JP2014001371A - 重合体、前記重合体を用いた核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤、化合物、前記重合体を用いた核磁気共鳴分析方法および磁気共鳴イメージング方法 - Google Patents

重合体、前記重合体を用いた核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤、化合物、前記重合体を用いた核磁気共鳴分析方法および磁気共鳴イメージング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】核磁気共鳴分析方法または磁気共鳴イメージング方法用の造影剤として用いられる物質において、高い選択性かつ、高感度を有する物質が求められていた。
【解決手段】側鎖に安定同位元素である13Cと15Nで標識した構造である1H-13C-15N、1H-15N -13Cまたは1H-13C-13C結合という配列を有する重合体によれば、1分子内におけるこれらの配列の存在比率を高めることができ、造影剤として用いたときに高選択性かつさらなる高感度化を実現することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は重合体、前記重合体を用いた核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤、化合物、前記重合体を用いた核磁気共鳴分析方法および磁気共鳴イメージング方法に関する。
核磁気共鳴 (NMR;Nuclear Magnetic Resonance)の原理に基づいたイメージング手法である磁気共鳴イメージング (Magnetic Resonance Imaging、以下MRIと略すことがある)は低侵襲であり、かつ空間分解能が高く、形態を調べるのに優れていることから、広く医療現場で利用されている。一般的なMRIでは、生体内に存在する約60%の水や脂質のバックグラウンドノイズの問題から、スペクトロスコピーより、緩和時間の差異によるイメージングが汎用されている。
一般的な1H NMR は、1Hにパルスを照射し、そのNMRシグナルを検出する。一方、多重共鳴NMR法は、隣接するNMR活性な核への1HのNMRシグナルの磁化コヒーレンス移動を利用してNMRシグナルを検出する手法であり、特定の化学結合、例えば、1H-13C配列や1H-13C-15N配列や1H-13C-13C配列を選択的に検出することが可能である。ここで、13C、15Nはそれぞれ12C、14Nの安定同位元素である。
1H-13C配列を選択的に検出する場合は、1Hの磁化を13Cに移動させた後、再び1Hに磁化を戻すことでこの配列を検出することができる。さらに、1H-13C-15N配列を選択的に検出する場合は、1Hの磁化を13Cに移動させた後、さらに15Nへと移動させ、再び13C、1Hという順に磁化を戻すことでこの配列を検出することができる。この手法の大きな特徴は、これらの配列の天然存在比率が低いことである。例えば1H-13C-15Nならば0.0040%(13C、15Nの天然存在比はそれぞれ1.1%、0.37%)とごくわずかであり、従来の磁気共鳴イメージングで問題となっていたバックグラウンドノイズが大幅に抑制される。したがって、1H-13C-15Nのような配列を有する化合物は、核磁気共鳴分析または、磁気共鳴イメージング用の造影剤として選択性および感度が高いものであった。
ここで、特許文献1には、13Cおよび15Nで標識されたコリンの塩化物を担癌マウスに尾静脈投与してから1時間後、取り出した肝臓・腎臓・癌をすり潰し、遠心分離で不純物を除去した上澄み液を1H-{13C-15N}三重共鳴NMR分析すると、3.0ppmのコリンのメチル基由来の1Hシグナルを検出できることが開示されている。
特開2009−79046号公報
特許文献1に開示された13Cおよび15Nで標識されたコリン塩化物は、1分子中に1H-13C-15Nという配列を9個有するが、1分子中の1H-13C-15N 配列、1H-15N-13C 配列または1H-13C-13C 配列の個数をさらに増やせば、造影剤中のこれらの配列の存在比率を高めることができ、より高い選択性、かつ、より高い感度での核磁気共鳴分析および磁気共鳴イメージングが可能となる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、核磁気共鳴分析方法または磁気共鳴イメージング方法において、高い選択性かつ、高感度を有する新規な重合体およびその重合体を有する核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤を提供することを目的とする。
本発明に係る重合体は、下記式(x1)乃至(x3)から選択される1または複数の繰り返し単位を主鎖に含む重合度が2以上5000以下の重合体であって、前記繰り返し単位の側鎖は下記式(y1)乃至(y3)から選択される構造を有することを特徴とする。
Figure 2014001371
Figure 2014001371
(上記式(x1)乃至(x3)においてR乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基である。Rは置換または無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基であり、Rが2以上の炭化水素基である場合、どの炭素が前記側鎖と結合してもよく、
上記式(x1)乃至(x3) において*は側鎖に直接、またはリンカーを介して結合し、
上記式(y1)乃至(y3)において*は主鎖に直接、またはリンカーを介して結合し、上記式(y1)乃至(y3)においてZは任意の1価の原子または1価の原子団であり、
上記式(y3)においてRは直接結合または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、
乃至Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である)
また、本発明に係る化合物は、下記式(j1)乃至(j12)のいずれかで示されることを特徴とする。
Figure 2014001371
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上記式(j1)乃至(j12)においてa、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい。
また、本発明に係る核磁気共鳴分析方法は、検体中の重合体を検出する工程を含み、
前記重合体を用意する工程;
前記検体に前記重合体を付与する工程;
前記重合体を付与された検体に電磁波を付与する工程;を含み、
前記重合体の1H-13C-15N結合、1H-15N-13C結合または1H-13C-13C結合における各核の間での磁化移動(コヒーレンス移動)を利用して、前記重合体を検出することを特徴とする。
また本発明に係る磁気共鳴イメージング方法は、検体中の重合体の存在位置を検出する工程を含み、
前記重合体を用意する工程;
前記検体に前記重合体を付与する工程;
前記重合体を付与された検体に電磁波を付与する工程;を含み、
前記重合体の1H-13C-15N結合、1H-15N-13C結合または1H-13C-13C結合における各核の間での磁化移動(コヒーレンス移動)を利用して、前記重合体の存在位置を検出することを特徴とする。
本発明に係る重合体によれば、側鎖に安定同位元素である13Cと15Nで標識した構造である1H-13C-15N、1H-15N-13C または1H-13C-13C という配列を多数有するため、1分子中のこれらの配列の存在比率を高めることができ、高選択性かつさらなる高感度化を実現することができる。
実施例における、式(m6)の1H NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 MPC(式(j1)の中のa = 2, b =2)の1H NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 MPC(式(j1)の中のa = 2, b =2)の13C NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 MPC(式(j1)の中のa = 2, b =2)の15N NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 MPC(式(j1)の中のa = 2, b =2)の31P NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 PMPC p2-3(式(p2)の中のn = 40, Mn(GPC) = 12000)の1H NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 PMPC p2-3(式(p2)の中のn = 40, Mn(GPC) = 12000)の13C NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 PMPC p2-3(式(p2)の中のn = 40, Mn(GPC) = 12000)の15N NMRスペクトルを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化 PMPC p2-1(式(p2)の中のn = 23, Mn(GPC) = 6800)のGPCチャートを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化PMPC p 2-2(式(p2)の中のn = 16, Mn(GPC) = 5000)のGPCチャートを示した図である。 実施例における、13C/15N ラベル化PMPC p2-3(式(p2)の中のn = 40, Mn(GPC) = 12000)のGPCチャートを示した図である。 実施例における、1H-{13C-15N}三重共鳴NMRのパルスシーケンスを示した図である。 混雑系における 13C/15N ラベル化 PMPC p2-3の1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMRの測定結果を示す図である。 高分子化(安定同位元素集積化)のシグナル感度に及ぼす効果を示すための図である。 scFv を固定化した13C/15N ラベル化 PMPC p4 の 1H-{13C-15N} 三重共鳴NMRの測定結果を示す図である。
