JP2002180988A - 真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
内部で析出を防止しつつ、ポンプの各部を許容温度領域
内に保持することができ、これによって、ポンプの運転
可能範囲を広く設定できるとともに、ポンプの耐久性を
向上させた真空ポンプを提供する。 【解決手段】 吸気口1aと排気口20を有し、ポンプ
ケーシング1内部に、ロータRとステータSにより翼排
気部L1及び/又は溝排気部L2からなる排気部が構成
された真空ポンプにおいて、排気口20側の排気部L2
のステータ側部材19を加熱する加熱手段30を、該排
気口20側のステータ側部材19の少なくとも一部に接
触させて運転時に真空領域となるポンプ内部に配置し
た。
Description
の相互作用により真空排気を行う排気部を有する真空ポ
ンプに関し、より詳しくは、排気口側の高い圧力領域で
プロセスガスによる反応生成物がポンプ内部に析出しな
いようにして、ポンプの運転可能範囲を広く設定できる
ようにした真空ポンプに関する。
の一例を図7に示す。このターボ分子ポンプは、筒状の
ポンプケーシング1の内部に、ロータ(回転部)Rとス
テータ(固定部)Sにより翼排気部L1及び溝排気部L
2からなる排気部が構成されている。ポンプケーシング
1の下部はポンプ基部2によって覆われ、このポンプ基
部2には溝排気部L2の排気側に連通する排気口20を
有する排気口構成部材21が連結されている。吸気口1
aを有するポンプケーシング1の上部には排気すべき装
置や配管に接続するためのフランジ1bが設けられてい
る。ステータSは、ポンプ基部2の中央に立設された固
定筒状部3と、翼排気部L1及び溝排気部L2の固定側
部分とから主に構成されている。
れた主軸4と、それに取り付けられた回転筒状部5とか
ら構成されている。主軸4と固定筒状部3の間には駆動
用モータ6と、その上下に上部ラジアル軸受7及び下部
ラジアル軸受8が設けられている。そして、主軸4の下
部には、主軸4の下端のターゲットディスク9と、ステ
ータS側の上下の電磁石10a,10bを有するアキシ
ャル軸受11が配置されている。このような構成によっ
て、ロータRが5軸の能動制御を受けながら高速回転す
るようになっている。
が一体に設けられて羽根車を構成し、ポンプケーシング
1の内面には、回転翼12と交互に配置される固定翼1
3が設けられ、これらが、高速回転する回転翼12と静
止している固定翼13との相互作用によって排気を行う
翼排気部L1を構成している。固定翼13は、その周縁
部を固定翼スペーサ14により上下から押さえられて固
定されている。
L2が設けられている。すなわち、回転筒状部5には、
外周面にねじ溝18aが形成されたロータが固定筒状部
3を囲むように設けられ、一方、ステータSには、この
ロータの外周を囲むねじ溝部スペーサ19が配置されて
いる。溝排気部L2は、高速回転するロータのねじ溝1
8aのドラッグ作用によって排気を行う。
排気部L2を有することで、広い流量範囲に対応可能な
広域型ターボ分子ポンプが構成されている。この例で
は、ねじ溝排気部L2のねじ溝をロータR側に形成した
例を示しているが、ねじ溝をステータS側に形成するこ
とも行われている。
体製造装置等に使用し、プロセスガスを吸気口1aより
吸気して排気口20から排気する場合、プロセスガスを
起因とする反応生成物が圧力の高い排気口20側の排気
流路に析出し、ロータRとステータSの隙間を閉塞した
り、ロータRに付着してロータRのアンバランスを生じ
させたりして、ロータRの安定な回転を阻害し、最悪の
場合にロータRがロックして運転不能になることがあ
る。また排気流路に反応生成物が堆積し該通路を閉塞す
ると、ポンプ内の圧力が上昇し、ポンプの十分な排気能
力を確保できない上に、ロータの駆動モータが過負荷と
なって運転不能となることもある。
るが、代表的な例としてアルミニウムをエッチングした
