JP3951101B2 - 搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置で用いられる搬送ベルトに係り、特に、トナー像の転写性能を維持するなどの要請から、所定の抵抗特性を具備する搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からカラー化の普及に伴い、中間転写方式を使用した複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する出願がされている。例えば特開昭63−301960号公報所載の直接転写方式の画像形成装置と比較すると、中間転写ベルト自体に何の変更もせずに、封筒、はがき、ラベル紙や、厚紙までも大きさに関わらず転写できる利点を有している。
【0003】
このような中間転写ベルトにおいて、このような利点を生かすためには中間転写ベルトと感光ドラムとのニップ域、及び、二次転写時での中間転写ベルトと転写ローラとのニップ域の圧力を十分にかつ密着性を上げることが必要である。
そのためには、中間転写ベルト自体を柔軟なゴム材料などで形成することが考えられるが、このような方法としては、例えば特開平11−352787号公報に示されるように、弾性ベルト基材の抵抗を調整するために導電性フィラーを分散させている。ここでいう導電性フィラーとしては、具体的には、銅粉末、アルミニューム粉末、カーボンブラック、炭素繊維の微粉末などである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、弾性ベルト基材を上記導電性粉末などで分散させたまま、使用すると、弾性ベルト基材の伸長率の違いによって、体積抵抗が変化(主に上昇)してしまう、弾性材料特有の問題を抱えている。
この問題は、弾性ベルトを中間転写ベルトとして用いる場合、体積抵抗を調整するための導電性粒子は、ベルト基材中の分散密度で体積抵抗が変化するため、図8に示すように、弾性ベルト500自体が張架されずにフリーの状態の場合でのベルト基材501中の導電性粒子502の分散密度と、弾性ベルト500が張架されて弾性ベルト500が伸長した場合のベルト基材501中での導電性粒子502の分散密度とは変化してしまう。基本的には、弾性ベルト500が張架された場合、導電性粒子502の分散密度は見かけ上低下するため、1桁〜2桁程度、ベルト基材501の体積抵抗は上昇してしまう。
【0005】
このような弾性ベルトの場合、張架ロール等に張架して使用されるため、弾性ベルト自体が伸長せずに使用される事は実質的に不可能である。よって、前述した問題は必ず起こり得る。
そして、このような弾性ベルトを中間転写ベルトとして使用した態様にあっては、中間転写ベルトの体積抵抗が上昇してしまうと、中間転写ベルトからの転写条件などの最適条件が変化してしまうため、用紙等の記録材への適性なトナー像の転写を行うことが困難になる。
【0006】
一方、このように弾性ベルトを張架した際において、弾性ベルトの伸長を抑制する方法としては、例えば表面に弾性層を構成し、その弾性層における強度を補うために、その弾性層の下層に高剛性のフィルムや、高モジュラスの樹脂材料を補強材として、積層させる方法が既に知られている(例えば特開平11−77845号公報)。
この方法では、図9(a)に示すように、弾性層521に、ウレタン等の樹脂やニトリルゴムなどを使用し、その下層に塗装膜522を設け、その塗装膜522が乾燥しない間に、この表面に補強フィルム523を圧着させて、補強フィルム523の一部が塗装膜522に埋め込まれる事で、補強フィルム523との密着性を稼いでいる。ここで、補強フィルム523材料としては、ナイロン、ポリビニールなどの表面を接着処理したものが使用されている。
【0007】
このような構成にすることで、弾性層521での機械的強度を補強フィルム523で補う事が可能になるが、前述したように、積層させた際の工数にかかる製造コストがアップすることは免れない。
更に、積層構造の場合、いずれの場合も、度重なる屈曲による応力集中により、積層界面の接着剥がれが発生してくる可能性が高いなどの問題を抱えている。
単層構造で製造できれば問題がないが、単層での高モジュラス材料になると、ポリイミド材料などしかなく、この場合、原材料が通常のウレタン系材料に比べ、10倍以上してしまうため、コストアップとなってしまう。また、ポリイミド材料などは非常に硬いために、表面に弾性を持たせる場合などは別途、弾性部材を積層しなければならない。
【0008】
また、ポリイミド材料ではなく、原材料費の安価なポリカーボネート材を使用すれば安くなるが、ポリイミド材料同様に、表面に弾性層を持たせたい場合は、別途弾性部材が必要になるためコストアップにつながってしまう。
更に、ポリカーボネートなどは、一般的に製造コストの安い、連続押し出し成形法を利用するため、表面性のディフェクトが発生し易く、成形後の後処理などにコストがかかってしまう。
【0009】
一方、弾性部材を用いて強度をもたせる方法としては、例えば図9(b)に示すように、弾性層531の内部に補強用繊維材532を入れ、中間転写ベルトとして、色ずれなどが起きないように補強した技術が提案されている(例えば特開平10−240020号公報)。
この場合、弾性層531としては一般的なイソプレンゴムやシリコーンゴムなどが用いられており、補強用繊維材532には、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維などが使用されている。
【0010】
しかしながら、上記のような構成にした場合、繊維の直径は0.02〜0.5mmと記載されているが、あまり細いと機械的な補強効果が得られにくい。また、太い場合には弾性層自体の厚さを薄くすることができなくなり、設計の自由度が狭くなってしまう。