本発明に係る造影剤は、重合体を有し、重合体の側鎖に核磁気共鳴の原理によって検出可能な1H-13C-15N配列、1H-15N-13C配列および1H-13C-13C配列から選択される1または複数種の配列を有するものである。これらの配列の検出は同様の原理からなり、1H-13C-15N配列の場合は、1Hの磁化を13Cに移動させ、13Cの磁化を15Nに移動させ、15Nの磁化を13Cに戻し、13Cの磁化を1Hに戻すことでこの配列を検出できる。同様に、1H-15N-13C配列の場合は、1Hの磁化を15Nに移動させ、15Nの磁化を13Cに移動させ、13Cの磁化を15Nに戻し、15Nの磁化を1Hに戻すことでこの配列を検出できる。1H-13C-13Cについても同様である。このような構造を有する重合体を含む造影剤は、核磁気共鳴の原理によって検出可能な配列を側鎖に数多く含有されることにより、より高い選択性、かつ、より高い感度での核磁気共鳴分析および磁気共鳴イメージングを実現することができる。なお、上記配列は側鎖1単位あたりに複数個含ませることが好ましい。
また、これらの配列に用いられる15Nや13Cは安定同位元素であるため、従来の放射性同位元素を用いた標識化合物にくらべて、被爆のおそれや取扱時間の制約は無い。
以下、本発明の実施形態について説明するが本発明はこれらに限られない。
(重合体)
本実施形態に係る重合体は、側鎖が下記式(y1)乃至(y3)から選択される構造を有する。
Figure 2014001371
上記式(y1)乃至(y3)において*は主鎖に直接、またはリンカーを介して結合する。上記式(y1)乃至(y3)においてZは任意の1価の原子または1価の原子団である。
上記式(y3)においてRは直接結合または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基である。Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である。
上記のように本実施形態に係る重合体は、側鎖が下記式(y1)乃至(y3)の少なくともいずれか1つの構造、すなわち1H-13C-15N、1H-15N-13C、または1H-13C-13C という配列を有するため、核磁気共鳴分析方法や磁気共鳴イメージング方法において、選択性の高い造影剤として用いることができる。さらに、これらの配列を多数有するため、核磁気共鳴分析方法や磁気共鳴イメージング方法において、高感度な造影剤として用いることができる。なお、重合体は、これらの配列のうちいずれか1種類以上を含めていればよく、少なくとも1H-13C-15N配列を有していることが好ましい。
また、本実施形態に係る重合体は、前記リンカーおよび側鎖が下記の式(y5)乃至(y7)から選択されることが好ましい。
Figure 2014001371
Figure 2014001371
Figure 2014001371
上記式(y5)乃至(y7)において*は主鎖に結合する。
上記式(y5)乃至(y7)においてa、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、上記式中のメチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい。
上記式(y5)のようにコリン類似の構造を有する場合、本実施形態に係る重合体は腫瘍集積性が高いと考えられる。また、上記式(y6)のようにカルボキシル基を有する場合、そのカルボキシル基に抗体など標的部位に特異的に結合する捕捉分子を結合させやすいため好ましい。また、上記式(y7)のようにスルホン酸基を有する場合、親水性が高く、生体内で凝集しにくいため好ましい。
(主鎖)
本実施形態に係る重合体は、好ましくは下記式(x1)乃至(x3)のいずれかで示される繰り返し単位を主鎖として有する。
Figure 2014001371
上記式(x1)乃至(x3)においてR乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基である。Rは置換もしくは無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基である。Rが2以上の炭化水素基である場合、どの炭素が前記側鎖と結合してもよい。R乃至Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である。
上記式(x1)乃至(x3) において*は側鎖に直接、またはリンカーを介して結合する。
本実施形態に係る重合体は、重合度が2以上5000以下であることが好ましい。また、本実施形態に係る重合体の重合度が10以上であることが好ましく、20以上であることがさらに好ましい。重合度が10以上であれば感度が高く、20以上であればさらに高い。
また実施形態に係る重合体の重合度は、1000以下であることが好ましく400以下であることがさらに好ましい。重合度が1000以下であれば粘性が低く、本実施形態に係る重合体を生体内に投与する場合に好ましい。本実施形態に係る重合体の重合度は、好ましくは10以上1000以下、さらに好ましくは10以上400以下、さらに好ましくは20以上400以下である。
主鎖は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよい。
主鎖の繰り返し単位は1種類のみからなってもよいし、2種類以上からなってもよい。(重合体の好ましい形態)
本実施形態に係る重合体は、主鎖の繰り返し単位が上記式(x1)乃至(x3)のみからなることが好ましい。このとき、繰り返し単位を含む構造は、下記式(I)で示される。
Figure 2014001371
上記式(I)においてXは下記式(x1)乃至(x3)のいずれかであり、重合体の重合度は2以上5000以下である。下記式(x1)乃至(x3)において*は上記式(I)のLと結合するか、Lが直接結合であるときはYと結合する。下記式(x1)乃至(x3)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基である。Rは置換もしくは無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基である。R乃至Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である。
Figure 2014001371
上記式(I)においてLは、直接結合、または任意の2価の原子または2価の原子団である。Lが任意の2価の原子または2価の原子団である場合、Lは上記式(I)のXまたはYと結合する。
上記式(I)においてYは、下記式(y1)乃至(y3)のいずれかで表される。下記式(y1)乃至(y3)において*は上記式(I)のLと結合するか、Lが直接結合であるときはXと結合する。Zは任意の1価の原子または1価の原子団である。下記式(y3)においてRは直接結合または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基である。Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である。
Figure 2014001371
また、本実施形態に係る重合体は、前記式(I)のLが置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基、および下記式(l1)乃至(l3)から選択されることが好ましい。
Figure 2014001371
Figure 2014001371
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前記炭化水素基における置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である。
上記式(l1)乃至(l3)において*は前記式(I)のXまたはYと結合する。
上記式(l1)乃至(l3)のL’は置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基、および下記式(l’)から選択される。
Figure 2014001371
上記式(l’)においてa、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、前記L’における炭素数1以上4以下の炭化水素基、および式(l’)におけるメチレン基の水素原子は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子などの他の原子で置換されていてもよい。
また、本実施形態に係る重合体において、前記式(y1)または(y2)におけるZは下記式(z1)、または、前記式(y1)乃至(y3)におけるZが下記式(z2)で表される場合、感度が高いため好ましい。
*−15NH (z1)
*−13CH (z2)
上記式(z1)、(z2)において*は前記式(y1)乃至(y3)の13C、または15Nと結合する。
また、本実施形態に係る重合体において、前記式(y1)乃至(y3)におけるZが下記式(z3)または(z4)で表される場合、抗体結合させやすい、親水性が高いといった理由から、好ましい。
Figure 2014001371
Figure 2014001371
上記式(z3)、(z4)において*は前記式(y1)乃至(y3)の13C、または15Nと結合する。上記式(z3)、(z4)においてdは1以上4以下の整数であり、メチレン基の水素原子はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子などの他の原子で置換されていてもよい。
上記式(z2)によってコリン類似の構造が形成される場合、本実施形態に係る重合体は腫瘍集積性が高いと考えられる。上記式(z3)のようにカルボキシル基を有する場合、そのカルボキシル基に抗体など標的部位に特異的に結合する捕捉分子を結合させやすいため好ましい。また、上記式(z4)のようにスルホン酸基を有する場合、親水性が高く、生体内で凝集しにくいため好ましい。
本実施形態に係る重合体として例えば下記の式(i1)乃至(i12)が挙げられる。
Figure 2014001371
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上記式(i1)乃至(i12)においてa、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい。
