以下、本発明に係る車両用センタピラーを具体化した第1実施形態乃至第4実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本発明に係る車両用センタピラーを具体化した第1実施形態について図1乃至図7に基づいて説明する。尚、各図に適宜に示される矢印FRは、車両前方側を示し、又矢印UPは車両上方側を示している。更に、矢印INは、車幅方向内側を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
[第1実施形態]
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係る車両用センタピラー1の概略構成を示す。図1〜図3に示すように、車両用センタピラー1は、車両用センタピラー1の車幅方向外側部を構成する長尺状のアウタパネル11と、車両用センタピラー1の車幅方向内側部を構成する長尺状のインナパネル12とを有している。
アウタパネル11は、車幅方向内側に開口する断面ハット形状に形成されており、開口側の車両前後方向の両側縁部から第1フランジ部11Cが外側方向に延出されている。また、インナパネル12は、車幅方向外側に開口する断面ハット形状に形成されており、車両前後方向の両側縁部から第2フランジ部12Cが外側方向に延出されている。
そして、インナパネル12の各第2フランジ部12Cは、アウタパネル11の各第1フランジ部11Cに車幅方向に重ね合わされて、スポット溶接によって溶接接合されて一対のフランジ接合部13を形成し、閉断面を形成している(図4等を参照)。尚、図中のG1は、曲げの中立軸を示している。図1及び図2において、黒丸印により溶接個所を示している。尚、スポット溶接に限らず、レーザ溶接等、他の溶接によって溶接接合されてもよい。
従って、長尺状の車両用センタピラー1は、車両上下方向へ延びる閉断面構造に形成され、内側に一つの閉空間を形成している。また、車両用センタピラー1は、アウタパネル11の上端に形成された略T字状の取付部15を介してルーフサイドレール18に接合されており、アウタパネル11の下端に形成された略T字状の取付部16を介してサイドシル19に接合され、車両上下方向に沿って配置されている。
アウタパネル11は、引張強度が1180MPa以上(例えば、1470MPaである。)の高張力鋼板で常温プレス若しくはホットスタンプにより成形された鋼板部材である。アウタパネル11は、車両前後方向両側の第1フランジ部11Cからそれぞれ車幅方向外側へ立ち上がる一対の第1縦壁部11Bと、各第1縦壁部11Bの車幅方向外側端をつなぐ第1底壁部11Aとを有している。
インナパネル12は、アウタパネル11の引張強度よりも小さい引張強度(例えば、590MPaである。)の高張力鋼板で常温プレスにより成形された鋼板部材である。インナパネル12は、車両前後方向両側の第2フランジ部12Cからそれぞれ車幅方向内側へ立ち上がる一対の第2縦壁部12Bと、各第2縦壁部12Bの車幅方向内側端をつなぐ第2底壁部12Aとを有している。
図3乃至図7に示すように、アウタパネル11の一対の第1縦壁部11Bは、車両上下方向において、下部21、中間部22、上部23の3つの部分のうち、下部21における各第1縦壁部11Bの車幅方向の幅は、一定の幅に形成されている。そして、中間部22における各第1縦壁部11Bの幅は、車両上方向へ行くに従って徐々に狭くなり、上部23における各第1縦壁部11Bの幅は、中間部22の第1縦壁部11Bの上端の幅と同じ幅に形成されている。尚、上部23における各第1縦壁部11Bの幅は、中間部22の第1縦壁部11Bの上端の幅よりも少し狭い幅になるようにしてもよい。
また、インナパネル12の一対の第2縦壁部12Bは、車両上下方向において、下部21、中間部22、上部23の3つの部分のうち、下部21における各第2縦壁部12Bの車幅方向の幅は、一定の幅に形成されている。そして、中間部22における各第2縦壁部12Bの幅は、車両上方向へ行くに従って徐々に広くなり、上部23における各第2縦壁部12Bの幅は、中間部22の第2縦壁部12Bの上端の幅と同じ幅に形成されている。尚、上部23における各第2縦壁部12Bの幅は、中間部22の第2縦壁部12Bの上端の幅よりも少し広い幅になるようにしてもよい。
その結果、図3に示すように、各第2フランジ部12Cが各第1フランジ部11Cに車幅方向に重ね合わされて溶接接合されたフランジ接合部13は、下部21において、中立軸G1よりも車幅方向内側に位置している。そのため、車両用センタピラー1の下部21に車両外側から衝突された際には、図4に示すように、フランジ接合部13の下部21には、引張応力(正の応力)σが発生する。
また、図3に示すように、フランジ接合部13は、中間部22において、下部21よりも車両上方向へ向かうに従って中立軸G1に車幅方向内側から徐々に近づいた後、中立軸G1に重なり、更に、中立軸G1から車幅方向外側へ徐々に離れるように位置している。そのため、車両用センタピラー1の下部21に車両外側から衝突された際には、図5から図6に示すように、フランジ接合部13の中間部22に発生する応力σは、車両上方向へ向かうに従って、引張応力(正の応力)σが徐々に減少して「0」になった後、圧縮応力(負の応力)σが徐々に大きくなる。
