JP2014007129A - 二次電池用正極材および該正極材を用いた二次電池 - Google Patents

二次電池用正極材および該正極材を用いた二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2014007129A
JP2014007129A JP2012144094A JP2012144094A JP2014007129A JP 2014007129 A JP2014007129 A JP 2014007129A JP 2012144094 A JP2012144094 A JP 2012144094A JP 2012144094 A JP2012144094 A JP 2012144094A JP 2014007129 A JP2014007129 A JP 2014007129A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
crystalline
range
electrode material
titanate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012144094A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6008610B2 (ja
Inventor
Mitsuaki Kumazawa
光章 熊沢
Mariko Hashimoto
真理子 橋本
Akira Nakajima
昭 中島
Tsuguo Koyanagi
嗣雄 小柳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JGC Catalysts and Chemicals Ltd filed Critical JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority to JP2012144094A priority Critical patent/JP6008610B2/ja
Publication of JP2014007129A publication Critical patent/JP2014007129A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6008610B2 publication Critical patent/JP6008610B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】充放電容量、サイクル特性に優れた正極材を提供する。
【解決手段】正極活物質と結晶性チタン酸塩と導電材と結合材とを含んでなり、結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)が0.1〜15質量%の範囲にあり、結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DTI)が3〜40nmの範囲にあることを特徴とする正極材。
前記結晶性チタン酸塩がペロブスカイト構造を有する。前記結晶性チタン酸塩の結晶子径(CTI)が2〜30nmの範囲にある。
【選択図】なし

Description

本発明は、充放電容量、サイクル特性に優れた正極材および該正極材を用いた二次電池に関する。
リチウムイオン電池用正極活物質として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム及びマンガン酸リチウムなどが一部実用化され、高性能化を目指して研究・開発が進められている。
これらのうち、コバルト酸リチウムは原料のコバルトが高価であり、また実効蓄電量が理論量の約50%しかないと言う問題がある。またニッケル酸リチウムは安価で実効蓄電量がコバルト酸リチウムの約1.4倍もあり注目されているが、合成が困難であり、安全性にも問題がある。一方、マンガン酸リチウムは、実効蓄電量がコバルト酸リチウムより若干劣るものの、原料のマンガンが安価なことと、保存性や安全性がコバルト酸リチウムと同等であるので、リチウムイオン電池用正極活物質として期待されている。
これらの正極活物質は微粒子状のものを、グラファイトなどの炭素系導電剤及びバインダーと共に有機溶剤に混合してペースト状合剤とし、これを15〜20μmのアルミ箔に均一な厚さに塗布して使用される。次いで、乾燥後合剤の密度を高くし、かつに電極の厚さを均一にするためにプレス機で圧縮して電池用正極が製造される。この正極が負極、セパレーターなどと共に電池用容器に装填され電池が構成されるが、一定容積の電池中にできるだけ多くの正極材が充填されることが充電容量又は放電容量などの電池性能を向上させる意味で好ましい。このためには、合剤中の正極活物質の量を多くすれば良いが、合剤中に配合し得る正極活物質の量にも制限がある。
そこで、できるだけ緻密な微粒子の正極活物質を用いることで充填密度を高め、単位体積当たりに充填される正極活物質の重量が多くして、放電容量の高い電池を得ることが試みられている。このように、正極活物質としては重量当たりの放電容量と同時に、体積当たりの放電容量(重量当たりの放電容量×正極活物質微粒子の充填密度)の高いことも正極活物質の重要な因子である。
しかしながら、従来正極活物質として用いられているマンガン酸リチウムの微粒子は、同じ粒径のコバルト酸リチウムの微粒子と比較した時の充填密度が小さい。そのため、同一容積の正極活物質を比較した場合、重量当たりの放電容量はコバルト酸リチウムの80%程度が期待できるが、体積当たりの放電容量は50〜60%程度と低くなるという問題点があった。
さらに、従来のマンガン酸リチウムを正極活物質として用いた電池では、充放電を繰り返すうちに次第に放電容量が低下するという、サイクル特性の低下の問題点がある。
これらの問題点を解決するために、マンガン酸リチウムに、例えばBなどの第三成分を添加したリチウム・マンガン複合酸化物が提案されている(特開平4−237970号公報:特許文献1)、特開平5−290846号公報:特許文献2、特開平8−195200号公報:特許文献3)。しかしながら、これらのリチウム・マンガン複合酸化物を正極活物質として用いた電池では、常温より高い温度で使用したときのサイクル特性が低いという問題が依然残されている。
また、特開平11−71115号公報(特許文献4)には、LiおよびMn以外の少なくとも1種の他元素を含有し、有機溶媒中でMn溶出が少ないスピネル構造リチウム・マンガン系酸化物からなる正極活物質が開示されている。特許文献4には、正極活物質の製造方法として、マンガン化合物として平均凝集粒子径が0.5〜50μmの二酸化マンガン粒子を用い、これに他種元素化合物を混合し、造粒した後、500〜1000℃で焼成する方法が開示されている。この時、原料を均一に混合するとともに造粒、焼成を行う方法としてロータリーキルンを使用することが推奨されている。
また本願出願人は特開平11−171551号公報(特許文献5)に、B(ホウ素)またはV(バナジウム)を含む融点が800℃以下の酸化物を含み、結晶粒子の大きさが約0.1〜5.0μmの範囲にあり、焼結して平均粒子径が2〜30μmのリチウム・マンガン複合酸化物粒子およびその製造方法を開示している。製造方法として、具体的には、リチウム化合物、二酸化マンガン粒子、融点が800℃以下の酸化物を所定組成範囲となるように混合した水懸濁液を噴霧乾燥等により乾燥した後、ロータリーキルン等により650〜900℃で焼成している。
