JP2014037511A - コーティング膜の形成方法およびコーティング剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、式(1)のフッ素含有モノマーを60質量%以上99質量%以下と、式(2)の(メタ)アクリル酸エステルを1質量%以上40質量%以下と、を重合させてなるフッ素系共重合体A、及び式(1)のフッ素含有モノマーを20質量%以上50質量%以下と、式(2)の(メタ)アクリル酸エステルおよび式(3)の(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50質量%以上80質量%以下と、を重合させてなるフッ素系共重合体Bを、別々に溶剤に溶解して得られるコーティング剤A及びコーティング剤B、もしくはフッ素系共重合体Aおよびフッ素系共重合体Bの混合物を溶剤に溶解して得られるコーティング剤Cを用いるコーティング膜の形成方法である。
【選択図】なし
Description
前記フッ素系共重合体Aを含むコーティング剤および前記フッ素系共重合体Bを含むコーティング剤からなる二液型のコーティング剤である。
詳しくは、コーティング剤Cまたは一液型コーティング剤を用いる場合においては、汚れ成分が当該コーティング剤に含まれる溶剤に一旦溶解するが、フッ素系共重合体Bは汚れ成分との相溶性が低いため、汚れ成分を外側に退かせてコーティング膜の土台を形成し、その一方で、フッ素系共重合体Aはコーティング膜の表面側に移動して(ブリードアウトして)撥油性の膜を形成する。
コーティング剤Aおよびコーティング剤B、または二液型コーティング剤を用いる場合においては、基材上にコーティング剤Bまたはフッ素系共重合体Bを含むコーティング剤を塗布することで汚れ成分が退かされ、コーティング剤Aを塗布する土台が形成され、この土台表面に撥油性能の高いコーティング剤Aを塗布することで撥油性能に優れたコーティング膜を形成することができる。
コーティング膜の形成方法において、コーティング剤Cを用いてもよい。
このような構成とすると、基材へのコーティング作業が1工程で済むので作業効率に優れる。
このような構成とすると、撥油性に優れるフッ素系共重合体Aがコーティング膜の表面側に配されるので好ましい。
フッ素系共重合体Aは、下記一般式(1)で表されるフッ素含有モノマーを60質量%以上99質量%以下と、下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルを1質量%以上40質量%以下と、を重合させてなる。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数が少ない化合物を用いると、汚れ成分と相溶しにくくなり土台となるフッ素系共重合体B成分からなる皮膜の表面近傍に移動しやすくなり(ブリードアウトしやすくなり)撥油性能が向上する。逆に、炭素数が5を超えると、オイル等の汚れ成分と相溶し易くなり、汚れを呼び込む要因となったり、汚れ成分と接触している場合には、経時的にまたは、加熱することに汚れ成分が流動し、撥油性能が低下することがある。
フッ素系共重合体Bは、一般式(1)で表されるフッ素含有モノマー(フッ素含有モノマー)を20質量%以上50質量%以下と、一般式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル(短鎖アルキルモノマー)および下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50質量%以上80質量%以下と、を重合させてなる。
フッ素含有モノマーおよび短鎖アルキルモノマーとしては、フッ素系共重合体Aの材料として説明したモノマーと同様のものを用いることができる。
炭素数4以下の短鎖アルキルモノマーや、環状モノマーを用いて得られるフッ素系共重合体Bは、油などの汚れ成分と相溶し難いため、汚れ成分(特にオイル成分)を外に追い出す効果がある。
フッ素含有モノマーの量を20質量%未満とした場合には、一旦退かされた汚れ成分がオーバーフローしてフッ素系共重合体Aとフッ素系共重合体Bとの間に流れ込む。フッ素含有モノマーの量が50質量%を超えると、汚れ成分に弾かれてしまい、均一な土台を形成することができなくなる。
フッ素系共重合体Aおよびフッ素系共重合体Bは、別々に、溶媒に溶解あるいは溶媒中に分散させてコーティング剤を調製して使用することができる。フッ素系共重合体Aを溶媒に溶解または分散させて得られるものがコーティング剤Aであり、フッ素系共重合体Bを溶媒に溶解または分散させて得られるものをコーティング剤Bである。コーティング剤Aは、フッ素系共重合体Aを含むコーティング剤の一例であり、コーティング剤Bはフッ素系共重合体Bを含むコーティング剤の一例である。コーティング剤Aおよびコーティング剤Bからなるコーティング剤は二液型のコーティング剤の一例である。
コーティング剤A,コーティング剤B、およびコーティング剤Cは、マイクロモーターの軸受けに用いる潤滑オイルの拡散を防止するオイルバリア剤、HDDモーターの流体軸受けに用いる潤滑オイルの拡散を防止するオイルバリア剤のほか、幅広い用途、電子基板の防湿コーティング剤などに用いて表面にフッ素を配向させ撥水性を向上させる用途や、塩水・電解液・腐食性ガス等から基材を保護する耐薬品保護コーティング剤、サインペン・ボールペン等のインクの漏れを防止する漏れ防止剤、コネクタ・電子部品等の汚れ防止剤、絶縁樹脂の這い上がり防止剤、MFコンデンサのリード封止樹脂の付着防止剤、繊維などの撥水・撥油剤、防水スプレー原液に使用することができる。
コーティング剤(コーティング剤A、コーティング剤B、コーティング剤C)を用いたコーティング方法としては、浸漬法、ハケ塗り法、スプレー法、ロールコート法など公知の方法が採用可能であり、コーティング剤を使用する基材の性質や形態などを考慮して適宜選択することができる。本発明のコーティング剤およびコーティング膜の形成方法は、コーティング処理を行う前に、予め汚れ成分等を洗浄除去した基材に適用することもできるが、コーティング処理前の汚れ成分等の洗浄除去処理を行っていない基材に適用することもできる。本発明(コーティング剤、コーティング膜の形成方法)により、汚れ成分等の洗浄除去を行わない基材のコーティング処理を行うと、洗浄処理を省略しつつ、十分な撥油性を基材に付与することができるので、作業効率に優れるという利点がある。
コーティング剤Cを用いると、基材へのコーティング作業が1工程で済むので作業効率に優れる。コーティング剤Aおよびコーティング剤Bを用いる場合、基材の表面を、コーティング剤Bによりコーティングした後、コーティングBをコーティングした面を、コーティング剤Aによりコーティングすると、撥油性に優れるフッ素系共重合体Aがコーティング膜の表面側に配される。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
(1)フッ素系ポリマーの作製