際に生ずる塩化アルミニウムAlCl3が挙げられる。
図8は、このAlCl3の蒸気圧曲線を示し、これによ
り、温度の低いAlCl3が分圧が高い領域で固相とな
り固形化しやすくなることが判る。このような性質によ
って、上記構造のターボ分子ポンプにおいては、翼排気
部L1、溝排気部L2の順に排気されるガスが固形化し
やすくなる。
シング1の外部にヒータ15を設け、このヒータ15の
熱をねじ溝部スペーサ19に伝熱してねじ溝排気部L2
を加熱昇温させたり、排気口構成部材21の外周にヒー
タ17を設け、このヒータ17で排気口構成部材21を
加熱昇温させることが行われている。
熱での昇温の程度を検知し、各ヒータ15,17のON
/OFF制御をするために、それぞれのヒータ15,1
7の近傍、すなわちポンプケーシング1のヒータ取付部
や排気口構成部材21のヒータ取付部の近傍に温度検出
手段(サーミスタや熱電対等)が設けられ、同部(大気
圧側)の温度を検出して、温度制御のフィードバック信
号に用いている。
8,11やロータRを回転駆動している駆動用モータ
6、並びにロータ全体をポンプ全体の昇温による高温か
ら保護するため、図7に示すように、ポンプ基部2と蓋
体22との間に水冷配管23を通して、この水冷配管2
3の内部に冷媒を流してこれらを冷却することも広く行
われている。特に、比強度の高いアルミニウム合金を材
料とするロータ(羽根車)は、高温強度が低く、長時間
高温、高応力条件下で変形が進む、いわゆるクリープ現
象を起こすため、その温度を許容温度内に保つ必要があ
る。一般的に前述のヒータのON/OFF制御と、水冷
配管23に接続された電磁弁(図示せず)の開閉制御に
よりポンプ内部の温度制御を行うことが行われていた。
真空ポンプにあっては、排気流路の比較的高い圧力領域
でのプロセスガスに起因する反応生成物の析出を阻止す
るため、ポンプの外部にヒータ等の加熱手段を設けると
ともに、加熱による高温の弊害を阻止するため、冷却手
段による冷却を同様に外部から行っていたため、次のよ
うな課題があった。
減させてポンプの運転寿命を長くし、耐久性を高めると
いう目的からは、ポンプ内部の高い圧力領域、すなわち
排気口側を高温に保持すればよい。一方、反応生成物の
析出の問題を無視した場合、ある許容応力と許容温度領
域で使用しなければならないロータ(羽根車)材料、ロ
ータを支承する軸受の構成部品やその材料、ロータを回
転駆動させる駆動モータの構成部品やその材料等を真空
ポンプ内での発熱や高温部から保護し耐久性を保つため
には、これらの温度を隔離するか、またはそれが十分で
ない場合には冷却する必要がある。
確保しつつ、反応生成物の析出を低減又は阻止するに
は、析出しやすい領域を高温保持しつつ、許容温度範囲
に保たなければならない領域は、高温部との隔離または
冷却手段による冷却を的確に実現しなければならない。
中、大気圧力よりも低い圧力の低圧状態(真空)とな
り、真空中では、熱の伝達が断隔され、いわゆる真空断
熱状態となる。このような状態で、ポンプの外部に加熱
手段を設け、ポンプ部品の伝熱によりポンプ内部の排気
流路を昇温させると、熱、つまりエネルギの損失が大き
い。特に大気(外気)に曝されているポンプ外部(ケー
シングやハウジング)での放熱量は多く、加熱の観点か
ら効率が悪いばかりでなく、ポンプ内部でも各部品同士
の伝熱作用があり、加熱させたくない領域(例えば、軸
受やモータ及び翼排気部)までも昇温させてしまう可能
性が高い。更に、加熱手段に用いるヒータ等の熱エネル
ギ量の点からも、外部からの伝達では消費エネルギが多
くなり、省エネルギが図れないばかりか、加熱手段が大
型になりポンプ全体のコンパクト化を図る上でも障害と
なる。
場合にも、加熱手段の場合と同様に、ポンプ外部に温度
検出手段を設け伝熱により温度を検出すると、温度検出
の応答性及び正確性の性能が低下する。
に起因する反応生成物のポンプ内部での析出を防止しつ
