JP2002123098A - 耐熱転写ベルト及びこれを装着した画像形成装置 - Google Patents

耐熱転写ベルト及びこれを装着した画像形成装置

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JP2002123098A JP2001152437A JP2001152437A JP2002123098A JP 2002123098 A JP2002123098 A JP 2002123098A JP 2001152437 A JP2001152437 A JP 2001152437A JP 2001152437 A JP2001152437 A JP 2001152437A JP 2002123098 A JP2002123098 A JP 2002123098A
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Tokumasa Somiya
徳昌 宗宮
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中間転写ベルト上に用紙を重ねたままで定着
できる耐熱転写ベルトを提供する。 【解決手段】 表裏両面にトナー像が転写された用紙を
ベルト10上に重ねたまま定着ローラ18,19により
定着する。ベルト10は基体と表層から成る2層構造
で、ベルト全体としての体積抵抗が10〜1012Ω
・cmである。また、ベルト基体はポリイミド系の耐熱
性樹脂フィルムで厚みが50μm以上で200μm以
下。ベルト表層はPFA又はPTFE等のテフロン(登
録商標)系コート層で、表層の表面抵抗は10〜10
12Ω/cmである。ベルト表層の厚みは20μm以
下で且つ表面粗さ(Rz)が10以下である。ベルトに
は抵抗制御剤としてカーボン又は金属酸化物等の電子伝
導タイプの物質を混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両面印刷可能な画
像形成装置における耐熱転写ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画
像形成装置において、記録媒体(以下、用紙という)の
両面に画像を形成できるように構成されたものがある。
従来の両面記録可能な画像形成装置では、像担持体上に
形成した一方の面の画像(顕画像)を用紙に転写して定
着し、その用紙を反転路等により反転させ、再度給送し
て用紙の裏面にもう一方の面の画像(顕画像)を転写し
て定着させる2パス方式が一般に使用されている。
【0003】この方式による両面記録の場合、用紙の搬
送方向切り換えや、片面画像の定着による用紙カールな
どにより、用紙搬送の信頼性確保に多くの課題を有して
いる。これに対し、特開平1−209470号公報、特
開平3−253881号公報、特開平10−14286
9号公報には、第1の像担持体と第2の像担持体とを用
いて用紙の両面にトナー像を転写した後、1回で定着を
行うようにした1パス方式のものが開示されている。
【0004】特開平1−209470号公報に記載のも
のは、感光体上に形成した第1画像を第1の転写手段で
転写ベルトに転写し、次に感光体上に形成した第2画像
を第1の転写手段で用紙の一面に転写する。その後、転
写ベルト上の第1画像を第2の転写手段で用紙の他面に
転写することで、用紙の両面に画像を転写し、その用紙
を定着装置に搬送して定着するものである。
【0005】また、特開平3−253881号公報に記
載のものは、特開平1−209470号公報に記載のも
のとほぼ同様であるが、感光体上に形成した第2画像
(トナー像)の極性を転写工程前に感光体上で反転させ
ることで、第2の転写手段を必要とせずに用紙両面への
トナー像転写を可能とし、転写後の用紙を定着装置に搬
送して定着するものである。
【0006】また、特開平10−142869号公報に
記載のものは、転写手段は2つ備えるタイプのもので、
カラー画像を用紙の両面に転写して定着装置に搬送し、
一度に定着するものである。
【0007】これらの、1パス方式のものは、いずれも
両面に未定着トナー像を担持した用紙を転写ベルトから
分離して定着装置に移送するため、用紙上のトナー像が
乱れる恐れがある。
【0008】そこで、本願出願人は、第2の像担持体で
ある中間転写ベルト上に記録用紙を重ねたまま未定着画
像を定着させるようにして、用紙上のトナー像が乱れる
ことを防止した画像形成装置を先に提案している(特願
2000−173701)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記各公報
に記載されたような、未定着トナー像を担持した用紙を
転写ベルトから分離して定着装置に移送する方式におい
ては、第2の像担持体である中間転写ベルトに要求され
る特性は、通常の転写ベルトと殆ど同一のものでよかっ
た。
【0010】一方で、本願出願人が提案した中間転写ベ
ルト上に記録用紙を重ねたまま未定着画像を定着させる
方式においては、第2の像担持体である中間転写ベルト
に、通常の転写ベルトとしての特性のほかに耐熱性が要
求される。
【0011】そこで、本発明は、用紙を転写ベルトから
分離して定着装置に移送する方式でも、用紙を重ねたま
ま未定着画像を定着させる方式でも、どちらの方式にも
対応し、且つ転写・搬送・定着性の安定化を計り良好な
画像品質を得ることのできる耐熱転写ベルト及びこれを
用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明に
より、第1の像担持体と第2の像担持体を有し、第1の
像担持体から第2の像担持体へ一旦転写した顕像を第2
の像担持体から記録媒体の一方の面に転写するととも