また、繊維状シートを使用するために、成膜する時の工数が発生するため、単一の弾性層を成膜させる場合に比べて明らかに、コストアップは避けられない。
更に、この繊維の隣り合う繊維間の間隔は、あまり狭くすると弾性部材の溶液が繊維の上部で止まってしまい、繊維材がそのまま絶縁層になってしまう懸念があるため、補強する繊維材の形態も限定されてしまうなどの潜在的な問題を有している。
また、このような先行技術では、記載されている機械的強度が、最高で、100%モジュラスで150kgf/cm2、引っ張り破断強度が200kgf/cm2であるが、弾性ベルトの伸長を抑制するには不十分である。
【0011】
このように、基本的には、どの先行技術も積層構造を用いる事で、各層での機能を分離させているため、単層で成形するベルトに比べ、コストアップは避けられないのが現状である。
また、下層を高モジュラスにした場合、ベルトのウォーク制御などが必要になり、駆動制御の面でも、弾性部材を単一で使用する場合に比べコストが高くなる事は避けられない。
【0012】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、ベルトの伸長を容認し、ベルトの伸長に伴うベルトの抵抗変化を抑制できるようにした搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、図1(a)に示すように、画像形成装置などで用いられる搬送ベルト1であって、ベルト基材2中に抵抗を調整するための添加物3を分散させた搬送ベルト1であって、該添加物3が、導電性を有する粒子状フィラー3bと、ベルト基材2の伸長率の変化に応じて圧縮変形することで抵抗が低下する方向に変化する導電性を有する中空の長繊維型フィラー3aとを混在しており、その分散比率が長繊維型フィラーをA、粒子状フィラーをBとした場合に、A<Bの関係を満たす事を特徴とするものである。
【0014】
このような技術的手段において、搬送ベルト1には、中間転写ベルトに限らず、用紙搬送ベルトなど広く含む。
また、添加物3は、ベルト基材2中の抵抗を調整するためのものであればよいが、少なくとも、添加物3は、ベルト基材2の伸長率の変化に応じて抵抗が変化する要素を含んでいればよい。
このように、搬送ベルト1、具体的にはベルト基材2が伸長する事によって、ベルト基材2中に分散された添加物3の抵抗が変化するように構成する事で、ベルト基材2の伸長によって変化する体積抵抗に対してある程度の制御因子とすることが可能になる。
通常、搬送ベルト1が伸長する事により、体積抵抗は、導電性粒子の分散密度が低下するため、高くなる方向しか変化しない。
このため、本件に適応させる添加物3は、搬送ベルト1が伸長する事により、その抵抗が低下する方向の添加物3を分散させるようにすればよい。
このような添加物3を分散させる事により、搬送ベルト1が伸長した際の体積抵抗の上昇分を添加物3の抵抗低下により、抑制するのである。
【0015】
この添加物3が搬送ベルト1の伸長に応じて抵抗を変化させるには、図1(a)(b)に示すように、添加物3は、中空フィラー3aであって、ベルト基材2の伸長率の変化に応じて、中空フィラー3aが圧縮変形する事で抵抗が変化するようにしたものであればよい。
このように、分散させる添加物3を圧縮変形な中空フィラー3aにする事により、搬送ベルト1の伸長に伴い、搬送ベルト1の厚みが低下する。この低下に伴い、分散中の中空フィラー3aも圧縮変形する(図1(b)参照)。
このとき、中空フィラー3aが圧縮変形すると、中空フィラー3aの抵抗がベルト基材2中で低下する。
【0016】
この抵抗変化は、中空フィラー3a自身が、カーボンなどの導電粉を含んでいるために、ベルト基材2中において、中空の状態では、搬送ベルト1の厚み方向での分散密度が圧縮した場合に比べ低いため、体積抵抗が圧縮した場合に比べ高くなる。また、圧縮した場合は、空隙のない分、導電パスが多くなり、搬送ベルト1全体の体積抵抗が結果として低くなると考えられる。
【0017】
また、中空フィラー3aの代表的態様としては、長繊維型が挙げられる。
これは、搬送ベルト1が張架されると、横方向へ伸長するため、球形の粒子状フィラーでは、伸長した際にフィラー間の距離も伸びてしまう。
その点、長繊維型フィラー(中空フィラー3a)の場合は、ベルト基材2が横方向へ伸長しても、フィラー間の距離が粒子状フィラーの場合に比べて小さい。よって、搬送ベルト1が伸長した際の体積抵抗の上昇が抑制し易くなる。
【0018】
しかしながら、搬送ベルト1に長繊維型フィラーだけで抵抗調整すると以下の様な不具合が生じる。
一つには、長繊維型フィラーを多く入れすぎると成形の際に表面に突出したりして、表面の平滑性に悪影響を与える。
また、ベルト基材2中の含有量が多すぎると、長繊維型フィラー自体はベルト基材2と接着する事により、補強効果が顕著に発揮されてしまうため、搬送ベルト1として弾性ベルトを使用する場合には、モジュラスが上昇してしまい、本来の弾性ベルトの利点が失われてしまう。
【0019】
よって、このような場合には、図1(a)に示すように、添加物3は長繊維型フィラー3aと粒子状フィラー3bとが混在しており、その分散比率が長繊維型フィラー3aをA、粒子状フィラー3bをBとした場合に、A<Bの関係を満たすようにすればよい。
このように、ベルト基材2中のフィラー量として、抵抗調整用の粒子状フィラー3bを多くし、長繊維型フィラー3aとしてはあくまで搬送ベルト1が伸長した際の抵抗上昇の抑制フィラーとしてのみ働くように必要最低限に分散させるようにすれば、長繊維型フィラー3aが多いことに伴う二次障害(搬送ベルト1表面にその一部が突出したり、搬送ベルト1の剛性が上昇してしまうなど)を有効に防止することができる。
【0020】
