JP2014008508A - 溝形部材の継手部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溝形部材の継手部構造は、高強度鋼板を成形してなる溝形部材1の先端部に形成され、溝形部材1を角形部材に対して交差方向に接合するための前記溝形部材の継手部構造であって、溝形部材1における縦壁部7を外方に屈曲してなる縦片部21と、縦片部21の上端から連続しており前方に屈曲してなる側延出片部23と、溝形部材1における底部9から前方に延出する中央延出部25と、縦壁部7と、縦片部21と、底部9と、中央延出部25の交差するコーナ部に形成された開口部27とを有し、中央延出部25は、底部9に連続する基部と、基部よりも外方に張り出す張出し部25bとを有し、張出し部25bと側延出片部23とを接合してなることを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
ここで、金属板材とは、熱延鋼板、冷延鋼板、あるいは鋼板に表面処理(電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、有機被膜処理等)を施した表面処理鋼板をはじめ、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム等の各種金属類から構成される単板でもよい。
クロスメンバは、コ字断面あるいはハット断面を有する溝形部材からなり、その端部に継手部を有し、該継手部によって矩形断面を有するサイドシルに接合される。
このような、溝形部材の端部に設けられる継手部構造としては、例えば特許文献1に記載されているように、溝形部材における継手部のコーナ部(鉛直面と水平面の交差部)に切り込みを入れて、これを外方に開いてフランジ状にしたものがある。
また、高強度鋼板を用いたプレス成形品の製造方法として、継手部構造ではないがT字部材を製造する方法が特許文献4に開示されている。特許文献4に記載のT字部材の製造方法は、高強度鋼板における折り曲げる部分に予め溝を設けてから曲げ加工するというものである。
しかし、高強度鋼板は低強度鋼板と比較してプレス成形時の絞り性、張り出し性、伸びフランジ性が低い。そのため、特許文献2および特許文献3の継手部構造を、高強度鋼板を用いてプレス成形しようとすると、継手部のコーナ部に割れやしわなどの成形不具合が生じ、求める継手部構造が得られない。そこで、従来、特許文献3に示す形状の継手部分のみを別部品として、軟鋼板でプレス成形し、溶接等で溝形部に接合することが行われていたが、工程が増えて部品点数も増えるという問題がある。
また、特許文献4においては高強度鋼板を用いた成形方法が開示されているが、この方法は、屈曲する線に沿って予め溝を設けるというものであり、手間がかかると共にこの方法を継手部に採用すると剛性が低下するという問題もある。
前記溝形部材における縦壁部を外方に屈曲してなる縦片部と、該縦片部の上端から連続し、かつ前方に屈曲してなる側延出片部と、前記溝形部材における底部から前方に延出する中央延出部と、前記縦壁部と、前記縦片部と、前記底部と、前記中央延出部の交差するコーナ部に形成された開口部とを有し、前記中央延出部は、前記底部に連続する基部と、該基部から外方に張り出す張出し部とを有し、該張出し部と前記側延出片部とを接合してなることを特徴とするものである。
図1〜図9に基づいて本実施の形態に係る溝形部材を説明する。なお、溝形部材とは、ハット断面形状や、コ字断面形状を有する部材のように溝部が形成されている部材をいう。
また、本明細書において方向を示す種々の用語を用いているが、その意味は以下の通りである。
「外方」とは、溝形部材の縦壁に交差する方向であって、縦壁よりも外側に向かう方向である。
「前方」とは、溝形部材における本体部から継手部側に向かう方向をいう。
本体部3はハット断面形状からなり、縦壁部7と、底部9と、フランジ部11とを有している。
継手部5の構造について、図1および図2に基づいて、以下に詳細に説明する。
中央延出部25は、底部9と連続するように形成された基部25aと、基部25aの先端側で基部25aよりも外方に張り出すように形成された張出し部25bとを有している。
張出し部25bの先端側は、図1および図2に示すように180度折り返されており、折り返された部分が側延出片部23の上面および中央延出部25の基端側の上面と接合される。そのため、本体部3と継手部5は一体のものとなっており、剛性が高くなっている。
