JP2014003286A - 圧粉磁心、圧粉磁心の製造方法、及び、圧粉磁心の渦電流損失の推定方法 - Google Patents

圧粉磁心、圧粉磁心の製造方法、及び、圧粉磁心の渦電流損失の推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧粉磁心の渦電流損失が十分小さくなるように、軟磁性金属粉末の粒径を適切な
範囲に設定する。
【解決手段】下記の式で表される軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSを210μm以下に設定することにより、周波数3000Hzでの渦電流損失を150W/kg未満とする。ただし、dSは軟磁性金属粉末の単一粒径相当径[m]、dMNは軟磁性金属粉末の個数平均粒径[m]、σは軟磁性金属粉末の粒径の標準偏差[m]である。
Figure 2014003286

【選択図】なし

Description

本発明は、圧粉磁心、圧粉磁心の製造方法、及び、圧粉磁心の渦電流損失の推定方法に関する。
周知のように、電気製品や機械製品等に組み込んで使用される電源回路には、変圧器、昇圧器、整流器等が組み込まれる。変圧器等は、磁心と巻き線とを主要部として構成される各種コイル部品(チョークコイル、パワーインダクタ、リアクトル等)を有する。そして、近年の省エネ意識の高まりによる電気製品や機械製品に対する低消費電力化の要請に対応するためにも、電源回路内で数多く使用される磁心の磁気特性を向上することが求められている。また、近年、地球温暖化問題に対する意識の高まりから、化石燃料消費量を抑制し得るハイブリッド自動車(HEV)や、直接的な化石燃料消費のない電気自動車(EV)の需要が高まる傾向にある。これらHEVやEVの走行性能等はモータの性能によって左右されることから、各種モータに組み込まれる磁心(ステータコアやロータコア)についても、その磁気特性を向上することが求められている。
従前、磁心としては、表面を絶縁被膜で被覆してなる鋼板(電磁鋼板)を、接着剤層を介して積層させたいわゆる積層磁心が広く使用されていた。しかし、このような積層磁心は形状自由度が低く、小型化や複雑形状化の要請に対応することが困難である。そこで、表面が絶縁被膜で被覆された軟磁性金属粉末(保磁力が小さく透磁率が大きい金属粉末であって、一般には、鉄を主成分とした金属粉末)を圧縮成形することにより得られる、いわゆる圧粉磁心が開発され、種々の製品に実装されるに至っている。
ところで、磁心の磁気特性を高めるための有効な手段の一つに、磁心のエネルギー損失(鉄損)を小さくすることが挙げられる。鉄損は、渦電流損失とヒステリシス損失とに大別され、渦電流損失は圧粉磁心のエネルギー損失に大きな影響を与える。渦電流損失We[W/m3]は、以下の数1で表される理論式に従うことが知られている。
Figure 2014003286
ρ:軟磁性金属粉末の抵抗率[Ω・m]
D:密度[g/cm3
m:励磁磁束密度[T]
f:周波数[Hz]
d:鋼鈑厚さまたは粉末粒径[m]
α:形状による係数
このように、渦電流損失は、鋼鈑厚さまたは粉末粒径dの2乗に比例するため、積層磁心の場合は鋼鈑厚さを薄くするほど、圧粉磁心の場合は軟磁性金属粉末の粒径を小さくするほど、渦電流損失を小さくすることができる。しかし、鋼鈑厚さが薄すぎると、積層磁心の加工が困難となり生産性が低下する。また、軟磁性金属粉末の粒径が小さすぎると、圧縮成形により粒子が塑性変形しにくくなるため、生産性の低下を招く。
このような事情から、積層磁心における鋼鈑の厚さや圧粉磁心における粉末の粒径は、渦電流損失を十分に小さくすることができ、且つ、加工性や成形性に問題が生じない範囲に設定される。例えば特許文献1に示されている圧粉磁心は、粒径が20〜100μmの範囲に設定されている。
特許第4436172号公報
積層磁心の場合は、鋼鈑の厚さdがほぼ一定であるため、上記数1の理論式により渦電流損失Weを推定することが可能である。従って、渦電流損失が所定値以下となるように、鋼鈑の厚さを設定すればよい。一方、圧粉磁心の場合は、軟磁性金属粉末が単一粒径ではなく概正規分布状の粒度分布を有するため、上記数1の理論式におけるdの値を特定することが困難であり、渦電流損失を推定することが難しい。このため、現状では、軟磁性金属粉末を経験的に分級することで粒径をおおよその範囲内に設定している。しかし、この場合、粒径が必要以上に小さくなる傾向があり、圧粉磁心の成形性が低下し、生産性の低下を招く恐れがある。