また、本発明の搬送ベルト1としては、任意の素材からなるベルト基材2を用いて差し支えないが、搬送ベルト1として好ましい態様としては、ベルト基材2を弾性材料で構成するのがよい。
このように、弾性材料のみを使用する事により、製造コストを従来の樹脂ベルトなどの積層タイプに比べ極端に安く抑える事が可能になる。
基本的に樹脂材料(例えばポリイミド)などは、原料その物が一般的な弾性部材(例えばクロロプレンモノマー)に比べ極端に高い。また、積層などのコストアップや、搬送ベルト1の裏面が樹脂などの硬い素材の場合は、搬送ベルト1のウォーク制御などのリブなどが新たに必要になるが、本態様にあっては、このような手段は不要である。
【0021】
また、添加物3として、粒子状フィラー3bを含んでいる態様にあっては、粒子状フィラー3bはカーボンブラック又は導電性金属酸化物である。
エラストマーなどは、特に体積抵抗が一般的に下がりにくいものが多いため、これらの導電性粒子をベルト基材2の混練の際に混入させる事により、ベルト基材2中での分散性と抵抗制御性が向上する。
【0022】
また、添加物3として長繊維型フィラー(中空フィラー)3aを含んでいる態様にあっては、中空の長繊維型フィラー3aはJIS−A 硬度で、45度以下のエラストマーであればよい。
これは、搬送ベルト1として弾性ベルトが張架された際に、微小な張力により、長繊維型フィラー(中空フィラー)3aが少しづつ変形しその体積抵抗値が変化しなければならないことを考慮したものである。
例えばJIS−A 硬度で、45度を超える大きさの硬さでは、搬送ベルト1としての弾性ベルトは張架による圧縮変形が起きずに、体積抵抗が上昇してしまうことが確認されている。
【0023】
また、搬送ベルト1は、ベルト基材2の表面にフッ素系樹脂からなる保護層4を備えていてもよい。
このような構成にする事で、表面の摩擦抵抗の低減、電気特性の環境安定性、残留トナークリーニング性の向上が達成できる。特に、ゴムベルトの場合、モノマーの主鎖中に二重結合を有している物が多く、酸化などが起き易いが、保護層4で有効に保護される。
【0024】
更に、ベルト基材2上に保護層4を有する搬送ベルト1にあっては、ベルト基材2の抵抗よりも保護層4の抵抗が高くなるように調整されることが好ましい。
このような抵抗調整をする事により、例えば搬送ベルト1を中間転写ベルトとして使用する態様では、表面には転写電界がきちんと形成され、かつ、像担持体からの電荷の注入を防ぐことが可能である。
一方、ベルト基材2の抵抗が低い事により、電荷をリークさせ、転写電荷の履歴を消去するのに有効となる。
【0025】
また、上述したように、保護層4については抵抗調整することが必要であるが、その調整は、例えばカーボンブラック及び導電性金属酸化物を含有させるようにすればよい。
この態様によれば、表面の摩擦抵抗の低減、電気特性の環境安定性、残留トナークリーニング性の向上が達成でき、これらの目的を達成できる物であれば、特に限定されるものではない。
【0026】
更に、搬送ベルト1としては、各種製法で製作されるものを含むが、代表的には、シリンダ状の支持体中の内周面に該添加物を含んだベルト基材2を投入した後に、押出成形してエンドレスベルト状に成形したものが挙げられる。
また、ベルト基材2上に保護層4を設ける態様にあっては、添加物3を含んだベルト基材2を成形した後に、ベルト基材2の表面に保護層4を形成するようにすればよい。
ここで、保護層4の形成には、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコート等がある。
【0027】
本発明は搬送ベルト1を対象とするものであるが、これに限られるものではなく、これを用いた画像形成装置をも対象とする。
この場合、本発明は、例えば図1に示すように、像担持体5上に形成されたトナー像を中間転写ベルト6を介して記録材7に転写する画像形成装置において、上述した各種搬送ベルト1を中間転写ベルト6として使用することを特徴とするものである。
尚、図1において、符号8は像担持体5上のトナー像を中間転写ベルト6に一次転写する一次転写装置、9は中間転写ベルト6上のトナー像を記録材7に二次転写する二次転写装置である。
また、本態様では、搬送ベルト1は中間転写ベルト6として利用されるが、これに限られるものではなく、記録材搬送ベルトとして利用するようにしてもよいことは勿論である。
【0028】
また、図1(a)に示す画像形成装置において、像担持体5及び中間転写ベルト6のいずれか一方を駆動源とし、他方を従動回転させるようにする態様が好ましい。
本態様によれば、このような駆動構成にすることで、一方の駆動機構を省略することができ、その分、駆動コストを抑制できるほか、中間転写ベルト6と像担持体5との駆動干渉からくる、中間転写ベルト6の厚み変動や、プロセス方向の送り変動などの変動要因を除外することができる。
【0029】
更に、図1(a)に示す画像形成装置において、中間転写ベルト6は複数の張架ロールに張架され、ドラム状の像担持体5の形状に沿って接触配置されている態様が好ましい。
本態様によれば、中間転写ベルト6を出来るだけ像担持体5の形状に沿わせる事で、転写の際のニップ域前後での無駄な空隙による放電をなくし、トナー像の飛び散りを防止することができる。
また、樹脂系の硬いベルトでは、像担持体1に対する押圧が高くなりすぎ、トナー像の中抜けなどが発生してしまうので、本態様では、弾性材料などを用いることで、低い接触圧で像担持体5との密着性を上げなければならないのである。