なお、本実施形態に係る重合体を、以下では13C/15Nラベル化ポリマー(13C/15N-PMPC)、と呼ぶことがある。
(捕捉分子)
本実施形態に係る重合体は、標的部位に特異的に結合する捕捉分子を有することが好ましい。標的部位に特異的に結合する捕捉分子としては、腫瘍などの標的部位に特異的に結合する物質、標的部位の周辺に存在する物質に特異的に結合する物質などがあり、生体分子や医薬品等の化学物質などから任意に選択することができる。具体的には、抗体、抗体フラグメント、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、核酸、分子認識化合物などが挙げられる。これらの物質は単独で用いることもできるし、あるいは複数を組み合わせて用いることもできる。捕捉分子が化学結合された本実施形態に係る重合体を用いることで、標的部位の特異的な検出、標的物質の動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。
ここで抗体とは、特定の分子(抗原)に応答して免疫系により誘発されるイムノグロブリン(Immunoglobulin)ファミリーのタンパク質の総称であり、その抗原に結合する性質をもつ。イムノグロブリンファミリーとしては、例えばイムノグロブリンG(ImmunoglobulinG、以下IgGと略すことがある)などが挙げられる。ここで、抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。なお、抗体部は抗体以外にも、抗原結合能力を損なわない範囲で、任意のアミノ酸を有していてもよい。
また、抗体は全抗体に限定されず、抗体フラグメントであってもよい。抗体フラグメントとは、特定の分子に結合する性質を維持したまま低分子化された、抗体の誘導体を指す。抗体フラグメントとしてはFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2、重鎖可変(VH)ドメイン単独、軽鎖可変(VL)ドメイン単独、VHとVLの複合体、あるいはラクダ化VHドメイン、または抗体の相補正決定領域(CDR)を含むポリペプチド、抗体の重鎖可変(VH)領域と軽鎖可変(VL)領域とをペプチドからなるリンカーで連結したポリペプチドである一本鎖抗体(single chain Fv、以下scFvと略すことがある)などが挙げられる。抗体フラグメントは、全抗体に比べ、分子サイズが小さいため、高い組織浸透性や早いクリアランス速度を有する事から診断剤あるいは造影剤において好適に利用される。
なお、抗体フラグメントとしては、一本鎖抗体が好ましい。なぜなら、一本鎖抗体は、各種抗原に対応して安価に簡便に作製することができ、なおかつ、全抗体や一本鎖抗体以外の抗体フラグメントと比べて分子量が小さいため、体外へ速やかに排泄されやすく、また病変部位に到達しやすいからである。そのため、一本鎖抗体は病変部位の検出、又は治療に好適に用いられる。
捕捉分子を本実施形態に係る重合体に結合させる方法は、用いる捕捉分子の種類にもよるが、いかなる公知の方法をも使用することができる。例えば、本実施形態に係る重合体の末端の官能基と捕捉分子の官能基とを反応させて化学結合する方法等を使用することができる。
本実施形態に係る重合体の末端の官能基がマレイミド基である場合、チオール基を有する捕捉分子と反応させて、目的物を得ることができる。また、本実施形態に係る重合体の末端の官能基がN−ヒドロキシスクシンイミド基である場合、アミノ基を有する捕捉分子と反応させて、目的物を得ることができる。反応後、捕捉分子を結合させた重合体を分離、精製することが好ましい。
(共重合体)
本実施形態に係る重合体は、2種類以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。本実施形態に係る重合体が共重合体である場合、交互共重合体、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれでもよい。
本実施形態に係る重合体が共重合体である場合、上記の主鎖を構成する繰り返し単位の他に、(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰り返し単位、(メタ)アクリルアミドモノマーに由来する繰り返し単位、アミノ酸モノマーに由来する繰り返し単位、ヒドロキシ酸モノマーに由来する繰り返し単位を有していてもよい。
本実施形態に係る重合体が共重合体である場合、上記の主鎖を構成する繰り返し単位の他に、本実施形態に係る側鎖を有しない下記の式(a1)乃至(a3)のいずれかで示される繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 2014001371
Figure 2014001371
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上記式(a1)乃至(a3)において、Rは任意の1価の原子または1価の原子団であり、水素原子、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1以上6以下の炭化水素基である。Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である。
なお、本実施形態に係る重合体が共重合体である場合、共重合体を構成する繰り返し単位のすべてがその側鎖に上記式(y1)乃至(y3)で表わされる構造を有していても良いし、共重合体を構成する繰り返し単位の一部のみが上記式(y1)乃至(y3)で表わされる構造を有していても良い。前者は、多重共鳴NMR用の造影剤として用いた場合、極めて高い感度を得ることができる。一方、後者は、上記式(y1)乃至(y3)で表わされる構造を有していない繰り返し単位を用いることによって、親水性の制御、生体内での吸着能の制御等の、目的に応じた制御を行うことが可能となる。
(重合体の末端)
本実施形態に係る重合体の繰り返し単位の末端は特に限定されないが、N−ヒドロキシスクシンイミド基、マレイミド基、アミノ基、アジド基、エチニル基、ビニル基、トリクロロシリル基、チオール基、水酸基、アルキル基のいずれかを有することが好ましい。これらの官能基は、抗体など、標的部位に特異的に結合する捕捉分子を結合させやすい。本実施形態に係る重合体の末端は、例えば下記式(b1)乃至(b9)のいずれかの構造を有する。
Figure 2014001371
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上記式(b1)乃至(b9)においてeは1以上11以下の整数であり、fは0以上17以下の整数である。Rは水素原子またはメチル基である。本実施形態に係る重合体の両末端は同じ構造を有していてもよく、異なる構造を有していていもよい。上記式(b1)乃至(b9)において*は主鎖の繰り返し単位に結合する。
(核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤)
本実施形態に係る核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤は、上記の重合体と分散媒とを有する。ここで分散媒は、上記重合体を溶解させるための液状の物質であり、例えば生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝水溶液(PBS)などが挙げられる。また、分散媒の他に、必要に応じて薬理上許容できる添加物を有していても良い。本実施形態に係る核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤、上記重合体を分散媒に予め溶解させておいてもよいし、上記重合体と分散媒とをキットにしておき、生体内に投与する前に上記重合体を分散媒に溶解させて使用してもよい。
本実施形態に係る造影剤は、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果により、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多くの造影剤を集積させることができる。集積した造影剤を、核磁気共鳴分析方法または磁気共鳴イメージング方法を用いて検出することによって、腫瘍の有無、または、腫瘍部位の特異的なイメージングをすることができる。
(化合物)
本実施形態に係る重合体は、公知の方法で重合性化合物を重合することで合成することができる。重合性化合物は上記(y1)乃至(y3)で示された構造を有していてもよいし、重合後に側鎖を修飾して上記(y1)乃至(y3)で示された構造を付加してもよい。例えば、下記式(j1)乃至(j12)の化合物を重合することで合成可能である。
Figure 2014001371
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上記式(j1)乃至(j12)において、a、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、メチレン基の水素原子はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子など他の原子で置換されていても良い。なお、本実施形態に係る化合物を以下では、13C/15Nラベル化モノマー(13C/15N-MPC)、と呼ぶことがある。
これらの化合物は重合することによって上記本実施形態に係る重合体を調製することができる。
(化合物の重合)
本実施形態に係る化合物の重合には、化合物の種類に応じて従来公知の重合方法を適宜選択することができる。
例えば、上記重合性化合物としてビニルモノマーを選択した場合、重合方法としてリビングラジカル重合法、とりわけ原子移動ラジカル重合(ATRP;Atom Transfer Radical Polymerization)法を挙げることができる。ATRP法は簡便であり、分子量制御が容易であることから好ましい。
重合性化合物としてヒドロキシ酸やアミノ酸を選択した場合、重合方法として縮合重合を挙げることができる。縮合重合の際、縮合剤を適宜使用しても良い。
重合性化合物としてラクチド、ラクトン、ラクタムを選択した場合、重合方法として開環重合を挙げることができる。開環重合の際、触媒を適宜使用しても良い。