さらに、特表2011−519142号公報(特許文献6)には、基本的電池特性を劣化させずに安全性、特に熱安定性、高温耐久性、過充電安全性向上が課題として挙げられ、このため、複数のリチウム金属酸化物の一次粒子が凝集して形成されたリチウム金属酸化物二次粒子をコア部とし、このコア部の表面に複数のチタン酸バリウム粒子および酸化アルミニウム等の金属酸化物粒子をコーティングして形成した第1シェル部と、第1シェル部の表面に複数のオリビン型リン酸鉄リチウム粒子および導電性粒子をコーティングして形成した第2シェル部とを備えるリチウム二次電池用正極活物質を用いることが開示されている。この時、チタン酸バリウム粒子は、電解質の副反応を抑制したり、温度の上昇に伴って抵抗が増加する特性を持つサーミスタであることから、電池が高温環境におかれた場合、あるいは内部短絡によって過電流が発生するなどして電池内部で高熱が発生した場合、電子の流れを遮断し、正極活物質の熱安定性、高温耐久性を改善できることが開示されている。
特開平4−237970号公報 特開平5−290846号公報 特開平8−195200号公報 特開平11−71115号公報 特開平11−171551号公報 特表2011−519142号公報
しかしながら、前記した従来の正極活物質を用いてもなお、さらなる充放電容量、サイクル特性の向上が求められている。
このような状況のもと、本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、正極材に正極活物質ととともに、微細な結晶性チタン酸バリウム塩を配合して用いると、充放電容量、サイクル特性等が向上することを見出して本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下のとおりである。
[1]正極活物質と結晶性チタン酸塩と導電材と結合材とを含んでなり、前記結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)が0.1〜15質量%の範囲にあり、結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DTI)が3〜40nmの範囲にあることを特徴とする正極材。
[2]前記結晶性チタン酸塩がペロブスカイト構造を有することを特徴とする[1]の正極材。
[3]前記結晶性チタン酸塩の結晶子径(CTI)が2〜30nmの範囲にあることを特徴とする[1]または[2]の正極材。
[4]前記結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DTI)と結晶子径(CTI)との比(CTI)/(DTI)が0.1〜1の範囲にある[1]〜[3]の正極材。
[5]前記結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)が0.2〜8質量%の範囲にあることを特徴とする[1]〜[4]の正極材。
[6]前記正極活物質がスピネル型マンガン酸リチウム粒子であり、該スピネル型マンガン酸リチウム粒子の含有量(WLM)が50〜95質量%の範囲にあることを特徴とする[1]の正極材。
[7]前記正極活物質の含有量(WLM)と前記結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)との比(WTI)/(WLM)が、0.001〜0.2の範囲にある[1]〜[6]の正極材。
[8]前記正極活物質の平均粒子径(DLM)が1〜30μmの範囲にある[1]または[6]の正極材。
[9]前記[1]〜[8]の正極材を用いた二次電池。
本発明によれば、二次電池に好適に用いることのできる正極材、該正極材を用いた充放電容量、サイクル特性等に優れた二次電池を提供することができる。
まず、本発明に係る正極材について説明する。
[正極材]
本発明に係る正極材は、正極活物質と結晶性チタン酸塩と導電材と結合材とを含む。
正極活物質
本発明に用いる正極活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム及びマンガン酸リチウム等の公知の正極活物質を用いることができる、本発明では、下記式(1)で表されるスピネル型マンガン酸リチウム粒子が好適に用いることができる。
Li(x+y)Mn(2-y-z)z4・・・・・・・・・・(1)
(但し、x=1.0〜1.2、0<y≦0.2、1<x+y≦1.2、z=0〜0.2、MはNa、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Biから選ばれる1種以上の元素である。)
スピネル型マンガン酸リチウム粒子は充分に成長した結晶粒子からなり、その結晶粒子(一次粒子)の大きさは、約0.1〜5.0μmの範囲にあり、このような結晶粒子が集合して平均粒径が1〜30μmの球状微粒子(二次粒子)を形成している。
平均一次粒子径は約0.1〜5.0μm、さらには0.3〜4.0μmの範囲にあることが好ましい。
平均一次粒子径が小さすぎると、電解液に接する外部表面積が大きくなりすぎ、マンガンなどの金属成分の溶出量が多くなり充分なサイクル特性が得られないことがある。 平均一次粒子径が大きすぎても充分な充放電容量が得られない場合がある。この範囲にあると、金属成分の溶出も少なく、また、充放電容量も大きい。
本発明では、正極活物質(スピネル型マンガン酸リチウム粒子)中の一次粒子の平均粒径は、スピネル型マンガン酸リチウム粒子の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、任意の一次粒子100個について粒子径を測定し、その平均値として求めた。
スピネル型マンガン酸リチウム粒子の平均二次粒子径は1〜30μm、さらには2〜25μmの範囲にあることが好ましい。
なお平均二次粒子径が小さすぎると、正極膜を作製するための電極用合剤の粘度が高くなり、電極膜形成性が低下する場合があり、さらにスピネル型マンガン酸リチウム粒子の体積当たりの放電容量が不充分となる場合がある。平均二次粒子径が大きすぎると、導電剤および電解液との接触が不充分となり、充放電容量が不充分となる場合がある。
スピネル型マンガン酸リチウム粒子の平均二次粒径および粒子径分布は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製:LA−950v2)を用いて測定した。
また、正極活物質(スピネル型マンガン酸リチウム)粒子の比表面積が0.1〜2.0m2/g、さらには0.1〜1.5m2/gの範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、正極活物質粒子と導電剤及び電解液との接触が高く充放電容量の向上できる。
比表面積が少なすぎると、正極活物質として用いたとき、正極活物質粒子と導電剤及び電解液との接触が不十分となり、比表面積が大きすぎても粒子の体積当たりの充放電容量の向上が見られなくなる。
比表面積の測定は、自動表面積測定装置(マウンテック社製:Macsorb HM model-1220)により測定した。
結晶性チタン酸塩
本発明で用いる結晶性チタン酸塩としては、結晶性チタン酸バリウム、結晶性チタン酸カルシウム、結晶性チタン酸マグネシウム、結晶性チタン酸ベリリウム、結晶性チタン酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、2種以上の混合物であってもよく、たとえば、バリウム塩とカルシウム塩の混合物であってもよい。通常、アルカリ土類金属塩が好適である。
