JP2014024207A - 熱成形用積層シート及び積層樹脂製容器 - Google Patents

熱成形用積層シート及び積層樹脂製容器 Download PDF

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Abstract

【課題】熱成形性に優れ、断熱性、耐熱性、耐油性、電子レンジ加熱可能な耐熱性を有し、剛性および表面平滑性に優れた熱成形用積層シート、及び内嵌合時に液漏れの抑制効果に優れた積層樹脂製容器の提供。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂発泡層と前記発泡層の両面にポリオレフィン系樹脂非発泡層が積層された積層シートであって、前記発泡層は、密度0.12〜0.9g/cm、独立気泡率が50%以上であり、発泡層の厚み方向における中心部位置での中心部平均気泡径が、発泡層と非発泡層との境界面からそれぞれ30μm内側の位置における表層部平均気泡径の1.5倍〜5倍であって、かつ、前記表層部平均気泡径が20〜90μmであるとともに、前記非発泡層は厚み3〜100μmであり、積層シートの少なくとも一方の表面の表面粗さRzが25μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、断熱性、耐熱性、耐油性、電子レンジ加熱可能な耐熱性を有する熱成形用積層シート及び該シートを成形して得られる積層樹脂製容器に関する。本発明の包装用容器は、調理済み食品や総菜類などの食品を包装するための包装用容器として好適に用いられる。
食品等の包装に用いられる包装用容器の材料である熱可塑性樹脂シートにおいて、ポリスチレンを素材とするものは発泡させやすく、その気泡の大きさも容易に調整できる反面、耐熱性や特に耐油・耐酸性が不十分となるため、耐油・耐酸性に優れた素材として、ポリオレフィン系樹脂発泡体、中でもポリプロピレン系樹脂発泡体が多く使われている。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂発泡体は、発泡させにくく、加えて気泡の大きさの調整や独立気泡を高くコントロールすることが難しく、また、ポリスチレン系樹脂発泡体に比べて剛性が低く、内容物が加熱されたときに容器の一方を手で持つと、その重さで撓んで内容物がこぼれたりする課題があった。この剛性を向上させるために、容器自体の厚みを厚くしたり、発泡倍率を低く抑えたりすると容器が重くなり、使用する材料も多く必要となるため、省資源化のニーズに答えられないという問題があった。
従来、ポリプロピレン系樹脂を用いた熱成形用積層シート及び包装用容器に関して、例えば、特許文献1、2に開示された技術が提案されている。
特許文献1には、その気泡の大きさが0.2〜0.4mmである比較的大きな気泡を有するポリプロピレン系樹脂発泡シートにポリプロピレン系樹脂フィルムを積層した積層シートが開示されている。
特許文献2には、フィラーを比較的多く含有するポリプロピレン発泡シートにポリプロピレン系樹脂フィルムを積層した積層シートが開示されている。なお、特許文献2では、発泡シートの気泡径は0.10〜0.35mmとされている。
特開2007−154172号公報 特開2004−149713号公報
しかしながら、前述した従来技術には、次のような問題があった。特許文献1や特許文献2に開示されたポリプロピレン系樹脂積層発泡シートでは、熱成形性を良好に保つためには発泡シートは独立気泡率を少なくとも50%以上にする必要がある、とされる。
また、これらに開示されるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートは、いずれも100μm以上の平均気泡径を有する発泡シート層にあっては、独立気泡率の高い発泡シートとするためには、発泡シート中での気泡は、ほぼ均一な大きさとなってしまう。これは、引用文献1の図3(シート層内での気泡径は均一である)にも記載されたとおりである。
したがって、従来から知られるポリオレフィン系樹脂発泡シートでは、発泡シートの外表面もまた、100μm以上という比較的大きな平均気泡径を有することとなり、このような発泡シートの外側にフィルムを積層しても、そのフィルムの外面を充分に平滑にすることができず、換言すれば外面がデコボコとなり、外観が悪くなること、また、このような発泡シートを使用し、非発泡フィルムを積層した後、成形した容器の外表面の平滑性が不十分なものとなり、この容器を閉蓋して内嵌合させた際に、容器と蓋との密着性が不十分となってしまうので、結果として液漏れを抑制する効果が不十分となってしまう。
一方、発泡シート層の平均気泡径を100μm未満にまで小さくすると、ポリプロピレン系樹脂は樹脂の溶融粘度が低いため、シートの表面に多数の溝が形成された発泡シートとなってしまい、気泡径を100μm未満の発泡シートを容易に得ることができない。また、得られた発泡シートは、独立気泡率の低い、換言すると連続気泡率の高いシートとなり易く、この発泡シートを熱成形しても、良好な容器を得ることができない。さらに、この連続気泡率の高い発泡シートにポリプロピレン系樹脂の非発泡層を積層しても、表面の平滑な、例えば表面粗さRzが25μm以下となる、液漏れを抑制する効果が発揮できるような軽量な容器を熱成形できる積層シートを得ることはできなかった。