更に、両者の接触面積を拡大することに伴って、前述した従動回転方式を採用し易くなり、その分、両者の駆動干渉に伴う像乱れを有効に防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図2は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、画像形成装置は、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10からトナー像を転写させるために前記感光体ドラム10に一定領域にて感光体ドラム10形状に沿うように接触する中間転写ベルト20とを有する。
本実施の形態において、感光体ドラム10は光の照射によって抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電装置11と、帯電された感光体ドラム10上に各色成分(本例ではブラック、イエロ、マゼンタ、シアン)の静電潜像を書込む露光装置12と、感光体ドラム10上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化するロータリ型現像装置13と、前記中間転写ベルト20と、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するクリーニング装置17とが配設されている。
【0031】
ここで、帯電装置11としては、例えば帯電ロールが用いられるが、コロトロンなどの帯電器を用いてもよい。
また、露光装置12は感光体ドラム10上に光によって像を書き込めるものであればよく、本例では、例えばLEDを用いたプリントヘッドが用いられるが、これに限られるものではなく、ELを用いたプリントヘッドでも、レーザビームをポリゴンミラーでスキャンするスキャナなど適宜選定して差し支えない。
更に、ロータリ型現像装置13は各色成分トナーが収容された現像器13a〜13dを回転可能に搭載したものであり、例えば感光体ドラム10上で露光によって電位が低下した部分に各色成分トナーを付着させるものであれば適宜選定して差し支えなく、使用するトナーも形状、粒径など特に制限はなく、感光体ドラム10上の静電潜像上に正確に載るものであればよい。尚、本例では、ロータリ型現像装置13が用いられているが、4台の現像装置を用いるようにしてもよい。
更にまた、クリーニング装置17については、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を採用したもの等適宜選定して差し支えない。但し、転写率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング装置17を使用しない態様もあり得る。
【0032】
また、中間転写ベルト20は、図2に示すように、4つの張架ロール21〜24に掛け渡されるものであって、ロータリ型現像装置13とクリーニング装置17との間に位置する感光体ドラム10面に沿う形で所定の接触領域だけ密着配置されている。
ここで、この中間転写ベルト20と感光体ドラム10とは夫々別駆動系で駆動されていてもよいが、本実施の形態では、中間転写ベルト20が後述するように弾性ベルトであり、しかも、感光体ドラム10の周面に沿って接触配置されていることから、中間転写ベルト20は、例えば感光体ドラム10を駆動源として、従動回転するようになっている。
【0033】
そして、中間転写ベルト20が感光体ドラム10に密着した接触領域の一部には中間転写ベルト20の裏側から一次転写装置としての一次転写ロール25が接触配置されており、所定の一次転写バイアスが印加されている。
更に、中間転写ベルト20の張架ロール22に対向した部位には、二次転写装置としての二次転写ロール30が張架ロール22をバックアップロールとして対向配置されており、例えば二次転写ロール30に所定の二次転写バイアスが印加され、バックアップロールを兼用する張架ロール22が接地されている。
更にまた、中間転写ベルト20の張架ロール23に対向した部位には、ベルトクリーニング装置としてのクリーニングロール26が配設されており、このクリーニングロール26には所定のクリーニングバイアスが印加され、張架ロール23が接地されている。
また、用紙などの記録材40は、供給トレイ41に収容されており、ピックアップロール42にて供給された後、レジストロール43を経て二次転写部位に導かれ、搬送ベルト44を通じて定着装置45へ搬送されるようになっている。
【0034】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト20は、図3に示すように、弾性を有するベルト基材51と、このベルト基材51の表面を被覆する保護層52とを備えている。
ここで、本実施の形態で用いられるベルト基材51としては、例えばクロロプレン(CR)とEPDMとをブレンドした材料が用いられている。
ベルト基材51の製法については任意の製法を用いて差し支えないが、例えば以下のように製造される。
すなわち、ベルト基材51を製造する工程は、先ず、クロロプレンゴムにEPDMを混練させ、抵抗調整に、粒子状フィラー511と弾性中空フィラー512とを混入させてミキサーで混練させ、加硫剤を加えて押し出し成形を行う。
【0035】
ここで、粒子状フィラー511としては導電剤が用いられるが、導電剤としては、カーボンブラックを始め、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ、グラファイト、LiClO4、LiAsF6などの金属塩、各種4級アンモニューム塩などが挙げられる。
また、弾性中空フィラー512としては、例えば長繊維型フィラーが用いられる。
この長繊維型フィラーの基材は例えばシリコーンを使用するが、一般的の可塑剤を含む架橋ゴム材料に対する密着性が高いものとして、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。更に、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴムなどの、ジエン系合成ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴムフッソゴム、エピクロロヒドリンゴムなどの、非ジエン系合成ゴムなどでもよい。
