JP2000181243A - 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置

Info

Publication number
JP2000181243A
JP2000181243A JP10354344A JP35434498A JP2000181243A JP 2000181243 A JP2000181243 A JP 2000181243A JP 10354344 A JP10354344 A JP 10354344A JP 35434498 A JP35434498 A JP 35434498A JP 2000181243 A JP2000181243 A JP 2000181243A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
charge
image forming
outermost layer
roll
related component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10354344A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3852231B2 (ja
Inventor
Eiji Funabashi
栄二 船橋
Haruyuki Nanba
治之 難波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP35434498A priority Critical patent/JP3852231B2/ja
Publication of JP2000181243A publication Critical patent/JP2000181243A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3852231B2 publication Critical patent/JP3852231B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrophotography Configuration And Component (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成装置における電荷関与部材として要
求される表面平滑性、離型性及び電気抵抗値の各特性を
簡易な構成で容易に得ることができ、しかも、使用環境
による電気抵抗値の変動がきわめて少ない(電気抵抗値
の環境安定性に優れた)、画像形成装置の電荷関与部材
等を提供する。 【解決手段】 画像形成装置における電荷が関与する二
次転写ロール1等の構成部品であって、フルオロオレフ
ィンビニルエーテル樹脂に、シリコーン系モノマーとア
クリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマー又は
フッ素系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型
グラフトポリマーの少なくとも一方を分散してなる最外
層13を有する構成とした。また、その最外層13の上
記樹脂にさらに複合金属酸化物、あるいは複合金属酸化
物とカーボンを分散させる構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式を利
用した複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置に係
り、特に、その画像形成装置において電荷が関与する転
写ロール、中間転写体等の電荷関与部品とそれを用いた
画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を利用した画像形成装置で
は、基本的に、一様に帯電された感光体の表面に画像情
報に基づく光像を照射して静電潜像を形成した後、その
静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、続
いて、そのトナー像を直接又は中間転写体に一時的に転
写した後に記録材(紙、OHPシートなど)へ転写した
後、その転写された未定着のトナー像を記録材に定着し
て永久像とすることにより、所望の画像形成が行われる
ようになっている。
【0003】そして、このような画像形成装置において
は、感光体を帯電させるための帯電ロールや、トナー像
を感光体又は中間転写体から記録材へ転写させるための
転写ロール、トナー像を中間的に担持する中間転写体等
の構成部品が使用されており、かかる各構成部品は、所
定の電圧が印加されるか、或いは、トナー像を静電的作
用により担持できる状態に保たれる等のように、何らか
のかたちで電荷が関与する部品となっている。ここで、
このような構成部品を「電荷関与部品」と称することと
する。
【0004】ところで、このような転写ロールや中間転
写体等の電荷関与部品では、以下に詳述するように「表
面平滑性及び離型性」、「電気抵抗値とその環境安定
性」がそれぞれ要求されている。
【0005】表面平滑性及び離型性について:転写ロ
ール、中間転写体等の電荷関与部品は、その表面にトナ
ーや紙粉等の異物が付着し、かかる異物の存在が上述し
た画像形成プロセス等に悪影響を与えることを防ぐ必要
性から、かかる異物を取り除いてその表面を清掃するた
めのクリーニング装置が配設されている。このクリーニ
ング装置としては、ブレード方式、ファーブラシ方式、
エアーフロー方式等を使用する種々のものが知られてい
るが、その異物を確実に除去することが可能で低コスト
であるという観点から、ブレード方式のクリーニング装
置が多用されている。このブレード方式のクリーニング
装置は、前記した電荷関与部品の表面に、ゴム等からな
るブレード板を当接(摺接)させるように配設し、その
ブレード板先端部によってトナー等の異物を掻きとるよ
うにしたものである。
【0006】しかし、このようなブレード方式のクリー
ニング装置を適用する場合、そのブレード板が例えば回
転駆動するような電荷関与部品の表面に直接当接する関
係上、その電荷関与部品の駆動系にかかる負荷をできる
限り低減したり、そのブレード板や記録材との摺擦によ
る表面磨耗を低減する必要性があり、また、トナー等の
異物が付着しにくいようにしたり、容易に掻きとれるよ
うにする必要性がある。このような必要性から、電荷関
与部品は、その表面が平面平滑性に優れ、また、離型性
に優れたものであることが望まれる。しかも、このよう
な表面の表面平滑性や離型性は、上記ブレード板の構成
(硬さ、厚み)や取り付け条件(取り付け角度、当接
力)や動作状態(先端部の食い込み量)にも様々な影響
を及ぼすものであり、このような観点からしても重要な
特性である。
【0007】一般に、上記表面平滑性については、10
点平均の表面粗さRz(JIS B0601)で表した場合、Rz
≦10.0μm、好ましくはRz≦5.0μmであるこ
とが望ましいとされている。また、上記離型性について
は、温度23℃、湿度55%の環境下における水に対す
る接触角θで表した場合、θ≧90°であることが望ま
しいとされている。
【0008】電気抵抗値とその環境安定性について:
所定の電圧が印加されるような電荷関与部品では、電気
抵抗特性が所望の抵抗値の範囲内にあるとともに環境変
動に対しても安定していることが望ましい。つまり、電