本発明は、前記課題を解決するため鋭意研究してなされたものであって、本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡層と前記発泡層の両面にポリオレフィン系樹脂非発泡層が積層された積層シートであって、前記発泡層は、密度0.12〜0.9g/cm、独立気泡率が50%以上であり、発泡層の厚み方向における中心部位置での中心部平均気泡径が、発泡層と非発泡層との境界面からそれぞれ30μm内側の位置における表層部平均気泡径の1.5倍〜5倍であって、かつ、前記表層部平均気泡径が20〜90μmであるとともに、前記非発泡層は厚み3〜100μmであり、積層シートの少なくとも一方の表面の表面粗さRzが25μm以下である熱成形用積層シートを提供する。
すなわち、本発明では、発泡層として特定の密度と独立気泡率を有するものとし、しかも、この発泡層の中心部分と表層部分との気泡の大きさについて、表層部分の気泡径を20〜90μmに小さくすることとし、中心部の気泡を前記した中心部気泡径の1.5倍以上に大きくする構成とすることで、軽量にして優れた強度を発揮させ、しかも成形を容易とし、さらには、この発泡層に比較的薄い非発泡層を積層しても、その表面を平滑なものとすることができる。
したがって、平滑性を得るために厚い非発泡層を積層する必要がなく、厚み3〜100μmといった薄い非発泡層を積層することで足り、容器全体を軽量化することが可能となり、しかも、得られた熱成形用積層シートは、表面粗さRzを25μm以下という極めて平滑面とすることができる。
また、本発明は、前記非発泡層の上に印刷されたフィルムを前記フィルムの印刷面が前記非発泡層と接するよう配置した熱成形用積層シートを提供する。このように、印刷により模様などをフィルムの裏面(積層シートと接する面となる側)に付与することにより商品価値をさらに高めることができる。
また、本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡層と前記発泡層の両面にポリオレフィン系樹脂非発泡層が積層された積層シートを成形した容器であって、前記発泡層は、密度0.11〜0.9g/cm、独立気泡率が50%以上であり、発泡層の厚み方向における中心部位置での中心部平均気泡径が、発泡層と非発泡層との境界面からそれぞれ30μm内側の位置における表層部平均気泡径の1.5倍〜6倍であって、かつ、前記表層部平均気泡径が20〜130μmであるとともに、容器内側表面の表面粗さRzが25μm以下であり、容器の圧縮強度が1.2N以上である積層樹脂製容器を提供する。
この本発明では、発泡層として特定の密度と独立気泡率とを有するものとし、しかも、この発泡層の中心部分と表層部分との気泡の大きさについて、表層部分の気泡径を20〜130μmに小さくすることとし、中心部の気泡を前記した中心部気泡径の1.5倍以上に大きくする構成とし、しかもこの発泡シートに比較的薄いフィルムを非発泡層として設けも、軽量にして容器圧縮強度1.2N以上という優れた強度を発揮させることができ、しかもその表面を平滑なものとすることができる。
したがって、平滑性を得るために厚い非発泡層を積層する必要がなく、積層シート全体を軽量化することができ、本発明の容器は、容器内側表面(蓋と嵌合させる際に接する面)の表面粗さRzを25μm以下という極めて平滑面をすることができるので、特に、内嵌合構造によって蓋体で閉蓋した際に、優れた液漏れを抑制する効果を発揮できる。
また、本発明は、前記非発泡層の上に印刷されたフィルムを前記フィルムの印刷面が前記非発泡層と接するよう配置した積層樹脂製容器を提供する。このように、印刷により模様などをフィルムの裏面(積層シートと接する側となる面)に付与することにより商品価値をさらに高めた容器とすることができる。
本発明によれば、熱成形性に優れ、断熱性、耐熱性、耐油性、電子レンジ加熱可能な耐熱性を有し、剛性および表面平滑性に優れた熱成形用積層シート、及び内嵌合時に液漏れの抑制効果に優れた積層樹脂製容器を提供することができる。
本発明の実施例1の熱成形用積層シートの断面の分析走査電子顕微鏡像を示す図面代用写真。 発泡層の気泡径測定を説明するための模式図。 本発明の一実施形態における積層樹脂製容器(内嵌合構造)の蓋をした状態を示す概略断面図。 本発明の一実施形態における熱成形用積層シートの製造に使用した合流金型の概略断面図。
図1は、本発明の一実施形態(後述の実施例1)に係る熱成形用積層シートの断面を分析走査電子顕微鏡で撮像した写真である。本実施形態の熱成形用積層シートは、密度0.24g/cm3、独立気泡率が93%であるポリオレフィン系樹脂の発泡層(A層)と、その両面にポリオレフィン系樹脂非発泡層(B層、B’層、まとめてB層ということがある)とを積層した構成になっている。A層とB層との境界面から30μm入り込んだ表層部の位置での発泡層の平均気泡径は、一方のB層側で51μm、他方のB’層側で63μmであり、発泡層の中心部位置での平均気泡径は140μmとなっている。したがって、中心部位置での平均気泡径は表層部30μm位置での平均気泡径のそれぞれ2.7倍、2.2倍となっている。
また、外側に積層されたポリオレフィン系樹脂非発泡層(B層、B’層)の厚みは、それぞれ14μm、15μmで構成されている。
