での流動性が良好であるという観点から、ニトリルゴム(NBR)、水素添加NBR、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ウレタンゴム(UR)、シリコーンゴム(Si)等が好ましい。
一方、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリウレタン系、スチレン−ブタジエントリブロック系、ポリオレフィン系等が用いられる。このような熱可塑性エラストマーを使用すると、リサイクルが可能になって、環境上好ましい。
更に、ベルト基材51の材料としては、一種類である必要はなく、二種以上の材料をブレンドすることもできる。例えばクロロプレンゴム(CR)とEPDMとをブレンドした材料であっても差し支えない。
そして、各フィラーの形状としては、粒子状、長繊維状等任意の形状のものを使用して差し支えない。また、導電性フィラーとしては、カーボンブラックを始め、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ、グラファイト、LiClO4、LiAsF6等の金属塩、各種四級アンモニウム塩等が挙げられ、また、絶縁性フィラーとしてはシリカ等が挙げられる。
更に、ベルト基材51には上記の成分以外に以下のようなゴム用配合原料が使用可能である。例えば充填剤としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等、また、ゴム用薬品としては、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、プロセスオイル、着色剤等が挙げられる。
今、クロロプレンゴム(CR)とEPDMとをブレンドした材料を例に挙げると、ベルト基材51を製造するには、クロロプレンゴム、EPDMに対し例えば導電性フィラーを混入分散させた後、これらのクロロプレンゴムとEPDMとをミキサーで混練させ、加硫剤を加えて押出成形を行うようにすればよい。
ここで、上記混練したベルト基材51を押出成形する場合には、加硫マンドレルといわれる金属製のベルト内径と同サイズの外径を持つシリンダに混練したベルト基材51を覆い被せた状態で所定条件(例えば150℃で約1時間)にて加硫させ、しかる後に、必要とするモジュラスに応じて時間を変更しながら所定条件(例えば110℃で約15時間)にて二次加硫を行う。その後、研磨用マンドレルにベルト基材51を被せてベルト基材51の内周面と外周面とを研磨し、表面の平滑性を得るようにすればよい。
尚、本実施の形態においては、ベルト基材51として、クロロプレンゴムにEPDMを混練させたもので、混練時にパラフィンオイルを分散させ混練し易くすると共に、硬化時の加硫促進剤を付与したものを用いており、導電性フィラーの添加により体積抵抗率を7〜9LogΩ・cmとしたものを用いている。
ここで、潤滑性フィラーとしては、PTFE、ETFE、PFA等のフッ素化合物の樹脂粉体等が用いられ、必要に応じて界面活性剤を分散させた形で用いられる。
一方、導電性フィラーとしては、例えばカーボンブラックや、ホワイトカーボン、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ケイ素アンチモン、酸化アルミニウム等の粉末が挙げられる。
また、絶縁性フィラーとしては、例えば各種顔料やシリカ等が挙げられる。
尚、本実施の形態においては、ポリウレタン樹脂に所定量の導電性フィラー及び5wt%の絶縁性フィラーを添加し、厚さ7〜15μm、体積抵抗値7〜9LogΩ(DC100V印加時)のものを使用している。
本実施の形態における体積抵抗値は、所定の面積を有した2枚の電極板にて試料を挟み込み、DC100Vを1分間通電したときの値とした。
ここで、裏面被覆層53の膜厚の下限値を3μmとしたのは、これより薄いと、電気的な効果(ベルト基材51の抵抗むらの影響を低減する抵抗被覆層としての作用効果)が期待できず、一方、膜厚の上限を15μmとしたのは、これより厚くすると、中間転写ベルト20が張架ロール21〜24に張架され、そのまま放置されると巻き癖が残る点と、特に低温低湿時にはイオン導電的な挙動を示すため、一定以上厚くなると抵抗の環境変動が大きくなってしまう点が懸念されることによる。
そして、表面被覆層52及び裏面被覆層53は、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコート等により、ベルト基材51上に塗布するようにすればよい。
更に、本実施の形態においては、裏面被覆層53の表面粗さが平滑な場合は、張架ロール21〜24等の対向部材と中間転写ベルト20が密着してしまい、ブリード等の発生原因にもなることが懸念されるため、裏面被覆層53の表面粗さRzは1.5μm以上あることが好ましい。
この表面粗さの調整については、必要に応じて研磨工程(研磨用マンドレルに中間転写ベルト20を被せて当該ベルト表面を研磨)にて裏面被覆層53の表面を研磨するようにすればよい。尚、表面被覆層52の表面粗さを調整する必要があるときは、同様に行うことで可能となる。
図3において、画像形成装置が作像動作を開始すると、感光体ドラム10上の各色成分トナー像が順次形成され、一次転写ロール25の転写電界により中間転写ベルト20上に順次一次転写される。