に、前記第1の像担持体から顕像を記録媒体の他方の面
に転写することにより記録媒体の両面に顕像を転写可能
な画像形成装置に装着される耐熱転写ベルトであって、
前記第2の像担持体としての耐熱転写ベルトにおいて、
前記耐熱転写ベルトは150〜300℃の熱に耐性を有
し、該耐熱転写ベルトが基体と表層から成る2層構造で
あり、ベルト全体としての体積抵抗が10〜1012
Ω・cmであることにより解決される。
【0013】また、前記の課題を解決するため、本発明
は、前記ベルト基体としてポリイミド系の耐熱性樹脂フ
ィルムを用い、該ベルト基体の表面抵抗が10〜10
Ω/cmであることを提案する。
【0014】また、前記の課題を解決するため、本発明
は、前記ベルト基体の厚みが50μm以上で200μm
以下であることを提案する。また、前記の課題を解決す
るため、本発明は、前記ベルト表層がパーフルオロアル
コキシ又は4フッ化エチレン等のテフロン系コート層で
あり、該ベルト表層の表面抵抗が10〜1012Ω/
cmであることを提案する。
【0015】また、前記の課題を解決するため、本発明
は、前記ベルト表層の厚みが20μm以下で且つ該層の
表面粗さ(Rz)が10以下であることを提案する。ま
た、前記の課題を解決するため、本発明は、前記抵抗値
を得るための抵抗制御剤としてカーボン又は金属酸化物
等の電子伝導タイプの物質を混合することを提案する。
【0016】また、前記の課題を解決するため、本発明
は、第1の像担持体と第2の像担持体を有し、第1の像
担持体から第2の像担持体へ一旦転写した顕像を第2の
像担持体から記録媒体の一方の面に転写するとともに、
前記第1の像担持体から顕像を記録媒体の他方の面に転
写することにより記録媒体の両面に顕像を転写可能な画
像形成装置において、前記第2の像担持体としての耐熱
転写ベルトが基体と表層から成る2層構造であり、ベル
ト全体としての体積抵抗が10〜1012Ω・cmで
あることを提案する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。先ず初めに、本発明を適用した耐
熱転写ベルトを装着した画像形成装置の一例であるプリ
ンタの構成から説明する。
【0018】図1に示すプリンタ100は、装置内のほ
ぼ中央に第1像担持体である感光体ドラム1を組み込ん
だプロセスカートリッジ6を配置している。感光体ドラ
ム1の周囲には、クリーニング装置2,除電装置3,帯
電装置4,現像装置5が配設されている。そして、図に
おいてプロセスカートリッジ6の右上方には露光装置7
が設けられ、露光装置7より発せられるレーザ光Lが、
帯電装置4と現像装置5の間の書き込み位置にて感光体
1に照射される。
【0019】図においてプロセスカートリッジ6の左側
にはベルトユニット20が設けられている。ベルトユニ
ット20は第2像担持体としての中間転写ベルト(耐熱
転写ベルト)10を中心とするもので、感光体1はその
一部が中間転写ベルト10に接するように設けられてい
る。
【0020】中間転写ベルト10はローラ11,12,
13に張架され、図中反時計回りに走行可能に支持され
ている。本実施形態ではローラ13を駆動用のローラと
している。この駆動ローラ13に対しては、ある程度ベ
ルト10の巻き付き角度を確保し、駆動力が確実に伝達
されるように構成している。駆動ローラ13は、ウレタ
ン等の耐熱性に優れたゴムを外周に設けてある。ゴム材
は中間転写ベルト10との摩擦力を確保でき、駆動時の
スリップ発生を防止することができる。一方、中間転写
ベルト10は、耐熱性で且つトナーを転写可能とする抵
抗値を備えるベルトであり、ポリイミドやポリアミドイ
ミドを基体としたベルトが適している。
【0021】中間転写ベルト10のループの内側には、
裏当てローラ14,15、冷却手段16,17、定着ロ
ーラ18、第1転写手段21等が配備されている。定着
ローラ18はヒータ等の熱源を内蔵し、用紙の第1面に
転写されたトナー像を用紙上に定着させるものである。
第1転写手段21は、ベルト10を挟んで感光体1と対
向する位置に設けられ、感光体1上に形成したトナー像
を中間転写ベルト10又は用紙上(用紙の第1面)に転
写させるものである。
【0022】中間転写ベルト10の外周部には、第2転
写手段22、定着装置30、ベルト用クリーニング装置
25が配備されている。定着装置30は、ヒータ等の熱
源を内蔵する定着ローラ19を有しており、用紙の第2
面に転写されたトナー像を用紙上に定着させるものであ
る。この定着装置30は、支点30aを中心として回動
可能に支持されている。そして、図示しない機構により
矢印Gの如く回動され、ベルト10(及び用紙)を挟ん
で定着ローラ18に圧接及び離間できるように構成され
ている。
【0023】中間転写ベルト10用のクリーニング装置
25は、内部にクリーニングローラ25a,ブレード2
5b,トナー搬送手段25c等を備え、中間転写ベルト
10の表面に残留する不要トナーを拭い去る機能を有し
ている。クリーニング装置25内に溜まったトナーは、
トナー搬送手段25cにより図示しない回収容器に搬送
される。このクリーニング装置25は、回動支点25d
を中心として矢印Hの如く回動可能に構成されている。
図示しない機構によりクリーニング装置25全体を回動
させることで、クリーニングローラ25aは中間転写ベ
ルト10に対し接離することができる。
【0024】ところで、本実施形態においては、中間転
写ベルト10の一辺(図において右側の辺)に第1及び
第2の転写手段21,22を配置しているが、ベルト1
0を駆動する駆動ローラ13の位置とベルト10の回転
方向により、ベルト10の感光体1と接する側(転写領
域側)が張り側となるように構成されている。このた
