JP2014063772A - 配向磁石と希土類磁石の製造方法 - Google Patents

配向磁石と希土類磁石の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014063772A
JP2014063772A JP2012206285A JP2012206285A JP2014063772A JP 2014063772 A JP2014063772 A JP 2014063772A JP 2012206285 A JP2012206285 A JP 2012206285A JP 2012206285 A JP2012206285 A JP 2012206285A JP 2014063772 A JP2014063772 A JP 2014063772A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnet
molded body
molten glass
plastic working
hot plastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012206285A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6003446B2 (ja
Inventor
Osamu Yamashita
修 山下
Akira Kano
彰 加納
Eisuke Hoshina
栄介 保科
Masaki Sugiyama
昌揮 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2012206285A priority Critical patent/JP6003446B2/ja
Publication of JP2014063772A publication Critical patent/JP2014063772A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6003446B2 publication Critical patent/JP6003446B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】熱間塑性加工前の成形体表面の酸化膜等を効果的に除去できるとともに、その後の熱間塑性加工において成形体と成形型の間の良好な潤滑性を保証することのできる配向磁石の製造方法と、この方法で得られた配向磁石を使用する希土類磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】磁石材料となる粉末を加圧成形してなる成形体Sを溶融ガラスL中に浸漬し、陽極となる成形体Sと溶融ガラスL中に配設された陰極部材Gが繋がれた電源を含む回路Fに通電して成形体Sの表面を電解研磨するステップ、電解研磨され、表面に溶融ガラスが付着している成形体Sからなる熱間塑性加工前駆体を成形型内に収容して熱間塑性加工をおこない、熱間塑性加工前駆体に磁気的異方性が付与された配向磁石Cを製造するステップからなる配向磁石の製造方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、希土類磁石の前駆体である配向磁石の製造方法と、この方法によって製造された配向磁石を使用した希土類磁石の製造方法に関するものである。
希土類磁石の製造方法の一例を概説すると、たとえばNd-Fe-B系の金属溶湯を急冷凝固して得られた微粉末を加圧成形しながら成形体とし、この成形体に磁気的異方性を付与するべく熱間塑性加工を施して希土類磁石前駆体(配向磁石)を製造し、この希土類磁石前駆体に対し、その保磁力を高める改質合金を拡散浸透させて希土類磁石を製造する方法が一般に適用されている。なお、特許文献1には、この改質合金として低融点のNd-Cu合金を使用し、これを配向磁石表面に付着し、熱処理することで拡散浸透させる技術が開示されている。
上記する一般的な製造方法においては、配向磁石の表面に酸化膜やその成形過程で使用される離型剤等が不純物として付着してしまうことが往々にしてあり、これらを残した状態でその上から改質合金を配向磁石に配し、改質合金を融解させて拡散浸透をおこなおうとすると、酸化膜や不純物が改質合金の拡散浸透を阻害してしまい、保磁力を十分に高めることができないといった問題が生じ得る。
この問題に対し、特許文献2には、希土類磁石の熱間塑性加工に当たり、NiやCu等の合金からなる軟質金属を成形体の表面に被覆しておく異方性希土類磁石の製造方法が開示されている。この方法によれば、成形型との焼付けを防止しながら、大気中で加熱しても成形体の表面酸化を防止することができるとしている。