圧印加等により発生させるべき静電的作用が所望通り
に、しかも安定して得られることが求められるのであ
る。
【0009】例えば、転写ロールの場合においては、一
般に、その電気抵抗値R(Ω)が106.0 ≦R≦10
10.0、好ましくは107.0 ≦R≦108.0 の範囲にある
ことが望ましいとされている。電気抵抗値Rは、転写ロ
ールを、その芯金の両端部にそれぞれ500gの荷重を
かけつつ金属板上に押し当てた状態で、1000Vの直
流電圧を印加したときの10秒経後における電流値より
算出したものである。
【0010】また、中間転写体(ベルト又はドラム)の
場合においては、一般に、その表面抵抗率ρs(Ω/
□)が109.0 ≦ρs≦1013.0、好ましくは1011.0
≦ρs≦1012.0の範囲にあることが望ましいとされて
いる。この表面抵抗率ρsが109.0 を下回ると、導電
性が高まるため印加される電荷が除去されてしまい、ト
ナー像を転写すべき静電的な作用が十分に発生しなくな
る。逆に、表面抵抗率ρsが1013.0を超えると、印加
される電荷が蓄積されやすく、除電機構が必要となりコ
ストアップとなる。なお、その体積抵抗率ρv(Ω・c
m)については、上記表面抵抗率ρsに準じて決まるも
のであるが、一般に、107.0 ≦ρv≦1011.0、好ま
しくは109.0 ≦ρv≦1010.0の範囲にあることが望
ましいとされている。
【0011】上記表面抵抗率ρs及び体積抵抗率ρvの
測定は、ハイレスターIP抵抗測定器とHRプローブ
(共に三菱油化製)を用い、印加電圧100V、印加時
間30秒という条件下で測定して得られる表面抵抗実測
値Rsと体積抵抗実測値Rvを下記算出式a)、b)に
代入することにより求めた値である。式b)中のSはH
Rプローブの断面積(cm2 )、Tはその厚み(cm)
を示す。 ρs=Log10(Rs×10) …a) ρv=Log10(S×Rv/t) …b)
【0012】一方、上記電気抵抗値(特に表面抵抗率)
は、高温高湿から低温低湿のいかなる環境下においても
安定していることが望まれている。これは、例えば、そ
の電気抵抗値が高温高湿下では急激に低下し、また低温
低湿下では急激に上昇すると、各環境下で同じ電気抵抗
値にならず、かかる電気抵抗値の変動に応じた印加電圧
の制御が困難となるからである。
【0013】電荷関与部品ではこのような各特性、
が要求されているが、従来においては、例えば、特開平
3−212672号公報に、導電性基材上に半導電性弾
性層と表面層をこの順に形成した転写ロールであって、
その表面層を、離型粒子(PTFE等のフッ素樹脂系粒
子など)と導電性粒子(カーボン、金属酸化物などの1
-1〜104 Ω・cm程度の導電性を示すもの)とを合
成ゴム系結合体(ポリウレタン系ポリマー、アクリル系
ポリマーなど)中に分散して構成してなる電子写真用転
写ロールが示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この提
案の転写ロールの場合には、次のような問題がある。
【0015】まず、第一に、離型粒子は、トナー粒子に
対する離型性を表面層に付与するためのものであるが、
その分散性が悪く、またその分散助剤として界面活性剤
を使用するとブリードの発生が懸念される。しかも、ト
ナー粒子に対する離型性を十分に発揮させるためには、
その離型粒子を比較的多めに配合する必要があり、この
ため、その多めの離型粒子の配合により転写ロールの表
面(表面層)における平面平滑性が悪化するおそれがあ
る。特に、その表面平滑性の悪化は、ブレード方式のク
リーニング装置におけるクリーニング不良となりやすく
なり、その結果として、クリーニングされなかった転写
ロール上のトナー等の異物により転写電界が変動して画
像の品質が低下したり、かかる異物が転写時において記
録材の裏面に付着して汚すいわゆる裏面汚れが発生す
る。
【0016】第二に、導電性粒子は、表面層を半導電性
とするためのものであるが、その抵抗が比較的低いもの
(10-1〜104 Ω・cm程度)であるため、かかる導
電性粒子の添加量に対する電気抵抗値の変化が大きく、
所望の抵抗値を安定して得ることが難しい。
【0017】第三に、表面層における分散の状態を、離
型粒子、導電性粒子及び合成ゴム系結合体を水系溶媒に
乳化重合して得られる水系エマルジョンを乾燥硬化して
形成した場合、その塗工の際に水系エマルジョンからな
る塗料が流れやすく、その流展性が悪いので、平滑な塗
工面を得るのが困難である。また、ポリウレタン系ポリ
マー等の合成ゴム系結合体は吸湿しやすい材料であるた
め、前述したような環境の変化による電気抵抗値の変動
を招きやすい。さらに、ポリウレタン系ポリマー等の合
成ゴム系結合体はそもそも離型性が劣り摩擦係数も大き
いため、ブレード方式のクリーニング装置におけるブレ
ード板先端部がめくれやすくなり、クリーニング不良を
誘発する。
【0018】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、上述したような画
像形成装置における電荷関与部材として要求される表面
平滑性、離型性及び電気抵抗値の各特性を簡易な構成で
容易に得ることができ、しかも、使用環境による電気抵
抗値の変動がきわめて少ない(電気抵抗値の環境安定性
に優れた)、画像形成装置の電荷関与部材とそれを用い
た画像形成装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成し得る
本発明は、画像形成装置における電荷が関与する構成部
品であって、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂
に、シリコーン系モノマーとアクリル系モノマーからな
るクシ型グラフトポリマー又はフッ素系モノマーとアク
リル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマーの少な
くとも一方を分散してなる最外層を有する電荷関与部品
である。
【0020】また、本発明は、上記最外層の樹脂に、さ
らに複合金属酸化物を分散してなる電荷関与部品であ
る。
【0021】さらに、本発明は、上記クシ型ブラフトポ
リマー及び複合金属酸化を分散してなる物最外層の樹脂
に、さらにカーボンを分散してなる電荷関与部品であ
る。
【0022】上記電荷関与部品は、画像形成装置におけ
る電荷が関与する構成部品であれば特に制約されるもの
ではないが、一般に、転写用ロール、中間転写体又は帯
電用ロールの少なくとも1つである。
【0023】そして、本発明は、電荷が関与する構成部
品として、上記した各電荷関与部品のいずれかを使用し
た画像形成装置である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0025】本発明の転写ロール、中間転写体等の電荷
関与部品は、基本的に、フルオロオレフィンビニルエー
テル樹脂に、シリコーン系モノマーとアクリル系モノマ
ーからなるクシ型グラフトポリマー又はフッ素系モノマ
ーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマ
ーの少なくとも一方を分散してなる最外層を有するもの
である。
【0026】ここで、この電荷関与部品の最外層には、
前述したような表面平滑性、離型性、環境安定性が要求
されるほか、耐磨耗性、電荷関与部品と当接する感光体
等の当接部品に対する非汚染性などの特性が要求される
