JP6652808B2 - 重合体、前記重合体を有する光音響イメージング用造影剤 - Google Patents

重合体、前記重合体を有する光音響イメージング用造影剤 Download PDF

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Description

本発明は、重合体、および前記重合体を有する光音響イメージング用造影剤に関する。
生体内部の情報を可視化する装置の1つとして、光音響トモグラフィー(Photoacoustic tomography、以下PATと略すことがある)装置が知られている。PAT装置を用いる測定においては、被測定体に光を照射したときに被測定体内部で光を吸収した物質(光吸収体)が発する光音響信号の強度と発生時刻を測定することにより、被測定体内部の物質分布を演算した画像を得ることができる。
ここで、光吸収体としては、生体内で光を吸収して音響波を発するものであればいかなるものをも用いることができる。例えば人体内の血管や悪性腫瘍などを光吸収体とすることが可能である。その他にも、インドシアニングリーン(Indocyanine Green、以下ICGと略すことがある)などの分子を体内に投与し、造影剤として利用することもできる。ICGは、人体に照射した際の影響が少なくかつ生体への透過性が高い近赤外波長領域の光をよく吸収することから、PAT装置における造影剤(光音響造影剤と略すことがある)として好適に用いることができる。なお、本明細書において、ICGとは下記式の構造で示される化合物を指す。
ただし、対イオンはNaでなくてもよく、HあるいはKなど任意の対イオンを用いることができる。
しかし、ICGは血中での半減期が数分程度と非常に短いことが知られている。
また、特許文献1では、近赤外色素にポリエチレングリコール(Poly(ethylene glycol)、以下PEGと略すことがある)を共有結合させた造影剤を用いて腫瘍集積を確認した例が報告されている。近赤外色素をPEGに結合させることで、近赤外色素単独に比べて、血中での半減期を長くすることができる。
特表2012−520856号公報
Biomaterials,(2014),35(17),4848−4861
特許文献1に開示された近赤外蛍光色素を結合させたPEGでは、高い腫瘍集積性を示す一方で、血中滞留性も高いため、その腫瘍血中比が低いという課題がある。
そこで本発明では、腫瘍血中比が高い重合体及び重合体を有する光音響イメージング用造影剤を提供することを目的とする。
本発明は下記式(P1)で表わされる重合体を提供する。
上記式(P1)中、Rはカチオン重合開始剤に由来する残基、または官能基のいずれかを表し、Lはリンカーで、Lは存在しなくてもよく、nは1以上の整数であり、Dは近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、置換を含む場合は、その置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−ヘプチル基、フェニル基、ブテニル基、ペンチニル基のいずれかである。
本実施形態に係る重合体の式(P1)中のDの一例としては下記式(d1−1)または(d1−6)を挙げることができる。
上記式(d1−1)又は(d1−6)において*はLに結合すること、あるいは、重合体がLを含まない場合は、式(P1)の繰り返し単位の末端の炭素原子に直接結合することを示す。
本発明に係る重合体によれば、主鎖がポリオキサゾリンまたはその類縁体の構造を有するため、腫瘍に集積し、また時間がたつにつれ血中から排出されるため、腫瘍血中比を大きく、腫瘍を選択的に検出できる造影剤として用いることができる。
本発明の実施例における重合体P6を投与した後、24時間目の担癌マウスの全身蛍光像である。 本発明の実施例における重合体P1、重合体P2、重合体P3、重合体P5、重合体P6、および重合体P8をマウスに投与したときの腫瘍集積量および血中濃度を示すグラフである。 本発明の実施例における重合体P6と比較例(PEG1)の腫瘍血中比を示すグラフである。 本発明の実施例における重合体P9を投与した後、24時間目の担癌マウスの全身蛍光像である。 本発明の実施例における111In標識DOTA−P13、111In標識DOTA−P18、111In標識DOTA−P19をそれぞれ静脈内投与した後、1、6、24時間目のマウスから摘出した各臓器の放射活性を示すグラフである。(A)111In標識DOTA−P19、(B)111In標識DOTA−P18、(C)111In標識DOTA−P13をそれぞれ表わす。 本発明の実施例における重合体P10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、P23−ICGを投与した後、24時間目の担癌マウスの全身蛍光像である。 本発明の実施例における重合体P10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、P23−ICGを投与した後の担癌マウスにおける血中濃度変化を示すグラフである。(A)経時的な血中濃度変化、(B)重合体の分子量と、血中半減時間のプロットをそれぞれ表わす。 本発明の実施例における重合体P33−ICG1、P34−ICGの細胞取り込み実験結果である。 本発明の実施例における重合体を投与した後、24時間目の担癌マウスの全身蛍光像である。 本発明の実施例における重合体を投与した後、24時間目の担癌マウスのin vivo光音響画像である。
本発明の実施形態に係る重合体について説明するが、本発明はこれらに限られない。
本実施形態に係る重合体は、ポリオキサゾリンまたはその類縁体を主鎖とし、重合体末端に近赤外色素が結合した構造である。具体的には、下記式(P1)で表わされる。
上記式(P1)中、Rは特に限定されないが、例えばカチオン重合開始剤に由来する残基、官能基のいずれかを表す。また、上記式(P1)中、Lはリンカーで、Lは存在しなくてもよく、nは1以上の整数であり、Dは近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、置換を含む場合は、その置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−ヘプチル基、フェニル基、ブテニル基、ペンチニル基のいずれかである。
本実施形態に係る重合体の式(P1)中のDの一例としては下記式(d1)または(d2)を挙げることができる。
上記式(d1)において、L11、L12、L13、L14、L15は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR15を表し、R15は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L11、L12、L13、L14、L15は互いに結合して4員環乃至6員環を形成していてもよい。R11、R12、R13、R14は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD1−SO 、−RE1−SO11を表す。RD1、RE1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X11は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC1−SO 、−RG1−SO15、または、−RF1−CO14を表す。X14、X15は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンンのいずれかを表す。RC1、RF1、RG1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA1が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z11は互いに独立に水素原子、−SO12を表わすか、またはZ11に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、−SO13で置換されていてよい。X12、X13は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかであり、*はLに結合する、または重合体がLを含まない場合は、式(P1)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
上記式(d2)において、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR105を表し、R105は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は互いに結合して4員環乃至6員環を形成していてもよい。R101、R102、R103、R104は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD11−SO 、−RE11−SO101を表す。RD11、RE11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X101は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC11−SO 、−RG11−SO105、または、−RF11−CO104を表す。X104、X105は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンンのいずれかを表す。RC11、RF11、RG11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA11が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z101は互いに独立に水素原子、−SO102を表わすか、またはZ101に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、−SO103で置換されていてよい。X102、X103は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかであり、*はLに結合する、または重合体がLを含まない場合は、式(P1)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