さらに、図示しないが、前記非発泡層(B層)に印刷されたフィルムをその印刷面が非発泡層と接するよう配置した構成であってよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂の発泡層(A層)は、複数の押出機を使用して、発泡層中心部(A0層)と発泡層表面部(A1層)をそれぞれ別々に溶融し、図4に示すような合流金型を使用してこれらの溶融物を前記金型内で合流させた後に、1つの金型出口から共押出発泡することによって1つの発泡層として製造することができる。このように、合流金型を使用して1つの発泡層として押出することによって、前記表面部(A1層)の平均気泡径が20〜90μmに微細なものとしても、当該シートの表面に多数の溝が形成されるのを防止することができる。
さらに、もう1台もしくは2台の押出機を使用して、非発泡層(B層)を溶融し、上記したA1層/A0層/A1層からなる発泡A1層の外側となるように非発泡層(B層)となる溶融物を合流金型を使用して金型内で合流させて、1つの金型出口から共押出して製造することができる。このように発泡層と非発泡層とを、合流金型を使用して同時に押出して積層シートをすることによって、表面部(A1層)の表面に発生しやすい多数の溝はほとんど発生しないまでに防止することができる。このような合流金型として、例えば、特開2007−216560号に開示された装置を使用できる。
この図4に示している合流金型を使用して行う積層シートの製造方法の概要について簡単に説明すると、図示しない第一の押出機からメイン供給口10を介してメイン流路11内に第一の樹脂が供給される。該第一の樹脂はメイン流路11において円柱状の樹脂流となる。メイン供給口10よりも下流側には、メイン流路11の外周を囲むように第一の環状マニホールド12が設けられている。該第一の環状マニホールド12には図示しない第二の押出機から第二の樹脂が供給され、該第一の環状マニホールド12から円錐状に先細り形状とされた樹脂流路13を介して第二の樹脂がメイン流路11に供給される。該第二の樹脂は第一の樹脂からなる円柱状の樹脂流の外周に同心円状に供給されて積層される。更にその下流側には第二の環状マニホールド14が設けられ、該第二の環状マニホールド14には図示しない第三の押出機から第三の樹脂が供給され、該第二の環状マニホールド14から円錐状に先細り形状とされた樹脂流路15を介して第三の樹脂がメイン流路11に供給される。該第三の樹脂は環状となった第二の樹脂の外周に更に同心円状に供給されて積層される。この環状積層流を先端流路16で扁平状にし、更にこの合流金型の先端側に接続される図示しないTダイから積層樹脂流を押し出すことによって積層シートが形成される。該積層シートは、第一の樹脂からなる中心層の両外側にそれぞれ第二の樹脂からなる中間層が積層され且つ両中間層の外側にそれぞれ第三の樹脂からなる外層が積層された、合計五層構造のものとなる。このようにして製造された五層構造の積層シートにおける中心層が上記発泡A0層であり、中間層が発泡A1層であり、外層が非発泡層(B層)である(B/A1/A0/A1/B)。
したがって、前述の合流金型を使用して、ポリオレフィン系樹脂の発泡層(A層)とポリオレフィン系樹脂非発泡層(B層、B’層)が積層された本発明の熱成形用積層シートは、非発泡層の厚みを3〜100μmにまで薄く、図1の例では14μm、15μmと薄くしてあっても、得られた積層シート(非発泡B層、B’層)の表面粗さRzを非発泡B層の方で16.7μm、非発泡B’層の方で17.2μmとすることができるので、生産効率良く、工業的に優れ、かつ軽量な熱成形用積層シートとすることができる。なお、前記した発泡層を一旦製造して、その後に、それぞれ押出したポリオレフィン系樹脂非発泡層(B層、B’層)をラミネートにより積層一体化する方法や、それぞれ別個に作製した発泡A層と非発泡B層、B’層を重ね合わせて、同時に加熱することで熱ラミネートする積層一体化方法を用いてもよい。
さらに、本発明の熱成形用積層シートは、その片面又は両面に印刷フィルム(C層)をラミネートすることもできる。印刷フィルム(C層)としては、前記非発泡層(B層)に熱融着可能なポリオレフィン系樹脂フィルム、例えばポリプロピレン系樹脂フィルムなどが好適である。一方、印刷フィルム(C層)を適宜に選択したホットメルト接着剤などのバインダー樹脂を使用して接着してもよく、その他、例えば、ポリエステル系樹脂フィルムやポリスチレン系樹脂フィルムなどの他の樹脂製のフィルムを使用してもよい。
以下に、本発明の熱成形用積層シート及び積層樹脂製容器に使用できる材料について説明する。
本発明の熱成形用積層シート及び積層樹脂製容器に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタクティクポリプロピレン、シンジオタクティクポリプロピレン、アタックティクポリプロピレンなどのポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムポリマー、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンブテン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(例えばエチレン−メチルメタクリレート共重合体)、エチレン−不飽和カルボン酸金属塩共重合体(例えばエチレン−アクリル酸マグネシウム(又は亜鉛)共重合体)、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体)、ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば無水マレイン酸)変性物、及びこれ等二種以上の混合物などがあげられる。これらの中で、プロピレン単独重合、もしくはプロピレン単位を50モル%以上含むポリプロピレン系共重合体などのポリプロピレンが特に好ましい。