が、これらの特性を満足する材料としてフッ素系樹脂が
ある。このようなフッ素系樹脂としては、PVF(ポリ
フフッ化ビニル)、PVdF(ポリフッ化ビニリデ
ン)、PCTEF(ポリ塩化3フッ化エチレン)、FE
P(ポリ4フッ化エチレン6フッ化プロピレン)、PT
FE(エチレン4フッ化エチレン)、ECTFE(エチ
レン塩化3フッ化エチレン)、PFA(4フッ化エチレ
ンパーフルオロアルイルビニルエーテル)、FETFE
(フルオロオレフィンビニルエーテル)等が挙げられ
る。
【0027】そして、これらのフッ素系樹脂を、基材上
に平滑に形成することができ、また、半導電性材料とす
るために導電性材料を良好に分散させることができると
いう観点からみた場合、そのフッ素系樹脂は容易に塗料
化できるものであることが必要とされる。つまり、塗料
化したフッ素系樹脂を使用すると、スプレーコーティン
グ、浸漬法、スクリーン印刷法等の塗布手段により、き
わめて平滑な表面からなる最外層を基材上に形成するこ
とができ、また、導電性材料を均一に分散させることが
可能となり電気抵抗のばらつきを少なく抑えることがで
きるのである。このような観点から、本発明者らが鋭意
研究したところ、上記フッ素系樹脂のうちで「フルオロ
オレフィンビニルエーテル樹脂」が最も有利であること
が判明した。
【0028】フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂
は、トルエン、キシレン等の汎用溶剤により塗料化する
ことができ、基材への表面平滑な塗工も上述したような
各種の塗布手段により完全に行うことができる。そし
て、前述した表面平滑性、離型性、環境安定性をはじ
め、耐磨耗性、当接部品に対する非汚染性という各特性
の要求も満たし得る。この樹脂を前記各塗布手段により
塗工して最外層を形成するに当たっては、その塗膜の基
材との密着性を向上させるためにプライマーを適宜使用
してもよい。
【0029】また、このフルオロオレフィンビニルエー
テル樹脂としては、離型性、耐磨耗性、環境安定性及び
当接部品に対する非汚染性が特に優れている観点から、
1塩化3フッ化エチレンとビニルエーテルの共重合体を
イソシアネートで架橋して得られるポリマーが望まし
い。このポリマーは、1塩化3フッ化エチレンとビニル
エーテルの共重合比や、イソシアネートの種類及び配合
量を適宜調整することにより、塗膜の柔軟性を増大させ
ることが可能である。このため、駆動時に弾性変形が起
こる状態で使用される転写ロールや中間転写体等の最外
層として用いた場合には、その最外層にクラックが生じ
たり、剥落するという問題が発生することが防止するこ
とができる。
【0030】一方、上記クシ型グラフトポリマーは、ア
クリル系モノマーとシリコーン系重合性モノマー又はフ
ッ素系重合性モノマーとを共重合して得られるグラフト
ポリマーであり、シリコーン系重合体又はフッ素系重合
体からなる主幹の側鎖にアクリル成分からなる重合体が
配置したポリマー構造となっている。この2種のクシ型
ポリマーは、通常、それぞれ単独で使用されるが、併用
してもよい。
【0031】したがって、このクシ型グラフトポリマー
は、前記フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に混合
させた場合、その側鎖のアクリル系成分における官能基
が上記樹脂成分との結合に寄与して相溶性に貢献するた
めきわめて均一な分散が可能となり、しかも、シリコー
ン系重合体又はフッ素系重合体からなる主幹部は表面エ
ネルギーが低く上記樹脂成分と相溶しないため最外層の
表層部にそって配向する。この結果、優れた離型性が容
易に得られる。また、このクシ型グラフトポリマーは、
きわめて少ない添加量(上記樹脂固形分100重量部に
対して0.1〜5.0重量部程度)でもって上述の優れ
た離型性が得られることに加えて、塗膜形成時の凝集を
防止する効果があるので、表面がきわめて均一で平滑な
塗膜(最外層)を形成することが可能である。
【0032】このように上記フルオロオレフィンビニル
エーテル樹脂に上記クシ型グラフトポリマーを分散して
なる基本的な最外層を有する電荷関与部品では、かかる
最外層の存在により、表面平滑性、離型性、環境安定
性、耐磨耗性、当接部品に対する非汚染性に優れたもの
となる。また、この最外層を半導電性とするために上記
樹脂に導電性材料を分散させた場合には、その導電性材
料を上記樹脂に均一良好に分散させることができるた
め、容易に所望の電気抵抗値を有するものとすることが
できる。
【0033】また、本発明の電荷関与部品は、上記の基
本的な最外層の樹脂に、さらに複合金属酸化物を分散し
てなるものである。この複合金属酸化物の添加量は、前
記樹脂の固形分100重量部に対して5〜30重量部程
度である。また、この複合金属酸化物は、複数の金属酸
化物からなるものであればよいが、好ましくは3種以上
の金属酸化物を焼成して得られる固溶体である。すなわ
ち、この好ましい複合金属酸化物は、銅、鉄、マンガ
ン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウ
ム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン、リン等の
異なる金属元素を含んだ酸化物、水酸化物、炭酸塩又は
金属化合物等から選ばれる3種以上のものを高温中(8
00〜1500℃)で焼成して得られる金属酸化物の固
溶体である。そして、この複合金属酸化物は次のような
特徴がある。高温で焼成しているので不純物が少なく安
定した電気抵抗値が得られる。しかも、その粉砕が容易
であるので粒径を均一にすることができ分散性に優れた
ものである。また、耐熱性、耐溶剤性、耐候性に優れた
ものである。しかも、一般の金属酸化物のように導電性
を発現させるためその外周面にアンチモンをドーピング
する必要がないため、安全性にも優れている。
【0034】したがって、このような複合金属酸化物を
分散させて最外層を構成した場合には、その複合金属酸
化物が前記した樹脂に良好に分散するため電気抵抗値が
ほぼ安定した良好な半導電性の層とすることができる。
【0035】また、その複合金属酸化物として3種以上
の金属酸化物を焼成して得られる固溶体からなるものを
使用して最外層を構成した場合には、その添加量に対す
る電気抵抗値の変動がきわめて少ない層とすることがで
きる。しかも、この場合には、前述したように粒径が均
一な複合金属酸化物とすることができため、ゴムや樹脂
に、らには溶媒に溶かした材料に対して容易に均一分散
させることができ、良好な塗料化と良好でかつ確実な最
外層の塗布形成が可能となる。また、かかる複合金属酸
化物は耐熱性、耐溶剤性、耐候性に優れているので、融
点の高い材料に分散したり、高温で長時間加硫する材料
に用いても劣化や変質するおそれがなく、溶剤に溶かし
た材料に分散させても何ら問題がなく、この結果、温度
や湿度等の環境の変化に対しても電気抵抗値をはじめと
する前述の各種物性が影響されず安定したものとなる。
さらに、アンチモンによる処理を行う必要がないので、
最外層が別部品や別部材と摺擦する場合又は廃棄される
場合であっても、安全性が確保される。
【0036】また、この3種以上の金属酸化物を焼成し
て得られる固溶体からなる複合金属酸化物は、原子価の
異なる異種原子を固溶させて互いの格子位置を置換した
り、格子位置付近に不飽和イオンを形成することによ