重合例A1〜重合例A5によりフッ素系ポリマーAを作製し、重合例B1〜B6によりフッ素系ポリマーBを作製し、重合例A6〜A8および重合例B6〜B8により比較のフッ素系ポリマーを作製した。各フッ素系ポリマーを作製する際に用いたモノマーとその量、および、各フッ素系ポリマーの分子量(Mw、Mn)を表1に示した。表1中、「長鎖アルキルモノマー」とは、ラウリルメタクリレートおよびステアリルメタクリレートのことをいう。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート69g、メチルメタクリレート30g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れた。その後、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。
温度計、攪拌翼、冷却管、N2配管をセットして回転数100rpmで丸底フラスコ内の内容物を撹拌した。常温で丸底フラスコの空間部をN2で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。N2は重合終了まで流し続けた。反応を5時間継続し、その後室温まで冷却することにより、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度(質量基準、以下同様)を測定したところ24.0%であった。
生成物のGPC(ゲルパーミレーションクロマトグラフ)を測定したところポリメチルメタクリレート(PMMA)換算でMnが35,000、Mwが60,000であった。
丸底フラスコに、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレートを98g、メチルメタクリレートを2g、n−ヘプタン100gを入れたこと、およびAIBNを0.5g加えたこと以外は、重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、水あめ状の沈降物を含む生成物を得た。
生成物を真空乾燥して溶剤を取り除いた後、生成物10gを90gの旭硝子社製AE3000に溶解し10%溶液を作製した。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが28,000、Mwが50,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロブチルエチルメタクリレート80g、メチルメタクリレート19g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ23.8%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが22,000、Mwが38,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート69g、ブチルメタクリレート30g、メタクリル酸1gを入れ、次に、トルエン70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出してトルエンを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.2%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが38,000、Mwが200,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート60g、ブチルメタクリレート39g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ23.9%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが35,000、Mwが86,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート50g、メチルメタクリレート49g、メタクリル酸1gを入れ、次に、トルエン70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出してトルエンを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.0%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが23,000、Mwが53,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート69g、ラウリルメタクリレート30g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ23.8%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが30,000、Mwが88,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート79g、ステアリルメタクリレート20g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.9%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが32,000、Mwが93,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート39g、イソボルニルメタクリレート60g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.5%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが50,000、Mwが300,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロブチルエチルメタクリレート39g、イソボルニルメタクリレート60g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.0%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが46,000、Mwが214,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート39g、メチルメタクリレート60g、メタクリル酸1gを入れ、次に、トルエン70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.3%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが23,000、Mwが50,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート39g、ブチルメタクリレート60g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.6%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが44,000、Mwが103,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート39g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.1%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが23,000、Mwが60,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート39g、ラウリルメタクリレート60g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.1%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが57,000、Mwが230,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート39g、ステアリルメタクリレート60g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.2%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが70,000、Mwが140,000であった。
