JP2021089394A - 中間転写ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】細線の画質の向上を図りつつ、凹凸を有する転写材に対する転写性の向上を図ることを可能とする中間転写ベルト、及びこの中間転写ベルトを備えた画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置に用いられる中間転写ベルト7は、弾性層7bを有し、弾性層7bの厚さL(m)が0.0002(m)以上、0.0004(m)以下であり、弾性層7bの剛性率G(MPa)を前記弾性層の厚さL(m)で割った値G/L(MPa/m)が8.4(MPa/m)以上、1118(MPa/m)以下である構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置において用いられる中間転写ベルト、及びその画像形成装置に関するものである。
従来、例えば電子写真方式の画像形成装置において、感光体から中間転写ベルト上に1次転写したトナー像を紙などの転写材上に2次転写することで画像を形成する中間転写方式が広く採用されている。
中間転写方式の画像形成装置において、更なる高画質化のために、少なくとも1層の弾性層を有する中間転写ベルト(以下、「弾性中間転写ベルト」ともいう。)が用いられることがある(特許文献1)。弾性中間転写ベルトは、少なくとも1層の弾性層を有するため、比較的柔らかい。そのため、弾性中間転写ベルトは、転写部においてトナーに作用する圧力を低減できることから、中抜け現象の抑制に効果があることが知られている。なお、中抜け現象は、画像の一部が転写されずに白く抜けたようになる転写不良である。また、弾性中間転写ベルトは、2次転写部において転写材との密着性がよいことから、一般的な紙に対する転写効率の向上のみならず、厚紙に対する転写性の向上や、凹凸を有する紙に対する転写性の向上にも効果があることが知られている。また、弾性層の機械特性を規定することで、転写性と耐摩耗性や耐クラック性といった機械特性とを両立させた、弾性中間転写ベルトが提案されている(特許文献2)。
一方、電子写真方式などを用いた画像形成装置において、近年では、細線の再現性や鮮鋭さなどの画質の向上のために、例えば平均粒径6μm以下といった比較的小径のトナーが使用されるようになった。このような小径のトナーは、凹凸を有する紙への転写性が悪化しやすいことが指摘されている。
特開2017−191248号公報 特許6314960号公報
しかしながら、樹脂製の単層の中間転写ベルトに比べて、厚さが大きく、柔軟性のある弾性中間転写ベルトでは、被転写部材へトナーを転写する2次転写ニップ部内でベルトの表面(外周面)が伸び縮みする。これにより、トナーの位置ずれが発生し、細線(例えば転写材の搬送方向と略直交する方向に延びる横線)の劣化が発生することがある。
また、弾性中間転写ベルトは、上述のように凹凸を有する紙に対する転写性の向上に効果があることが知られているが、小径のトナーとの組み合わせでは、この弾性中間転写ベルトのアドバンテージである凹凸を有する紙に対する転写性が悪化することがある。
したがって、本発明の目的は、細線の画質の向上を図りつつ、凹凸を有する転写材に対する転写性の向上を図ることを可能とする中間転写ベルト、及びこの中間転写ベルトを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る中間転写ベルト及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、弾性層を有し、前記弾性層の厚さL(m)が0.0002(m)以上、0.0004(m)以下であり、前記弾性層の剛性率G(MPa)を前記弾性層の厚さL(m)で割った値G/L(MPa/m)が8.4(MPa/m)以上、1118(MPa/m)以下であることを特徴とする中間転写ベルトである。
本発明の他の態様によると、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、弾性層を有し、前記弾性層の厚さL(m)が0.0004(m)より大きく、0.0008(m)以下であり、前記弾性層の剛性率G(MPa)を前記弾性層の厚さL(m)で割った値G/L(MPa/m)が8.4(MPa/m)以上、130125e−10814L(MPa/m)以下であることを特徴とする中間転写ベルトが提供される。
本発明の更に他の態様によると、上記本発明の中間転写ベルトを有する画像形成装置が提供される。
本発明によれば、細線の画質の向上を図りつつ、凹凸を有する転写材に対する転写性の向上を図ることが可能となる。
画像形成装置の概略断面図である。 中間転写ベルトの層構成の一例を示す模式的な断面図である。 2次転写ニップ部の近傍の模式的な断面図である。 剛性率Gとずれ量Δxとの関係の概念を説明するための模式図である。 ナノインデンテーション法による測定装置の一例を示す模式図である。 ナノインデンテーション法で得られた典型的な荷重−変位曲線の例を示すグラフ図である。 圧子と試料とが接触している状態の模式図である。 PIAS−IIでのRaggednessの測定を説明するための模式図である。 試験例の評価結果を示すグラフ図である。
以下、本発明に係る中間転写ベルト及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置