上記したポリオレフィン系樹脂には、剛性をさらに高めるために、ポリスチレン系樹脂やゴム系樹脂をブレンドしてもよい。スチレン系樹脂を混合する場合には、50%を超えない範囲で使用することができる。このスチレン系樹脂としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のモノマーを単独重合した樹脂、或いは、これらの2種以上のモノマーを共重合した樹脂が挙げられる。特にホモポリスチレン(PS)が好ましい。多分岐ポリスチレン(大日本インキ化学工業社製、商品名「HP550P」)も使用できる。また、耐熱性が必要な場合は、例えば、前記モノマーとアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルニトリル、無水マレイン酸を3〜15質量%含むスチレン共重合体からなる耐熱性ポリスチレン系樹脂やポリフェニレンエーテルを含むポリスチレン系樹脂を使用しても良い。
また、上記したスチレン系樹脂には、20%を超えない範囲で、以下のゴム系の樹脂を添加して使用することができる。このようなゴム系の樹脂としては、ハイインパクトポリスチレン系樹脂、スチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー 、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマーなどであってよい。
ハイインパクトポリスチレン系樹脂(以下、HIPSと記す。)としては、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体などのゴム系重合体をスチレンモノマー中に溶解した後、ブタジエン系ゴム状重合体にスチレンをグラフト重合したゴム変性ポリスチレンがサラミ構造でポリスチレン内に分散したものであって、サラミ内のゴム部とサラミ外のポリスチレンの一部が結合しているゴム変性ポリスチレン樹脂、或いは、スチレンモノマーを塊状重合法又は懸濁重合法により重合させて得られるポリスチレンとスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを一軸又は多軸押出機又はバンバリーミキサーなどの汎用混練機を用いて加熱混練して得られるゴム変性ポリスチレン系樹脂をいう。ここで使用されるスチレン系単量体としては、スチレンが一般的ではあるが、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなども使用できる。HIPSに含有されるスチレン量は、91〜97質量%が好ましい。
また、スチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、SBSと記す。)としては、スチレン系重合体ブロックと共役ジオレフィン系重合体ブロックから構成される熱可塑性エラストマーであって、スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマーに代表されるように、主鎖に共役二重結合を持つ。スチレン系重合体ブロックを構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等で特にスチレンが挙げられる。これらは目的に応じて単独又は二種以上の混合物として用いることができる。また、共役ジオレフィン系重合体ブロックを構成する単量体は共役二重結合を有するジオレフィンであり例えば、1、3−ブタジエン、イソプレン、1、3−ペンタジエン、1、3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは目的に応じて単独又は二種以上の混合物として用いることができる。これらのブロック共重合体のなかでは、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体が特に好ましい。SBSに含有されるスチレンの量は、10〜70質量%が好ましい。
スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー (以下、SBBSと記す。)としては、スチレン−ブタジエンブロックポリマーの二重結合の特定の部分を選択的に水素化したポリマーに代表される3種以上のモノマーからなる共重合体で、分子の一部に二重結合を持つ共重合体である。本発明において好ましいSBBSは、ハードセグメントである両末端のスチレン系重合体ブロックとその中間にありソフトセグメントであるオレフィン重合体(ブタジエン/ブチレン)ブロックとからなり、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマーのブタジエンブロックに水素を部分添加して得られる。ここで用いられるスチレン系重合体の例としてはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びそれらの混合物である。SBBSに含有されるスチレンの量は、30〜70質量%が好ましい。