また、張出し部25bにおける折り返し部はパイプ状になっており(図1、図2参照)、そのため継手部5の剛性が著しく高くなっている。
以下、高強度鋼板31の形状について、詳細に説明する。なお、図4中に示す太い破線は谷折り線を表し、一点鎖線は山折り線を示す。
本体部3となる部分S1は、図4に示すように、2本の谷折り線および2本の山折り線の合計4本の線で、図中縦方向に分かれる5つの部分からなる。これらの5つの部分のうち、両端の部分はフランジ部11となる部分S3である。各部分S3のすぐ内側の部分は、縦壁部7となる部分S4である。部分S3と部分S4の境界は第1谷折り線33である。残りの部分である中央の部分は、底部9となる部分S5である。部分S5とその両側の部分S4は、第1山折り線35を境界としている。
継手部5となる部分S2は、縦片部21となる部分S6と、側延出片部23となる部分S7と、中央延出部25となる部分S8からなる。
以下、部分S2の各部を詳細に説明する。
縦片部21となる部分S6は、縦壁部7となる部分S4の図中上方に位置しており、略矩形状からなる。部分S4と部分S6の境界は第2谷折り線37となっている。部分S6の幅は部分S4の幅とほぼ同一に設定されている。
側延出片部23となる部分S7は、部分S6の内側に位置しており、矩形状からなる。部分S6と部分S7の境界は第2山折り線39となっている。
中央延出部25となる部分S8は、底部9となる部分S5に連続しており、部分S5の図中上方に配置されている。
部分S8は、部分S5の上端に部分S5の幅よりも幅狭に形成された矩形状部S8aと、矩形状部S8aの上端に連続して形成され、部分S7に挟まれた矩形状のくびれ部S8bと、くびれ部S8bの上端に連続して形成され、部分S5の幅よりも幅広に形成された矩形状部S8cと、矩形状部S8cの上端に連続して形成され、矩形状部S8cと同幅に形成された矩形状部S8dと、矩形状部S8dの上端に連続して形成され、矩形状部S8aよりも若干だけ幅広に形成された矩形状部S8eとを有している。矩形状部S8cと矩形状部S8dの境界は第3谷折り線41となっている。
なお、矩形状部S8aとくびれ部S8bが、図2の溝形部材1における基部25aとなり、矩形状部S8c、矩形状部S8d及び矩形状部S8eが図2の溝形部材1における張出し部25bとなる。
図5は、図4に図示した高強度鋼板31の斜視図である。ここで、高強度鋼板31の厚み方向下方向を単に下方とする。
溝形部材1を成形するには図5の状態から、まず、図6に示すように、第2谷折り線37に沿って谷折りにして、縦片部21となる部分S6および側延出片部23となる部分S7を上方に屈曲させる。また、図6に示す第1谷折り線33に沿って谷折りにして部分S3を上方に屈曲させる。
次に、図7に示すように、第2山折り線39に沿って山折りにして側延出片部23となる部分S7を前方に屈曲させる。
こうすることで、底部9と縦壁部7とフランジ部11が形成され、本体部3となる。
また、部分S6が縦向きになり、縦片部21が形成される。
また、部分S7の上面が、底部9や矩形状部S8cの上面と面一となり、側延出片部23となる。このとき、側延出片部23の先端が矩形状部S8cと当接若しくは近接する。このような配置関係を実現するため、部分S7の長さやが所定の値に設定されている。
またこの時、本体部3と継手部5とを繋ぐコーナ部に開口部27が形成される。
なお、本実施の形態では、継手部5の剛性が高いので、開口部27をより大きくしてさらに軽量化を図ってもよい。
また、図8に示す状態において、側延出片部23の先端部と中央延出部25の張出し部25b(矩形状部S8c)とを溶接してもよい。こうすることによって、本体部3と継手部5がより一体のものとなり、剛性をより向上させることができる。
実施の形態2にかかる溝形部材51の継手部構造について、図10および図11に基づいて説明する。図10および図11において実施の形態1と同一部分を示す場合は同じ符号を付してある。
上記の実施の形態1の溝形部材1は、中央延出部25となる部分S8の一部(矩形状部S8dおよび矩形状部S8e、図4参照)を折り返し部として折り重ねて接合することで剛性の向上を図っているが、折り返し部分を省略して軽量化を図ったものが図10に示される本実施の形態の溝形部材51の継手部構造である。
図11は、図10の溝形部材51の成型前の高強度鋼板53の形状を図示したものであり、図11に示すように、高強度鋼板53には、実施の形態1(図4)の矩形状部S8dおよび矩形状部S8eに該当する部分がない。