更に、本実施の形態では、両フィラーの分散比率としては、粒子状フィラー511の方が弾性中空フィラー512よりも多く設定される。
例えば長繊維型フィラーの大きさは外径0.7μm、長さ20μmで、添加量は15wt%であるのに対し、ベルト基材51の抵抗調整用の導電剤としての粒子状フィラー(例えばカーボンブラック)511は50wt%である如くである。
【0036】
また、弾性中空フィラー512の製造方法について説明する。
一般的には粒子状の中空フィラーは市販化されており、シリカや硝子粒子のバルーンフィラーがそれだが、製造方法もそれと似ている。
基本的には、予め中空のコアを成型しておき、この型に混練した基材を挿入して中で発泡させ、その表層のみを取り出す事により、微小な弾性中空フィラー512が成形される。
ここで、弾性中空フィラー512自身の長さは型の形状で決まるが、長い状態で成形し、順次所望の長さに切断する事で得られる。
尚、ベルト基材51に導電性を付与するために、中空フィラー成形前に、例えばカーボン粒子を所定量(例えば5重量部)混入させ、成形することが行われる。
この方法以外にも、加熱可能な型内に基材を挿入し、外部より型を加熱する事により、基材を熱膨張させ、その膨張力で型の内面に基材を押し付けるとともに、その基材を硬化させて、中空成型フィラーを得るものなどがある。
【0037】
上記混練したベルト基材、すなわち、予備成形後のベルト基材を押出成形する場合には、加硫マンドレルといわれる金属製のベルト内径と同サイズの外径を持つシリンダに混練したベルト基材を覆い被せた状態で所定条件(例えば150℃で約1時間)にて加硫させ、しかる後に、必要とするモジュラスに応じて時間を変更しながら所定条件(例えば110℃で15時間)にて二次加硫を行う。
その後、研磨用マンドレルにベルト基材を被せてベルト基材の内周面と外周面とを研磨し、表面の平滑性を得るようにする。
【0038】
このようにしてベルト基材51を作成した後、ベルト基材51の表面に保護層52が形成される。
この保護層52の材料は、摩擦抵抗低減、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性の向上という目的を達成できるものであれば、特に限定されるものではないが、一般的に、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、又は、フッソ系樹脂ポリマーをアルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、などに溶解、分散した塗料を使用する事ができる。
これらの保護層52はディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより塗布する事が可能で、膜厚は5μm〜20μm程度が適当である。あまり厚く塗布してしまうと、下層の弾性力が阻害されて、転写の際に、トナー像との密着性が低下してしまう。
具体例を述べると、保護層52を形成するためのオーバーコート剤としては、例えばウレタン系の樹脂マスターバッチをベースにPTFE樹脂を添加し、カーボンブラックで抵抗調整を行うものが用いられる。そして、塗装はスプレーガンによる塗装方式で、ベルト基材が冷えたマンドレルに被せられ、約200rpm程度回転させながら、スプレーガンにて所定厚さ(例えば10μm)に吹き付けらる。この後、オーバーコート剤の乾燥は所定条件(150℃で約5min)にてオーブンで行う。
【0039】
この中間転写ベルト20の抵抗について説明する。
基本的にベルト基材51の部分は105〜1011Ω、最表層の保護層52は1010〜1014Ωになるように調整し、高電圧印加時の絶縁耐圧を確保するために全体で、体積抵抗が108〜1012Ω程度になるように膜厚調整をするのが好ましい。
【0040】
次に、本実施の形態モデルに係る画像形成装置を用いて、本実施の形態に係る画像形成装置の性能を評価する。
ここで、本実施の形態モデルは以下の通りである。
図2において、感光体ドラム10はOPC感光体を使用し、現像装置13には非磁性一成分方式の現像方式が使用されている。
潜像電位は−100V、背景部電位は−350V、現像ロールはRa0.1〜5.0μm程度の凹凸を設け、アルミニウムなどを切削加工したもので、他に表面に導電粉を分散させた樹脂層を形成したものでもよい。今回はφ10のアルミニウムを切削加工の後に、サンドブラスト処理をし、表面に陽極酸化処理を施したものを使用した。帯電方法はコロナ放電による非接触帯電である。
【0041】
現像ロール上のトナー層形成方法はシリコーンゴムで、硬度がJIS−Aで、50〜60度程度のものを、ドクター方式で現像ロールに圧接させたものを使用し、その圧力は15〜20g/cm2程度に設定した状態に設定した。
次に、使用するトナーはスチレン樹脂、アクリル樹脂若しくはポリエステル樹脂などの各種熱可塑性樹脂中に顔料や含金属アゾ染料系などの極性制御材を分散し粉砕、分級により5〜8μm(平均粒径 7μm)の大きさにしたものを使用した。
具体的には、富士ゼロックス社製、A COLOR 935用のマゼンタ、シアン、イエロ、ブラックトナーを使用した。
【0042】
次に、一次転写ロール25は、φ15の半導電性スポンジ材からなる体積抵抗率が108Ω・cm程度のものを使用した。
また、定着装置45は定着ロールと加圧ロールとを圧接したものであり、定着ロールはφ40のSUS材で、厚さ0.5mmのものを使用し、熱源には定格電力が550Wのタングステンランプを使用した。