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー(以下、SEBSと記す。)としては、ハードセグメントである両末端のスチレン系重合体ブロックとその中間にあるソフトセグメントであるオレフィン重合体(エチレン/ブチレン)ブロックとからなり、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体エラストマーのブタジエンブロックを完全水素化して得られる。ここで用いられるスチレン系重合体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びそれらの混合物である。SEBSに含有されるスチレンの量は、10〜70質量%が好ましい。
本発明の熱成形用積層シート及び積層樹脂製容器には、発泡層(A層)を良好に発泡させるため、該発泡層の樹脂組成物中に気泡調整剤を添加してもよい。気泡調整剤としては、炭酸水素ナトリウム−クエン酸系化合物などの無機有機複合系気泡調整剤;タルク、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、ホウ酸などの無機系気泡調整剤;セルロース粉末、木粉、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸マグネシウムやステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩、尿素、ジブチル錫ジマレート等の有機錫化合物などの有機系気泡調整剤等が挙げられる。これらの気泡調整剤は単独、或いは2種以上を組み合わせて用いて使用できる。また、タルクなどの無機系気泡調整剤を使用する際は、平均粒径が小さいものが適しており、その平均粒径は0.6〜12μmのものが好ましい。これら気泡調整剤は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し0.2〜70質量部の範囲で使用されることが好ましい。
本発明の熱成形用積層シートの発泡層には、次に記載する発泡剤や気泡調整剤が使用できる。また、発泡剤としては、揮発性発泡剤や化学発泡剤などが挙げられる。揮発性発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気などのガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の揮発性炭化水素;塩化メチルなどのハロゲン化炭化水素などが例示される。
化学発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、無水クエン酸モノナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が例示される。発泡剤の配合量としては、発泡層に使用する樹脂100質量部に対して0.1〜6質量部の範囲内が好ましい。発泡剤の種類や量は、気泡径の大きさや、発泡倍率などに応じて適宜選択する。
本発明の熱成形用積層シートの発泡層は、その密度0.12〜0.9g/cm3、独立気泡率を50%以上とすることで、軽量化することができ、かつ前記積層シートを熱成形することを容易にできる。この成形性を容易にできることから、発泡層の厚みは0.3〜3mm程度が好ましい。また、前記発泡層には、両面に厚み3〜100μmのポリオレフィン系樹脂の非発泡層が積層されるので、本発明の熱成形用積層シートの厚みはこれを加えた厚みとなるが、おおむね0.3〜3mm程度が好ましい。厚みが0.3mm未満である容器に成形した際に、強度が弱くなりやすく、一方、3mmを越えて厚くすると成形性が悪くなりやすく、蓋嵌合時のモレを抑制する効果が発揮されにくい。
また、本発明の積層樹脂製容器は、上記した熱成形用積層シートを熱成形して得ることができ、熱成形用積層シートは独立気泡率が50%以上と高いシートであるので、これを熱成形した本発明の積層樹脂製容器の発泡層の密度も、熱成形により発泡するので、密度0.11〜0.9g/cm3が好ましい範囲となる。
また、本発明の熱成形用積層シートの発泡層は、その表層部の気泡径が20〜90μmにまで小さくされており、その中心部での気泡径は、表層部の気泡径の1.5〜5倍に大きくするよう構成されているので、軽量にして優れた強度を発揮させ、しかも成形を容易とすることができる。表層部の気泡径が90μmを超えると、その外層に積層したポリオレフィン系樹脂の非発泡層の厚みを上記したように薄くして、その表面の平滑性を向上し、表面粗さRzが25μm以下という極めて平滑面とすることが困難となり、一方、表層部分の気泡径を20μm未満にすると、容器とした時の強度の低下が大きくなりやすく好ましくない。
また、本発明の積層樹脂製容器は、上記した熱成形用積層シートを熱成形して得ることができ、熱成形用積層シートは独立気泡率が50%以上と高いシートであるので、これを熱成形した容器の、表層部平均気泡径は熱成形により発泡されることで熱成形用積層シートより大きくなり、20〜130μmが好ましい範囲となり、中心部平均気泡径との比率も1.5〜6倍が好ましい範囲となる。
本発明の熱成形用積層シートの非発泡層には、上記したように発泡層と同じポリオレフィン系樹脂を使用することができる。その厚みは3〜100μmの範囲であり、厚みが100μmを超えて厚いものでは容器の重量が重くなり、充分に軽量化することができず、一方、厚み3μmより薄いものでは、容器の強度が弱くなりやすく、また、表面粗さRzを25μm以下にまで平滑化できないこととなりやすい。
