JP2014055242A - スチレン系難燃性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】滴下物の燃焼を抑制可能な高度な難燃性と強度、耐熱性を備え、組成に起因する成形収縮率と反りを従来と同程度に抑えた、ハロゲン系難燃剤を用いないスチレン系難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(C)縮合リン酸エステルと(D)タルクとを配合し、(A)と(B)との合計量を100質量部とした時、(B)が10〜30質量部であり、(D)が0.1〜10質量部であり、組成物中に含まれるゴム状重合体の含有量が3.5〜8.5質量%である樹脂組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、リン系難燃剤を用いたスチレン系難燃性樹脂組成物と、該組成物を用いた成形体に関する。
ゴム変性スチレン系樹脂は広範囲の用途に使用されており、特に、難燃性樹脂はワープロ、パーソナルコンピュータ、プリンター、複写機等のOA機器、テレビ、VTR、オーディオ等の家電製品等を初めとする多岐の分野で使用されている。従来から、スチレン系樹脂に難燃性を付与するために、種々の難燃剤が提案されており、中でも安価で物性バランスに優れているハロゲン含有有機化合物が多く使用されている。しかしながら、近年ハロゲン含有有機化合物を規制する動きが欧州を中心に活発化していることなどから、ハロゲン元素を含まない難燃樹脂、難燃樹脂組成物の需要が高まっている。こうしたハロゲン系難燃剤の代替難燃剤としてリン系難燃剤が検討されている。
リン系難燃剤では難燃効果を発現するために炭化層形成成分を含有する樹脂と併用することが一般的である。ところがこの炭化層形成成分を含有する樹脂は成形収縮率及び成形品の反り特性がゴム変性スチレン系樹脂と大きく異なっているため、ゴム変性スチレン系樹脂に炭化層形成成分を含有する樹脂を配合し、リン系難燃剤を添加して難燃性樹脂組成物とすると、係る難燃性樹脂組成物を成形した際に、成形時の収縮率や成形品の反りがハロゲン系難燃剤を用いた場合よりも大きくなってしまう。
特許文献1には、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、有機リン酸エステル、タルク等を含む樹脂組成物が記載され、該組成物は特定の無機化合物を特定割合で配合することで、高強度、高寸法精度、低反り性、及び良好な難燃性を有することが開示されている。しかしながら、反りについては具体的に示されていない。
一方、最近トナーカートリッジ容器は本体のコンセプトから起因するコンパクト化が要求され、ユーザーが交換作業を行う設計となっている。こうした要請からユーザーが直接手に触れることとなるトナーカートリッジ容器には、後述するUL94でV−2以上の高度な難燃性が求められている。具体的にはUL94でV−2は燃焼物の滴下が認められているが、この滴下物の消炎時間を可能な限り短時間に抑制した材料が待望されている。
しかしながらリン系難燃剤を用いた難燃性樹脂では、滴下物の消炎時間が長くなることがあり、試験片の消炎時間はUL94でV−2の規格内であっても、滴下物の消炎時間が比較的長い傾向にあった。
特許文献2には、スチレン系樹脂、1分子中に少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物又はその塩、リン酸エステル等のリン化合物を含有してなる難燃性スチレン系樹脂組成物が記載され、滴下物の消炎時間が大幅に短縮できることが開示されている。
また特許文献3には、耐衝撃性ポリスチレンを少なくとも50質量%含有する樹脂成分、特定構造のリン含有化合物、金属酸化物よりなる難燃性樹脂組成物が記載され、難燃助剤として金属酸化物を用いることにより、滴下物の消炎時間が30秒以内であるポリスチレン樹脂組成物を提供できることが開示されている。
しかしながら、特許文献2,3に開示された組成物はいずれもポリフェニレンエーテル系樹脂を含んでおらず、耐熱性が不足しており使用範囲が限定されるため、実用性に乏しい。また、特許文献2の樹脂組成物は、難燃助剤として1分子中に少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物又はその塩が必須であり、メルカプト基に起因する臭気がユーザーより忌避されるため、最終消費者が使用する製品部材の原料としては適さない。
特開2010−144129号公報 特開2000−53828号公報 特開2002−212367号公報
本発明の課題は、滴下物の燃焼を抑制可能な高度な難燃性と強度、耐熱性を備え、組成に起因する成形収縮率と反りを従来と同程度に抑えた、ハロゲン系難燃剤を用いないスチレン系難燃性樹脂組成物を提供し、該組成物を用いて難燃性、強度に優れた成形体を提供することにある。
本発明は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(C)縮合リン酸エステルと(D)タルクとを配合してなるスチレン系難燃性樹脂組成物であって、
上記(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計量を100質量部とした時、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂が10〜30質量部であり、(D)タルクが0.1〜10質量部であり、
スチレン系難燃性樹脂組成物中に含まれるゴム状重合体の含有量が3.5〜8.5質量%であることを特徴とする。