り、ドナーレベルを形成して伝導体への電子の励起を容
易化し、その電気抵抗値(体積抵抗率)を少なくとも1
5 Ω・m以上、好ましくは107 〜1012Ω・mの半
導電性抵抗領域を実現することが可能である。これによ
り、最外層をより簡便にかつ確実に半導電性の層とする
ことができる。ちなみに、この複合金属酸化物の体積抵
抗率ρ(Ω・m)は、温度22℃、湿度55%の標準環
境下において、JIS K 1469に準拠して電流値Iの測定を
行い下記式c)より粉体の電気抵抗率を求めたものであ
る。式中、Sは試料の断面積(cm2 )、hは試料の充
填高さ(cm)、Vは電位差(V)を示す。なお、各測
定値は、試料に対して50kgf/cm2 の圧力を加え
た状態下で測定したものである。 ρ=S/h×V/I …c)
【0037】さらに、本発明の電荷関与部品は、上記の
基本的な最外層の樹脂に、さらに複合金属酸化物ととも
にカーボンを分散してなるものである。このカーボン
は、前記樹脂に対して複合金属酸化物とともに導電性を
付与して、最外層を半導電性の層とするための補助材料
として使用される。このカーボンを分散させることによ
り、複合金属酸化物の樹脂に対する添加量を少なくし、
最外層の電気抵抗の特性を変化させることなくその硬度
を低く抑えることが可能となる。つまり、最外層の硬度
を低く保つために複合金属酸化物の添加量を少なくした
場合、その添加量の低減による最外層における電気抵抗
特性の変化をカーボンの添加により補完するものであ
る。したがって、このカーボンの添加量は、複合金属酸
化物の添加量を考慮するとともに最外層の電気抵抗値に
応じて適宜選定される。ただし、カーボンの添加量が多
すぎると、最外層の硬度が高くなるため、その点も考慮
する必要がある。
【0038】このカーボンは、その平均粒径が10〜5
00nm程度のものであれば特に制約されるものではな
いが、好ましくは、その揮発分が1.5%以上のもので
ある。この揮発分とは、カーボン粒子の表面に形成され
た酸化被膜の粒子全体に対する重量比率である。この揮
発分が15%未満では、カーボン粒子が導電性の高いも
のであるため、前記樹脂に分散させた際にカーボンの導
電性が支配的となり、複合金属酸化物の前述したような
効果が発揮されにくくなる。また、この揮発分の上限値
は好ましくは25%である。つまり、この揮発分が25
%を超えて、カーボン粒子の導電性が低いものとなりす
ぎると、カーボンを多量に添加する必要があり、この結
果、多量のカーボンの添加により最外層の硬度が高くな
りすぎたり、最外層の表面に凹凸が現れて表面平滑性が
低下してしまうという不具合がある。
【0039】以上のような各最外層を有する本発明の電
荷関与部品は、電子写真方式を利用した複写機、プリン
タ、複合機等の画像形成装置における一次転写又は二次
転写ロール、ベルト状又はドラム状の中間転写体、感光
体等を一様に帯電させる帯電ロール、現像用ロール、除
電用ロール等の構成部品うちの少なくとも1つである。
この場合、最外層は、その各部品ごとにおける基材上に
直接若しくは所定の中間層を介して塗布形成される。ま
た、最外層の厚さは、その各部品ごとに要求される適切
な厚さに適宜設定され任意である。
【0040】また、本発明の画像形成装置は、電子写真
方式を利用した公知の複写機、プリンタ、複合機等であ
って、上述の転写ロール、中間転写体、帯電ロール等の
電荷関与部品を備えたものであり、その電荷関与部品と
して上述の最外層を有するように構成してなる電荷関与
部品を使用したものである。
【0041】
【実施例】次に、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。
【0042】[実施例1]はじめに、フルカラー画像形
成装置に使用する二次転写ロール1として、図1に示す
構造のものを以下の工程により作製した。図中の10は
ロール芯金、11は半導電性の弾性体層、12は被覆
層、13は最外層(表面層)である。
【0043】まず、フルオロオレフィンビニルエーテル
樹脂であるルミフロンLF−600(旭ガラス株式会社
製)とルミフロンLF−601C(旭ガラス株式会社
製)を1:1の割合で混合した後、その混合物をトルエ
ンとキシレンとを同量混合した混合溶媒に固形分で30
重量%溶解させ、このときの樹脂固形分100に対して
下記の材料を配合して分散させた。 フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂: 100重量部 シリコン・アクリル−クシ型グラフトポリマー: 1重量部 複合金属酸化物(CuO,Fe2 3 ,Mn2 3 ):20重量部 この材料を配合した混合物は、サンドミルを用いて8時
間攪拌混合してその複合金属酸化物を十分分散させた
後、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に対して硬
化剤(日本ポリウレタン製:コロネートHL)を25重
量部配合して十分攪拌し、最外層13を形成するための
半導電性塗料を用意した。上記クシ型グラフトポリマー
としては、東亜合成化学製のアロンGS−30を使用し
た。
【0044】これとは別に、EPDM100重量部に対
して、導電性カーボンとプロセスオイル(ゴムに柔軟性
を付与するオイル)、亜鉛華及び分散剤助剤とを混練
し、さらに硫黄、加硫促進剤、発泡剤及び発泡助剤を適
量配合して半導電性ゴムとした後、この半導電性ゴムを
押出機を用いて内径9mm、外径15mmのチューブ形
状に成形し、所定の長さに切断した後、その成形品を電
気炉を用いて180℃で30分間加熱して加硫発泡させ
た。続いて、得られた円筒状の発泡体を320mmの長
さに切断した後、その発泡体の中空内部に直径10m
m、長さ250mmの芯金10を圧入し、その発泡体
(11)表面を研磨して外径を25mmに仕上げた半導
電性発泡ロールを準備した。
【0045】次いで、この半導電性ロールを内壁の直径
が28mmφの円筒状金型にセットし、その発泡ロール
と金型内壁とのすき間に、導電性カーボン、プロセスオ
イル、亜鉛華、硫黄、分散剤助剤及び加硫促進剤を適量
配合して分散させたEPDMの生ゴムを注入した後、1
80℃で30分間加熱加硫して被覆層12を備えた半導
電性発泡ロールを得た。
【0046】次いで、この半導電性発泡ロールの外周面
上に、先に用意した半導電性塗料をエアー圧2kg/c
2 でスプレーコーティングした後、160℃で20分
間硬化させることにより、厚さ30μmの最外層13が
形成された二次転写ロール1(図1)を作製した。
【0047】そして、この作製した二次転写ロール1の
電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θについて測定し
たところ、以下の結果が得られた。この電気抵抗R、表
面粗さRz及び接触角θは、前述した通りのものであ
る。 電気抵抗R=107.5 Ω、表面粗さRz=1.5μm、
接触角θ=95°。 この結果から、得られた二次転写ロール1は、前述した
ように転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗
R、表面粗さRz及び接触角θに関する特性条件をすべ
て同時に満足するものであることが確認された。
【0048】次に、この二次転写ロール1を、図3に示
すフルカラー画像形成装置の二次転写ロール(65)と
して使用し、10,000枚のフルカラー画像形成を連
続して行った。
【0049】ここで、上記フルカラー画像形成装置につ