重合性化合物を重合する際、2種以上の構造の異なる化合物を用いて、交互共重合体、ランダム共重合体、またはブロック共重合体を形成しても良い。
(原子移動ラジカル重合)
上記のATRP法は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する重合開始剤と、重合触媒となる遷移金属錯体とを用いてビニルモノマーを重合させる方法である。
本実施形態に係る13C/15Nラベル化ポリマー(13C/15N-PMPC)は、例えば、下記の反応式1に示すように、原子移動ラジカル重合によって得ることができる。
(反応式1)
Figure 2014001371
本実施形態ではホモポリマーの形成以外にも、2種以上の構造の異なるビニルモノマーを用いて、交互共重合体、ランダム共重合体、またはブロック共重合体を形成しても良い。
ビニルモノマーを原子移動ラジカル重合する場合、例えば、下記式(k1)から(k9)で表わされる重合開始剤を用いることができる。下記式(k1)乃至(k9)においてeは1以上11以下の整数であり、fは0以上17以下の整数である。Rは水素原子またはメチル基である。
Figure 2014001371
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不活性ガスの雰囲気下、ビニルモノマーを含む反応溶媒中に重合開始剤、遷移金属錯体を添加し、原子移動ラジカル重合を行う。重合はリビング的に進行し、分子量分布の狭い重合体を得ることができる。
反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等を使用することができる。これらは単独で使用しても良いし、又は2種以上を併用しても良い。不活性ガスとして、窒素ガスやアルゴンガスを使用することができる。
使用する遷移金属錯体はハロゲン化金属とリガンドからなる。ハロゲン化金属の金属種としては、原子番号22番のTiから30番のZnまでの遷移金属が好ましく、特にFe、Co、Ni、Cuが好ましい。その中でも、塩化第一銅、臭化第一銅が好ましい。
リガンドとしては、ハロゲン化金属に配位可能であれば特に限定されないが、例えば、2,2’-ビピリジル、トリス(2-ジメチルアミノエチル)アミン、エチレンジアミン、ジメチルグリオキシム、1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン、1,10-フェナントロリン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2-アミノエチル)アミン等を使用することができる。
重合温度は、0℃から80℃の範囲であり、好ましくは10℃から60℃の範囲である。
(化合物の合成)
上記式(j1)乃至(j12)で表される化合物は、公知の方法で合成することができる。たとえば、上記式(j1)(a = 2, b = 2)で表わされる化合物は、下記の反応式2に従って合成することができる。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)に、13C核および15N核を導入するため、式(m1)で表わされる15Nグリシンを出発物質とし、13C核の導入には13Cヨウ化メチルを用いて、目的とする式(j1)のビニルモノマー(13C/15N-MPC)を収率48%(overall)で得ることができる。
(反応式2)
Figure 2014001371
(造影剤)
上記式(k1)から(k9)で示される重合開始剤と13C/15Nラベル化モノマーを用いて原子移動ラジカル重合することによって、安定同位元素である13C核と15N核で二重ラベル化した側鎖を持つポリマーを得ることができる。
式(k1)から(k9)で表わされる重合開始剤と13C/15Nラベル化モノマーから原子移動ラジカル重合によって得られるポリマーに対して、標的部位に特異的に結合する捕捉分子を固定化することができる。但し、式(k1)の場合、脱保護によってマレイミド基に変換する必要がある。
(核磁気共鳴分析方法)
本実施形態に係る核磁気共鳴分析方法は、検体中の重合体を検出する工程を含み、
重合体である13C/15Nラベル化ポリマーを用意する工程;
前記検体に前記重合体を付与する工程;
前記重合体を付与された前記検体に電磁波を付与する工程;を含み、
前記重合体の1H-13C-15N結合、1H-15N-13C結合または1H-13C-13C結合における各核の間での磁化移動(コヒーレンス移動)を利用して、前記重合体を検出することを特徴とする。なお、本実施形態では、これらの配列のうちいずれか1種類以上を利用して前記重合体を検出すればよく、少なくとも1H-13C-15N配列を利用することが好ましい。
(磁気共鳴イメージング方法)
本実施形態に係る磁気共鳴イメージング方法は、検体中の重合体の存在位置を検出する工程を含み、
重合体である13C/15Nラベル化ポリマーを用意する工程;
前記検体に前記重合体を付与する工程;
前記重合体を付与された前記検体に電磁波を付与する工程;を含み、
前記重合体の1H-13C-15N結合、1H-15N-13C結合または1H-13C-13C結合における各核の間での磁化移動(コヒーレンス移動)を利用して、前記重合体の存在位置を検出することを特徴とする。なお、本実施形態では、これらの配列のうちいずれか1種類以上を利用して前記重合体を検出すればよく、少なくとも1H-13C-15N配列を利用することが好ましい。
捕捉分子を結合させた造影剤を用いた磁気共鳴イメージング方法では、上記の工程を経ることで腫瘍などの位置を検出することができる。
また、上記の重合体を付与する工程において、本実施形態に係る重合体を生体内に投与する方法は特に限定されず、注射や経口投与等の方法によることができる。
更に、重合体を生体中で用いた場合、捕捉分子を適宜選択することによって、種々の標的部位を特異的に検出することができる。例えば、捕捉分子として腫瘍に特異的に結合する物質を採用すれば、腫瘍の特異的検出が可能となる。また捕捉分子として、特定の疾病部位の周辺に多く存在するタンパク質や酵素などの生体物質に特異的に結合する物質を用いれば、その疾病を特異的に検出することが可能である。また、本実施形態に係る重合体は、捕捉分子を持たない場合でも、EPR効果によって腫瘍を検出することができる。
以下、実施例で本発明に係る重合体を調製する際に用いる具体的な試薬や反応条件等を挙げているが、これらの試薬や反応条件等は、変更が可能であり、それらの変更は本発明の範囲に包摂されるものとする。したがって以下の実施例は、本発明の理解を助けることが目的であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
(NMRスペクトルの測定方法)
1H NMR スペクトルは、JEOL EX 400(400 MHz, 日本電子社製)、 JEOL AL 300(300 MHz, 日本電子社製)により測定した。
13C NMRスペクトルは、JEOL EX 400(100 MHz, 日本電子社製)、JEOL AL 300(75 MHz, 日本電子社製)により測定した。
15N NMRスペクトルは、ECX400P(40 MHz, 日本電子社製)により測定した。31P NMRスペクトルは、ECX400P(160 MHz, 日本電子社製)により測定した。
(分子量の測定方法)
ESI-TOF MSスペクトルは、エレクトロスプレーイオン化・飛行時間型質量分析装置 micrOTOF focus-KE (Bruker Daltonics社製) により測定した。
分子量測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー (Gel Permeation Chromatography、GPC)(ChromNAV, 日本分光社製)により測定した。
(多重共鳴NMRの測定方法)
1H-{13C} 二重共鳴NMR、1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMRは、Bruker Avance 700 (700 MHz,equipped with a 5 mm TCI CryoProbe, Bruker Biospin社製) により測定した。
(実施例1)13C/15Nラベル化MPCの合成
(2-((2-Cyanoethoxy)(diisopropylamino)phosphinooxy)ethyl methacrylate(式(m6))の合成)
式(m6)で表わされるメタクリレートは、反応式3に従って合成した。
(反応式3)
Figure 2014001371
200 mL Pyrex(登録商標)製フラスコに、化学式(m9)で表わされる2-hydroxyethylmethacrylate (0.65 mL, 5.4 mmol、アルドリッチ社製)と脱水塩化メチレン (DCM、キシダ化学社製) を加え、減圧濃縮した。続いて、DCM 15 mL、N,N-diisopropylethylamine (DIPEA) (3.5 mL, 20 mmol、アルドリッチ社製)、2-cyanoethyl-N,N- diisopropylchloro phosphoramidite (2.0 mL, 9.0 mmol、和光純薬工業社製) の順にシリンジで加え、Ar 雰囲気下、0 ℃ で 1 時間撹拌した。反応溶液を DCM で約 20 倍に希釈後、飽和重曹水を加えて抽出し、無水 MgSO4(ナカライテスク社製)で脱水後、エバポレーターで減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン(ナカライテスク社製): 酢酸エチル(ナカライテスク社製)= 4 : 1)により精製し、式(m6)で表わされるメタクリレート(無色透明粘性液体)を定量的に得た。
式(m6)の1H NMRスペクトルを図1に、また、そのスペクトルデータを以下に示した。
1H NMR spectrum (300 MHz, CD2Cl2) δ= 6.01-6.04 (1H, CH2=C-), 5.48-5.51 (1H, CH2=C-), 4.21 (t, J = 4.94 Hz, 2H, -CH2OCO), 3.67-3.87 (4H, -OCH2CH2-OP-, -POCH2-),3.46-3.59 (2H, -NCH(CH3)3), 2.54 (t, J = 6.23 Hz, 2H, -CH2CN), 1.86 (s, 3H, CH3C=CH2), 1.04-1.10 (12H, -NCH(CH3)2).