め、何らかの外力がベルト10に加わった場合でも、転
写領域においてベルト10の走行が安定し、画像がブレ
たりする不具合の発生を防止している。
【0025】プロセスカートリッジ6は感光体ドラム
(第1像担持体)1,クリーニング装置2,除電装置
3,帯電装置4,現像装置5などを一体に組み込んだも
ので、寿命到来時に交換できるように構成されている。
【0026】本実施形態では、プロセスカートリッジ6
のほかに、ベルトユニット20や定着装置30なども交
換可能に構成され、寿命到来時に交換することができ
る。それらの交換作業や、用紙のジャム処理を容易にす
るため、本体の一部の前フレーム50は、開閉支軸50
aを中心として矢印Bの方向に開放可能に構成してい
る。
【0027】また、装置本体の下部には給紙カセット2
6が設けられている。この給紙カセット26は矢印Cの
方向に引き出し可能に構成されている。カセット26内
には記録材としての転写紙Pが収納される。カセット2
6の給紙方向先端側(図の左側)の上部位置に給紙ロー
ラ27が設けられている。また、感光体ドラム1の下方
にレジストローラ対28が設けられている。レジストロ
ーラ28から転写位置へ用紙を案内するガイド部材29
が設けられている。カセット26の上方でプリンタ本体
の右側位置には、電装部E1及び制御装置E2が配置さ
れている。その上方には、機内空気を排出して機内温度
の過昇を防止するためのファンF1が設けられている。
【0028】一方、装置本体の上面は排紙スタック部4
0として形成されている。スタック部40の端部には引
き出し・収容可能な補助部材41が設けられている。画
像定着後の用紙を排紙スタック部40に排出するための
排紙ローラ32a,bが装置最上部位置に設けられてい
る。中間転写ベルト10から分離した用紙を排紙ローラ
32a,bに導くためのガイド板31a,bが設けられ
ている。
【0029】上記のように構成されたプリンタにおける
画像形成動作について説明する。まず、用紙の両面に画
像を得る場合の動作から説明する。なお、用紙両面に画
像を得る場合、先に形成する画像を第1面画像、後から
形成する画像を第2面画像と呼び、第1面画像が転写さ
れる用紙面を用紙第1面、第2面画像が転写される用紙
面を用紙第2面と呼ぶことにする。
【0030】本実施形態の画像形成装置はいわゆるプリ
ンタであり、書き込みのための信号は図示しないホスト
マシーン、例えばコンピュータから送られてくる。受信
した画像信号に基づいて露光装置7が駆動され、露光装
置のレーザ光源(図示せず)からの光は、モータにより
回転駆動されるポリゴンミラー7aによって走査され、
ミラー7b,fθレンズ7c等を経て、帯電装置4によ
り一様に帯電された感光体ドラム1に照射され、感光体
1上に書き込み情報に対応した潜像を形成する。
【0031】感光体1上の静電潜像は現像装置5によっ
て現像され、トナーによる顕像が感光体表面に形成・保
持される。感光体1上のトナー像は、第2の像担持体で
ある中間転写ベルト10の裏側にある第1転写手段21
により、感光体1と同期して走行する中間転写ベルト1
0の表面に転写される。
【0032】感光体1の表面は、残存するトナーがクリ
ーニング装置2でクリーニングされ、除電装置3で除電
され次の作像サイクルに備える。中間転写ベルト10
は、表面に転写されたトナー像(用紙第1面に転写され
る画像)を担持して図中反時計回りに走行する。このと
き、トナー像が乱されないよう第2転写手段22、定着
装置30及びクリーニング装置25は非作動状態(電気
入力断或いは中間転写ベルト10から離間)を保持する
ように制御される。
【0033】中間転写ベルト10が所定のところまで走
行すると、用紙の別の面(第2面)に作成されるべきト
ナー画像が感光体1に、前述したような工程で形成され
始め、給紙が開始される。給紙ローラ27が矢印の方向
に回転すると、給紙カセット26内の最上部に在る用紙
Pが引き出され、レジストローラ対28に搬送される。
【0034】中間転写ベルト10は感光体1と同期して
走行し、先に中間転写ベルト10上に転写されたトナー
像(第1面画像)は、1回りしてベルト10と感光体1
が接触する位置に向けて搬送される。
【0035】レジストローラ対28を経て中間転写ベル
ト10と感光体1の間に送られる用紙(第2面)にまず
感光体1表面のトナーが、第1転写手段21により転写
される。この転写に際して、用紙と画像(第2面画像)
の位置が正規のものとなるよう、レジストローラ対28
によりタイミングがとられて搬送される。なお、用紙と
第1面画像の位置も正規のものとなるよう構成されてい
ることは言うまでもない。
【0036】感光体1から用紙にトナー(第2面画像)
が転写されている間、用紙の他面は中間転写ベルト10
の上に乗っているトナーと共に(用紙の第1面がベルト
10上に転写された第1面画像に密着されて)移動す
る。用紙が第2転写手段22の作用領域を通過すると
き、この転写手段22に電圧が印加され、中間転写ベル
ト10上のトナーが用紙に転写される。
【0037】第1転写手段21と第2転写手段22の作
用で、その両面にトナー像が転写された用紙は、ベルト
10の走行により定着領域に送られる。ここで、定着ロ
ーラ19がベルト10を挟んで定着ローラ18に圧接さ
れるように定着装置30が回動され、定着ローラ19と
定着ローラ18との協働で用紙上のトナー像(両面)が
一度に定着される。
【0038】トナー像転写後、用紙を中間転写ベルト1
0から離さずに用紙と中間転写ベルト10を重ねた状態
で定着するので、トナー像が乱れることがなく、画像ブ
レの発生が防止される。また、中間転写ベルト10で用
紙を保持したまま定着を行う(定着領域へ用紙を搬送す