更に(d1)および(d2)は、それぞれ上記(d3)および(d4)で表わすこともできる。上記式(d3)において、R201乃至R212は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−SO24を表す。X24は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L21、L22、L23、L24、L25は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR25を表し、R25は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L21、L22、L23、L24、L25は互いに結合して4員環乃至6員環を形成していてもよい。R21、R22、R23、R24は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD2−SO 、−RE2−SO21を表す。RD2、RE2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X21は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC2−SO 、−RG2−SO25、または、−RF2−CO26を表す。X25、X26は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC2、F2、G2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA2が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はLに結合する、または重合体がLを含まない場合は、式(P1)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。上記式(d4)において、R301乃至R312は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−SO34を表す。X34は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR35を表し、R35は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は互いに結合して4員環乃至6員環を形成していてもよい。R31、R32、R33、R34は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD3−SO 、−RE3−SO31を表す。RD3、RE3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X31は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC3−SO 、−RG3−SO35、または、−RF3−CO36を表す。X35、X36は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニア、トリエチルアミン、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC3、F3、G3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA3が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はLに結合する、または重合体がLを含まない場合は、式(P1)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
は上述のとおり、カチオン重合開始剤に由来する残基、あるいは官能基のいずれかを表わす。ここで、官能基とは、一般的な官能基全ての他、さらに、低分子化合物、色素、レポーター分子、標的結合性分子、重合体などに由来する基を含む。低分子化合物、色素、レポーター分子、標的結合性分子、重合体などに由来する基とは、それらが、カチオン重合開始剤に由来する残基を介して結合したもの、あるいは、Rがそのまま、低分子化合物、色素、レポーター分子、標的結合性分子、重合体に置換されたものを含む。また、上記の低分子化合物、色素、レポーター分子、標的結合性分子、重合体などは、結合の過程において、含まれる原子の一部が他の原子に置換等されていてもよい。
本実施形態に係る重合体におけるRとしての官能基としてはあらゆる基が含まれ、一例として、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、アジド基、ジアミン、スクシニミジルエステル基、マレイミド基、スクシンイミド基を挙げることができる。また、Rとしての化合物の例として、低分子化合物、レポーター分子、標的結合性分子、他の重合体等を挙げることができる。低分子化合物の例としてゲフィチニブのような阻害薬が挙げられる。レポーター分子の例として、放射性信号、磁場信号、超音波信号、蛍光信号、光超音波信号などの物理的な信号を発生する分子、治療用薬剤である、放射性ハロゲン、放射性同位元素、常磁性金属イオン、酸化鉄粒子、金ナノ粒子、マイクロバブル、色素、抗癌剤などを挙げられる。色素の例として蛍光性化合物、燐光性化合物、近赤外光吸収性化合物が挙げられる。標的結合性分子の例としては、抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体などの人工抗体、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。Rとしての他の重合体の例としては、ポリエチレングリコールが挙げられるが、重合度は任意であり、エチレングリコールであってもよい。
本実施形態に係る重合体の腫瘍血中比が大きくなる理由について説明する。ここでは、式(P1)の主鎖としてポリオキサゾリン(以下POZと略すことがある)、及びDで表わされる近赤外色素として、ICGを有する場合を例に説明する。POZとICGの表面エネルギー評価から、ICGとPOZは相溶性が低く、ICGはPOZに被覆されないという傾向が予測される。
一方、従来技術のICG結合PEGについて、ICGとPEGは相溶性が高く、ICGはPEGによって有効に被覆される。本実施形態では、POZに結合したICGが、上記の理由によりPOZに被覆されていないため、色素と血中タンパク等が確率的に接触し、異物認識され、肝臓や脾臓に運ばれることで、血中濃度が低下する効果を奏すると考えられる。
また、POZはPEGに比較して酸化的分解を受けやすいことが報告されている(非特許文献1)。そのため血中に滞留するプローブは時間が経過するにつれ、酸化的分解により代謝排泄されるため血中濃度が低下する。その結果、腫瘍血液比が高くなる効果を奏すると考えられる。一方で従来技術のICG結合PEGは分解されず長期間血中に滞留するため、腫瘍血中比は低くなる。
なお、以下では、ポリオキサゾリンのモノマーであるオキサゾリンをOZと略することがある。
また、上記式(P1)の例として下記式(p1−1)で表わされる重合体が挙げられる。
また、上記Dの例として、下記式(d1−1)乃至(d1−6)が挙げられる。
上記式(d1−1)乃至(d1−6)において*はLに結合すること、あるいは、重合体がLを含まない場合は、式(P1)または式(p1−1)の繰り返し単位の末端の炭素原子に直接結合することを示す。
また、Lが存在する場合、Lの一例として、下記式(l1)乃至(l14)を含む構造が挙げられる。下記式(l1)乃至(l14)において、2つの*は各々、式(A1)におけるDとZに直接結合または間接結合する。式(l14)において、ωは、カチオン重合反応終了末端に由来する残基、あるいは官能基を表す。下記式(l1)乃至(l14)は単独で使用しても良く、同一種類または複数種類を繰り返して使用しても良い。ここで、複数種類を繰り返して使用する例としては、下記式(l1−1)が挙げられる。下記式(l1−1)は下記式(l1)、(l2)、(l3)、(l4)、(l5)、(l7)、(l12)、および、(l13)を使用している。
前記の化学構造の中の*は、前記Dまたは繰り返し単位の末端の炭素原子と直接結合または間接結合する。
前記Lの形成は、前記のDに、例えば、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、N−スクシンイミジルオキシ基、N−スルホスクシンイミジル基、N−マレイミドアルキル基、ヨードアセトアミド基、ブロモアセトアミド基、イソチオシアノ基、スルホン酸塩化物基、およびカルボン酸塩化物基等の反応性基を有するものを用い、結合反応を起す組合せで選ばれた前記反応性基の間で結合を生じさせることにより行うことができる。また、前記で生じた結合がシッフ塩基やカルボニル基を含む場合には、それらを還元して結合のさらなる安定化を図ることができる。