つ、ポンプの各部を許容温度領域内に保持することがで
き、これによって、ポンプの運転可能範囲を広く設定で
きるとともに、ポンプの耐久性を向上させた真空ポンプ
を提供することを目的とする。
は、吸気口と排気口を有し、ポンプケーシング内部に、
ロータとステータにより翼排気部及び/又は溝排気部か
らなる排気部が構成された真空ポンプにおいて、前記排
気口側の排気部のステータ側部材を加熱する加熱手段
を、該排気口側のステータ側部材の少なくとも一部に接
触させて運転時に真空領域となるポンプ内部に配置した
ことを特徴とする真空ポンプである。
の少なくとも一部に加熱手段を接触させて設けること
で、高温保持したい箇所を直接加熱し、しかも、真空断
熱状態により外部との熱の出入りがない理想的な状態で
加熱を行うことで、非常に少ないエネルギ量で加熱を行
うことができる。また、伝達等により加熱目的以外の領
域に逃げていく熱量(特にポンプ外部)が少なくなるた
め、省エネルギの他に加熱に対する反応性がよくなる。
ステータ側部材の温度を測定する温度測定手段を、この
温度検知部を前記排気口側のステータ側部材に接触させ
て配置したことを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ
である。これにより、加熱する領域から直接温度を検出
することで、検出の正確度が高く、良好な温度制御の基
になる検出値が得られる。
ステータ側部材、前記ロータ、該ロータを支承する軸受
及び該ロータを回転させるモータの少なくとも一つを冷
却する冷却手段を有することを特徴とする請求項1又は
2記載の真空ポンプである。
で、軸受やモータの性能・機能を確保することができ
る。特に、ロータ(羽根車)に対しては、一般的に軸受
やモータの設置箇所に近接し、熱伝達の効果が大きいた
め、軸受やモータの冷却によりロータの冷却も効率的に
行え、ロータの温度を許容温度範囲に保つことができ、
結果的にポンプの運転可能範囲を広く設定することがで
きる。
うにして冷却効果を高めるのがよく、ポンプの排気口側
の排気流路には冷却効果が極力及ばないように、熱絶縁
や伝達経路の熱容量を大きくとることが望ましい。
び/又は温度検出手段の端子取出し部をシールする真空
シール手段を有することを特徴とする請求項1乃至3の
いずれかに記載の真空ポンプである。
手段をポンプ内部に配置することによって、真空ポンプ
内の低圧部(真空領域)の真空が破壊されてしまうこと
を防止することができ、加熱や温度検出の応答性が高ま
り、加熱手段に要するエネルギも少なくて済む。なお、
真空シールの手段としては、Oリング等の弾性体の使
用、樹脂等による接着または構成部品同士の溶接等が挙
げられる。また、Oリングシール等を用いる場合の溝形
状は、四角形の断面形状は勿論、省スペースの観点から
三角溝形であっても良い。
テータ側部材を吸気口側と排気口側に熱的に断絶する断
熱手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいず
れかに記載の真空ポンプである。
析出しやすい排気口側のステータ温度を高く保持しつ
つ、ロータの回転による排気ガスの攪拌熱が発生しやす
い吸気口側のステータの温度を低く保ち、それによりロ
ータからステータ側への熱伝達を良くしてロータの温度
を低く保ち、最終的に反応生成物の析出を阻止しつつ、
ポンプの運転可能範囲を広く設定できる。また、前記排
気部のステータ側部材を軸受やモータが組み込まれてい
る基部と熱伝導的に断絶する手段(隙間等の空間も含
む)を備えることで、ステータ側部材の高温状態が軸受
やモータ、更に基部に近傍のロータやシャフトに影響を
与えないようにして、高温による弊害を防止するように
してもよい。
〜図6を参照して説明する。なお、図7に示す従来例と
同一部材または相当部材には同一符号を付してその説明
を省略する。
の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)を示すもので、これ