本発明の積層樹脂製容器は、上述したような熱成形用積層シートを、熱成形法によって所望の形状の容器に製造して得られる。また、容器は、形状や大きさに関して特に限定されず、平面視四辺形、円形、楕円形、多角形などの種々の形状とすることができ、また立体形状についても、箱形(特に弁当箱状)、トレー状、丼状などの種々の形状としてよい。さらに、本発明の包装用容器は、蓋と容器本体が別個としてもよく、蓋と容器本体とをヒンジ部を介して連結した蓋付き容器としてもよい。
また、本発明の容器は、前記熱成形用積層シートを、熱成形法して得ることができ、容器全体の密度はおおむね0.11〜0.9g/cmの範囲であり、独立気泡率を50%以上とすることが好ましい。なお、容器の独立気泡率は、容器の強度に大きな影響を与える後述する容器の立ち上がり部の独立気泡率とする。
また、容器の底部の厚みは0.25〜3.0mmの範囲であることも容器強度を向上できる点から好ましい。容器全体の密度が0.11g/cm未満となったり、容器の立ち上がり部の独立気泡率が50%未満であると、剛性が不十分となりやすくなる。一方、密度が0.9g/cmを超えると、軽量化が不十分となるだけでなく、容器の強度も弱くなり、また、発泡層の発泡倍率が低すぎることとから、容器に熱い食材を収容した際や、容器ごと電子レンジで加熱した際などに容器が熱くなり、素手で持つことができなくなるので好ましくない。
本発明の容器の内側表面の表面粗さRzは25μm以下であることが必要である。この表面粗さRzが25μmを超えると、平滑性が劣るため、例えば内嵌合構造にて蓋を取り付けした際、容器本体と蓋体との嵌合面での密着性が低下することになり、結果として収容した食材などから発生する液体をシールで着なくなり、液漏れを抑制する効果を充分に発揮できなくなる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下の記載例において、熱成形用積層シート(以下積層シートと称す)及び積層樹脂製容器(以下容器と称す)の各種特性は、以下に記載の方法で行った。
<発泡層の気泡径測定>
積層シートを押し出した方向(以下、MD方向という)と直交する方向(以下、TD方向という)に切り、その切断面を日本電子(株)製の分析走査電子顕微鏡(JEDL JSM−6390LA)を用い70倍に拡大した気泡写真をシートの幅方向10箇所で撮影した。この写真において、一番外側にある数点の気泡に接線を引き、その接線を発泡層と非発泡層の境界面としてそれよりも外側を非発泡層の厚みとした。これは、非発泡層の押出量を換算した非発泡層の厚みとこの方式が良く一致した為である。そのB層もしくはB’層と発泡A1層との境界線から30μm内側へ入り込んだ位置に直線を引き(図2の線P及び線R)、前記シートの幅方向2mm間のそれぞれの線に掛かる気泡全ての最大径aを測定し、これらを相加平均して平均値を出し、平均気泡径とした。また、発泡A層の厚み方向の中心部に直線を引き(図2の線Q)、前記シートの幅方向2mm間のQ線に掛かった各気泡の最大径aをそれぞれ測定し、これらを相加平均して平均値を出し、平均気泡径とした。なお、実測200μmが25mmになるように拡大して測定した。模式図で示すと図2のようになる。
例えば、下記の模式図2では、P線には10個の気泡か掛かっており、この10個の気泡のそれぞれの最大径aを測定し、これを相加平均して算出した。また、Q線には5個の気泡が掛かっており、この5個の気泡のそれぞれの最大径aを測定し、これを相加平均して算出した。なお、シートの幅方向の10箇所それぞれにおいて同様に測定してその平均値を求めた。
<積層シート中の発泡A層の密度>
積層シートから2cm×2cmの正方形サンプルを幅方向5点切り取り、断面を顕微鏡で観察し、非発泡B層の厚さをそれぞれのサンプルの3点において測定し、その平均値を出し、その5点の平均値を非発泡B層の厚みとする。積層シートから2cm×2cmの正方形サンプルを切り取り、厚みt及び重さを測定後、水中置換法により積層シートの見かけ比重を測定し、次の式から積層シート中の発泡A層の密度ρaを算出した。
ρa=[ρ0×t0−ρb×tb]/[t−tb
但し、ρは積層シートの見かけ比重、tは積層シートの厚み、ρbは非発泡B層の比重、tは非発泡B層の厚み(mm)を表す。なお、発泡A層の厚みtaは、式ta=t−tbから算出する。tbは非発泡B層が両面あるので、その両面のフイルム厚みを加算したものとした。
<積層シートの独立気泡率>
積層シートからランダムに2cm×2cmのサンプルを5枚切り取り、重さを測定する。このサンプルを水に浸漬させ0.09MPa以下の真空下で5分間放置後、取り出して表面及び断面の付着水分をよくふき取り真空下水浸漬後の重量を測定し、下式から連続気泡率を算出した。
F=(V/V)×100={(M−m)/[m×(f−1)/S]}×100
但し、Fは連続気泡率%、Vは連続気泡分体積(cm)、Vは発泡体の実気泡体積(cm)、Mは真空引後試料質量(g)、mは水浸漬前の試料質量(g)、fは発泡倍率(倍)、Sは積層体固体成分の比重をそれぞれ表す。独立気泡率=(100−連続気泡率)で表す。サンプル数はシートのTD(幅方向)に5点、MD(流れ方向)に3点取りその平均を用いた。
<積層シートの曲げ強度>