結晶性チタン酸塩はペロブスカイト構造を有することが好ましい。ペロブスカイト構造を有していると高い誘電率を持つ強誘電体となる。ペロブスカイト構造のチタン酸塩の構造は低温から高温に向かって菱面体晶-斜方晶-正方晶-立方晶と転移することが知られているが、なかでも正方晶のペロブスカイト構造を有する結晶性チタン酸塩は特に誘電率の高い強誘電体であり、好適に用いることができる。
結晶性チタン酸塩は通常、微細な微粒子状であり、その平均粒子径(DTI)は、3〜40nm、さらには5〜30nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径(DTI)がこの範囲にあると、結晶性が高く、充放電容量が高く、サイクル特性を向上できる。
平均粒子径(DTI)の下限が3nm程度であり、これよりも小さいものは、得ることが困難であり、得られたとしても結晶性が不充分になる場合があり、正極材として用いた場合、充放電容量、サイクル特性の向上効果が不十分となる。結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DTI)が大きすぎても、理由は必ずしも明らかではないが、粒子が大きすぎて正極活物質との共存効果が不十分となり、正極材として用いた場合、充放電容量、サイクル特性の向上効果が不十分となる場合がある。
本発明では、平均粒子径は動的光散乱法(大塚電子製:PAR-3)によって測定することができる。
また、結晶性チタン酸塩の結晶子径(CTI)は2〜30nm、さらには5〜25nmの範囲にあることが好ましい。結晶性チタン酸塩の結晶子径(CTI)が小さいものは、結晶性も低く、誘電率も低いためか、正極活物質と混合して正極材として用いた場合、充放電容量、サイクル特性の向上効果が不十分となる場合がある。結晶子径(CTI)が大きすぎても、結晶性は高くなるものの、同時に平均粒子径(DTI)も大きくなり、正極材として用いた場合、前記したように充放電容量、サイクル特性の向上効果が不十分となる場合がある。
前記結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DTI)と結晶子径(CTI)との比(CTI)/(DTI)が0.1〜1、さらには0.3〜1範囲にあることが好ましい。通常、(CTI)/(DTI)が1を越えることはなく、比が小さいことは結晶性が低いことを示し、誘電率も低く、正極活物質と混合して正極材として用いた場合、充放電容量、サイクル特性の向上効果が不十分となる場合がある。
本発明では、結晶子径(CTI)は、X線回折測定装置で、2θ=31.5度付近の(110)面のピークの半価幅を測定し、下記Scherrer の式により計算して求めることができる。
D=Kλ/βcosθ
D:結晶子径(オングストローム)
K:Scherrer定数
λ:X線波長(1.7889オングストローム Cuランプ)、
β:半価幅(rad)
θ:反射角。
本発明に用いる結晶性チタン酸塩としては、従来公知の結晶性チタン酸塩を用いることができるが、本発明では、粒子径、結晶子径を調整でき、粒子径分布が均一で、このため、正極材に配合して用いた場合に充放電容量、サイクル特性等の向上効果が得られる下記の方法で得られる結晶性チタン酸塩を用いることが好ましい。
このような結晶性チタン酸塩は、
(a)アルカリ土類金属水酸化物をアルキルセロソルブに溶解したのち、
(b)アルカリ土類金属とTiの原子比が1〜1.1の範囲となるようにチタンアルコキシドを混合し、
(c)水を混合して加水分解した後、
(d)温度50〜90℃で熟成する ことで調製される。
本発明に用いるアルカリ土類金属水酸化物としては、ベリリウム水酸化物、マグネシウム水酸化物、カルシウム水酸化物、ストロンチウム水酸化物、バリウム水酸化物が挙げられる。なかでも、カルシウム水酸化物、バリウム水酸化物が常用され、特にバリウム水酸化物は強誘電性に基づく高い誘電率や圧電定数を有する結晶性チタン酸塩が得られ、正極活物質と混合して正極材として用いた場合、充放電容量、サイクル特性に優れた二次電池を得ることができる。また、バリウム水酸化物と他の水酸化物を混合して用いることもできる。例えばバリウム水酸化物とカルシウム水酸化物とを混合して用いると電池化した場合に、キュリー点での急激な誘電率の変化を抑制する特性を有する結晶性チタン酸塩が得られる。このため、正極材に用いると熱安定性、高温耐久性等の向上した二次電池を得ることができる。
アルカリ土類金属水酸化物は水酸基を有している以外は付着水の含有量が少ないことが好ましい。付着水が多いと後述するアルキルセロソルブ溶液中の水分含有量が多くなり、そのまま用いると粒子径の大きな結晶性チタン酸塩が生成する傾向がある。
また、アルカリ土類金属水酸化物は不純物として、Na等のアルカリ金属を含まないことが好ましい。例えばNa等のアルカリ金属が含まれていると、得られる結晶性チタン酸塩を正極材に配合して用いた場合、Na等のアルカリ金属の存在により充放電が阻害され、充放電容量、サイクル特性を低下させる場合がある。
アルキルセロソルブとしては、メチルセロソルブ(2−メトキシエタノール、メチセロ、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルグリコール等ということがある)、エチルセロソルブ、n、Isoプロピルセロソルブ、n、isoブチルセロソルブ等の炭素数4以下の炭化水素基を有するアルキルセロソルブが好ましい。特にメチルセロソルブはアルカリ土類金属水酸化物の溶解性が高く、得られる結晶性チタン酸塩は結晶性が高く、均一な粒子径分布を有し、比較的微粒であることから、二次電池の好適に用いることのできる結晶性チタン酸塩を製造することができる。
また、使用するアルキルセロソルブは、水分の含有量が1質量%以下、さらには0.1質量%以下であることが好ましい。
上記したアルカリ土類金属水酸化物とアルキルセロソルブとを混合して溶解する。
アルカリ土類金属水酸化物とアルキルセロソルブの使用量は、アルカリ土類金属水酸化物の種類、粒子径、アルキルセロソルブの種類等によっても異なるが、得られる溶液中に未溶解のアルカリ土類金属水酸化物が残存しなければ特に制限はないが、得られる溶液中のアルカリ土類金属水酸化物の濃度がアルカリ土類金属酸化物として1〜20質量%、さらには2〜15質量%となるように混合することが好ましい。
混合物は、通常、室温(10〜30℃付近)で撹拌、あるいは超音波照射等することによって溶液となるが、必要に応じて加温下で溶解させることもできる。
アルカリ土類金属水酸化物・アルキルセロソルブ溶液は、アルカリ土類金属水酸化物の水酸基に由来する水分、付着水分あるいはアルキルセロソルブに不純物として含まれる水分を含んでいる。
ついで、アルキルセロソルブ溶液中の水分含有量が2質量%以下、さらには1質量%以下となるように水分を除去する。アルキルセロソルブ溶液中の水分量が多いと得られる結晶性チタン酸塩の平均粒子径が大きくなりすぎたり、粒子径分布が不均一となり、正極活物質と配合して正極材として使用しても、電池性能の向上効果が不十分となる場合がある。
アルキルセロソルブ溶液中の水分を低減する方法としては、前記した水分含有量の少ないアルキルセロソルブを使用する他、溶液を蒸留法、減圧蒸留法等従来公知の方法を採用することができる。また、シリカゲル、ゼオライト等の乾燥剤、特に水を選択的に吸着することのできるゼオライトは好適に採用することができる。