そして、図3に示すように、フランジ接合部13は、上部23において、中間部22の上端における中立軸G1からの離間距離とほぼ同じ離間距離で、中立軸G1よりも車幅方向外側に位置している。そのため、車両用センタピラー1の下部21に車両外側から衝突された際には、図7に示すように、フランジ接合部13の上部23には、圧縮応力(負の応力)σが発生する。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係る車両用センタピラー1では、フランジ接合部13が、車両用センタピラー1の上部23において、中立軸G1よりも車幅方向外側に位置するように形成されている。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー1の上部23において、フランジ接合部13が曲げの中立軸G1よりも車幅方向外側に位置するため、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラー1の上部23におけるフランジ接合部13の破断を効果的に抑制できる。
また、フランジ接合部13が、車両上下方向において、中間部22において、下部21よりも上方向へ向かうに従って中立軸G1に車幅方向内側から徐々に近づいた後、中立軸G1から車幅方向外側へ徐々に離れるように形成すればよく、簡易な構成で車両用センタピラー1の上部23におけるフランジ接合部13の破断を効果的に抑制できる。
尚、図3において、フランジ接合部13は、中間部22において、下部21よりも車両上方向へ向かうに従って中立軸G1に車幅方向内側から徐々に近づいて、中間部22の上端部で中立軸G1に重なるようにしてもよい。そして、フランジ接合部13は、上部23において、中立軸G1に重なるように位置してもよいし、又は、中間部22よりも車両上方向へ向かうに従って中立軸G1から車幅方向外側へ徐々に離れるように位置してもよい。
これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー1の上部23において、フランジ接合部13が曲げの中立軸G1に重なる場合には、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が「0」となり、車両用センタピラー1の上部23におけるフランジ接合部13の破断を効果的に抑制できる。また、車両用センタピラー1の上部23において、フランジ接合部13が車両上方向へ向かうに従って曲げの中立軸G1から車幅方向外側へ徐々に離れる場合には、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラー1の上部23におけるフランジ接合部13の破断を効果的に抑制できる。
また、フランジ接合部13が、車両上下方向において、上部23において、中間部22よりも上方向へ向かうに従って中立軸G1に重なるように、又は、中立軸G1から車幅方向外側へ徐々に離れるように形成すればよく、簡易な構成で車両用センタピラー1の上部23におけるフランジ接合部13の破断を効果的に抑制できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る車両用センタピラー31について図8乃至図14に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係る車両用センタピラー1と同一符号は、上記第1実施形態に係る車両用センタピラー1と同一あるいは相当部分を示すものである。
第2実施形態に係る車両用センタピラー31は、第1実施形態に係る車両用センタピラー1とほぼ同じ構成である。図8及び図11に示すように、第2実施形態に係る車両用センタピラー31の車幅方向外側部を構成する長尺状のアウタパネル32は、車幅方向内側に開口する断面ハット形状に形成されており、開口側の車両前後方向の両側縁部から第1フランジ部32Cが外側方向に延出されている。インナパネル33は、車幅方向外側に開口する断面ハット形状に形成されており、車両前後方向の両側縁部から第2フランジ部33Cが外側方向に延出されている。
そして、インナパネル33の各第2フランジ部33Cは、アウタパネル32の各第1フランジ部32Cに車幅方向に重ね合わされて、スポット溶接によって溶接接合されて一対のフランジ接合部35を形成し、閉断面を形成している(図11等を参照)。従って、長尺状の車両用センタピラー31は、車両上下方向へ延びる閉断面構造に形成され、内側に一つの閉空間を形成している。尚、スポット溶接に限らず、レーザ溶接等、他の溶接によって溶接接合されてもよい。
但し、図9及び図10に示すように、アウタパネル32は、テーラー・ウェルド・ブランク(TWB:Tailor Welded Blank)(以下、「TWブランク」という。)37を常温プレス若しくはホットスタンプにより成形した鋼板部材である。TWブランク37は、長手方向に対して全幅に渡って直交する各接合線38A、38Bに沿って3枚の高張力鋼板41、42、43を車両上方向へ順次溶接することによって構成されている。3枚の高張力鋼板41〜43のそれぞれの長手方向の長さは、ほぼ同じ長さL/3に形成されている。LはTWブランク37の長手方向における全長である。