上記のような事情に鑑み、本発明は、圧粉磁心の渦電流損失が十分小さくなるように、軟磁性金属粉末の粒径を適切な範囲に設定することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明に係る圧粉磁心は、表面を絶縁被膜で被覆された軟磁性金属粉末からなるものであって、下記の数2で表される軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSを210μm以下に設定することにより、周波数3000Hzでの推定渦電流損失を150W/kg未満としたものである。
Figure 2014003286
S:軟磁性金属粉末の単一粒径相当径[m]
MN:軟磁性金属粉末の個数平均粒径[m]
σ:軟磁性金属粉末の粒径の標準偏差[m]
また、上記目的を達成するためになされた本発明に係る圧粉磁心の製造方法は、上記の数2で表される軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSを210μm以下に設定することにより、周波数3000Hzでの渦電流損失を150W/kg未満とするものである。
さらに、上記目的を達成するためになされた本発明に係る圧粉磁心の渦電流損失の推定方法は、上記の数2で表される軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSに基づいて、下記の数3で表される渦電流損失Weを推定するものである。
Figure 2014003286
e:渦電流損失[W/kg]
ρ:軟磁性金属粉末の抵抗率[Ω・m]
D:密度[g/cm3
m:励磁磁束密度[T]
f:周波数[Hz]
α:形状による係数
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、軟磁性金属粉末の粒径を、上記の数2で表される単一粒径相当径dSとして評価すれば、この単一粒径相当径dSに基づいて算出した渦電流損失の計算値Weと、渦電流損失の実測値We’とが極めて高い相関関係を有することを見出した(図6参照)。その結果、単一粒径相当径dSから渦電流損失を推定することが可能となるため、渦電流損失が所定値以下となるように単一粒径相当径dSを設定することが可能となる。具体的には、軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSを210μm以下に設定することで、渦電流損失を周波数3000Hz程度で150W/kg未満にできることが明らかとなった。
軟磁性金属粉末として、水アトマイズ純鉄粉末を使用すれば、圧環強度や耐欠け性に特に優れた圧粉磁心を得ることができる。
軟磁性金属粉末を圧縮成形した後、焼鈍処理を施して圧粉体の加工歪を除去すれば、磁気特性に特に優れた圧粉磁心を得ることができる。
以上に示すように、本発明によれば、軟磁性金属粉末の粒径を単一粒径相当径dSで評価することにより、圧粉磁心の渦電流損失を推定することが可能となるため、圧粉磁心の渦電流損失が十分に小さくなるように、軟磁性金属粉末の粒径の範囲を設定することができる。
(a)図は粉末生成工程を模式的に示す図、(b)図は粉末生成工程を経て得られる磁心用粉末の概略断面図である。 (a)図および(b)図は圧縮成形工程の要部を模式的に示す図、(c)図は圧縮成形工程を経て得られる圧粉体の一部を模式的に示す図である。 加熱工程を経て得られる圧粉磁心の一部を模式的に示す図である。 圧粉磁心の一例であるステータコアの平面図である。 確認試験で用いた各リング状試験体の作製条件を示す図である。 渦電流損失の計算値と実測値との相関を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る圧粉磁心の製造方法は、主に、図1(b)に示す磁心用粉末1を生成するための粉末生成工程と、図2(c)に示す磁心用粉末1の圧粉体4を得るための圧縮成形工程と、圧粉体4に加熱処理を施す加熱工程とを含む。以下、各工程について図面を参照しながら詳述する。
図1(a)に、図1(b)に示す磁心用粉末1を生成するための粉末生成工程の一部を模式的に示す。この粉末生成工程では、絶縁被膜3となる化合物を含む溶液11で満たされた容器10中に軟磁性金属粉末2を浸漬した後、溶液11の液体成分を除去する。これにより、軟磁性金属粉末2およびその表面を被覆する絶縁被膜3からなる磁心用粉末1を得る。絶縁被膜3の膜厚は、これが厚くなるほど高密度の圧粉体4を得ることが難しくなることに加え、圧粉磁心5(図3参照)の透磁率が低下する。一方、絶縁被膜3の膜厚は、これが薄いほど圧粉磁心5の磁気特性(透磁率)を高めることができる。そのため、絶縁被膜3の膜厚は10nm以上1000nm以下とするのが好ましく、10nm以上200nm以下とするのが一層好ましく、10nm以上100nm以下とするのがより一層好ましい。