いて説明すると、この画像形成装置は、基本的に、電子
写真プロセスにより感光ドラム50上にトナー像を形成
した後、そのトナー像を中間転写ベルト60に一次転写
してから所定のタイミングで記録材Pに二次転写し、最
後にトナー像の定着を行うようになっている。
【0050】すなわち、矢印A方向に回転する感光ドラ
ム50の表面が帯電装置を構成する帯電ロール51によ
り一様に帯電された後、その帯電されたドラム表面にレ
ーザー書き込み装置52から第1色目の画像情報に基づ
く露光がなされて第1色目の静電潜像が形成される。次
いで、この静電潜像は、現像装置53の対応する色のト
ナー像を収容する現像器(Y:イエロー,M:マゼン
タ,C:シアン,K:ブラックの色トナーを収容する現
像器Y,M,C,Kのいずれか)により現像されて第1
色目のトナー像が形成される。
【0051】次いで、この第1色目のトナー像は、感光
ドラム50と中間転写ベルト60が当接する一次転写位
置に感光ドラムに回転に伴って移動し、一次転写装置を
構成する一次転写ロール54から転写用電界の作用を受
けることにより中間転写ベルト60に静電的に転写され
る。この際、上記中間転写ベルト60は、複数のロー
ル、即ち駆動ロール61、張架ロール62、バックアッ
プロール(対向ロール)63及びテンションロール64
により張架されて矢印B方向に回転するようになってい
る。また、上記転写用電界は、一次転写ロール54にト
ナーの帯電極性とは逆極性の電圧が図示しない電源装置
から印加されることにより形成される。さらに、転写後
の感光ドラム50の表面は、ブレード方式のドラム用ク
リーナ55により残留トナー等が除去されて清掃され
る。
【0052】これ以降は、上記したプロセスが同様に繰
り返されることにより、フルカラー画像を構成する第2
色目のトナー像、第3色目のトナー像、第4色のトナー
像が感光ドラム50上で順次形成れた後、中間転写ベル
ト60上の第1色目のトナーと重ね合わせられるように
次々と一次転写される。このようにして中間転写ベルト
60上には、第1色目〜第4色目のトナー像からなる多
重トナー像が形成される。
【0053】続いて、中間転写ベルト60上の多重トナ
ー像は、バックアップロール63と対向するような状態
で中間転写ベルト60を介して配設される二次転写装置
を構成する二次転写ロール65が位置する二次転写位置
にベルトの回転に伴って移動する。一方、この多重トナ
ー像の移動に同期するようにして、記録材Pが、その収
容トレイ70からピックアップロール71により送り出
されるとともにレジストロール72により二次転写ロー
ル65と中間転写ベルト60の間に送り込まれる。これ
により、中間転写ベルト60上の多重トナー像は、バッ
クアップロール63から転写用電界の作用を受けること
により記録材Pに静電的に転写される。この際、上記転
写用電界は、バックアップロール63にトナーの帯電極
性と同極性の電圧が図示しない電源装置から給電ロール
66を介して印加されることにより形成される。また、
転写後の中間転写ベルト60の表面は、ブレード方式の
ベルト用クリーナ67により残留トナー等が除去されて
清掃される。さらに、転写後の二次転写ロール65の表
面は、ブレード方式のロール用クリーナ68により付着
トナーや紙粉等の異物が除去されて清掃される。
【0054】なお、二次転写ロール65(ロール用クリ
ーナ68を含む)及びベルト用クリーナ67は、リトラ
クト機構等により変位し中間転写ベルト60に対して接
離可能に配設されており、例えば、二次転写開始直前か
ら次の一次転写が開始される前までの間だけ中間転写ベ
ルト60に当接するように設定されている。また、ロー
ル用クリーナ68のブレード68aは、ポリウレタン、
シリコーン等の合成ゴムにて形成されたものであり、二
次転写ロール65に常時当接されている。
【0055】最後に、多重トナー像が転写された記録材
Pは、二次転写位置からロール方式の定着装置80に送
り込まれ、その定着装置70による加熱加圧作用を受け
ることにより、多重トナー像が記録材P上に定着されて
永久像となる。図3中の一点鎖線は記録材Pの搬送経路
を示す。以上のようにして、記録材P上にフルカラー画
像が形成されるようになっている。
【0056】このような画像形成装置の二次転写ロール
65として前述の二次転写ロール1を取り付けて、1
0,000枚分のフルカラー画像形成を行ったところ、
かかる画像形成後における二次転写ロール1(特にその
最外層13)には何の異常(例えば、最外層14にクラ
ックが発生したり、その最外層14が削れて欠損するこ
となど)も認められなかった。また、ロール用クリーナ
68のクリーニング不良はまったく発生せず、しかも、
その画像形成後における二次転写ロール1の表面にトナ
ーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。さら
に、高温高湿(28℃、85%)の環境下と低温低湿
(10℃、15%)の環境下でフルカラー画像形成を行
ったところ、いずれの環境下で得られた画像も、その画
質に差異は認められなかった。
【0057】[実施例2]実施例1で作製した半導電性
塗料に配合したシリコン・アクリル−クシ型グラフトポ
リマーをフッ素・アクリル−クシ型グラフトポリマー
(東亜合成化学製:アロンGF−300)へ変更した以
外は実施例1と同様にして二次転写ロール1(図1)を
作製した。
【0058】そして、この二次転写ロール1の電気抵抗
R、表面粗さRz及び接触角θについて実施例1と同様
に測定したところ、以下の結果が得られた。 電気抵抗R=107.8 Ω、表面粗さRz=1.8μm、
接触角θ=93°。 この結果から、この二次転写ロール1も、前述したよう
な転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗R、表
面粗さRz及び接触角θに関する特性条件をすべて同時
に満足するものであることが確認された。
【0059】次に、この二次転写ロール1を、実施例1
と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転
写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカ
ラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成
後における二次転写ロール1(特にその最外層13)に
は何の異常も認められなかった。また、ロール用クリー
ナ68のクリーニング不良はまったく発生せず、しか
も、その画像形成後における二次転写ロール1の表面に
トナーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。
さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿
の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、いずれ
の環境下で得られた画像も、その画質に差異は認められ
なかった。
【0060】[実施例3]実施例1で作製した半導電性
塗料に配合した複合金属酸化物の配合量を10重量部に
変更するとともに、その塗料にさらに導電性カーボン
(揮発分5.0%、平均粒径50nm)を3重量部配合
した以外は実施例1と同様にして二次転写ロール1(図
1)を作製した。
【0061】そして、この二次転写ロール1の電気抵抗