各接合線38A、38Bでの各高張力鋼板41、42、43の溶接方法は、レーザ溶接、プラズマ溶接、(マッシュ)シーム溶接等、任意の適切な溶接方法を用いることができる。各高張力鋼板41、42、43は、端どうしを突き合せた状態、あるいは、重ね合わせた状態で溶接することができる。
また、3枚の高張力鋼板41〜43は、ほぼ同じ板厚T1(例えば、T1=約1.6mmである。)に形成されている。また、一番下側に配置される高張力鋼板(第1鋼板)41の引張強度は、例えば、1760MPaである。また、中間に配置される高張力鋼板(第2鋼板)42の引張強度は、例えば、1470MPaであり、一番下側に配置される高張力鋼板41の引張強度よりも小さく設定されている。また、一番上側に配置される高張力鋼板(第3鋼板)43の引張強度は、例えば、1180MPaであり、中間に配置される高張力鋼板42の引張強度よりも小さく設定されている。
図8及び図11に示すように、アウタパネル32は、車両前後方向両側の第1フランジ部32Cからそれぞれ車幅方向外側へ立ち上がる一対の第1縦壁部32Bと、各第1縦壁部32Bの車幅方向外側端をつなぐ第1底壁部32Aとを有している。
インナパネル33は、アウタパネル32の長手方向における中間部22を構成する高張力鋼板42の引張強度にほぼ等しい引張強度で、例えば、約1470MPaの引張強度で、板厚が、アウタパネル32の板厚T1にほぼ等しい、例えば、約1.6mmの高張力鋼板で常温プレス若しくはホットスタンプにより成形された鋼板部材である。インナパネル33は、車両前後方向両側の第2フランジ部33Cからそれぞれ車幅方向内側へ立ち上がる一対の第2縦壁部33Bと、各第2縦壁部33Bの車幅方向内側端をつなぐ第2底壁部33Aとを有している。
図8に示すように、アウタパネル32の一対の第1縦壁部32Bは、長手方向の全長に渡って一定の幅に形成されている。また、アウタパネル32の車両上下方向において、下部21、中間部22、上部23の3つの部分のうち、下部21は引張強度が、例えば、1760MPaの高張力鋼板(第1鋼板)41で形成され,中間部22は引張強度が、例えば、1470MPaの高張力鋼板(第2鋼板)42で形成され、上部23は引張強度が、例えば、1180MPaの高張力鋼板(第3鋼板)43で形成されている。
また、インナパネル33の一対の第2縦壁部33Bは、長手方向の全長に渡って一定の幅に形成されている。また、インナパネル33は、アウタパネル32の中間部22の引張強度とほぼ等しい引張強度で、例えば、約1470MPaの高張力鋼板で形成されている。従って、アウタパネル32の下部21の材料強度は、インナパネル33の材料強度よりも大きくなるように設定されている。アウタパネル32の上部23の材料強度は、インナパネル33の材料強度よりも小さくなるように設定されている。
その結果、図8に示すように、車両用センタピラー31の下部21において、曲げの中立軸G11は、フランジ接合部35よりも車幅方向外側に位置している。そのため、車両用センタピラー31の下部21に車両外側から衝突された際には、図11に示すように、フランジ接合部35の下部21には、引張応力(正の応力)σが発生する。
また、図8に示すように、車両用センタピラー31の中間部22において、曲げの中立軸G12は、下部21における中立軸G11よりもフランジ接合部35側に位置し、フランジ接合部35よりも僅かに車幅方向外側に位置している。そのため、車両用センタピラー31の下部21に車両外側から衝突された際には、図12に示すように、フランジ接合部35の中間部22には、下部21の引張応力σよりも小さい引張応力(正の応力)σが発生する。
そして、図8に示すように、車両用センタピラー31の上部23において、曲げの中立軸G13は、フランジ接合部35よりも僅かに車幅方向内側に位置している。そのため、車両用センタピラー31の下部21に車両外側から衝突された際には、図13から図14に示すように、フランジ接合部35の上部23には、圧縮応力(負の応力)σが発生する。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係る車両用センタピラー31では、上部23において、中立軸G13がフランジ接合部35よりも車幅方向内側に位置するように形成されている。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー31の上部23において、フランジ接合部35が曲げの中立軸G13よりも車幅方向外側に位置するため、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラー31の上部23におけるフランジ接合部35の破断を効果的に抑制できる。
また、アウタパネル32の少なくとも下部21と中間部22と上部23を構成する3つの鋼板の材料強度を、上方向に行くに従って段階的に小さくし、上部23の材料強度をインナパネル33の材料強度よりも小さくするように構成すればよく、簡易な構成で車両用センタピラー31の上部23におけるフランジ接合部35の破断を効果的に抑制できる。