500mlの丸底フラスコにパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート10g、イソボルニルメタクリレート89g、メタクリル酸1gを入れ、次に、酢酸ブチル70gを秤量して入れたこと以外は重合例A1と同様にして、重合反応をおこない、粘性のある液体状の生成物を得た。
丸底フラスコ内の生成物を取り出して酢酸ブチルを233g加えて希釈し、乾燥法にて濃度を測定したところ24.9%であった。
生成物のGPCを測定したところPMMA換算でMnが50,000、Mwが463,000であった。
(コーティング剤1)
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A2で作製した生成物の10%溶液を5g、酢酸ブチル52.5g、旭硝子社製AE3000を24.1g秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、酢酸ブチル81.6gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度4.5質量%のコーティング剤を得た。
重合例A2で作製した生成物の10.0%溶液を5g、旭硝子社製AE3000を95g秤量し十分に攪拌し、固形分濃度0.5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、酢酸ブチル79.5gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を14.3g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液6.2g、トルエン32g、旭硝子社製AE3000を47.5g秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A3で作製した生成物の23.8%溶液2.1g、酢酸ブチル79.5gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A4で作製した生成物の24.2%溶液2.1g、トルエン34.5、バートレルXF(三井デュポンフロロケミカル社製)45.0gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A5で作製した生成物の23.9%溶液2.1g、酢酸ブチル79.5gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B2で作製した生成物の24.0%溶液を18.8g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、トルエン79.1gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B3で作製した生成物の24.3%溶液を18.5g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、トルエン79.5gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B4で作製した生成物の24.6%溶液を18.3g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、酢酸ブチル79.6gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B5で作製した生成物の24.1%溶液を19.1g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、酢酸ブチル78.8gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を4.1g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液16.7g、トルエン79.2gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A6で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、酢酸ブチル29.5g、旭硝子社製AE3000を50.0g秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A7で作製した生成物の23.8%溶液2.1g、酢酸ブチル79.5gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B1で作製した生成物の24.5%溶液を18.4g、重合例A8で作製した生成物の24.9%溶液2.1g、酢酸ブチル79.5gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B6で作製した生成物の24.1%溶液を18.7g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、酢酸ブチル79.2gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B7で作製した生成物の24.2%溶液を18.7g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、酢酸ブチル79.2gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
重合例B8で作製した生成物の24.9%溶液を18.1g、重合例A1で作製した生成物の24.0%溶液2.1g、酢酸ブチル29.8g、バートレルXF50gを秤量し十分に攪拌し、固形分濃度5質量%のコーティング剤を得た。
20mm×20mmのSUS430板を、n−ヘキサンとイソペンチルアルコール(IPA)で洗浄し十分に乾燥した後、その表面にプレスオイル(汎用品)20μlを塗布し、試験片Sとした。
試験片Sのプレスオイル塗布面にコーティング剤1を200μl塗布したものを試験片1とした。
(実施例2)
