JP2014019907A - 電気・電子部品用銅合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも平滑性の高いめっき面が得られる電気・電子部品用銅合金を安定して提供する。
【解決手段】Cuを母材として、少なくともFeを0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面粗さRzが0.5μm以下、表面粗さRaが0.06μm以下、表面におけるFeの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下である電気・電子部品用銅合金である。
【選択図】図1

Description

本発明は、リードフレーム等の電気・電子部品の材料として用いられる電気・電子部品用銅合金に関するものである。
半導体部品において素子を搭載して外部配線との電気的な接続を行うリードフレーム等の電気・電子部品の材料には、良好な機械的特性と導電性とを兼ね備えた銅合金(以下、電気・電子部品用銅合金と称する)が用いられることが多く、中でもFeとPとを含有するCu−Fe−P系合金が広く一般に用いられている。
このうち代表的なものとしては、Cuを母材として、Feを0.050mass%以上0.15mass%以下、Pを0.025mass%以上0.040mass%以下含有するもの(C19210)や、Cuを母材として、Feを2.1mass%以上2.6mass%以下、Pを0.015mass%以上0.15mass%以下、Znを0.050mass%以上0.20mass%以下含有するもの(C19400)が標準的な電気・電子部品用銅合金として広く知られている。
また、近年では、電気・電子部品用銅合金の特性を更に向上させる目的で、Fe、Ni、Co、Pを組み合わせて添加したものが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
こうした電気・電子部品用銅合金では、電気的な接続の信頼性を向上させるために、その表面にAg、Ni、Pd等のめっき処理を施して使用することが一般的である。
よって、電気・電子部品用銅合金においては、機械的特性、導電性、曲げ加工性等と並んでめっき性が重要な特性となる。
電気・電子部品用銅合金のめっき工程においては、従来から、めっきの異常析出によって電気・電子部品用銅合金の表面に突起が発生する問題があり、これを解決するための方法が提案されている。
例えば、特許文献3には、電気・電子部品用銅合金に含まれるMg等の特定成分量を制御することで、Agめっきの異常析出を抑える方法が開示されている。
また、特許文献4には、電気・電子部品用銅合金の表層の加工変質層を除去してめっきの異常析出を抑える方法が開示されている。
更に、特許文献5には、電気・電子部品用銅合金の表面近傍に存在する介在物の大きさを規定することでめっきの異常析出を抑える方法が開示されている。
特開2000−17355号公報 特開2010−229517号公報 特開平8−319527号公報 特開2007−39804号公報 特開2007−100136号公報 特開2005−243821号公報 特開平2−221341号公報 特開平8−236686号公報
近年、発光ダイオード(以下、LEDと称する)の使用用途が拡大する中で、LEDのパッケージで発光素子を搭載するリードフレームの需要が増大している。LED向けのリードフレームでは、発光した光を有効に活用するために、光沢度に優れ、高い反射率が期待できるAgめっきが表面に施される。
こうしためっき面では、めっき表面の微細な凹凸が光沢度を低下させることから、従来以上にめっき面の平滑性が求められており、この要求に対しては従来のめっきの異常析出に対する対策だけでは不十分な状況であった。
そこで、本発明の目的は、従来よりも平滑性の高いめっき面が得られる電気・電子部品用銅合金を安定して提供することにある。
この目的を達成するために創案された本発明は、Cuを母材として、少なくともFeを0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面粗さRzが0.5μm以下、表面粗さRaが0.06μm以下、表面におけるFeの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下である電気・電子部品用銅合金である。
また、本発明は、Cuを母材として、Fe、Ni、Coから選択した1種以上を合計で0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面粗さRzが0.5μm以下、表面粗さRaが0.06μm以下、表面におけるFe、Ni、Coの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比において(Fe++Ni++Co+)/Cu+で0.03以下である電気・電子部品用銅合金である。
表面に厚さが5μm以下のめっき層が形成されると良い。
本発明によれば、従来よりも平滑性の高いめっき面が得られる電気・電子部品用銅合金を安定して提供することができる。
飛行時間型質量分析計の原理を説明する図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
めっき表面の平滑性を低下させる代表的な凹凸のモードとして、直線状の凹み傷(以下、直線傷と称する)と斑点模様のように見える局所的な表面荒れ(以下、斑点状の表面荒れと称する)とがある。
このうち、直線傷は、主に電気・電子部品用銅合金の圧延面上に存在するバフ研磨の痕跡や圧延ロールの表面から転写された筋模様等の直線状の凹み傷に起因するものであり、これら電気・電子部品用銅合金の表面の凹凸がめっき層の成長過程で十分に修復されずに、めっき表面にも残留して形成されると考えられる。
また、斑点状の表面荒れは、めっき処理の前処理として実施される酸洗処理によって除去しきれなかった酸化層に起因するものであり、部分的に残留した酸化物がめっき層の均一な成長を阻害して、めっき表面に微細な凹凸を発生させることによって形成されると考えられる。
従って、平滑性の高いめっき面を得るためには、電気・電子部品用銅合金の表面の形状と酸化状態の両面からめっき性の向上を考える必要があると言える。
そこで、本実施の形態に係る電気・電子部品用銅合金は、Cuを母材として、少なくともFeを0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面粗さRzが0.5μm以下、表面粗さRaが0.06μm以下、表面におけるFeの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下であることを特徴とする。
ここで、表面粗さRzと表面粗さRaは、JISB0601(2001)で規定された粗さ曲線から求められるパラメータである。表面粗さRzは、基準長さにおける粗さ曲線の山高さの最大値と谷深さの最大値との和を表し、表面粗さRaは、基準長さにおける粗さ曲線の絶対値の平均を表す。
電気・電子部品用銅合金の表面粗さRzを0.5μm以下とすると共に表面粗さRaを0.06μm以下とするのは、電気・電子部品用銅合金の表面に存在する凹み傷による凹凸をめっき層の成長過程で修復できる範囲内に抑えるためである。
LED向けのリードフレームに形成されるめっき層の厚さは、めっきの密着性を向上させる目的で形成する下地めっきを含めても通常は5μm前後であるため、表面粗さRz又は表面粗さRaの値が規定した範囲を超える場合には、5μm程度のめっき層では電気・電子部品用銅合金の表面の凹凸を修復しきれず、めっき処理後の表面に凹みが残留し易くなる。
そのため、電気・電子部品用銅合金の表面粗さRzを0.5μm以下とすると共に表面粗さRaを0.06μm以下とし、電気・電子部品用銅合金の表面の凹み深さを一定以下に抑えることで、めっき表面に電気・電子部品用銅合金の表面の凹凸の影響が現れることを防止できるのである。
また、電気・電子部品用銅合金の表面におけるFeの存在量を飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下とするのは、電気・電子部品用銅合金の表面の酸化状態に起因するめっき表面の平滑性の低下を防止するためである。
電気・電子部品用銅合金中に含有されるFeは、Cuよりも酸化物を形成し易いため、電気・電子部品用銅合金中を酸化雰囲気下で加熱するとその表面に向かって拡散が進み、優先的に酸化物を形成する。
よって、電気・電子部品用銅合金の表面の酸化が進むほど、表面に存在するFeのCuに対する比率は高くなる。
また、こうした合金成分の拡散経路を考えると、結晶粒内を拡散する速度よりも結晶粒界を拡散する速度の方が大きいため、表面のうちでも特に結晶粒界の近傍部分でFeの酸化物が多く形成され易い。
そのため、酸化が進んだ電気・電子部品用銅合金の表面には、FeのCuに対する比率が高い酸化層が形成されるが、その酸化層中のFeは結晶粒界近傍でより多く存在するので、全体的に合金成分が均一でない状態の酸化層が形成されることになる。
こうした電気・電子部品用銅合金にめっき処理を施した場合には、めっき処理の前処理として実施される酸洗処理によって十分に酸化層を除去することができず、また酸化層の合金成分が均一でないことから、酸化物が部分的に残留する問題が生じることになる。
酸化物が部分的に残留した電気・電子部品用銅合金の表面にめっき処理を施した場合には、電位や濡れ性の違いによってめっき粒子の析出状態が部分的に変化するため、めっき表面に微細な凹凸が発生してめっき表面の平滑性が低下する。
電気・電子部品用銅合金の表面におけるFeの存在量を飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比によって表し、この値とAgめっき後に生じる微細な凹凸の関係を調査したところ、電気・電子部品用銅合金の表面におけるFeの存在量を飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下とした電気・電子部品用銅合金の表面にめっき処理を施した場合、めっき表面に微細な凹凸が発生せず、平滑性の高いAgめっき面が得られるという新たな知見を得た。
そこで、電気・電子部品用銅合金の表面におけるFeの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下であることを規定した。
なお、飛行時間型二次イオン質量分析法は、試料の最表面を対象とした表面分析法の一つであり、超高真空中で一次イオンを試料の表面に照射すると、表面を構成する分子の一部がイオン化されて二次イオンとして放出されるため、この表面から放出された二次イオンを飛行時間型質量分析計で分析することによって表面の成分を調べるものである。
ここで、飛行時間型質量分析計の原理を説明する。
図1に示すように、試料11の表面から放出された二次イオン12は、電場によって一定のエネルギで加速されて質量分析器に入り、一定の距離を飛行して検出器13で検出される。一定のエネルギで加速された場合、軽いイオンほど速く、反対に重いイオンほど遅い速度で飛行するようになるため、二次イオン12が発生してから検出器13で検出されるまでの時間、即ち飛行時間を精密に計測することで、二次イオン12の質量分布である質量スペクトルが得られる。得られた質量スペクトルを解析することで、試料11の表面に存在した成分を同定することができる。
これまで説明したように、本実施の形態に係る電気・電子部品用銅合金では、その表面粗さを小さく規定することで、めっき処理を施したときに電気・電子部品用銅合金の表面の形状に起因して発生するめっき表面の凹凸を小さくすると共に、その表面に存在するFeの存在量を規定することで、めっき処理を施したときに電気・電子部品用銅合金の表面の酸化状態に起因してめっき表面に微細な凹凸が発生することを防止することができる。
なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、本実施の形態に係る電気・電子部品用銅合金においては、Cuを母材として、少なくともFeを0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面におけるFeの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下であるとしたが、Cuを母材として、Fe、Ni、Coから選択した1種以上を合計で0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面におけるFe、Ni、Coの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比において(Fe++Ni++Co+)/Cu+で0.03以下であるとしても同様の効果を得られる。
なお、表面粗さRzと表面粗さRaの範囲については、両者とも先に記載した範囲内とする。
以上要するに、本発明によれば、従来よりも平滑性の高いめっき面が得られる電気・電子部品用銅合金を安定して提供することができる。
こうした平滑性の高いめっき面は、LED向けのリードフレームの材料として用いる場合に特に重要になるものであり、本発明に係る電気・電子部品用銅合金を用いることによってLEDの特性をより向上させることが可能である。
なお、めっき面の平滑性に対する要求は、LED向けのリードフレームに限られないことから、本発明に係る電気・電子部品用銅合金は、めっき表面の外観上の美しさや光沢度が重視される用途全般において効果的に利用することができる。
次に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
表1に合金Aとして示した、Feを2.4mass%、Pを0.03mass%、Znを0.1mass%含有する銅合金を高周波溶解炉で溶製し、厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmのインゴットに鋳造した。これを厚さが8mmとなるように熱間圧延して表面を面削した後、熱処理を挿みつつ冷間圧延を繰り返して厚さが0.5mmとなるまで加工した。この厚さが0.5mmの材料の表面をバフ研磨(#1000)して酸化層を取り除いた後、厚さが0.3mmとなるまで冷間圧延して実施例1の試料とした。
この試料について表面粗さを測定した結果、表面粗さRzは0.420μm、表面粗さRaは0.047μmであった。更に、試料の表面をION−TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置であるTOF.SIMS5を用いて分析し、得られた正イオンスペクトルからFe+/Cu+の強度比を求めた結果、0.012であった。
そして、この試料をアルカリ性脱脂液中で15秒間電解脱脂した後、20%H2SO4中で15秒間酸洗した。これにシアン系Cuめっき液を用いて厚さ1μmのCu下地めっきを施し、更にシアン系Agめっき液を用いて厚さ3μmのAgめっきを施した。得られためっき試料の表面を金属顕微鏡で観察したところ、直線傷や斑点状の表面荒れは見られず、平滑で良好なめっき表面が得られた。
(実施例2)
表1に合金Bとして示した、Feを0.5mass%、Niを0.5mass%、Coを0.5mass%、Pを0.1mass%含有する銅合金を高周波溶解炉で溶製し、厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmのインゴットに鋳造した。これを厚さが8mmとなるように熱間圧延して表面を面削した後、熱処理を挿みつつ冷間圧延を繰り返して厚さが0.5mmとなるまで加工した。この厚さが0.5mmの材料の表面をバフ研磨(#1000)して酸化層を取り除いた後、厚さが0.3mmとなるまで冷間圧延して実施例2の試料とした。
この試料について表面粗さを測定した結果、表面粗さRzは0.434μm、表面粗さRaは0.048μmであった。更に、試料の表面をION−TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置であるTOF.SIMS5を用いて分析し、得られた正イオンスペクトルから(Fe++Ni++Co+)/Cu+の強度比を求めた結果、0.016であった。
そして、この試料をアルカリ性脱脂液中で15秒間電解脱脂した後、20%H2SO4中で15秒間酸洗した。これにシアン系Cuめっき液を用いて厚さ1μmのCu下地めっきを施し、更にシアン系Agめっき液を用いて厚さ3μmのAgめっきを施した。得られためっき試料の表面を金属顕微鏡で観察したところ、直線傷や斑点状の表面荒れは見られず、平滑で良好なめっき表面が得られた。
これら実施例1及び2では、研磨工程以降に熱処理を施していないが、熱処理を施す場合でも非酸化性の雰囲気中で実施することによって、本発明で規定した表面粗さと表面に存在する合金成分の量とを満足する電気・電子部品用銅合金を得ることができる。
以下の実施例3及び4は、最終圧延工程の後に熱処理を施した場合の例である。
(実施例3)
表1に合金Aとして示した、Feを2.4mass%、Pを0.03mass%、Znを0.1mass%含有する銅合金を高周波溶解炉で溶製し、厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmのインゴットに鋳造した。これを厚さが8mmとなるように熱間圧延して表面を面削した後、熱処理を挿みつつ冷間圧延を繰り返して厚さが0.5mmとなるまで加工した。この厚さが0.5mmの材料の表面をバフ研磨(#1000)して酸化層を取り除いた後、厚さが0.3mmとなるまで冷間圧延した。更に、この厚さが0.3mmの材料を窒素雰囲気中で加熱して材料中の歪みを除去して実施例3の試料とした。なお、この最終圧延工程の後に行う熱処理を歪み取り焼鈍と呼ぶ。
この試料について表面粗さを測定した結果、表面粗さRzは0.430μm、表面粗さRaは0.044μmであった。更に、試料の表面をION−TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置であるTOF.SIMS5を用いて分析し、得られた正イオンスペクトルからFe+/Cu+の強度比を求めた結果、0.020であった。
そして、この試料をアルカリ性脱脂液中で15秒間電解脱脂した後、20%H2SO4中で15秒間酸洗した。これにシアン系Cuめっき液を用いて厚さ1μmのCu下地めっきを施し、更にシアン系Agめっき液を用いて厚さ3μmのAgめっきを施した。得られためっき試料の表面を金属顕微鏡で観察したところ、直線傷や斑点状の表面荒れは見られず、平滑で良好なめっき表面が得られた。
(実施例4)
表1に合金Bとして示した、Feを0.5mass%、Niを0.5mass%、Coを0.5mass%、Pを0.1mass%含有する銅合金を高周波溶解炉で溶製し、厚さが25mm、幅が30mm、長さが150mmのインゴットに鋳造した。これを厚さが8mmとなるように熱間圧延して表面を面削した後、熱処理を挿みつつ冷間圧延を繰り返して厚さが0.5mmとなるまで加工した。この厚さが0.5mmの材料の表面をバフ研磨(#1000)して酸化層を取り除いた後、厚さが0.3mmとなるまで冷間圧延した。更に、この厚さが0.3mmの材料を窒素雰囲気中で加熱して材料中の歪みを除去して実施例4の試料とした。
この試料について表面粗さを測定した結果、表面粗さRzは0.426μm、表面粗さRaは0.044μmであった。更に、試料の表面をION−TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置であるTOF.SIMS5を用いて分析し、得られた正イオンスペクトルから(Fe++Ni++Co+)/Cu+の強度比を求めた結果、0.022であった。
そして、この試料をアルカリ性脱脂液中で15秒間電解脱脂した後、20%H2SO4中で15秒間酸洗した。これにシアン系Cuめっき液を用いて厚さ1μmのCu下地めっきを施し、更にシアン系Agめっき液を用いて厚さ3μmのAgめっきを施した。得られためっき試料の表面を金属顕微鏡で観察したところ、直線傷や斑点状の表面荒れは見られず、平滑で良好なめっき表面が得られた。
次に、本発明に係る数値限定の根拠を比較例を挙げて説明する。
(実施例5〜10、及び比較例1〜8)
実施例1〜4と同じ合金Aと合金Bとを用い、実施例3と同様の工程において最終圧延工程前に実施する研磨の有無(研磨を行う場合はその種類と番手)と最終圧延工程後に実施する歪み取り焼鈍の有無(歪み取り焼鈍を行った場合はその雰囲気)とを表2に示した内容で実施して、実施例5〜10、及び比較例1〜8の試料を作製した。
これらの試料について、表面粗さRzと表面粗さRaの測定と飛行時間型二次イオン質量分析法での分析とを行った結果、及びこれらの試料に実施例1〜4と同じ条件でめっき処理を施し、得られためっき試料の表面を観察した結果を併せて表3に示す。
実施例5〜8、及び比較例1〜4は、表面粗さRzと表面粗さRaの数値限定の根拠を示す例である。これらの例は、バフ研磨に替えてエメリー紙(#1500又は#800)での研磨を行うことで、表面粗さが粗くなった場合のめっき面への影響を示す。
本発明で規定したように、表面粗さRzが0.5μm以下、表面粗さRaが0.06μm以下である実施例5〜8は、いずれも良好なめっき面が得られた。
これに対して、本発明の規定範囲を超える表面粗さとなった比較例1〜4は、いずれのめっき面にも直線傷が有り、平滑なめっき面は得られなかった。これは、めっき処理前の試料の表面に存在した研磨の痕跡の影響がめっき処理後の表面に残留したものである。
以上の結果から、めっき表面での直線傷の発生を防止するためには、試料の表面粗さを本発明で規定した範囲内に調整することが必要であると言える。
実施例9、10、及び比較例5〜8は、表面におけるFe、Ni、Coの存在量の数値限定の根拠を示す例である。実施例9、10、及び比較例5、6は、バフ研磨の研磨量を少なくするか、又は研磨を実施しないことによって酸化層を除去する量を変えたものである。
本発明で規定したように、表面におけるFe、Ni、Coの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比において(Fe++Ni++Co+)/Cu+で0.03以下である実施例9、10は、良好なめっき面が得られた。
一方、比較例5、6は、表面粗さについては本発明で規定した範囲内であるものの、酸化層が十分に除去されていないために表面のFe、Ni、Coの存在量が本発明で規定した範囲を超えている。そのため、めっき処理を施した後のめっき表面には斑点状の表面荒れが有り、平滑で良好なめっき面は得られなかった。
また、比較例7、8は、最終圧延工程後の歪み取り焼鈍を酸素を含む雰囲気中で実施した例であり、表面に新たな酸化層が形成されることに起因して、表面のFe、Ni、Coの存在量が本発明で規定した範囲を超えている。この比較例7、8でも、めっき処理を施した後のめっき表面には斑点状の表面荒れが有り、平滑で良好なめっき面は得られなかった。
以上の結果から、めっき表面での斑点状の表面荒れを防止するためには、試料の表面のFe、Ni、Coの存在量を本発明で規定した範囲内に調整することが有効であると言える。

Claims (3)

  1. Cuを母材として、少なくともFeを0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面粗さRzが0.5μm以下、表面粗さRaが0.06μm以下、表面におけるFeの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比においてFe+/Cu+で0.03以下であることを特徴とする電気・電子部品用銅合金。
  2. Cuを母材として、Fe、Ni、Coから選択した1種以上を合計で0.1mass%以上3mass%以下含有し、表面粗さRzが0.5μm以下、表面粗さRaが0.06μm以下、表面におけるFe、Ni、Coの存在量が飛行時間型二次イオン質量分析法による正イオンスペクトルの強度比において(Fe++Ni++Co+)/Cu+で0.03以下であることを特徴とする電気・電子部品用銅合金。
  3. 表面に厚さが5μm以下のめっき層が形成された請求項1又は2に記載の電気・電子部品用銅合金。
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