しかしながら、既に酸化膜が形成されている成形体の表面に軟質金属をコーティングしてもその密着性は必ずしも良好でなく、軟質金属は剥がれ易い。さらに、この軟質金属にて成形型との潤滑性を確保しようとしているが、軟質金属が固体潤滑剤ゆえに成形型と軟質金属の摩擦係数は自ずと高くなってしまい、熱間塑性加工時に大きな成形荷重を要することになる。
特開2011−061038号公報 特開平7−176443号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、熱間塑性加工前の成形体表面の酸化膜を効果的に除去できるとともに、その後の熱間塑性加工において成形体と成形型の間の良好な潤滑性を保証することのできる配向磁石の製造方法と、この方法で得られた配向磁石を使用する希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による配向磁石の製造方法は、磁石材料となる粉末を加圧成形してなる成形体を溶融ガラス中に浸漬し、陽極となる該成形体と溶融ガラス中に配設された陰極部材が繋がれた電源を含む回路に通電して成形体の表面を電解研磨する第1のステップ、電解研磨され、表面に溶融ガラスが付着している成形体からなる熱間塑性加工前駆体を成形型内に収容して熱間塑性加工をおこない、熱間塑性加工前駆体に磁気的異方性が付与された配向磁石を製造する第2のステップからなるものである。
本発明による配向磁石の製造方法は、成形体に対して磁気的異方性を与える熱間塑性加工(強加工ともいう)を施す際にこの成形体を溶融ガラス中に浸漬して電解研磨しておき、電解研磨された成形体を成形型にて熱間塑性加工することにより、成形体の表面に形成されている酸化膜を電解研磨によって効果的に除去することができる。さらに、このことによって成形体とこの成形体の表面に付着した溶融ガラスの濡れ性が良好となり、潤滑膜切れが生じ難いことから、成形型内における熱間塑性加工の際に成形型と成形体の間の摩擦係数も小さくなり、成形荷重を小さくすることができるものである。
本発明の製造方法が製造対象とする配向磁石には、組織を構成する主相(結晶粒)の粒径が200nm以下程度のナノ結晶磁石は勿論のこと、粒径が300nm以上のもの、さらには粒径が1μm以上の焼結磁石などが包含されるが、中でも、熱間塑性加工を必須とするナノ結晶磁石に対して好適なものである。
ここで、「電解研磨」とは、金属製のワークを陽極として電解液を介して直流電流を通電し、ワーク表面を溶解させることで研磨効果を得る方法であり、ワーク表面を切削や磨耗、変形等することで平滑化させる物理的研磨と異なり、ワークに物理的外力を付与しないことから残留応力は発生せず、加工に伴う変質層が生じない電気化学的研磨方法である。本発明の製造方法では、溶融状態で導電性を有する溶融ガラスをこの電解液として使用する。
成形体の表面には少なからず酸化膜が形成されていることから、熱間塑性加工の前段で電解研磨にてこの酸化膜を十分に取り除いておくことで、溶融ガラスと成形体との濡れ性が良好となり、成形体の表面に溶融ガラスを付着させた状態でこれを成形型内に収容し、熱間塑性加工を実施することが可能となる。成形体の表面に溶融ガラスが付着していることでこれが潤滑剤の役割を担い、成形型内での成形型の熱間塑性加工の際の成形荷重を低減することができる。
熱間塑性加工の前段で成形体表面の酸化膜が十分に除去されていることから、熱間塑性加工にて成形された配向磁石やこの配向磁石からなる希土類磁石の保磁力(磁気特性)を向上させることができる。
また、熱間塑性加工の際には成形体を加熱した上で成形荷重が付与されることになるが、従来の製造方法では、この成形体の加熱によっても成形体の表面に酸化膜が生じていた。
そこで、前記第1のステップにおいて加熱された溶融ガラス中に成形体を浸漬させることにより、熱間塑性加工の際(ここではその前段)の成形体の加熱が高温の溶融ガラスにて実施されることから、成形体が空気(酸素)に触れない状態で加熱されることとなり、成形体の加熱の際に酸化膜が生じるのを効果的に抑止することができる。
この製造方法で使用される製造装置の一例としては、溶融ガラスを収容する収容槽、この槽を収容して赤外線や電磁波、高周波などのヒータ等を備えた容器、収容槽内に配設される陰極用の電極部材、この陰極用電極部材と陽極となる成形体を繋いで電源が介在する外部回路などから構成される形態を挙げることができる。なお、溶融ガラスは、収容槽内に固形のガラスを載置し、装置に内蔵されたヒータ等で熱処理することでガラスを溶融して生成することができる。
また、この回路の末端に導電性の吊り治具を接続し、この吊り治具にて成形体を把持した姿勢で溶融ガラス中に成形体を浸漬する構成であってもよい。