試験片Sのプレスオイル塗布面にコーティング剤2を200μl塗布して30分間風乾した後、コーティング剤3を200μl塗布したものを試験片2とした。
(実施例3〜12)
10枚の試験片Sのプレスオイル塗布面に、それぞれコーティング剤4〜13を200μl塗布したものを試験片3〜12とした。
6枚の試験片Sのプレスオイル塗布面に、それぞれコーティング剤14〜19を、200μl塗布したものを試験片13〜18とした。
(比較例7)従来法
重合例A1で作成したポリマー2質量部をフッ素系溶媒(Novec7100、住友3M社製)98質量部で溶解してポリマー量が2質量%のコーティング剤を作成した。このコーティング剤を200μl、試験片Sのプレスオイル塗布面に、塗布したものを試験片19とした。
(比較例8)
コーティング剤3を塗布しなかったこと以外は実施例2と同様にして、得られたものを試験片20とした。
市販のエポキシ樹脂3質量部、トルエン37質量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)35質量部を主剤とし、ポリアミド2質量部、トルエン14質量部、イソブタノール9質量部を硬化剤とし、主剤と硬化剤を使用直前に混合して混合液を作製した。
混合液200μlを試験片Sのプレスオイル塗布面に塗布し、30分間風乾した後、150℃×60分硬化させた。硬化物に比較例7で作製したコーティング剤を200μl塗布し試験片21とした。
(接触角の測定)
上記、実施例1〜12及び比較例1〜9で作成した試験片1〜21について、協和界面科学(株)製自動接触角形DM500により、以下の接触角測定を行い結果を表に示した。撥油性がなく接触角が測定不能だったものについては表中に「N.D」と示した
1)接触角(初期):試験片1〜21について静的接触角を測定した。
2)接触角(耐熱撥油性1:表中「耐熱1」)
各試験片を、含浸油をのせた状態で80℃に加熱した恒温槽で保管し、10分後に取り出し、静的接触角を測定した。
3)接触角(耐熱撥油性2:表中「耐熱2」)
各試験片を、含浸油をのせた状態で80℃に加熱した恒温槽で保管し、24時間後に取り出し、静的接触角を測定した。
表2および表3に示すように、フッ素系共重合体Aおよびフッ素系共重合体Bを混合した混合物を溶剤に溶解してなるコーティング剤を用いてコーティングすると(実施例1、実施例3〜12)、コーティング前に基材表面に存在するプレスオイルの洗浄除去を行わなくても、基材表面に撥油性を付与することができるということがわかった。
また、フッ素系共重合体A及びフッ素系共重合体Bを別々に溶剤に溶解してなる2種のコーティング剤を用いて基材のコーティングを行う場合(実施例2)でも、コーティング前に基材表面に存在するプレスオイルの洗浄除去を行わずに、基材表面に十分な撥油性を付与することができるということがわかった。
以上より、本発明のコーティング方法により基材のコーティングを行うと、基材の表面にプレスオイルが存在している状態(基材の洗浄処理なし)でも、基材の表面に十分な撥油性を付与することができるということがわかった。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、一般式(1)で表わされるフッ素含有モノマーとして、パーフルオロへキシルエチルメタクリレートおよびパーフルオロブチルエチルメタクリレートを用いた例を示したが、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルエチル(メタ)アクリレートを用いてもよい。
(2)上記実施例では、一般式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルとして、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとを用いた例を示したが、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレートを用いてもよい。
(3)上記実施例では、一般式(3)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルとしてベンジルメタクリレートやイソボルニルメタクリレートを用いた例を示したが、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、スチレン(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート等を用いてもよい。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるフッ素含有モノマーを60質量%以上99質量%以下と、下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルを1質量%以上40質量%以下と、を重合させてなるフッ素系共重合体A、
および、下記一般式(1)で表されるフッ素含有モノマーを20質量%以上50質量%以下と、下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルおよび下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50質量%以上80質量%以下と、を重合させてなるフッ素系共重合体Bを、別々に溶剤に溶解して得られるコーティング剤Aおよびコーティング剤B、もしくは、前記フッ素系共重合体Aおよび前記フッ素系共重合体Bの混合物を溶剤に溶解して得られるコーティング剤Cを用いるコーティング膜の形成方法。
- 前記コーティング剤Cを用いる請求項1に記載のコーティング膜の形成方法。
- 前記コーティング剤Aおよび前記コーティング剤Bを用いるコーティング膜の形成方法であって、
基材の表面を、前記フッ素系共重合体Bを溶剤に溶解してなるコーティング剤Bによりコーティングした後、前記フッ素系共重合体Aを溶剤に溶解してなるコーティング剤Aを、前記コーティング剤Bをコーティングした面にコーティングする請求項1に記載のコーティング膜の形成方法。 - 下記一般式(1)で表されるフッ素含有モノマーを60質量%以上99質量%以下と、下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルを1質量%以上40質量%以下と、を重合させてなるフッ素系共重合体A、
および、下記一般式(1)で表されるフッ素含有モノマーを20質量%以上50質量%以下と、下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルおよび下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50質量%以上80質量%以下と、を重合させてなるフッ素系共重合体Bを、
ともに含有する一液型のコーティング剤、もしくは、
前記フッ素系共重合体Aを含むコーティング剤および前記フッ素系共重合体Bを含むコーティング剤からなる二液型のコーティング剤。
- 前記フッ素系共重合体A及び前記フッ素系共重合体Bの総質量に対して、前記フッ素系共重合体Aを5質量%以上30質量%以下の割合で含む請求項4に記載のコーティング剤。
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