JP2014042768A - 二重環縫いミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】二重環縫いの縫い目のほつれを防止する。
【解決手段】被縫製物Cを一定の方向に搬送する送り機構と、縫い針11,12を上下動させる針上下動機構と、ルーパ13を被縫製物の搬送方向と交差する方向に沿って進退移動させるルーパ機構とを備え、二重環縫いを行う二重環縫いミシン100において、針糸とルーパ糸の縫い終わり端部T13,L12同士を結ぶ結び目形成装置50を備えることを特徴とする。
【選択図】図11

Description

本発明は、縫い針を一乃至複数備える二重環縫いミシンに関する。
図38は二本針における一般的な二重環縫いの縫い目を布地の裏側から見た状態を示している。
二重環縫いは、二本の縫い針により針落ちを行い、各縫い針の針糸のループに対してルーパを挿入し、当該ルーパを各針糸のループから引き抜く際に形成されるルーパ糸のループに対して次の針落ちを行い、これらを繰り返すことで、各針糸のループとルーパ糸とが交互に挿入された状態で縫い目が形成される。
二重環縫いでは、右針糸T2のループT21と左針糸T1のループT11との間で形成されるルーパ糸LのループL1と針糸ループT11から引き出されたルーパ糸LのループL2とが形成される。
そして、縫い終了位置では、一方のルーパ糸LのループL1に右針糸T2の糸端部T22が挿入された状態となり、もう一方のルーパ糸のループL2に左針糸T1の糸端部T12が挿入された状態となる。
上記二重環縫いの縫い目の糸端部では、ルーパ糸Lの糸端部L3が引っ張られても、当該糸端部L3は右針糸T2のループT21に通されているため、二重環縫いの縫い目はほつれることなく維持される。
しかしながら、ルーパ糸Lの糸端部L3がある程度強く引っ張られると、ループL1に通された糸端部T22が抜け、さらに、ルーパ糸LのループL2が左針糸T1のループT11から抜けて、さらに、右針糸T2のループT21からも抜けてしまう。ルーパ糸Lは前の針落ちで形成されたループL1,L2を次の針落ちで形成されるループL1,L2が保持する構造の縫い目なので、ルーパ糸Lが針糸T1,2のループT11,T21から抜け始めると、最終的に全てのルーパ糸Lがほつれてしまう。
このようにして全てのルーパ糸Lが針糸T1,T2のループT11,T21から抜けてしまうと、各針糸T1,T2も縫い目を維持することができなくなり、糸端部T12,T22も引っ張られるだけで全てほつれてしまう。
このように、二重環縫いの縫い目はほつれが生じやすく、これを防止するために図39に示すような二重環縫いの縫い目形成方法が提案されている。
この二重環縫いの縫い目形成方法では、縫製終了の際に針が上死点にあり、さらにルーパが左(図39では右側)へ最も進出した状態で、布地からルーパの目孔に連なるルーパ糸Lが左針よりも左側でフックに引っ掛けループL2を形成する。そして、この状態で、針及びルーパが1針分だけ駆動される。その後、フックメスを往復進退運動させて、布地からルーパのブレード部下方に連なる部分の二本の針糸T1、T2と、布地からルーパの目孔に連なるルーパ糸(図ではL3が相当)を引っ掛け、そして引っ掛けた二本の針糸T1、T2とルーパ糸L3をフックメスと固定メスが係合することで、布地とルーパとの間で切断する。さらに、フックが回動して受けメスの位置まで復帰すると、ルーパ糸のループL2が、受けメスに切断され、新たなルーパ糸Lの糸端L4が形成される。
このようにして形成された二重環縫い目では、左針糸T1のループT11を通って結節したルーパ糸Lの糸端L4と、針糸T1,T2のループT11,T21に挟まった状態で残るルーパ糸のループL1は連続していない。そのため、糸端部L3を引っ張ってルーパ糸L1をループT11,T21から引き抜いた際に、ルーパ糸Lの糸端L4が左針糸T1のループT11から抜け出すことは起こらず、ルーパ糸Lの糸端部L4は左針糸T1のループT11を通って結節した状態が維持されることになる。
この状態であれば、ルーパ糸Lの糸端部L4が引っ張られてもほつれは生じないので、縫い目を安定的に保持することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
特許第3318482号公報
しかしながら、図39の縫い目を形成した場合であっても、ルーパ糸Lが途中部分で引っ張られて針糸T1,T2の最終のループT11,T21から糸端部L4が引き抜かれてしまうと、図38の場合と同じ状態となって全てのルーパ糸L及び針糸T1,T2がほつれてしまうという問題があった。
本発明は、糸のほつれをより効果的に防止することをその目的とする
請求項1記載の発明は、被縫製物を一定の方向に搬送する送り機構と、縫い針を上下動させる針上下動機構と、ルーパを前記被縫製物の搬送方向と交差する方向に沿って進退移動させるルーパ機構とを備え、二重環縫いを行う二重環縫いミシンにおいて、前記針糸と前記ルーパ糸の縫い終わり端部同士を結ぶ結び目形成装置を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記結び目形成装置は、前記針糸と前記ルーパ糸の縫い終わり端部側の糸切りと当該縫い終わり端部の結び動作とを行うことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記縫い針を前記ルーパの進退移動方向に沿って並んだ状態で複数備え、前記結び目形成装置は、最も前記ルーパの先端側に位置する縫い針の針糸と前記ルーパ糸の縫い終わり端部同士を結ぶことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記ルーパ糸と前記針糸とを束ねて捕捉するフック部材を有する糸係止装置を備え、前記結び目形成装置は、前記糸係止装置により捕捉された前記ルーパ糸及び前記針糸に対して結び