また、本発明は、上記スチレン系難燃性樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする成形体を提供する。
本発明によれば、滴下物の燃焼を抑制可能な高度な難燃性と強度、耐熱性を備え、成形収縮率と成形品の反りを従来のハロゲン系難燃剤を用いた樹脂組成物と同程度に抑えた、リン系難燃剤を用いた難燃性樹脂組成物が提供される。また、本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物はその高度な難燃性から、電気特性(耐トラッキング性)にも優れた特性を有している。よって、本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物を用いることにより、難燃性、強度に優れた成形品を成形することができる。
本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(C)縮合リン酸エステルと(D)タルクとを配合してなる。そして、上記(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計量を100質量部とした時、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂が10〜30質量部であり、(D)タルクが0.1〜10質量部である。また、組成物中のゴム状重合体の含有量は3.5〜8.5質量%である。以下に、各成分について詳細に説明する。
本発明で用いる(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、スチレン系単量体にゴム成分を溶解し、熱重合または過酸化物等の重合開始剤を用いて攪拌下で重合させた物であり、製造プロセスとしてはバッチ重合でも連続重合でも良い。スチレン系単量体としてはo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等が挙げられるが、スチレンが最も好適である。これらの単量体を用いて単独重合体としても良いし、2種以上を併用して使用することも出来る。またこれらの単量体と共重合可能なメタクリル酸、メタクリル酸メチル等を用いて共重合体としても良い。ゴム成分としては、ブタジエン、イソプレン等の単独重合体や、ブタジエンと共重合可能なスチレンやメタクリル酸メチル等との共重合体が用いられ、共重合体の分子構造はランダム構造でもブロック構造でも良く、分岐構造を有しても良い。またこうしたゴム変性スチレン系樹脂は、樹脂組成物としてのゴム成分量や衝撃強度、流動性を調節する目的で、ゴム成分を含まないポリスチレン(GPPS)と併用し用いても良い。難燃性樹脂組成物中のゴム状重合体は3.5〜8質量%であり、好ましくは4.5〜7質量%である。ゴム状重合体の量が3.5質量%より少ないと強度が低下し、8質量%より多いと成形品の反りが大きくなってしまい、いずれも好ましくない。尚、(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム成分として70質量%以上が、シス−1,4結合を90モル%以上の比率で含有するハイシスポリブタジエンゴムを用いたものが好ましい。1,4−シス結合含量が10〜40モル%であるローシスポリブタジエンゴムを用いた場合、離型性が低下するため、好ましくない。
本発明の(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下記に示す一般式(I)及び/又は(II)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2014055242
(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素を表す。但し、R5、R6は同時に水素ではない。)
ポリフェニレンエーテルの重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。この中では、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
本発明においては、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計量を100質量部とした時に、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂が10〜30質量部である。(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂が10質量部未満では滴下物の消炎時間が長くなり、また、30質量部を超えると流動性の低下から成形加工性の悪化を引き起こすため、いずれも好ましくない。より好ましくは10〜20質量部、さらに望ましくは10〜15質量部である。
(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、極限粘度が好ましくは0.25〜0.50dl/g、更に好ましくは0.30〜0.40dl/gである。極限粘度が0.25〜0.50dl/gの範囲を外れると成形収縮率及び成形品の反りと難燃性及び強度のバランスが悪化するため好ましくない。