ついで、アルキルセロソルブ溶液に、アルカリ土類金属とTiの原子比が1〜1.1、好ましくは1〜1.05となるようにチタンアルコキシドを混合する。
チタンアルコキシドとしては、下記式(1)で表されるチタンアルコキシドが挙げられる。
Ti(OR)4・・・・・・・(1)
(但し、Rは炭素数1〜4の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
具体的には、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラnプロポキシド、チタンテトラisoプロポキシド、チタンテトラnブトキシド、チタンテトラisoブトキシド等が挙げられる。
チタンアルコキシドの混合量は、アルカリ土類金属(AE)とTiの原子比AE/Tiが前記範囲にあれば、結晶性の高いペロブスカイト構造を有する結晶性チタン酸塩が得られる。
チタンアルコキシド混合後、水を混合して加水分解する。このとき、アルコールと水の混合溶媒を混合することが好ましい。アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、isoまたはnプロピルアルコール、isoまたはnブチルアルコール等の脂肪族アルコール、2−メトキシアルコール等およびこれらの混合物が挙げられる。アルコールの混合量は、アルコール/水の体積比が概ね0.5〜2となる範囲が好ましい。
アルコール/水の体積比が前記範囲にあれば結晶子径(CT1)が2〜30nmの範囲にあり、平均粒子径(DT1)が3〜40nmの範囲にあり、結晶子径(CT1)と平均粒子径(DT1)との比(CT1)/(DT1)が0.1〜1の範囲にあることを特徴とする結晶性チタン酸塩を得ることができる。
これらの混合方法としては特に制限されず、公知のものを採用可能である。
また本願出願人による特開2009−172581号公報に開示した微量反応用装置(マイクロリアクター)は好適に用いることができる。
水の使用量は、前記チタンアルコキシドを完全に加水分解分解できる量であることが好ましい。
具体的にはチタンアルコキシドのモル数(MT)と水のモル数(MH2O)とのモル比(MH2O)/(MT)が4〜25、さらには6〜18の範囲にあることが好ましい。
この範囲にあると、チタンアルコキシドの加水分解が十分に行うことができるので、得られる結晶性チタン酸塩の誘電率が高く、充放電容量、サイクル特性向上効果が高い。
加水分解時の温度は、0〜50℃、さらには10〜40℃の範囲にあることが好ましいが、通常、室温で実施される。
なお、加水分解によって生成した加水分解物(水和物ゲルと言うことがある)は、乾燥・熟成の前に洗浄してもよい。
反応物は、温度50〜120℃、好ましくは60〜100℃で熟成する。
熟成は、撹拌することなく静置して行うことが好ましい。かかる熟成によって、結晶性が高くなり、所定の結晶子径に調整できる。
熟成時間は、前記水和物ゲルの濃度、熟成温度によっても異なるが概ね2〜200時間、さらには5〜100時間の範囲にあることが好ましい。
得られた結晶性チタン酸塩は、乾燥し、焼成される。
これに先立ち、結晶性チタン酸塩粒子を、高分散させても、また溶媒置換してもよい。
高分散させる方法としては、結晶性チタン酸塩粒子の結晶性を低下させることなく高分散できれば特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。 例えば、単に撹拌してもよく、撹拌しながら超音波を照射する等の方法を採用することもできる。
得られた結晶性チタン酸塩には分散媒として水、アルコール、アルキルセロソルブ等が混在している。このような分散媒が混在していると、得られる結晶性チタン酸塩の粒子径分布が不均一になる傾向があり、このような結晶性チタン酸塩を正極活物質と混合して用いると緻密な正極活物質層が形成できない場合があり、二次電池の充放電容量、サイクル特性が不十分となる場合がある。
溶媒としては、エーテル類、ケトン類、エステル類、アルコール類、これらの混合物等有機溶媒が好適に用いられる。なかでもN-メチルピロリドンで溶媒置換した場合は、より緻密な正極活物質層を形成でき、充放電容量、サイクル特性に優れた二次電池を得ることができる。
なお、溶媒置換する前の、または溶媒置換した後の結晶性チタン酸塩分散液を乾燥し、粉末として正極活物質と混合して用いることもできる。
以上の熟成や、高分散、溶媒置換によって、得られる結晶性チタン酸塩は、結晶子径(CT1)が2〜30nm、さらには5〜25nmの範囲に調整される。また、結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DT1)は3〜40nm、さらには5〜30nmの範囲に調整される。
乾燥方法としては、分散媒を除去できれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。加熱処理温度は200〜1000℃、さらには400〜800℃の範囲にあることが好ましい。このような加熱処理ことによって、結晶性、結晶子径、粒子径が大きく、粒子径分布の均一な結晶性チタン酸塩を得ることができる。
導電材
導電材としては、正極材に用いられる従来公知の導電材を用いることができ、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、フラーレン、カーボンウィスカー、カーボンナノ粒子およびナノチューブ、炭素繊維、酸化チタン、酸化ルテニウム、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉またはファイバー等が挙げられる。導電材は一種を単独で使用しても良いし、必要に応じて二種以上を混合して使用してもよい。
結合材
結合材としては、正極材に用いられる従来公知の結合材を用いることができ、例えば、ポリ四フッ化エチレンパウダー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルニトリル、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−プロピレン−ジエン三元重合体、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、ヘキサフルオロプロピレン、カルボキシメチルセルロース、再生セルロース、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、リグニン、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、ヒドロキシプロプルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアルキレンオキサイド、キチン類、キトサン類、デンプン等が挙げられる。結合材は一種を単独で使用しても良いし、必要に応じて二種以上を混合して使用してもよい。
正極材中の結合材の含有量は、固形分として、1〜10質量%、さらには2〜8質量%の範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、形成性に優れ、十分な強度の正極材を得ることができる。
正極材中の導電材の含有量は、固形分として、1〜25質量%、さらには2〜22質量%の範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、充放電容量が高く、サイクル特性に優れた光電気セルを得ることができる。