13C/15Nラベル化MPC(式(j1)(a = 2, b = 2))の合成)式(j1)(a = 2, b = 2)で表わされる13C/15N ラベル化 MPCは、反応式4に従って合成した。
(反応式4)
Figure 2014001371
300 mL Pyrex(登録商標) 製フラスコに、式(m5)で表わされる化合物(0.559 g, 3.91 mmol) とテトラゾール (0.292 g, 4.12 mmol、ナカライテスク社製) を加えて減圧乾燥し、脱水アセトニトリル(和光純薬工業社製) 50 mLと式(m6)で表わされる化合物(1.61g, 4.88 mmol) の脱水アセトニトリル溶液 (70 mL) をシリンジで加え、Ar 雰囲気下、室温で 14 時間撹拌して式(m7)で表わされる化合物を混合物として得た (ESI-TOF MS m/z : 337.1652)。なお、式(m5)で表される化合物は特開2009−79046に記載の方法で調製した。
続いて、反応溶液に 0.1 M I2 in THF/ pyridine / water 溶液(グレンリサーチ社製) 60 mLを加え、室温で2時間攪拌し、式(m8)で表わされる化合物を混合物として得た (ESI-TOF MS m/z : 353.1575)。反応溶液を減圧濃縮し、脱水トルエンで 2 回共沸した。残渣に脱水アセトニトリル 50 mL、28% アンモニア水溶液(和光純薬工業社製) 54 mL を加え、室温で 1 時間撹拌した。ESI-TOF MS により式(m8)で表わされる化合物の消失を確認 (m/z:353.1575→m/z:300.1327) した後、エバポレーターで減圧濃縮した。残渣に超純水を加え、ジクロロメタンで洗浄後、水層をエバポレーターで濃縮、減圧乾燥した。粗生成物をアルミナカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン : メタノール : 水 = 12 : 6 : 1)で精製後、残渣にメタノール(ナカライテスク社製)とアンバーライト(IRA96SB、オルガノ社製)を加えて 30 分撹拌した。アンバーライトをろ別し、濃縮、減圧乾燥して式(j1)(a = 2, b = 2)で表わされる 13C/15Nラベル化MPC (黄色粘性固体、1.056 g, 3.52 mmol) を得た。単離収率は90%であった。
式(j1)の1H NMRスペクトルを図2に、また、そのスペクトルデータとMSデータを以下に示した。
1H NMR spectrum (300 MHz, D2O) δ/ppm= 6.05-6.08 (1H, CH2=C-), 5.52-5.66 (1H, CH2=C-), 4.13-4.22 (2H, -OCH2CH2-OP-), 4.23-4.30 (2H, -OCH2CH2-OP-), 4.00-4.08 (2H, -OCH2CH2N), 3.50-3.58 (2H, -OCH2CH2N), 3.09 (dt, J = 144.7, 3.30 Hz, 9H, 15N(13CH3)3), 1.82 (t, J = 1.28 Hz, 3H, -CH3), ESI-TOF MS m/z: 300.1327 (M+ + H).
式(j1)の13C NMRスペクトルを図3に、また、そのスペクトルデータを以下に示した。
13C NMR spectrum (100 MHz, D2O/CD3OD) δ/ppm= 171.00, 137.26, 128.55, 67.41 (dd,2JCP = 7.85, 2JCN = 4.55 Hz), 65.92 (d, 2JCP = 7.65 Hz), 65.39 (m), 60.91, 55.43 (d, 1JCN = 5.27 Hz), 18.86.
式(j1)の15N NMRスペクトルを図4に、また、そのスペクトルデータを以下に示した。
15N NMR spectrum (40 MHz, D2O/CD3OD) δ/ppm= 43.4 (q, 1JCN = 5.22 Hz).
式(j1)の31P NMRスペクトルを図5に、また、そのスペクトルデータを以下に示した。
31P NMR spectrum (160 MHz, D2O) δ/ppm= 1.69.
(実施例2)13C/15Nラベル化PMPC(式(p2))の合成
式(p2)で表わされる13C/15N ラベル化 PMPCは、反応式5に従って合成した。(反応式5)
Figure 2014001371
2 mL バイアルに式(j1)(a = 2, b = 2)で表わされる13C/15N ラベル化 MPC (135.6 mg, 0.46 mmol, 43 eq., Target Mn = 13000) と脱水メタノール(ナカライテスク社製) 0.3 mL を加え 30 分間 Ar を通気した。以下の操作はグローブボックス内(窒素雰囲気下)で行った。式(p1)で表わされる重合開始剤 (3.5 mg, 0.01 mmol, 1eq.)、CuBr (1.5 mg, 0.01 mmol, 1eq.、和光純薬工業社製) と2,2’-ビピリジン (3.1 mg, 0.02mmol, 2eq.、ナカライテスク社製) の 0.1 mL 脱水メタノール溶液をそれぞれ調製した。この溶液を式(j1)を含む反応溶液に加え、72 時間室温で撹拌した。溶液は赤褐色を呈した。反応終了は 1H NMR(モノマー転化率 98%)で確認した。反応終了後、溶液を薄いシリカゲル層に通して Cu を除去し(展開液: メタノール)、溶出液をエバポレーターで濃縮した。残渣にメタノールと脱水 THF を加え析出した沈殿物をろ取し、脱水 THF で洗浄後、減圧乾燥した。粗生成物を GPC(使用カラム: SB-803HQ, 展開溶媒: 超純水, 送液速度: 1 mL / min, カラム温度: 40 ℃)で分取・精製し、凍結乾燥後、式(p2)で表わされる13C/15N ラベル化 PMPC (白色固体、Mn = 6800) を得た。単離収率は30%であった。本実施例で作成した、式(p2)で表わされるポリマーをPMPC p2-1(式(p2)の中のn = 23, Mn(GPC) = 6800, Mn(NMR) = 12000)、PMPC p2-2(式(p2)の中のn = 16, Mn(GPC) = 5000, Mn(NMR) = 10000)、PMPC p2-3(式(p2)の中のn = 40, Mn(GPC) = 12000, Mn(NMR) = 18000)と略す場合がある。
PMPC p2-3の1H NMRスペクトルを図6に、また、そのスペクトルデータを以下に示した。
1H NMR spectrum (400 MHz, D2O) δ/ppm = 6.54 (m, furan), 5.21 (m, furan), 4.15-4.31 (br, -OCH2CH2OP-, -NCH2CH2O-), 4.04-4.15 (br, -OCH2CH2OP-), 3.82-4.04 (br, POCH2CH2 15N-, -NCH2CH2O-), 3.51-3.62 (br, -CH2N(13CH3)3), 3.14 (d, 1JCH = 144.8 Hz, -15N(13CH3)3), 2.82-2.99 (-CHCON), 1.49-2.00 (br, -CH2-, main chain, -C(CH3)2), 0.64-1.05 (br, -CH3, main chain).