まず、本発明に従う中間転写ベルト(弾性中間転写ベルト)が用いられる画像形成装置100の一実施例の全体的な構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型(インライン型)のカラーレーザープリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)10として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する4つの画像形成部10Y、10M、10C、10Kを有する。4つの画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、後述する中間転写ベルト7の平坦部分に沿って、その平坦部分の移動方向にこの順番で配置されている。各画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して、総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部10は、後述する感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)、帯電ローラ2(2Y、2M、2C、2K)、露光装置3(3Y、3M、3C、3K)、現像装置4(4Y、4M、4C、4K)、1次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)などを有して構成される。
トナー像を担持する回転可能な像担持体としての、ドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1は、図中矢印R1方向(反時計回り方向)に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム1は、アルミニウム製のシリンダで構成された基体の上に、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層がこの順番で積層されて構成されている。回転する感光ドラム1の表面(外周面)は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電工程時に、帯電ローラ2には、所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー装置)によって画像情報に応じて走査露光され、感光ドラム1上に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。
感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(トナー画像、現像剤像)が形成される。現像装置4は、トナーを収容しており、現像剤担持体としての現像ローラ41、現像剤量規制部材としての規制ブレード42などを備えている。現像ローラ41上にトナーが供給され、規制ブレード42によって現像ローラ41上のトナー量が規制されることで、現像ローラ41上にトナーの薄層が形成される。トナーを担持した現像ローラ41は、感光ドラム1の表面に軽圧接されて現像部を形成する。また、現像ローラ41は、現像部において感光ドラム1の表面と現像ローラ41の表面とが順方向に速度差を持って移動するように回転駆動される。また、現像工程時に、現像ローラ41には、所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。これにより、現像ローラ41に担持されて現像部に搬送されたトナーは、感光ドラム1上の静電潜像に応じて感光ドラム1の表面に付着する。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。本実施例では、トナーの平均粒径は5.5μm程度である。また、トナーは、付着力を低減するために、外添材で被覆されている。このような平均粒径が6μm以下のトナーを用いることで、平均粒径が6μmを超えるトナーを用いる場合と比較して、トナーの消費量を低減し、細線の鮮鋭度を高めることができる。ここで、トナーの平均粒径は、一般に3μm以上であり、典型的には5μm以上である。なお、平均粒径とは、例えば、コールター法で測定することができる重量平均粒径のことである。測定は、「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター株式会社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールターMultisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)と、を用いて行うことができる。
4つの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての駆動ローラ71、テンションローラ72、及び2次転写対向ローラ(内ローラ)73に掛け渡されて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラ71が回転駆動されることで駆動力が伝達されて、図中矢印R2方向(時計回り方向)に感光ドラム1の周速度に対応する周速度(プロセススピード)で周回移動(回転)する。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対応して、1次転写手段としてのローラ状の1次転写部材である1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を感光ドラム1に向けて押圧して、感光ドラム1と中間転写ベルト7との接触部である1次転写部T1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部T1において、1次転写ローラ5の作用によって、周回移動している中間転写ベルト7上に1次転写される。1次転写工程時に、1次転写ローラ5には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である1次転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたY、M、C、Kの各色のトナー像が中間転写ベルト7上に重ね合わされるようにして順次1次転写される。