正極材中の前記正極活物質の含有量(WLM)は固形分として50〜95質量%、さらには55〜92.5質量%の範囲にあることが好ましい。
正極材中の正極活物質の含有量(WLM)が少なすぎると、Liイオンが少なく、充放電容量、サイクル特性が不十分となる。正極活物質の含有量(WLM)が多すぎると、他の成分、すなわち結晶性チタン酸塩、導電材、結合剤の量が少なくなり、結晶性チタン酸塩が少ない場合は前記充放電容量、サイクル特性の向上効果が不十分となり、導電材が少ない場合は充放電電圧が不十分となる場合があり、結合剤が少ない場合は正極活物質層の緻密性、強度等が不十分となる場合がある。
正極材中の結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)は固形分として0.1〜15質量%、さらには0.2〜8質量%の範囲にあることが望ましい。正極材中の結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)が少ない場合充放電容量、サイクル特性の向上効果が充分得られない場合があり、多すぎても、充放電容量、サイクル特性の向上効果が充分得られない場合がある。
前記正極活物質の含有量(WLM)と前記結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)との比(WTI)/(WLM)が0.001〜0.2、さらには0.005〜0.15の範囲にあることが好ましい。前記比(WTI)/(WLM)が前記範囲にない場合は、充放電容量、サイクル特性の向上効果が充分得られない場合がある。
正極材は、正極活物質、結晶性チタン酸塩、結合材および導電材の各粉末を混合し、圧縮成型したり、各粉末の混合物をn-メチルピロリドンなどの有機溶媒に分散させた分散液を正極集電体上に塗布し、乾燥することによって、形成することができる。
つぎに、本発明に係る二次電池について説明する。
[二次電池]
本発明に係る二次電池は、前記正極材を用いたことを特徴としている。
さらに詳しくは、本発明に係る二次電池はリチウムイオン二次電池に関し、電解質層と、正極集電体上に形成された正極活物質層からなる正極材と、電解質層中の積層する負極集電体上に形成された負極活物質層からなる負極材と、該正極材と該負極材とを隔絶するセパレーターとからなるリチウムイオン二次電池であって、該正極材として本発明に係る正極活物質と結晶性チタン酸塩と導電材と結合材とからなる正極材を用いたことを特徴としている。
本発明のリチウムイオン二次電池で用いる負極活物質には、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。たとえば、金属リチウム並びにリチウムまたはリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用いることができる。例えば、金属リチウム、リチウム/アルミニウム合金、リチウム/スズ合金、リチウム/鉛合金および電気化学的にリチウムイオンを挿入・脱離する炭素系材料が例示され、電気化学的にリチウムイオンを挿入・脱離する炭素系材料が安全性および電池の特性の面から特に好適である。また、本発明のリチウム二次電池で用いる電解質としては、特に制限はないが、例えば、カーボネート類、スルホラン類、ラクトン類、エーテル類等の有機溶媒中にリチウム塩を溶解したものや、リチウムイオン導電性の固体電解質を用いることができる。
本発明では、正極材に結晶性チタン酸塩を所定量配合して用いることによって充放電容量が高く、サイクル特性等に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる。
[実施例]
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
スピネル型マンガン酸リチウム(1)の調製
アルミ源としてAl23(関東化学(株)製:純度96.9質量%、平均粒子径=31.6μm)の固形分濃度33.3質量%の分散液を調製し、湿式粉砕機(アシザワファインテック社製:スターミルラボスターLMZ−06)にて、平均粒子径0.20μmとなるまで粉砕してアルミナ粒子分散液を調製した。
また、マンガン源として電解二酸化マンガン粉末(γ−MnO2 、純度60.64%、平均粒子径=28.0μm)の固形分濃度33.3質量%の分散液を調製し、湿式粉砕機(アシザワファインテック社製:スターミルラボスターLMZ−06)にて、平均粒子径0.35μmとなるまで粉砕して電解二酸化マンガン分散液を調製した。
ついで、リチウム源としてLiOH・H2O(関東化学(株)製:純度98.8質量%)、前記で調製したアルミナ粒子分散液、電解二酸化マンガン分散液およびホウ素源としてH3BO3(和光純薬(株)製:純度99.9質量%)を、それぞれの原料を、Li1.07Al0.1Mn1.820.014となるよう混合した後、これに水を加えて固形分濃度33.3質量%の噴霧乾燥用混合物分散液を調製した。
ついで、噴霧乾燥用混合物分散液をノズル型スプレードライヤー(大川原化工機社製:L−8型スプレードライヤー)を用いて噴霧乾燥を行った。ここで乾燥ガスとして空気を用いた。また、サイクロン差圧が0.7〜0.8kPaとなるよう調整し、乾燥ガスの入口温度は220℃に調整した。噴霧乾燥用混合物分散液の流量は3kg/hr、微粒化エアー圧力は0.1MPaとした。
そして、噴霧乾燥により得られた粒子を750℃で10時間空気中にて焼成してスピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)を得た。
スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)は立方晶のスピネル構造を有していた。
また、得られたスピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)について、比表面積を測定したところ、0.88m2/gであった。また、平均一次粒子径は0.7μm、平均二次粒子径は10.9μmであった。
結晶性チタン酸塩(1)の調製
水酸化バリウム8水和物(和光純薬工業(株))50gと2-メトキシエタノール(メチルセロソルブ)315gとをビーカーに入れ、超音波を照射しながら30℃で20分間溶解操作をした。ついで、平板濾過器で濾過し、少量の未溶解水酸化バリウムを除去して、水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-1)を調製した。この時、水分含有量が6.2 質量%であった。
ついで、溶液を1Lナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレーター用い、温度70℃、減圧度0.015MPaで1時間、水分除去操作を行って水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-2)を調製した。
水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-2)のBa濃度は6.4質量%、水分含有量は0.5質量%であった。
ついで、窒素ガス雰囲気下、グローブボックス中にて、水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-2)170gに、Ba/Ti原子比が1となるようにテトライソプロポキシチタン(マツモトファインケミカル(株)製:オルガチックスTA−10)24.6gを混合した。
