JP2014051952A - ターボ分子ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ターボ分子ポンプ1は、ケース部材11の内部にロータ翼6、ステータ翼7およびスペーサ20を備えている。最上段から6段目のスペーサ20aの外周側を、大気圧側である外部側に延出し、ベース13の上面に達する冷却用厚肉部21を形成する。冷却用厚肉部21に冷却管52を設け、また、冷却用厚肉部21の内周側面を、7、8段目のスペーサ20の外周側面に接触させ、保持する。冷却管52内を循環する冷却媒体により、冷却用厚肉部21を介して、スペーサ20、ステータ翼7およびロータ翼6が冷却される。
【選択図】図1
Description
以下、図面を参照して本発明に係るターボ分子ポンプの一実施の形態を説明する。
図1は、磁気軸受式のターボ分子ポンプの断面図である。ターボ分子ポンプ1は、上ケース12とベース13とを有するケース部材11を備えている。詳細は後述するが、スペーサ20の一部である冷却用厚肉部21もケース部材11を構成している。上ケース12の上端側には上部フランジ44が、下端側には下部フランジ43が設けられている。上ケース12は例えばSUSで形成され、ベース13は、例えば、アルミニウムにより形成されている。
ロータ軸5は、ラジアル方向の磁気軸受31(2箇所)およびスラスト方向の磁気軸受32(上下一対)によって非接触で支持される。ロータ軸5の浮上位置は、ラジアル変位センサ33a、33bおよびアキシャル変位センサ33cによって検出される。磁気軸受31、32によって回転自在に磁気浮上されたロータ軸5は、モータ35により高速回転駆動される。
フランジ41の下面には、溝42が形成されており、溝42内には冷却水等の冷却媒体が循環する冷却管51が設けられている。
ベース13には排気ポート45が設けられ、この排気ポート45にバックポンプが接続される。
一実施の形態においては、冷却用厚肉部21を有するスペーサ20aは、上方より6段目に位置しており、これよりも上方に位置する5個のスペーサ20は、各外周側面が、上ケース12の内周側面に接して保持されている。
これに対し、本実施形態においては、ロータ翼6に発生した摩擦熱は、スペーサ20aの冷却用厚肉部21に設けられた冷却管52を循環する冷却媒体によって冷却される。このため、冷却効果を、従来よりもはるかに大きくすることができる。
スペーサ20の温度およびロータ8の温度のいずれについても、従来品を点線により、実施例の場合を実線により示している。図2における横軸のスペーサ段数は、最上段からの段数である。
これに対し、本発明の一実施の形態においては、上述した如く、6段目のスペーサ20aの外周部を大気圧側である外部側に延出して冷却用厚肉部21を形成した。また、冷却用厚肉部21の外周側面に溝22を形成し、この溝22内に冷却管52を設け、冷却管52内に25℃の冷却水を循環した。冷却用厚肉部21の内周側面は、7、8段目のスペーサ20の外周側面に接触して、各スペーサ20を保持する構造となっている。
従って、一実施の形態におけるスペーサ20の温度については、図2に図示されるように、最上段のスペーサ20と最下段のスペーサ20を除く、中間のスペーサ20の温度を、比較例よりも低くすることができる。
このため、ロータ8の温度は、従来品がほぼ130℃であるに比し、本実施形態の場合では、ほぼ120℃と、10℃程度、低減することができる。
このように、一実施の形態のターボ分子ポンプ1によれば、ロータ8の冷却効率が向上するので、ロータ8のクリープの速度を遅くすることができる。
(1)最下段(8段目)のスペーサ20をベース13のフランジ41の上段部41a上に配置する。スペーサ20は、半円形状部材として形成されており、相互に、ロータ軸5の反対面側に配置する。
(2)ロータ翼6を有するロータ8をロータ軸5上に配置し、締結部材(図示せず)により、ロータ軸5に固定する。工程(1)、(2)は逆の順序で行ってもよい。
(3)最下段(7段目)のステータ翼7を、最下段(8段目)と7段目のロータ翼6の間から差し込み、最下段(8段目)のスペーサ20上に配置する。ステータ翼7は、一対の半円形状部材として形成されており、それぞれ、ロータ軸5の反対側の側面から差し込む。
(5)6段目のステータ翼7を、7段目と6段目のロータ翼6の間から差し込み、7段目のスペーサ20上に配置する。
(6)溝22が形成された冷却用厚肉部21を有するスペーサ20aを、6段目のステータ翼7上に配置する。このとき、冷却用厚肉部21の内周側面を、7、8段目のスペーサ20の外周側面に接触させ、7、8段目のスペーサ20を保持する。
(8)最上段(1段目)のスペーサ20を、最上段(1段目)のステータ翼7上に配置した後、上ケース12を上方から降下させて、上ケース12内に、1〜5段目のスペーサ20、1〜5段目のステータ翼7およびロータ8の上部側を収容する。この時、上ケース12の下部フランジ43の下面は、冷却用厚肉部21の上面上に載置される。
(9)そして、上述した如く、下部フランジ43、冷却用厚肉部21およびフランジ41を厚さ方向に貫通するボルト等の締結部材(図示せず)により連結することにより、連結部において外部とは密封されたケース部材11が構成される。
なお、(6)の工程における下部フランジ43と冷却用厚肉部21との間および(9)の工程における冷却用厚肉部21とフランジ41との間には、それぞれ、シール部材を介装させる。