中間転写ベルト7の外周面側において、2次転写対向ローラ73と対向する位置には、2次転写手段としてのローラ状の2次転写部材である2次転写ローラ(外ローラ)8が配置されている。2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して2次転写対向ローラ73に向けて押圧され、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との接触部である2次転写部T2を形成する。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、2次転写部T2において、2次転写ローラ8の作用によって、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とに挟持されて搬送されている紙などの転写材(記録媒体、記録材、シート)6上に2次転写される。2次転写工程時に、2次転写ローラ8には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である2次転写電圧(2次転写バイアス)が印加される。本実施例では、2次転写工程時に十分な転写効率を得るために、数kVの2次転写電圧が印加される。
転写材6は、転写材収納部としてのカセット12から、給送部材としてのピックアップローラ13などによって搬送路に供給される。搬送路に供給された転写材6は、搬送部材としての搬送ローラ対14及びレジストローラ対15によって、中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写部T2へと搬送される。
トナー像が転写された転写材6は、定着手段としての定着装置9へと搬送される。定着装置9は、加熱手段を備えた定着ローラ91と、定着ローラ91に圧接する加圧ローラ92と、を有する。定着装置9は、未定着のトナー像を担持した転写材6を定着ローラ91と加圧ローラ92とで挟持して搬送することによって加熱及び加圧して、トナー像を転写材6上に定着(溶融、固着)させる。定着装置9を通過した転写材6は、搬送ローラ対16、排出ローラ対17などによって画像形成装置100の装置本体の外部(機外)へと排出(出力)される。
1次転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、本実施例では、帯電ローラ2によって正規の帯電極性に帯電処理された後に、現像装置4により現像同時回収によって回収される。なお、感光ドラム1の表面をクリーニングする感光体クリーニング手段として、特別のドラムクリーニング装置が設けられていてもよい。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ71と対向する位置に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置11が配置されている。つまり、ベルトクリーニング装置11は、中間転写ベルト7の表面(外周面)の移動方向(搬送方向)に関して2次転写部T2よりも下流側かつ1次転写部T1(最上流の1次転写部T1Y)よりも上流側に配置されている。2次転写工程後に中間転写ベルト7上に残留したトナー(2次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置11によって中間転写ベルト7上から除去されて回収される。
2.中間転写ベルト
次に、中間転写ベルト7について説明する。本発明に従う中間転写ベルト7は、少なくとも1層の弾性層を有する弾性中間転写ベルトである。図2は、本実施例の中間転写ベルト7の層構成を示す模式的な断面図である。図2に示すように、本実施例の中間転写ベルト7は、基層7aと、基層7aの上に積層された弾性層7bと、弾性層7bの上に積層された表面層7cと、の3層を有して構成される積層体である。
(基層)
基層(基体)7aについて説明する。基層7aは、ロール状あるいはベルト状のシームレスタイプの円筒型のものである。基層7aに適する材料としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、PVDFなどの樹脂材料が挙げられる。なお、基層7a用の樹脂には、金属粉末、導電性酸化物粉末、導電性カーボンブラックなどの導電性粉体を添加して導電性を付与してもよい。基層7aの材料としては、中間転写ベルト7の機械強度及び導電性の観点から、導電性カーボンブラックを添加したポリエーテルエーテルケトンやポリイミドが特に好ましい。
基層7aの厚さ(膜厚、厚み)は、10μm以上、500μm以下が好ましく、30μm以上、150μm以下がより好ましい。基層7aの厚さが10μm未満であると、中間転写ベルト7の機械的強度が著しく低下してしまう可能性があり、基層7aの厚さが500μmより大きいと、中間転写ベルト7の剛性が強くなりすぎるため中間転写体としての使用が困難になる可能性がある。なお、中間転写ベルト7の各層の厚さは、複数箇所(例えば10箇所)の測定値の平均値で代表することができる。
(弾性層)