本発明で用いる(C)縮合リン酸エステルとしては(C−1)レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートや(C−2)ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェートが挙げられる。(C−1)レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートは例えば商品名「CR−733S」(大八化学工業社製)、(C−2)ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェートは例えば商品名「CR−741」(大八化学工業社製)として知られているものである。好ましいのは(C−1)レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートであり、成形収縮率及び成形品の反りと難燃性及び物性のバランスに優れている。
(C−1)レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートの配合量は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計量100質量部に対し、好ましくは5〜12質量部である。この範囲であれば、(C)縮合リン酸エステルに由来するリン添加量と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂の質量部の比は0.53〜1.26となる。スチレン系難燃性樹脂組成物中に含まれる(C−1)レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートが5質量部より少ないと成形品の反り、滴下物の消炎時間が悪化し、12質量部を超えると耐熱性が低下するため好ましくない。
(C−2)ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェートの配合量は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計量100質量部に対し、好ましくは6.55〜15.5質量部である。この範囲であれば、(C)縮合リン酸エステルに由来するリン添加量と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂の質量部の比は0.53〜1.27となる。(C−2)ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェートが6質量部より少ないと成形品の反り、滴下物の消炎時間が悪化し、15質量部を超えると耐熱性が低下するため好ましくない。
本発明では、無機化合物として(D)タルクを使用する。(D)タルクの添加量は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部である。0.1質量部未満では成形時の成形収縮率が大きくなり、10質量部を超えるとシャルピー衝撃強度が低下し、いずれも好ましくない。より好ましくは1〜6質量部である。
本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物には、本発明の要旨を超えない範囲で各種添加物、例えば染顔料、着色防止剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、相溶化剤等の公知の添加剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤、エラストマー成分(SBSや水添SBS)などの改質剤を添加できる。これらの添加方法は特に限定される訳では無く、公知の方法、例えば、使用する(A)ゴム変性スチレン系樹脂の重合開始前、重合途中の反応液に対して、または重合終了後、及び(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(C)縮合リン酸エステル、及び(D)タルクを配合する際、更には、押出機や成形機においても添加することができる。
本発明に係わるスチレン系難燃性樹脂組成物を得る方法は、特に限定される訳では無く公知の混合技術を適用することが出来る。例えば、ミキサー型混合機、V型ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置で予め混合しておいた混合物を、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等で溶融混練することが挙げられる。各原材料の添加方法としては、(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(D)タルク、及び必要に応じて他の添加剤を直接上記のような混練機に投入し、更に、押出機等の溶融混練装置の途中から(C)縮合リン酸エステルを別途に添加して樹脂組成物を得てもよいし、本発明の趣旨を超えない範囲で予め樹脂等と(C)縮合リン酸エステルと(D)タルク等を混練してペレット状にしたマスターバッチを作製し、このマスターバッチと(A)ゴム変性スチレン系樹脂を混練機に投入する方法でもよい。
本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物から成形品を得る成形法には特に制限は無いが、好ましいのは射出成形であり、特にトナーカートリッジ容器の成形には射出成形が好適である。
以下実施例により詳細を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔(A)ゴム変性スチレン系樹脂〕