強度測定装置である、商品名:オートグラフAG−1(島津製作所社製)を使用し、本発明の熱成形用積層シートにおいて、その幅方向における両端から50mm内側位置であって、略均等距離となるように25mm×100mmの大きさの試験片を5点採取し、支点間距離20mmの支柱の上にセットし、押し冶具で試験片の中心を速度500mm/分で押圧して測定した。測定値については、これら5点で測定した数値を相加平均したものとした。
<積層シートの各層の厚み>
積層シートを押出し方向と直交する方向に切断し、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製VH8000)を使用して各層の厚みをシートのTD方向等分に10点測定し、その平均値で表した。
<積層シートの表面粗さ(十点平均粗さRz)>
JISB0601−1994に準拠し、ミツトヨ社製SJ−400を使用して、積層シートをその幅方向の両端から50mm内側の位置から、略均等となる位置で5点サンプルとして採取した。このサンプルの大きさは、2cm角とし、それぞれ5点のサンプルにおけるMD(シート押出方向)方向とTD(MD方向と直行する方向)方向について、それぞれのサンプルの中心部で長さ4mmにおける(MDのZ値+TDのZ値)/2=Zを測定した。測定値については、これら5点で測定した数値を相加平均したものとした。なお、平均線から最も高い山頂までの高さPiと最も深い谷底までの深さViを足した数値をZとし、その平均値Rzを、粗さ値Rz=(Z1+Z2+Z3+Z4+Z5)/5として算出した。
<容器の発泡A層の密度>
容器の底部の平らなところを選び積層シートの発泡A層と同じ方法で測定した。但し、サンプルサイズは1cm×1cmとし、サンプル数は3点とし、測定した数値を相加平均したものとした。
<容器の表面粗さ(十点平均粗さRz)>
容器の底部の平らなところを選び積層シートと同じ方法でその内側表面を測定した。なお、サンプル数は3点とし、測定した数値を相加平均して容器の内側表面粗さとした。
<容器の圧縮強度>
前述の商品名:オートグラフAG−1(島津製作所社製)を使用し、容器の側壁部の短辺部を垂直に立て、その容器の側壁部の長辺部を、上下からその中心を冶具で挟み、上下方向に10mm圧縮したときの最大荷重を測定した。圧縮速度は500[mm/分]とした。この最大荷重が1.2N以上である場合には、充分実用に耐えうる容器と評価して「評価○」とし、1.2N未満となる容器の評価を「評価×」とした。
<容器の立ち上がり部の独立気泡率>
図3に示すとおり、容器(容器本体20)の底部21と側壁部22とが接続される立ち上がり部23となる曲面部より、25mm×30mmのサンプルを切り出し、前記した積層シートの独立気泡率と同様の方法で測定した。サンプル数は5とした。この立ち上がり部23の独立気泡率が50%以下だと、容器の側壁部22にそれを外側に向けて拡開させようとする圧力が加わったとき、その容器の側壁部22が外側に開くように折れやすくなる。
<蓋を嵌合した時の液漏れ試験>
成形した積層樹脂製容器として、図3に示すように蓋30を内嵌合できるものを成形した。内嵌合とは、図3にも現れるように、側壁部22の上部に上方に向けて縮径していく容器嵌合部24を設けた容器本体20と、これに前記容器嵌合部24とほぼ同じ嵌合部形状の蓋嵌合部31を有する蓋30とを、蓋嵌合部31が容器嵌合部24の内側に位置するようにして嵌合させるものである。この容器に閉蓋した時の容器全体の容量の20%に相当する容量の純水を入れ、蓋30を内嵌合させる。次いで、この容器を90度傾け容器のコーナーの1つを下に向けて保持する。容器の外に水滴が一滴漏れるまでの時間を測定し、容器20個のうち、半分の10個の容器に漏れが発生するまでの時間を測定した。前記の10個の容器に漏れが発生するまでの時間が1000分を越えるものを○と評価した。
[実施例1〜8,比較例1〜8]
<熱成形用積層シートの製造方法>
発泡層(A)の中心部(A0層)、表層部(A1層)及び非発泡層(B層)のそれぞれに使用する各組成物を後述するよう配合してそれぞれ押出機に供給した。発泡A0層用に90mm二軸押出機を使用し、発泡A1層用に65mm押出機を使用し、更に、非発泡B層用に40mm押出機を使用して、それぞれ溶融混合した樹脂を図4に示す合流金型を使用して共押出することにより、発泡中心部層(A0層)の両外側面に発泡表面部層(A1層)が位置する発泡層(A)と、更に前記発泡表面部層(A1層)の外側に非発泡層(B層)が積層された3層構造(B/A/B)の積層シートを製造した。
押出機を3台使用し、そのうちの2台の押出機を発泡層(A)の製造のために使用し、すなわち、中心部(A0層)のための押出機1台と表層部(A1層)のための押出機1台とに分けて押出したので、中心部(A0層)と表層部(A1層)との気泡径と独立気泡率などを容易に調整することができた。
使用した樹脂は、発泡層(A)の中心部(A0層)には、日本ポリプロ社製のポリプロピレン樹脂、商品名:ノバテックFY5及びノバテックBC3RAを質量比で60:40となるよう配合した。また、気泡調整剤として、松村産業社製のタルク、商品名:クラウンタルク(平均粒径10〜15μm)を配合して使用した。発泡剤として、二酸化炭素を使用して、押出機で溶融した状態の樹脂に、押出機の途中からポンプを使用して適宜圧入し、表1及び表2に記載の密度となるよう調整した。