弾性層7bについて説明する。弾性層7bは、転写材6の表面の形状に追従するために、適度な柔軟性が必要である。弾性層7bに適する材料(弾性材料)としては、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ゴム、アクリレートゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料が挙げられる。これらのうち、低温から高温まで中間転写ベルト7に適した機械特性を発揮できる観点、及び耐オゾン性に優れる観点から、シリコーンゴムが好ましい。
弾性層7bの厚さは、その柔軟性を十分に活かすために、100μm以上、2000μm以下が好ましく、200μm以上、800μm以下がより好ましい。
弾性層7bの材料は、電子導電剤やイオン導電剤を含んでいてもよい。電子導電剤としては、アセチレンブラックやケッチェンブラックのような導電性カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボン繊維、カーボンナノチューブ、また銀、銅、ニッケルなどの金属粉、導電性亜鉛華、導電性炭酸カルシウム、導電性酸化チタン、導電性酸化錫、導電性マイカなどが挙げられる。これらのうち、電気抵抗の制御のしやすさの観点から導電性カーボンブラックが好ましい。イオン導電剤としては、リチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などの他、ピリジン系、脂環族アミン系、及び脂肪族アミン系などのイオン液体などが挙げられる。これらのうち、環境安定性、電気抵抗の安定性、あるいは耐久による分極の抑制の観点から、カリウム塩が好ましい。例えば、弾性層7bの基材としてシリコーンゴムを用いる場合、シリコーンゴムに対する導電剤の配合処方は、中間転写ベルト7の機械強度の観点から、シリコーンゴム100質量部に対して35質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。このような配合処方により、中間転写ベルト7に適した安定した導電性が弾性層7bに付与される。
また、弾性層7bの材料は、他にも、充填剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、架橋助剤、スコーチ防止剤、着色剤、老化防止剤、軟化剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、防錆剤などの添加剤を含んでいてもよい。特に、充填剤としては、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、湿式シリカ、ヒュームド酸化チタン、セルロースナノファイバーなどの補強性充填剤が挙げられる。補強性充填剤は、シリコーンゴム中に分散されやすいなどの観点から、オルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノシロキサンオリゴマー、環状オルガノシロキサンなどの有機ケイ素化合物により表面改質されていてもよい。
なお、基層7aと弾性層7bとの間には、必要に応じて、プライマー層(図示せず)を設けてもよい。プライマー層の厚さは、プライマー層内の凝集破壊を低減する観点から、0.1μm以上、2μm以下が好ましい。
また、弾性層7bと表面層7cとの間には、必要に応じて、弾性層7bからの化学物質の染み出しを抑えるバリア層(中間層)(図示せず)を設けてもよい。バリア層に適した材料としては、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの樹脂材料が挙げられる。バリア層の厚さは、染み出しを抑えるためには、1μm以上が望ましい。また、バリア層の厚さは、弾性層7bの弾性機能を発揮するためには、10μm以下が望ましい。
(表面層)
表面層7cについて説明する。表面層7cは、トナーを転写材6に転写、離型するための層であり、低付着性を有することが望まれる。表面層7cに適した材料としては、低付着性を有していれば特に制限はないが、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、フッ素樹脂、含フッ素ウレタン樹脂、フッ素ゴム、シロキサン変性ポリイミドなどの樹脂液(塗料)が挙げられる。これらのうち、弾性層7bの弾性機能を損なわない観点から、含フッ素ウレタン樹脂が好ましい。
表面層7cの厚さは、1μm以上、5μm以下が好ましい。表面層7cの厚さが1μm未満であると、摩耗により消失しやすくなる可能性があり、表面層7cの厚さが5μmより大きいと、弾性層7bの弾性機能を阻害してしまう可能性がある。
表面層7cは、必要に応じて、上述した弾性層7bに含有させ得るものと同様の導電剤を含んでいてもよい。導電剤の量としては、付着性や機械強度の観点から、表面層7cの基材100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。
また、近年では環境負荷への考慮などから、従来用いられていた有機溶剤を主な溶媒とした溶剤系塗料に代わり、水を主な溶媒とした水系塗料が用いられる場合が増えている。ここでは、水系塗料とは、溶媒における水の重量割合が0.5割以上である塗料を指す。水系塗料は、溶媒の主成分が水であるために環境負荷が小さい一方、塗料の表面張力が高いために溶剤系塗料と比較してレベリング性が低く、塗料を乾燥させた後の膜の表面が比較的粗くなり易い。
(中間転写ベルトの電気特性)