目の形成を行うことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記結び目形成装置は、回転可能に支持され、回転中心線から当該回転中心から逸れる方向に向かって延出された糸巻き取り部材と、前記糸巻き取り部材に併設され、当該糸巻き取り部材に対して回動可能に装備されたクランプ部材と、前記クランプ部材に併設された固定メスと、前記糸巻き取り部材、前記クランプ部材及び前記固定メスに対して一体的に回転動作を付与する回転駆動部と、前記回転駆動部による回転時に、前記クランプ部材に回動動作を付与するカム機構とを備えることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記結び目形成装置は、前記針糸及び前記ルーパ糸を前記糸巻き取り部材の捕捉範囲内を通過するように、前記糸巻き取り部材の回転中心線に対して斜めに張った状態で支持する一対のガイド部を備えることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記結び目形成装置は、一方の前記ガイド部を、前記糸巻き取り部材の回転中心側に向かって前記糸巻き取り部材の先端部の回転半径の内側まで延出させたことを特徴とする。
請求項1記載の発明は、結び目形成装置により、針糸とルーパ糸の縫い終わり端部同士を結ぶので、縫製完了後にルーパ糸が引っ張られても針糸のループから抜けることが防止され、それぞれの糸のほつれを効果的に抑制することが可能となる。
請求項2記載の発明は、結び目形成装置により、針糸とルーパ糸の縫い終わり端部側の糸切りと結びとを行うので、例えば、縫い終わりの際にオペレーターによる糸切り作業を不要とすることができる。
また、糸切りと結びと行うので、糸切り後に針糸とルーパ糸とがばらけることがなく、これらの結び作業を失敗することなくより確実に行うことが可能となる。
請求項3記載の発明は、結び目形成装置が、最もルーパの先端側に位置する縫い針の針糸とルーパ糸の縫い終わり端部同士を結ぶので、ルーパ糸のループがそれぞれの針糸のループから抜け出ることも防止でき、より効果的に糸のほつれを抑制することが可能となる。
請求項4記載の発明は、フック部材によりルーパ糸と針糸とを束ねて捕捉するので、結び目形成装置によるルーパ糸と針糸の縫い終わり端部同士を結ぶ作業をより容易且つ確実に行うことが可能となる。
請求項5記載の発明は、糸巻き取り部材が回転中心から逸れる方向に向かって延出されているので、当該糸巻き取り部材の先端部の回転半径内にルーパ糸と針糸を配置した状態で糸巻き取り部材を回転させると、その先端部がルーパ糸及び針糸を巻き込むようにして捕捉することができる。
そして、糸巻き取り部材に併設されたクランプ部材は、カム機構により糸巻き取り部材の回転に伴って回動動作を行うことで、固定メスとの協働により糸巻き取り部材が捕捉したルーパ糸と針糸を切断することができる。
さらに、糸巻き取り部材が切断された針糸及びルーパ糸の縫い終わり端部を保持しつつ当該糸巻き取り部材の先端部に巻き付けられた針糸及びルーパ糸が引き抜かれるので、最終的に結び目を形成することができる。
このように、上記発明では、複雑な構造等を要することなく、針糸及びルーパ糸の結び目を形成することが可能である。
請求項6記載の発明は、ガイド部が針糸及びルーパ糸を斜めに張った状態で支持するため、針糸及びルーパ糸を糸巻き取り部材に容易に巻き付けて捕捉することが可能となり、結び目の形成をより確実に行うことが可能である。
請求項7記載の発明は、一方のガイド部が糸巻き取り部材の回転中心側に向かって、当該糸巻き取り部材の先端部の回転半径の内側まで延出されているため、針糸及びルーパ糸を糸巻き取り部材の捕捉範囲内のより深い位置に配置することができ、糸捕捉をより確実に行うことが可能である。
発明の実施形態である二重環縫いミシンの斜視図である。 二重環縫いの縫製動作の説明図である。 図2に続く二重環縫いの縫製動作の説明図である。 図3に続く二重環縫いの縫製動作の説明図である。 図4に続く二重環縫いの縫製動作の説明図である。 一方の針糸の糸切り動作の説明図である。 ノッター装置と糸係止装置の平面図である。 ノッター装置と糸係止装置の側面図である。 ノッター装置の全体を示す側面図である。 ノッターの分解斜視図である。 ノッター装置の先端部側の一部を切り欠いた拡大側面図である。 ノッター装置の先端部側の拡大正面図である。 上側のガイド板の平面図である。 二重環縫いミシンの制御系を示すブロック図である。 縫製終了時の糸切り及び糸結び動作の動作制御を示すフローチャートである。 縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図16(A)は正面図、図16(B)は側面図である。 図16に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図17(A)は正面図、図17(B)は側面図である。 図17に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図18(A)は正面図、図18(B)は側面図である。 図18に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図19(A)は正面図、図19(B)は側面図である。 図19に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図20(A)は正面図、図20(B)は側面図である。 図20に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図21(A)は正面図、図21(B)は側面図である。 図21に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図22(A)は正面図、図22(B)は側面図である。 