上記するように、成形体の表面に既に生じている酸化膜が取り除かれ、さらには熱間塑性加工前の熱処理の際に酸化膜が生成されていない成形体を熱間塑性加工することで、保磁力性能に優れた配向磁石が製造される。
また、本発明は希土類磁石の製造方法にも及ぶものであり、この方法は、前記製造方法における第2のステップで製造された配向磁石に対し、保磁力を高める改質合金を拡散浸透させて希土類磁石を製造するものである。
ここで、配向磁石に拡散浸透される改質合金としては、既述するように保磁力性能の高いDy、Tbといった重希土類元素を単独で使用したり、重希土類元素を含む合金である、60Nd-30Cu-10Dy合金(共晶点503℃)や50Nd-30Cu-20Dy(共晶点576℃)などを使用してもよいが、材料コスト等を勘案して、重希土類元素を含まない改質合金である、Nd-Cu合金(共晶点520℃)やPr-Cu合金(共晶点480℃)、Nd-Pr-Cu合金、Nd-Al合金(共晶点640℃)、Pr-Al合金(650℃)、Nd-Pr-Al合金、Nd-Co合金(共晶点566℃)、Pr-Co合金(共晶点540℃)、Nd-Pr-Co合金のいずれか一種を適用するのが好ましい。
本発明の製造方法で得られた希土類磁石は、磁気特性に優れた配向磁石の保磁力性能がさらに高められたものである。
以上の説明から理解できるように、本発明の配向磁石と希土類磁石の製造方法によれば、電解研磨にて成形体の表面に生じている酸化膜を十分に除去することができる。この酸化膜の除去により、成形体に良好な濡れ性を有する溶融ガラスが付着される。この成形体を成形型内で熱間塑性加工する際に、成形体と成形型の間の摩擦係数を小さくすることで熱間塑性加工時の成形荷重を小さくすることができ、また、保磁力性能に代表される磁気特性に優れた配向磁石と希土類磁石を製造することができる。
(a)、(b)の順で本発明の配向磁石の製造方法の第1のステップにおける成形体の製造までを説明した模式図である。 図1bで示す成形体のミクロ構造を説明した図である。 図1に続いて、製造方法の第1のステップを説明した図である。 図3に続いて第2のステップを説明した図である。 製造された配向磁石のミクロ構造を説明した図である。 図1〜5にて説明される配向磁石の製造方法で製造された配向磁石を使用した希土類磁石の製造方法を説明した模式図である。 製造された希土類磁石のミクロ構造を説明した図である。
以下、図面を参照して本発明の配向磁石と希土類磁石の製造方法の実施の形態を説明する。なお、図示例はナノ結晶磁石である希土類磁石の製造方法を説明したものであるが、本発明の希土類磁石の製造方法はナノ結晶磁石の製造に限定されるものではなく、結晶粒の相対的に大きな焼結磁石等の製造に適用できることは勿論のことである。
(配向磁石の製造方法の実施の形態)
図1a、bはその順で本発明の配向磁石の製造方法の第1のステップにおける成形体の製造までを説明した模式図であり、図2は図1bで示す成形体のミクロ構造を説明した図である。また、図3は図1に続いて、製造方法の第1のステップを説明した図であり、図4は図3に続いて第2のステップを説明した図であり、図5は製造された配向磁石のミクロ構造を説明した図である。
図1aで示すように、たとえば50kPa以下に減圧したArガス雰囲気の不図示の炉中で、単ロールによるメルトスピニング法により、合金インゴットを高周波溶解し、配向磁石を与える組成の溶湯を銅ロールRに噴射して急冷薄帯B(急冷リボン)を製作し、これを粗粉砕する。
粗粉砕された急冷薄帯Bを図1bで示すように超硬ダイスDとこの中空内を摺動する超硬パンチPで画成されたキャビティ内に充填し、超硬パンチPで加圧しながら(X方向)加圧方向に電流を流して通電加熱することにより、ナノ結晶組織のNd-Fe-B系の主相(50nm〜200nm程度の結晶粒径)と、主相の周りにあるNd-X合金(X:金属元素)の粒界相からなる成形体Sを製作する。
ここで、粒界相を構成するNd-X合金は、Ndと、Co、Fe、Ga等のうちの少なくとも1種以上の合金からなり、たとえば、Nd-Co、Nd-Fe、Nd-Ga、Nd-Co-Fe、Nd-Co-Fe-Gaのうちのいずれか一種、もしくはこれらの二種以上が混在したものであって、Ndリッチな状態となっている。
図2で示すように、成形体Sはナノ結晶粒MP(主相)間を粒界相BPが充満する等方性の結晶組織を呈している。
成形された成形体Sの表面には少なからず酸化膜が形成されており、この酸化膜を残したままでこれを熱間塑性加工して配向磁石を成形すると、配向磁石の保磁力性能を低下させてしまう。そこで、製造された成形体Sに対してその表面の酸化膜を除去して熱間塑性加工前駆体を製造する。