中間転写ベルト7の電気抵抗値は、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上、1.0×1014Ω・cm以下であることが好ましく、1.0×10Ω・cm以上、1.0×1013Ω・cm以下であることがより好ましい。また、表面層7c側から測定した表面抵抗率は、1.0×10Ω/□以上、1.0×1014Ω/□以下であることが好ましく、1.0×10Ω/□以上、1.0×1013Ω/□以下であることがより好ましい。なお、中間転写ベルト7の電気特性の測定は、Hiresta・UP MCP−HT450(三菱化学社製)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、印加電圧250Vで行った。中間転写ベルト7の電気抵抗値を上記のような半導電領域の範囲内に設定することによって、感光ドラム1から中間転写ベルト7へのトナーの1次転写、及び中間転写ベルト7から転写材6へのトナーの2次転写を安定して行うことができる。
3.中間転写ベルトの機械特性
図3は、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とで転写材6を挟持搬送している際の2次転写部T2の近傍の模式的な断面図(2次転写対向ローラ73の回転軸線と略直交する断面)である。なお、本実施例では、2次転写ローラ8は、2次転写対向ローラ73に対して、中間転写ベルト7の搬送方向上流側にオフセットされて配置されている。つまり、図3に示す断面において、2次転写対向ローラ73と、2次転写対向ローラ73の上流側に隣接して配置された張架ローラであるテンションローラ72との、中間転写ベルト7に接する側の共通の接線を基準線とする。このとき、本実施例では、2次転写対向ローラ73の回転中心を通り上記基準線と直交する直線よりも、2次転写ローラ8の回転中心を通り上記基準線と直交する直線の方が、中間転写ベルト7の搬送方向上流側にある。ここでは、2次転写部T2、すなわち、2次転写対向ローラ73と2次転写ローラ8とで形成されるニップ部を、単に「2次転写ニップ部」ともいう。
弾性中間転写ベルト7を用いる場合、2次転写対向ローラ73と2次転写ローラ8とで形成される2次転写ニップ部T2内で、弾性層7bが、転写材6の入口側では収縮し、出口側では伸びるため、表面層7cの速度が変化する。図3中、中間転写ベルト7に示された矢印の長さが相対的に短い部分は上記収縮が起こっていることを模式的に示しており、矢印の長さが相対的に長い部分は上記伸びが起っていることを模式的に示している。また、弾性中間転写ベルト7は、樹脂製の単層の中間転写ベルトに比べて厚さが大きいため、その速度の変化量が大きくなる。そのため、弾性中間転写ベルト7を用いる場合、2次転写ニップ部T2内でトナーが搬送方向にずれる現象が発生し、細線(例えば転写材の搬送方向と略直交する方向に延びる横線(線画))のエッジが凸凹した状態になることがある。細線の理想的なエッジの境界線からの実際のエッジのずれは、Raggedness(後述)として指標化することができる。このトナーの位置ずれについて更に説明する。
上述のように、2次転写ニップ部T2では、中間転写ベルト7は屈曲するため、その表面が伸び縮みする。中間転写ベルト7上のトナーは、中間転写ベルト7の搬送方向に関する2次転写ニップ部T2の前と2次転写ニップ部T2内とで、ほとんど伸縮しない紙などの転写材6と伸縮する中間転写ベルト7との間で搬送方向にずれ、細線などの画像の劣化が発生することがある。そのずれの量(以下、単に「ずれ量」ともいう。)は、中間転写ベルト7(特に弾性層7b)の厚さが大きいほど顕著となる。このずれ量の概念について、図4を用いて説明する。
中間転写ベルト7の表面と伸縮しない紙などの転写材6の表面とのずれ量Δxは下記式から求めることができる。
Figure 2021089394
Δx=Fl/AG ・・・式(2)
G=E/2(1+ν) ・・・式(3)
G;剛性率
F;せんだん力
A;断面積
l;厚さ
E;ヤング率
ν;ポアソン比
上記式から、厚さlが小さいほど、また剛性率Gが大きいほど、ずれ量Δxは小さくなることがわかる。上記モデルは、中間転写ベルト7において主に伸び縮みする弾性層7bに関するモデルとして成り立つ。
以下、剛性率の算出に必要なヤング率の測定方法、ポアソン比の測定方法について説明する。
(ヤング率測定方法)
ナノインデンテーション法によるヤング率の測定について説明する。中間転写ベルト7の表面のナノインデンテーション法によるヤング率は、中間転写ベルト7の表面を直接測定して求めた値である。弾性層7bのナノインデンテーション法によるヤング率は、基層7a上に弾性層7bが形成されたもの、あるいは表面層7cまで形成された中間転写ベルト7(すなわち中間転写ベルト7の完成品)から表面層7cが除去されたものを用いて弾性層7bに関して測定して求めた値である。
ナノインデンテーション法によるヤング率の測定方法は、微小なダイヤモンド圧子を薄膜に押し込みながら荷重と押し込み深さ(変位量)の関係を測定し、測定値から塑性変形硬さを算出する方法である。この測定方法は、特に1mm以下の薄膜の測定に対して、基層7aの物性の影響を受けにくく、また圧子を押し込んだ際に薄膜に割れが発生しにくい、という特徴を有している。この測定方法は、一般に、非常に薄い薄膜の物性測定に用いられている。
図5は、ナノインデンテーション法によりヤング率を測定する測定装置の一例を示す模式図である。図5に示すように、測定装置は、トランスデューサー31と、先端形状が三角錐のダイヤモンドBerkovich圧子32と、を有する。測定装置は、基層7a、弾性層7b、表面層7cを有する中間転写ベルト7の表面層7cに圧子32を接触させることができるように配置される。この測定装置は、トランスデューサー31と、先端形状が三角錐のダイヤモンドBerkovich圧子32と、を用いて、μNオーダーの荷重を加えながらナノメートルの精度で変位量を測定することができる。この測定装置としては、例えば市販の「NANO Indenter XP/DCM」(MTS Systems社/MST NANO Insturuments社製)を用いることができる。