スチレンと不活性溶媒の混合液(エチルベンゼン)にゴム状重合体を溶解して得た重合体(ゴム変性したスチレン系樹脂)とスチレン樹脂を混合したものを用いた。ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合体に1,4−シス結合を90モル%以上の比率で含有するハイシスポリブタジエンゴムを使用し、マトリックス部分の還元粘度0.77dl/g、ゴム状重合体含有量10.1質量%、ゴム状重合体のゲル含有量25.3質量%、及びゴム状重合体の体積平均粒子径1.80μmであるゴム変性スチレン系樹脂と、還元粘度0.80dl/gのスチレン樹脂を表1記載のゴム状重合体の質量%となる比率で配合した。ここで言う還元粘度、ゴム状重合体の質量%、ゴム状重合体のゲル含有量の質量%、ゴム状重合体の体積平均粒子径は以下の方法で測定した。
〔還元粘度(ηsp/C)の測定〕
ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン15mlとアセトン15mlの混合溶媒を加え、温度25℃で2時間振とう溶解した後、遠心分離で不溶分を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を取り出し、500mlのメタノールを加えて樹脂分を析出させ、不溶分を濾過乾燥する。同操作で得られた樹脂分をトルエンに溶解してポリマー濃度0.4%(質量/体積)の試料溶液を作製した。この試料溶液、及び純トルエンを30℃の恒温でウベローデ型粘度計により溶液流下秒数を測定して、下式にて算出した。またスチレン樹脂は上記の樹脂分と同様の測定方法で測定・算出した。
ηsp/C=(t1/t0−1)/C
0:純トルエン流下秒数
1:試料溶液流下秒数
C:ポリマー濃度
〔ゴム状重合体含有量の測定〕
スチレン系難燃性樹脂組成物をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、15質量%のヨウ化カリウム溶液と純水50mlを加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から算出した。
〔ゲル含有量の測定〕
ゴム変性したスチレン系樹脂をトルエンに2.5%(質量/体積)の割合で加え、温度25℃で2時間振とう溶解した後、遠心分離(回転数10000〜14000rpm、分離時間30分)で不溶分(ゲル分)を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を除去してゲルを得た。次に、この膨潤ゲルを温度100℃で2時間予備乾燥した後、温度120℃の真空乾燥機で1時間乾燥した。デシケータで常温まで冷却し、精秤して下式にて算出した。
ゲル分率(%)=[(m1−m0)/S]×100
0:遠心沈降管質量
1:乾燥ゲル+遠心沈降管質量
S:試料樹脂質量
〔ゴム状重合体の体積平均粒子径の測定〕
ゴム変性スチレン系樹脂をジメチルホルムアミドに完全に溶解させ、レーザー回析方式粒度分布装置にて測定した。
〔(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂〕
商品名「PX100F」(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、極限粘度0.38dl/g)を使用した。
〔(C)縮合リン酸エステル〕
(C−1)レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート:
商品名「CR−733S」(大八化学工業社製、リン含有量10.5質量%)を使用した。
(C−2)ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート:
商品名「CR−741」(大八化学工業社製、リン含有量8.2質量%)を使用した。
〔(D)タルク〕
商品名「KPタルク」(富士タルク社製)を使用した。
〔スチレン系難燃性樹脂組成物の調製〕
表1に記載の質量部の(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(D)タルクを秤量し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工(株)製、FM20B)で混合し、得られた混合物をスクリューフィーダ付き二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEM26SS)で混練した。更に表1に記載の質量部の(C)縮合リン酸エステルを、押出機の途中から別途に添加して、300℃で混練して樹脂組成物のペレットを製造した。
押出し条件
シリンダー設定温度:200℃(搬送部位)〜300℃(混練部位)
スクリュー回転数:900rpm
押出速度:50kg/h
〔成形収縮率〕
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、平板金型(成形品寸法、縦/横/厚み:100×100×3mm)を射出成形機(日本製鋼所(株)製、J100E−P)に取り付け、シリンダー温度250℃、金型温度25℃で成形した。得られた試験片を温度23℃、湿度50%条件下で24時間放置した後、流れ方向の平板寸法を測定し、成形収縮率を算出した。本発明では、従来のハロゲン系難燃剤を使用したスチレン系難燃性樹脂組成物の成形収縮率の上限である0.62%以下を合格とした。
〔成形品の反り〕