図3は、酸化膜除去装置を示すとともに酸化膜の除去方法を説明した図である。図示する酸化膜除去装置Eは、溶融ガラスLを収容する収容槽Zと、この収容槽Zを収容して赤外線や電磁波、高周波などのヒータYaを備えた容器Yと、収容槽Z内に配設される白金等からなる陰極部材Gと、陽極となる成形体Sを把持する導電性の吊り治具Jと、この吊り治具Jと陰極部材Gを繋いで電源およびスイッチが介在する回路Fとから構成されている。
まず、収容槽Z内に不図示の固形のガラスを収容し、ヒータYaを稼働してガラスを加熱溶融して高温状態の溶融ガラスLを収容槽Z内で生成し、この溶融ガラスLを介してここに浸漬された成形体Sを熱処理して熱間塑性加工の準備をおこなう。
次に、回路のスイッチをONし、陽極である成形体Sと陰極部材Gの間を導電性の溶融ガラスLを介して通電し、成形体Sを溶融ガラスL内に浸漬する前にその表面に形成されている酸化膜を電解研磨にて除去することによって熱間塑性加工前駆体を製作する。
この電解研磨による酸化膜除去により、成形体Sの表面と溶融ガラスとの濡れ性を良好なものとできる。
そして、熱間塑性加工の前段における成形体Sの熱処理を酸素の存在しない溶融ガラスL内で実施することで、この熱処理の際に成形体Sの表面に酸化膜が生じるのを抑止することができる。
すなわち、高温の溶融ガラスL内で電解研磨と熱処理をおこなうことで、成形体Sの表面に既に生じていた酸化膜を除去でき、しかも酸化膜を生じることなく所望に熱処理することができる(以上、第1のステップ)。
次に、この酸化膜が除去されて熱処理された成形体Sを溶融ガラスL内から取り出し、この成形体Sに異方性を与えるべく、図4で示すように成形体Sを超硬ダイスDに収容してその長手方向(図1bでは水平方向が長手方向)の端面に超硬パンチPを当接させ、超硬パンチPで加圧しながら(X方向)熱間塑性加工をおこなう。この熱間塑性加工により、図5で示すように異方性のナノ結晶粒MPを有する結晶組織の配向磁石C(希土類磁石前駆体)が製作される(第2のステップ)。
この熱間塑性加工においては、成形体Sの表面に濡れ性の良好な溶融ガラスが付着していることから、この溶融ガラスが成形体Sと超硬ダイスDとの間の潤滑剤となるため、熱間塑性加工時の成形(鍛造)荷重を低減することが可能となる。
なお、熱間塑性加工による加工度(圧縮率)が大きい場合、たとえば圧縮率が10%程度以上の場合を、熱間強加工もしくは単に強加工と称することができる。
図5で示す配向磁石Cの結晶組織において、ナノ結晶粒MPは扁平形状をなし、異方軸とほぼ平行な界面は湾曲したり屈曲している。
次に、図6で示すように、製作された配向磁石Cをヒータ内蔵の高温炉H内に収容し、改質合金の塊Mを希土類磁石前駆体Cの上下に配して双方を接触させ、炉内を高温雰囲気とする。
ここで、改質合金Mとしては、重希土類元素を含まないRE-Y合金(RE: Nd、Prの少なくとも一種、Y:遷移金属元素)を使用するのが好ましい。遷移金属元素Yとしては、Cu、Alのうちのいずれか一種を適用し、したがって、RE-Y合金としては、Nd-Cu合金、Nd-Al合金、Pr-Cu合金、Pr-Al合金のいずれか一種を使用する。
RE-Y合金として上記例示の合金を使用した場合、Nd-Cu合金の共晶点は520℃、Pr-Cu合金の共晶点は480℃、Nd-Al合金の共晶点は640℃、Pr-Al合金の共晶点は650℃であり、いずれも700℃以下の低融点である。
改質合金MとしてNd-Cu合金を使用する場合は、その共晶点が520℃であることから、したがって、高温炉H内を520℃程度かそれ以上の温度雰囲気下(たとえば600℃程度)とすることで改質合金であるNd-Cu合金が溶融する。
溶融したNd-Cu合金の融液が粒界相BP内に拡散浸透していき、Nd-Co、Nd-Fe、Nd-Ga、Nd-Co-Fe、Nd-Co-Fe-Gaやこれらが混在した粒界相の一部もしくは全部がNd-Cu合金で改質された粒界相が形成される。
改質合金MとしてNd-Al合金を使用する場合は、その共晶点が640℃であることから、したがって、640〜650℃の温度雰囲気下とすることでNd-Al合金を溶融させてその融液を粒界相内に拡散浸透させることができ、Nd-Co、Nd-Fe、Nd-Ga、Nd-Co-Fe、Nd-Co-Fe-Gaやこれらが混在した粒界相の一部もしくは全部がNd-Al合金で改質された粒界相が形成される。
このように700℃以下の低融点の改質合金の塊Mを使用して低温で溶融させることにより、たとえばナノ結晶磁石の場合に800℃程度以上の高温雰囲気下に置かれた際に問題となる結晶粒の粗大化の問題は生じ得ない。
上記するNd-Cu合金やNd-Al合金、Pr-Cu合金、Pr-Al合金のいずれかを使用し、600℃以上700℃以下の温度で所定時間熱処理をおこなうことにより、図7で示すように、粒界相BPがNdもしくはPrリッチな組成に改質された希土類磁石RMが製造される。