尚、図8において、アウタパネル32の上部23を構成する高張力鋼板43の引張強度は、中立軸G13がフランジ接合部35に重なって位置するように設定してもよい。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー31の上部23において、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が「0」となり、車両用センタピラー31の上部23におけるフランジ接合部35の破断を効果的に抑制できる。また、中立軸G13がフランジ接合部35に重なるように、アウタパネル32の上部23を構成する高張力鋼板43の引張強度を設定すればよく、簡易な構成で車両用センタピラー31の上部23におけるフランジ接合部35の破断を効果的に抑制できる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る車両用センタピラー51について図15乃至図21に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係る車両用センタピラー1と同一符号は、上記第1実施形態に係る車両用センタピラー1と同一あるいは相当部分を示すものである。
第3実施形態に係る車両用センタピラー51は、第1実施形態に係る車両用センタピラー1とほぼ同じ構成である。図15及び図18に示すように、第3実施形態に係る車両用センタピラー51の車幅方向外側部を構成する長尺状のアウタパネル52は、車幅方向内側に開口する断面ハット形状に形成されており、開口側の車両前後方向の両側縁部から第1フランジ部52Cが外側方向に延出されている。インナパネル53は、車幅方向外側に開口する断面ハット形状に形成されており、車両前後方向の両側縁部から第2フランジ部53Cが外側方向に延出されている。
そして、インナパネル53の各第2フランジ部53Cは、アウタパネル52の各第1フランジ部52Cに車幅方向に重ね合わされて、スポット溶接によって溶接接合されて一対のフランジ接合部55を形成し、閉断面を形成している(図18等を参照)。従って、長尺状の車両用センタピラー51は、車両上下方向へ延びる閉断面構造に形成され、内側に一つの閉空間を形成している。尚、スポット溶接に限らず、レーザ溶接等、他の溶接によって溶接接合されてもよい。
但し、図16及び図17に示すように、アウタパネル52は、TWブランク(TWB:Tailor Welded Blank)57を常温プレス若しくはホットスタンプにより成形した鋼板部材である。TWブランク57は、長手方向に対して全幅に渡って直交する各接合線58A、58Bに沿って3枚の高張力鋼板61、62、63を車両上方向へ順次溶接することによって構成されている。3枚の高張力鋼板61〜63のそれぞれの長手方向の長さは、ほぼ同じ長さL/3に形成されている。LはTWブランク57の長手方向における全長である。
各接合線58A、58Bでの各高張力鋼板61、62、63の溶接方法は、レーザ溶接、プラズマ溶接、(マッシュ)シーム溶接等、任意の適切な溶接方法を用いることができる。各高張力鋼板61、62、63は、端どうしを突き合せた状態、あるいは、重ね合わせた状態で溶接することができる。また、3枚の高張力鋼板61、62、63は、常温プレス若しくはホットスタンプにより成形した際に、車幅方向外側になる面が面一になるように各接合線58A、58Bに沿って溶接されている。
また、3枚の高張力鋼板61〜63は、ほぼ同じ引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)の高張力鋼板である。また、一番下側に配置される高張力鋼板(第1鋼板)61の板厚T11は、例えば、板厚2.0mmである。また、中間に配置される高張力鋼板(第2鋼板)62の板厚T12は、例えば、板厚1.8mmであり、一番下側に配置される高張力鋼板61の板厚T11よりも薄い板厚に設定されている。また、一番上側に配置される高張力鋼板(第3鋼板)63の板厚T13は、例えば、板厚1.6mmであり、中間に配置される高張力鋼板62の板厚T12よりも薄い板厚に設定されている。
図15及び図18に示すように、アウタパネル52は、車両前後方向両側の第1フランジ部52Cからそれぞれ車幅方向外側へ立ち上がる一対の第1縦壁部52Bと、各第1縦壁部52Bの車幅方向外側端をつなぐ第1底壁部52Aとを有している。
インナパネル53は、アウタパネル52の引張強度よりも小さい引張強度(例えば、590MPa、980MPa等である。)で、板厚が1.0mm〜1.2mmの高張力鋼板で常温プレスにより成形された鋼板部材である。インナパネル53は、車両前後方向両側の第2フランジ部53Cからそれぞれ車幅方向内側へ立ち上がる一対の第2縦壁部53Bと、各第2縦壁部53Bの車幅方向内側端をつなぐ第2底壁部53Aとを有している。
図15に示すように、アウタパネル52の一対の第1縦壁部52Bは、長手方向の全長に渡って一定の幅に形成されている。また、アウタパネル52の車両上下方向において、下部21、中間部22、上部23の3つの部分のうち、下部21は板厚がT11(例えば、2.0mm)の高張力鋼板(第1鋼板)61で形成され,中間部22は板厚がT12(例えば、1.8mm)の高張力鋼板(第2鋼板)62で形成され,上部23は板厚がT13(例えば、1.6mm)の高張力鋼板(第3鋼板)63で形成されている。また、インナパネル53の一対の第2縦壁部53Bは、長手方向の全長に渡って一定の幅に形成されている。