使用可能な軟磁性金属粉末2に特段の限定はなく、純鉄(Fe)粉末、ケイ素合金(Fe−Si)粉末、センダスト(Fe−Al−Si)粉末、パーメンジュール(Fe−Co)粉末等、公知の軟磁性金属粉末の中から要求特性等に応じて適宜選択使用される。但し、軟磁性金属粉末2としてケイ素合金粉末あるいはセンダスト粉末を使用した場合、飽和磁束密度が十分に大きな圧粉磁心を得ることが難しく、圧粉磁心のコンパクト化や高出力化が求められる用途には不向きとなる可能性が高い。また、軟磁性金属粉末2としてパーメンジュール粉末を使用した場合、高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心を得られるが、この粉末は、相対的に高価であることに加え、弾性率が高く塑性変形性が低いために高密度の圧粉磁心を得るのが難しい。これに対し、軟磁性金属粉末2として純鉄粉末を使用した場合、比較的高密度でかつ高飽和磁束密度の圧粉磁心を、容易にかつ比較的低コストに得ることができる。従って、ここでは、軟磁性金属粉末2として純鉄粉末を使用する。
純鉄粉末としては、還元法により製造される還元純鉄粉末、アトマイズ法により製造されるアトマイズ純鉄粉末、あるいは電解法により製造される電解純鉄粉末の何れもが使用可能である。但しこれらの中でも、相対的に高純度で磁気特性に優れ、また弾性率が低く(塑性変形性に優れ)高密度の圧粉体(圧粉磁心)を成形し易いアトマイズ純鉄粉末が好ましく使用される。なお、アトマイズ純鉄粉末は、水アトマイズ法により製造される水アトマイズ純鉄粉末と、ガスアトマイズ法により製造されるガスアトマイズ純鉄粉末とに大別される。水アトマイズ純鉄粉末は、ガスアトマイズ純鉄粉末よりも塑性変形性に優れる。ガスアトマイズ純鉄粉末も高純度ではあるが、球状であるために相互密着性が低く、圧粉磁心の耐欠け性を高めることが難しい。以上の検討から、軟磁性金属粉末2としてアトマイズ純鉄粉末を使用する場合、特に水アトマイズ純鉄粉末を選択使用するのが最も好ましい。なお、微粒子グレードとしてカルボニル鉄粉もあるが、粒径が小さく圧粉体に割れ、欠けなどの不具合が発生しやすい。
軟磁性金属粉末2の粒径が小さすぎる場合、例えば上記の数2で表される単一粒径相当径dSが13μmの場合、後述する圧縮成形工程において粉末が塑性変形しにくくなり圧粉体の内部に気孔が残りやすくなるため、高密度の圧粉体を得難くなることに加え、圧粉体に割れ、欠けが生じてしまう恐れがある。単一粒径相当径が28μmの場合は、成形体に割れ、欠けは認められなかったため、成形性確保のためには20μm程度は必要である。一方、使用する軟磁性金属粉末2の粒径が大きすぎると、圧粉磁心の渦電流損失が大きくなる。従って、軟磁性金属粉末2の粒径は、所定の範囲に設定する必要がある。このとき、軟磁性金属粉末2の粒径を単一粒径相当径dSで評価することで、上記の数3を用いて渦電流損失Weを適切に推定することが可能となる。こうして推定した渦電流損失Weが所定値以下となるように、単一粒径相当径dSの範囲が設定される。本実施形態では、渦電流損失を150W/kg未満となるように、軟磁性金属粉末2の単一粒径相当径dSが210μm以下に設定される。更に、単一粒径相当径が100μm以下の場合、粒径がより小さいために渦電流損失を30W/kg未満に抑制することが可能である。以上より、本実施形態では、軟磁性金属粉末2の単一粒径相当径dSが20〜210μmの範囲内、好ましくは30〜100μmの範囲内に設定される。
具体的には、軟磁性金属粉末2を分級して粒度分布を適切な個数平均粒径dMN及び標準偏差σに揃え、これにより軟磁性金属粉末2の単一粒径相当径dSを上記の範囲に設定する。この分級は、軟磁性金属粉末に絶縁被膜を被覆する前に行ってもよいし後に行ってもよい。軟磁性金属粉末の粒径に比べて、絶縁被膜の厚さは十分に薄いからである。なお、単一粒径相当径dSを算出するために必要な個数平均粒径dMNおよび標準偏差σは、例えばレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置によって測定することができる。
個数平均粒径dMNは、軟磁性金属粉末の集団の中に、小さい方から順にd1、d2、・・・di、・・・dkの粒径(等体積球相当径、以下同じ)を有する粒子が、それぞれn1、n2、・・・ni、・・・nk個あるとした場合、下記の数4で表される。