同図で示すように、改質合金Mによる改質が十分に進んだ段階では異方軸とほぼ平行な界面(特定の面)が形成される。このように上記する製造方法によって得られる希土類磁石RMは、成形体Sに異方性を付与するための熱間塑性加工を施して得られる配向磁石Cに対して、700℃以下の低融点の改質合金の融液を粒界相内に拡散浸透させることにより、熱間塑性加工によって生じた残留歪みが改質合金の融液と接触することで除去され、さらに結晶粒の微細化と、結晶粒間の磁気分断が促進することによってその保磁力が向上する。
[保磁力性能評価実験とその結果]
本発明者等は、以下の方法で実施例および比較例にかかる配向磁石を製造し、それぞれの配向磁石の保磁力を測定するとともに、熱間塑性加工時の成形荷重や加工後の配向磁石の酸素濃度を測定し、さらに成形型の焼付けの有無を観察する実験をおこなった。
(実施例)
図3で示す装置を用いて、ガラス(組成が、P2O5:55mass%、Na2O:20mass%、K2O:15.0mass%、Al2O3:9.5mass%であり、導電率が溶融時の電気抵抗約10Ωcm)を収容槽内に収容し、全体が790℃になるまで加熱してガラスを溶融させ、溶融ガラス中に常温の等方性磁石(直径10mm、高さ15mm)を浸漬した。次いで、電極と等方性磁石の間に磁石へ流れる電流が1A/dm2となるように電圧を印加し、この状態を5分間保持した。次に溶融ガラスから取り出した等方性磁石を、鍛造プレスによって高さが初期の20%(3mm)となるまでひずみ速度1/sで熱間塑性加工した。
加工後の表面を観察したところ、焼付けは全く確認されなかった。また、熱間塑性加工時の最大荷重は18.4kN(10試験体の平均)、加工後の磁石の酸素濃度は1580ppm(10試験体の平均、ワーク表面からガラスを除去した後に試験体全体を150μm以下に粉砕し、攪拌した後、測定試料を採取した。粉砕作業以降はAr雰囲気中で実施した。)、保磁力は14.2kN(10試験体の平均、表面を含む1mm角の試料で測定、試料採取位置は中央部)であった。
(比較例)
図3で示す装置を用いて、ガラス(組成が、P2O5:55mass%、Na2O:20mass%、K2O:15.0mass%、Al2O3:9.5mass%)を収容槽内に収容し、全体が790℃になるまで加熱してガラスを溶融させ、溶融ガラス中に常温の等方性磁石(直径10mm、高さ15mm)を浸漬した。ここでは、電極と等方性磁石の間に電圧を印加せずに、この状態を5分間保持した。次に、溶融ガラスから取り出した等方性磁石を、鍛造プレスによって高さが初期の20%(3mm)となるまでひずみ速度1/sで熱間塑性加工した。
加工後の表面を観察したところ、成形型のうちで成形体と接する面に焼付けが確認された。また、熱間塑性加工時の最大荷重は23.1kN(10試験体の平均)であり、実施例に比して高い値となった。また、加工後の磁石の酸素濃度は1880ppm(10試験体の平均、ワーク表面からガラスを除去した後に試験体全体を150μm以下に粉砕し、攪拌した後、測定試料を採取した。粉砕作業以降はAr雰囲気中で実施した。)、保磁力は13.5kN(10試験体の平均、表面を含む1mm角の試料で測定、試料採取位置は中央部)であり、実施例に比して保磁力性能が低下していることが分かった。
本実験より、電解研磨にて成形体の表面から酸化膜を除去した後に熱間塑性加工をおこなうことにより、成形型に焼付けは生じず、熱間塑性加工時の鍛造荷重も低減でき、さらに、保磁力性能に優れた配向磁石(および希土類磁石)を製造できることが実証されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
R…銅ロール、B…急冷薄帯(急冷リボン)、D…超硬ダイス、P…超硬パンチ、S…成形体、C…配向磁石(希土類磁石前駆体)、M…改質合金(の塊)、MP…主相(ナノ結晶粒、結晶粒)、BP…粒界相、RM…希土類磁石、E…酸化膜除去装置、Y…容器、Ya…ヒータ、Z…収容槽、J…吊り治具、F…回路、G…陰極部材、L…溶融ガラス、H…高温炉

Claims (5)

  1. 磁石材料となる粉末を加圧成形してなる成形体を溶融ガラス中に浸漬し、陽極となる該成形体と溶融ガラス中に配設された陰極部材が繋がれた電源を含む回路に通電して成形体の表面を電解研磨する第1のステップ、
    電解研磨され、表面に溶融ガラスが付着している成形体からなる熱間塑性加工前駆体を成形型内に収容して熱間塑性加工をおこない、熱間塑性加工前駆体に磁気的異方性が付与された配向磁石を製造する第2のステップからなる配向磁石の製造方法。
  2. 第1のステップでは、加熱された溶融ガラス中に成形体を浸漬させる請求項1に記載の配向磁石の製造方法。
  3. 前記溶融ガラスは、固形のガラスを加熱して生成されたものである請求項2に記載の配向磁石の製造方法。