また、発泡層(A)の表層部(A1層)には、日本ポリプロ社製のポリプロピレン樹脂、商品名:バテックMA−3を使用した。気泡調整剤として、松村産業社製のタルク、商品名:ハイフィラー(平均粒径3〜5μm)を配合して使用した。なお、タルクの配合にあたり、タルクとPP樹脂との質量比が60:40とするマスターバッチを予め作成して添加した。発泡剤として、化学発泡剤である永和化成社製の商品名:ポリスレンEE515を使用し、表1及び表2に記載の密度となるようその配合量を調整して使用した。
また、非発泡層(B層)には、日本ポリプロ社製のポリプロピレン樹脂、商品名:ノバテックBC3RAを使用した。なお、印刷フィルムは積層していない。
<積層樹脂製容器の製造方法>
得られた積層シートを、上ヒータ220℃、下ヒータ210℃、サイクルタイム12秒の製造条件で成形し、開口部寸法が125mm×178mm、底面寸法が125mm×75mm、深さが30mmの断面が図3で表される内嵌合構造の矩形の積層樹脂製容器(容器本体20)を製造した。なお、成形した容器は、その側壁部22の上部に、蓋30の蓋嵌合部31と内嵌合できるように口径が上方へ向けて縮径していく容器嵌合部24を設けた。
上記した実施例及び比較例によって得られた熱成形用積層シート及び積層樹脂製容器の各層の厚み、発泡層の気泡径、密度、表面粗さや前記容器の評価については、その結果をまとめて表1及び表2に記した。
表1,2に記載した通り、本発明に係る実施例1〜8の積層シートを用いて製造した積層樹脂製容器は、内嵌合時に液漏れの抑制効果に優れ、かつ十分な強度を有することが明らかである。
一方、比較例1では、発泡層(A)の独立気泡率が小さいため、容器の強度が低くなり、実用に耐えないものとなった。比較例2では、発泡表面部層(A1層)の平均気泡径が積層シートにおいて18μm及び17μmと小さいため成形した容器の強度が低下し、実用に耐えないものとなった。比較例3では、発泡中心部層(A0層)の平均気泡径とその外側面に位置する発泡表面部層(A1層)の平均気泡径の気泡比率が積層シートにおいて1.2及び1.3と1.5未満になって容器の強度が低下し、実用に耐えないものとなった。
比較例4では、発泡表面部層(A1層)の平均気泡径が100μmを超えて大きくなると、積層シートの表面粗さが25μmを超えて大きくなり、さらに、容器の表面粗さも大きくなり、漏れ防止を抑制する効果が不十分となった。比較例5では、積層シートの発泡層の密度が0.09g/cmと小さくなった場合では、独立気泡率も小さくなり、容器の強度が低下し、実用に耐えないものとなった。比較例6では、非発泡B層の厚みを100μmを超えて厚くすると押出時樹脂温が上がりやすくなり、発泡表面部層(A1層)の平均気泡径が100μmを超えることとなり、独立気泡率が低下したため、成形した容器の強度が低下し、実用に耐えないものとなった。
比較例7では、非発泡層(B層)の厚みを2μmと小さくした場合には、容器の表面粗さはかえって大きくなり、漏れ防止を抑制する効果が不十分となった。比較例8では、発泡中心部層(A0層)の平均気泡径を大きくして、その外側面に位置する発泡表面部層(A1層)の平均気泡径の気泡比率が積層シートにおいて6.9及び6.4と5を超えて大きくなると、容器の強度が低下し、実用に耐えないものとなった。
なお、実施例1〜8のように、発泡A0層の平均気泡径は、熱成形用シートにおいては200μm以下が好ましく、積層樹脂製容器においては250μm以下が好ましい。
10 メイン供給口
11 メイン流路
12 第一の環状マニホールド
13 樹脂流路
14 第二の環状マニホールド
15 樹脂流路
16 先端流路
20 容器本体(容器)
21 底部
22 側壁部
23 立ち上がり部
24 容器嵌合部
30 蓋
31 蓋嵌合部

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡層と前記発泡層の両面にポリオレフィン系樹脂非発泡層が積層された積層シートであって、
    前記発泡層は、密度0.12〜0.9g/cm、独立気泡率が50%以上であり、発泡層の厚み方向における中心部位置での中心部平均気泡径が、発泡層と非発泡層との境界面からそれぞれ30μm内側の位置における表層部平均気泡径の1.5倍〜5倍であって、かつ、前記表層部平均気泡径が20〜90μmであるとともに、
    前記非発泡層は厚み3〜100μmであり、積層シートの少なくとも一方の表面の表面粗さRzが25μm以下である熱成形用積層シート。
  2. 前記非発泡層に印刷されたフィルムが積層され、かつ前記フィルムの印刷面が前記非発泡層と接するよう配置されてなる請求項1に記載の熱成形用積層シート。
  3. ポリオレフィン系樹脂発泡層と前記発泡層の両面にポリオレフィン系樹脂非発泡層が積層された積層シートを成形した容器であって、
    前記発泡層は、密度0.11〜0.9g/cm、独立気泡率が50%以上であり、発泡層の厚み方向における中心部位置での中心部平均気泡径が、発泡層と非発泡層との境界面からそれぞれ30μm内側の位置における表層部平均気泡径の1.5倍〜6倍であって、かつ、前記表層部平均気泡径が20〜130μmであるとともに、
    容器内側表面の表面粗さRzが25μm以下であり、容器の圧縮強度が1.2N以上である積層樹脂製容器。
  4. 前記非発泡層に印刷されたフィルムが積層され、かつ前記フィルムの印刷面が前記非発泡層と接するよう配置されてなる請求項3に記載の積層樹脂製容器。
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