Figure 2014003286
標準偏差σは、以下の2通りの何れかの方法で求めることができる。まず、上記の軟磁性金属粉末の集団の平均粒径をdave.とした場合、下記の数5で表される。
Figure 2014003286
あるいは、粒径の個数分布から累積カーブを求め、この累積カーブから標準偏差σを算出することもできる。例えば、累積カーブが16%となる点の粒径d16%及び84%となる点の粒径d84%を読み取り、以下の数6により求めることができる。
Figure 2014003286
なお、上記した数値範囲内の粒径の軟磁性金属粉末2を使用するに当たっては、分級して得られた金属粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)にて外観撮影し、実際の粒径を測定するようにした。また、成形体(圧粉体4)に対しては、イオンビームで断面を一定方向に少量ずつ削りながら、削った面を都度走査型電子顕微鏡にて撮影し、各断面の写真を画像処理することで3次元像を構築し、成形体に含まれる粉末の粒径を測定するようにした。
絶縁被膜は、後述する加熱工程において、圧粉体を軟磁性金属粉末の再結晶化温度以上融点以下で加熱したときに、液化することなく固相状態で相互に接合するような化合物で形成される。具体的には、融点が700℃よりも高く1600℃よりも低い化合物で形成される。このような条件を満足する化合物のうち、特に好ましいものとしては、酸化鉄(Fe23)、珪酸ナトリウム(Na2SiO3)、硫酸カリウム(K2SO4)、ホウ酸ナトリウム(Na247)、炭酸カリウム(K2CO3)、リン酸ホウ素(BPO4)および硫化鉄(FeS2)を挙げることができる。但し、この他にも、酸化珪素や酸化タングステンなどのその他の酸化物、珪酸アルミニウム,珪酸カリウム,珪酸カルシウムなどのその他の珪酸塩、ホウ酸リチウム,ホウ酸マグネシウム,ホウ酸カルシウムなどのその他のホウ酸塩、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸アルミニウム,炭酸カルシウム,炭酸バリウムなどのその他の炭酸塩、またはリン酸カリウムに代表されるその他のリン酸塩を用いて絶縁被膜を形成することもできる。
次に、図2(a)(b)に模式的に示す圧縮成形工程では、同軸配置されたダイ12およびパンチ13を有する成形金型を用いて、図2(c)に模式的に示すような圧粉体4を圧縮成形する。本実施形態においては、固体潤滑剤を適量含み、残部を磁心用粉末1とした混合粉末1'を用いて圧粉体4を圧縮成形する。このように、固体潤滑剤を含む混合粉末1'を用いれば、圧粉体4の成形時に、磁心用粉末1同士の摩擦を低減することができる。従って、高密度の圧粉体4を得易くなることに加え、磁心用粉末1同士の摩擦による絶縁被膜3の損傷・剥離等も可及的に防止することができる。なお、使用可能な固体潤滑剤に特段の限定はなく、例えば、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムなどの金属セッケン、ステアリン酸アミドやエチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、黒鉛、二硫化モリブデンなどを使用することができる。固体潤滑剤は、一種のみ使用しても良いし、複数種混合して使用しても良い。
但し、原料粉末1'に占める固体潤滑剤の配合量があまりに少ない場合、具体的には、原料粉末1'の総量を100vol%としたときに、固体潤滑剤の配合量が1.0vol%を下回る場合、固体潤滑剤を混合することにより奏される上記のメリットを有効に享受することができなくなる。また、固体潤滑剤の配合量が多過ぎる場合、具体的には、固体潤滑剤の配合量が10vol%を上回る場合、原料粉末1'中の固体潤滑剤の占有量が過大となり、高密度の圧粉体5ひいては圧粉磁心6を得ることが難しくなる。従って、固体潤滑剤を含む原料粉末1'を使用して圧粉体5を圧縮成形する場合には、固体潤滑剤を1.0〜10vol%、好ましくは1〜3vol%含み、残部を磁心用粉末1とした原料粉末1'を使用するのが望ましい。