は、排気口20側の排気部である溝排気部L2のステー
タ側部材であるねじ溝部スペーサ19の下部に、パイプ
で形成されるリング状のヒータ(加熱手段)30を横断
面鈎状のヒータ押え31を介して取付けたものである。
このヒータ30は、そのリング状部のほぼ全周に亘って
ねじ溝部スペーサ19の下面に接触して、ねじ溝部スペ
ーサ19に対する伝熱効率を向上させるようになってい
るが、その一部で接触するようにしても良い。なお、ヒ
ータ30の形状は一例であり、生産性や性能を考慮した
任意の形状に形成しても良いことは勿論である。
曲して平行に垂下する一対の下方垂下部30aが形成さ
れ、この下方垂下部30aの下端部に楕円形状のフラン
ジ32が取付けられている。更に、この一対の下方垂下
部30a,30a間に位置して、温度センサ(温度検出
手段)33がその下部をフランジ32を貫通して配置さ
れ、この温度センサ33の先端部の温度検知部は、ねじ
溝部スペーサ19に直接接触するようになっている。
通穴2aと配線用内部配管34に設けた貫通穴34aの
内形に沿った形状に形成され、更にポンプ基部2と配線
用内部配管34との間に形成した段部(真空シール部)
内に真空シール部材35が配置されている。これによ
り、ポンプ基部2と配線用内部配管34で真空シール部
材35を上下から挟持すると、真空シール部材35が水
平方向に膨出するよう変形し、この内周端面がフランジ
32の外周面に圧接することで、ここで真空が破壊され
ないようになっている。つまり、ポンプ運転中は、フラ
ンジ32を挟んでその上方がポンプの内部の圧力(真空
状態)となり、その下部が大気圧になるようになってい
る。
が四角形のみならず、省スペース及びシールの信頼性向
上の観点から横断面三角形でもよく、その他生産性、組
立性を考慮した任意の形状のものに設定しても良い。ま
た、Oリングシールのみならず、接着や溶接等によっ
て、真空と大気圧の断絶を行うようにしても良い。
3の温度検出部である素子やヘッド部は、ポンプ内部で
排気ガスと直接接することがないようパイプ形状の中に
埋め込まれ、パイプの内部で大気圧の環境におかれてい
るので、腐食や絶縁不良等による動作不良を起こすこと
がないばかりでなく、真空放電や真空中での溶融等を考
慮する必要がない。従って、簡単で廉価な仕様で加熱手
段や温度検出手段を実現できる。
導性が高く耐食性があり、延性に富んで加工しやすいス
テンレス鋼等の金属系材料が挙げられる。また、耐食性
の低い材料であっても、ニッケルめっき等の耐食性のあ
る表面処理を実施することで使用が可能となる。
配線は、配線用内部配管34内を延びて大気圧側でコネ
クタ36に結線され、検出温度に基づいてヒータ30の
ON/OFF制御を行うコントローラに接続される。
域)となるポンプ内部にヒータ30を配置し、このヒー
タ30を直接加熱させたいねじ溝部スペーサ19に直接
接触させることで、ねじ溝部スペーサ19を直接加熱す
ることができる。また、温度センサ33の温度検出部を
ねじ溝部スペーサ19に接触させることで、加熱してい
るねじ溝部スペーサ19の温度を直接検出することがで
きる。しかも、ヒータ30及び温度センサ33の端子取
出し部を真空シール部材35でシールすることで、ヒー
タ30及び温度センサ33を低圧部(真空領域)のポン
プ内部に配置することによって、真空ポンプ内の低圧部
(真空領域)の真空が破壊されてしまうことを防止する
ことができる。
ロータRが破壊した時に損傷を受けないような取付方法
及び構造を採用することが望ましい。この対策として
は、ねじ溝部スペーサ19が回転しても共廻りしないよ
うに、ねじ溝部スペーサ19への取付け部の強度を意図
的に低くしたり、廻り止めのピンを設ける等の対策が挙
げられる。また損傷防止の観点から、これらの部品をロ
ータ外径より中心側に設けるようにしてもよいし、ねじ
溝部スペーサ19にヒータ30や温度センサ33を取り
