JP2014004774A - レーザー加工用インクジェット用紙、インクジェット印刷物およびその加工物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙の両面あるいは片面にカチオン性物質と水溶性高分子とスチレン−アクリル系共重合体を含有し、顔料を含有しない表面処理剤が塗布されているインクジェット用紙において、前記インクジェット用紙から蒸留水を用いて抽出された抽出液のアニオン要求量が5μeq/L 以上、30μeq/L以下である。
【選択図】なし
Description
また、商業印刷等の分野においては、デジタル情報を製版することなく紙などのメディアに直接印刷できるため少部数の印刷や可変情報印刷(バリアブル印刷)に最適であるインクジェット記録方式や電子写真記録方式が、オンデマンド印刷分野で導入されている。
なかでも、インクジェット方式は記録時の騒音が少なく、カラー化が容易であること、高速記録が可能であること等の理由から近年、急速に発展をとげている。
また、インクジェット方式によるオンデマンド印刷前後の切断加工、穴あけ加工を行う手段として、金属製の型刃による加工が行われているが、近年、レーザーカッターによるレーザー光を用いた加工方式が、型刃を作成することなく、自由な形状に加工できる事等の理由から、検討が進められている。
こうした問題を解決するために、サイズ度の低い用紙を用いる(例えば、特許文献1参照)ことや、適度なサイズ性を有し、炭酸カルシウム等の填料を含有した電子写真とインクジェット記録共用紙(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、上記の提案にある記録媒体は、水性インクによる記録が行われるため、媒体上に形成された記録画像に水などが付着した場合、耐水性に劣り、再溶出により記録画像が損なわれるという欠点を有している。
(2)前記表面処理剤のカチオン性物質が、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物である事を特徴とする(1)項記載のレーザー加工用インクジェット用紙。
(3)前記表面処理剤のカチオン性物質が、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物である事を特徴とする(1)項記載のレーザー加工用インクジェット用紙。
(4)前記表面処理剤の水溶性高分子が、ポリビニルアルコールあるいは、デンプンである事を特徴とする(1)〜(3)項記載のレーザー用インクジェット用紙。
(5)前記表面処理剤総質量部100部に対し、カチオン性物質を2〜20質量部含有する事を特徴とする(1)〜(4)項記載のレーザー加工用インクジェット用紙。
(6)(1)〜(5)項記載のレーザー加工用インクジェット用紙にインクプリンターを用いて印刷したインクジェット印刷物。
(7)(1)〜(5)項に記載のレーザー加工用インクジェット用紙または、(6)項に記載のインクジェット印刷物に波長が532以上、11000nm以下のレーザー光を照射して得られる加工物。
(8)前記レーザー光として、炭酸ガスレーザーを使用することを特徴とする(7)項記載の加工物。
(9)前記レーザー光として、YAGレーザーを使用することを特徴とする(7)項記載の加工物。
本発明で使用される表面処理剤(「表面サイズプレス処理剤」ともいう)は、カチオン性物質と水溶性高分子とスチレン-アクリル系共重合体を含有する。
本発明で用いるインクジェット用紙の原紙としては、原料パルプとして化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP等)等の木材パルプを単独または任意の比率で混合して使用される。また、ホワイトカーボン、クレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの製紙用填料が抄紙時に添加される。また、必要に応じて、内添サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、歩留り向上剤、耐水化剤、紫外線吸収剤等の公知公用の抄紙用薬品が適宜添加され、公知公用の抄紙機にて抄紙される。原紙の抄造条件についても、特に限定はない。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。
本発明のインクジェット用紙に使用する原紙は、特に限定されるものではないが、一般的には、坪量が50〜200g/m2程度の範囲にある原紙が、目的に応じて適宜選択して使用される。
表面サイズプレス処理剤を紙原紙へ塗布するための装置としては、特に限定されるものではないが、例えば2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーターなどのロールコーター、トレーリング、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエル等のベベルタイプやベントタイプのブレードコーターロッドブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、グラビアコーターなどの公知公用の装置が適宜使用される。なお、表面処理剤組成物を塗布後の湿潤塗被層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる。
本発明のインクジェット用紙は、特に限定されるものではないが、任意のレーザー加工方法により断裁、穴あけ加工を行うことができる。
また、本発明のインクジェット用紙は、任意のインクジェット用インクを用いて印刷を行うことができる。
本発明のインクジェット用紙の印刷に使用できるインクジェット用インクとしては、特に限定されるものではないが、例えば水性染料インク、水性顔料インク、油性染料インク、油性顔料インク、溶剤型インク、UV硬化型インクが挙げられる。特に水性染料インクと水性顔料インクが安価である為、好ましい。
ユーカリ、オーク材を原料としてECF漂白されたLBKP100%を380mlCSFに叩解し、填料として軽質炭酸カルシウムを10.0%、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸(ナショナルスターチ社製、ファイブラン81)を0.07%、歩留向上剤(協和産業社製、パーコール182)を0.02%で長網多筒型抄紙機によって抄紙し、坪量81.4g/m2の原紙を作成した。