その結果、図15に示すように、車両用センタピラー51の下部21において、曲げの中立軸G21は、フランジ接合部55よりも車幅方向外側に位置している。そのため、車両用センタピラー51の下部21に車両外側から衝突された際には、図18に示すように、フランジ接合部55の下部21には、引張応力(正の応力)σが発生する。
また、図15に示すように、車両用センタピラー51の中間部22において、曲げの中立軸G22は、下部21における中立軸G21よりもフランジ接合部55側に位置し、フランジ接合部55よりも僅かに車幅方向外側に位置している。そのため、車両用センタピラー51の下部21に車両外側から衝突された際には、図19に示すように、フランジ接合部55の中間部22には、下部21の引張応力σよりも小さい引張応力(正の応力)σが発生する。
そして、図15に示すように、車両用センタピラー51の上部23において、曲げの中立軸G23は、フランジ接合部55よりも僅かに車幅方向内側に位置している。そのため、車両用センタピラー51の下部21に車両外側から衝突された際には、図20から図21に示すように、フランジ接合部55の上部23には、圧縮応力(負の応力)σが発生する。
以上詳細に説明した通り、第3実施形態に係る車両用センタピラー51では、上部23において、中立軸G23がフランジ接合部55よりも車幅方向内側に位置するように形成されている。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー51の上部23において、フランジ接合部55が曲げの中立軸G23よりも車幅方向外側に位置するため、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラー51の上部23におけるフランジ接合部55の破断を効果的に抑制できる。
また、アウタパネル52の少なくとも下部21と中間部22と上部23を構成する3つの鋼板の板厚を、TWブランク57を常温プレス若しくはホットスタンプにより成形して上方向に行くに従って段階的に薄くするように構成すればよい。これにより、アウタパネル52のブランクを1枚の鋼板の板厚を連続的に変化させて形成するテーラー・ロールド・ブランク(TRB:Tailor Rolled Blank)により作成する場合と比較して、板厚が段階的に変化するTWブランク57を作成することでアウタパネル52のブランクを簡易に構成することができ、製造コストの削減化を図ることができる。
尚、図15において、アウタパネル52の上部23を構成する高張力鋼板63の板厚T13は、中立軸G23がフランジ接合部55に重なって位置するように設定してもよい。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー51の上部23において、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が「0」となり、車両用センタピラー51の上部23におけるフランジ接合部55の破断を効果的に抑制できる。また、中立軸G23がフランジ接合部55に重なるように、アウタパネル52の上部23を構成する高張力鋼板63の板厚T13を設定すればよく、簡易な構成で車両用センタピラー51の上部23におけるフランジ接合部55の破断を効果的に抑制できる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る車両用センタピラー71について図22乃至図28に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係る車両用センタピラー1と同一符号は、上記第1実施形態に係る車両用センタピラー1と同一あるいは相当部分を示すものである。
第4実施形態に係る車両用センタピラー71は、第1実施形態に係る車両用センタピラー1とほぼ同じ構成である。図22及び図25に示すように、第4実施形態に係る車両用センタピラー71の車幅方向外側部を構成する長尺状のアウタパネル72は、車幅方向内側に開口する断面ハット形状に形成されており、開口側の車両前後方向の両側縁部から第1フランジ部72Cが外側方向に延出されている。インナパネル73は、車幅方向外側に開口する断面ハット形状に形成されており、車両前後方向の両側縁部から第2フランジ部73Cが外側方向に延出されている。
そして、インナパネル73の各第2フランジ部73Cは、アウタパネル72の各第1フランジ部72Cに車幅方向に重ね合わされて、スポット溶接によって溶接接合されて一対のフランジ接合部75を形成し、閉断面を形成している(図25等を参照)。従って、長尺状の車両用センタピラー71は、車両上下方向へ延びる閉断面構造に形成され、内側に一つの閉空間を形成している。尚、スポット溶接に限らず、レーザ溶接等、他の溶接によって溶接接合されてもよい。
但し、図23及び図24に示すように、アウタパネル72は、テーラー・ロールド・ブランク(TRB:Tailor Rolled Blank)(以下、「TRブランク」という。)77を常温プレス若しくはホットスタンプにより成形した鋼板部材である。TRブランク77は、それぞれの長手方向の長さが、ほぼ同じ長さL/3に区分された3種類の厚さの各鋼板部分81、82、83に車両上方向へ順次区分され、連続的に形成されている。LはTRブランク77の長手方向における全長である。TRブランク77は、引張強度が、例えば、1470MPaの高張力鋼板で形成されている。