一方、定着時の圧力ロールはφ30のアルミニウムの円筒に肉厚が約50μm程度のゴムの弾性層を付けたものを使用した。
【0043】
更に、今回使用した中間転写ベルト20は以下の通りである。
まず、使用したベルト基材51は、クロロプレンゴムにEPDMを混練させ、抵抗調整に、ケッチェンブラック(粒子状フィラー)と中空シリコーンゴムフィラー(弾性中空フィラー)とを混入させ、バンバリーミキサーで混練させ、加硫剤を加えて押し出し成形を行った。
弾性中空フィラーは、軸径2μm、軸長20μmであった。
上記混練した基材を約150℃で1時間、金属製のマンドレルに覆い被せた状態で加硫させ、さらに、110℃で15時間調質が行われる。その後、研磨を両面に対して、同様に研磨用マンドレルで研磨し表面の平滑性を得た。その後、PTFE樹脂を混入させた、オーバーコート剤をスプレーガンにて厚さ10μmになるように、マンドレルを回転させながら塗布し、オーブンにて150℃で約5min程度乾燥させて、表面粗さで、Rz2.0μm〜8.0μmを得た。
【0044】
また、今回使用した保護層52の材料は、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)を含有したウレタン変性エマルション塗料と硬化剤であるシランカップリング剤で構成されたJLY−841 B(日本アチソン社製)塗料を静電塗装法により塗装し、膜厚5μmの導電性保護層を形成した。ちなみに、電気抵抗はDC500V印加時に、基材込みで1011.5Ωであった。
また、中間転写ベルト20が回転するプロセススピードは、105mm/sec(A4横:20ppm相当)にて実施した。
【0045】
このように成形された中間転写ベルト20で、張架ロール上にセットして5kgのテンションをかけた状態で、ベルト基材自体の硬度は、JIS−A硬度で約70度であった。ちなみに、この硬度測定は、島津製作所製ダイナミック超微小硬度計(DUH 201)を用い、三角錘圧子、変位フルスケール10μm、試験荷重0.25kgf、負荷速度0.0145gf/secで、保持時間5secの条件で測定した。
表面抵抗は、1011Ω/□で、体積抵抗は107.7Ωであった。
この状態のまま、回転させつづけても、図5に示すように、弾性中空フィラーのない態様(比較の形態A,B)に比べて明らかに、本実施の形態モデルの体積抵抗の上昇は認められなかった。
【0046】
この要因は以下のように推測される。
すなわち、中間転写ベルト20が伸長すると、図3に示すように、弾性中空フィラー512が圧縮変形することになるが、弾性中空フィラー512が圧縮変形した際の抵抗変化を図4に示す。
通常の状態から、弾性中空フィラー512が圧縮変形した場合に、その抵抗がベルト基材51中で約0.5桁〜最大で2桁程度低下することが理解される。
一方、中間転写ベルト20が伸長すると、これに伴って、ベルト基材51中の粒子状フィラーの距離が離間する分、ベルト基材51の体積抵抗が上昇しようとする。
ところが、弾性中空フィラー512はベルト基材51が伸長した際に圧縮変形して抵抗が低下するため、中間転写ベルト20が伸長した際の体積抵抗の上昇分は前記弾性中空フィラー512の抵抗低下により、抑制されることになり、中間転写ベルト20の体積抵抗の上昇は防止されるのである。
特に、弾性中空フィラー512として、長繊維型フィラーを用いると、粒状のものより圧縮変形した際でのベルト基材51内部の導電パスが多くなるため、ベルト基材51の酸化などによる劣化が原因での抵抗上昇に対しても、上昇をある程度抑制する効果が認められた。
【0047】
また、本実施の形態モデルにおいては、感光体ドラム10上に各色成分トナー像が順次形成され、一次転写ロール25の転写電界により中間転写ベルト20上に順次一次転写される。
しかる後、この中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は二次転写ロール30の転写電界により記録材40に二次転写され、定着工程へと運ばれる。
今回、本実施の形態モデルでは、感光体ドラム10の駆動により、中間転写ベルト20を従動回転させるようにしたため、中間転写ベルト20の駆動制御コストを大幅に削減できた。
また、一次転写での中間転写ベルト20の感光体ドラム10への接触幅が例えば50mm以上と非常に広く設定されるため、中間転写ベルト20に対し安定した従動が実現でき、しかも、無駄な転写ニップ前後での空隙がないため、放電によるトナーの飛び散りがない状態で一次転写される。
【0048】
その後、中間転写ベルト20に残留した未転写トナーはベルトクリーニング装置であるクリーニングロール26により静電的に回収され、再度像形成工程へと中間転写ベルトが運ばれていく。
尚、クリーニングされた中間転写ベルト20に残留電荷が残っている場合には、必要に応じて除電機構を設ける場合もある。但し、本実施の形態モデルの弾性中空フィラー自身の抵抗を下げたり、公知のカーボンブラックなどの分散量の調整で、ベルト基材51の体積抵抗をある程度低く調整すれば、除電機構を新たに設ける必要が無い事が実験的に確認されている。
【0049】
以上により、本実施の形態モデルによれば、原材料の安い弾性部材を使用し、一度の成形工程で、弾性部材の伸長に伴って抵抗変化する弾性中空フィラーが分散するベルト基材を作成するようにしたので、中間転写ベルト20を張架した際の伸長に伴って体積抵抗が上昇する事態を有効に抑制することができ、中間転写ベルト20の抵抗特性を安定させることができる。
更に、本形態モデルによれば、感光体ドラム10の駆動により、中間転写ベルト20を従動回転させるようにしたため、中間転写ベルト20の駆動制御コストを大幅に削減でき、また、中間転写ベルト20が幅広く感光体ドラム10の周面に沿うように接触しているため、トナー像の乱れや、飛び散りなどがない高画質が得られた。