る)ことから、転写領域から定着領域への用紙搬送路を
縦搬送方式とすることができる。これにより、装置スペ
ースの有効利用が可能となり、装置小型化に寄与するこ
とができる。また、定着部を感光体1より上に設けるこ
とができ、感光体1への熱の影響を防ぐとともに、装置
外への熱を抜く構成上も有利となる。
【0039】定着後の用紙は、ローラ11部にて中間転
写ベルト10から分離され、ガイド部材31を経て排紙
ローラ対32により排紙スタック部40に排出される。
本実施形態では、ベルト10からの用紙の曲率分離を容
易にするため、分離部のローラ11を小径ローラとする
とともに、ローラ11部にて中間転写ベルト10が略9
0度転向するように構成している。
【0040】図1に示すように排紙部を構成した場合、
両面画像のうち後から用紙に転写される面(頁)、すな
わち感光体から用紙に直接転写される面が下面となっ
て、排紙スタック部40に載置される(フェイスダウン
排紙)から、頁揃えをしておくには2頁目の画像を先に
作成し中間転写ベルト10上にそのトナー像を保持し、
1頁目の画像を後から作成し、感光体1表面から用紙に
直接転写するようにすればよい。したがって、上記の説
明では、第1面画像が2頁目の画像であり、第2面画像
が1頁目の画像である。3頁以降の画像についても同様
であり、遇数頁に画像がある場合は、その遇数頁の画像
を先に形成して中間転写ベルト10上に転写・保持し、
その遇数頁の1つ手前の奇数頁を後から作成し、感光体
1表面から用紙に直接転写する。
【0041】ところで、通常は、感光体1上に逆像(鏡
像)を形成し、これを用紙に直接転写すると正像が得ら
れるわけであるが、中間転写ベルト10上に転写した画
像を用紙に転写する場合、感光体1上で鏡像に形成した
場合には用紙転写時に鏡像となってしまう。そこで、本
実施形態では、中間転写ベルト10から用紙に転写され
る画像(第1面画像)は感光体1表面で正像に形成し、
感光体1から用紙に直接転写されるトナー像(第2面画
像)は、感光体表面で鏡像になるよう、露光される。
【0042】上述のような頁揃えのための作像順は画像
データをメモリーに貯蔵する公知の技術で、また正、逆
像に切り換える露光も、公知の画像処理技術により、実
現できている。
【0043】中間転写ベルト10から離れていたクリー
ニング装置25は、中間転写ベルト10から用紙に画像
が転写された後に、クリーニングローラ25aがベルト
10に接触するようクリーニング装置25が回動され、
用紙に転写した後の残留トナーをクリーニングローラ2
5aの表面に移し、ブレード25bで掻き取る。掻き取
られたトナーはトナー搬送手段25cにより、不図示の
収納部に集められる。定着手段18,19により加熱さ
れた上記残留トナーは、冷却される前のほうがクリーニ
ングローラ25aに転移し易いので、冷却手段16,1
7より上流でクリーニングするのが望ましい。
【0044】上記クリーニング領域を通過した中間転写
ベルト10は、冷却手段16,17の作動により冷却さ
れる。冷却手段16,17としては、各種放熱方式が採
用できる。空気を流通させる方式では、中間転写ベルト
10表面に保持されたトナー像を乱すことがないよう、
記録媒体(用紙)に転写した後に空気を流通させると好
都合である。中間転写ベルト10のループ内面に直接接
触させて熱を奪う、ヒートパイプによる冷却手段も採用
できる。いずれも中間転写ベルト10から奪った熱は、
画像形成装置の外部に排出する。図1において、冷却手
段16,17の左側方に、ベルトユニット部からの熱を
排出するためのファンF2が設けてある。
【0045】次に、用紙の片面に画像を得る場合の動作
について説明する。用紙の片面に画像を得る場合には、
中間転写ベルト10にトナーを転写する工程を省くこと
ができ、感光体1の表面に形成されたトナー像を用紙に
直接転写する。片面画像の場合に感光体1上でのトナー
像は鏡像であり、用紙に転写されると正像となる。
【0046】図1において、感光体1上に形成されたト
ナー像との位置合わせのため同期をとって、用紙Pは感
光体1と中間転写ベルト10の間に送られ、第1転写手
段21により用紙上にトナーが感光体1から転写され
る。
【0047】第2転写手段22は作動することなく、用
紙は中間転写ベルト10とともに移動し、トナーが定着
される。その後、用紙は中間転写ベルト10から離間さ
れ、ガイド部材31、排紙ローラ対32を経て矢印Aの
方向に排出され、画像面が下になった状態(フェースダ
ウン)で排紙スタック部40に載置される。このような
構成により、数頁にわたる原稿を1頁から順に処理して
も、排紙スタック部40から取り出したとき、プリント
物は頁順になっている。
【0048】このように、図1に示す画像形成装置にお
いては、片面印刷の場合も両面印刷の場合も(両面印刷
では裏表同時定着)、用紙への画像転写及び定着が一枚
の(同一の)中間転写ベルト10上で行なわれる。した
がって、記録用紙はユニット間を受け渡されること(従
来の2パス方式のような、画像転写部から用紙反転ユニ
ットへ、また、用紙反転ユニットから再度画像転写部へ
の受け渡し、あるいは、従来の1パス方式のような、転
写・搬送ユニットから定着ユニットへの受け渡し)がな
く、そのため、画像の乱れ等の問題が生じない。しか
も、用紙搬送時のジャムやスキュー等の搬送上の問題も
大幅に低減される。
【0049】次に、本発明の要部である中間転写ベルト
10について説明する。図2は、本発明を適用した耐熱
転写ベルトの一例である中間転写ベルト10の構成を示
す断面図である。この図に示すように、中間転写ベルト
10は、基体10b上に表層10aを積層した構造にな
っている。
【0050】第2の像担持体である中間転写ベルト10