また、上記式(P1)の例として下記式(1)で表わされる重合体が挙げられる。
本実施形態に係る重合体は、更に、下記式(A1)で表わすこともできる。
下記式(A1)で表わされる重合体。
上記式(A1)中、Rは、カチオン重合開始剤に由来する残基、あるいは官能基を表し、Lは、リンカーで、Lは存在しなくてもよく、Dは、近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、Zは、下記式(A2)で示される単位を少なくとも一つ含む構造を表し、
上記式(A2)中、D は、近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、置換を含む場合は、その置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基である。
更に、本実施形態に係る重合体は、前記(A1)式におけるZが、前記式(A2)で表わされる単位を少なくとも1つと、下記式(A3)で表わされる単位を少なくとも1つとを含む構造で表わされる。
上記式(A3)中、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、置換を含む場合は、その置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−ヘプチル、フェニル基、ブテニル基、ペンチニル基のいずれかである。
本実施形態に係る重合体は、更に、上記式(A1)中のZが、前記式(A2)で表わされる単位、及び前記式(A3)で表わされる単位と、を有するランダム共重合体で表わすこともできる。
上記式(A1)中のZが、前記式(A2)で表わされる単位を有するための合成方法の例としては、ポリオキサゾリンを加水分解した結果生じるアミノ基に上記Dを結合させる方法を挙げることができる。ポリオキサゾリンの加水分解方法の例としては、ポリオキサゾリン水溶液に塩酸または水酸化ナトリウム水溶液を加えて加温する方法を挙げることができる。ポリオキサゾリンの加水分解割合は、ポリマー濃度、反応温度、反応時間、塩酸または水酸化ナトリウム水溶液の量等によって適宜調節することが可能である。ポリオキサゾリンの加水分解割合は、プロトンNMR法や電気伝導度滴定等によって測定することが可能である。
本実施形態に係る重合体の加水分解割合は、任意に調節し使用することが可能であるが、好ましくは、60%以下である。より好ましくは、20%以下である。この理由のひとつは、次の通りである。加水分解割合が多くなると、重合体中のアミノ基の割合が多くなる。アミノ基は正電荷を有しやすく、細胞や他の生体物質との相互作用を生じやすい。また、アミノ基は蛋白質などの他の生体物質と結合性の相互作用を生じることがある。つまり、重合体の加水分解割合が多くなることによってアミノ基が多くなり、それゆえ重合体が望まない相互作用を生じる可能性があるため、上述の加水分解割合であることが好ましい。
上記式(A1)中のZが、前記式(A2)で表わされる単位を有するための合成方法の例としては、ポリオキサゾリンを加水分解した結果生じるアミノ基に上記Dを結合させる方法を挙げることができる。以下では、Dの例として式(A4)を結合させる方法について説明する。
上記式(A4)において、*はLまたは前記式(A2)のNに結合する、または前記重合体がLを含まない場合は、前記式(A1)中のZ、に結合することを示す。
具体的には、まず、式(A5)へスクシニミジルエステル基を導入する。
次に、加水分解されたポリオキサゾリンと、スクシニミジルエステル基を導入された式(A5)とを反応させることにより、色素を結合させることができる。色素の導入方法はこれに限定されない。別の例としては、加水分解されたポリオキサゾリンへ官能基を導入し、色素と反応させ結合させることができる。更に、ポリオキサゾリンを加水分解した結果生じるアミノ基へ、レポーター分子や標的結合性分子、ポリマーを導入することができる。ここで、レポーター分子とは、放射性信号、磁場信号、超音波信号、蛍光信号、光超音波信号などの物理的な信号を発生する分子や治療用薬剤を意味し、放射性ハロゲン、放射性同位元素、常磁性金属イオン、酸化鉄粒子、金ナノ粒子、マイクロバブル、色素、抗癌剤などが例として挙げられる。色素の例として蛍光性化合物、燐光性化合物が挙げられるが、光超音波信号を発生する分子としては、目的に応じた波長域の光を吸収する性質を有していればよい。レポーター分子を有していることにより、コントラストを強調する造影剤としての利用が可能である。ここで、標的結合性分子とは、腫瘍やその周辺部などに特異的な標的に選択的に結合する物質であり、生体分子や医薬品等の化合物から任意に選択することができる。具体的には、抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体などの人工抗体、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。これらの物質は単独で用いることもできるし、あるいは複数を組み合わせて用いることもできる。標的結合性分子が結合された化合物を用いることで、腫瘍やその周辺部などに特異的な標的の検出を可能にし、動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。ここで、ポリマーとはポリエチレングリコールのような重合体である。生体内投与における動態の制御に好適に用いることができる。水溶性、疎水性、どちらの性質を有していても良いが、好ましくは水溶性を有するポリマーである。
本実施形態に係る重合体である上記式(A1)中のZが、前記式(A2)で表わされる単位、及び前記式(A3)で表わされる単位とを有するランダム共重合体で表わされる場合、式(A2)の割合は、任意に調節し使用することが可能であるが、好ましくは、60%以下である。より好ましくは、20%以下である。更に好ましくは、0.01%以上10%以下である。この理由のひとつは、次の通りである。式(A2)の割合、つまり、Dの割合が多くなると、Dと細胞や他の生体物質との相互作用が生じ、体内動態に影響を与える可能性があるためである。
また、上記式(A1)の例として下記式(A6)で表わされる重合体が挙げられる。
上記式(A6)中、Rは、カチオン重合開始剤に由来する残基、あるいは官能基を表し、ωは、カチオン重合反応終了末端に由来する残基、あるいは官能基を表し、近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−ヘプチル、フェニル基、ブテニル基、ペンチニル基のいずれかである。
また、上記式(A2)としては、下記式(A7)で表わされる単位、上記式(A3)としては、下記式(A8)で表わされる単位が、例として挙げられる。
上記式(A8)中、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−ヘプチル、フェニル基、ブテニル基、ペンチニル基のいずれかである。
(ポリオキサゾリン)
本実施形態に係るOZは、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール(4,5−dihydro−1,3−oxazole)とも表される。本実施形態の主鎖であるPOZは、水溶性の高分子であり、高い生体適合性と低い細胞毒性という性質を有する。また、生体内で分解され代謝されることが期待される。
本実施形態の重合体の重量平均分子量は、10000以上200000以下の範囲であることが好ましく、10000以上100000以下の範囲であることがさらに好ましく、10000以上50000以下であることがさらに好ましく、15000以上50000以下であることがさらに好ましく、さらには15000以上30000以下がより好ましい。重量平均分子量が10000以上であれば、Enhanced Permeability and Retention(以下、EPRと略すことがある)効果により、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多く集積させることができる。また、重合体の分子量増大に伴い、重合反応の進行が困難になること、および溶液粘性が増大することから重合体の分子量は50000以下であることが好ましい。このような特徴を有するPOZと色素からなる本実施形態に係る重合体および該重合体を有する光音響用造影剤は、腫瘍部へ集積する一方で、血中濃度は速やかに減少するため腫瘍血液比が高くなる効果を奏する。
なお、本明細書において分子量は重量平均分子量である。平均重量分子量はGPC法やプロトンNMR法によって測定することができる。
OZは、分子内イミノエーテル結合を有する5員環の化合物であり、2位の位置に任意の置換基を導入することができる。例えば、メチル基を導入したMeOZ、エチル基を導入したEtOZ、イソプロピル基を導入したIPOZ、n−プロピル基を導入した2−n−propyl−2−oxazoline、n−ブチル基を導入した2−n−butyl−2−oxazoline、n−オクチル基を導入した2−n−octyl−2−oxazoline、n−ヘプチル基を導入した2−n−heptyl−2−oxazoline、フェニル基を導入した2−phenyl−2−oxazoline、ブテニル基を導入した2−(but−3−enyl)−2−oxazoline、ペンチニル基を導入した2−(pent−4−ynyl)−2−oxazoline等を挙げることができる。本実施形態において最も好ましくはOZとして、MeOZ、EtOZ、IPOZが用いられるが、これに限定されない。