【0050】
尚、本実施の形態においては、感光体ドラム10と中間転写ベルト20とはオーバーラップした状態で接触配置されており、しかも、中間転写ベルト20が感光体ドラム10からの駆動力に基づいて従動回転するようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば図6に示す変形形態のように、感光体ドラム10、中間転写ベルト20が別々の駆動系を持ち、しかも、感光体ドラム10に対して中間転写ベルト20を線接触させるようにした態様(実施の形態1と同様な構成要素については同様な符号を付す)にも本件発明を適用できることは勿論である。
【0051】
【実施例】
◎実施例1
本実施の形態に係る中間転写ベルトを使用し、中間転写ベルトの抵抗変化とプリント性能を把握するために下記の様な構成で実験を行った。基本的なプロセス全体の構成は図2と略同様の構成がとられており、中間転写ベルト自体の構成も図3と同様の構成がとられたものを使用している。
上記のような構成で作成された中間転写ベルトをテンション5kg(片側張架時)で張架し、中間転写ベルトを上記プロセススピードで回転させても、体積抵抗の上昇はなく、中間転写ベルトが広範囲にわたり感光体ドラムへ接触しているため、トナーの飛び散りや中抜けのない高品位な画像が得られた。
【0052】
◎実施例2
上記の基本構成は変えずに、中間転写ベルト20の弾性中空フィラーの基材をシリコーンからウレタンゴムに変更し、弾性中空フィラーの軸径を5μm、軸長を12μmに変更した。このように変更した事で、中間転写ベルト20が微小に伸長した際でも、弾性中空フィラーの軸径が広くなっているため、抵抗上昇抑制作用は働かなくなる。このように、中間転写ベルト20を使用する張架条件の違いに対して抵抗制御が可能になる。
更に、中間転写ベルト20の回転するプロセス速度を実施例1の約2倍にアップさせたが、7kgf以上の張架でも、体積抵抗が上昇せず、安定してトナー像の飛び散りのない高品位な画像が得られた。
この時使用した記録材(用紙)は富士ゼロックス社製R紙を使用した。
【0053】
◎実施例3
実施例1の構成のまま、中間転写ベルト20と感光体ドラム10との接触する長さを、二倍の60mmに変更し、一次転写での一次転写ロールの押圧を200gf/cm2で行った。
このような構成にすることにより、感光体ドラム10の駆動による中間転写ベルト20の従動性がより安定し、弾性層によるトナー像への押圧力も低下する事から、一次転写時でのトナー像の中抜けや、飛び散りがない高品位な画像が安定して得られた。
【0054】
◎実施例4
実施例1の構成のまま、中間転写ベルト20のベルト基材をクロロプレンモノマーからウレタンゴムに変更し、中間転写ベルト20自体のヤング率を、30Mpaから50Mpaに変更した。
この条件では、中間転写ベルト20自体の張架による伸長率の変化は縮小し、弾性中空フィラーの量も少なく5重量部のみで済んだため、製造時にかかる、表面性の確保が容易であった。同様に環境変動を含めても、クロロプレンよりも張架力が安定しており、安定して高品位のカラー画像が得られた。
【0055】
◎実施例5
実施例3の構成のまま、中間転写ベルト20の表層に、フッソ系樹脂ポリマーであるPVdFをディップコートして厚さ約10μmの保護層52を得た。
このようにトナーに対して離型しやすい材料を表面に構成することで、中間転写ベルト20の転写残トナーを回収しやすくなり、安定して高品位のカラー画像を得る事ができた。
【0056】
◎比較例1
実施例1と同様な構成のまま、中空フィラーとして軸径2μm、軸長20μmのナイロン繊維を使用した。
この条件では、中間転写ベルトの伸長に伴う中空フィラーの圧縮変形がナイロン繊維自体が硬いために、全く変化せず、体積抵抗は伸長した分だけ上昇してしまった。
【0057】
◎比較例2
実施例1と同様な構成で、長繊維型フィラーの代わりに、粒子状の弾性中空フィラーを用いた中空径は2μmである。材質はシリコンを使用した。この条件では、初期的なベルトの伸長で0.5%程度のときの体積抵抗の上昇は抑制されたが、それ以上伸長した場合はその効果はなく、体積抵抗は約1桁程度上昇してしまった。
【0058】
◎比較例3
実施例1と同様な構成で、感光体ドラム10の駆動で従動させる中間転写ベルト20の接触幅を84φの感光体ドラム10を使用した場合で、30mmから5mmに変更した。この状態では、感光体ドラム10の駆動のみでの中間転写ベルト20の従動は不安定で、感光体ドラム10と中間転写ベルト20とがスリップしてしまい、トナー像が乱れてしまった。
また、転写ニップ前後での感光体ドラム10との空隙での放電で、トナーの飛び散りが発生してしまい、高品位な画像を得る事はできなかった。
【0059】
◎比較例4
実施例1と同様な構成で、弾性中空フィラーの分散量を抵抗調整するためのカーボン粒子よりも多く分散させて、約50wt%入れた。カーボン粒子は20wt%であった。この条件では、中空の長繊維型フィラーが中間転写ベルト20表面に研磨の際に突出してしまい、表面性を確保することが困難であった。
また、長繊維型フィラーによるベルト基材51の補強効果が強すぎ、ベルト基材51にクラックが入ってしまった。
【0060】
ここで、実施例1〜5及び比較例1〜4における性能評価(体積抵抗変動、転写効率、従動性/ブラー)を図7に示す。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る搬送ベルトによれば、ベルト基材中の抵抗調整のための添加剤を工夫し、添加剤の抵抗をベルト基材の伸長率の変化に応じて変化させるようにしたので、搬送ベルトの伸長を容認しながら、搬送ベルトの伸長に伴う搬送ベルトの抵抗変化を抑制することが可能になり、搬送ベルトの伸長に伴う抵抗変化を有効に防止でき、もって、搬送ベルトの抵抗特性を安定させることができる。