図22に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図23(A)は正面図、図23(B)は側面図、図23(C)は拡大側面図である。 図23に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図24(A)は正面図、図24(B)は側面図である。 図24に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図25(A)は正面図、図25(B)は側面図である。 図25に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図26(A)は正面図、図26(B)は側面図である。 図26に続く縫製終了時の糸切り及び糸結びの動作説明図であり、図27(A)は正面図、図27(B)は側面図である。 ノッター装置により結ばれた針糸とルーパ糸とを布地の裏側から見た図である。 図39の縫い目に糸切り及び糸結びを行った例を示す図である。 図29の糸結びを行うための動作説明図である。 図30に続く動作説明図である。 図31に続く動作説明図である。 図32に続く動作説明図である。 図33に続く動作説明図である。 縫い針が一本の場合の二重環縫いに糸切り及び糸結びを適用した図である。 縫い針が一本の場合の他の二重環縫いに糸切り及び糸結びを適用した図である。 ガイド板の下面から回転中心線側に延出した突起部を形成した例を示す図である。 従来の二重環縫いの縫い目の例を示す図である。 従来の他の二重環縫いの縫い目の例を示す図である。
[ミシン概略]
以下、図面を参照して、本発明にかかる二重環縫いミシン100について説明する。図1は二重環縫いミシン100の斜視図であり、この図では、水平であって後述するアーム部10及びベッド部20の長手方向をY軸方向とし、水平であってY軸方向に直交する方向をX軸方向とする。また、これらX軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とする。また、必要に応じて、図1に示すように、布送り方向の下流側、即ち、X軸方向における一方を「前」、他方を「後」とし、Y軸方向における一方を「左」、他方を「右」と説明する。
二重環縫いミシン100(以下、ミシン100という。)は、縫い針に通された針糸で形成される針糸ループに、ルーパに通されたルーパ糸を絡めることにより縫い目を形成するミシンである。二重環縫いミシンは縫い針を一乃至複数備えるものが存在するが、この実施形態では縫い針を二本備える場合を例示する。
[糸経路]
ミシン100は、アーム部10と、このアーム部10を支持するベッド部20とを備えている。
アーム部10には、Y軸方向に沿って上軸(図示略)が設けられ、上軸はミシンモーター15(図14参照)により回転する。上軸の先端部には針上下動機構としてのクランク機構が装備され、当該クランク機構により針棒14に上下動作が付与される。針棒14の下端部にはY軸方向に沿って並んで二本の縫い針11、12が設けられている。
アーム部10の正面には、糸供給源である糸巻き(図示略)から導かれた各糸(針糸T1,T2、ルーパ糸L)に張力を付与する糸調子装置30が設けられている。
糸調子装置30は、針糸T1,T2及びルーパ糸Lに張力を付与するものであり、三組の糸調子皿が針糸T1,T2及びルーパ糸Lの個別に挟持し、挟持力により各糸T1,T2,Lの張力を調節する。
糸調子装置30により張力を調節された針糸T1,T2は、複数の糸掛け部31、33及びその間に配置された天秤32、34を経由して縫い針11、12の目穴に挿通されている。
また、糸調子装置30により張力を調節されたルーパ糸Lは、複数の糸掛け部35,36及びルーパ糸調節機構37を経由してルーパ13の目孔に挿通されている。
天秤32はアーム部の上面、天秤34はアーム部10の正面に設けられ、針棒14と共にそれぞれ上下動を行う。これらの天秤32、34には針糸T1,T2の挿通穴が形成されており、天秤32、34の上昇時に糸供給源側からの針糸T1,T2の繰り出しと布地側からの針糸T1,T2の引き上げとをそれぞれ行う。
[ルーパ関連]
ベッド部20内には、下軸21がベッド部20の長手方向(ミシンの左右方向)に沿うように設けられている。下軸は前述した上軸とベルト機構又は歯車機構を介して連動回転を行う。
下軸21には,当該下軸と平行にルーパ軸(図示略)が併設されている。このルーパ軸はルーパ13が設けられている。ルーパ13は、下軸21が回転すると、その回転がルーパ軸に伝達されて縫い針11の針落ち位置に接離するように往復運動する。
ベッド部20内には、ルーパ13と糸調子装置30との間のルーパ糸Lの経路上にルーパ糸調節機構37が設けられている。
ルーパ糸調節機構37は、ルーパ糸Lに摺接する外周カムを備え、当該外周カムは下軸21により回転動作を行うようになっている。外周カムは、回転中心から外周までの距離が不均一となる形状とされており、下軸21の回転によって、周期的に糸供給源側からのルーパ糸Lの繰り出しと布地側からのルーパ糸Lの引き戻しとを行う。
ルーパ13は、ミシンの面部側に向かって延出された剣先を備え、図示しないルーパ機構によりY軸方向に沿った往復動作とX軸方向の往復動作との合成によるY軸方向に沿った長円運動が付与される。
即ち、ルーパ13の先端部は、縫い針11,12の針落ち位置の周囲を周回する軌跡を描いて運動を行い、ルーパ13が左方に動作して、二本の縫い針11,12の前側(布送り下流側)を通過しながら縫い針11,12と針糸T1,T2の間に突入し、その後、幾分後方に移動して針落ち位置の後方側(布送り上流側)に回り込んで退避移動を行い、その際に、ルーパ糸LのループL11とルーパ13に補足された針糸T1とT2のループT11、T21に囲まれた三角空間に向かって縫い針11,12が突入する。この運動を繰り返すことにより、二重環縫いが行われるようになっている(図2〜図5参照)。