OZは、カチオン開環重合反応によりポリマー化しPOZを生成する。重合開始剤(以下、開始剤と略すことがある)としてはカチオン開環重合を開始する任意の物質を用いることができるが、好ましくはp−トルエンスルホン酸メチル(Methyl p−toluenesulfonate)、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(Methyl trifluoromethanesulfonate)を用いることができる。これらの開始剤を用いた場合、重合体の末端はメチル基となる。前述のOZは単独または任意の組み合わせで重合させることができる。重合は一般的な反応に基づき実施することができる。例えば、室温での撹拌や、還流装置による加温反応や、マイクロウェーブによる加温反応などであり、このうちマイクロウェーブによる反応は短時間で分散度の小さいPOZを得ることができるため好ましい。マイクロウェーブでは、80〜200℃、反応時間は1〜30分の間で反応をコントロールすることでポリマーの分子量や分散度を調整することができる。マイクロウェーブ装置としては、一般に使用される任意の機器を使用することができ、例えば、Discover(登録商標) SP System(CEM社製)を挙げることができる。
POZは、OZの組成、溶液中のPOZ濃度、およびPOZ分子量に依存した下部臨界共溶温度(Lower Critical Solution Temperature、以下LCSTと略すことがある)を示す。LCSTは曇点とも表される。例えば、PEtOZは、61から72℃、PIPOZは35から39℃にLCSTを示すことが報告されている。POZはLCST以上の温度において、可逆的な相転移が生じ凝集状態となる。本実施形態に係る重合体および該重合体を有する光音響用造影剤は、生体内に投与した後、血中を循環し腫瘍部へ集積するが、投与された生体より低いLCSTを示すPOZは生体内において凝集状態となるため好ましくない。つまり本実施形態に係る重合体および該重合体を有する光音響用造影剤は、投与された生体より高いLCSTを示すことが好ましい。
本実施形態に係る重合体は、前述の通りLCST以上の温度で凝集状態になるが、これに伴い光音響信号が増加する。これは、後述の実施例にて示している通り、最大で3倍にもなることが確認できている。この原因の一つとしては、重合体の吸収した光/熱エネルギーが、周囲の水ではなく、凝集体ポリマー層へ移動することが考えられる。これにより、重合体の吸収したエネルギーから光音響信号への変換効率が高くなると考えられる。つまり、本実施形態に係る重合体が集積した部位を加温することにより、当該部位から生じる光音響信号を増加させる効果が得られる。
本実施形態に係る重合体の主鎖であるPOZには、以下に示す種々の方法で官能基を導入し機能化することができる。例えば、開始剤に由来するα位へ導入できる官能基には、アルキン、アルコール、カルボキシル、アミン、アントラセン等が挙げられる。別の例としてPOZのω位へ導入できる官能基には、アミン、アルケン、カルボキシル、チオール、アジド等が挙げられる。ω位への官能基導入は、保護基を使用することなく進行する反応もあり、簡便であることから好ましい。例えばPOZの重合反応の後に、アミンを官能基として有する色素を求核反応によって導入することにより色素を共有結合させることができる。更にω位への官能基導入の一例としてジアミン(例えばエチレンジアミン)を反応させてアミノ基を導入することができる。具体的に、本実施形態に係る重合体および該重合体を有する光音響用造影剤では、POZの重合反応の後に、エチレンジアミンを反応させアミノ基を導入した後、スクシニミジルエステル基を有する色素を反応させることにより、色素を共有結合させているが、色素の導入方法はこれに限定されない。また別の例としては、POZの側鎖の2位へ導入できる官能基には、アルケン、アルキン、アミン、アルデヒド、チオール等が挙げられる。アルキンはクリック反応によってアジド−アルキン環状付加させることができる。また、アルケンは、thiol−eneクリック反応によってチオール基を有する化合物を付加させることができる。上述の反応によって重合体の主鎖であるPOZにレポーター分子や標的結合性分子を導入することができる。ここで、レポーター分子とは、放射性信号、磁場信号、超音波信号、蛍光信号、光超音波信号などの物理的な信号を発生する分子や治療用薬剤を意味し、放射性ハロゲン、放射性同位元素、常磁性金属イオン、酸化鉄粒子、金ナノ粒子、マイクロバブル、色素、抗癌剤などが例として挙げられる。色素の例として蛍光性化合物、燐光性化合物が挙げられるが、光超音波信号を発生する分子としては、目的に応じた波長域の光を吸収する性質を有していればよい。レポーター分子を有していることにより、コントラストを強調する造影剤としての利用が可能である。ここで、標的結合性分子とは、腫瘍やその周辺部などに特異的な標的に選択的に結合する物質であり、生体分子や医薬品等の化合物から任意に選択することができる。具体的には、抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体などの人工抗体、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。これらの物質は単独で用いることもできるし、あるいは複数を組み合わせて用いることもできる。標的結合性分子が結合された化合物を用いることで、腫瘍やその周辺部などに特異的な標的の検出を可能にし、動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。
(近赤外色素)
本実施形態に用いられる色素は、蛍光信号、光超音波信号などの物理的な信号を発生する分子である。本実施形態に係る重合体は色素を一つ以上有することで、診断用造影剤として用いることができ、最も好ましくは光音響用造影剤として使用することができる。色素の例としては蛍光色素が挙げられるが、その中でも人体の透過性の比較的高い近赤外波長領域の光を吸収する性質を有する蛍光色素が好ましい。ここで、近赤外波長領域とは、600nm以上1300nmの範囲である。本実施形態における近赤外有機色素としては、例えば、アジン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系色素、アゾ系色素、キノン系色素、テトラサイクリン系色素、フラボン系色素、ポリエン系色素、BODIPY(登録商標)系色素、インジゴイド系色素を挙げることが出来る。別の例としては、インドシアニングリーン(ICG)、Alexa Fluor(登録商標)750などのAlexa Fluor(登録商標)系色素(Life Technologies Japan社製)、Cy(登録商標)系色素(GE Healthcare社製)、IR−783、IR−806、IR−820(Sigma Aldrich Japan社製)、IRDye 800CW(登録商標)、IRDye 800RS(登録商標)(LI−COR社製)、ADS780WS、ADS795WS、ADS830WS、ADS832WS(American Dye Source社製)、DyLight(登録商標)系色素(Thermo Fisher Scientific社製)、Hilyte Fluor(登録商標)系色素(AnaSpec社製)、DY(登録商標)系色素(Dyomics社製)を挙げることが出来る。アミンのような求核性の官能基を有する色素はPOZと反応し共有結合を形成することができるため好ましい。一般市販の色素へアミンのような官能基を導入しPOZと結合させることもできる。色素は非共有結合、共有結合のいずれか、またはその組み合わせでPOZと結合することができる。体内に投与する場合は色素と主鎖であるPOZが一定時間以上は一体化した状態で存在することが望ましいことから、重合体内で色素とPOZは共有結合で結合していることが望ましい。
(光音響イメージング用造影剤)
本発明に係る光音響イメージング用造影剤は、上記重合体単独であるか、または上記重合体と分散媒とを有する。分散媒として例えば、生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖水溶液が挙げられる。また本発明に係る光音響用造影剤は、必要に応じて薬理上許容できる添加物、例えば血管拡張剤などを有していても良い。本発明に係る光音響用造影剤は、上記の分散媒に予め分散させておいてもよいし、キットにしておき、生体内に投与する前に分散媒に分散させて使用してもよい。本発明に係る光音響用造影剤は、EPR効果を利用することで、生体内に投与したときに、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多く集積させることができる。さらに血中濃度は速やかに減少するため腫瘍血液比が高くなる効果を奏する。その結果、造影剤を生体内に投与した後、生体に光を照射して音響波を検出する際に、正常部位よりも腫瘍部位から大きな信号を検出することができる。以上のように本発明に係る光音響用造影剤は腫瘍の造影用として好適に用いることができる。
(光音響イメージング方法)
生体内に投与された本発明に係る光音響イメージング用造影剤を、光音響イメージング装置を用いて検出する方法について説明する。なお、光音響イメージングは、光音響トモグラフィー(断層撮影法)を含む概念である。本発明に係る光音響イメージング用造影剤を検出する方法は以下の(a)、(b)の工程を有する。但し、本発明に係る光音響イメージング方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでいても良い。
(a)本発明に係る光音響用造影剤が投与された検体に600nm乃至1300nmの波長領域の光を照射する工程
(b)前記検体内に存在する前記光音響用造影剤から発生する音響波を検出する工程
また、本発明に係る光音響イメージング用造影剤は、前記(b)で得られた音響波の波長、位相および時間情報等から空間的な光音響信号強度分布を再構成する工程を有していてもよい。なお、前記(b)の工程で得られた光音響信号の波長、位相および時間情報を基に3次元的な画像再構成を行うことができる。画像再構成によって得られるデータは光音響信号の強度分布の位置情報が把握できるものであればどのような形態を取っても構わない。例えば3次元空間上に光音響信号強度が表現されるようなもの構わないし、2次元平面上に光音響信号強度に表現されるようなものでも構わない。また、同一の観察対象に対して異なる撮像方法で情報を取得し、それらの情報と光音響の強度分布の位置的な対応関係を取得することも可能である。上記(a)の工程において、経口投与や注射等の方法によって本実施形態に係る重合体を投与された検体を用いることができる。また、上記(b)の工程において、検体に照射する光を発生させる装置、本実施形態に係る重合体から発せられる光音響信号を検出する装置は特に限定されない。上記(b)の工程において検体に光を照射する光源としては、前記検体に対し600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長のレーザーパルス光を照射させることのできるものであれば限定されない。レーザーパルス光を照射する装置として、例えば、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)、OPOレーザー(LT−2214OPO、Lotis社製)、アレキサンドライトレーザーが挙げられる。音響波を検出する装置は特に制限されず種々のものを用いることが可能である。例えば、市販の光音響イメージング装置(Nexus128、Endra Inc.製)を用いて行うことができる。
本発明に係る光音響イメージング用造影剤を用いたイメージング方法は、上記(a)、(b)の工程を経ることで腫瘍あるいは血管などの目的とする部位を造影することができる。
以下、実施例を用いて更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1 Hilyte Fluor(登録商標)750標識POZ)
(重合体の合成)
(1)各種ポリオキサゾリン(POZ)は、開始剤として、p−トルエンスルホン酸メチル(Methyl p−toluenesulfonate)を用い、モノマーとして2−エチル−2−オキサゾリン(EtOZ)、または2−イソプロピル−2−オキサゾリン(IPOZ)、またはEtOZおよびIPOZを用い、反応溶媒としてアセトニトリルを用いて合成された。開始剤とモノマーの反応開始時の物質量に基づく混合割合は表1に示した。POZの重合反応は、マイクロウェーブ装置Discover(登録商標)SP System(CEM社製)を用いて、140℃、14分間の条件で加温することにより実施した。色素として、Hilyte Fluor(登録商標)750amine(AnaSpec社製)をジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、以下DMSOと略すことがある)へ溶解させた溶液を、重合反応後のPOZ溶液と混和し、140℃、1分間の条件で前述のマイクロウェーブ装置を用いて加温することで色素とPOZの結合体(以下、重合体と略すことがある)を得た。反応後の溶液を減圧下で溶媒留去し、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−dimethylformamide、以下DMFと略すことがある)へ溶解させSephadex LH−20(GE Healthcare社製)樹脂を充填したカラムにより精製した。続いて、Amicon Ultra Centrifugal Filter Units(Millipore社製)を用いて限外濾過により精製した。POZと色素の結合は電気泳動により確認した。
(分子量評価)
作製した重合体P1からP8の分子量をGel Permeation Chromatography(以下、GPCと略すことがある)システム(株式会社島津製作所)により評価した。具体的には、システムコントローラとしてCBM−20A、分析用送液ユニットとしてLC−20AD、オンライン脱気ユニットとしてDGU−20A3、カラムオーブンとしてCTO−20AC、示差屈折率検出器としてRID−10A、UV−VIS検出器としてSPD−20A、LCワークステーション、GPCソフトウェアから構成されるGPCシステムを用いた。分析用カラムとしてPLgel MIXED−Eを用い、溶離液としてDMFを用いた。標準分子量物質としてポリエチレングリコール(Poly(ethylene glycol)、以下PEGと略すことがある)を用いてキャリブレーションを実施した。流速0.5ml/minで色素とPOZの結合体のDMF溶液をカラムへ流し、溶出時間から分子量を算出した(表1)。表1においてモノマー/開始剤比は、開始剤の物質量に対する反応時のモノマーの仕込み物質量の割合を表す。モノマーの仕込み割合の増加に伴って分子量が増加した。
(温度応答性評価)
作製した重合体P1からP8を純水に溶解させた。重合体P1からP8の相転移温度を調べるためにZetasizer nano−ZSを用いて任意の温度での粒径を評価し、粒径が増大し溶液が濁った温度を相転移温度とした。P1からP3は75℃以上でも相転移が確認できなかった。それぞれの相転移温度を表2にまとめた。重合体の分子量とモノマーの組成によって相転移温度が変化した。分子量の増加およびIPOZの割合が増加するに伴い、相転移温度が低くなる傾向が確認された。
(光音響評価)
音響波の測定、具体的には光音響信号強度の測定は、パルスレーザー光をPBS中に分散したサンプルに照射し、サンプルから発生した光音響信号の強度を圧電素子を用いて検出し、高速プリアンプで増幅後、デジタルオシロスコープで取得した。具体的な条件は以下の通りである。光源として、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)を用いた。波長は700〜1000nmで可変であり、測定時はサンプルの吸収極大値付近の波長を選択した。エネルギー密度はおよそ10から20mJ/cm、パルス幅は約20ナノ秒、パルス繰返し周波数は10Hzの条件とした。光音響信号を検出する圧電素子には、エレメント径1.27cm、中心帯域1MHzの非収束型超音波トランスデューサー(V303、Panametrics−NDT製)。測定容器としては、ポリスチレン製キュベットで、光路長0.1cm、サンプル容量は約200μlであった。水を満たしたガラス容器に前記の測定容器と圧電素子とを浸け、その間隔を2.5cmとした。光音響信号強度を増幅する高速プリアンプは増幅度+30dBの超音波プリアンプ(Model5682、オリンパス製)を用いた。増幅された信号をデジタルオシロスコープ(DPO4104、テクトロニクス製)に入力した。ガラス容器の外からパルスレーザー光を前記ポリスチレン製キュベットに照射した。この際に生じる散乱光の一部をフォトダイオードで検出し、デジタルオシロスコープにトリガー信号として入力した。デジタルオシロスコープを32回平均表示モードとし、レーザーパルス照射32回平均の光音響信号強度の測定を行った。測定したP1からP8の光音響信号強度は、レーザー強度と、測定した重合体溶液中の色素濃度で規格化し表2にまとめた。
(腫瘍集積性評価および血中濃度評価)
本発明の実施例において腫瘍塊への重合体の移行量の評価は腫瘍移植モデルマウスを用いて行った。マウスには雌の非近交系BALB/c slc−nu/nuマウス(購入時6週齢)(日本エスエルシー社)を用いた。マウスに担癌させる前の1週間、標準的な食餌、床敷きを用い、自由に食餌および飲料水を摂取できる環境下でマウスを順応させた。前記マウスに、10個のマウス直腸がん細胞株(Colon26)を皮下移植し、腫瘍塊サイズが5〜10mmになるまで飼育した。腫瘍移植マウスへ本発明の重合体を色素量で13nmol投与し、投与1日後における腫瘍移植マウスの蛍光イメージングを実施した。蛍光イメージングはIVIS(登録商標)Imaging Systemを用いて行った。本発明の重合体P6を腫瘍移植マウスに投与し、1日後に全身蛍光像を撮像した結果が図1である。腫瘍へ集積した重合体P6からの強い蛍光を観察した。
本発明の重合体の腫瘍集積性を確認するために、前記腫瘍移植マウスに対して、重合体P1、重合体P2、重合体P3、重合体P5、重合体P6、および重合体P8を尾静脈より投与した。投与量は色素量として13nmolとした。投与1日後にマウスを炭酸ガスで安楽死させた後、腫瘍組織を摘出した。腫瘍組織にTriton(登録商標)−X100水溶液を添加してホモジネートし後に、DMSOを加えて色素を抽出し色素抽出溶液を作製した。一方で、何も投与していない腫瘍移植マウスからも癌組織を摘出し、Triton−X100水溶液を添加して腫瘍ホモジネート溶液を調製した。次いで、既知濃度の重合体P1、重合体P2、重合体P3、重合体P5、重合体P6、および重合体P8を、前記腫瘍ホモジネート溶液で種々の濃度へ希釈し、この希釈溶液に対し、DMSOを加えて色素を抽出した検量用標準液を調製した。IVIS(登録商標)Imaging System 200Series(XENOGEN社製)を用いて、色素抽出溶液および検量用標準液の蛍光強度を測定することで腫瘍組織中の色素量を定量した。腫瘍組織の単位重量あたりの、投与量に対する腫瘍組織への色素移行率(腫瘍集積量とも呼ぶ、%injected dose:%IDと略す)を算出した。
前記腫瘍集積性評価において、1日後にマウスを炭酸ガスで安楽死させる直前に、尾静脈から血液を採取した。採取した血液にTriton−X100水溶液を添加して、次いでDMSOを加えて色素を抽出し色素抽出血液溶液を作製した。一方で、既知濃度の重合体P1、重合体P2、重合体P3、重合体P5、重合体P6、および重合体P8を、Triton−X100水溶液で種々の濃度に希釈し、希釈した溶液と、同量の未投与マウスから採取した血液とを混合した。次いで、この血液との混合溶液に対し、更にTriton−X100水溶液およびDMSOを添加して検量用標準血液溶液を作製した。IVIS(登録商標)Imaging System 200Series(XENOGEN社製)を用いて、色素抽出血液溶液および検量用標準血液溶液の蛍光強度を測定することで血液中の色素量(%ID/g)を定量した。
算出した腫瘍集積量と血液中の色素量を、投与した重合体の重量平均分子量に対してプロットした(図2)。重合体の分子量の増加に伴い、腫瘍集積量の増加を確認した。
(比較例1 ICG標識ポリエチレングリコール)
(ポリエチレングリコールと色素の結合体の合成)
モノアミン直鎖状PEG ME−200EA(日油社製,Mw20000)を50mM炭酸緩衝液(pH9.0)で溶解させNH濃度を0.625mMとした。一方で、ICG−Sulfo−OSu(Dojindo Molecular Technologies, Inc.製))1mg(1.25μmol)をDMSO100μlで溶解させた。PEGの炭酸緩衝液(400μl)に、ICG−Sulfo−OSuのDMSO溶液20μlを加え、ICG−Sulfo−OSuとPEGの反応比1で反応させた。遮光下、室温で24時間回転撹拌した後、0.22μmシリンジフィルターで反応溶液をろ過し、PEGと色素の結合体(以下、PEG1と略す)を得た。
前述の本発明の重合体と同じ方法で、PEG1の腫瘍集積量と血液中の色素量を定量した。本発明の重合体P6と、PEG1について腫瘍集積量を血液の色素量で除した値(以下、腫瘍血液比、またはT/Bと略す)を算出した(図3)。重合体P6はPEG1に対して有意に高い腫瘍血液比を示した。ここで有意差検定は、Student’s t−testにより行いP<0.05を有意差ありと判定した。
(実施例2 ICG標識POZ)
(重合体の合成)
開始剤として、p−トルエンスルホン酸メチル(Methyl p−toluenesulfonate)を用い、モノマーとしてEtOZを用い、モノマー:開始剤比=400:1で混合し反応溶媒としてアセトニトリルを用いて合成された。重合反応は、前述のマイクロウェーブ装置を用いて、140℃、14分間の条件で加温することにより実施した。続いて、エチレンジアミン(Ethylenediamine)を重合反応後のPOZ溶液と混和し、140℃、7分間の条件で前述のマイクロウェーブ装置を用いて加温した。反応後の溶液を減圧下で溶媒留去し、メタノール(Methanol)へ溶解させ、Pre−treated RC Tubing(MWCO:3.5kD,Spectrum Laboratories社製)を用いてメタノールに対して透析することで精製し、アミノ基が導入されたPOZを得た。次に、透析後の溶液を減圧下で溶媒留去し、50mMホウ酸緩衝液(Borate buffer) pH8.5へ溶解させ、DMSOへ溶解させたICG−sulfo−OSu(Dojindo社製)と混和し、室温で24時間、遮光下で反応させた。反応後の溶液を前述のPre−treated RC Tubingを用いてメタノールに対して透析することで精製し、ICG標識POZ(以下、P9と呼ぶ)を得た。POZとICGの結合は電気泳動により確認した。
(分子量評価)
本発明の重合体P9の分子量を前述のGPCシステムにより評価した。分析用カラムとしてPLgel MIXED−Eを用い、溶離液としてDMFを用いた。標準分子量物質としてポリエチレングリコール(Poly(ethylene glycol)、以下PEGと略すことがある)を用いてキャリブレーションを実施した。流速0.5ml/minで色素とPOZの結合体のDMF溶液をカラムへ流し、溶出時間から分子量を算出した結果、P9の重量平均分子量は14000であった。
(腫瘍集積性評価および血中濃度評価)
前述の方法で準備した腫瘍移植マウスへ本発明の重合体P9を7.5nmol投与し、投与1日後における腫瘍移植マウスの蛍光イメージングを前述の方法と同様に実施した。本発明の重合体P9を腫瘍移植マウスに投与し、1日後に全身蛍光像を撮像した結果が図4である。腫瘍へ集積したP9からの強い蛍光を観察した。更に前述の方法で本発明の重合体P9の腫瘍集積量と血液中の色素量を定量した。その結果、腫瘍集積量は、10.8±2.1%ID/g、血液中の色素量は、5.5±1.0%ID/gとなり、高い腫瘍集積性を確認した。また、腫瘍血液比は2.0±0.1となり、重合体P9はPEG1に対して有意に高い腫瘍血液比を示した。ここで有意差検定は、Student’s t−testにより行いP<0.05を有意差ありと判定した。
(参考例 POZの体内動態評価)
(重合体の合成)
開始剤として、p−トルエンスルホン酸メチル(Methyl p−toluenesulfonate)を用い、モノマーとしてEtOZ、またはIPOZ、または2−n−propyl−2−oxazoline(以下、NPOZと略すことがある)、またはこれらの組み合わせを用い、表3に示す種々のモノマー/開始剤割合で混合し反応溶媒としてアセトニトリルを用いて合成した。重合反応は、前述のマイクロウェーブ装置を用いて、140℃、14分間の条件で加温することにより実施した。続いて、エチレンジアミン(Ethylenediamine)を重合反応後のPOZ溶液と混和し、140℃、7分間の条件で前述のマイクロウェーブ装置を用いて加温した。加温後の溶液を減圧下で溶媒留去し、メタノール(Methanol)へ溶解させ、Pre−treated RCTubing(MWCO:3.5kD,Spectrum Laboratories社製)を用いてメタノールに対して透析することで精製し、アミノ基が導入されたPOZを得た。得られた重合体の分子量を前述のGPCシステムにより評価し、その結果を表3にまとめた。
作製した重合体をPhosphate Buffered saline(PBS)に溶解させ、前述の通り相転移温度を調べた。それぞれの相転移温度を表3にまとめた。モノマーがEtOZの場合は70℃以上でも相転移が確認できなかった。一方で、モノマーがNPOZの場合は、IPOZと比較して相転移温度が低くなる傾向が確認された。モノマーがNPOZとIPOZの組み合わせの場合は、NPOZの割合が高くなるにつれて相転移温度が低くなる傾向が確認された。
次に、作製した重合体の体内動態評価のために放射性標識を実施した。具体的には、まず重合体P13、P18、P19とS−2−(4−Isothiocyanatobenzyl)−1,4,7,10−tetraazacyclododecane tetraacetic acid(p−SCN−Bn−DOTAとも呼ぶ、Macrocyclics社製)とをメタノール中で、重合体:p−SCN−Bn−DOTA=1:5の割合で混合し室温で1.5日間反応させ、重合体に金属キレート部位を導入した。以後、金属キレート部位を導入した重合体P13、P18、P19を、DOTA−P13、DOTA−P18、DOTA−P19と呼ぶ。未反応のp−SCN−Bn−DOTAを除去するために、PD−10カラム(GEヘルスケアジャパン社製)を用いたゲルろ過、およびAmicon Ultra Centrifugal Filter Unitsを用いた限外濾過により精製した。
金属キレート部位を導入した重合体の相転移温度は、導入前後で大きく変化しないことを確認した。
DOTA−P13またはDOTA−P18は、111InClと酢酸緩衝液中で混和し、室温で10分間反応させることで、111In標識されたDOTA−P13(以下、111In標識DOTA−P13と呼ぶことがある)または111In標識されたDOTA−P18(以下、111In標識DOTA−P18と呼ぶことがある)を得た。DOTA−P19は、111InClと酢酸緩衝液中で混和し、氷上で10分間反応させ、111In標識されたDOTA−P19(以下、111In標識DOTA−P19と呼ぶことがある)を得た。得られた各重合体の放射化学的収率および放射化学的純度を表4にまとめた。放射活性は、NaIwell型シンチレーションカウンター 1470WIZARD(PerkinElmer社製)により測定した。
上述の通り作製した111In標識DOTA−P13、111In標識DOTA−P18、または111In標識DOTA−P19をマウス尾静脈より投与し(それぞれマウス一匹あたり0.6μCi、26.7μM(ポリマー濃度)、150μL PBS)、1,6,24時間後に安楽死させ、マウス組織を摘出しその重量と放射活性を測定した。測定した各臓器の放射活性を臓器重量と投与サンプルの放射活性で規格化し図5にまとめた。被検体であるマウスの体温よりも相転移温度が低い111In標識DOTA−P19は、投与1時間後から肝臓や脾臓へ集積し、血中から速やかにクリアランスされた(図5(A))。肝臓や脾臓には比較的大きな分子がマクロファージに貪食されて集積することが知られており、111In標識DOTA−P19はマウス体内で重合体が凝集したため、これらの臓器に集積したと考えられる。次に、被検体であるマウスの体温と同じくらいの相転移温度である111In標識DOTA−P18は、肝臓や腎臓に集積し、投与1時間後でも血液中に存在した(図5(B))。最後に、被検体であるマウスの体温より充分高い相転移温度である111In標識DOTA−P13は、顕著な臓器集積は示さず、111In標識DOTA−P18、および111In標識DOTA−P19よりも長く血液中に存在した(図5(C))。
次に、ヒト前立腺癌細胞PC−3を担癌したマウスに111In標識DOTA−P13、111In標識DOTA−P18、または111In標識DOTA−P19を腫瘍内投与し(それぞれマウス一匹あたり0.6μCi、2000μM(ポリマー濃度)、5μLPBS)、1日後に安楽死させ腫瘍を摘出しその放射活性を測定し、投与サンプルの放射活性で規格化した。その結果、腫瘍における滞留は、111In標識DOTA−P19が最も多く(58.8%ID±14.1)、次いで111In標識DOTA−P18(13.1%ID±3.5)、111In標識DOTA−P13(3.3%ID±0.6)の順であった。これは、相転移温度が被検体よりも低いと、凝集して拡散しにくくなるためこのような順番になったと考えられる。
腫瘍を明確に造影するためには、重合体(造影剤)の腫瘍集積量を増やし、血中濃度を下げることが好ましい。EPR効果により重合体を腫瘍へ集積させる場合には、重合体を血管から腫瘍間質へ漏出させる必要がある。そのため、投与後一定時間は、重合体が血中に滞留していることが好ましい。上記参考例の実験から、相転移温度が被検体よりも高い重合体を用いると、投与後一定時間は重合体が血中に存在することが示された。つまり、腫瘍をより明確に造影するためには、相転移温度が被検体よりも高い重合体(本例ではEtOZ)を用いることがより好ましいことが示された。
(実施例3 分子量の異なるPOZの体内動態評価)
(重合体の合成)
上記実施例2と同じ方法で重合体を合成した。重合体の反応条件ならびに分子量を表5にまとめた。
得られた重合体(P23)および上記実施例2で合成したP10、P11、P12、P14(各0.5μmol)のそれぞれに対して、下式(d1−1−1)で表わされる色素(1μmol)と、1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride(1μmol)と、N,N−dimethyl−4−aminopyridine(1μmol)とを、クロロホルム(1mL)中にて混和し、遮光下にて24時間反応させた。未反応の色素は、Pre−treated RC Tubing(MWCO:3.5kD)を用いてメタノールに対して透析することで精製した。上述の方法で得られた色素の結合したP10、P11、P12、P14、P23を以降ではそれぞれ、P10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、P23−ICGと呼ぶ。POZと色素の結合は電気泳動により確認した。P10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、および、P23−ICGの純度は、いずれも99%以上の高い値で得られた。
(腫瘍集積性評価および血中濃度評価)
前述の方法で準備した腫瘍移植マウスへP10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、P23−ICGを13nmol投与し、投与1日後における腫瘍移植マウスの蛍光イメージングを前述の方法と同様に実施した。本発明の実施例におけるP10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、P23−ICGを腫瘍移植マウスに投与し、1日後に全身蛍光像を撮像した結果が図6である。いずれも腫瘍へ集積し、強い蛍光を観察できた。更に前述の方法で本発明の実施例におけるP10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、P23−ICGの腫瘍集積量と血液中の色素量を定量し、その結果を表6にまとめた。腫瘍集積量は、分子量の増加に伴い概ね増加する傾向にあった。また、腫瘍血液比はいずれも3以上となり、比較例1で合成したPEG1に対して有意に高い腫瘍血液比を示した。ここで有意差検定は、Student’s t−testにより行いP<0.05を有意差ありと判定した。
次に、本発明の実施形におけるP10−ICG、P11−ICG、P12−ICG、P14−ICG、P23−ICGを腫瘍移植マウスに投与し、投与後5、15、30分、1、3、6、24時間目にマウスの尾静脈より採血し、上述の方法に従い血液に含まれる本発明の色素の結合した重合体を定量し経時変化を調べた(図7A)。Graphpad prismソフトウェア(GraphPad Software社製)を用いてtwo phase decayモデルで血中半減時間を算出し、各重合体の分子量に対してプロットした(図7B)。図7Aの結果より、分子量が増加するに伴い、血中濃度の低下が緩やかになることが示された。このことは、図7Bに示した通り、分子量に対して血中半減時間が増加したことからも支持される。
(実施例4 ポリマー凝集による光音響信号の増加)
(in vitro光音響信号測定)
実施例1で作製したP4乃至P8について、上述の光音響信号強度の測定と同じ方法で、測定時の水槽内の水の温度を、37℃、47℃、57℃と変化させて、光音響信号の変化について調べ、結果を表7にまとめた。相転移温度が70℃以上のP5、P6では、57℃まで加温しても最大で1.3倍程度しか光音響信号は増加しなかった。これは水温の上昇による熱膨張係数の増加、および、それに伴うグリューナイゼン係数の増加による光音響信号の増加と考えられる。一方でP4は57℃で、P7は37℃以上で、P8は47℃以上で光音響信号が、1.5倍以上増加した。このことから、相転移温度以上の温度で凝集することにより光音響信号が増加する効果が得られることが分かった。この原因の一つとしては、吸収した光エネルギーが、周囲の水では無く、凝集体ポリマー層へ移動することが考えられる。これにより、重合体の吸収したエネルギーから光音響信号への変換効率が高くなる効果が考えられる。
(実施例5 オキサゾリン側鎖加水分解体)
(加水分解反応)
本発明の実施形態において、オキサゾリンの2位の側鎖を加水分解することによって官能基導入することも可能である。具体的には、加水分解等によって2級アミンに変換することができる。加水分解反応は塩酸(以下HClと略すことがある)または水酸化ナトリウム(以下NaOHと略すことがある)を用いて、以下に示す方法で行った。エチルオキサゾリンポリマー(重量平均分子量25000、または50000、または200000)とHClまたはNaOHを表8に示した割合で水中で混合し、種々の温度で加温した。NaOHと反応させた溶液は、反応後HClで中和し、Pre−treated RC Tubing(MWCO:3.5kD)を用いて透析精製した。透析外液は、1回目が水、2回目が水:メタノール=1:1、3回目がメタノールとして3回の透析を行った。一方で、HClと反応させた溶液は、反応後NaOHで中和し、一晩凍結乾燥した後、クロロホルムに溶解させCelite(登録商標)ろ過で回収した。加水分解割合は、NMRおよび電気伝導度によって測定した。電気伝導度は、0.01Mの塩酸に1Mの水酸化ナトリウムを5μLずつ添加していくことで滴定直線を作成し、これを基に測定溶液中のアミノ基量(加水分解割合に対応する)を算出した。加水分解割合は、NMRで算出した場合と電気伝導度で算出した場合で概ね一致する傾向が見られた。NaOHを用いて加水分解した場合にはNaOHの量および反応時間が増加すると加水分解割合が増加する傾向が見られた。一方で、NaOHの添加割合がポリマー側鎖の10倍になるように調製した場合では、NaOHの添加割合がポリマー側鎖の1倍になるように調製した場合よりも加水分解割合が低下した。これは、重合体濃度が高くないことが原因であると考えられる。次に、HClを用いて加水分解した場合にも、NaOHの場合と同様に反応時間とHClの添加割合が増加すると加水分解割合が増加した。このように、様々な濃度のポリマーおよびNaOHまたはHClを用いて、種々の条件で加温することで期待する加水分解割合のPOZを調製することができる。
(側鎖色素標識反応)
前述の表8の重合体いくつかについて、加水分解された側鎖への色素標識を行った。具体的には、表9に示す割合で各重合体に対して、ICG−sulfo−OSuを、クロロホルム中にて混和し、遮光下にて24時間反応させた。別の色素標識方法としては、式(d1−1−1)で表わされる色素および、1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochlorideおよび、N,N−dimethyl−4−aminopyridineとを、クロロホルム中にて混和し、遮光下にて24時間反応させた。いずれの色素標識反応の場合も未反応の色素は、Pre−treated RC Tubing(MWCO:3.5kD)を用いてメタノールに対して透析することで精製した。上述の方法で得られた色素の結合した重合体を、以降では表9に示した通り、重合体の番号とICGの組み合わせで呼称する。同じ重合体でICG結合数が異なる場合は末尾に数字を付して判別する。ICGの結合数は、重合体重量と吸光度から算出した。重合体とICGの結合は電気泳動により確認し、いずれの重合体も90%以上の純度で得られた。
(細胞取り込み評価)
前述のP33−ICG1、および、P34−ICGについて、細胞への取り込み評価を行った。24well細胞培養プレートへColon26細胞(10個/well)をまき、COインキュベーター内で一日培養した。新しい培地(400μL)へ交換後、P33−ICG1、または、P34−ICG、または、ICG、または、前述の比較例1のPEG1(各色素濃度10μM、100μL)をそれぞれwellへ添加し、COインキュベーター内で24時間培養した。培養後のwell内の溶液を捨て、PBS(1mL)で2回洗浄し、細胞をトリプシン/エチレンジアミン四酢酸溶液で剥がして回収し、wellあたりの細胞数を計測した。回収した細胞溶液に、Triton X−100(終濃度1%)と、DMSO(終濃度90%)を加えて、蛍光強度を測定した。その結果を図8に示した。P33−ICG1、および、P34−ICGはPEG1に比較して有意に高く、Colon26細胞に取り込まれたが、ICGよりは低かった。また、ICG結合数と側鎖加水分解割合の高いP34−ICGの方がColon26細胞に多く取り込まれた。
(腫瘍集積性評価および血中濃度評価)
前述の方法で準備した腫瘍移植マウスへ、表9に記載の重合体をそれぞれ13nmol投与し、投与1日後における腫瘍移植マウスの蛍光イメージングを前述の方法と同様に実施した。本発明の重合体を腫瘍移植マウスに投与し、1日後に全身蛍光像を撮像した結果が図9である。いずれも腫瘍への集積を確認することができ、P33−ICG1、P33−ICG2、P37−ICG1、P37−ICG2、P37−ICG3、P42−ICGは、腫瘍周囲とのコントラストは高かった。また、ICG結合数が多くなると肝臓からの蛍光が強くなる傾向がみられた。更に前述の方法で本発明の重合体の腫瘍集積量と血液中の色素量を定量し、その結果を表9にまとめた。腫瘍集積量は、マウスの全身蛍光像において腫瘍周囲とのコントラストが高かった重合体の方が高い値となる傾向がみられた。加水分解割合が高くなると、腫瘍集積性が低下する傾向がみられた。また、腫瘍血液比はいずれも2以上となり、比較例1で合成したPEG1に対して有意に高い腫瘍血液比を示した。ここで有意差検定は、Student’s t−testにより行いP<0.05を有意差ありと判定した。
(実施例6 担癌マウスモデルでの光音響信号測定)
(in vivo光音響腫瘍イメージング)
本発明の実施例においてin vivo光音響腫瘍イメージングは、光音響イメージング装置(Nexus128,Endra.Inc.製)を用いて実施した。前述の腫瘍集積性評価と同様に作製した担癌マウスを、麻酔で眠らせた後、イメージング装置に固定した。本発明の重合体P23−ICGおよびP37−ICG3(各52nmol)を投与する前、および、投与24時間後において、光音響信号を測定し、それぞれの3次元再構成データを得た。得られた3次元再構成データを用いてOsiriX Imaging Softwareにより光音響信号画像を描出した(図10)。本発明の重合体P23−ICGおよびP37−ICG3を投与した担癌マウスにおいて、投与24時間後において腫瘍の位置および形状が明瞭に描出されたことから、本発明の重合体の光音響用腫瘍造影剤としての有用性が示された。

Claims (22)

  1. 下記式(P1)で表わされる重合体。
    [ただし、上記式(P1)中、Rはカチオン重合開始剤に由来する残基、あるいは官能基を表し、Lはリンカーで、Lは存在しなくてもよく、nは1以上の整数であり、Dは近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、かつ、下記式(d1−1)又は(d1−6)で表わされ、乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、置換を含む場合は、その置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−ヘプチル基、フェニル基、ブテニル基、ペンチニル基のいずれかであり、
    上記式(d1−1)又は(d1−6)において、*はLに結合すること、あるいは、重合体がLを含まない場合は、式(P1)の繰り返し単位の末端の炭素原子に直接結合することを示す。]
  2. 前記式(P1)が下記式(P1−1)で表わされる請求項1に記載の重合体。
  3. 前記Lが下記式(l1)乃至(l13)のいずれかで表わされる構造を有する請求項1又は2に記載の重合体。
    [ただし、上記式(l1)乃至(l13)においては前記Dまたは繰り返し単位の末端の炭素原子と直接結合または間接結合する。
  4. 前記重合体の分子量が10000以上100000以下である請求項1乃至のいずれか一項に記載の重合体。
  5. 前記重合体の分子量が10000以上50000以下である請求項1乃至のいずれか一項に記載の重合体。
  6. 前記重合体の分子量が15000以上30000以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の重合体。
  7. 前記式(P1)が下記式(1)で表わされる請求項1乃至のいずれか一項に記載の重合体。
  8. 前記Rが低分子化合物、色素、レポーター分子、標的結合性分子、重合体のいずれかに由来する官能基から選ばれる請求項1乃至のいずれか一項に記載の重合体。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の重合体と分散媒とを有する光音響イメージング用造影剤。
  10. 下記式(A1)で表わされる重合体。
    [ただし、上記式(A1)中、Rは、カチオン重合開始剤に由来する残基、あるいは官能基を表し、Lは、リンカーで、Lは存在しなくてもよく、Dは、近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、かつ、下記式(d1−1)又は(d1−6)で表わされ、は、下記式(A2)で示される単位を少なくとも一つ含む構造を表し、
    上記式(A2)中、Dは、近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格であり、かつ、上記式(d1−1)又は(d1−6)で表わされ、乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、置換を含む場合は、その置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、
    上記式(d1−1)又は(d1−6)において、*はL または窒素原子に結合すること、あるいは、重合体がL を含まない場合は、式(A2)の繰り返し単位の末端の炭素原子に直接結合することを示す。]
  11. 前記Zが、前記式(A2)で表わされる単位を少なくとも1つと、下記式(A3)で表わされる単位を少なくとも1つとを含む構造を表す請求項10に記載の重合体。
    ただし、上記式(A3)中、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、置換を含む場合は、その置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−ヘプチル、フェニル基、ブテニル基、ペンチニル基のいずれかである。
  12. 前記重合体が、前記式(A2)で表わされる単位と、前記式(A3)で表わされる単とを有するランダム共重合体である請求項11に記載の重合体。
  13. 前記重合体が有する繰り返し単位のうち、前記式(A2)で表わされる単位の割合が60%以下である、請求項11または12に記載の重合体。
  14. 前記重合体が有する繰り返し単位のうち、前記式(A2)で表わされる単位の割合が0.01%以上10%以下である、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の重合体。
  15. 前記R乃至Rが水素原子である請求項10乃至14のいずれか一項に記載の重合体。
  16. 前記Lが下記式(l1)乃至(l14)のいずれかで表わされる構造を有する請求項10乃至15のいずれか一項に記載の重合体。
    [ただし、上記式(l1)乃至(l14)において2つの*は各々、前記式(A1)におけるDとZに直接結合または間接結合する。上記式(l14)において、ωは、カチオン重合反応終了末端に由来する残基、あるいは官能基を表す。
  17. 前記D1およびD2が、下記式(A4)で表わされる請求項10乃至16のいずれか一項に記載の重合体。
    [ただし、上記式(A4)において、*はLまたは前記式(A2)のNに結合する、または前記重合体がLを含まない場合は、前記式(A1)中のZ、に結合することを示す。
  18. 前記Rがエチル基である請求項11に記載の重合体。
  19. 前記重合体の分子量が10000以上200000以下である請求項10乃至18のいずれか一項に記載の重合体。
  20. 前記重合体の分子量が10000以上50000以下である請求項10乃至19のいずれか一項に記載の重合体。
  21. 前記Rが低分子化合物、色素、レポーター分子、標的結合性分子、重合体のいずれかに由来する官能基から選ばれる請求項10乃至20のいずれか一項に記載の重合体。
  22. 請求項10乃至21のいずれか一項に記載の重合体と分散媒とを有する光音響イメージング用造影剤。
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