は、当然ながら転写ベルトとしての電気的な特性を備え
ている必要が有り、そのために2層構造が適している。
そして、転写(中間転写、直接転写とも)の安定性を確
保するためには、ベルト全体としての体積抵抗値が10
〜1012Ω・cmの範囲になっている必要がある。
市販実機では、転写率のマージンを見込んで(抵抗値が
高くなると転写率が低下する)体積抵抗値が10〜1
Ω・cmのベルトを搭載している。
【0051】また、用紙の搬送を考えた場合、ベルトの
表層は、用紙を環境に関係なくベルト面に静電気的に常
時保持することが必要で、そのためにはベルト表層10
aの電気抵抗を表面抵抗値で10〜1012Ω/cm
に維持する必要がある。
【0052】さらに、ベルト基体部分10bは、表層1
0aの表面抵抗値とベルト全体の体積抵抗値との関連、
及び、電流(転写電流)を印加する電極の接触抵抗の低
減(転写手段が接触型、例えば転写ローラ等の場合)等
を考慮して、表面抵抗値で10〜10Ω/cm
最適値となる。
【0053】そして、この中間転写ベルト10は、記録
用紙を保持したまま定着が行なわれることから、常時加
熱と冷却の繰返しストレスを受けることになる。この加
熱・冷却の繰り返しに耐えられるベルト材質としては、
ポリイミド系のもの(ポリアミドイミドを含む)で、こ
の材質に低抵抗化処理を施すことが必要である。また、
ベルト面でトナーを定着することを考慮すると、ベルト
表面材質は、定着時にベルトからのトナー剥離性にも配
慮してテフロン系の材質(PFA:パーフルオロアルコ
キシ,PTFE:4フッ化エチレン)をコートする必要
がある。これらの材質も転写・搬送性を考慮して抵抗制
御して用いることが必要となる。
【0054】ところで、従来一般の転写ベルトは加熱さ
れることを前提として設計されてはおらず、その耐熱性
は100℃以下である。しかし、本実施形態では、中間
転写ベルト10上に記録用紙を保持したまま定着を行な
うので、この定着時の熱に耐えなければならない。すな
わち、定着時に予想される150〜300℃の熱によっ
ても変形せず(伸び、波打ち等が発生しない)、また、
溶融・分解しないことも必要である。本実施形態では、
上記のように中間転写ベルト10の材質としてポリイミ
ド系のものを使用することで、150〜300℃の熱に
耐性を有する(変形や溶融・分解しない)ように構成さ
れている。この場合、画像形成装置が通常使用される温
度〜150℃の範囲でも中間転写ベルト10が変形や溶
融・分解しないことを含むものである。
【0055】さらに、上述したように、中間転写ベルト
10は常時加熱・冷却のストレスを受けるため、抵抗制
御剤にも配慮が必要で、イオン伝導タイプのように空気
中の水分の影響を受けるものは上記ストレスの繰り返し
で抵抗値が常に変化し、転写時に印加電流(電圧)の制
御が非常に難しくなってしまう。したがって、本発明で
は、中間転写ベルト10の表層10a・基体10bとも
に抵抗の制御剤は、熱ストレスに対して強く、水分の増
減による抵抗値の変動が殆ど無い、電子伝導タイプのカ
ーボン又は金属酸化物を混合ブレンドしたものとしてい
る。なお、図3に、抵抗制御剤としてのイオン伝導タイ
プと電子伝導タイプそれぞれの、湿度による抵抗変化を
グラフとして示す。このグラフからも、電子伝導タイプ
の場合は湿度変化による抵抗値の変動が殆ど無いことが
判る。
【0056】次に、中間転写ベルト10の厚みについて
考慮すると、このベルト10上で定着を行なうことか
ら、熱効率を考えるとベルトの全体的な厚みは薄いほど
効率が良いことは明らかである(加熱、冷却のどちらに
しても応答の速いことが要求される)。しかし、ベルト
としての必要な強度(テンション、片寄り補正等の機械
的なストレスに対する強度)を考慮すると50μm以上
は必要で、熱効率を考えると200μm以下が望まし
い。さらに、ベルト表層10aは、熱効率・抵抗制御・
トナー剥離性能・機械的な磨耗強度等を考慮して厚みが
20μm以下で、溶融トナーが凹凸部分にこびりつかな
いように表面粗さ(Rz)が10以下であることが望ま
しい。なお、従来の転写ベルトは、〜500μm=0.
5mm(モノクロ装置用)〜2mm(カラー装置用)の
厚みがあった。
【0057】ここで、本実施形態における中間転写ベル
ト10の特性を列挙すると、 基体10bと表層10aから成る2層構造 ベルト全体としての体積抵抗が10〜1012Ω・c
mの範囲 ベルト表層10aの表面抵抗値が10〜1012Ω/
cm ベルト基体部分10bの表面抵抗値が10〜10Ω
/cm ベルト基体部分10bはポリイミド系耐熱樹脂フィルム ベルト表層10aの材質がPFA,PTFE等のテフロ
ン系 表層10a・基体10bは抵抗制御剤として電子伝導タ
イプのカーボン又は金属酸化物を混合ブレンドしたもの ベルト表層10aの厚みが20μm以下で表面粗さ(R
z)が10以下 ベルト基体部分10bの厚みが50μm以上で200μ
m以下 150〜300℃の熱に耐性を有する となる。
【0058】次に、本発明による耐熱転写ベルトをカラ
ー画像形成装置に適用した実施例について説明する。カ
ラー画像形成装置の実施例としては、図4と図5の構成
例を示す。図4に示す実施例はリボルバー式現像装置5
Rを備えるもので、図5に示す実施例は、感光体ベルト
1Bの一辺にタンデム式現像装置5Tを備えるものであ
る。また、図4,5に示す実施例では、中間転写ベルト
10が感光体ドラム1に接離可能に構成されている。こ
れ以外の構成は図1の単色型の装置と同様であり、異な
る部分についてのみ説明する。
【0059】図4において、リボルバー式現像装置5R
は4つの現像器5a〜dを搭載しており、矢印の如く図
中反時計回りに回転駆動され、各現像器を切り換えて現
像位置に移動させることができる。4つの現像器5a〜