一番下側に配置される鋼板部分81は、一定の板厚T11、例えば、一定の板厚2.0mmに形成されている。また、一番上に配置される鋼板部分83は、一定の板厚T13、例えば、一定の板厚1.6mmに形成され、一番下側に配置される鋼板部分81の板厚T11よりも薄い板厚に設定されている。そして、中間に配置される鋼板部分82は、板厚が、車両上方向へ行くに従って、鋼板部分81の板厚T11から鋼板部分83の板厚T13まで徐々に薄くなるように形成されて、板厚が連続的に変化する徐変範囲78を構成している。
図22及び図25に示すように、アウタパネル72は、車両前後方向両側の第1フランジ部72Cからそれぞれ車幅方向外側へ立ち上がる一対の第1縦壁部72Bと、各第1縦壁部72Bの車幅方向外側端をつなぐ第1底壁部72Aとを有している。
インナパネル73は、アウタパネル72の引張強度よりも小さい引張強度(例えば、590MPa、980MPa等である。)で、板厚が一番下側に配置される鋼板部分81の板厚T11と一番上側に配置される鋼板部分83の板厚T13との平均厚さT12、例えば、板厚1.8mmの高張力鋼板で常温プレスにより成形された鋼板部材である。尚、インナパネル73は、アウタパネル72の引張強度とほぼ等しい引張強度(例えば、1470MPaである。)で、板厚が一番下側に配置される鋼板部分81の板厚T11と一番上側に配置される鋼板部分83の板厚T13との平均厚さT12、例えば、板厚1.8mmの高張力鋼板で常温プレス若しくはホットスタンプにより成形された鋼板部材でもよい。
インナパネル73は、車両前後方向両側の第2フランジ部73Cからそれぞれ車幅方向内側へ立ち上がる一対の第2縦壁部73Bと、各第2縦壁部73Bの車幅方向内側端をつなぐ第2底壁部73Aとを有している。
図22に示すように、アウタパネル72の一対の第1縦壁部72Bは、長手方向の全長に渡って一定の幅に形成されている。また、アウタパネル72の車両上下方向において、下部21、中間部22、上部23の3つの部分のうち、下部21は板厚がT11(例えば、2.0mm)の鋼板部分81で形成され、中間部22は板厚がT11からT13(例えば、1.6mm)へ車両上方向へ行くに従って徐々に薄くなる鋼板部分82で形成され、上部23は板厚がT13(例えば、1.6mm)の鋼板部分83で形成されている。また、インナパネル73の一対の第2縦壁部73Bは、長手方向の全長に渡って一定の幅に形成されている。
その結果、図22に示すように、車両用センタピラー71の下部21において、曲げの中立軸G31は、フランジ接合部75よりも車幅方向外側に位置している。そのため、車両用センタピラー71の下部21に車両外側から衝突された際には、図25に示すように、フランジ接合部75の下部21には、引張応力(正の応力)σが発生する。
また、図22に示すように、車両用センタピラー71の中間部22において、曲げの中立軸G31は、下部21よりも車両上方向へ向かうに従ってフランジ接合部75に車幅方向外側から徐々に近づいた後、フランジ接合部75に重なり、更に、フランジ接合部75から車幅方向内側へ徐々に離れるように位置している。そのため、車両用センタピラー71の下部21に車両外側から衝突された際には、図26から図27に示すように、フランジ接合部75の中間部22に発生する応力σは、車両上方向へ向かうに従って、引張応力(正の応力)σが徐々に減少して「0」になった後、圧縮応力(負の応力)σが徐々に大きくなる。
そして、図22に示すように、車両用センタピラー51の上部23において、中立軸G31は、中間部22の上端におけるフランジ接合部75からの離間距離とほぼ同じ離間距離で、フランジ接合部75よりも車幅方向内側に位置している。そのため、車両用センタピラー71の下部21に車両外側から衝突された際には、図28に示すように、フランジ接合部75の上部23には、圧縮応力(負の応力)σが発生する。
以上詳細に説明した通り、第4実施形態に係る車両用センタピラー71では、上部23において、中立軸G31がフランジ接合部75よりも車幅方向内側に位置するように形成されている。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー71の上部23において、フランジ接合部75が曲げの中立軸G31よりも車幅方向外側に位置するため、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラー71の上部23におけるフランジ接合部75の破断を効果的に抑制できる。
また、第4実施形態に係る車両用センタピラー71では、アウタパネル72の車両上下方向における中間部22の板厚を、下部21を構成する鋼板部分81の板厚T11から上部23を構成する鋼板部分83の板厚T13まで連続的に薄くなるように形成すればよく、アウタパネル72のTRブランク77を一枚の鋼板から形成できる。
これにより、アウタパネル72の下部21と中間部22、及び、中間部22と上部23のそれぞれの間において、段差等が発生しないため、応力集中を避けることができる。また、中立軸G31は、車両用センタピラー71の中間部22において、下部21の中立軸G31の上端からフランジ接合部75に車幅方向外側から徐々に近づいた後、フランジ接合部75から車幅方向内側へ徐々に離れて上部23の中立軸G31の下端に接続されるように位置する。このため、車両用センタピラー71の中間部22と上部23との連続する部分付近におけるフランジ接合部75の破断を更に効果的に抑制できる。