上記ルーパ機構は、その先端部でルーパ13を保持するY軸方向に沿ったルーパ支持棒38と、ルーパ支持棒38のY軸方向の往復動作を許容しつつY軸回りの回動動作を付与する回動台と、下軸21の回転動作を往復回動動作に変換して回動台に伝達する偏心カム機構と、X軸方向に沿って配設されると共に下軸21からクランク機構を介してX軸回りの往復回動動作を行うルーパ軸と、ルーパ軸に固定装備されてX軸回りの回動動作を行うと共にルーパ支持棒38に対してY軸方向に沿った往復動作を付与するアーム部材とを主に備えている。
そして、これらの構成により、ルーパ支持棒38及びルーパ13に対してY軸方向に沿った往復動作とY軸回りの往復回動動作とを同期して付与することで、ルーパ13のほぼX−Y平面に沿った長円運動を実現している。
[布送り機構]
また、ベッド部20には、X−Z平面に沿った長円運動により針板から出没する送り歯と、送り歯に長円運動を付与する駆動部とからなる図示しない周知の布送り機構が内蔵されている。この布送り機構は、送り歯が針板から出現する際に前方に移動を行い、被縫製物である布地W(図2参照)に対して所定のピッチで布送り動作を行う。
[二重環縫い動作]
ここで、上記ミシン100による基本的な二重環縫いの縫い目形成動作を図2〜図5に基づいて説明する。
図2に示すように、ルーパ13が左方に動作して針糸T1,T2の二つのループT11,T21に突入し、ループT11,T21を捕捉する。
そして、図3に示すように、ルーパ糸LのループL11と針糸T1とT2のループT11、T21に囲まれた三角空間に、それぞれの縫い針11,12が下降して突入する。その後、図4に示すように、ルーパ13が右方に退避し、縫い針11によりルーパ糸LのループL11が針糸T1,T2のループT11,T21に挿通された状態を維持する。
そして、図5に示すように、縫い針11,12が上昇を開始すると、再び、ルーパ13が左方に動作して、二本の縫い針11,12の前側(布送り下流側)を通過しながら、縫い針11,12と針糸T1,T2の間に突入し、ルーパ13に補足された針糸T1とT2のループT11a、T21aを形成する。
このように、図2〜図5の動作を繰り返すことにより、ルーパ糸Lのループと針糸T1,T2のループとが互いに挿入される動作が繰り返されて、二重環縫い縫い目が形成される。
このように、本願で例示している二重環縫い目は、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)にステッチ形式の表示記号406として定められたタイプのものであるが、これ以外のタイプであっても良い。
[糸切り装置]
上記二重環縫いミシン100は、左方(最もルーパ13の突出方向側)に位置する縫い針11の針糸T11とルーパ糸Lとを縫い終わり端部で切断して互いに固結びで結ぶ結び目形成装置としてのノッター装置50と、このノッター装置50による糸切り及び糸結びを行うために左の針糸T11及びルーパ糸Lを予め捕捉してノッター装置50側に引き出すための糸係止装置70と、右の針糸T12を切断する糸切り装置75とを備えている。
上記糸切り装置75は、最終針の針落ちの後に、ルーパ13を左方に最も突出させ、縫い針11,12を上死点位置で停止させた状態で形成される針糸T2のループT21aを捕捉し切断する。このため、糸切り装置75は、図6に示すように、ルーパ13の上側の直近位置において、Y軸方向に沿って往復可能に指示されたフックメス76と、フックメス76と協働して針糸T2を切断する固定メス77と、フックメス76の往復動作を付与するアクチュエーターとしてのエアシリンダ78(図14参照)とを備えている。
上記フックメス76は、先端部に返し状の鈎爪を備え、フックメス76の先端部が針糸T2のループT21aに突入後、右方に退避する際にループT21aのルーパ13を挟んで布地側の部分を捕捉し、固定メス77側に引き込むことを可能としている。
固定メス77は、退避移動時に引き込まれた針糸T2と摺接して切断するエッジを備えている。なお、この糸切り装置75は、ノッター装置50による糸切り及び糸結びの実行後に糸切りを実行するよう、制御される。
[糸係止装置]
図7はノッター装置50と糸係止装置70の平面図、図8は側面図である。
糸係止装置70は、最終針の針落ちの後に、ルーパ13を左方に最も突出させ、縫い針11,12を上死点位置で停止させた状態(図2の状態で停止)で形成される針糸T1のループT11と、ルーパ糸LのループL11を捕捉する。このため、糸係止装置70は、図7に示すように、ルーパ13の近傍において、進退移動するフック部材71と、フック部材71に進退移動を付与するアクチュエーターとしてのエアシリンダ72とを備えている。
上記フック部材71は、その進退移動方向に沿った棒状体であり、その先端部には返し構造の糸捕捉用の鈎爪71aが形成されている。そして、フック部材71は、平面視でルーパ13とほぼ平行となり、側面視で左下がりに傾斜した方向に向けられて配置されている。
そして、フック部材71は、右方への進出時にルーパ糸LのループL11と針糸T1のループT11の内側に侵入し、左方への退避時に左下方に突出した鈎爪71aが、ルーパ糸LのループL11におけるルーパ13の目孔から布地に渡る部分と、針糸T1のルーパ13から布地Wに渡る部分とを引っ掛けた状態で捕捉し、退避移動方向にルーパ糸Lと針糸T1とを束ねた状態で引き出しを行う。
[ノッター装置]
図9はノッター装置50の全体を示す側面図である。図示のように、ノッター装置50は、前述した糸係止装置70が引き出した針糸T1及びルーパ糸Lを捕捉するノッター60と、当該ノッター60に回転動作を付与する回転駆動部としての回転モーター51と、ノッター60に対してその回転中心線Cに沿って進退動作を付与するアクチュエーターとしてのエアシリンダ52と、回転モーター51から付与される回転によりノッター60の糸切断と糸結び動作を付与するカム機構53と、針糸T1とルーパ糸Lと糸切断及び糸結びの作業に適した位置に導くための一対のガイド部材としてのガイド板58,59とを備えている。