付ける箇所は、ねじ溝部スペーサのロータと対向してい
る部分を避けるようにするとよい。
ペーサ19の外周面とポンプケーシング1の内周面との
間に隙間Tが設けられている。これによって、ねじ溝部
スペーサ19の熱がポンプケーシング1に直接伝熱され
て、大気に晒されているポンプケーシング1から大量の
熱が放熱されるのを防止することができる。
グ1は、翼排気部L1を囲繞する上ケーシング40と、
溝排気部L2を囲繞する下ケーシング41とから構成さ
れ、この上ケーシング40の下部外周に水冷配管42が
パイプ押え43を介して取付けられ、この水冷配管42
の内部に冷媒を流すことで、翼排気部L1の固定翼13
及び固定翼スペーサ14を強制的に冷却するようになっ
ている。
気体分子どうしの衝突が無視できる、いわゆる分子流領
域の圧力範囲で排気能力が十分に発揮されるようになっ
ている。従って、真空ポンプの吸気口側から流れてくる
ガス量が多くなり、分子流領域から気体の粘性の性質が
無視できなくなる、いわゆる粘性流領域になると翼排気
部のロータによるガスの攪拌によって発熱量が急激に増
加し、ロータ(羽根車)の温度が上昇する。羽根車は、
一般にアルミニウム合金を材料として形成されているた
め、高温強度が低く、クリープが起こりやすい問題があ
るため、許容温度範囲に保たなければならない。そのた
め、排気できるガス量または運転できる圧力範囲を広く
設定するためには、翼排気部のステータ側の温度を低く
するとともに、その状態によって促進される翼排気部で
のロータからステータ側への熱の輻射により、ロータの
温度を低く保つことが重要となる。
固定翼13及び固定翼スペーサ14を選択的に強制的に
冷却し、圧力が高くなり反応生成物が析出しやすい溝排
気部L2に後述する熱断絶スペーサ44を設けることに
より、冷却の影響を与えにくくすることで、ポンプの運
転可能範囲を広く保ちつつ、反応生成物の析出を阻止す
ることができる。
冷配管23を通し、この水冷配管23の内部に冷媒を流
すことで、ねじ溝部スペーサ19と熱的に絶縁されてい
るポンプ基部2を強制的に冷却するようにしている。な
お、ねじ溝部スペーサ19とポンプ基部2を熱的に絶縁
する方法としては、互いの接触部を極少化したり、断絶
物を設けるようにする方法が挙げられる。また、更に図
6に示すように、ねじ溝部スペーサ19の上端部を翼排
気部L1と溝排気部L2との間のみで挟持して吊り下げ
固定し、他の部分は隙間を有するように構成してもよ
い。このようにポンプ基部2を強制的に冷却すること
で、駆動用モータ6や軸受7,8,11の冷却の効果だ
けでなく、ロータRの内側と固定筒状部3の外側でのロ
ータRからステータSへの輻射熱も増大してロータRの
温度を降下させる効果もあり、結果的にロータ温度に制
約されるポンプの運転可能範囲を広くできる。なお、モ
ータや軸受を冷却させる手段は、極力モータや軸受が組
み込まれている固定筒状部に近づけるのが望ましい。
に位置する固定翼13及び固定翼スペーサ14と、ねじ
溝部スペーサ19との間に、例えばセラッミクス等の熱
伝導性の低い材料からなる熱断絶スペーサ44が設けら
れている。これによって、翼排気部L1の固定翼13及
び固定翼スペーサ14とねじ溝部スペーサ19との間で
温度勾配を高く設定して、翼排気部L1でのロータRか
らの輻射熱によるロータRの温度降下の効果を阻害する
ことなく、結果的にロータ温度に制約されるポンプの運
転可能範囲を広くできるようになっている。
ねじ溝部スペーサ19の隙間は、性能確保の必要上、約
1mm以下の微少寸法に設定されており、この隙間に反
応生成物が析出すると、即座にロータがロックもしくは
回転不良になる可能性がある。このため、この領域は、
反応生成物の析出防止のため、高温に保持する必要があ
る。一方、翼排気部L1は、排気のガス量が多い時に攪
拌によるロータの発熱が激しく、ロータからステータ側
への熱輻射による熱伝達によってロータの温度を下げる