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)3部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)96部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物(センカ製、ユニセンスFPA1000L)12部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)87部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)18部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)81部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で0.8g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で3.0g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)7部、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA117)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物(センカ製、ユニセンスFPA1000L)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で3.0g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン共重合物(センカ社、ユニセンスKHP10L)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC社、SE2220)1部の混合塗布液を両面で3.0g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)1部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)98部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)23部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)76部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)99部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で0.1g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)92部、スチレン-アクリル系共重合体(星光PMC製、SE2220)1部の混合塗布液を両面で6.0g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
上記原紙上に、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物(星光PMC製、DK6854)7部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)93部の混合塗布液を両面で1.5g/m2となるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥しインクジェット記録シートを得た。
を行った。得られた結果を表1に示す。
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をKodakVersamark製高速インクジェット プリンティングシステムで染料インクを用い、「UCC/EAN128コード」を印刷した後、インクジェット印刷されたEAN128バーコードについて、バーコード検証機「Inspector D4000」(RJS社製)を用いてバーコードを10回走査させ評価した。
〈評価基準〉
5:バーコードリーダーの10回の走査の内、10回読み取れる。
4:バーコードリーダーの10回の走査の内、9回読み取れる。
3:バーコードリーダーの10回の走査の内、6以上9回未満読み取れる。
2:バーコードに対して複数の走査線を通過させると読み取れるレベル。
1:読み取ることが出来ないレベル。
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をKodakVersamark製高速インクジェット プリンティングシステムで染料インクを用い、黒色のブロックパターンを印刷した後、インクジェット 印刷後のシートを水道水中に30秒間浸積した後、自然乾燥した。その後、印刷画像の滲みの程度を目視で評価した。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙を大日本スクリーン製高速インクジェット プリンティングシステムを用い、黒色のブロックパターンを印刷した後、インクジェット 印刷を行った部位について、インクの転写汚れについて、目視判定を行った。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙を大日本スクリーン製高速インクジェット プリンティングシステムを用い、黒色のブロックパターンを印刷した後、インクジェット 印刷を行った部位について、画像の均一性について、目視判定を行った。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙を、パルス周波数20kHz、レーザー出力61〜110W、波長10600nmの炭酸ガスレーザーと、スポット径210μm、加工速度600〜3000mm/秒のスキャナヘッド光学系とを用いて、丸孔、ミシン目形状を断裁加工した後、加工部の変色の程度を目視で評価した。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をテスト紙片として5cm×20cmに断裁し、水温23℃の200mlの蒸留水に1分間浸漬した後にテスト紙片を取り除いた抽出液をミューテック社の粒子荷電計PCD−03にてポリエチレン硫酸ナトリウムを用いて測定した。
Claims (9)
- 原紙の両面あるいは片面にカチオン性物質と水溶性高分子とスチレン−アクリル系共重合体を含有し、顔料を含有しない表面処理剤が塗布されているインクジェット用紙において、前記インクジェット用紙から蒸留水を用いて抽出された抽出液のアニオン要求量が5μeq/L 以上、30μeq/L以下であることを特徴とするレーザー加工用インクジェット用紙。
- 前記表面処理剤のカチオン性物質が、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物である事を特徴とする請求項1に記載のレーザー加工用インクジェット用紙。
- 前記表面処理剤のカチオン性物質が、アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物である事を特徴とする請求項1に記載のレーザー加工用インクジェット用紙。
- 前記表面処理剤の水溶性高分子が、ポリビニルアルコールあるいは、デンプンである事を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー用インクジェット用紙。
- 前記表面処理剤総質量部100部に対し、カチオン性物質を2〜20質量部含有する事を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー加工用インクジェット用紙。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー加工用インクジェット用紙にインクジェットプリンターにて印刷したインクジェット印刷物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー加工用インクジェット用紙または、請求項6に記載のインクジェット印刷物に波長が532以上、11000nm以下のレーザー光を照射して得られる加工物。
- 前記レーザー光として、炭酸ガスレーザーを使用することを特徴とする請求項7に記載の加工物。
- 前記レーザー光として、YAGレーザーを使用することを特徴とする請求項7に記載の加工物。
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