以上の構成において、図2(a)(b)に示すように、成形金型のキャビティに混合粉末1'を充填した後、パンチ13をダイ12に対して相対的に接近移動させて圧粉体4を圧縮成形する。成形圧力は、磁心用粉末(軟磁性金属粉末および絶縁被膜)が塑性変形し、隣接する磁心用粉末同士の接触面積を増大させ得るような圧力、例えば690MPa以上とする。本実施形態では、上記のように、軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSが30μm以上に設定されているため、圧縮成形時の圧迫力により粒子を十分に塑性変形させて密度を高めることができる。これにより、図2(c)に模式的に示すように、磁心用粉末1同士が強固に密着した高密度の圧粉体4が得られる。特に、成形圧力を980MPa以上とすれば、より高密度の圧粉体4が得られる。
上記の圧縮成形工程を経て得られた圧粉体4は加熱工程に移送される。この加熱工程では、大気雰囲気下、不活性ガス(例えば窒素ガス)雰囲気下、あるいは真空下におかれた圧粉体4を、軟磁性金属粉末2の再結晶温度以上融点以下で加熱する。これにより、上記の圧縮成形工程で圧粉体4(金属粉末2)に蓄積した加工歪み(残留応力)が除去される。本実施形態では、金属粉末2として純鉄粉末を使用しており、純鉄の加工歪みは650℃以上の加熱処理を所定時間実行することによって完全に除去し得る。尚、絶縁被膜がリン酸系無機被膜で形成される場合は、絶縁被膜の破損を防止するために、焼鈍条件を530℃×10minとすることが好ましい。そして、このような加熱温度で加熱処理を実行すれば、圧粉体4(金属粉末2)に蓄積した加工歪みが除去されるのと同時に、金属粉末2の表面を被覆した絶縁被膜3が、液化することなく固相状態で相互に接合してなる高密度の圧粉磁心5(図3参照)が得られる。なお、絶縁被膜3同士の固相接合状態は、固相焼結または脱水縮合反応により得られ、絶縁被膜3が固相焼結により相互に接合するか、あるいは脱水縮合により相互に接合するかは、絶縁被膜3の形成に用いた化合物の種類に応じて変わる。
以上のようにして得られた圧粉磁心6は、軟磁性金属粉末2の単一粒径相当径dSを30〜210μmの範囲内に設定することで、周波数3000Hzでの渦電流損失Weを150W/kg未満とすることができる。これにより、磁気特性を高められるため、自動車や鉄道車両や輸送機用モータの他、チョークコイル、パワーインダクタまたはリアクトル等の電源回路用部品の磁心として好ましく使用することができる。具体例を挙げると、本発明に係る圧粉磁心6は、図4に示すようなステータコア20として使用することができる。同図に示すステータコア20は、例えば各種モータの静止側を構成するベース部材に組み付けて使用されるものであり、ベース部材に対する取り付け面を有する円筒部21と、円筒部21から径方向外側に放射状に延びた複数の突出部22とを有し、突出部22の外周にはコイル(図示せず)が巻回される。圧粉磁心6は形状自由度が高いことから、図4に示すような複雑形状のステータコア20であっても、容易に量産することができる。
以上、本発明の実施形態に係る磁心用粉末1およびこれを用いて成形した圧粉磁心6について説明を行ったが、これらには本発明の要旨を逸脱しない範囲で適当な変更を施すことが可能である。
例えば、圧粉体5の圧縮成形時には、金型潤滑を施しても良い。このようにすれば、成形金型の内壁面と原料粉末1'(磁心用粉末1)との間の摩擦力が軽減されるので、圧粉体5を一層高密度化し易くなる。金型潤滑は、例えばステアリン酸亜鉛等の滑剤を成形金型の内壁面に塗布することにより、あるいは潤滑性被膜を成形金型の内壁面に表面処理して被覆することにより行うことができる。
本発明の有用性を実証するため、本発明の構成を有するリング状試験片(実施例1〜11)と、本発明の構成を有さないリング状試験片(比較例1,2)とについて、それぞれ、(1)鉄損、(2)渦電流損失、(3)密度、(4)圧環強度、および(5)ラトラ値を測定・算出するための確認試験を実施した。その試験結果に基づいて、上記(1)〜(5)の各項目についてそれぞれ5段階あるいは7段階評価した。そして、(1)鉄損、及び(2)渦電流損失の評価点の合計値にて各リング状試験片の磁気特性を評価し、(3)密度、(4)圧環強度、及び(5)ラトラ値の評価点の合計値にて各リング状試験片の機械物性を評価した。以下、まず、上記(1)〜(5)の評価項目の確認試験方法および評価点の詳細について述べる。
(1)鉄損
交流B−H測定器(岩通計測株式会社製B−Hアナライザー SY−8218)にて、励磁磁束密度1[T]で周波数3000Hzでの鉄損[W/kg]を測定した。測定値に応じて以下の評価点を付与することとした。
7点:330W/kg未満
6点:330W/kg以上360W/kg未満
5点:360W/kg以上390W/kg未満
4点:390W/kg以上420W/kg未満
3点:420W/kg以上450W/kg未満