PMPC p2-3の13C NMRスペクトルを図7に、また、そのスペクトルデータを以下に示した。
13C NMR spectrum (100 MHz, D2O/CD3OD) Labeled for 13C δ/ppm = 55.0 (d, 1JCN = 5.02 Hz).
PMPC p2-3の15N NMRスペクトルを図8に、また、そのスペクトルデータを以下に示した。
15N NMR spectrum (40 MHz, D2O/CD3OD) Labeled for 15N δ/ppm = 42.0 (q, 1JCN = 5.21 Hz).
PMPC p2-1のGPC チャートを図9に示した。GPC測定は、使用カラム: SB-803HQ, 展開溶媒: 0.1 M NaNO3 aq. / 0.2 wt % NaN3, 送液速度: 1 mL / min, カラム温度: 40 ℃の条件で行った。サンプルは予めMillex-GV (0.22 μm) (Millipore) フィルターに通してからインジェクトした。
(実施例3)
分子量の異なる13C/15N ラベル化PMPC (PMPC p2-2、PMPC p2-3)の合成重合開始剤(式(p1))に対するモノマー(式(j1)(a =2, b = 2))の当量を変化させ、実施例2と同様の操作を行って、GPCから算出した数平均分子量(Mn)が5000の PMPC p2-2、Mn=12000の PMPC p2-3を得た。それぞれのGPC チャートを図10、図11に示した。また、PMPC p2-1からp2-3のデータを表1にまとめた。
Figure 2014001371
72 時間でモノマー転化率は 94〜98% であり、3〜30% の単離収率で 13C/15N ラベル化PMPC が得られた。ポリエチレングリコール (PEG) で分子量校正した GPC 測定の結果、多分散度 (PDI) は 1.10〜1.17 の値を示したことから、合成した 13C/15N ラベル化 PMPCは比較的単分散に近いポリマーであることが明らかとなった。
また、参照実験として、重合開始剤を反応溶液に加えない場合、重合反応は全く進行せず、目的とするポリマーは得られなかった(1H NMR、および GPC で確認した)。この結果は、13C/15N ラベル化 MPC の自発的な重合は起こらず、重合開始剤からリビングラジカル重合反応が進んでいることを示唆している。
(実施例4)INEPT-based 三重共鳴 NMR 用パルスシーケンスの設定
三重共鳴のパルスシーケンスは図12の INEPT をベースにしたものを用いた。細いバーが 90°パルス、太いバーが 180°パルスをそれぞれ表す。
13C/15N ラベル化PMPC p2-3の1H NMR から、重合開始剤のフラン環由来の 1H に帰属されるピークを 6.54 ppm および 5.21 ppm に観測した。また、13C とカップリングしたメチル基の doublet ピークを観測し、1H-13C のカップリング定数 (1JC-H) を 1JC-H = 144.8 Hz と算出した (図6)。さらに 13C NMR から 55.0 ppm にあるメチル基のピーク、15N NMR から 42.0 ppm にある四級アンモニウムのピークを確認し、13C-15N のカップリング定数 (1JC-N) を 1JC-N = 5.21 Hz と算出した (図7、8)。以上のデータから、 13Cおよび15Nのオフセット(化学シフト)をそれぞれ 13C = 55.0 ppm, 15N = 42.0 ppm に、図12に示した遅延間隔(カップリング定数)をそれぞれ 1/41JC-H = 1.73 ms, 1/41JC-N = 48 msに設定することにより、PMPC p2-1 の1H-{13C-15N} 三重共鳴シグナルを選択的に観測することができる。
(実施例5)
混雑系における 13C/15N ラベル化 PMPC p2-3の1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR多数のタンパク質やアミノ酸を含むマウス肝臓抽出液中でのPMPC p2-3の NMR スペクトルを測定し、高分子化が 1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR シグナルの選択性に及ぼす影響について検討した。
まず、マウス肝臓を摘出し、ホモジネイトした抽出液とPMPC p2-3 1μM (Mn(GPC)を用いて算出したモル濃度)とを混合し、凍結乾燥後、D2O 溶液に置換した。そのサンプルを、クライオプローブを備えた 700 MHzの NMR 装置で測定した。
通常の 1H NMR では、多数の 1H シグナルが観測され、PMPC p2-3のメチル基に由来する 1Hシグナルを検出することは不可能であった (図13(a))。
一方、同一サンプルの 1H-{13C} 二重共鳴 NMR スペクトルでは 1H NMR に比べて選択性が向上したが、肝臓抽出液中の夾雑物由来の 1H シグナルが強く観測され、PMPC p2-3のメチル基に由来する 1Hシグナルを高選択的に検出することは困難であった (図13(b))。
さらに、1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR を用いて測定した結果、PMPC p2-3のメチル基に由来する 3.14 ppm の 1H シグナルのみが観測された (図13(c))。
以上の結果より、夾雑物が多数存在する生体系においても、1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR を用いることにより、PMPC p2-3のメチル基に由来する1Hシグナルを高選択的に検出できることが明らかとなった。
1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR スペクトルで 3.67 ppm にノイズピークが観測された(図13(c))。このピークは、夾雑物中の 1H-13C-15N 以外の配列で消え残った磁化に起因するノイズが観測されている可能性がある。しかし、パルスシーケンス中の位相サイクリング等のパラメータを最適化すれば、このノイズ強度を低減できると考えられる。
なお、図13は、マウス肝臓抽出液(10% v/v)、2-メルカプトエタノール(0.5mM)を含む10 mM Tris-HCl (pH 8.0) buffer中における 13C/15N ラベル化 PMPC p2-3 (1 μM (Mn(GPC)を用いて算出したモル濃度)) の(a) 1H NMR、 (b) 1H-{13C} 二重共鳴NMR、 (c)1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR(256回積算)である。
(実施例6)高分子化(安定同位元素集積化)のシグナル感度に及ぼす効果
次に、高分子化がシグナル感度に及ぼす効果について検討した。MR イメージングへの応用を視野に入れ、8 分 (256回積算) の積算時間で D2O 中での Mn(GPC)= 5000 (16 units), 6800 (23 units), 12000 (40 units) の3種類の 13C/15N ラベル化 PMPC (p2-1〜p2-3) を1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR 法を用いて評価した (図14(a))。いずれの分子量の 13C/15N ラベル化 PMPC においても、濃度の減少とともにシグナル−ノイズ比 (S/N) が線形で減少した。また、同一濃度では、モノマーユニット数に比例して S/N が増大した。1 μMの 13C/15N ラベル化 MPC (式j1)(a = 2, b = 2)の S/N は 8.72 であったのに対し、高分子化により、安定同位元素を集積させた 13C/15N ラベル化 PMPC p2-3 1μM (Mn(GPC)でモル濃度を算出) では S/N = 221 が得られ、シグナル強度が約 25 倍に増大した。さらに、13C/15N ラベル化 PMPC p2-3の検出限界を調べた結果、50 nM (Mn(NMR)を用いてモル濃度を算出した場合、30 nMに相当)の 13C/15N ラベル化 PMPC においても S/N = 17.5 で明瞭なシグナルを観測した (図14(b))。
以上の結果から、高分子化によって安定同位元素を集積させた 13C/15N ラベル化 PMPCでは、シグナル強度が著しく増大し、nM オーダーの高感度で検出可能であることが明らかになった。
なお、図14は(a)D2O中の1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMRにおける13C/15N ラベル化 MPCおよび 13C/15N ラベル化 PMPC p2-1〜p2-3の濃度(Mn(GPC)を用いて算出したモル濃度)とS/N比の関係を示すグラフ、(b)13C/15N ラベル化 PMPC p2-3の種々の濃度(50nMから1μM: Mn(GPC)でモル濃度を算出)におけるD2O中の1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMRスペクトル(256回積算)である。
(実施例7)一本鎖抗体hu4D5-8scFvの調製
Her2へ結合するIgGの可変領域の遺伝子配列(hu4D5-8)を基に、一本鎖抗体(scFv)をコードする遺伝子hu4D5-8scFvを作製した。まずhu4D5-8のVL、VH遺伝子をペプチド(GGGGS)3をコードするcDNAで連結したcDNAを作製した。5’末端には制限酵素NcoI- を、3’末端には制限酵素NotIの認識サイトを導入した。以下に塩基配列を示す。