必要がある。
L2のステータ側部材である溝部スペーサ19は、前述
の反応生成物の析出防止のため高温になっているため、
熱輻射による熱伝達は、同部を除くロータとステータの
近接部分が有効な領域となる。具体的な領域としては、
ロータの内側の、ロータとステータの近接領域または排
気部の吸気口側領域、より詳しくは翼排気部L1とな
る。
溝排気部L2のステータ側とを熱的に断絶させて翼排気
部L1のステータ側の温度を下げてやれば、ロータから
の熱輻射量は増加し、ロータの温度を低くすることがで
き、ロータの温度で制約されるポンプの運転可能範囲を
広く設定することができるようになる。
ータの外側にのみ形成しているが、ねじ溝排気部の流路
を長くとり性能を向上させるという観点から、図6に示
すように、ロータの内側にも延長して形成してもよく、
その場合にはロータの外側から下端部及びロータの内側
に対向するねじ溝部スペーサを形成し、同部を前述した
のと同様に加熱及び温度検出を行う領域としてもよい。
このような構成にすることにより、排気性能を向上させ
つつ、圧力の高くなるロータの内側に対向するねじ溝部
スペーサも的確に高温に保つことができる。
ポンプ(ターボ分子ポンプ)を示すもので、これは、ロ
ータが破壊した場合に発生する回転トルクを低減させる
ためのトルク低減機構を設けたものである。
これと所定の隙間を置いて内部上ケーシング50が配置
され、この内部上ケーシング50と固定翼スペーサ14
との間に衝撃吸収部材51が配置されている。下ケーシ
ング41の内部には、これと所定の隙間を置いて内部下
ケーシング52が配置され、この内部下ケーシング52
とねじ溝部スペーサ19との間に衝撃吸収部材53が配
置されている。内部下ケーシング52はその外周の上下
2ヶ所において、メカニカルベアリング54,55によ
って支持されている。更に、上ケーシング40の内面に
突出する張り出し部40aと翼排気部L1の最上段に位
置する固定翼スペーサ14との間に、例えばフッ素ゴム
製のOリング状またはシート状のシール部材57が設け
られている。更に、この例では、冷却水のための水冷配
管42が下ケーシング41の上部に設けられている。そ
の他の構成は、第1の実施の形態とほぼ同様である。
回転に異常が起き、あるいはロータRが破損すると、こ
のロータRの回転トルクが衝撃緩衝部材51,53に伝
えられて衝撃が吸収軽減される。そして、更に衝撃が伝
達されると、メカニカルベアリング54,55及びシー
ル部材57で囲まれた部分がロータRと一体となって回
転して更に衝撃が吸収される。
ロータが破壊した時の回転トルクを低減させ、安全なポ
ンプにすると共に、反応生成物の析出を阻止し、ロータ
温度に制約されるポンプの運転可能範囲を広くした真空
ポンプを実現できる。
ポンプ(ターボ分子ポンプ)を示すもので、この実施の
形態では、ねじ溝部スペーサ19が二重円筒形状になっ
ており、ねじ溝部18と対向する面、もしくははねじ溝
部18にねじ溝が形成されている。つまり、この例で
は、ねじ溝部18の外側の面にねじ溝18aが設けら
れ、更に、ねじ溝部スペーサ19の内側円筒部19aの
外側の面にねじ溝19bが形成されている。この例は一
例であり、ねじ溝部18とねじ溝部スペーサ19が対向
する面どちらか一方、もしくは両面にねじ溝を形成して
も良い。このような構成では、翼排気部L1から流れて
きたガスは、ねじ溝部スペーサ19の外側円筒部19c
の内径部とねじ溝部18の外径部の排気路で排気された
後にねじ溝部18の下端部で折り返し、ねじ溝部スペー
サ19の内側円筒部19aの外径部とねじ溝部18の内
径部の排気路で更に排気され、最後に内側円筒部19a
に設けられた軸方向の穴19dおよび周方向の穴19e
により、ポンプの排気口へと流れていく。
ものでも、ねじ溝部スペーサを直接加熱し、他のステー
タ部と熱的に断絶することにより排気性能を向上させる
とともに排気口側排気部を高温に保つことができる。更