R、表面粗さRz及び接触角θについて実施例1と同様
に測定したところ、以下の結果が得られた。 電気抵抗R=107.5 Ω、表面粗さRz=1.5μm、
接触角θ=95°。 この結果から、得られた二次転写ロール1は、前述した
ように転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗
R、表面粗さRz及び接触角θに関する特性条件をすべ
て同時に満足するものであることが確認された。また、
この実施例3では、二次転写ロール1の表面の硬度(ア
スカーC硬度計による測定値)を測定したところ、実施
例1、2の二次転写ロールではその硬度が「35°」で
あったのに対し、その硬度が「28°」に低減している
ことが確認された。これは、この実施例では(カーボン
を配合して)複合金属酸化物の配合量を実施例1、2に
比べて減らしたことにより、ロール表面の柔軟性が増し
たことを示している。
【0062】次に、この二次転写ロール1を、実施例1
と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転
写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカ
ラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成
後における二次転写ロール1(特にその最外層13)に
は何の異常も認められなかった。また、ロール用クリー
ナ68のクリーニング不良はまったく発生せず、しか
も、その画像形成後における二次転写ロール1の表面に
トナーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。
さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿
の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、いずれ
の環境下で得られた画像も、その画質に差異は認められ
なかった。
【0063】[実施例4]この実施例では、フルカラー
画像形成装置に使用する中間転写ベルト2として、図2
に示す構造のものを以下の工程により作製した。図中の
20はベルト基材、21は最外層(表面層)である。
【0064】まず、耐熱皮膜用ポリイミドワニス(宇部
興産株式会社:Uワニス−S)100重量部に導電性カ
ーボンを12重量部配合し、ミキサーにより両者を十分
に攪拌した。次いで、この原液を円筒の成形金型に30
℃で均一に流し込んだ後、130℃に加熱しつつ遠心成
形し、そのベルト成形品を半硬化した状態で金型内から
取り出し、その脱型したベルト成形品を鉄芯に被せて4
50℃で30分間加熱して厚さ80mmのシームレスベ
ルト基材20を得た。
【0065】次いで、このベルト基材20の外周面に、
実施例1で作製した半導電性塗料を実施例1と同様のス
プレーコーティングした後に加熱硬化させることによ
り、厚さ30mmの最外層21が形成された中間転写ベ
ルト2(図2)を作製した。
【0066】そして、作製した中間転写ベルト2の表面
抵抗率ρs(Ω/□)、体積抵抗率ρv(Ω・cm)、
表面粗さRz及び接触角θについて測定したところ、以
下の結果が得られた。表面抵抗率ρs及び体積抵抗率ρ
vは、前述した測定機器と測定方法により得られたもの
であり、具体的には標準環境(22℃、55%)下で1
00Vの直流電圧を10秒間印加したときの測定値を前
記算出式a),b)より求めた。 表面抵抗率ρs=6×1011Ω/□、体積抵抗率ρv=
5×109 Ω・cm、表面粗さRz=1.2μm、接触
角θ=96°。 この結果から、得られた中間転写ベルト2は、前述した
ように中間転写体として一般的に要求される表面抵抗率
ρs、体積抵抗率ρv、表面粗さRz及び接触角θに関
する特性条件をすべて同時に満足するものであることが
確認された。
【0067】次に、この中間転写ベルト2を、実施例1
と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の中間転
写ベルト(60)として使用し10,000枚のフルカ
ラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成
後における中間転写ベルト2(特にその最外層21)に
は何の異常も認められなかった。また、ベルト用クリー
ナ67のクリーニング不良はまったく発生せず、しか
も、その画像形成後における中間転写ベルト2の表面に
トナーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。
さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿
の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、いずれ
の環境下で得られた画像も、その画質に差異は認められ
なかった。
【0068】[比較例1]実施例1で作製した半導電性
塗料においてシリコン・アクリル−クシ型グラフトポリ
マーを配合しないように変更した以外は実施例1と同様
にして二次転写ロール1(図1)を作製した。
【0069】そして、作製した比較例1に係る二次転写
ロール1の表面抵抗率ρs(Ω/□)、体積抵抗率ρv
(Ω・cm)、表面粗さRz及び接触角θについて測定
したところ、以下の結果が得られた。 電気抵抗R=107.7 Ω、表面粗さRz=12.0μ
m、接触角θ=75° この結果から、比較例2の二次転写ロール1は、前述し
たような転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗
Rの特性条件を満足するものの、表面粗さRz及び接触
角θについてはその要求される特性条件(Rz≦10.
0μm、θ≧90°)を満足できないものであることが
確認された。つまり、そのロール1の表面平滑性及び離
型性は不十分なものであった。
【0070】次に、この二次転写ロール1を、実施例1
と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転
写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカ
ラー画像形成を連続して行ったところ、その二次転写ロ
ール1とベルトクリーナ67のブレード板67aとの摺
擦力(二次転写ロール1の回転駆動トルク)が実施例1
の場合に比べて3割程高くなり、また、1,000枚の
フルカラー画像形成後にロール用クリーナ68のクリー
ニング不良による記録材Pの裏面汚れが発生し始めたこ
とが確認された。さらに、実施例1と同様の高温高湿の
環境下と低温低湿の環境下でフルカラー画像形成を行っ
たところ、特に高温高湿の環境下で得られた画像の画質
が悪いことが確認された。
【0071】[比較例2]実施例4で作製したシームレ
スベルト基材20に、実施例1における半導電性塗料に
おいてシリコン・アクリル−クシ型グラフトポリマーを
配合しないで作製した塗料をコーティングした以外は実
施例4と同様にして二次転写ベルト2(図2)を作製し
た。
【0072】そして、作製した比較例2に係る中間転写
ベルト2の表面抵抗率ρs(Ω/□)、体積抵抗率ρv
(Ω・cm)、表面粗さRz及び接触角θについて実施
例1と同様に測定したところ、以下の結果が得られた。 表面抵抗率ρs=8×1011Ω/□、体積抵抗率ρv=