2点:450W/kg以上480W/kg未満
1点:480W/kg以上
(2)渦電流損失
交流B−H測定器(岩通計測株式会社製B−Hアナライザー SY−8218)にて、励磁磁束密度1[T]で周波数3000Hzでの鉄損[W/kg]を測定し、測定値から最小二乗法にて渦電流損失を求めた。求めた渦電流損失の値に応じて以下の評価点を付与することとした。
7点:30W/kg未満
6点:30W/kg以上60W/kg未満
5点:60W/kg以上90W/kg未満
4点:90W/kg以上120W/kg未満
3点:120W/kg以上150W/kg未満
2点:150W/kg以上180W/kg未満
1点:180W/kg以上
(3)密度
リング状試験片の寸法および重量を測定し、その測定結果から密度を算出した。算出値に応じて以下の評価点を付与することとした。また、リング状試験片に割れ、欠けなどの不具合が生じたものは「成形不可」とした。
5点:7.5g/cm3以上
4点:7.4g/cm3以上7.5g/cm3未満
3点:7.3g/cm3以上7.4g/cm3未満
2点:7.2g/cm3以上7.3g/cm3未満
1点:7.2g/cm3未満
(4)圧環強度
株式会社島津製作所社製の精密万能オートグラフAG−XPlusを用いてリング状試験片の外周面に縮径方向の圧縮力(圧縮速度1.3mm/min)を加え、リング状試験片が破壊されたときの圧縮力を破壊断面積で除した値を圧環強度[MPa]とした。算出値に応じて以下の評価点を付与することとした。
5点:100MPa以上
4点:80MPa以上100MPa未満
3点:60MPa以上80MPa未満
2点:40MPa以上60MPa未満
1点:40MPa未満
(5)ラトラ値(重量減少率)
日本粉末冶金工業会規格JPMA P11−1992に規定の「金属圧粉体のラトラ値測定方法」に準拠。具体的には、ラトラ測定器の回転籠に投入したリング状試験片を1000回回転させた後、リング状試験片の重量減少率[%]を算出し、耐欠け性の指標であるラトラ値とした。算出値に応じて以下の評価点を付与することとした。
5点:0.08%未満
4点:0.08%以上0.11%未満
3点:0.11%以上0.14%未満
2点:0.14%以上0.17%未満
1点:0.17%以上
次に、実施例1〜11に係るリング状試験片の作製方法について述べる。
[実施例1]
絶縁被膜を被覆した純鉄粉に固体潤滑剤を約3.0vol%配合したヘガネス社製Somaloy700 3P(“Somaloy”は登録商標)を分級し、個数平均粒径135μm、標準偏差55μmの被膜付き純鉄粉を得た。この粉末をプレス金型に充填し、980MPaの成形圧で成形し、外径20.1mm、内径12.9mm、軸方向寸法7mmのリング状圧粉体を得た。最後に、このリング状圧粉体を窒素雰囲気中で530℃×10minにて加熱処理(焼鈍)することにより、実施例1としてのリング状試験片を得た。なお、純鉄粉の個数平均粒径および標準偏差は、日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置MT−3000を用いて測定した。
[実施例2]
ヘガネス社製Somaloy700 3Pを分級し、個数平均粒径180μm、標準偏差40μmの被膜付き純鉄粉を得た。この粉末を、実施例1と同様の条件で成形、焼鈍して、実施例2としてのリング状試験片を得た。
[実施例3]
ヘガネス社製Somaloy700 3Pを分級し、個数平均粒径100μm、標準偏差50μmの被膜付き純鉄粉を得た。この粉末を、実施例1と同様の条件で成形、焼鈍して、実施例3としてのリング状試験片を得た。
[実施例4]
ヘガネス社製Somaloy700 3Pを分級し、個数平均粒径125μm、標準偏差40μmの被膜付き純鉄粉を得た。この粉末を、実施例1と同様の条件で成形、焼鈍して、実施例4としてのリング状試験片を得た。
[実施例5]
純水を溶媒として和光純薬社製リン酸2水素ナトリウムを0.2mol/L溶解させた水溶液を作成し、この水溶液に神戸製鋼社製水アトマイズ純鉄粉300NH(個数平均粒径40μm、標準偏差35μm)を浸漬させて、リン酸鉄被膜を被覆させた。この粉末に、固体潤滑剤として日油社製ステアリン酸アミド3.0vol%混合し、この混合粉末を用いて実施例1と同様の条件で成形、焼鈍することにより、実施例5としてのリング状試験片を得た。
[実施例6]
実施例5と同様の方法で作成したリン酸鉄被膜付き純鉄粉を分級し、個数平均粒径60μm、標準偏差25μmとした。この粉末を、実施例5と同様の方法に、固体潤滑剤を混合した後、成形、焼鈍することにより、実施例6としてのリング状試験片を得た。