dにはフルカラー現像を可能にする各色トナーが収納さ
れている。例えば、現像器5aにはイエロー、現像器5
bにはマゼンタ、現像器5cにはシアン、現像器5dに
はブラックのトナーが収納される。モノクロプリントの
場合はブラックトナーを収納する現像器5dを現像位置
に移動させ、図1の単色型の装置と同様の作像動作を行
う。
【0060】フルカラー画像を形成する場合の動作につ
いて説明すると、感光体ドラム1と中間転写ベルト10
が離間した状態で、帯電された感光体1表面にまずイエ
ロートナーで現像されるべき光情報が露光装置7より書
き込まれる。その静電潜像に対し、現像位置に移動され
たイエロー現像器5aよりイエロートナーが付与されて
現像される。同様にして感光体1表面にマゼンタの画像
が形成され、イエロー像に重ねられる。さらに、シアン
像が形成され先の画像に感光体上で重ねられる。最後に
ブラックトナーによる画像が重ねられ、4色のカラー像
が感光体表面に形成され担持される。4色のカラー像作
成に際し、感光体ドラム1は4回転する。
【0061】4色のカラー像が感光体表面に形成される
と、感光体ドラム1に中間転写ベルト10が接触され、
レジストローラ28によりタイミングを取って給送され
た転写紙上に第1転写手段21の作用によって感光体1
上のカラー画像が転写される。
【0062】両面プリントの場合は、第1面画像が感光
体1上に形成されると感光体ドラム1に中間転写ベルト
10が接触され、移動する中間転写ベルト10上に第1
転写手段21の作用によって第1面画像が転写される。
第1面画像を担持する中間転写ベルト10は所定の位置
で感光体1から離間され、停止して待機する。そして、
感光体1上に第2面画像の形成が開始される。感光体1
上に4色のカラー像(第2面画像)が形成されると、感
光体1表面の第2面画像の先端と中間転写ベルト10に
担持された第1面画像の先端とが合うように、中間転写
ベルト10の走行が開始され、中間転写ベルト10が感
光体1に接触される。そこに転写紙がタイミングを取っ
て給送される。感光体1上の第2面画像は第1転写手段
21の作用によって転写紙の第2面に転写され、ベルト
10上の第1面画像は第2転写手段22の作用によって
転写紙の第1面に転写される。これにより転写紙両面に
カラー画像が転写され、その転写紙は中間転写ベルト1
0に重ねられて保持された状態で定着装置30による定
着領域に搬送される。定着以降の工程は片面プリントの
場合も両面プリントの場合も、図1の単色型の装置と同
様である。
【0063】図5の実施例においては、感光体ベルト1
Bが回動可能に張設され、その上辺部に沿って4つの現
像器からなるタンデム式現像装置5Tが配置されてい
る。各現像器5a〜dは、図示矢印の如く、感光体ベル
ト1Bに近接及び離間する位置に個別に移動可能に構成
されている。4つの現像器5a〜dにはフルカラー現像
を可能にする各色トナーが収納されている。例えば、現
像器5aにはイエロー、現像器5bにはマゼンタ、現像
器5cにはシアン、現像器5dにはブラックのトナーが
収納される。モノクロプリントの場合はブラックトナー
を収納する現像器5dを現像位置に移動させ、図1の単
色型の装置と同様の作像動作を行う。
【0064】フルカラー画像を形成する場合の動作は、
基本的には図4の実施例と同様であり、感光体ベルト1
Bを4回転させながら、4つの現像器5a〜dを感光体
ベルト1Bに接近させて各色画像を感光体ベルト1B上
に重ねてフルカラー画像を形成する。感光体がベルト状
に形成されていることと現像器5の構成が異なること以
外は、図4の実施例と同様であるので、これ以上の説明
は省略する。
【0065】次に、本発明による耐熱転写ベルトの効果
を確認するために、本願発明者が実施した実験について
説明する。この実験は、以下に示す実施例と比較例1,
2の3種類の耐熱転写ベルトを中間転写ベルト10とし
て図1のプリンタに装着して行なった。
【0066】実施例:ベルト厚み160μm(基体:1
50μm、表層:10μm)、ベルト体積抵抗値10
Ω・cm(基体表面抵抗値:10Ω/cm、表層表
面抵抗値:1011Ω/cm)、材質は基体10bが
ポリイミド製耐熱樹脂フィルム、表層10aとして抵抗
制御剤カーボンを混合したPFAによる低抵抗コート
層、以上のような構成の中間転写ベルト10を用い、図
1のプリンタ100にて、転写紙の両面に画像を転写さ
せて両面同時定着を行うテストを実施したところ、ベル
トへのトナーの1次転写及び転写紙への1・2次転写と
もに安定した転写が行なわれ、且つ、搬送時のベルトへ
の転写紙の密着も良く、定着も両面共にほぼ同程度の良
好な定着性を示し、転写・搬送・定着性のいずれをも満
足させる結果を得ることができた。
【0067】比較例1:実施例のベルト構成の内、ベル
トの厚みだけを45μm(基体:40μm、表層:5μ
m)として、同じ(転写紙の両面に画像を転写させて両
面同時定着を行う)テストを実施したところ、ベルトに
テンションを充分掛けたにもかかわらずベルトが波打ち
し、画像転写は何とか行なうことができたものの、ベル
トへの転写紙の密着が悪く、定着部までの搬送で転写紙
にずれが生じ、画像が乱れてしまった。しかも、定着時
に転写紙にシワが発生した。
【0068】比較例2:実施例のベルト構成の内、ベル
トの抵抗制御剤をイオンタイプとして(他の条件は同
じ)、転写紙の片面のみに画像を転写させて定着するテ
ストを実施したところ、最初の1枚目は問題なく転写・
定着できたが、連続で2枚目をコピー(転写紙の片面の
みに画像を転写させて定着)したところ、定着部通過後
のベルトの抵抗値が大幅に上昇し、高圧電源の容量を越
えてしまい以後の転写ができなくなった。数時間後にベ