ついで、Tiのモル数(MT)と水のモル数(MH2O)とのモル比(MH2O)/(MT)が16となるように水24.9ml、メタノール24.9mlの混合液を、撹拌下、25℃、2時間で添加してテトライソプロポキシチタンの加水分解を行った。
ついで、生成した水和物ゲルを80℃に昇温し、撹拌することなく、48時間熟成し、結晶性チタン酸塩(1)分散液を得た。
得られた結晶性チタン酸塩(1)分散液にn-メチルピロリドン(NMP)を添加しロータリーエバポレーターにて溶媒置換を行い固形分濃度20質量%の結晶性チタン酸塩(1) NMP分散液を得た。得られた結晶性チタン酸塩(1)分散液を300℃で2時間乾燥して粉末化し、X線回折により結晶形と結晶子径(1)を測定し、平均粒子径(1)を測定し、結果を表に示す。
リチウムイオン二次電池(1)の作製:
スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)と、導電材としてのアセチレンブラック、結晶性チタン酸塩(1)およびバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンを、75:18:2:5の重量比で混合し、NMPを溶媒に用いて正極材用塗布液を調製した。この塗布液をアルミニウム箔に印刷し、乾燥させた後、14mmφに型抜きした後、グローブボックス内で真空乾燥して試験用正極(1)を作製した。
正極(1)と金属リチウム箔(厚さ0.2mm)を、セパレーター(ガラスフィルター)を介してコイン型電池ケースに積層し、体積比1:1のエチレンカーボネートとジメチルカーボネート混合溶媒に1mol/lのLiPF6を溶解した電解液を注入してリチウムイオン二次電池(1)を作製した。
リチウムイオン二次電池(1)について、以下の方法で放電容量および高温サイクル特性を評価した。
放電容量
定電流で0.5mA/cm2の電流密度、充電電位4.3Vまで、放電電位3.0Vまでの電位規制の条件で、まず重量当たりの放電容量を測定し、結果を表に示す。
高温サイクル特性
試験用電池を55℃の恒温槽に設置し、上記と同一の条件で100回の充放電試験を行い、高温サイクル特性を次式の容量維持率で評価し、結果を表に示す。
容量維持率(%)=(1回目の重量当たり放電容量/100回目の重量当たり放電容量)×100
[実施例2]
リチウムイオン二次電池(2)の作製:
実施例1において、スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)と、アセチレンブラック、結晶性チタン酸塩(1)およびポリフッ化ビニリデンを、75:13:7:5の重量比で混合した以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(2)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[実施例3]
リチウムイオン二次電池(3)の作製:
実施例1において、スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)と、アセチレンブラック、結晶性チタン酸塩(1)およびポリフッ化ビニリデンを、75:19.5:0.5:5の重量比で混合した以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(3)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[実施例4]
結晶性チタン酸塩(2)の調製
実施例1において、ロータリーエバポレーター用い、温度70℃、減圧度0.015MPaで5時間、水分除去操作を行って水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(2-1)を調製した。この時、水分含有量が0.2質量%であった。
水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(2-1)のBaO濃度は7.0質量%、水分含有量は0.2質量%であった。
以下、実施例1と同様にして結晶性チタン酸塩(2)分散液を調製し、ついで、実施例1と同様にして結晶性チタン酸塩(2)の結晶形と結晶子径、平均粒子径を測定し、結果を表に示す。
リチウムイオン二次電池(4)の作製:
実施例1において、結晶性チタン酸塩(1)の代わりに結晶性チタン酸塩(2)を用いた以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(4)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[実施例5]
結晶性チタン酸塩(3)の調製
実施例1において、水和物ゲルを85℃に昇温し、撹拌することなく、48時間熟成した以外は同様にして結晶性チタン酸塩(3)分散液を調製した。
結晶性チタン酸塩(3)の結晶形と結晶子径、平均粒子径を測定し、結果を表に示す。
リチウムイオン二次電池(5)の作製:
実施例1において、結晶性チタン酸塩(1)の代わりに結晶性チタン酸塩(3)を用いた以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(5)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[実施例6]
結晶性チタン酸塩(4)の調製
実施例1と同様にして調製した結晶性チタン酸塩(1)分散液を200℃で2時間乾燥し、ついで800℃で3時間加熱処理して結晶性チタン酸塩(4)を得た。結晶性チタン酸塩(4)を固形分濃度4質量%となるようにn-メチルピロリドン(NMP)に分散させ、ナノマイザーにより塊砕処理をして結晶性チタン酸塩(4) n-メチルピロリドン(NMP)分散液を調製した。
結晶性チタン酸塩(4)の結晶形と結晶子径、平均粒子径を測定し、結果を表に示す。
リチウムイオン二次電池(6)の作製:
実施例1において、結晶性チタン酸塩(1)の代わりに結晶性チタン酸塩(4)を用いた以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(6)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[実施例7]
スピネル型マンガン酸リチウム(2)の調製
実施例1において、アルミナ源およびホウ素源を使用することなく、リチウム源としてLiOH・H2O(関東化学(株)製:純度98.8質量%)、電解二酸化マンガン分散液を、それぞれの原料を、Li1Mn24となるよう混合した後、これに水を加えて固形分濃度33.3質量%の噴霧乾燥用混合物分散液を調製した。
以下、実施例1と同様に噴霧乾燥、加熱処理してスピネル型マンガン酸リチウム粒子(2)を得た。
スピネル型マンガン酸リチウム粒子(2)は立方晶のスピネル構造を有していた。
また、得られたスピネル型マンガン酸リチウム粒子(2)について、比表面積を測定したところ、0.86m2/gであった。また、平均一次粒子径は0.8μm、平均二次粒子径は11.0μmであった。
リチウムイオン二次電池(7)の作製:
実施例1において、スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)の代わりにスピネル型マンガン酸リチウム粒子(2)を用いた以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(7)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[実施例8]