5’-CCATGGATATCCAGATGACCCAGTCCCCGAGCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCCGTGCCAGTCAGGATGTGAATACTGCTGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGAAAAGCTCCGAAACTACTGATTTACTCGGCATCCTTCCTCTACTCTGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGATCCAGATCTGGGACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACTTCGCAACTTATTACTGTCAGCAACATTATACTACTCCTCCCACGTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAGATCAAAGGCGGTGGTGGCAGCGGTGGCGGTGGCAGCGGCGGTGGCGGTAGCGAGGTTCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGTGGCCTGGTGCAGCCAGGGGGCTCACTCCGTTTGTCCTGTGCAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACACCTATATACACTGGGTGCGTCAGGCCCCGGGTAAGGGCCTGGAATGGGTTGCAAGGATTTATCCTACGAATGGTTATACTAGATATGCCGATAGCGTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCGCAGACACATCCAAAAACACAGCCTACCTGCAGATGAACAGCCTGCGTGCTGAGGACACTGCCGTCTATTATTGTTCTAGATGGGGAGGGGACGGCTTCTATGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCGGCGGCCGC-3’(配列番号1)
(制限酵素の認識サイトを下線で示す。)
上記遺伝子断片hu4D5-8scFvをプラスミドpET-22b(+)(Novagen社)のT7/lacプロモーターの下流に挿入した。具体的には、制限酵素NcoI-とNotIで消化処理したpET-22b(+)に、上記のcDNAをライゲーションする。
この発現プラスミドを大腸菌(Escherichia coli BL21(DE3))に形質転換し、発現用菌株を得た。得られた菌株をLB-Amp培地4mlで一晩前培養後、全量を250mlの2xYT培地に添加し、28℃、120rpmで8時間振とう培養した。その後、終濃度1mMでIPTG(Isopropyl-β-D(-)-thiogalactopyranoside)を添加し、28℃で一晩培養した。培養した大腸菌を8000xg、30分、4℃で遠心分離し、その上清の培養液を回収した。得られた培養液の60%重量の硫酸アンモニウムを添加し、塩析によりタンパク質を沈殿させた。塩析操作した溶液を一晩4℃で静置後、8000xg、30分、4℃で遠心分離することで沈殿物を回収した。得られた沈殿物を20mM Tris・HCl/500 mM NaClバッファーに溶解し、1lの同バッファーへ透析した。透析後のタンパク質溶液を、His・Bind(登録商標)Resin(Novagen社)を充填したカラムへ添加し、Niイオンを介した金属キレートアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。精製したhu4D5-8scFvは、還元SDS-PAGEによりシングルバンドを示し分子量は約27kDaであることを確認した。以下に調製された抗体のアミノ酸配列を示す。以後、hu4D5-8scFvをscFvと略す。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSAAALEHHHHHHGGC(配列番号2)
(実施例8)
多重共鳴シグナルを発信する高分子タグとして 13C/15N ラベル化 PMPC p2-1 (式p2)を用い、乳癌の Her2 抗原を認識する領域を持つ人工抗体である scFv へのタグ化を試みた (反応式6)。
(反応式6)
Figure 2014001371
(ポリマー末端の保護基の Retro-Diels Alder 反応)
ガラス製反応管に実施例2で得られた 13C/15N ラベル化 PMPC p2-1(Mn(GPC)= 6800, Mn(NMR) = 12000) (34.8 mg, 4.99 mmol) と脱水トルエン(和光純薬工業社製) 1 mL を加え、Ar 雰囲気下 48 時間加熱還流した。反応終了後、エバポレーターで濃縮し、減圧乾燥した。残渣にメタノールと脱水THFを加え、析出した沈殿をろ取し、式(p3)で表わされるPMPC p3(黄色固体)を得た。1H NMR を測定した結果、フラン環のピークが消失し、マレイミド基由来の 6.85 ppm のシグナルを観測した。
13C/15N ラベル化 PMPC に scFvの固定化)
次に、1.5 mL Snap Lock Micro-tube に 7.75 μM scFv 100μL (5 mM PBS-EDTA buffer) と10 mM tris(2-carboxyethyl)phosphine hydrochloride (TCEP-HCl) 1.5 μL (5 mM PBS-EDTA buffer) を加え、室温で 2 時間、ゆっくり混合した。続いて、予めMillex-LH (0.45 μm) (Millipore) フィルターに通したPMPC p3の水溶液 (10 mM) 1.47 μL を加えて、室温で 4 時間ゆっくり混合した。その後、10 mM の L-システイン(ナカライテクス社製) 1.5 μL (5 mM PBS-EDTA buffer) を加えて室温で 30 分、ゆっくり混合した。
反応液を Amicon Ultra 限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、20 分遠心 (14000 g)、濃縮した。濃縮溶液に Binding buffer (1 × Phosphate, 20 mM Imidazole) 100 μL を加え、10 分遠心 (14000 g) した。この操作を 2 回繰り返して、緩衝液を置換した。混合物を Ni アフィニティーカラム (His SpinTrapTM, GE Healthcare) で精製し、 Amicon Ultra 限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)で濃縮し、さらに 5 mM PBS-EDTA 400 μLを加えて 30 分遠心 (14000 g)した。この操作を 2 回繰り返して、scFv を固定化したPMPC p4(式(p4))と未反応の scFv の混合物を得た。なお、SDS-PAGE(4-20%)測定によりscFvを固定化したPMPC p4 の生成を確認した。
(実施例9)scFv を固定化した13C/15N ラベル化 PMPC p4 の 1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR
scFv を固定化した13C/15N ラベル化 PMPC p4(式(p4))の NMR スペクトルを測定した。通常の 1H NMR では、13C/15N ラベル化 PMPC のメチル基に由来する 1H シグナルとともに scFv あるいは buffer 由来のあらゆる 1H シグナルが観測された (図15(a))。
1H-{13C} 二重共鳴 NMR の場合には、3.14 ppm にscFv を固定化した13C/15N ラベル化PMPCのメチル基に由来する1Hシグナルがより明確に検出されたが、3.55 ppm に scFv あるいは buffer 由来の 1H シグナルが観測された (図15(b))。
一方、1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR を測定した結果、scFv を固定化した13C/15N ラベル化 PMPC のメチル基に由来する 1H シグナルのみが観測された (図15(c))。以上の結果から、抗 Her2 人工抗体 scFv を13C/15N ラベル化 PMPC に固定化することができ、1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR によって高選択的に検出できることを確認した。したがって1H-13C-15N配列を有する式(y1)を側鎖に有する重合体を高選択的に検出できること示されたが、同様の原理によって、1H-13C-13C配列を有する式(y2)、1H-15N-13C配列を有する式(y3)についても同様に高選択的に検出できる。
なお図15は、scFv を固定化した13C/15N ラベル化 PMPC p4の(a) 1H NMR、(b)1H-{13C} 二重共鳴NMR、 (c)1H-{13C-15N} 三重共鳴 NMR (700 MHz, in D2O)である。

Claims (21)

  1. 下記式(x1)乃至(x3)から選択される1または複数の繰り返し単位を主鎖に含む重合度が2以上5000以下の重合体であって、前記繰り返し単位の側鎖は下記式(y1)乃至(y3)から選択される構造を有することを特徴とする重合体。
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    (上記式(x1)乃至(x3)においてR乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基である。Rは置換または無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基であり、Rが2以上の炭化水素基である場合、どの炭素が前記側鎖と結合してもよく、
    上記式(x1)乃至(x3)において*は側鎖に直接、またはリンカーを介して結合し、
    上記式(y1)乃至(y3)において*は主鎖に直接、またはリンカーを介して結合し、上記式(y1)乃至(y3)においてZは任意の1価の原子または1価の原子団であり、
    上記式(y3)においてRは直接結合または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、
    乃至Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である)
  2. 前記リンカーおよび側鎖は下記の式(y5)乃至(y7)から選択されることを特徴とする請求項1に記載の重合体。
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371

    (上記式(y5)乃至(y7)において*は主鎖に結合し、