ルト抵抗値が回復したものの、再度テストを実施すると
同様の繰り返し(ベルト抵抗値の大幅な上昇)になっ
た。
【0069】その他、ベルトの材質を変更したもので同
様の実験を行なったが、ベルト表層をテフロン系以外に
したものではトナーがベルトにこびりついて、いわゆる
オフセット画像になった。また、ベルト基体をポリイミ
ド系以外にした場合は定着の熱に耐えられなくてベルト
が変形又は延びてしまった。
【0070】このように、本発明による耐熱転写ベルト
を上記実施形態の画像形成装置に装着した場合、第2の
像担持体である中間転写ベルト上に記録用紙を保持した
ままで定着を行う方式において、良好な転写・搬送・定
着性を得ることができ、安定した画像品質を得ることが
できた。
【0071】次に、本発明による耐熱転写ベルトを、記
録用紙を転写ベルトから分離して定着装置に移送する方
式の画像形成装置に応用した場合について説明する。図
6に示すように、この実施形態のプリンタ100Bで
は、定着装置30Bを中間転写ベルト10の外部に配置
している。すなわち、用紙の片面又は両面に画像を転写
された記録用紙は、中間転写ベルト10から分離された
後に定着装置30Bの定着ニップに進入されるように構
成されている。
【0072】この他、図1のプリンタ100と異なる点
を挙げると、ベルトユニット20は、中間転写ベルト1
0を横方向に延設させている。そして、ベルト10のル
ープ内に配された第1の転写手段21が接触型の転写ロ
ーラとして設けられている。また、排紙部としては装置
上面の排紙スタック部40に加えて、装置側面の排紙ト
レイ44が追加されている。さらに、排紙トレイ44と
は反対側の装置側面に、第2の給紙装置である手差しト
レイ35が設けられている。
【0073】このプリンタ100Bでは、用紙の片面又
は両面に画像を転写された記録用紙は、中間転写ベルト
10から分離された後に定着装置30Bの定着ニップに
おくられて未定着トナー像が定着される。定着後の記録
用紙は、定着装置30Bの後段に設けられた切換爪(符
号なし)によって搬送方向が切り換えられ、装置上面の
排紙スタック部40または装置側面の排紙トレイ44に
排出される。
【0074】このプリンタ100Bの中間転写ベルト1
0として、前記実施形態で実施例として説明した構成
(ベルト厚み160μm(基体:150μm、表層:1
0μm)、ベルト体積抵抗値10Ω・cm(基体表面
抵抗値:10Ω/cm、表層表面抵抗値:1011
Ω/cm)、材質は基体10bがポリイミド製耐熱樹
脂フィルム、表層10aとして抵抗制御剤カーボンを混
合したPFAによる低抵抗コート層)の耐熱転写ベルト
を用いたところ、中間転写ベルトへのトナーの1次転写
及び転写紙への1・2次転写ともに安定した転写が行な
われ、且つ、搬送時のベルトへの転写紙の密着も良く、
転写・搬送性の双方を満足させる結果を得ることができ
た。もちろん、定着に関してはベルトから分離後に定着
動作が行なわれるので、何ら問題はなく、定着に関して
も良好な結果を得ることができた。
【0075】以上、本発明を図示の各実施形態により説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種
々の変形が可能である。例えば、特開平3−25388
1号公報に記載された装置のように、トナー像の極性を
切り換える構成を設けてやれば、1つの転写手段により
(転写手段を2つ設けずに)用紙両面にトナー像を転写
する方式においても、転写ベルトに要求される性能を得
ることができる。
【0076】また、画像形成装置の両面記録方法として
は、第1面画像を転写した中間転写ベルト10を1回り
させるのではなく、ベルトを逆転させて第1面画像を所
定の位置に搬送するように構成することもできる。この
場合には、単色用の装置であっても第1の像担持体(感
光体1)と第2の像担持体(中間転写ベルト10)を離
間可能とする構成が必要となる。また、第1の像担持体
を感光体ドラムとするのではなく、ベルト式の像担持体
とすることもできる。
【0077】さらに、実施形態の画像形成装置の露光装
置7はレーザ方式であるが、LEDによる露光方式でも
よい。あるいは、アナログ露光(アナログ複写機)にお
いても本発明を適用した耐熱転写ベルトを採用すること
が可能である。もちろん、画像形成装置としてはプリン
タに限らず、複写機やファクシミリでもよいことは言う
までもない。
【0078】また、カラー画像形成装置の場合の各色画
像の形成順序や、各色現像器の配置等も上記実施形態に
限定されるものではない。さらに、像担持体の個数を増
やして記録効率を向上させるようにした画像形成装置に
も、本発明を適用することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐熱転写
ベルトによれば、耐熱転写ベルトは150〜300℃の
熱に耐性を有し、その耐熱転写ベルトが基体と表層から
成る2層構造であり、ベルト全体としての体積抵抗が1
〜1012Ω・cmであるので、転写ベルトとして
の電気的な特性、用紙の搬送に必要な静電的特性を備え
た耐熱ベルトを実現でき、用紙の両面にトナー像を転写
した後に1回で定着を行うようにした方式の画像形成装
置の中間転写ベルトに要求される性能を満たし、良好な
転写・搬送・定着性を得ることができる。特に、画像転
写・用紙搬送を行なう中間転写ベルト上に用紙を重ねた
ままでの定着が可能となった。
【0080】請求項2の構成により、ベルト基体として
ポリイミド系の耐熱性樹脂フィルムを用い、該ベルト基
体の表面抵抗が10〜10Ω/cmであるので、
加熱・冷却の繰り返しに耐えうる耐熱性を得ると共に、
環境に影響されず安定してベルト面に記録用紙を保持・
搬送することができる。