7×109 Ω・cm、表面粗さRz=10.4μm、接
触角θ=79°。 この結果から、比較例2に係る中間転写ベルト2は、前
述したような中間転写体として一般的に要求される表面
抵抗率ρs及び体積抵抗率ρvの特性条件を満足するも
のの、表面粗さRz及び接触角θについてはその要求さ
れる特性条件を満足できないものであることが確認され
た。つまり、そのベルト2の表面平滑性及び離型性は不
十分なものであった。
【0073】次に、この中間転写ベルト2を、実施例4
と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転
写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカ
ラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成
の初期段階からハーフトーンの画像部分の均一性(いわ
ゆる粒状性)が悪くなり、また、3,000枚のフルカ
ラー画像形成後にベルト用クリーナ67のクリーニング
不良による記録材Pの裏面汚れが発生し始めたことが確
認された。さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下
と低温低湿の環境下でフルカラー画像形成を行ったとこ
ろ、比較例1と同じように特に高温高湿の環境下での画
像の画質が悪いことが確認された。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電荷関与
部品によれば、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂
に前記したクシ型グラフトポリマーを分散してなる最外
層を具有させたことにより、従来例のように離型粒子の
分散不良による離型性の低下や離型粒子の多量の添加に
よる表面平滑性の低下が発生することなく、前述した画
像形成装置における電荷関与部材として要求される表面
平滑性及び離型性の各特性条件をいずれも容易に満足す
るものとなり、この結果、電荷関与部品の表面(最外
層)に付着するトナーや紙粉等の異物を容易に取り除く
ことができ、クリーニングしやすいものとなる。また、
回転駆動するような電荷関与部品のクリーニング装置と
してブレード方式のものを何ら支障(前述のクリーニン
グ不良、駆動系の負荷増加、摺擦による表面磨耗など)
なく使用することができる。
【0075】また、上記最外層の樹脂にさらに複合金属
酸化物を分散させた場合には、前述した画像形成装置に
おける電荷関与部材として要求される電気抵抗値の特性
条件を容易に満足するものとなり、また、その複合金属
酸化物の添加量に対する電気抵抗値の変動や環境変化に
対する電気抵抗値の変動も十分に抑制され、環境安定に
優れたものとなる。
【0076】さらに、上記最外層の樹脂にさらに複合金
属酸化物に加えてカーボンをも分散させた場合には、そ
の最外層の硬度を増大させることなく、その電気抵抗値
を適切に調整して上記特性条件を容易に満足するものと
なる。しかも、使用環境による電気抵抗値の変動がきわ
めて少ない(電気抵抗値の環境安定性に優れた)
【0077】そして、これらの電荷関与部品を画像形成
装置の転写ロールや中間転写体等の電荷関与部品として
使用した場合には、クリーニング不良による記録材の裏
面汚れが発生することがなく、しかも、環境変化に対し
ても画質がほぼ安定した良好な画像形成を行うことが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1等に係る二次転写ロールの層構成を
示す概略断面図である。
【図2】 実施例4等に係る中間転写ベルトの層構成を
示す概略断面図である。
【図3】 実施例1等に係るカラー画像形成装置を示す
概要図である。
【符号の説明】
1…二次転写ロール(電荷関与部品)、2…中間転写ベ
ルト(電荷関与部品)、13、21…最外層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83/10 C08L 83/10 C09K 3/16 101 C09K 3/16 101Z 101B G03G 15/02 101 G03G 15/02 101 Fターム(参考) 2H003 BB11 BB16 CC05 2H032 AA05 BA09 BA13 BA23 4J002 BD121 BN202 CP172 DA017 DM006 GH02 GP00 HA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像形成装置における電荷が関与する構
    成部品であって、 フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に、シリコーン
    系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフ
    トポリマー又はフッ素系モノマーとアクリル系モノマー
    からなるクシ型グラフトポリマーの少なくとも一方を分
    散してなる最外層を有することを特徴とする電荷関与部
    品。
  2. 【請求項2】 前記フルオロオレフィンビニルエーテル
    樹脂が、1塩化3フッ化エチレンとビニルエーテルの共
    重合体をイソシアネートで架橋して得られるポリマーで
    ある請求項1記載の電荷関与部品。
  3. 【請求項3】 前記最外層の樹脂に、さらに複合金属酸
    化物を分散してなる請求項1記載の電荷関与部品。
  4. 【請求項4】 前記複合金属酸化物が、3種以上の金属
    酸化物を焼成して得られる固溶体である請求項3に記載
    の電荷関与部品。
  5. 【請求項5】 前記最外層の樹脂に、さらにカーボンを
    分散してなる請求項3記載の電荷関与部品。
  6. 【請求項6】 前記カーボンが、揮発分1、5%以上の
    カーボンである請求項5に記載の電荷関与部品。
  7. 【請求項7】 電荷関与部品が、転写用ロール、中間転
    写体又は帯電用ロールの少なくとも1つである請求項1
    〜6のいずれかに記載の電荷関与部品。
  8. 【請求項8】 電荷が関与する構成部品として、請求項
    1〜6のいずれかに記載の電荷関与部品が使用されてい
    ることを特徴とする画像形成装置。
JP35434498A 1998-12-14 1998-12-14 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置 Expired - Fee Related JP3852231B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35434498A JP3852231B2 (ja) 1998-12-14 1998-12-14 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35434498A JP3852231B2 (ja) 1998-12-14 1998-12-14 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000181243A true JP2000181243A (ja) 2000-06-30
JP3852231B2 JP3852231B2 (ja) 2006-11-29