ノッター60は、その分解斜視図である図10に示すように、回転中心線Cに沿った状態で回転半径方向外側に向かって徐々に曲折しながら延出された爪状の部材である糸巻き取り部材61と、糸巻き取り部材61に併設されたクランプ部材62と、クランプ部材62に併設された固定メス63とを備えており、クランプ部材62を挟んだ状態で固定メス63が糸巻き取り部材61に対して図示しないネジにより連結されている。
糸巻き取り部材61は回転中心線Cを中心とする円柱状の基部61aと当該基部61aから曲折しつつ先細となるように延出された糸捕捉部61bとからなり、基部61aはカップリング64を介して回転モーター51の出力軸に連結されている。
クランプ部材62は、糸巻き取り部材61及び固定メス63に対して軸部材61cを介して回動可能に装備されている。
固定メス63は、延出部の側縁部が刃部63aとなっており、回動を行うクランプ部材62の側縁部との間に糸を挟み込んで切断を行うことができる。
そして、クランプ部材62及び固定メス63は、糸巻き取り部材61と同様に曲折しつつ同方向に延出されており、これらは一体的に重ね合わせた状態にすることができる。
図11はノッター装置50の先端部側の一部を切り欠いた拡大側面図、図12は拡大正面図である。
カム機構53は、クランプ部材62の延出端部とは反対側に固定装備された丸棒状のカム従節54と、カム従節54の内側部分が摺接する略半円状の外周カム55と、カム従節54の外側部分が摺接する内周カム56とを備えている。
ノッター60は、図12における矢印のように通常は時計回り方向に回転が付与される。以下、この回転方向を正回転とし、その逆の回転方向を逆回転とする。
図12において、P0〜P2はカム従節54の位置を示しており、P0はカム従節54の待機位置、P1はクランプ部材62の開き開始位置、P2は開き完了位置である。
カム従節54が開き開始位置P1にあるときに回転中心線Cに最も近くなり、クランプ部材62は完全に閉じた状態になる。そして、開き開始位置P1からノッター60に正回転が付与されると、カム従節54は外周カム55の外周に摺接する状態となる。
この外周カム55は、開き開始位置P1から正回転方向に開き完了位置P2に至るまでの180°の区間において、回転中心線Cからの外周半径が徐々に大きくなるように形成されており、これによって、クランプ部材62を閉じた状態から最大限に開いた状態にすることができる。
一方、内周カム56は、開き終了位置P2から正回転方向に開き開始位置P1に至るまでの180°の区間の途中において、回転中心線Cからの内周半径が徐々に小さくなるように形成されており、これによって、クランプ部材62を最大限に開いた状態から閉じた状態にすることができる。
なお、待機位置P0は、回転中心線Cからの距離が開き開始位置P1と同一に設定されており、カム従節54が開き開始位置P1にある状態で回転モーター51を180°だけ逆回転させることによりカム従節54を待機位置P0に移動させることができる。
即ち、この待機位置P0は、クランプ部材62を閉じた状態でノッター60の先端部を下方に向けるための位置である。そして、外周カム55には、待機位置P0にあるカム従節54が嵌合する凹部55aが形成されている。
図13はガイド板58の平面図である。一対のガイド板58,59は、いずれも平板体であって、ノッター装置50の進出移動方向先端部にスリット状に切り欠かれたガイド部58a,59aを有している。
これらのガイド部58a,59aは、いずれも回転中心線C方向に平行に形成されており、その先端部は拡開されている。
ノッター装置50は、図7及び図8に示すように、糸係止装置70の上側に位置しており、糸係止装置70のフック部材71のように、ノッター60及びガイド板58,59が概ね右方に進出するように配置されている。また、ノッター装置50は、ノッター60及びガイド板58,59側が幾分下方に傾斜すると共に各ガイド板58,59が進出したときに、糸係止装置70のフック部材71に引き出された針糸T1及びルーパ糸Lをガイド部58a,59aに導き込むことができるように,その配置が設定されている。
また、図12に示すように、各ガイド部58a,59aは、ガイド部58a,59aの幅方向(回転中心線Cに直交するX方向)について回転中心線Cに対してオフセットして形成されている。これにより、二つのガイド部58a,59aの間で掛け渡された針糸T1のループT11及びルーパ糸LのループL11をノッター60に対して常に一定の位置に保持することができる。
さらに、上側のガイド板58のガイド部58aより下側のガイド板59のガイド部59a方向がスリットが深く形成されており、これにより、図11に示すように、二つのガイド部58a,59aの間で掛け渡された針糸T1のループT11及びルーパ糸LのループL11は、回転中心線Cに対して傾斜した状態となる。針糸T1及びルーパ糸Lをこのように傾斜させることにより、ノッター60の先端部が上方を向いているときには針糸T1及びルーパ糸Lに届かない状態となる。また、ノッター60の先端部が下方を向いた時には、外周カム55によりクランプ部材62が開いた状態となるが、針糸T1のループT11及びルーパ糸LのループL11は、糸巻き取り部材61(固定メス63)とクランプ部材62との間に位置するように、ガイド部58a,59aの深さが設定されている。
[ミシンの制御系]
二重環縫いミシン100は、図14に示すように、上述した各部、各部材の動作を制御するための動作制御手段としての制御装置90を備えている。そして、制御装置90は、各種の制御プログラム、縫製パターンデータを記憶し、実行するCPU91を備えている。
また、CPU91は、インターフェイス15bを介して、ミシンモーター15を駆動するミシンモーター駆動回路15aに接続され、ミシンモーター15の回転を制御する。
さらに、CPU91は、インターフェイス51bを介して、回転モーター51を駆動する回転モーター駆動回路51aが接続され、ノッター60の正逆の回転駆動、停止位置等を制御する。
さらに、CPU91は、インターフェイス52b,72b,78bを介して、ノッター装置50,糸係止装置70及び糸切り装置75のエアシリンダ52,72,78を駆動する駆動回路52a,72a,78aが接続され、それぞれのエアシリンダ52,72,78を所定のタイミングで作動させる。
また、CPU91は、インターフェイス92aを介して、縫製の開始及び終了をオペレーターが入力するための操作ペダル92が接続されている。
また、CPU91は、インターフェイス93aを介して、縫製終了時にノッター60が後退完了したことを検出するマイクロスイッチとしての後退完了スイッチ93が接続されている。
[糸切り及び糸結び動作を伴う縫製動作説明]
次に、上記構成からなる二重環縫いミシン100における縫製終了時の糸切り及び糸結び動作について、図15の制御装置90の動作制御を示すフローチャート及び図16〜図27の動作説明図により順を追って説明する。
まず、制御装置90は、操作ペダル92が踏まれたか否かを判定し(ステップS1)、踏まれた場合にはミシンモーター15の駆動を開始させて縫製を開始する(ステップS3)。即ち、ミシンモーター15の駆動開始により前述した図2〜図5の二重環縫いの縫製動作が繰り返し行われる。
次に、制御装置90は、操作ペダル92の踏み込みが解除されたか否かを判定し(ステップS5)、踏み込みが解除された場合には、ミシンモーター15の駆動を停止させる(ステップS7)。
この時、図2に示すように、制御装置90は、最終針の針落ちを行った後、ルーパ13を左方に最も突出させ、縫い針11,12が上死点位置となるようにミシンモーター15を停止させる。
そして、制御装置90は、操作ペダル92の踏み返しが行われたか否かを判定し(ステップ8)、踏み返しが行われるまで同判定を繰り返す。そして、踏み返しが行われた場合には、糸係止装置70のエアシリンダ72を作動させてフック部材71の進出と退避とを実行し、最終針で形成された針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11とをルーパ13よりも左方に引き出す(ステップS9:図7及び図8参照)。
この状態において、制御装置90は、ノッター装置50のエアシリンダ52を作動させて、ノッター60及びガイド板58,59を進出させる。これにより、ループT11とループL11を形成する針糸T1及びルーパ糸Lとが二つのガイド板58,59のガイド部58a,59aの間に掛け渡された状態となる(ステップS11:図16参照)。なお、ノッター装置50は初期状態としてカム従節54が待機位置P0に位置し(カム従節54が凹部55aに嵌合した状態)、ノッター60の先端部は下方を向いて閉じた状態にある。
かかる状態から回転モーター51の駆動を正回転で開始する(ステップS13)。これにより、カム従節54が、開き開始位置P1(ノッター60の先端部が真上を向いた状態)まで移動する。この間、カム従節54は半径方向について移動を行わず、ノッター60はクランプ部材62が閉じた状態が維持される。また、閉じた状態のノッター60の先端部に針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11が捕捉され、開き開始位置P1に到達するまでにノッター60の先端部に対して半周分巻き付けられた状態となる(図17参照)。
さらに、回転モーター51の正回転が継続され、カム従節54が外周カム55の外周に摺接してクランプ部材開き開始位置P1から開き完了位置P2に向かって移動する。この間、カム従節54は外周カム55の外周に摺接する状態となり、回転中心線Cから半径方向外側に向かって徐々に離れていく移動を行い、ノッター60はクランプ部材62が徐々に開き始める(図18及び図19参照)。
そして、カム従節54が開き完了位置P2(ノッター60の先端部が真下を向いた状態)に到達して、クランプ部材62が最大限に開いた状態となる。また、針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11はノッター60の先端部に対して一周分巻き付けられた状態となる(図20参照)。
さらに、回転モーター51の正回転が継続され、針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11はノッター60の先端部に対して二周目の巻き付けが開始されるが、この時、クランプ部材62が最大限に開いているので、針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11は、糸巻き取り部材61及び固定メス63と開いたクランプ部材62との間に入った状態で巻き付けられる(図21参照)。
さらに、回転モーター51の正回転が継続されると、カム従節54が内周カム56の内周に摺接して回転中心線Cから半径方向内側に向かって徐々に近づく移動を行い、クランプ部材62は徐々に閉じられる。クランプ部材62が閉じる過程において、クランプ部材62と糸巻き取り部材61との相互間では針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11が挟み込まれ、クランプ部材62と固定メス63との間では固定メス63に刃部63aが形成されているので、針糸T1及びルーパ糸Lは切断される(図22参照)。
さらに、回転モーター51の正回転が継続されると、クランプ部材62と糸巻き取り部材61との相互間では針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11がさらに深く挟み込まれ(図23参照)、カム従節54が、開き開始位置P1に到達する直前で回転モーター51を停止させ、ノッター60を停止位置で停止させる(ステップS15:図23)。この停止位置は、ノッター60の先端部が上方を向いた状態であり、ノッター60の先端部がガイド板58のガイド部58aに最も近接する位置とすることが望ましい。
この時、図23(C)に示すように、針糸T1とルーパ糸Lはノッター60の先端部において、一周分の巻き付けが行われると共に、それらの切断端部(縫い終わり端部)T13,L12が巻き付けによる環状部の内側で糸巻き取り部材61とクランプ部材62とによりクランプされた状態にある。
上記停止位置でノッター60が停止した状態でノッター装置50のエアシリンダ52を作動させて、ノッター60及びガイド板58,59を後退移動させる(ステップS16)。ノッター60が後退移動すると、図23(C)の状態にある針糸T1のループT11及びルーパ糸LのループL11は、切断端部T13,L12の周囲のクランプされていない環状部分からノッター60の先端部から外れ、その結果、当該環状部の内側に切断端部T13,L12が引き込まれ、固結び状態となる(図24参照)。
さらにノッター60を後退移動させると、クランプされていた切断端部T13,L12も糸巻き取り部材61とクランプ部材62との間から引き抜くことができる(図25参照)。
一方、制御装置90は、ノッター60が後退完了したことを示す後退完了スイッチ93の検出待ちを行い(ステップS17)、後退完了スイッチ93の入力を検出すると、回転モーター51を逆方向に駆動させてノッター60を逆方向に回転させて、カム従節54を待機位置P0側に復帰させる(ステップS19:図26参照)。
上記ノッター60の逆方向回転により、カム従節54は回転中心線Cから半径方向外側に移動することはなく、クランプ部材62が閉じた状態で待機位置P0である凹部55aに嵌合し、回転モーター51が停止する(ステップS21:図27参照)。
そして、糸切り装置75のエアシリンダ78を作動させてフックメス76の進出と退避とを実行し、針糸T2の切断を実行する(ステップS23)。
そして、縫製動作を完了する。
なお、上記糸切り装置75の針糸T2の糸切り動作は、針糸T1とルーパ糸Lの糸結びが完了した後であればいずれのタイミングで実行しても良い。例えば、ステップS19よりも先に行っても良いし、並行して行ってもよい。
また、回転モーター51は、ステッピングモータなどを使用すれば、そのステップ数をカウントすることで、ノッター60のカム従節54を待機位置P0、図24の停止位置等で停止するよう制御することが可能である。また、これ以外の方法として、各停止位置を検出するセンサをノッター60に設けて、検出により回転を停止するよう制御しても良い。
また、上記ミシン100では、針糸T1のループT11とルーパ糸LのループL11を切断後に、エアシンダ52を作動させてノッター60を後退移動させることで糸結びを完成させているが、針糸T1とルーパ糸Lの糸払い機構を設けて自動制御で糸結びを実行させても良い。
[技術的効果]
図28はノッター装置50により結ばれた針糸T1とルーパ糸Lとを布地Wの裏側から見た図である。このように、二重環縫いミシン100では、ノッター装置50により、ルーパ13の進出方向側の縫い針11の針糸T1とルーパ糸Lとを切断し、その切断端部同士を結び付けることが可能であるため、ルーパ糸Lを引っ張っても、針糸T1と結ばれているので、ルーパ糸Lが針糸T1のループT11から抜けることがなく、縫い目のほつれが発生しない。また、ルーパ糸Lが針糸T1のループT11から抜けない以上、ルーパ糸Lが針糸T2のループT21から抜けることも防止される。よって、針糸T1及びルーパ糸Lの切断段部から縫い目のほつれを生じないため、縫い目をより確実に維持することが可能となる。
また、ノッター装置50が針糸T1とルーパ糸Lの縫い終わり端部であるT13とL12の糸切りを行うので、針糸T1とルーパ糸Lの専用の糸切り装置を不要とすることができる。さらに、ノッター装置50は、針糸T1とルーパ糸Lの縫い終わり端部であるT13とL12の糸切りと糸結びとを連続して行うので、糸切り後に針糸T1とルーパ糸Lの端部であるT13とL12がばらけることがなく、これらの糸結び作業を失敗することなくより確実に行うことが可能となる。
また、ノッター装置50の糸切り及び結び作業に先行して、糸係止装置70がルーパ糸Lと針糸T1を束ねて捕捉するので、ノッター装置50のガイド板58,59のガイド部58a,59aにルーパ糸Lと針糸T1とを案内しやすくなり、これらの縫い終わり端部であるT13とL12同士を結ぶ作業をより容易且つ確実に行うことが可能となる。
[二重環縫いの他の例(1)]
図29に示すように、特許第3318482号公報に記載の縫い目形成装置で形成される図39の縫い目において、ルーパ13の進出方向側端部の縫い針11の針糸T1とルーパ糸Lとの切断端部(縫い終わり端部)を結びことも可能である。以下にその方法を説明する。
図30に示すアクチュエーターによって回動可能なルーパ糸係合フック101を針板とルーパ13との間における縫い針11の針落ち位置近傍に装備する。
そして、最終針の針落ち後に、各縫い針11,12は上死点位置で停止させ、ルーパ13は最進出位置で停止させる。
かかる状態で、図31に示すように、ルーパ糸係合フック101を回動させてルーパ糸LのループL11を針糸T1のループT11よりもルーパ先端部寄りの位置で捕捉する。
さらに、図32に示すように、ルーパ13を後退させると共に、ミシンモーター15を再び駆動させて縫い針11,12によりもう一針分の針落ちを実行し、ルーパ糸係合フック101が捕捉したルーT11に縫い針11の針落ちを行う。
そして再び、各縫い針11,12は上死点位置で停止させ、ルーパ13は再進出位置で停止させる。
これにより、図33の状態となり、糸係止装置70はフック部材71を前進させて、ルーパ糸Lと針糸T1の捕捉を行うが、この時、ルーパ糸Lは、ルーパ13の目孔から布地Wに渡っている部分ではなく、ルーパ糸係合フック101で捕捉したループL11と新たに針落ちを行って形成された針糸T1のループT14とを捕捉し、引き出しを行う。なお、糸係止装置70のフック部材71は、その往復移動軌跡と鈎爪71aの向きが上記針糸T1のループT14及びルーパ糸LのループL11の捕捉に適した方向に調整することが望ましい。
そして、図34に示すように、糸係止装置70で引き出された針糸T1のループT14とルーパ糸LのループL11とに対して、前述と同様にして、ノッター装置50により、糸端部の切断と結びとを実行することにより、図29の結び目を形成することが可能である。
[二重環縫いの他の例(2)]
図35は縫い針11の一本のみを備える二重環縫いミシンであって、その針糸T1とルーパ糸Lとで交互にループをくぐらせて行う二重環縫いにおいて、ノッター装置50により糸切断と糸結びを実行した場合の縫い目を示している。この場合には、前述した図7及び図8に示すノッター装置50及び糸係止装置70により、図35の糸結びを実行することが可能である。
また、図36は、上記縫い針11の一本のみを備える二重環縫いミシンにおいて、図30〜図34に示したルーパ糸係合フック101により針糸T1のループを捕捉し、もう一回針落ちを行った後に糸切断及び糸結びを行った場合の縫い目を示している。この場合も、図32,図34に示す糸係止装置70とノッター装置50とを利用することで、図36の糸結びを実行することが可能である。
[ノッター装置の他の例]
図37は、ノッター装置50の上側のガイド板58のガイド部58aにおいて、ガイド板58の下面から回転中心線C側に延出した延出部としての突起部58bを形成した例を示している。
この突起部58bは、少なくともノッター60の先端部における回転半径の内側まで突起部58bの先端部が延出されている。
これにより、ガイド部58a,59aに掛け渡された針糸T1とルーパ糸Lは、ノッター60の先端部に、より確実に捕捉させることが可能となる。
[その他]
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、二重環縫いミシンの縫い針は一本又は三本以上であっても良い。なお、縫い針を三本以上とした場合には、最もルーパ13の前進移動方向側の縫い針の針糸とルーパ糸とについて縫い終わりの端部を結ぶことが望ましい。
また、縫い針に飾り糸を操る周知のスプレッダ機構を装備して、二重環縫いの縫い目に飾り糸を縫い込む二重環縫いの一種である飾り縫いを行う場合にも上記ノッター装置50を適用することが可能である。
11,12 縫い針
13 ルーパ
50 ノッター装置(結び目形成装置)
51 回転モーター(回転駆動部)
53 カム機構
58a,59a ガイド部
58b 突起部
60 ノッター
61 糸巻き取り部材
62 クランプ部材
63 固定メス
70 糸係止装置
71 フック部材
100 二重環縫いミシン
C 回転中心線
L ルーパ糸
L11 ルーパ糸のループ
T1,T2 針糸
T11,T21 針糸のループ
T13,L12 切断端部(縫い終わり端部)
W 布地(被縫製物)

Claims (7)

  1. 被縫製物を一定の方向に搬送する送り機構と、
    縫い針を上下動させる針上下動機構と、
    ルーパを前記被縫製物の搬送方向と交差する方向に沿って進退移動させるルーパ機構とを備え、
    二重環縫いを行う二重環縫いミシンにおいて、
    前記針糸と前記ルーパ糸の縫い終わり端部同士を結ぶ結び目形成装置を備えることを特徴とする二重環縫いミシン。
  2. 前記結び目形成装置は、前記針糸と前記ルーパ糸の縫い終わり端部側の糸切りと当該縫い終わり端部の結び動作とを行うことを特徴とする請求項1記載の二重環縫いミシン。
  3. 前記縫い針を前記ルーパの進退移動方向に沿って並んだ状態で複数備え、
    前記結び目形成装置は、最も前記ルーパの先端側に位置する縫い針の針糸と前記ルーパ糸の縫い終わり端部同士を結ぶことを特徴とする請求項1又は2記載の二重環縫いミシン。
  4. 前記ルーパ糸と前記針糸とを束ねて捕捉するフック部材を有する糸係止装置を備え、
    前記結び目形成装置は、前記糸係止装置により捕捉された前記ルーパ糸及び前記針糸に対して結び目の形成を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の二重環縫いミシン。
  5. 前記結び目形成装置は、
    回転可能に支持され、回転中心線から当該回転中心から逸れる方向に向かって延出された糸巻き取り部材と、
    前記糸巻き取り部材に併設され、当該糸巻き取り部材に対して回動可能に装備されたクランプ部材と、
    前記クランプ部材に併設された固定メスと、
    前記糸巻き取り部材、前記クランプ部材及び前記固定メスに対して一体的に回転動作を付与する回転駆動部と、
    前記回転駆動部による回転時に、前記クランプ部材に回動動作を付与するカム機構とを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の二重環縫いミシン。
  6. 前記結び目形成装置は、前記針糸及び前記ルーパ糸を前記糸巻き取り部材の捕捉範囲内を通過するように、前記糸巻き取り部材の回転中心線に対して斜めに張った状態で支持する一対のガイド部を備えることを特徴とする請求項5記載の二重環縫いミシン。
  7. 前記結び目形成装置は、一方の前記ガイド部を、前記糸巻き取り部材の回転中心側に向かって前記糸巻き取り部材の先端部の回転半径の内側まで延出させたことを特徴とする請求項6記載の二重環縫いミシン。
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