しかる後、この中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は二次転写ロール30の転写電界により記録材40に二次転写され、定着工程へと運ばれる。
本実施の形態では、表面被覆層52のポリウレタンベースの樹脂を裏面被覆層53にも適応させているので、裏面への一次転写ロール25等との摺擦部位での粉塵等の堆積が抑制されるため、これらの影響による裏面被覆層53の抵抗変化が抑制されるようになる。更に、本実施の形態では、この裏面被覆層53の体積抵抗値をベルト基材51や表面被覆層52より高く設定したので、ベルト基材51中に抵抗むらが存在した状態でも、一次転写ロール25からの転写電流の偏流を抑えることができる。
尚、体積抵抗値の大小関係は、体積抵抗率の大小関係と同様の関係になることから、体積抵抗値が高ければ体積抵抗率が高いことになる。
そして、本実施の形態では、一次転写ロール25の抵抗が低抵抗領域となっているため、環境変動に対する抵抗変化は極小さく、更に、中間転写ベルト20の裏面被覆層53の抵抗を高く設定しているため、一次転写ロール25の抵抗変化の影響は一層軽減される。
また、本実施の形態では、ベルト基材51及び表面被覆層52の抵抗が中抵抗領域に設定されているが、感光体ドラム10と中間転写ベルト20とがオーバーラップする構成でニップ域を広くとっているため、中間転写ベルト20上に転写される多重トナー像間で、トナー相互の機械的密着力が向上し、ブラーが抑制されている。
更に、中間転写ベルト20の裏面に裏面被覆層53を設けることで、ベルト基材51が外気に直接触れることもなく、画像形成装置内で発生するオゾン等の影響も軽減できる。
本実施例は、上述した実施の形態と同様の構成にて、中間転写ベルトの裏面被覆層の膜厚と、中間転写ベルトの変形及び転写状況について評価確認したものである。
裏面被覆層を2〜17μmの範囲で試料を作製し、ベルトの変形については、高温高湿環境下で中間転写ベルトを張架したまま放置し、その後中間転写ベルトを緩めて変形を目視確認した。
尚、このとき使用した中間転写ベルトの基材は、体積抵抗率の代わりに体積抵抗値で測定し7LogΩ、表面被覆層の体積抵抗値は8LogΩ、一次転写ロールの体積抵抗率は4LogΩ・cmとした。
結果は、図4に示すように、ベルト変形は17μmのみで観察され、それ以外の膜厚では観察されなかった。また、転写状況は、膜厚が2μm及び17μmのときに転写不良を起こしたが、それ以外では転写は問題なかった。
したがって、3〜15μmについては、ベルトの変形及び転写状況共に問題ないことが確認された。
本実施例は、実施の形態と同様の構成にて、中間転写ベルトの裏面被覆層の体積抵抗値(実施の形態と同様に、体積抵抗値で評価)と、転写状況との関係を評価確認したものである。
裏面被覆層の膜厚を5μm、体積抵抗値として8〜10LogΩの条件で行った。
尚、このとき使用した中間転写ベルトの基材の体積抵抗値は7LogΩ、表面被覆層の体積抵抗値は9LogΩ、一次転写ロールの体積抵抗率は4LogΩ・cmとした。
結果は、図5に示すように、8LogΩでは転写性が悪く、9LogΩではやや悪い、10LogΩでは問題ない結果となった。
したがって、裏面抵抗が9LogΩ以上であれば、実使用上問題ないことが確認された。
Claims (6)
- 表面にトナー像を担持する搬送ベルトであって、
導電性フィラーにて体積抵抗率が調整された弾性材からなるベルト基材と、
ベルト基材の表面に被覆形成される導電性フィラーにて体積抵抗率が調整された表面被覆層と、
ベルト基材裏面に被覆形成される導電性フィラーを含まない裏面被覆層とを備え、
この裏面被覆層の体積抵抗率をベルト基材の体積抵抗率及び表面被覆層の体積抵抗率より大きく設定することを特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
表面被覆層及び裏面被覆層は、少なくともポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂のいずれかをバインダとした樹脂層で構成されることを特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
ベルト基材は、ヤング率8MPa以下の弾性材で構成されることを特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
裏面被覆層は、3μm以上15μm以下の層で構成されることを特徴とする搬送ベルト。 - トナー像を形成担持する像担持体と、
この像担持体に対向する搬送ベルトと、
像担持体上に形成されたトナー像を搬送ベルトに転写する転写装置とを備えた画像形成装置において、
搬送ベルトとして請求項1乃至4記載の搬送ベルトを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5記載の画像形成装置のうち、転写装置が搬送ベルトに接触する態様において、
転写装置は、少なくとも表面層が体積抵抗率106Ω・cm以下の層で構成されている導電性転写部材で構成されることを特徴とする画像形成装置。
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