リチウムイオン二次電池(2)の作製:
実施例1において、スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)と、アセチレンブラック、結晶性チタン酸塩(1)およびポリフッ化ビニリデンを、90:4:2:4の重量比で混合した以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(2)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[比較例1]
リチウムイオン二次電池(R1)の作製:
実施例1において、結晶性チタン酸塩(1)を使用することなく、スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)と、アセチレンブラック、およびポリフッ化ビニリデンを、75:20:5の重量比で混合した以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(R1)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
[比較例2]
実施例1において、スピネル型マンガン酸リチウム粒子(1)と、アセチレンブラック、結晶性チタン酸塩(1)およびポリフッ化ビニリデンを、75:2.5:20:2.5の重量比で混合した以外は同様にして、リチウムイオン二次電池(3)を作製し、放電容量、高温サイクル特性を評価し、結果を表に示す。
Figure 2014007129

Claims (9)

  1. 正極活物質と結晶性チタン酸塩と導電材と結合材とを含んでなり、結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)が0.1〜15質量%の範囲にあり、結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DTI)が3〜40nmの範囲にあることを特徴とする正極材。
  2. 前記結晶性チタン酸塩がペロブスカイト構造を有することを特徴とする請求項1に記載の正極材。
  3. 前記結晶性チタン酸塩の結晶子径(CTI)が2〜30nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の正極材。
  4. 前記結晶性チタン酸塩の平均粒子径(DTI)と結晶子径(CTI)との比(CTI)/(DTI)が0.1〜1の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の正極材。
  5. 前記結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)が0.2〜8質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の正極材。
  6. 前記正極活物質がスピネル型マンガン酸リチウム粒子であり、該スピネル型マンガン酸リチウム粒子の含有量(WLM)が50〜95質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の正極材。
  7. 前記正極活物質の含有量(WLM)と前記結晶性チタン酸塩の含有量(WTI)との比(WTI)/(WLM)が0.001〜0.2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の正極材。
  8. 前記正極活物質の平均粒子径(DLM)が1〜30μmの範囲にあることを特徴とする請求項1または6に記載の正極材。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の正極材を用いた二次電池。
JP2012144094A 2012-06-27 2012-06-27 二次電池用正極材および該正極材を用いた二次電池 Active JP6008610B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012144094A JP6008610B2 (ja) 2012-06-27 2012-06-27 二次電池用正極材および該正極材を用いた二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012144094A JP6008610B2 (ja) 2012-06-27 2012-06-27 二次電池用正極材および該正極材を用いた二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014007129A true JP2014007129A (ja) 2014-01-16
JP6008610B2 JP6008610B2 (ja) 2016-10-19

Family

ID=50104656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012144094A Active JP6008610B2 (ja) 2012-06-27 2012-06-27 二次電池用正極材および該正極材を用いた二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6008610B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016119180A (ja) * 2014-12-19 2016-06-30 株式会社豊田中央研究所 非水系リチウム二次電池
KR20170067081A (ko) * 2015-12-07 2017-06-15 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 양극 첨가제 및 이를 포함하는 이차전지
US20180254477A1 (en) * 2017-03-06 2018-09-06 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method of manufacturing positive electrode material for lithium ion secondary battery and positive electrode material for lithium ion secondary battery

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011519142A (ja) * 2008-11-10 2011-06-30 デジョン イーエム カンパニー リミテッド リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、これを含むリチウム二次電池の正極、及びリチウム二次電池
JP2011526732A (ja) * 2009-08-28 2011-10-13 デジョン イーエム カンパニー リミテッド リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、リチウム二次電池の正極、及びリチウム二次電池