[実施例7]
実施例5と同様の方法で作成したリン酸鉄被膜付き純鉄粉を分級し、個数平均粒径20μm、標準偏差8μmとした。この粉末を、実施例5と同様の方法に、固体潤滑剤を混合した後、成形、焼鈍することにより、実施例7としてのリング状試験片を得た。
[実施例8]
ヘガネス社製Somaloy700 3Pを分級し、個数平均粒径180μm、標準偏差40μmの被膜付き純鉄粉を得た。この粉末を、実施例1と同様の条件で成形して、実施例8としてのリング状試験片を得た。焼鈍は行わなかった。
[実施例9]
電解法にて製作された和光純薬社製純鉄粉を分級し、個数平均粒径170μm、標準偏差40μmの純鉄粉を得た。その後、純水を溶媒として和光純薬社製リン酸2水素ナトリウムを0.2mol/L溶解させた水溶液を作成し、この水溶液に上記の純鉄粉を浸漬させることで、リン酸鉄被膜を被覆させた。この粉末に、固体潤滑剤として日油社製ステアリン酸アミド3.0vol%混合し、この混合粉末を用いて実施例1と同様の条件で成形、焼鈍することにより、実施例9としてのリング状試験片を得た。
[実施例10]
ヘガネス社製Somaloy700 3Pを分級し、個数平均粒径180μm、標準偏差40μmの被膜付き純鉄粉を得た。この粉末をプレス金型に充填し、690MPaの成形圧で成形し、実施例1と同形状のリング状圧粉体を得た。その後、実施例1と同様の条件で焼鈍することにより、実施例10としてのリング状試験片を得た。
[実施例11]
ヘガネス社製Somaloy700 3Pを分級し、個数平均粒径180μm、標準偏差40μmの被膜付き純鉄粉を得た。この粉末に、固体潤滑剤として日油社製ステアリン酸アミド6.0vol%を混合し、元々Somaloy700 3Pに含まれる固体潤滑剤と合わせて、固体潤滑剤の合計量を9.0vol%とした。この混合粉末を、実施例1と同様の条件で成形、焼鈍することにより、実施例11としてのリング状試験片を得た。
[実施例12]
純水を溶媒として和光純薬社製リン酸2水素ナトリウムを0.2mol/L溶解させた水溶液を作成し、この水溶液に神戸製鋼社製水アトマイズ純鉄粉300NH(個数平均粒径40μm、標準偏差35μm)を浸漬させて、リン酸鉄被膜を被覆させた。この粉末を、実施例1と同様の条件で成形した。このとき、成形金型のうち、圧粉体を成形する成形面に、日油社製ステアリン酸亜鉛(粒径0.8μm)を塗布した。その後、実施例1と同様の条件で焼鈍することにより、実施例12としてのリング状試験片を得た。
最後に、比較例1及び2に係るリング状試験片の作製方法について述べる。
[比較例1]
ヘガネス社製Somaloy700 3Pを分給することなく金型に充填し、実施例1と同様の条件で成形、焼鈍することにより、比較例1としてのリング状試験片を得た。
[比較例2]
純水を溶媒として和光純薬社製リン酸2水素ナトリウムを0.2mol/L溶解させた水溶液を作成し、この水溶液にBASF社製カルボニル鉄粉CS(個数平均粒径5μm、標準偏差5μm)を浸漬させて、リン酸鉄被膜を被覆させた。この粉末に、固体潤滑剤として日油社製ステアリン酸アミド3.0vol%混合し、この混合粉末を用いて実施例1と同様の条件で成形、焼鈍することにより、比較例2としてのリング状試験片を得ようと試みた。
上記の実施例1〜12および比較例1に係るリング状試験片それぞれについての(1)鉄損、(2)渦電流損失、(3)密度、(4)圧環強度、および(5)ラトラ値の評価点、評価項目(1)および(2)の合計値(磁気特性合計点)、並びに評価項目(3)〜(5)の合計値(機械物性合計点)を図5に示す。図5からも明らかなように、単一粒径相当径が210μm以下である実施例1〜12は、何れも、渦電流損失の評価点が3点以上であり、中でも、単一粒径相当径が100μm以下と非常に小さい実施例5及び6は、渦電流損失および鉄損の評価点が非常に高い(7点)。これに対し、比較例1は、単一粒径相当径が210μmを超えており、渦電流損失が150W/kg以上(評価点2点)となっている。また、比較例2は、単一粒径相当径が20μmを下回っており、圧粉体に割れ、欠けが発生したため、成形不可とした。以上より、実施例1〜12のように、単一粒径相当径を20〜210μmの範囲内とすることで、周波数3000Hzにおける渦電流損失を150W/kg未満の圧粉磁心が得られることが明らかとなった。
この他、実施例2は、焼鈍処理によって加工歪を除去したことにより、焼鈍を行っていない実施例8よりも磁気特性が優れている。従って、圧粉磁心には焼鈍処理を施すことが好ましい。