に、ねじ溝部スペーサ19本体をセラミックヒータ等の
部品自身が発熱体である部品で構成しても良い。こうす
れば、ヒータ等を取付ける取付具が不要になるととも
に、ねじ溝部スペーサ19自身の場所による温度のバラ
ツキも少なくなり、均一な高温状態が可能となる。
付口は、ポンプ基部だけではなく、ケーシングとポンプ
基部との接続部や上ケーシングと下ケーシングとの接続
部等の設定しやすい箇所に設けてもよい。また、ねじ溝
部スペーサ19は、ポンプケーシングの中で他のステー
タ部材との熱的接触を極力絶っているため、ねじ溝部ス
ペーサを固定している箇所を前述のリード線の取出部に
設定するようにしてもよい。
L1と溝排気部L2を有する広域型ターボ分子ポンプに
適用したが、それぞれの趣旨に従い、本発明の構成を翼
排気部L1のみあるいは溝排気部L2のみを有するポン
プに採用してもよく、また、溝排気部においてロータ、
ステータをそれぞれ円盤状に軸方向に交互に配置するよ
うにし、ロータ又はステータどちらか一方、若しくは両
方に溝を設けた排気流路系等、任意の形状の排気方式の
真空ポンプに採用しても良いことは勿論である。また、
上述したいくつかの実施の形態の構成を適宜組み合わせ
て用いてもよいことは、言うまでもない。
排気するガスに起因する反応生成物のポンプ内部で析出
を防止しつつ、ポンプの各部を許容温度領域内に保持す
ることができ、これによって、ポンプの運転可能範囲を
広く設定できるとともに、ポンプの耐久性を向上させた
真空ポンプを提供することができる。
ボ分子ポンプ)を示す断面図である。
ボ分子ポンプ)を示す断面図である。
ボ分子ポンプ)を示す断面図である。
断面図である。
である。
材) 20 排気口 21 排気口構成部材 22 蓋体 23 水冷配管 30 ヒータ(加熱手段) 30a 下方垂下部 32 フランジ 33 温度センサ(温度検出手段) 34 配線用内部配管 34a 貫通穴 35 真空シール部材 36 コネクタ 40 上ケーシング 40a 張り出し部 41 下ケーシング 42 水冷配管 43 パイプ押え 44 熱断絶スペーサ 50 内部上ケーシング 51 衝撃吸収部材 52 内部下ケーシング 53 衝撃吸収部材 54,55 メカニカルベアリング 57 シール部材 L1 翼排気部 L2 溝排気部 R ロータ S ステータ T 隙間
Claims (5)
- 【請求項1】 吸気口と排気口を有し、ポンプケーシン
グ内部に、ロータとステータにより翼排気部及び/又は
溝排気部からなる排気部が構成された真空ポンプにおい
て、 前記排気口側の排気部のステータ側部材を加熱する加熱
手段を、該排気口側のステータ側部材の少なくとも一部
に接触させて運転時に真空領域となるポンプ内部に配置
したことを特徴とする真空ポンプ。 - 【請求項2】 前記排気口側のステータ側部材の温度を
測定する温度測定手段を、その温度検知部を前記排気口
側のステータ側部材に接触させて配置したことを特徴と
する請求項1記載の真空ポンプ。 - 【請求項3】 前記翼排気部のステータ側部材、前記ロ
ータ、該ロータを支承する軸受及び該ロータを回転させ
るモータの少なくとも一つを冷却する冷却手段を有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の真空ポンプ。 - 【請求項4】 前記加熱手段及び/又は温度検出手段の
端子取出し部をシールする真空シール手段を有すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真空ポ
ンプ。 - 【請求項5】 前記排気部のステータ側部材を吸気口側
と排気口側に熱的に断絶する断熱手段を有することを特
徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の真空ポン
プ。
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