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011519142A (ja) * 2008-11-10 2011-06-30 デジョン イーエム カンパニー リミテッド リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、これを含むリチウム二次電池の正極、及びリチウム二次電池
JP2011526732A (ja) * 2009-08-28 2011-10-13 デジョン イーエム カンパニー リミテッド リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、リチウム二次電池の正極、及びリチウム二次電池

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016119180A (ja) * 2014-12-19 2016-06-30 株式会社豊田中央研究所 非水系リチウム二次電池
KR20170067081A (ko) * 2015-12-07 2017-06-15 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 양극 첨가제 및 이를 포함하는 이차전지
US20180254477A1 (en) * 2017-03-06 2018-09-06 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method of manufacturing positive electrode material for lithium ion secondary battery and positive electrode material for lithium ion secondary battery
CN108539139A (zh) * 2017-03-06 2018-09-14 丰田自动车株式会社 锂离子二次电池用正极材料及其制造方法
CN108539139B (zh) * 2017-03-06 2021-07-16 丰田自动车株式会社 锂离子二次电池用正极材料及其制造方法
US11139470B2 (en) * 2017-03-06 2021-10-05 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method of manufacturing positive electrode material for lithium ion secondary battery and positive electrode material for lithium ion secondary battery
US11171331B2 (en) 2017-03-06 2021-11-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method of manufacturing positive electrode material for lithium ion secondary battery and positive electrode material for lithium ion secondary battery

Also Published As

Publication number Publication date
JP6008610B2 (ja) 2016-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6107832B2 (ja) Li−Ni複合酸化物粒子粉末及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池
JP5450284B2 (ja) チタン酸リチウム粒子およびその製造方法、リチウムイオン電池用負極、ならびにリチウム電池
JP6112118B2 (ja) Li−Ni複合酸化物粒子粉末並びに非水電解質二次電池
JP5803539B2 (ja) リチウム含有複合酸化物粉末の製造方法
JP6003157B2 (ja) 正極活物質粒子粉末及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池
WO2005112152A1 (ja) リチウム二次電池正極用のリチウム含有複合酸化物の製造方法
JP5980472B2 (ja) 二酸化チタン、二酸化チタンの製造方法、リチウムイオン電池、及びリチウムイオン電池用電極
KR20180043403A (ko) 정극 활성 물질 전구체 입자 분말 및 정극 활성 물질 입자 분말, 및 비수전해질 이차 전지
JP5701863B2 (ja) 新規チタン酸リチウム及びその製造方法、並びに該チタン酸リチウムを含む電極活物質、該電極活物質を用いてなる蓄電デバイス
JP5724269B2 (ja) 複合酸化物の製造方法
WO2006085588A1 (ja) リチウム二次電池正極用のリチウム含有複合酸化物の製造方法
JP2012030989A (ja) 二酸化チタン、二酸化チタンの製造方法、二酸化チタンを用いたリチウムイオン電池用電極、及びリチウムイオン電池
JP5674055B2 (ja) 複合酸化物の製造方法、二次電池用正極活物質および二次電池
JP5671969B2 (ja) リチウムチタン化合物粒子及びその製造方法、非水電解液二次電池用電極材、ならびに非水電解液二次電池
JP2001122628A (ja) リチウムマンガン複合酸化物粒子状組成物とその製造方法及び二次電池
JP7343265B2 (ja) 非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体、非水系電解質二次電池用正極活物質、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法、及び非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
JP6008610B2 (ja) 二次電池用正極材および該正極材を用いた二次電池
CN111954947A (zh) 非水电解质二次电池用正极活性物质颗粒及其制造方法、以及非水电解质二次电池
JP5076258B2 (ja) 元素置換リチウムマンガン複合酸化物粒子状組成物とその製造方法とその二次電池への利用
JP6098670B2 (ja) 二酸化チタンの製造方法
JP5387631B2 (ja) 元素置換リチウムマンガン複合酸化物粒子状組成物とその製造方法とその二次電池への利用
JP6013435B2 (ja) 電極活物質及びその製造方法、並びに該電極活物質を用いてなる蓄電デバイス
JP5632794B2 (ja) チタン酸リチウム及びその製造方法、並びに該チタン酸リチウムを含む電極活物質、該電極活物質を用いてなる蓄電デバイス
WO2022249937A1 (ja) 非水電解液二次電池
WO2012124243A1 (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにこれを用いた非水電解質二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160913

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6008610

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250