図6は、ナノインデンテーション法による硬度測定で得られた典型的な荷重−変位曲線を示す。図7は、圧子と試料の接触している状態の模式図を示す。
硬さHは、下記式(4)から求められる。
H=Pmax/A ・・・式(4)
ここで、Pmaxは、圧子に加えられた荷重Pの最大値(最大荷重)であり、Aは、そのときの圧子と試料間の接触射影面積である。接触射影面積Aは、図7におけるhcを用いて、下記式(5)で表すことができる。
A=24.5hc ・・・式(5)
ここで、hcは、図7に示すように接触点の周辺表面の弾性へこみにより、全体の押し込み深さhより浅くなり、下記式(6)で表される。
hc=h−hs ・・・式(6)
ここで、hsは、弾性によるへこみの量であり、圧子の押し込み後の荷重曲線の勾配(図7の勾配S)と圧子形状から下記式(7)で表される。
hs=ε×P/S ・・・式(7)
ここで、εは圧子形状に関する定数で、Berkovich圧子では0.75である。
このような測定装置を用いて、中間転写ベルト7の弾性層7bのヤング率を測定することができる。測定条件は下記のとおりである。試料のヤング率Esは、下記式に基づいて算出される。
Er=[(1−νs)/Es+(1−νi)/Ei]−1=√π/2・S/β√A
ここで、Erは複合ヤング率、Esは試料のヤング率Es、Eiは圧子のヤング率、νsは試料のポワソン比、νiは圧子のポワソン比、βは圧子形状に関する定数である。なお、ここでは、試料のヤング率Esを単にヤング率E、試料のポワソン比νsを単にポワソン比νともいう。
・測定条件
測定機:NANO Indenter XP/DCM(MTS Systems社製)
測定圧子:先端形状が三角錐のダイヤモンドBerkovich圧子
測定環境:20℃、60%RH
測定試料:5cm×5cmの大きさにベルト(基層7aに弾性層7bが形成されたもの、あるいは中間転写ベルト7から表層7cから除去されたもの)を切断して測定試料を作製
最大荷重設定:25μN
押し込み速度:最大荷重25μNに5secで達する速度で、時間に比例して加重を印加する
なお、測定は各試料ともランダムに10点測定し、その平均値をナノインデンテーション法により測定したヤング率とする。
(ポアソン比の測定方法)
材料に軸方向の荷重(引張荷重又は圧縮荷重)が加わると、引張荷重の場合、縦方向(軸方向)は伸び、横方向(垂直方向)は縮む。縦ひずみと横ひずみは、一方にひずみが生じると、他方もひずみが生じるという性質がある(体積不変の法則)。縦ひずみεと横ひずみε1は同時に発生し、弾性限度内では、材料によって一定の値を持つ。この比をポアソン比(ν)という。ポアソン比は、次式で表される。
ν=横ひずみ/縦ひずみ ・・・式(8)
引っ張り試験機でJIS K6251又はISO 527−2等の方法で測定することができる。ゴムやフィルムなどの非硬質の試料の場合は、試験片に歪ゲージを接着剤で取り付ける際に剛性が変わってしまうため、通常の方法では測定することができない。中間転写ベルト7の弾性層7bを構成するゴムのポアソン比は、下記の装置、方法を用いて測定することができる。なお、弾性層7bのポアソン比は、弾性層7bを構成する材料(ゴム基材に添加剤を添加して中間転写ベルト7の作製時と同様にして硬化させたもの)からJIS K6251に準拠した試験片を作成して下記の装置、方法を用いて測定することができる。また、基層7a上に弾性層7bが形成されたものから基層7aを除去し、あるいは表面層7cまで形成された中間転写ベルト7(すなわち中間転写ベルト7の完成品)から基層7a及び表面層7cを除去して弾性層7bを取り出したものを用いて試験片を作製することができる。
測定器:INSTRON社製5980デュアルコラム床置型試験機
測定方法:非接触式ビデオ伸び計(INSTRON社製、AVE2)を用いて測定
測定標準:JIS K6251
測定条件:レンズ35mmを使用。測定温度23℃。ダンベル状8号型同等の試験片。引っ張り速度10mm/Min。試験片を5本作製し、5本の測定結果の平均を使用。試験片の中央に縦方向に2点、幅方向に2点マーキングをする。試験片をクランプし、既定の速度で引っ張り、テンションと試験片の縦2点、横2点のマーキングを高分解能カメラで撮影しその距離を測定する。
4.評価試験
次に、試験例の結果について説明する。以下の説明において、質量部は、別に記載のない限り固形分換算の質量部を表す。
4−1.中間転写ベルトの作製
<試験例1>
(基層)
基層7aの材料としては、ポリイミド樹脂を用いた。基層7aの作製方法としては、例えば、基層7aの基材としてポリイミド樹脂を用いる場合は、これを適宜な方式で円筒状に展開し、その展開層を乾燥させて製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの、従来の適宜な方法がある(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報など)。上記円筒状に展開する方法としては、例えば、ポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や内周面に塗布する方式、あるいは更に遠心する方式、または注形型に充填する方式などがある。無端ベルト状の基層7aの製造に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