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、箱型金型(成形品寸法、縦/横/深さ:130×60×45mm)を射出成形機(日本製鋼所(株)製、J100E−P)に取り付け、シリンダー温度220℃、金型温度30℃で成形した。得られた箱型成形品の長辺中央部の内反りを測定した。本発明では、従来のハロゲン系難燃剤を使用したスチレン系難燃性樹脂組成物の成形品の反りの上限である0.81mm以下を合格とした。
〔シャルピー衝撃強さ〕
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、射出成形機(日本製鋼所(株)製、J100E−P)にて、JIS K 7139に記載のA型試験片(ダンベル)を成形した。この際、シリンダー温度205℃、金型温度45℃とした。
上記ダンベル片の中央部より切り出し、切削でノッチ(タイプA、r=0.25mm)を入れた試験片を用いて、JIS K 7111−1に基づき測定を行った。強度が8KJ/m2未満だと成形品の強度が不十分であり、8KJ/m2以上を合格とした。
〔荷重たわみ温度〕
上記シャルピー衝撃強さの測定方法に記載したダンベル片の中央より切り出した試験片を用いて、JIS K 7191−2(A法、フラットワイズ)に基づいて測定を行った。耐熱性が72℃未満だとプリンター、FAX、複写機内部で使用するにあたり、トナーカートリッジ容器の耐熱性が不足するため、72℃以上を満たす組成物を合格とした。
〔燃焼性〕
燃焼性の評価用試験片は、射出成形機(日本製鋼所(株)製、J100E−P)にて、127×12.7×2.0mmの燃焼用試験片を成形した。米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ社のサブジェクト94号の垂直燃焼試験方法(UL94)に基づき、燃焼試験を行った。この試験方法でV−2以上の評価となった場合を合格とし、V−2に満たなかった場合は不合格である。滴下物の消炎時間は1回目と2回目の接炎で滴下した総滴下物の平均消炎時間(試験片5本)の平均値を示した。30秒以下が合格である。
(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(C)縮合リン酸エステル、(D)タルクの各配合量と共に評価結果を表1に示す。
Figure 2014055242
表1の実施例1〜7は本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物であり、本願発明の組成及び規定量を満たすことにより、組成に起因する成形収縮率及び成形品の反りを抑制し、更に難燃性と強度に対する高度なバランスを有していることがわかる。
しかし本発明の規定を満足しない比較例1〜7で得られたスチレン系難燃性樹脂組成物では、何れかに優れることはあっても、その全てに優れていることはないことがわかる。
例えば、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合量が少なすぎる比較例1では、荷重たわみ温度が低く、滴下物の消炎時間が長くなってしまい、多すぎる比較例2,7では成形品の反りが大きくなってしまう。また、(C)タルクを用いなかった比較例3では、成形収縮率が大きくなり、荷重たわみ温度が低く、滴下物の消炎時間が長くなり、タルクの配合量が多すぎる比較例4ではシャルピー衝撃強度が低下してしまった。さらに、ゴム状重合体の含有量が少なすぎる比較例5ではシャルピー衝撃強度が低く、多すぎる比較例6では成形品の反りが大きくなってしまった。
本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物の特性は特にトナーカートリッジ容器に好適であり、この利点を生かしてプリンター、FAX、複写機の内部部品として使用されるトナーカートリッジ容器のノンハロゲン化の進展に寄与することができる。

Claims (4)

  1. (A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(C)縮合リン酸エステルと(D)タルクとを配合してなるスチレン系難燃性樹脂組成物であって、
    上記(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計量を100質量部とした時、(B)ポリフェニレンエーテル系樹脂が10〜30質量部であり、(D)タルクが0.1〜10質量部であり、
    スチレン系難燃性樹脂組成物中に含まれるゴム状重合体の含有量が3.5〜8.5質量%であることを特徴とするスチレン系難燃性樹脂組成物。
  2. 上記(C)縮合リン酸エステルがレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、もしくはビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェートであることを特徴とするスチレン系難燃性樹脂組成物。
  3. UL94燃焼試験機で測定した燃焼性がV−2を有し、且つ溶融滴下物の消炎時間が30秒以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスチレン系難燃性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系難燃性樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする成形体。
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