図3は、本発明のターボ分子ポンプ1の実施形態2の断面図である。
実施形態2が、図1に示す実施形態1と相違する点は、スペーサ20Aの冷却用厚肉部21Aは、外周側面の一部のみが外部に露出している点である。
すなわち、図1に図示されたスペーサ20aは、冷却用厚肉部21の外周側面の全面が外部に露出している。これに対し、図3に図示されたスペーサ20Aでは、冷却用厚肉部21Aの外周側面は、その一部である下部側のみが外部に露出しており、上部側は、上ケース12の下部フランジ43により覆われている。
しかし、冷却管52を、下部フランジ43により覆われた部分に設ける構造とすると、冷却管52から漏出する冷却媒体を処理する構造が複雑となる。このため、冷却管52は、冷却用厚肉部21Aにおける、外部に露出された外周側面に対向部分に設けることが望ましい。
なお、実施形態2における他の構成は、実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
図4は、本発明のターボ分子ポンプ1の実施形態3の断面図である。
実施形態3が、図1に示す実施形態1と相違する点は、上から7段目、換言すれば、最下段から2段目に位置するスペーサ20を、冷却用厚肉部21Bを有するスペーサ20Bとした点である。
スペーサ20Bは、冷却用厚肉部21Bが、上方側および下方側に延出されており、上方側では、上方に隣接するスペーサ20の外周側面を覆っている。また、下方側は、下方に隣接するスペーサ20の外周側面を覆い、ベース13のフランジ41の上面に支持されている。
実施形態3のターボ分子ポンプ1においても、実施形態1の場合と同様な効果を奏する。
実施形態3における他の構成は、実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、本発明のターボ分子ポンプ1の実施形態4の断面図である。
実施形態4が、図1に示す実施形態1と相違する点は、上から8段目、換言すれば、最下段に位置するスペーサ20を、冷却用厚肉部21Cを有するスペーサ20Cとした点である。
スペーサ20Cは、冷却用厚肉部21Cが、上方側および下方側に延出されており、上方側では、上方に隣接する2つのスペーサ20の外周側面を覆っている。また、下方側は、ベース13側に延出され、下面がフランジ41の上面に支持されている。
実施形態4のターボ分子ポンプ1においても、実施形態1の場合と同様な効果を奏する。
実施形態4における他の構成は、実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
また、冷却用厚肉部21、21A〜21Cの外周側面が露出する部分に、内方に窪んだ溝22を設け、この溝22内に冷却管52を設けた。このため、冷却管52から漏出する冷却媒体の処理に対して簡単な構造とすることができる。
上記の実施形態では、冷却管51および52を設けているが、少なくとも冷却管51を設けていればよい。
さらに、冷却用厚肉部の下方側に位置するすべてのスペーサを、その外周側面が冷却用厚肉部により覆うことによって、冷却の効果をより高めることができる。また、冷却用厚肉部に覆われているスペーサの数を、冷却用厚肉部に覆われていないスペーサの数よりも少なくすることが好ましい。これにより、冷却用厚肉部に覆われているスペーサを集中的に効率的に冷却することができる。
また、電源装置が、ケース部材11に一体的に設けられているターボ分子ポンプにも適用することができる。
2 タービン排気部
3 ねじ溝排気部
6 ロータ翼
7 ステータ翼
8 ロータ
11 ケース部材
12 上ケース
13 ベース
20、20a、20A〜20C スペーサ
21、21A〜21C 冷却用厚肉部
22 溝
51、52 冷却管
Claims (5)
- ケース部材と、
前記ケース部材内に収容され、多段に配列されたロータ翼を有するロータと、
前記ロータと同軸に設けられたロータ軸と、
前記ケース部材の内面に設けられ、前記ロータ翼間に配置された複数のステータ翼と、
前記各ステータ翼を支持する複数のスペーサと、を備え、
前記複数のスペーサの1つは、上方または下方に隣接する少なくとも1つの前記スペーサの外周側面を覆う冷却用厚肉部を有し、
前記冷却用厚肉部に、冷却媒体が循環する冷却管が設けられている、ターボ分子ポンプ。 - 請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記冷却用厚肉部は、外周側面の少なくとも一部が前記ケース部材から露出され、この露出された部分に前記冷却管が設けられている、ターボ分子ポンプ。
- 請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記ケース部材は、上ケースとベースとを有し、前記冷却用厚肉部は、前記上ケースと前記ベースとの間に固定されている、ターボ分子ポンプ。
- 請求項3に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記冷却用厚肉部の外周側面の一部は、前記上ケースによって覆われている、ターボ分子ポンプ。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記冷却用厚肉部の下方側に位置するすべての前記スペーサは、その外周側面が前記冷却用厚肉部により覆われている、ターボ分子ポンプ。
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