尚、図22において、アウタパネル72の上部23を構成する鋼板部分83の板厚T13は、中立軸G31がフランジ接合部75に重なって位置するように設定してもよい。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラー71の上部23において、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が「0」となり、車両用センタピラー71の上部23におけるフランジ接合部75の破断を効果的に抑制できる。また、中立軸G31がフランジ接合部75に重なるように、アウタパネル72の上部23を構成する鋼板部分83の板厚T13を設定すればよく、簡易な構成で車両用センタピラー71の上部23におけるフランジ接合部75の破断を効果的に抑制できる。
尚、本発明は前記第1実施形態乃至第4実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形、追加、削除が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)例えば、第3実施形態に係るアウタパネル52を、TWブランク57に替えて、上部23を構成する引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)で、板厚がT13(例えば、1.6mm)の高張力鋼板(第3鋼板)で形成された一枚のブランクで、常温プレス若しくはホットスタンプにより成形するようにしてもよい。そして、アウタパネル52の中間部22における板厚がT12(例えば、1.8mmである。)になるように、引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)で、板厚が(T12−T13)の断面ハット形状に形成された中間ヒンジリンフォースをアウタパネル52の中間部22の内側に重ね溶接するようにしてもよい。
また、アウタパネル52の下部21における板厚がT11(例えば、2.0mmである。)になるように、引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)で、板厚が(T11−T13)の断面ハット形状に形成された下部ヒンジリンフォースをアウタパネル52の下部21の内側に重ね溶接するようにしてもよい。これにより、前記第3実施形態に係る車両用センタピラー51のアウタパネル52をTWブランク57で成形した場合と同じ作用効果を奏することができる。
(B)また、例えば、第3実施形態に係るアウタパネル52を、TWブランク57に替えて、上部23を構成する引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)で、板厚がT13(例えば、1.6mm)の高張力鋼板(第3鋼板)で形成された一枚のブランクで、常温プレス若しくはホットスタンプにより成形するようにしてもよい。そして、インナパネル53の上部23に、引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)で、板厚が、例えば、(T11−T13)の断面ハット形状に形成された上部ヒンジリンフォースをインナパネル53の上部23の内側に重ね溶接するようにしてもよい。
また、インナパネル53の中間部22に、引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)で、板厚が、例えば、(T12−T13)の断面ハット形状に形成された中間ヒンジリンフォースをインナパネル53の中間部22の内側に重ね溶接するようにしてもよい。これにより、前記第3実施形態に係る車両用センタピラー51のアウタパネル52をTWブランク57で成形した場合と同じ作用効果を奏することができる。
(C)また、例えば、第3実施形態に係るアウタパネル52を、TWブランク57に替えて、上部23を構成する引張強度P1(例えば、P1=1470MPaである。)で、板厚がT13(例えば、1.6mm)の高張力鋼板(第3鋼板)で形成された一枚のブランクで、常温プレス若しくはホットスタンプにより成形するようにしてもよい。そして、インナパネル53を、長手方向に対して全幅に渡って直交する2本の接合線に沿って3枚の第1高張力鋼板、第2高張力鋼板、第3高張力鋼板を車両上方向へ順次溶接することによって構成されたテーラー・ウェルド・ブランクを常温プレスにより成形するようにしてもよい。
3枚の第1高張力鋼板〜第3高張力鋼板のそれぞれの長手方向の長さは、ほぼ同じ長さに形成されている。3枚の第1高張力鋼板〜第3高張力鋼板の引張強度は、アウタパネル52の引張強度よりも小さい引張強度(例えば、590MPa、980MPa等である。)である。また、インナパネル53の上部23を構成する第3高張力鋼板の板厚は、中間部22を構成する第2高張力鋼板の板厚よりも0.2mm〜0.4mm厚くなるように形成されている。また、インナパネル53の中間部22を構成する第2高張力鋼板の板厚は、下部21を構成する第1高張力鋼板の板厚よりも0.2mm〜0.4mm厚くなるように形成されている。