また、水アトマイズ粉を使用した実施例1は、電解粉を使用した実施例9と比べて、密度は同等であるものの、磁気特性及び機械特性の何れも優れている。従って、純鉄粉としては水アトマイズ粉を使用することが好ましい。
また、成形圧を980MPaとした実施例2は、成形圧を680MPaとした実施例10よりも、密度、圧環強度、及びラトラ値の何れにおいても優れている。このことから、成形圧は高い方が望ましい。
また、固体潤滑剤を3.0vol%含む実施例2は、固体潤滑剤を9.0vol%含む実施例11と比べて、高密度であり、機械物性が優れている。これは、固体潤滑剤の配合割合が増えると、その分、純鉄粉(軟磁性金属粉末)の配合割合が減じられるためである。このことから、固体潤滑剤の配合割合はなるべく少ないことが望ましく、例えば5.0vol%以下、好ましくは3.0vol%以下とすることが望ましい。
また、固体潤滑剤を配合した実施例5は、固体潤滑剤を配合しない代わりに、金型に潤滑剤を塗布して成形した実施例12と、同等の磁気特性及び機械物性を示した。
以上の確認試験結果から、本発明に係る磁心用粉末は、磁気特性や各種強度に優れた圧粉磁心を得る上で極めて有益であることが実証される。
図6に、実施例1〜4及び比較例1のリング状試験片を用いて、励磁磁束密度を1Tとしたときの任意の周波数における渦電流損失の実測値We’と、上記数3の式に当てはめて求めた渦電流損失の計算値Weとの相関を示す。その結果、渦電流損失の実測値We’と計算値Weとは、寄与率0.993という高い相関があることが確認され、上記の数3の信頼性が確認できた。このことから、上記の数3を用いれば、圧粉磁心材の単一粒径相当径dSから渦電流損失Weを推定することが可能であり、逆に、渦電流損失Weの低減に必要な圧粉磁心材の単一粒径相当径dS、ひいては個数平均粒径及び標準偏差を推定することが可能となる。
1 磁心用粉末
1’ 混合粉末
2 軟磁性金属粉末
3 絶縁被膜
4 珪酸塩層
5 圧粉体
6 圧粉磁心
20 ステータコア

Claims (6)

  1. 表面を絶縁被膜で被覆された軟磁性金属粉末からなる圧粉磁心であって、
    下記の数1で表される前記軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSを210μm以下に設定することにより、周波数3000Hzでの渦電流損失を150W/kg未満とした圧粉磁心。
    Figure 2014003286
    S:軟磁性金属粉末の単一粒径相当径[m]
    MN:軟磁性金属粉末の個数平均粒径[m]
    σ:軟磁性金属粉末の粒径の標準偏差[m]
  2. 前記軟磁性金属粉末が、水アトマイズ純鉄粉末である請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 表面を絶縁被膜で被覆された軟磁性金属粉末からなる圧粉磁心を製造するための方法であって、
    下記の数2で表される前記軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSを210μm以下に設定することにより、渦電流損失Weを150W/kg未満とする圧粉磁心の製造方法。
    Figure 2014003286
    S:軟磁性金属粉末の単一粒径相当径[m]
    MN:軟磁性金属粉末の個数平均粒径[m]
    σ:軟磁性金属粉末の粒径の標準偏差[m]
  4. 前記軟磁性金属粉末が、水アトマイズ純鉄粉末である請求項3に記載の圧粉磁心の製造方法。
  5. 前記軟磁性金属粉末を圧縮成形した後、焼鈍処理を施す請求項3又は4に記載の圧粉磁心の製造方法。
  6. 表面を絶縁被膜で被覆された軟磁性金属粉末からなる圧粉磁心の渦電流損失の推定方法であって、
    下記の数3で表される前記軟磁性金属粉末の単一粒径相当径dSに基づいて、下記の数4で表される渦電流損失Weを推定する圧粉磁心の渦電流損失の推定方法。
    Figure 2014003286
    S:軟磁性金属粉末の単一粒径相当径[m]
    MN:軟磁性金属粉末の個数平均粒径[m]
    σ:軟磁性金属粉末の粒径の標準偏差[m]
    Figure 2014003286
    e:渦電流損失[W/kg]
    ρ:軟磁性金属粉末の抵抗率[Ω・m]
    D:密度[g/cm3
    m:励磁磁束密度[T]
    f:周波数[Hz]
    α:形状による係数
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