  4. 第1のステップでは、導電性の吊り治具にて成形体を吊った状態で溶融ガラス中に該成形体を浸漬し、該吊り治具が回路の一部をなしている請求項1〜3のいずれかに記載の配向磁石の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法における第2のステップで製造された配向磁石に対し、保磁力を高める改質合金を拡散浸透させて希土類磁石を製造する希土類磁石の製造方法。
JP2012206285A 2012-09-19 2012-09-19 配向磁石と希土類磁石の製造方法 Expired - Fee Related JP6003446B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206285A JP6003446B2 (ja) 2012-09-19 2012-09-19 配向磁石と希土類磁石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206285A JP6003446B2 (ja) 2012-09-19 2012-09-19 配向磁石と希土類磁石の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014063772A true JP2014063772A (ja) 2014-04-10
JP6003446B2 JP6003446B2 (ja) 2016-10-05

Family

ID=50618780

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012206285A Expired - Fee Related JP6003446B2 (ja) 2012-09-19 2012-09-19 配向磁石と希土類磁石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6003446B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017020055A (ja) * 2015-07-07 2017-01-26 トヨタ自動車株式会社 高周波誘導加熱方法
CN108695033A (zh) * 2017-03-30 2018-10-23 Tdk株式会社 R-t-b系烧结磁铁

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59115512A (ja) * 1982-12-22 1984-07-04 日本電気株式会社 セラミツク電子部品の絶縁方法
JPH02214106A (ja) * 1989-02-15 1990-08-27 Namiki Precision Jewel Co Ltd 熱間塑性変形磁石及びその製造方法
JP2005294381A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Tdk Corp 磁石の製造方法及び磁石
JP2006179940A (ja) * 2006-01-13 2006-07-06 Shin Etsu Chem Co Ltd 高耐食性永久磁石及びその製造方法
JP2007127214A (ja) * 2005-11-04 2007-05-24 Ebatekku:Kk 磁気車の製造方法及び磁気カップリングの製造方法
JP2007251060A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Tdk Corp 希土類磁石及びその製造方法
JP2008218647A (ja) * 2007-03-02 2008-09-18 Osaka Industrial Promotion Organization 希土類磁石の酸洗浄方法および前記方法によって酸洗浄された希土類磁石
JP2010114200A (ja) * 2008-11-05 2010-05-20 Daido Steel Co Ltd 希土類磁石の製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59115512A (ja) * 1982-12-22 1984-07-04 日本電気株式会社 セラミツク電子部品の絶縁方法
JPH02214106A (ja) * 1989-02-15 1990-08-27 Namiki Precision Jewel Co Ltd 熱間塑性変形磁石及びその製造方法
JP2005294381A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Tdk Corp 磁石の製造方法及び磁石