(弾性層)
弾性層7bの材料としては、圧縮永久歪みが小さい点や耐オゾン性に優れる点から、シリコーンゴムを用いた。また、電気抵抗を調整するための導電剤として、下記の導電剤液を用いた。また、画像濃度制御のためのパッチの反射を安定させるなどのために、下記の色材を用いた。
・付加硬化型液状シリコーンゴム(商品名:TSE3032 A材とB材の比は100:1、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):100質量部
・LIMSカラー02(信越シリコーン株式会社性):1質量部
・トリ−n−ブチルメチルアンモニウム ビストリフルオロメタンスルホンイミド(商品名:FC4400、3M社製):2質量部
上記の材料を上記の割合で添加し、遊星撹拌脱泡装置(商品名:ARV−5000、Thinky社製)で撹拌・脱泡して混合液を得た。続いて、基層7aとなる樹脂ベルトを円筒形の中子に取り付け、更に中子と同軸上にゴム吐出用のリングノズルを取り付けた。送液ポンプを用いて該液状シリコーンゴム混合液をリングノズルに供給し、スリットから吐出することで、該基層7a上に混合液を塗布した。この際、硬化後のシリコーンゴム層が200μm(0.0002m)の厚さになるように相対移動速度及び送液ポンプ吐出量を調整した。中子に取り付けた状態で熱風炉に入れ、130℃で15分、更に180℃で60分加熱し、ゴム架橋を行った。冷却後、ベルトを中子から取外し、弾性層7bが積層されたベルトを得た。
弾性層7bが積層されたベルトのヤング率(弾性層7bのヤング率)Eは、前述の装置、方法を用いて測定した結果、0.002MPaであった。
また、弾性層7bを構成するゴムのポアソン比νは、前述のようにJIS K6251に準拠した試験片を作成し、前述の非接触ビデオ試験機を用いて前述の方法で試験を行った結果、0.49であった。
(中間層)
本例では、弾性層7bと表面層7cとの間に中間層(図示せず)を設けた。中間層の材料としては、ポリウレタン樹脂液である塗料(商品名:HydRan 201、DIC社製)を用いた。弾性層7bの表面にエキシマUV照射して弾性層7bの表面を親水化処理した、上記弾性層7bが積層されたベルトを中子に嵌め合わせ、200rpmで回転させながら、スプレーガン(商品名:W−101、アネスト岩田社製)を用いて該塗料を塗布した。塗布時の塗料の吐出量は、中間層の乾燥後の厚さが5μmとなるように設定した。なお、本例では、表面層7cの塗工方法としてスプレー塗工を用いたが、この方法に限定されるものではなく、ディップ方式、ディスペンサー塗工などでの塗工も可能である。上記塗料の塗布後、ベルトを中子に嵌め合せた状態で、200rpmで回転させながら15分間自然乾燥を行った。自然乾燥後、中間層が積層されたベルトを得た。
中間層の材料としては、ポリウレタン樹脂に限らず、フッ素樹脂、含フッ素ウレタン樹脂、フッ素ゴム、シロキサン変性ポリイミドなどが挙げられる。これらのうち、表面層7cに生じたクラックが厚さ方向に成長するのを防止する観点から、破断伸度の大きいウレタン樹脂が好ましい。
中間層の厚さは1μm以上、15μm以下が好ましく、1μm以上、10μm以下がより好ましい。中間層の厚さが1μm未満であると、摩耗により消失しやすくなる可能性があり、15μmより大きいと、弾性層7bの弾性機能を阻害してしまう可能性がある。
中間層は、必要に応じて、前述した弾性層7bに含有させ得るものと同様の導電剤を含んでいてもよい。導電剤の量としては、付着性や機械強度の観点から、中間層の基材100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。
また、必要に応じて、弾性層7bと中間層との間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層の厚さは、弾性層7bの弾性機能を阻害しないようにする観点から、0.1μm以上、2μm以下が好ましい。
(表面層)
表面層7cの材料としては、ポリウレタンディスパージョンにポリテトラフルオロエチレンが分散された含フッ素ポリウレタン樹脂液である塗料(商品名:Emralon T−861、ヘンケルジャパン社製)を使用した。上記中間層までが積層されたベルトを中子に嵌め合わせ、200rpmで回転させながら、スプレーガン(商品名:W−101、アネスト岩田社製)を用いて該塗料を塗布した。塗布時の塗料の吐出量は、表面層7cの乾燥後の厚さが3μmとなるように設定した。上記塗料の塗布後、130℃の加熱炉に入れ、30分間放置した。加熱炉から取出し、冷却後、中間転写ベルト7を得た。なお、本例では、表面層7cの塗工方法としてスプレー塗工を用いたが、この方法に限定されるものではなく、ディップ方式、ディスペンサー塗工などでの塗工も可能である。
<試験例2〜51>
試験例1の中間転写ベルト7に対して、弾性層7bのゴム材のA材とB材との比を変更して完成後の弾性層7bゴムのヤング率を振り、また弾性層7bの厚さを振った、試験例2〜51の中間転写ベルト7を作製した。試験例2〜51の中間転写ベルト7の構成は、上記の点が異なることを除いて、試験例1の中間転写ベルト7と同じである。
試験例1〜51の中間転写ベルト7に関し、弾性層7bのゴム材のA材とB材との混合比、弾性層7bが積層されたベルトのヤング率(弾性層7bのヤング率)Eの測定結果、弾性層7bの厚さLを表1にまとめた。
Figure 2021089394
4−2.評価方法