特に、本発明にあっては、添加剤として、導電性を有する粒子状フィラーと、ベルト基材の伸長率の変化に応じて圧縮変形することで抵抗が低下する方向に変化する導電性を有する中空の長繊維型フィラーとを混在させ、その分散比率が長繊維型フィラーをA、粒子状フィラーをBとした場合に、A<Bの関係を満たすようにしたので、粒子状フィラーに加えて中空の長繊維型フィラーを含む場合には、ベルト基材が横方向へ伸長しても、フィラー間の距離が粒子状フィラーの場合に比べて小さい分、搬送ベルトが伸長した際の体積抵抗の上昇を抑制することができるばかりか、ベルト基材中のフィラー量として、抵抗調整用の粒子状フィラーを多くし、長繊維型フィラーとしてはあくまで搬送ベルトが伸長した際の抵抗上昇の抑制フィラーとして働くように必要最小限に分散させることが可能になり、長繊維型フィラーが多いことに伴う二次障害(搬送ベルト表面にその一部が突出したり、搬送ベルトの剛性が上昇してしまうなど)を有効に防止することができる。
このため、このような搬送ベルトを画像形成装置の中間転写ベルトとして利用するようにすれば、中間転写ベルトの伸長に伴う抵抗変化を効果的に抑制でき、もって、像担持体から中間転写ベルトへの転写性能を常時良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明に係る搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置の概要を示す説明図、(b)はベルト基材中の添加物の態様を示す説明図である。
【図2】 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
【図3】 本実施の形態に係る中間転写ベルトの構成を示す説明図である。
【図4】 本実施の形態に係る中間転写ベルトのベルト伸長率と中空フィラーの体積抵抗値変化との関係を示すグラフ図である。
【図5】 本実施の形態に係る中間転写ベルトのベルト伸長率と体積抵抗値変化との関係を示す説明図である。
【図6】 本実施の形態に係る画像形成装置の変形形態を示す説明図である。
【図7】 実施例1〜5及び比較例1〜4についての体積抵抗変化、転写効率、従動性/ブラーの評価結果を示す説明図である。
【図8】 従来における中間転写ベルトの一例を示す説明図である。
【図9】 (a)(b)は従来における中間転写ベルトの夫々別異の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…搬送ベルト,2…ベルト基材,3…添加物,3a…中空フィラー(長繊維型フィラー),3b…粒子状フィラー,4…保護層,5…像担持体,6…中間転写ベルト,7…記録材,8…一次転写装置,9…二次転写装置
Claims (12)
- ベルト基材中に抵抗を調整するための添加物を分散させた搬送ベルトであって、
該添加物は、導電性を有する粒子状フィラーと、ベルト基材の伸長率の変化に応じて圧縮変形することで抵抗が低下する方向に変化する導電性を有する中空の長繊維型フィラーとを混在しており、その分散比率が長繊維型フィラーをA、粒子状フィラーをBとした場合に、A<Bの関係を満たす事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
ベルト基材が弾性材料である事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
粒子状フィラーはカーボンブラック又は導電性金属酸化物である事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
中空の長繊維型フィラーは、JIS−A硬度で45度以下のエラストマーからなる事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
ベルト基材の表面にフッ素系樹脂からなる保護層を設けた事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項5記載の搬送ベルトにおいて、
ベルト基材の抵抗よりも表面の保護層の抵抗が、高くなるように、抵抗調整されている事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項5記載の搬送ベルトにおいて、
保護層中にはカーボンブラック又は導電性金属酸化物を含有する事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項1記載の搬送ベルトにおいて、
シリンダ状の支持体中の内周面に該添加物を含んだベルト基材を投入した後に、押出成形してエンドレスベルト状に成形したものである事を特徴とする搬送ベルト。 - 請求項5記載の搬送ベルトにおいて、
添加物を含んだベルト基材を成形した後に、ベルト基材の表面に保護層を形成するようにしたものである事を特徴とする搬送ベルト。 - 像担持体上に形成されたトナー像を中間転写ベルトを介して記録材に転写する画像形成装置において、
請求項1ないし9いずれかに記載の搬送ベルトを中間転写ベルトとして使用する事を特徴とする画像形成装置。 - 請求項10記載の画像形成装置において、
像担持体及び中間転写ベルトのいずれか一方を駆動源とし、他方を従動回転させるようにした事を特徴とする画像形成装置。 - 請求項10記載の画像形成装置において、
中間転写ベルトは複数の張架ロールに張架され、ドラム状の像担持体の形状に沿って接触配置されている事を特徴とする画像形成装置。
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