JP2007127214A (ja) * 2005-11-04 2007-05-24 Ebatekku:Kk 磁気車の製造方法及び磁気カップリングの製造方法
JP2006179940A (ja) * 2006-01-13 2006-07-06 Shin Etsu Chem Co Ltd 高耐食性永久磁石及びその製造方法
JP2007251060A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Tdk Corp 希土類磁石及びその製造方法
JP2008218647A (ja) * 2007-03-02 2008-09-18 Osaka Industrial Promotion Organization 希土類磁石の酸洗浄方法および前記方法によって酸洗浄された希土類磁石
JP2010114200A (ja) * 2008-11-05 2010-05-20 Daido Steel Co Ltd 希土類磁石の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017020055A (ja) * 2015-07-07 2017-01-26 トヨタ自動車株式会社 高周波誘導加熱方法
CN108695033A (zh) * 2017-03-30 2018-10-23 Tdk株式会社 R-t-b系烧结磁铁

Also Published As

Publication number Publication date
JP6003446B2 (ja) 2016-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101661416B1 (ko) 희토류 자석의 제조 방법
JP5640954B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5870914B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
CN104388951B (zh) 一种提高烧结钕铁硼磁性能的晶界扩散方法
RU2595073C1 (ru) Способ изготовления редкоземельного магнита
JP5725200B2 (ja) 希土類磁石
CN106205992B (zh) 高矫顽力及低剩磁温度敏感性的烧结钕铁硼磁体及制备
CN105849828B (zh) 制造稀土磁体的方法
JPWO2012036294A1 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP2013149862A (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5915637B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP5691989B2 (ja) 希土類磁石前駆体の焼結体を形成する磁性粉体の製造方法
JP2014082422A (ja) 希土類磁石の製造方法
KR101966785B1 (ko) Nd-Fe-B계 자석의 제조방법
US10062504B2 (en) Manufacturing method of rare-earth magnet
JP2021013031A (ja) 磁石製造
JP6003446B2 (ja) 配向磁石と希土類磁石の製造方法
KR101813427B1 (ko) 희토류 자석의 제조 방법
KR101664726B1 (ko) 희토류 자석의 제조 방법
JP5742733B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP2012195392A (ja) R−t−b系永久磁石の製造方法
JP6003452B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP6313202B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP2016076614A (ja) 希土類磁石の製造方法
CN108831654A (zh) 一种提高烧结钕铁硼磁体性能的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160809

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160822

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6003446

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees