JP6552236B2 - 近赤外色素結合トランスフェリン、前記近赤外色素結合トランスフェリンを有する光音響イメージング用造影剤 - Google Patents

近赤外色素結合トランスフェリン、前記近赤外色素結合トランスフェリンを有する光音響イメージング用造影剤 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外色素結合トランスフェリン、前記近赤外色素結合トランスフェリンを有する光音響イメージング用造影剤に関する。
生体内部の情報を可視化する装置の1つとして、光音響トモグラフィー(Photoacoustic tomography、以下PATと略すことがある)装置が知られている。PAT装置を用いる測定においては、被測定体に光を照射したときに被測定体内部で光を吸収した物質(光吸収体)が発する光音響信号の強度と発生時刻を測定することにより、被測定体内部の物質分布を演算した画像を得ることができる。
ここで、光吸収体としては、生体内で光を吸収して音響波を発するものであればいかなるものをも用いることができる。例えば人体内の血管や悪性腫瘍などを光吸収体とすることが可能である。その他にも、インドシアニングリーン(Indocyanine Green、以下ICGと略すことがある)などの分子を体内に投与し、造影剤として利用することもできる。ICGは、人体に照射した際の影響が少なくかつ生体への透過性が高い近赤外波長領域の光をよく吸収することから、PAT装置における造影剤(光音響造影剤と略すことがある)として好適に用いることができる。なお、本明細書において、ICGとは下記式の構造で示される化合物を指す。
ただし、対イオンはNaでなくてもよく、HあるいはKなど任意の対イオンを用いることができる。
しかし、ICGは血中での半減期が数分程度と非常に短いことが知られている。
非特許文献1〜2では、血清タンパク質であるトランスフェリン(TFと略すことがある)に近赤外波長領域の光を吸収する有機色素(以下、近赤外色素と略すことがある)を結合させた化合物が開示されている。なお、本明細書における近赤外色素とは、近赤外波長領域の光を吸収する有機色素である。本明細書において近赤外波長領域の光とは600nm乃至1300nmの波長の光を意味する。
Photochemistry and Photobiology,72,234−241(2000) Molecular Imaging,6,85−95(2007)
非特許文献1に開示された近赤外色素を結合させたトランスフェリンでは、固定化される色素の数は2.4個/分子であり、また色素はスルホン酸を分子内に複数有する親水性近赤外色素である。この化合物は腫瘍の蛍光造影剤として機能することが示されている。本文献に記載の動物実験結果によれば、腫瘍と正常組織の蛍光コントラスト(以後、イメージングコントラストと略すことがある)は投与後24時間で1.9であり、光音響腫瘍造影のためにはさらなるコントラストの向上が望まれていた。
非特許文献2に開示されたAlexa Fluor(登録商標) 680色素を結合させたトランスフェリンでは、固定化される色素の数は2個/分子であり、またその色素はスルホン酸を分子内に複数有する親水性近赤外色素である。本明細書内の比較例で後述するように、非特許文献2に開示されたAlexa Fluor(登録商標) 680色素を結合させたトランスフェリンの腫瘍と正常組織のイメージングコントラストは投与後24時間後で1.2であり、光音響腫瘍造影のためにはさらなるイメージングコントラストの向上が望まれていた。
したがって、光音響腫瘍造影剤として、高い近赤外波長領域の吸収係数、高い腫瘍集積性、高い腫瘍血中比、ならびに高いイメージングコントラストを示す化合物が望まれていた。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、高い近赤外波長領域の吸収係数、高い腫瘍集積性、高い腫瘍血中比、ならびに高いイメージングコントラストを示す新規な近赤外色素結合トランスフェリンを提供することを目的とする。
本発明に係る光音響イメージング用造影剤は、トランスフェリンと近赤外色素とが結合した近赤外色素結合トランスフェリンを有することを特徴とする。
別の本発明に係る光音響イメージング用造影剤は、下記式(I)で示される化合物を有することを特徴とする。
式(I)においてTFはトランスフェリン、Lはリンカー、Dは近赤外色素を表す。nは2.0以上8.4以下である。Lは無くてもよい。
式(I)においてDは下記式(d5)又は(d6)で表わされる。
式(I)において前記Lが含まれる場合は、Lは下記式(l1)乃至(l5)のいずれかで表わされる。
上記式(l1)乃至(l5)において*は前記トランスフェリンまたは前記近赤外色素と結合することを示す。上記式(l1)においてnは1〜500の範囲であり、好ましくは1〜120の範囲である。トランスフェリン受容体への結合能を考慮すると、上記式(l1)のnは1〜50の範囲が好ましい。
本発明に係る光音響イメージング用造影剤によれば、トランスフェリンと、ICGなどの近赤外波長領域に吸収がある近赤外色素と、が結合した化合物を有するため、ICGを単独で投与した場合に比べて、腫瘍への集積性が高く、腫瘍から発せられる光音響信号強度が高い。またトランスフェリンはトランスフェリン受容体によりがん細胞へ取り込まれる性質があり、その結果、腫瘍血液比が高くなるという効果を有する。
本発明の実施例で調製したiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)、比較例のICG、ならびに比較例のAlexaFluor680−TF(2.0)の投与後24時間目の担癌マウスの蛍光イメージを示す図である。矢印は腫瘍部位を示す。
本発明の実施形態に係る化合物ならびに、それを含む光音響イメージング(Photoacoustic Imaging、以下PAIと略すことがある)用造影剤について説明する。
本実施形態に係る化合物は、トランスフェリンと、近赤外色素とが共有結合していることを特徴とする。すなわち本実施形態は、近赤外色素結合トランスフェリンを提供する。本明細書において近赤外波長領域の光とは600nm乃至1300nmの波長の光を意味する。
ICGなどの近赤外色素は、血中に投与した場合、血中のタンパク質と吸着した上で体外へと排出されやすい。その結果、単独の近赤外色素を生体の血中に投与しても、血中滞留性が低く、腫瘍への集積性が低い。したがって、単独の近赤外色素を光音響イメージング用造影剤として用いた場合、腫瘍から発せられる光音響信号強度は小さい。
一方、本実施形態に係る化合物は、近赤外色素がトランスフェリンと共有結合しているため、トランスフェリンが、近赤外色素への血中タンパク質吸着を抑制する。そのため、本実施形態に係る化合物を生体の血中に投与しても、血中のタンパク質と吸着しにくく、体外へと排出されにくい。さらにトランスフェリンは、がん細胞で高く発現するトランスフェリン受容体を介して細胞内に取り込まれ得るという性質を有するため、近赤外色素を単独で投与した場合に比べて腫瘍集積性が向上する。このような理由で、本実施形態に係る化合物は近赤外色素を単独で投与した場合に比べて血中滞留性や腫瘍集積性が高いため、腫瘍から発せられる光音響信号強度が高くなる効果が期待される。また、本発明の化合物は、腫瘍組織のがん細胞への取り込みにより、その腫瘍集積性は投与後短時間で高くなり、かつ長期間細胞内に維持されることが期待される。よって、腫瘍血中比が高くなる効果が得られる。よって本実施形態に係る化合物は、PAI用造影剤、特に腫瘍のPAI用造影剤として良好に機能する。
また、本実施形態に係る化合物は、インドール環に結合するベンゼン環、またはナフチル環、に親水性の高いスルホン酸基を有しない構造である。ベンゼン環、ナフチル環といった疎水性の高い構造は、化合物全体の疎水性に大きく寄与する。したがってベンゼン環、ナフチル環にスルホン酸基を有しない本実施形態に係る化合物は、疎水性を示し、血中から速やかに排出されずに循環し、その間にEPR効果により腫瘍に集積していく。一方、2つのインドール環の窒素のうち、トランスフェリンが結合しない方の窒素に直接またはリンカーを介してスルホン酸基を有する場合、親水性をある程度付与できる。その親水性によって、血中の本実施形態に係る化合物は排出され、一定時間経過すると血中濃度が低下する。すなわち、本実施形態に係る化合物の有する、疎水性と親水性のバランスによって、腫瘍集積性が高く、かつ、腫瘍血中比を高くすることができる。
本実施形態に係る化合物において、少なくとも1つのトランスフェリンと、少なくとも1つの近赤外色素とが共有結合していればよく、複数のトランスフェリンと複数の近赤外色素とが共有結合していてもよい。また、化合物が、トランスフェリンと複数の近赤外色素を有する場合、少なくとも1つの近赤外色素がトランスフェリンと共有結合していればよく、それ以外の近赤外色素は非共有結合していてもよい。同様に、近赤外色素と複数のトランスフェリンを有する場合、少なくとも1つのトランスフェリンが近赤外色素と共有結合していればよく、それ以外のトランスフェリンは非共有結合していてもよい。
なお、本発明及び本明細書でいう「トランスフェリンと近赤外色素が共有結合した」とは、厳密にいえば、トランスフェリンの一部(代表的にはHまたはOH)を除いた部位(これは基ということもできる)と、近赤外色素の一部(代表的にはHまたはOH)を除いた部位とが共有結合した、ということである。また、「化合物」は別の見方をすれば「分子」ということもできる。また、非共有結合するとは、共有結合以外の結合、例えば、イオン結合、配位結合、金属結合、水素結合、分子間力等により結合することを言う。
(色素標識数)
本明細書においてトランスフェリン1分子に対して共有結合している近赤外色素の平均の数を、色素標識数とよぶ。本実施形態に係る化合物が1分子の場合は、色素標識数nは整数値である。一方、本実施形態に係る化合物が複数集まって混合物を形成している場合、化合物における色素標識数とは、その混合物を構成する化合物の色素標識数の平均値で表わす。よって、本明細書における色素標識数は整数に限らないが、実際のトランスフェリンに標識されている数は整数値をとる。本実施形態に係るPAI用造影剤において、色素標識数は、1以上が好ましく、9以下が好ましい。さらには、2以上が好ましく、8以下が好ましい。特に、4以上が好ましく、7以下が好ましい。これは、色素標識率が上記範囲内にあるときに、腫瘍集積性ならびに腫瘍血中比が高いからである。
なお、色素標識数は近赤外色素の濃度およびトランスフェリンの濃度をそれぞれ求め、それらの比(近赤外色素の濃度/トランスフェリンの濃度)から算出することで求める。近赤外色素の濃度は、その色素の特異的な吸収波長における吸光度と吸収係数から算出した。特異的な吸収波長とは、例えば、近赤外色素としてICG−Sulfo−OSu(下記式(d5−1)で示される化合物)を用いた場合は790nmを採用することができるが、特異的な吸収波長は他の値を採用してもよい。トランスフェリンの濃度はタンパク質特有の吸収である280nmの吸光度と、その波長におけるトランスフェリンの吸収係数を用いて求めることができるし、BCA法等によって求めることもできる。なおトランスフェリンの280nmにおけるモル吸収係数は、非特許文献1に記載された、92300(M−1×cm−1)を用いた。
本実施形態に係るPAI用造影剤は、下記式(I)で示される化合物を有することが好ましい。
式(I)においてTFはトランスフェリン、Lはリンカー、Dは近赤外色素を表す。nは色素標識数である。色素標識数はトランスフェリンならびに近赤外色素の吸光度とその波長におけるモル吸収係数を用いて算出された値である。Lは無くてもよい。
式(I)においてDは下記式(d1)乃至(d4)のいずれかで表わされる。
上記式(d1)において、L11、L12、L13、L14、L15は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR15を表しR15は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L11、L12、L13、L14、L15は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R11、R12、R13、R14は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD1−SO 、−RE1−SO11を表す。RD1、RE1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X11は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC1−SO 、−RG1−SO15、または、−RF1−CO14を表す。X14、X15は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC1、RF1、RG1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA1が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z11は水素原子、またはZ11に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、で置換されていてよい。*はLに結合する、または近赤外色素結合トランスフェリンがLを含まない場合は、トランスフェリン内のアミノ基に結合していることを示す。
上記式(d2)において、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR105を表しR105は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R101、R102、R103、R104は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD11−SO 、−RE11−SO101を表す。RD11、RE11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X101は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC11−SO 、−RG11−SO105、または、−RF1−CO104を表す。X104、X105は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC11、RF11、RG11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA11が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z101は水素原子、またはZ101に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、で置換されていてよい。X102、X103は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかであり、*はLに結合する、または近赤外色素結合トランスフェリンがLを含まない場合は、トランスフェリン内のアミノ基に結合していることを示す。
上記式(d3)において、R201乃至R212は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、―SO24を表す。X24は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L21、L22、L23、L24、L25は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR25を表しR25は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L21、L22、L23、L24、L25は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R21、R22、R23、R24は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD2−SO 、−RE2−SO21を表す。RD2、RE2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X21は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC2−SO 、−RG2−SO25、または、−RF2−CO26を表す。X25、X26は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC2、RF2、RG2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA2が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はLに結合する、または近赤外色素結合トランスフェリンがLを含まない場合は、トランスフェリン内のアミノ基に結合していることを示す。
上記式(d4)において、R301乃至R312は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−SO34を表す。X34は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR35を表しR35は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R31、R32、R33、R34は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD3−SO 、−RE3−SO31を表す。RD3、RE3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X31は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC3−SO 、−RG3−SO35、または、−RF3−CO34を表す。X34、X35は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC3、RF3、RG3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA3が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はLに結合する、または近赤外色素結合トランスフェリンがLを含まない場合は、トランスフェリン内のアミノ基に結合していることを示す。
上記各式において、RA1、RA11、RA2、RA3、RA1、−RC1−SO 、または−RG1−SO15、であることが好ましい。RA1、RA11、RA2、RA3、RA1、がスルホン酸基を有することにより、前述のように、本実施形態に係る化合物にある程度の親水性を付与することができるため、一定時間経過後に、血中から排出されやすくなる。
式(I)において前記Lは下記式(l1)乃至(l5)のいずれかで表わされる。
上記式(l1)乃至(l5)において*は前記トランスフェリンあるいは前記近赤外色素と結合することを示す。上記式(l1)においてnは1〜500の範囲であり、好ましくは1〜120の範囲である。トランスフェリン受容体への結合能を考慮すると、上記式(l1)のnは1〜50の範囲が好ましい。
また、本実施形態に係るPAI用造影剤において、式(I)においてDが、下記の式(d5)乃至(d6)のいずれかで表されることが好ましい。
式(d5)及び(d6)において、*はLに結合する、または近赤外色素結合トランスフェリンがLを含まない場合は、トランスフェリン内のアミノ基に結合していることを示す。式(d6)において、Yは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンのいずれかである。
なお、本実施形態に係る化合物は、さらに、捕捉分子を有することができる。また、本実施形態の化合物が複数集まった混合物として用いることができ、その際は、nの平均値が、1以上であることが好ましく、さらには、nの平均値が4以上7以下であることが好ましい。
本実施形態において、本発明の化合物は、下記式(I−1)で示されることが特に好ましい。
式(I−1)においてTFはトランスフェリン、Dは下記式(d5)で示される近赤外色素である。nは色素標識数である。色素標識数はトランスフェリンならびに近赤外色素の吸光度とその波長におけるモル吸収係数を用いて算出された値である。
上記式(I−1)において、TFはトランスフェリンのうち、近赤外色素との結合に使われる1またはそれ以上のアミノ基を除いた部位を表す。本実施形態において、好ましい例としては、式(I−1)においてnが4以上7以下の範囲である。
また、本実施形態における化合物あるいはPAI用造影剤は標的部位に特異的に結合する捕捉分子を有していてもよい。また、本実施形態の化合物は混合物として用いることができ、その際は、nの平均値が、1以上であることが好ましく、さらには、nの平均値が4以上7以下であることが好ましい。
(トランスフェリン)
本実施形態に係るトランスフェリンは、血漿に存在し、分子量が約80kDaからなるタンパク質である。トランスフェリンは主に鉄イオンを輸送する役割を有する。本実施形態に係るトランスフェリンとしては、ヒト血清由来以外にも、ウシ血清由来、ラット血清由来、マウス血清由来など、人以外の動物種由来のものであってもよく、またこれらの断片であってもよい。本実施形態に係るトランスフェリンとしては、人体での安全性が高いと考えられる、ヒト血清由来トランスフェリン、その改変体、その断片のいずれかであることが好ましい。また、本実施形態に係るトランスフェリンはヒト血液からの抽出物であってもよいし、遺伝子組換え体でもよく、大腸菌、酵母、あるいは培養細胞等からの生産物でもあっても構わない。
ヒトトランスフェリンの配列の例を示す。この例のトランスフェリンは、アミノ酸698残基よりなり、分子量は76960である。
MRLAVGALLVCAVLGLCLAVPDKTVRWCAVSEHEATKCQSFRDHMKSVIPSDGPSVACVKKASYLDCIRAIAANEADAVTLDAGLVYDAYLAPNNLKPVVAEFYGSKEDPQTFYYAVAVVKKDSGFQMNQLRGKKSCHTGLGRSAGWNIPIGLLYCDLPEPRKPLEKAVANFFSGSCAPCADGTDFPQLCQLCPGCGCSTLNQYFGYSGAFKCLKDGAGDVAFVKHSTIFENLANKADRDQYELLCLDNTRKPVDEYKDCHLAQVPSHTVVARSIGGKEDLIWELLNQAQEHFGKDKSKEFQLFSSPHGKDLLFKDSAHGFLKVPPRMDAKMYLGYEYVTAIRNLREGTCPEAPTDECKPVKWCALSHHERLKCDEWSVNSVGKIECVSAETTEDCIAKIMNGEADAMSLDGGFVYIAGKCGLVPVLAENYNKSDNCEDTPGAGYFAVAVVKKSASDLTWDNLKGKKSCHTAVGRTAGWNIPMGLLYNKINHCRFDEFFSEGCAPGSKKDSSLCKLCMGSGLNLCEPNNKEGYYGYTGAFRCLVEKGDVAFVKHQTVPQNTGGKNPDPWAKNLNEKDYELLCLDGTRKPVEEYANCHLARAPNHAVVTRKDKEACVHKILRQQQHLFGSNVTDCSGNFCLFRSETKDLLFRDDTVCLAKLHDRNTYEKYLGEEYVKAVGNLRKCSTSSLLEACTFRRP
(配列番号1)
本実施形態に係るトランスフェリンは上記の全配列あるいは全配列中から取り出してきた部分配列と比較して少なくとも95%以上の相同性を有することを特徴とする。トランスフェリンは近赤外色素が共有結合できる位置に複数のリジン残基を有している。トランスフェリンと近赤外色素との化学結合を形成する場合の一例として、トランスフェリンのリジン残基のアミノ基と近赤外色素のカルボキシル基とによるアミド結合が挙げられる。
(近赤外色素)
本実施形態において近赤外色素としては、近赤外波長領域の光を吸収して音響波を発する有機色素であれば特に限定されない。本実施形態における近赤外色素としては、例えば、アジン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系色素、アゾ系色素、キノン系色素、テトラサイクリン系色素、フラボン系色素、ポリエン系色素、BODIPY(登録商標)系色素、インジゴイド系色素を挙げることが出来る。上記シアニン系色素としては、例えば、インドシアニングリーン(ICG)やその誘導体が挙げられる。
本実施形態において、本発明の化合物を調製するための近赤外色素は、当該色素内にトランスフェリンと共有結合できる官能基を有する。たとえば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはN−ヒドロキシスクシンイミド基などである。好適に用いられる本発明の化合物を調製するための近赤外色素の一例としては、下記式(d5−1)で表される色素である。この色素を用いる場合、色素のN−ヒドロキシスクシンイミド基がトランスフェリンの求核基、たとえばリジン残基のアミノ基とアミド結合を形成することで色素がトランスフェリンに固定される。
(化合物の調製方法)
本実施形態において、トランスフェリンと近赤外色素は、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基を介して公知のカップリング反応によって共有結合させることができる。特に、トランスフェリンのアミノ基を介して結合させることが好ましい。アミノ基はトランスフェリン中に複数存在し、特にリジン残基の1級アミノ基は、弱アルカリ性のpH領域において効率的かつ選択的に近赤外色素のN−ヒドロキシスクシンイミド基に求核反応する。前記反応によりトランスフェリンと結合した近赤外色素は、限外濾過法、サイズ排除カラムクロマトグラフィー法、透析等の公知のタンパク質精製法により洗浄、精製することができる。
(リンカー)
本実施形態に係るPAI用造影剤において、トランスフェリンと近赤外色素の結合はトランスフェリン表面に存在する前記アミノ基、チオール基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基と近赤外色素の誘導体とで直接結合されていても良いし、種々のリンカー(架橋材やクロスリンカーともいわれる)を介してトランスフェリンと近赤外色素が結合されていても良い。
本実施形態において、下記式(l1)乃至(l5)で示されるリンカーが好適に用いられる。
上記式(l1)乃至(l5)において*は前記トランスフェリンまたは前記近赤外色素と結合することを示し、2つの*のうち、いずれがトランスフェリンあるいは前記赤外色素と結合しても構わない。
(分散媒)
本実施形態に係るPAI用造影剤は、上記化合物以外に分散媒を有していてもよい。なお、PAIは、光音響トモグラフィー(断層撮影法)を含む概念である。分散媒として例えば、生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖水溶液が挙げられる。また本実施形態に係るPAI用造影剤は、必要に応じて薬理上許容できる添加物、例えば界面活性剤などを有していても良い。
本実施形態に係るPAI用造影剤は、上記の分散媒に予め分散させておいてもよいし、キットにしておき、生体内に投与する前に分散媒に分散させて使用してもよい。
本実施形態に係るPAI用造影剤は、Enhanced permeability and retention (EPR)効果を利用することで、生体内に投与したときに、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多く集積させることができる。その結果、粒子を生体内に投与した後、生体に光を照射して、生体からの音響波を検出するときに、腫瘍部位から発せられる音響波を正常部位から発せられる音響波よりも大きくすることができる。したがって、本実施形態に係るPAI用造影剤は腫瘍の造影に用いられることが好ましい。また、本実施形態に係るPAI用造影剤は、トランスフェリンを母体とする化合物であり、がん細胞に発現しているトランスフェリン受容体を介してがん細胞内に取り込まれる性質を有する。従って、上記のEPR効果に加えて、本発明の化合物の細胞への取り込みにより、腫瘍集積性が長期間維持されると期待され、一方で血中濃度は時間とともに減少していくため、結果として高い腫瘍血中比を示すことが期待できる。
(捕捉分子)
本実施形態における化合物あるいはPAI用造影剤は標的部位に特異的に結合する捕捉分子を有していてもよい。捕捉分子とは、腫瘍などの標的部位に特異的に結合する物質、標的部位の周辺に存在する物質に特異的に結合する物質などであり、生体分子や医薬品等の化学物質などから任意に選択することができる。具体的には、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、ポリペプチド、ペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。これらの物質は単独で用いることもできるし、あるいは複数を組み合わせて用いることもできる。捕捉分子が化学結合された化合物を用いることで、標的部位の特異的な検出、標的物質の動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。本実施形態において、タンパク質とは、アミド結合によって天然または非天然アミノ酸が90個以上連結されたものを言う。本実施形態においてポリペプチドとは、アミド結合によって天然または非天然アミノ酸が30個以上90個未満で連結されたものを言う。本実施形態において、ペプチドとは、アミド結合によって天然または非天然アミノ酸が30個未満で連結されたものを言う。本実施形態において、タンパク質とポリペプチドとペプチドの分類は、アミノ酸の連結数によってなされるものであり、種々の修飾の有無を問わない。本実施形態において捕捉分子はタンパク質、または、ポリペプチド、または、ペプチドであることが好ましい。
(添加剤)
本実施形態に係る光音響イメージング用造影剤は、凍結乾燥時に使用する添加剤を含んでいてもよい。添加剤の一例としてグルコース、ラクトース、マンニトール、ポリエチレングリコール、グリシン、塩化ナトリウム、リン酸水素ナトリウムが挙げられる。添加剤は1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよい。
(光音響イメージング方法)
生体内に投与された本実施形態に係るPAI用造影剤を、光音響イメージング装置を用いて検出する方法について説明する。本実施形態に係るPAI用造影剤を検出する方法は以下の(a)、(b)の工程を有する。但し、本実施形態に係る光音響イメージング方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでいても良い。
(a)本実施形態に係るPAI用造影剤が投与された検体に600nm乃至1300nmの波長領域の光を照射する工程
(b)前記検体内に存在する前記造影剤から発生する音響波を検出する工程
また、本実施形態に係る光音響イメージング方法は、前記(b)で得られた音響波の波長、位相および時間情報等から空間的な光音響信号強度分布を再構成する工程を有していてもよい。なお、前記(b)の工程で得られた光音響信号の波長、位相および時間情報を基に3次元的な画像再構成を行うことができる。画像再構成によって得られるデータは光音響信号の強度分布の位置情報が把握できるものであればどのような形態を取っても構わない。例えば3次元空間上に光音響信号強度が表現されるようなもの構わないし、2次元平面上に光音響信号強度に表現されるようなものでも構わない。また、同一の観察対象に対して異なる撮像方法で情報を取得し、それらの情報と光音響の強度分布の位置的な対応関係を取得することも可能である。
上記(a)の工程において、経口投与や注射等の方法によって本実施形態に係るPAI用造影剤を投与された検体を用いることができる。
また、上記(a)の工程において、検体に照射する光を発生させる装置、本実施形態に係るPAI用造影剤から発せられる光音響信号を検出する装置は特に限定されない。
上記(a)の工程において検体に光を照射する光源としては、前記検体に対し600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長のレーザーパルス光を照射させることのできるものであれば限定されない。レーザーパルス光を照射する装置として、例えば、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)、OPOレーザー(LT−2214 OPO、Lotis社製)、アレキサンドライトレーザーが挙げられる。
光音響イメージング装置は特に制限されず種々のものを用いることが可能である。例えば、市販の光音響イメージング装置(Nexus128,Endra Inc.製)を用いて行うことができる。
本実施形態に係るPAI用造影剤を用いたイメージング方法は、上記(a)、(b)の工程を経ることで腫瘍あるいは血管などの目的とする部位を造影することができる。
以下、実施例を用いて更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、材料、組成条件、反応条件等、同様な機能、効果を有する色素修飾トランスフェリンが得られる範囲で自由に変えることができる。
(色素標識数の算出)
本発明の実施例においてトランスフェリンに対する色素標識数は化合物の吸光度測定により算出した。つまり、化合物の水溶液を調製し、色素ならびにトランスフェリンの吸光度を測定することで、色素ならびにトランスフェリン濃度を求め、色素濃度をトランスフェリン濃度で割ることにより、色素標識数が求められる。
具体的には、ICG−Sulfo−OSu(下記式(d5−1)で示される化合物)を用いて調製された化合物の場合は、5%ドデシル硫酸ナトリウム(Sulfuric acid dodecyl、以後SDSと略す)で希釈された化合物の水溶液中における790nmの吸光度を計測した。この吸光度はICG由来のものである。ICG濃度は予め作成しておいたSDS中での検量線から算出した790nmの吸収係数120000(M−1×cm−1)を用いて色素濃度を算出した。トランスフェリン濃度は、リン酸緩衝生理食塩水(PBSと略すことがある)中でトランスフェリンの280nmにおける吸光度を測定し、トランスフェリンのモル吸収係数92300(M−1×cm−1)を用いて算出した。色素標識数は、色素濃度をトランスフェリン濃度で割ることで求めた。なお、トランスフェリンの280nmの吸光度は、測定された280nmの吸光度から、ICGの790nmの吸光度に0.4をかけた値を引くことで、トランスフェリンの280nmの吸光度に対する、ICG−Sulfo−OSuの280nmの吸光度の寄与を補正した。
(実施例1:近赤外色素が結合したトランスフェリンの調製)
本実施例における化合物はトランスフェリン表面のアミノ基に対して近赤外色素を共有結合させたものである。以下に調製方法の一例を示す。
まず、10mgのトランスフェリン(トランスフェリン ヒト、T3309、SIGMA社製)を1mLの炭酸緩衝液(pH9.0)に溶解してトランスフェリン溶液とした。下記式(d5−1)で示される1mgの近赤外色素(ICG−Sulfo−OSu、I254、Dojindo Laboratories製)を0.1mLのジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide、以下DMSOと略すことがある)に溶解した。それぞれの溶液をプラスチックチューブ内で混合して室温で3時間、回転撹拌した。得られた反応溶液を0.22μmシリンジフィルターでろ過し、ろ液を回収した。回収した溶液に、セファクリルゲルS−400を加え、室温で1時間回転撹拌した。次いで、このゲル含有溶液を遠心分離し、プラスチックチューブ底にあるゲルを分取しないようにして、上清部分を回収した。最後に、回収した緑色溶液を0.22μmシリンジフィルターでろ過することで本発明にかかる近赤外色素とトランスフェリンが共有結合した化合物(以後iTFと略すことがある)を得た。
表1に反応時の仕込モル比(近赤外色素:トランスフェリン)を変化させて得られた化合物の色素標識数を示す。表1よりトランスフェリンに対する近赤外色素の仕込モル比を変化させることで任意の範囲で色素標識数を変化させることが出来ることがわかった。以後、色素標識数2.0個、4.8個、7.0個、8.3個、ならびに8.4個であるこれらの化合物を、iTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)と略す。
(実施例2:光音響信号の測定)
実施例1で得られたiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)の水溶液、ならびに比較例として、下記式で表されるICGの水溶液の光音響信号を測定した。
光音響信号の計測は、パルスレーザー光をサンプル水溶液に照射し、圧電素子を用いてサンプルから光音響信号を検出し、高速プリアンプで増幅後、デジタルオシロスコープで取得した。具体的な条件は以下の通りである。光源として、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)を用いた。レーザー波長は790nmとした。エネルギー密度はおよそ10から20mJ/cm、パルス幅は約20ナノ秒、パルス繰返し周波数は10Hzの条件とした。光音響信号を検出する圧電素子には、エレメント径1.27cm、中心帯域1MHzの非収束型超音波トランスデューサー(V303、Panametrics−NDT製)。測定容器としては、ポリスチレン製キュベットで、光路長0.1cm、サンプル容量は約200μlであった。水を満たしたガラス容器に前記の測定容器と圧電素子とを浸け、その間隔を2.5cmとした。光音響信号強度を増幅する高速プリアンプは増幅度+30 dBの超音波プリアンプ(Model5682、オリンパス製)を用いた。増幅された信号をデジタルオシロスコープ(DPO4104、テクトロニクス製)に入力した。ガラス容器の外からパルスレーザー光を前記ポリスチレン製キュベットに照射した。この際に生じる散乱光の一部をフォトダイオードで検出し、デジタルオシロスコープにトリガー信号として入力した。デジタルオシロスコープを32回平均表示モードとし、レーザーパルス照射32回平均の光音響信号強度の測定を行った。
表2に、本発明の実施例に係るiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)の水溶液、ならびに比較例としてのICGの水溶液の光音響信号強度を示した。表2は、ICGの光音響信号強度を1とした相対強度として示したものである。表2から明らかなように、トランスフェリンへ多数の近赤外色素が結合できるため、ICGに比較して、トランスフェリンからの光音響信号が1.8倍から10.8倍にまで増加することがわかった。この結果より、本発明のiTFは高い感度で光音響イメージングできる光音響イメージング用造影剤であることが示された。
(実施例3:がん細胞への取り込み能評価)
実施例1で得られたiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)、ならびに比較例として、Alexa Fluor(登録商標) 680近赤外色素が結合したトランスフェリン(Transferrin From Human Serum, Alexa Fluor(登録商標) 680 Conjugate、ライフテクノロジー社製、製品番号:T35357、色素標識数2.0)のがん細胞への取り込み能を測定した。以後、Alexa Fluor(登録商標) 680近赤外色素が結合したトランスフェリンをAlexaFluor680−TF(2.0)と略す。
取り込み能の測定方法は、以下のように行った。まずcolon26マウス腸癌細胞(理研)を24ウェルプラスチックプレートに播種して培養した。翌日、培養培地を除去して、新鮮な培養培地に交換後、iTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)、ならびにAlexaFluor680−TF(2.0)をそれぞれ色素濃度10μMになるように加えた。37℃で5%COの条件で24時間インキュベートした。次いで、培養培地を除去して、PBSで2回細胞を洗浄後、トリプシンーEDTAにより細胞をはがして回収した。細胞数をカウント後、細胞を1%トライトンX100溶液を用いて溶解した。細胞の溶解液にDMSOを添加後、その溶液のICG蛍光強度を測定することで、細胞に取り込まれたICG量を測定した。
表3に、色素取り込み量の相対値を示す。比較例であるAlexaFluor680−TF(2.0)に比べ、本発明のiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、ならびにiTF(8.4)は、約20〜60倍高い細胞取り込み能を示した。色素標識数が近いAlexaFluor680−TF(2.0)と本発明のiTF(2.0)を比較すると、本発明のiTF(2.0)の方が、60倍も細胞取り込み能が向上した。この違いの原因は、色素の親疎水性が影響していると思われる。AlexaFluor680の構造は未公開であるが、その構造にはスルホン酸が導入され高い親水性が付与されていると思われる。一方でiTF(2.0)の色素骨格にはスルホン酸は有しておらず、疎水性である。したがって、トランスフェリンが色素標識により疎水性になり、細胞への吸着が促進され、その結果、細胞の取り込み能が増加したと思われる。がん細胞への取り込みに基づく腫瘍造影剤として非常に有用な化合物であることが示された。
(実施例4:蛍光イメージングによる腫瘍のイメージングコントラスト評価)
実施例1で得られたiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)、ならびに比較例として、ICGとAlexaFluor680−TF(2.0)について、担癌マウスを用いた蛍光イメージングにより、腫瘍のイメージングコントラストを評価した。蛍光イメージング実験においては、雌の非近交系BALB/c Slc−nu/nuマウス(購入時6週齢)(日本エスエルシー株式会社)を用いた。マウスに担癌させる前の1週間、標準的な食餌、寝床を用い、自由に食餌および飲料水を摂取できる環境下でマウスを順応させた。イメージング実験の約1週間前に1×10個のcolon26マウス腸癌細胞(理研)を、マウスの大腿部に皮下注射することで担癌モデルマウスを調製した。
iTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)、ICG、ならびにAlexaFluor680−TF(2.0)を投与した担癌マウスの全身蛍光像を、IVIS(登録商標)Imaging System 200 Series(XENOGEN)を用いて、投与24時間後にマウスの明視野像と蛍光像を取得した。iTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)、ならびにICGの投与量はマウス当たり、色素量として10nmol、AlexaFluor680−TF(2.0)の投与量はマウス当たり、色素量として31nmolとして、100μLのPBS溶液としてマウス尾静脈に注射した。
図1はiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)、ICG、ならびにAlexaFluor680−TF(2.0)の投与後24時間目のマウスの蛍光イメージの代表的な例である。図1中、矢印は大腿部の腫瘍の位置を示している。図1から明らかなように、比較例のICGでは腫瘍部で蛍光信号が全く見られなかったが、本発明のiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、ならびにiTF(8.4)では、腫瘍部位からの蛍光信号が見られた。この結果より、本発明のiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、ならびにiTF(8.4)は、腫瘍へ集積することができることがわかった。
腫瘍のイメージングコントラストを評価するために、図1で示されるような蛍光イメージングデータから、腫瘍部(計測面積0.5×0.5cm)の蛍光強度と足の付け根の蛍光強度(正常部位として選択、計測面積0.5×0.5cm)を定量化した。これらの比、つまり腫瘍部蛍光強度の値を正常部蛍光強度の値で割った値をイメージングコントラストとして数値化した。イメージングコントラストは、それぞれの化合物の腫瘍造影能を示すパラメータであり、イメージングコントラストが高いほど腫瘍の造影剤として有効であることになる。表4に各化合物のイメージングコントラストを示す。本発明のiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、ならびにiTF(8.4)のイメージングコントラストは2.3以上であり、比較例のICG、ならびにAlexaFluor680−TF(2.0)に比べても高かった。この結果より、本発明の実施例に係る、近赤外色素が結合したトランスフェリンは腫瘍造影能に優れていることが示された。本発明の化合物のイメージングコントラストが、AlexaFluor680−TF(2.0)に比べて大きいのは、後述するように腫瘍集積性の違いによるものであると考えられる。イメージングコントラストが最も高くなる色素標識数は4.8であった。一方、色素標識数が8を超えると、イメージングコントラストが減少する傾向が見られた。
(実施例5:化合物の腫瘍集積率と血中残存率の評価)
実施例4で実施した腫瘍造影実験のマウスの腫瘍中色素量と血中色素量を定量することで、化合物の腫瘍集積率と血中残存率を評価した。
腫瘍集積率は、腫瘍1gあたりの色素投与量に対する腫瘍への色素移行率(%ID/g)で表わした。まず、投与24時間後にマウスを炭酸ガスで安楽死させた後、腫瘍を外科的に摘出した。腫瘍をプラスチックチューブに移し、腫瘍重量に対し1.25倍量の1%Triton−X100水溶液を添加し、プラスチックペッスルを用いて破砕した。次いで、腫瘍組織重量の20.25倍量のDMSOを加えた。IVIS(登録商標)Imaging System 200 Series(XENOGEN)を用いて、プラスチックチューブの状態で、前記の通り処理された腫瘍破砕溶液の蛍光強度を測定することで腫瘍中の色素量を測定した。
血中残存率は、血液1g(比重を1として1mL)あたりの色素投与量に対する血液への色素移行率(%ID/g)として表わした。投与24時間後にマウス尾静脈から血液を採取し、プラスチックチューブ内で血液、1%Triron(登録商標) X−100、ならびにDMSOを2:9:9で混合した。IVIS(登録商標)ImagingSystem 200 Series(XENOGEN社製)を用いて、プラスチックチューブの状態で、前記の通り処理された血液溶液の蛍光強度を測定することで血中の色素量を測定した。
以上の測定より、腫瘍血中比を算出した。これは腫瘍集積率と血中残存率の比であり、この値が高いほど、腫瘍造影能が高いことを意味する。
結果を表5に示す。本発明のiTF(2.0)、iTF(4.8)、iTF(7.0)、iTF(8.3)、iTF(8.4)の腫瘍集積性は0.8から7.1%ID/gであり、iTF(4.8)では最も高い腫瘍集積性7.1%ID/gを示した。比較例であるICGは腫瘍集積性を持たないため、腫瘍集積率はゼロであった。比較例であるAlexaFluor680−TF(2.0)の腫瘍集積率は0.6%ID/gであった。本発明の化合物の腫瘍集積率がAlexaFluor680−TF(2.0)に比べて高い理由は、色素の親疎水性が影響していると思われる。AlexaFluor680の構造は未公開であるが、その構造にはスルホン酸が導入され高い親水性が付与されていると思われる。一方で本発明のiTFの色素骨格にはスルホン酸は有しておらず、疎水性である。したがって、トランスフェリンが色素標識により疎水性になり、細胞の取り込み能が増加した結果、腫瘍集積率が増加したと考えられる。本発明の化合物の中でも、色素標識数の違いで腫瘍集積性が変化した。
色素標識数が4.8であるiTF(4.8)において最大の腫瘍集積率が得られた。これは腫瘍集積率に対する化合物の親水疎水バランスが最も良い状態であることが考えられる。それ以上の色素標識数になると、化合物全体の疎水性が強くなり、血中でのタンパク質吸着が促進され、あるいはトランスフェリン自体の変性を誘起するため、血中滞留性が低下し、その結果、腫瘍集積率が低下したと考えられる。
腫瘍血中比は、比較例のICGとAlexaFluor680−TF(2.0)に比べて、3.5倍から11倍も高くなった。これは、本発明のiTFは、高い腫瘍集積率を示す一方で、血中残存率が低いためである。つまり、本発明の化合物の腫瘍集積維持性が高いことを意味している。この結果からも、腫瘍細胞への取り込み能の高さが示唆される。
表4のイメージングコントラストからも明らかなように、色素標識数が4.8であるiTF(4.8)において最大の腫瘍血中比3.3が得られた。以上の結果より、本発明の実施例に係るiTFは、高い感度かつ高い腫瘍選択的な腫瘍の光音響イメージングを可能にする光音響イメージング用造影剤であることが示された。

Claims (9)

  1. 式(I)で示される化合物を含む光音響イメージング用造影剤
    (式(I)においてTFはトランスフェリン、Lはリンカー、Dは近赤外色素を表す。nは色素標識数である。色素標識数はトランスフェリンならびに近赤外色素の吸光度とその波長におけるモル吸収係数を用いて算出された値である。nは2.0以上8.4以下である。Lは無くてもよい。式(I)においてDは下記式(d5)又は(d6)で表わされる。式(d5)及び(d6)において、*はLに結合することを示す。式(d6)において、Y はハロゲンイオン、または有機酸イオンである。
  2. 式(I−1)で示される化合物を含む光音響イメージング用造影剤
    (式(I−1)においてTFはトランスフェリン、Dは近赤外色素である。nは色素標識数である。色素標識数はトランスフェリンならびに近赤外色素の吸光度とその波長におけるモル吸収係数を用いて算出された値である。nは2.0以上8.4以下である。式(I−1)においてDは下記式(d5)又は(d6)で表わされる。式(d5)及び(d6)において、*は、トランスフェリンに結合していることを示す。式(d6)において、Y はハロゲンイオン、または有機酸イオンである。
  3. 記nが、4以上7以下である請求項1又は2に記載の光音響イメージング用造影剤
  4. 式(I−1)で表される化合物を含む光音響イメージング用造影剤であって、
    前記Dが、前記式(d5)で表わされる請求項2に記載の光音響イメージング用造影剤
  5. 前記トランスフェリンがヒトトランスフェリン、ヒトトランスフェリンの改変体、ヒトトランスフェリンの断片、ヒトトランスフェリンの改変体の断片のいずれかである請求項1乃至のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤
  6. 捕捉分子をさらに有する請求項1乃至のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤
  7. 分散媒をさらに含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
  8. 腫瘍の造影に用いられる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
  9. 添加剤をさらに有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
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