フルカラー電子写真画像形成装置(商品名:imagePRESS C800、キヤノン社製)に装着されている中間転写ベルトに代えて、上記各試験例の中間転写ベルト7を装着した。まず、23℃/5%RHの環境下において、エンボス紙であるレザック66 250g A3サイズ紙を使用し、シアンとマゼンダの2次色ベタ画像を出力し、凹み部の濃度と平滑部分の濃度差を目視で確認し、転写性の評価を行った。上記エンボス紙は、トナー像が転写される表面に凹凸を有する転写材6の一例である。そして、ほとんどの凹み部にトナーが転写されており、ブルーに発色しているものを「○(良好)」、相対的に深い凹みのみトナーが転写されていないものを「△(概ね良好)」、相対的に浅い凹みにもトナーが転写されていないものを「×(不良)」とした。なお、2次転写電流によって転写効率が異なるため、電流を可変として最も凹み部にトナーが転写されている2次転写電流の設定にて出力した画像で判断した。
次に、A3サイズの普通紙(商品名:CS814、キヤノン社製)1ポイントの横ライン(転写材の搬送方向と略直交する方向に延びる横線)を印字し、ハンディ型画像評価システム(商品名:QEA社製PIAS−II)を用いて画質評価を行った。画質評価は、任意の10点の細線のRaggednessの値を平均したものを用いて行った。図8に示すように、Raggednessは、画面内のラインの前方(搬送方向先端側)と後方(搬送方向後端側)に乱れた部分の幅を足し合わせた値を1点の値とし、その10点の平均が5μm以下を「○(良好)」、5μmを超えるものを「×(不良)」と判定した。Raggednessの測定方法は、ISO/IEC13660: 2001に準拠した測定方法とする。
4−3.評価結果
上記評価方法による試験例1〜52の中間転写ベルト7に関する評価結果を表2に示す。
Figure 2021089394
図9は、表2に示す評価結果をまとめたものである。同図中の「●」は評価結果が目標を満足した点(転写性が〇又は△、Raggednessが〇)、「×」は評価結果が目標を満足しなかった点(転写性が×、Raggednessが×)である。
表2、図9から、弾性層7bの厚さLが0.0002m以上、0.0004m以下の場合、剛性率Gを弾性層7bの厚さLで割った値G/Lが8.4(MPa/m)以上、1118(MPa/m)以下の範囲である場合に、凹凸紙に対する転写性及びRaggednessが良好であることがわかる。また、表2、図9から、弾性層7bの厚さLが0.0004mより大きく、0.0008m以下の場合、剛性率Gを弾性層7bの厚さLで割った値G/Lが 8.4(MPa/m)以上、130125e−10814L(MPa/m)以下の範囲である場合に、凹凸紙に対する転写性及びRaggednessが良好であることがわかる。
つまり、単位厚さ当たりの剛性率が所定の範囲内となるようにすることで、凹凸を有する紙に対する転写性の向上という弾性中間転写ベルトのアドバンテージを維持しつつ、2次転写ニップ部T2でのトナーの位置ずれを抑制することができる。
このように、本発明に従う中間転写ベルト7は、弾性層7bの厚さL(m)が0.0002(m)以上、0.0004(m)以下である場合、弾性層7bの剛性率G(MPa)を弾性層7bの厚さL(m)で割った値G/L(MPa/m)が8.4(MPa/m)以上、1118(MPa/m)以下である。また、弾性層7bの厚さL(m)が0.0004(m)より大きく、0.0008(m)以下である場合、弾性層7bの剛性率G(MPa)を弾性層7bの厚さL(m)で割った値G/L(MPa/m)が8.4(MPa/m)以上、130125e−10814L(MPa/m)以下である。これにより、細線の高画質化を達成しつつ、小径トナーを用いる場合でも凹凸紙に対する転写性を満足することができる。
以上、本実施例によれば、凹凸紙に対する転写性、細線の再現性が良い、中間転写ベルトを提供することができる。したがって、本実施例によれば、細線の画質の向上を図りつつ、凹凸を有する転写材6に対する転写性の向上を図ることが可能となる。
7 中間転写ベルト
7a 基層
7b 弾性層
7c 表面層
100 画像形成装置

Claims (5)

  1. 画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、
    弾性層を有し、
    前記弾性層の厚さL(m)が0.0002(m)以上、0.0004(m)以下であり、
    前記弾性層の剛性率G(MPa)を前記弾性層の厚さL(m)で割った値G/L(MPa/m)が8.4(MPa/m)以上、1118(MPa/m)以下であることを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、
    弾性層を有し、
    前記弾性層の厚さL(m)が0.0004(m)より大きく、0.0008(m)以下であり、
    前記弾性層の剛性率G(MPa)を前記弾性層の厚さL(m)で割った値G/L(MPa/m)が8.4(MPa/m)以上、130125e−10814L(MPa/m)以下であることを特徴とする中間転写ベルト。
  3. 基層と、前記基層の上に設けられた前記弾性層と、前記弾性層の上に設けられた表面層と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写ベルト。
  4. 前記画像形成装置は平均粒径6μm以下のトナーを用いて画像を形成するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の中間転写ベルト。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の中間転写ベルトを有する画像形成装置。
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