【0081】請求項3の構成により、ベルト基体の厚み
が50μm以上で200μm以下であるので、ベルト上
に用紙を重ねたままでの定着における熱効率と、ベルト
として必要な機械的強度とを両立させることができる。
【0082】請求項4の構成により、ベルト表層がパー
フルオロアルコキシ又は4フッ化エチレン等のテフロン
系コート層であり、該ベルト表層の表面抵抗が10
10 12Ω/cmであるので、トナーの剥離姓を得る
と共に、転写・搬送性に要求される抵抗値を得ることが
できる。
【0083】請求項5の構成により、ベルト表層の厚み
が20μm以下で且つ該層の表面粗さ(Rz)が10以
下であるので、必要な熱効率・磨耗強度を得られると共
に、ベルト表面に溶融トナーがこびりつくことを防止で
きる。
【0084】請求項6の構成により、抵抗制御剤として
カーボン又は金属酸化物等の電子伝導タイプの物質を混
合するので、熱ストレスに対して強く、湿度変化による
抵抗値の変動のないベルトを得ることができる。
【0085】請求項7の構成の画像形成装置により、用
紙の両面にトナー像を転写した後に1回で定着を行うよ
うにした方式の画像形成装置において、第2の像担持体
としての中間転写ベルトに良好な転写・搬送・定着性を
得ることができる。特に、画像転写・用紙搬送を行なう
中間転写ベルト上に用紙を重ねたままでの定着が可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した耐熱転写ベルトを装着した画
像形成装置の一例であるプリンタを示す断面構成図であ
る。
【図2】本発明を適用した耐熱転写ベルトの一例である
中間転写ベルトの構成を示す断面図である。
【図3】抵抗制御剤としてのイオン伝導タイプと電子伝
導タイプそれぞれの、湿度による抵抗変化を示すグラフ
である。
【図4】本発明が適用されるカラー画像形成装置の一例
として、リボルバー式現像装置を備えるプリンタの概略
を示す断面構成図である。
【図5】本発明が適用されるカラー画像形成装置の一例
として、タンデム式現像装置を備えるプリンタの概略を
示す断面構成図である。
【図6】本発明を適用した耐熱転写ベルトを装着した画
像形成装置の別例を示す断面構成図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(第1の像担持体) 10 中間転写ベルト(第2の像担持体) 10a ベルト表層 10b ベルト基体 18,19 定着ローラ 20 ベルトユニット 21 第1転写手段 22 第2転写手段 25 ベルトクリーニング装置 30,30B 定着装置 40 排紙スタック部
フロントページの続き Fターム(参考) 2H028 BA06 2H200 FA18 FA19 GA23 GA24 GA44 GA47 GA50 JA18 JB06 JB43 JB45 JB46 JB47 JC03 JC13 JC15 JC16 JC17 MA04 MA12 MA14 MA20 MB04 MB05 MC06 MC18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の像担持体と第2の像担持体を有
    し、第1の像担持体から第2の像担持体へ一旦転写した
    顕像を第2の像担持体から記録媒体の一方の面に転写す
    るとともに、前記第1の像担持体から顕像を記録媒体の
    他方の面に転写することにより記録媒体の両面に顕像を
    転写可能な画像形成装置に装着される耐熱転写ベルトで
    あって、前記第2の像担持体としての耐熱転写ベルトに
    おいて、 前記耐熱転写ベルトは150〜300℃の熱に耐性を有
    し、 該耐熱転写ベルトが基体と表層から成る2層構造であ
    り、ベルト全体としての体積抵抗が10〜1012Ω
    ・cmであることを特徴とする耐熱転写ベルト。
  2. 【請求項2】 前記ベルト基体としてポリイミド系の耐
    熱性樹脂フィルムを用い、該ベルト基体の表面抵抗が1
    〜10Ω/cmであることを特徴とする、請求
    項1に記載の耐熱転写ベルト。
  3. 【請求項3】 前記ベルト基体の厚みが50μm以上で
    200μm以下であることを特徴とする、請求項2に記
    載の耐熱転写ベルト。
  4. 【請求項4】 前記ベルト表層がパーフルオロアルコキ
    シ又は4フッ化エチレン等のテフロン系コート層であ
    り、該ベルト表層の表面抵抗が10〜10 Ω/c
    であることを特徴とする、請求項1に記載の耐熱転
    写ベルト。
  5. 【請求項5】 前記ベルト表層の厚みが20μm以下で
    且つ該層の表面粗さ(Rz)が10以下であることを特
    徴とする、請求項4に記載の耐熱転写ベルト。
  6. 【請求項6】 前記抵抗値を得るための抵抗制御剤とし
    てカーボン又は金属酸化物等の電子伝導タイプの物質を
    混合することを特徴とする、請求項1,2,4のいずれ
    か1項に記載の耐熱転写ベルト。
  7. 【請求項7】 第1の像担持体と第2の像担持体を有
    し、第1の像担持体から第2の像担持体へ一旦転写した
    顕像を第2の像担持体から記録媒体の一方の面に転写す
    るとともに、前記第1の像担持体から顕像を記録媒体の
    他方の面に転写することにより記録媒体の両面に顕像を
    転写可能な画像形成装置において、 前記第2の像担持体としての耐熱転写ベルトが基体と表
    層から成る2層構造であり、ベルト全体としての体積抵
    抗が10〜1012Ω・cmであることを特徴とする
    画像形成装置。
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