実施の形態3にかかる溝形部材61の継手部構造について、図12および図13に基づいて説明する。図12および図13において実施の形態1または実施の形態2と同一部分を示す場合には同じ符号を付してある。
溝形部材61は、図12に示すように、実施の形態2の溝形部材51(図11参照)の側延出片部23をより広幅にしたものである。
こうすることによって、中央延出部25の張出し部25bと側延出片部23の接合部分をより大きくすることができ、本体部3と継手部5の一体化をより一層高めることができ、実施の形態2の溝形部材51(図10)と同重量でありながらより剛性を高くすることができる。
図12中には、実施の形態2の溝形部材51(図10)との比較のために、溝形部材51には存在した矩形状部S8aの形状を二点鎖線で示している。
実施の形態4にかかる溝形部材71の継手部構造について、図14および図15に基づいて説明する。図14および図15において実施の形態1〜実施の形態3と同一部分を示す場合には同じ符号を付してある。
溝形部材71の継手部構造は、実施の形態1における溝形部材1の成型前の高強度鋼板31(図4参照)の矩形状部S8eを有していない形状であり(図15参照)、これによって、溝形部材1よりも軽量化を図ることができるという効果がある。
条件1は、図16(a)に示すように、ロッカー部材81の両端を固定して、溝形部材1の底部9の端部に、溝形部材1をねじる回転方向の荷重(ねじり荷重)を与えるものである(発明例1)。このような荷重条件とすることによって面外変形を確認することができる。
また、比較例1として、図16(b)に示すように、従来の分割した継手部構造を持ち、継手部以外の構造が溝形部材1と同一の溝形部材83をロッカー部材81に接合したものに、荷重条件が条件1と同様の実験を行った。
また、比較例2として、図17(b)に示すように、溝形部材83をロッカー部材81に接合したものに、荷重条件が条件2と同様の実験を行った。
図18は、発明例1と比較例1の変位量を示すグラフであり、縦軸は変位量(mm)を表している。図19は、図18の変位量を比較するグラフであり、縦軸は比較例を基準とした剛性の増分(%)を表している。
変位量は、図18に示す通り、発明例1では約0.47mmであり、比較例1では約0.57mmである。剛性は、図19に示す通り、発明例1では比較例1と比較して約21.7%と大幅に増加している。
図20は、図18と同様に、発明例2と比較例2の変位量を示すグラフであり、縦軸は変位量(mm)を表している。図21は、図19と同様に、変位量を比較するグラフであり、縦軸は比較例を基準とした剛性の増分(%)を表している。
変位量は、図20に示す通り、発明例2では約0.0116mmであり、比較例2では約0.0118mmである。剛性は、図21に示す通り、発明例2では比較例2と比較して約1.7%増加している。
以上のように、本発明にかかる溝形部材1の継手部構造によれば、高強度鋼板31に対して、継手部5の複雑な曲げ加工ができないという問題を克服しつつ、剛性を確保することができた。
S8a 矩形状部
S8b くびれ部
S8c 矩形状部
S8d 矩形状部
1 溝形部材
3 本体部
5 継手部
7 縦壁部
9 底部
11 フランジ部
13 他の部材
21 縦片部
23 側延出片部
25 中央延出部
25a 基部
25b 張出し部
27 開口部
31 高強度鋼板
33 第1谷折り線
35 第1山折り線
37 第2谷折り線
39 第2山折り線
41 第3谷折り線
43 開口部
51 溝形部材
53 高強度鋼板
61 溝形部材
63 高強度鋼板
71 溝形部材
73 高強度鋼板
81 ロッカー部材
83 溝形部材
Claims (2)
- 高強度鋼板を成形してなる溝形部材の端部に形成され、該溝形部材を角形部材に対して交差方向に接合するための前記溝形部材の継手部構造であって、
前記溝形部材における縦壁部を外方に屈曲してなる縦片部と、該縦片部の上端から連続し、かつ前方に屈曲してなる側延出片部と、前記溝形部材における底部から前方に延出する中央延出部と、前記縦壁部と、前記縦片部と、前記底部と、前記中央延出部の交差するコーナ部に形成された開口部とを有し、前記中央延出部は、前記底部に連続する基部と、該基部から外方に張り出す張出し部とを有し、該張出し部と前記側延出片部とを接合してなることを特徴とする溝形部材の継手部構造。 - 前記中央延出部の張出し部は、後方に折り返された折り返し部を有し、該折り返し部と前記側延出片部とが接合されていることを特徴とする請求項1記載の溝形部材の継手部構造。
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