これにより、車両用センタピラー51の下部21において、曲げの中立軸G21は、フランジ接合部55よりも車幅方向外側に位置するように構成することが可能となる。車両用センタピラー51の中間部22において、曲げの中立軸G22は、下部21における中立軸G21よりもフランジ接合部55側に位置し、フランジ接合部55よりも僅かに車幅方向外側に位置するように構成することが可能となる。車両用センタピラー51の上部23において、曲げの中立軸G23は、フランジ接合部55よりも僅かに車幅方向内側に位置するように構成することが可能となる。従って、前記第3実施形態に係る車両用センタピラー51のアウタパネル52をTWブランク57で成形した場合と同じ作用効果を奏することができる。
(D)また、前記第1発明乃至第6発明は、以下の効果を奏する。例えば、第1発明に係る車両用センタピラーによれば、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラーの上部において、フランジ接合部が曲げの中立軸に重なった場合には、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力がほぼ0となり、車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。また、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラーの上部において、フランジ接合部が曲げの中立軸よりも車幅方向外側に位置する場合には、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。
また、第2発明に係る車両用センタピラーによれば、フランジ接合部が、車両用センタピラーの上部において、中立軸よりも車幅方向外側に位置するように形成されている。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラーの上部において、フランジ接合部が曲げの中立軸よりも車幅方向外側に位置するため、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。また、フランジ接合部が、車両上下方向において、中間部において、下部よりも上方向へ向かうに従って中立軸に車幅方向内側から徐々に近づいた後、中立軸から車幅方向外側へ徐々に離れるように形成すればよく、簡易な構成で車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。
また、第3の発明に係る車両用センタピラーによれば、中立軸は、上部において、フランジ接合部よりも車幅方向内側に位置する。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラーの上部において、フランジ接合部が曲げの中立軸よりも車幅方向外側に位置するため、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。また、アウタパネルの少なくとも下部と中間部と上部を構成する3つの鋼板の材料強度を、上方向に行くに従って段階的に小さくし、上部の材料強度をインナパネルの材料強度よりも小さくするように構成すればよく、簡易な構成で車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。
また、第4の発明に係る車両用センタピラーによれば、中立軸は、上部において、フランジ接合部よりも車幅方向内側に位置する。これにより、車両側面に車両外側から衝突された際に、車両用センタピラーの上部において、フランジ接合部が曲げの中立軸よりも車幅方向外側に位置するため、スポット溶接等による溶接部のHAZ軟化部の曲げ応力が圧縮応力となり、車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。また、アウタパネルの少なくとも下部と中間部と上部を構成する3つの鋼板の板厚を、上方向に行くに従って薄くなるように構成すればよく、簡易な構成で車両用センタピラーの上部におけるフランジ接合部の破断を効果的に抑制できる。
また、第5の発明に係る車両用センタピラーによれば、アウタパネルの少なくとも下部と中間部と上部を構成する3つの鋼板の板厚を、上方向に行くに従って段階的に薄くするように構成すればよい。これにより、アウタパネルのブランクを1枚の鋼板の板厚を連続的に変化させて形成する場合と比較して、アウタパネルのブランクを簡易に構成することができ、製造コストの削減化を図ることができる。
また、第6の発明に係る車両用センタピラーによれば、アウタパネルの上下方向における中間部の板厚を、下部の板厚から上部の板厚まで連続的に薄くなるように形成すればよく、アウタパネルのブランクを一枚の鋼板から形成できる。これにより、アウタパネルの下部と中間部、及び、中間部と上部のそれぞれの境界において、段差等が発生しないため、応力集中を避けることができる。また、中立軸は、車両用センタピラーの中間部において、下部の中立軸の上端からフランジ接合部に車幅方向外側から徐々に近づいた後、フランジ接合部から車幅方向内側へ徐々に離れて上部の中立軸の下端に接続されるように位置する。このため、車両用センタピラーの中間部と上部との境界付近におけるフランジ接合部の破断を更に効果的に抑制できる。