    a、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、上記式中のメチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい。)
  3. 前記繰り返し単位を含む構造は下記式(I)で示されることを特徴とする請求項1に記載の重合体。
    Figure 2014001371
    (上記式(I)においてXは下記式(x1)乃至(x3)のいずれかであり、
    重合度は2以上5000以下であり、
    Lは、直接結合、または任意の2価の原子または2価の原子団であり、
    Lが任意の2価の原子または2価の原子団である場合、Lは上記式(I)のXまたはYと結合し、
    Yは、下記式(y1)乃至(y3)のいずれかで表される)
    Figure 2014001371
    (上記式(x1)乃至(x3)において*は上記式(I)のL、またはLが直接結合であるときはYと結合し、
    乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、
    は置換または無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基であり、
    乃至Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である)
    Figure 2014001371
    (上記式(y1)乃至(y3)において*は上記式(I)のL、またはLが直接結合であるときはXと結合し、
    Zは任意の1価の原子または1価の原子団であり、
    上記式(y3)においてRは直接結合または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、
    における置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である)
  4. 前記式(I)のLは置換または無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基、および下記式(l1)乃至(l3)から選択されることを特徴とする請求項3に記載の重合体。
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    (上記式(l1)乃至(l3)において*は前記式(I)のXまたはYと結合し、
    上記炭化水素基における置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、
    上記式(l1)乃至(l3)のL’は、置換または無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基、および下記式(l’)から選択される)
    Figure 2014001371
    (上記式(l’)においてa、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、
    前記L’における炭素数1以上4以下の炭化水素基、および上記式(l’)におけるメチレン基の水素原子は、他の原子で置換されていてもよい。
  5. 前記式(y1)または(y2)におけるZは下記式(z1)、または、前記式(y1)乃至(y3)におけるZは下記式(z2)で表されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の重合体。
    *−15NH (z1)
    *−13CH (z2)
    (上記式(z1)、(z2)において*は前記式(y1)乃至(y3)の13C、または15Nと結合する)
  6. 前記式(y1)乃至(y3)におけるZは下記式(z3)または(z4)で表されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の重合体。
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    (上記式(z3)、(z4)において*は前記式(y1)乃至(y3)の13C、または15Nと結合し、
    上記式(z3)、(z4)においてdは1以上4以下の整数であり、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい。)
  7. 下記の式(i1)乃至(i12)のいずれかで表されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の重合体。
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    上記式(i1)乃至(i12)においてa、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい。
  8. 重合度は10以上400以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の重合体。
  9. 前記重合体の繰り返し単位の末端に、N−ヒドロキシスクシンイミド基、マレイミド基、アミノ基、アジド基、エチニル基、ビニル基、トリクロロシリル基、チオール基、水酸基、アルキル基のいずれかを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の重合体。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の重合体と標的部位に特異的に結合する捕捉分子を有することを特徴とする化合物。
  11. 2種類以上の繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の重合体。
  12. 繰り返し単位は1種類のみからなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の重合体。
  13. (メタ)アクリレートモノマーに由来する繰り返し単位、(メタ)アクリルアミドモノマーに由来する繰り返し単位、アミノ酸モノマーに由来する繰り返し単位、ヒドロキシ酸モノマーに由来する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1または2に記載の重合体。
  14. 下記の式(a1)乃至(a3)のいずれかで示される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1または2に記載の重合体。
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    (上記式(a1)乃至(a3)において、Rは水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、
    における置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である)
  15. 交互共重合体、ランダム共重合体またはブロック共重合体であることを特徴とする請求項11に記載の重合体。
  16. 請求項1乃至15のいずれか一項に記載の重合体と分散媒とを有することを特徴とする核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤。
  17. 下記式(j1)乃至(j12)のいずれかで示されることを特徴とする化合物。
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    Figure 2014001371
    上記式(j1)乃至(j12)においてa、bはそれぞれ独立に1以上4以下の整数であり、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい。
  18. 検体中の重合体を検出する工程を含む核磁気共鳴分析方法において、
    請求項1乃至15のいずれか一項に記載の重合体を用意する工程;
    前記検体に前記重合体を付与する工程;
    前記重合体を付与された前記検体に電磁波を付与する工程;を含み、
    前記重合体の1H-13C-15N結合、1H-15N-13C結合または1H-13C-13C結合における各核の間での磁化移動(コヒーレンス移動)を利用して、前記重合体を検出することを特徴とする核磁気共鳴分析方法。
  19. 検体中の重合体の存在位置を検出する工程を含む磁気共鳴イメージング方法において、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の重合体を用意する工程;
    前記検体に前記重合体を付与する工程;
    前記重合体を付与された前記検体に電磁波を付与する工程;を含み、
    前記重合体の1H-13C-15N結合、1H-15N-13C結合または1H-13C-13C結合における各核の間での磁化移動(コヒーレンス移動)を利用して、前記重合体の存在位置を検出することを特徴とする磁気共鳴イメージング方法。
  20. 1H-13C-15N結合における各核の間での磁化移動(コヒーレンス移動)を利用することを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
  21. 核磁気共鳴分析用または磁気共鳴イメージング用の造影剤であって、
    重合体を含み、
    前記重合体は主鎖に下記式(x1)乃至(x3)から選択される1または複数の繰り返し単位を含み、
    下記式(x1)乃至(x3)の*において主鎖に直接、またはリンカーを介して結合する側鎖に、1H-13C-15N結合、1H-15N-13C結合または1H-13C-13C結合から選択される構造を有することを特徴とする造影剤。
    Figure 2014001371
    (上記式(x1)乃至(x3)においてR乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基であり、
    は置換または無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、
    における置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である)
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