Family

ID=18436928

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35434498A Expired - Fee Related JP3852231B2 (ja) 1998-12-14 1998-12-14 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3852231B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002123098A (ja) * 2000-08-10 2002-04-26 Ricoh Co Ltd 耐熱転写ベルト及びこれを装着した画像形成装置
EP1624347A2 (en) 2004-08-05 2006-02-08 Canon Kabushiki Kaisha Charging member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
KR100570162B1 (ko) * 2000-12-18 2006-04-12 후지제롯쿠스 가부시끼가이샤 전사 장치, 이를 사용한 화상 형성 장치 및 전사 부재의제조 방법
JP4902810B1 (ja) * 2010-10-04 2012-03-21 キヤノン株式会社 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
US9983505B2 (en) 2014-11-05 2018-05-29 Ricoh Company, Ltd. Developing roller, process cartridge, image forming apparatus and image forming method

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002123098A (ja) * 2000-08-10 2002-04-26 Ricoh Co Ltd 耐熱転写ベルト及びこれを装着した画像形成装置
KR100570162B1 (ko) * 2000-12-18 2006-04-12 후지제롯쿠스 가부시끼가이샤 전사 장치, 이를 사용한 화상 형성 장치 및 전사 부재의제조 방법
EP1624347A2 (en) 2004-08-05 2006-02-08 Canon Kabushiki Kaisha Charging member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
EP1624347A3 (en) * 2004-08-05 2008-01-30 Canon Kabushiki Kaisha Charging member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
JP4902810B1 (ja) * 2010-10-04 2012-03-21 キヤノン株式会社 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
WO2012046862A1 (ja) * 2010-10-04 2012-04-12 キヤノン株式会社 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2012118510A (ja) * 2010-10-04 2012-06-21 Canon Inc 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
US8383234B2 (en) 2010-10-04 2013-02-26 Canon Kabushiki Kaisha Charging member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
CN103154828A (zh) * 2010-10-04 2013-06-12 佳能株式会社 充电构件、处理盒和电子照相设备
US9983505B2 (en) 2014-11-05 2018-05-29 Ricoh Company, Ltd. Developing roller, process cartridge, image forming apparatus and image forming method

Also Published As

Publication number Publication date
JP3852231B2 (ja) 2006-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2485094B1 (en) Intermediate transfer belt, image forming apparatus, and method for producing intermediate transfer belt
EP2390729B1 (en) Intermediate transfer belt, electrophotographic apparatus and method for producing the belt
JP5725409B2 (ja) 中間転写ベルト及び画像形成装置
JP5140920B2 (ja) 画像形成装置
JP2008129481A (ja) 画像形成用半導電性部材、並びに画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
US9507296B2 (en) Intermediate transferer and image forming apparatus using the same
US20130334014A1 (en) Image forming appratus
JP2020020959A (ja) 電子写真用部材、電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置
JP4656297B2 (ja) 導電性ベルトおよび導電性ベルトの製造方法
JP6451295B2 (ja) 導電性弾性ベルト、導電性弾性ベルトユニット、画像形成装置
JP3852231B2 (ja) 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置
JP2000330390A (ja) 画像形成装置
JP2005025052A (ja) 半導電性ベルト、その製造方法、並びに、これを用いた中間転写ベルト及び画像形成装置
JP2004053918A (ja) 中間転写装置
JP4139196B2 (ja) 中間転写体及び画像形成装置
JP3315933B2 (ja) 導電性シームレスベルト
JP3951101B2 (ja) 搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置
JP5071017B2 (ja) 現像装置、現像方法及び画像形成装置
JP2006267240A (ja) 搬送ベルト及びこれを用いた画像形成装置
JP5982792B2 (ja) 画像形成装置用ベルト及びそれを用いた電子写真装置
JP3750568B2 (ja) 中間転写部材
JP3855906B2 (ja) 電子写真機器用半導電性ベルト
JP6432831B2 (ja) 中間転写装置及びこれを用いる画像形成装置
JPH10186875A (ja) 画像形成装置
JP2000147918A (ja) 中間転写体及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060516

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060815

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060828

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100915

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110915

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120915

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120915

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130915

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees