JP2016169361A - 重合体、前記重合体を有する光音響イメージング用造影剤 - Google Patents

重合体、前記重合体を有する光音響イメージング用造影剤 Download PDF

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Abstract

【課題】腫瘍存在量/血中存在量の比率(腫瘍血中比と略すことがある)が高い重合体を提供すること。【解決手段】ホスホリルコリン(誘導体)を側鎖として有し、この重合体にさらに近赤外波長領域に吸収を有する色素(近赤外色素)が結合している。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体、および前記重合体を有する光音響イメージング用造影剤に関する。
生体内部の情報を可視化する装置の1つとして、光音響トモグラフィー(Photoacoustic tomography、以下PATと略すことがある)装置が知られている。PAT装置を用いる測定においては、被測定体に光を照射したときに被測定体内部で光を吸収した物質(光吸収体)が発する光音響信号の強度と発生時刻を測定することにより、被測定体内部の物質分布を演算した画像を得ることができる。
ここで、光吸収体としては、生体内で光を吸収して音響波を発するものであればいかなるものをも用いることができる。例えば人体内の血管や悪性腫瘍などを光吸収体とすることが可能である。その他にも、インドシアニングリーン(Indocyanine Green、以下ICGと略すことがある)などの分子を体内に投与し、造影剤として利用することもできる。ICGは、人体に照射した際の影響が少なくかつ生体への透過性が高い近赤外波長領域の光をよく吸収することから、PAT装置における造影剤(光音響造影剤と略すことがある)として好適に用いることができる。なお、本明細書において、ICGとは下記式の構造で示される化合物を指す。
ただし、対イオンはNaでなくてもよく、HあるいはKなど任意の対イオンを用いることができる。
しかし、ICGは血中での半減期が数分程度と非常に短いことが知られている。
また、特許文献1では、近赤外蛍光色素にポリエチレングリコール(Poly(ethylene glycol)、以下PEGと略すことがある)を共有結合させた造影剤を用いて腫瘍集積を確認した例が報告されている。近赤外蛍光色素をPEGに結合させることで、近赤外蛍光色素単独に比べて、血中での半減期を長くすることができる。
非特許文献1では、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPCと略すことがある)ポリマーの末端にローダミン色素(最大吸収波長は530nm)を結合させた化合物が開示されている。
特表2012−520856号公報
BIOMACROMOLECULES,12,2225−2234(2011)
特許文献1に開示された近赤外蛍光色素を結合させたPEGでは、高い腫瘍集積性を示す一方で、血中滞留性も高いため、その腫瘍血中比(腫瘍選択性)が低いという課題がある。
非特許文献1に開示されたローダミン色素を結合させたMPCポリマーでは、その最大吸収波長は530nm付近である。この可視領域の波長帯域の光に対して、血中のヘモグロビン由来の吸収が大きいため、ローダミン色素を結合させたMPCポリマーのin vivoでの光音響信号の検出は困難である。
したがって、in vivoでの信号検出ができ、かつ、より高い腫瘍集積性を有する光音響造影剤として、高い近赤外波長領域の吸収係数、高い腫瘍集積性、ならびに高い腫瘍血中比を示す化合物が望まれていた。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、高い近赤外波長領域の吸収係数、高い腫瘍集積性、ならびに高い腫瘍血中比を示す新規な近赤外色素結合ホスホリルコリン含有重合体、前記重合体を用いた光音響イメージング用造影剤を提供することを目的とする。
本発明に係る重合体は、主鎖にリンカーを介してまたは直接に側鎖が結合した、式(P2)で表わされる重合体である。
ただし、Dは近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格、Aは重合体の主鎖、L1、L2は各々独立のリンカーで、L1、L2は存在しなくてもよく、xは1以上の整数であり、Eは官能基を表し、Bは、下記式(s1)で表わされる。
上記式(s1)においてaは1以上6以下の整数であり、n、m、lは各々独立に1から3の整数であり、*はL2またはAに結合することを示す。なお、本明細書中、アスタリスク記号として、放射線が5本のものと、6本のものがあるが、これらは同義である。
本発明に係る重合体によれば、親水性のホスホリルコリン含有ポリマーと、ICGなどの近赤外波長領域に吸収がある有機色素とが共有結合した構造であるため、腫瘍への集積性が高く、速やかに血中濃度が低下する。そのため、本発明に係る重合体は、体内に投与した場合、腫瘍存在量/血中存在量の比率(腫瘍血中比と略すことがある)が高い。したがって、高い感度、かつ、高いコントラストで腫瘍を光音響造影することが可能になる。
本発明の実施例に係るICG−PMPC(18k)の投与後24時間目の担癌マウスの近赤外蛍光像と明視野像を重ね合わせた図(図中の黒矢印は腫瘍部位を示す)。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(18k)#2の水中における吸収スペクトルを示す図。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(18k)#2水溶液の光音響信号強度の波形を示す図。 (a)本発明の実施例に係るICG−PMPC(18k)#2投与前にイメージングされた担癌マウスの光学写真、ならびに、白い四角の枠で示された光音響イメージング像(MIP像)の重ね合わせ像。(b)本発明の実施例に係るICG−PMPC(18k)#2投与1日後にイメージングされた担癌マウスの光学写真、ならびに、白い四角の枠で示された光音響イメージング像(MIP像)の重ね合わせ像。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(43k)、本発明の実施例に係るPMPC−NHおよびICG色素のそれぞれのGPCチャートを重ねた図。 (a)本発明の実施例に係るICG−PMPC(43k)投与前にイメージングされた担癌マウスの光学写真、ならびに、白い四角の枠で示された光音響イメージング像(MIP像)の重ね合わせ像。(b)本発明の実施例に係るICG−PMPC(43k)投与1日後にイメージングされた担癌マウスの光学写真、ならびに、白い四角の枠で示された光音響イメージング像(MIP像)の重ね合わせ像。白矢印は腫瘍の位置を示す。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)の投与前および投与後48時間目のそれぞれのマウスの近赤外蛍光像と明視野像を重ね合わせた図(図中、投与前のマウス右肩部の円は腫瘍部位を示す)。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(50k)と比較例のICG−PEG(40k)の投与前および投与後の48時間目のそれぞれのマウスの近赤外蛍光像と明視野像を重ね合わせた図(図中、投与前のマウス右肩部の円は腫瘍部位を示す)。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)、比較例のICG−PEG(40k)の差分強度の経時変化を示す図。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)、比較例のICG−PEG(40k)のSNRの経時変化を示す図。 担癌マウスの肝臓(腹部)における、本発明の実施例に係るICG−PMPC(50k)ならびに比較例のICG−PEG(40k)の蛍光強度値(関心領域(Region of Interest、以下ROIと略す)の定量値)の経時変化を示す図。 ICG−PMPC(50k)を投与した担癌マウスの光学写真と光音響イメージング画像の重ね合わせ像。(a)投与前の担癌マウスの光学写真と光音響画像の重ね合わせ像。(b)投与2日後の同一マウス個体の光学写真と光音響画像の重ね合わせ像。図中の矢印は腫瘍位置を示す。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)を投与した担癌マウス腫瘍領域の光音響イメージング画像。それぞれ、投与前、および投与2日後の同一マウス個体の腫瘍領域の光音響画像を示す。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(50k)を投与した担癌マウスから摘出された腫瘍の光音響イメージング画像。図中の点線は腫瘍位置を示す。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(48k)、Cy7−PMPC(58k)、800RS−PMPC(57k)、800CW−PMPC(57k)、ならびに700DX−PMPC(57k)の投与後24時間目の担癌マウスの近赤外蛍光像と明視野像を重ね合わせた図(図中の白矢印は腫瘍部位を示す)。各蛍光画像はそれぞれで任意にコントラスト調整したグレースケール画像であり、蛍光強度は、黒が弱く、白が強いことを示す。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(48k)、Cy7−PMPC(58k)、800RS−PMPC(57k)、800CW−PMPC(57k)、700DX−PMPC(57k)ならびに比較例のICGの励起波長(Ex)と蛍光発光波長(Em)のリスト。図中、それぞれをICG−PMPC、Cy7−PMPC、800RS−PMPC、800CW−PMPC、700DX−PMPCならびにICGと示す。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(48k)、Cy7−PMPC(58k)、800RS−PMPC(57k)、800CW−PMPC(57k)、700DX−PMPC(57k)、ならびに比較例としてのICGの、レーザー照射における光褪色を示す図である。レーザー照射前後の、それぞれの規格化蛍光強度を示したものである。図中、それぞれをICG−PMPC、Cy7−PMPC、800RS−PMPC、800CW−PMPC、700DX−PMPCならびにICGと示す。 本発明の実施例に係るICG−PMPC(48k)、Cy7−PMPC(58k)、800RS−PMPC(57k)、800CW−PMPC(57k)、ならびに700DX−PMPC(57k)からの一重項酸素生成量とレーザー照射回数の関係を示す図である。レーザー照射前後の、それぞれの溶液の規格化蛍光強度(480nm励起で、536nm の蛍光強度)を示す。図中、それぞれをICG−PMPC、Cy7−PMPC、800RS−PMPC、800CW−PMPC、ならびに700DX−PMPCと示す。
以下、本発明の実施形態について説明するが本発明はこれらに限られない。なお、本明細書において、kと記載したら1000という意味である。例えば、18kは18000を意味する。また、本明細書中において、繰り返し単位を表わすxまたはnは1以上の整数を表わす。
(重合体)
本実施形態に係る重合体は、ホスホリルコリン(誘導体)を側鎖として有する重合体であって、この重合体にさらに近赤外波長領域に吸収を有する色素(近赤外色素)が結合している。
すなわち、式(P2)で表わされる重合体、
ただし、上記式(P2)においてDは近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格、Aは重合体の主鎖、L1、L2は各々独立のリンカーで、L1、L2は存在しなくてもよく、xは1以上の整数であり、Eは繰り返し構造の末端を表わし構造は特に限定されないが、例えばカチオン重合開始剤に由来する残基、官能基のいずれかを表す。また、上記式(P2)においてBは、下記式(s1)で表わされる。
上記式(s1)においてaは1以上6以下の整数であり、n、m、lは各々独立に1から3であり、*はL2またはAに結合することを示す。
ここで、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)はホスホリルコリン基を側鎖に有する親水性ポリマーであり、タンパク質吸着を抑える性質を有することから、生体適合材料として使われている。
一方、生体適合性の親水性ポリマーとしてPEGが知られているが、PEGは極性溶媒、無極性溶媒いずれにも幅広く溶解できるのに対して、PMPCはPEGとは異なり水、メタノールに良く溶解するが、無極性有機溶媒や、DMSOやDMFなどの極性有機溶媒に溶けないという特徴を有している。
また、ICGは水、メタノール、DMSOなどに溶解し、また色素間で会合しやすいという両親媒性の性質を有する。
上記のことから、血中において、ICGを結合したPEGでは、ICGとPEGの相溶性が高い結果、ICGがPEGで有効に被覆された状態になると考えられる。一方、PEGに比べると、ICGとPMPCの相溶性は低いと思われるため、ICGがPMPCで有効に被覆されない状態になると考えられる。
したがって、ICG結合PMPCでは、ICGと血中タンパクが確率的に接触し、異物認識され、肝臓や脾臓に運ばれることで、血中濃度が低下すると考えられる。腫瘍への集積はEPR効果によるものと考えられ、速やかに腫瘍に蓄積する。また、ホスホリルコリンは細胞膜の材料であるため、ホスホリルコリン(誘導体)を側鎖として含む本実施形態に係る重合体は、腫瘍が増殖する際の細胞膜の形成時に取り込まれ、腫瘍に集積すると考えられる。
これらの結果、本実施形態に係る重合体は、腫瘍血中比が高くなると考えられる。
本実施形態では、親水性ポリマーのステルス効果(タンパク非結合性)やその分子量に加え、ポリマーと近赤外色素の相互作用が、その腫瘍集積性と血中濃度(血中滞留性)において重要であることを見出しており、従来技術では困難であった、腫瘍集積性と腫瘍血中比の向上を両立できるものである。
(主鎖)
本実施形態における重合体の主鎖、すなわち前記式(P2)中のAの例としては、下記式(m1)乃至(m3)のいずれかで表わされるものが挙げられる。
上記式(m1)乃至(m3)においてR乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、Rは置換もしくは無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基であり、Rが炭素数2以上の炭化水素基である場合、どの炭素が側鎖である−L2−B、またはBと結合してもよく、R乃至Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、上記式(m1)乃至(m3)において*はL2あるいはBに、**はL1あるいはDに結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。
本実施形態における重合体の主鎖は、上記式(m1)乃至(m3)の他には、ポリウレタン、ポリカーボネートなどが挙げられる。
また、本実施形態に係る主鎖Aとして下記式(m1−1)で表わされるものが好ましい。
上記式(m1−1)において*はL2あるいはBに、**はL1あるいはDに結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。
(側鎖)
本実施形態に係る重合体の側鎖、すなわち前記式(P2)中のBの例としては、下記式(s1−1)で表わされるホスホリルコリン構造が挙げられる。
上記式(s1−1)において、aは1以上4以下の整数であり、*はAまたはL2に結合することを示す。
上記式(s1−1)を含む式(P2)中のL2−Bの具体例として、下記式(s1−2)で表わされる構造が挙げられる。
上記式(s1−2)において、a、bは各々独立に1以上4以下の整数であり、Rは酸素原子、またはNH基のいずれかである。*はAに結合することを示す。
本実施形態に係る実施形態の一つとして、
式(P2)中の
が下記式(p1−1)で表わされる構造を含む重合体が挙げられる。
式(p1−1)において、a、bは各々独立に、1以上4以下の整数であり、*はL1またはDと結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。
本実施形態に係るホスホリルコリン含有ポリマーとして例えば上記式(p1−1)においてa,bが2の重合体(下記の式(p1−2))が挙げられる。式(p1−2)で表わされる重合体は、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPCと略すことがある)骨格を含む重合体である。すなわち、前記式(P2)中の
が下記式(p1−2)で表わされる重合体を挙げることができる。
上記式(p1−2)において、*はL1またはDと結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。
(近赤外色素)
本実施形態における近赤外色素としては、近赤外波長領域の光を吸収して音響波を発するものであれば特に限定されない。ここで、近赤外波長領域とは、600nm以上1300nm以下の範囲である。
本実施形態における近赤外色素としては、例えば、アジン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系色素、アゾ系色素、キノン系色素、テトラサイクリン系色素、フラボン系色素、ポリエン系色素、BODIPY(登録商標)系色素、インジゴイド系色素を挙げることが出来る。
上記シアニン系色素としては、例えば、インドシアニングリーン(ICG)、Alexa 750などのAlexa Fluor(登録商標)系色素(インビトロジェン社製)、Cy(登録商標)系色素(GE ヘルスケア バイオサイエンス社製)、IR−783、IR−806、IR−820(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)、IRDye 800CW、IRDye 800RS(登録商標)(LI−COR社製)、ADS780WS、ADS795WS、ADS830WS、ADS832WS(American Dye Source社製)、Sulfo−Cyanine7(Lumiprobe社製)、ならびにIRDye700DX(登録商標)(LI−COR社製)、を挙げることが出来る。
すなわち、本実施形態において、前記式(P2)中の色素骨格Dは、下記式(d1)または(d2)で表わされることが特に好ましい。
上記式(d1)において、L11、L12、L13、L14、L15は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR15を表しR15は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L11、L12、L13、L14、L15は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R11、R12、R13、R14は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD1−SO 、−RE1−SO11を表す。RD1、RE1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X11は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC1−SO 、−RG1−SO15、または、−RF1−CO14を表す。X14、X15は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC1、RF1、RG1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA1が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z11は水素原子、−SO12、またはZ11に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、−SO13で置換されていてよい。X12、X13は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかであり、*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
上記式(d2)において、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR105を表しR105は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R101、R102、R103、R104は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD11−SO 、−RE11−SO101を表す。RD11、RE11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X101は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC11−SO 、−RG11−SO105、または、−RF1−CO104を表す。X104、X105は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンいずれかを表す。RC11、RF11、RG11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA11が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。また、本色素骨格Dは、RA11を介して、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子、または、リンカーL1に結合していても良い。RB11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z101は水素原子、−SO102、またはZ101に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、−SO103で置換されていてよい。X102、X103は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかであり、*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
更に(d1)および(d2)は、上記(d3)および(d4)で表わすこともできる。
上記式(d3)において、R201乃至R212は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−SO24を表す。X24は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L21、L22、L23、L24、L25は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR25を表し、R25は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L21、L22、L23、L24、L25は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R21、R22、R23、R24は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD2−SO 、−RE2−SO21を表す。RD2、RE2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X21は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC2−SO 、−RG2−SO25、または、−RF2−CO24を表す。X24、X25は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC2、RF2、RG2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA2が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。また、本色素骨格Dは、RA2を介して、式(P2)における、繰り返し単位の末端の炭素原子、または、リンカーL1に結合していても良い。RB2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
上記式(d4)において、R301乃至R312は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−SO34を表す。X34は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR35を表しR35は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R31、R32、R33、R34は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD3−SO 、−RE3−SO31を表す。RD3、RE3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X31は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC3−SO 、−RG3−SO35、または、−RF3−CO34を表す。X34、X35は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC3、RF3、RG3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA3が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。また、本色素骨格Dは、RA3を介して、式(P2)における、繰り返し単位の末端の炭素原子、または、リンカーL1に結合していても良い。RB3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
本実施形態において、上記式(d1)〜(d4)の具体例として、下記式(d1−1)乃至(d1−6)が挙げられる。
上記式(d1−1)乃至(d1−6)において、*はL1またはAに結合することを示し、Xはナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、アルギニンのいずれかである。
上記式(d1−2)において、Yは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、または酢酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン等の有機酸イオンのいずれかである。
また、色素骨格Dの一例として下記式(d2−1)〜(d2−7)で表わされる近赤外色素が挙げられる。
(d2−1)〜(d2−7)において*はL1またはAに結合することを示す。Rはナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、アルギニンのいずれかに由来する陽イオンである。
(リンカー部位)
前記式(P2)中、L1およびL2はリンカーを表わす。
本実施形態において、リンカー部位であるL1は、主鎖Aと色素骨格を、L2は、主鎖Aと側鎖Bを共有結合により連結するリンカーである。
L1およびL2は、その一部に例えば、下記式(l1)乃至(l21)のいずれかで表わされるものが挙げられる。下記式(l1)乃至(l21)において*は他の原子と結合することを示す。
前記の化学構造の中で非対称のものについては、その方向はいずれでもよく、上に例示した化学構造の逆の並びであってもよい。
前記L1、L2の形成は、前記のD、AあるいはBに、例えば、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、N−スクシンイミジルオキシ基、N−スルホスクシンイミジル基、N−マレイミドアルキル基、ヨードアセトアミド基、ブロモアセトアミド基、イソチオシアノ基、スルホン酸塩化物基、およびカルボン酸塩化物基等の反応性基を有するものを用い、結合反応を起す組合せで選ばれた前記反応性基の間で結合を生じさせることにより行うことができる。また、前記で生じた結合がシッフ塩基やカルボニル基を含む場合には、それらを還元して結合のさらなる安定化を図ることができる。
前記のD、AあるいはBと前記反応性基とは直接結合していてもよいし、1つまたは複数の原子を介して結合していてもよい。具体的には、例えば1つまたは複数のメチレンを介して結合してもよい。
L1はホスホリルコリン含有ポリマーの末端に位置することが好ましい。
(末端)
上記式(p2)において、Eは末端を表わし、特に限定されない。Eの例としては、官能基である。
本実施形態に係る重合体におけるEとしての官能基としてはあらゆる基が含まれ、一例として、ハロゲン、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、アジド基、ジアミン、スクシニミジルエステル基、マレイミド基、スクシンイミド基を挙げることができる。ハロゲンの例としては、臭素や塩素である。また、Eとしての化合物の例として、低分子化合物、レポーター分子、標的結合性分子、他の重合体等を挙げることができる。低分子化合物の例としてゲフィチニブのような阻害薬が挙げられる。レポーター分子の例として、放射性信号、磁場信号、超音波信号、蛍光信号、光超音波信号などの物理的な信号を発生する分子、治療用薬剤である、放射性ハロゲン、放射性同位元素、常磁性金属イオン、酸化鉄粒子、金ナノ粒子、マイクロバブル、色素、抗癌剤などを挙げられる。色素の例として蛍光性化合物、燐光性化合物、近赤外光吸収性化合物が挙げられる。標的結合性分子の例としては、抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体などの人工抗体、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。Eとしての他の重合体の例としては、ポリエチレングリコールが挙げられるが、重合度は任意であり、エチレングリコールであってもよい。
(重合体の例)
本実施形態に係る重合体の例として、下記式(1)〜(7)で示される重合体が挙げられる。
上記式(1)、〜(7)において、xはそれぞれ1以上の整数を示す。
(分子量(重合度))
本明細書において分子量は数平均分子量である。数平均分子量はプロトンNMR法やGPC法によって測定することができる。
以下、数平均分子量は単に分子量と記載することがある。また、以下の好ましい分子量の範囲はいずれもプロトンNMR法によって測定した分子量の範囲である。
本実施形態に係る重合体の分子量としては、5000以上で100000以下であることが好ましい。分子量100000を超える重合体では、生体への投与の際に、その投与液の高い粘性が生体への負担になる場合があるからである。また分子量5000以下では、サイズが小さくなる場合があり、速やかな腎排泄で血中滞留性が低くなり、その結果、腫瘍集積性が低くなる場合があるからである。
本実施形態に係る重合体の分子量としては、9000以上で50000以下であることが好ましい。本実施例で示すように、PMPCの分子量が9000以上であれば腫瘍への高い集積が見られるからである。さらに、PMPCの分子量の増大に伴い、腫瘍集積の選択性が増大する。例えば、分子量50000のPMPCを骨格とするICG−PMPCでは、10000〜40000の分子量のPMPCに比べて、より高い腫瘍選択性を示す。つまり、正常組織への集積が低い一方で、腫瘍へは高い集積を示すため、腫瘍選択性の観点では、分子量50000の化合物が特に好ましい。また、腫瘍血液比の観点では、分子量が16000以上で20000以下が特に好ましい。血液濃度が比較的低いにもかかわらず腫瘍集積性が高いためである。
また、本実施形態に係るポリマーは、重合度が10以上であることが好ましく、30以上であることがさらに好ましい。重合度が30以上であれば、該ポリマーの分子量はおよそ10000になり、EPR効果による腫瘍集積性を示しやすいために有利である。
本実施形態に係る重合体の重合度は、350以下であることが好ましい。重合度が350以下であれば十分に粘性が低く、本実施形態に係る重合体を生体内に投与する場合に好ましい。したがって、本実施形態に係る重合体の重合度は、好ましくは30以上350以下である。
(モノマー)
本実施形態に係る重合体を合成するためのモノマーの一例である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPCと略すことがある)は、例えば、下記の反応式1に従って合成することができる。
反応式1
モノマーの重合は、モノマーの種類に応じて従来公知の重合方法を適宜選択することができる。例えば、モノマーがビニルモノマーである場合、重合方法としてリビングラジカル重合法、とりわけ原子移動ラジカル重合(ATRP;Atom Transfer Radical Polymerization)法を挙げることができる。ATRP法は簡便であり、分子量制御が容易であることから好ましい。モノマーがエステルやアミドである場合、重合方法として縮合重合を挙げることができる。縮合重合の際、縮合剤を適宜使用しても良い。モノマーがラクチド、ラクトン、ラクタムである場合、重合方法として開環重合を挙げることができる。開環重合の際、触媒を適宜使用しても良い。
(原子移動ラジカル重合)
ATRP法は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する重合開始剤と、重合触媒となる遷移金属錯体とを用いてビニルモノマーを重合させる方法である。
本発明に係るホスホリルコリン含有ポリマーの一例である重合体のPMPC骨格は、下記の反応式2に示すように、原子移動ラジカル重合によって得ることができる。
反応式2
ビニルモノマーを原子移動ラジカル重合する場合、例えば、下記式(i1)から(i12)で表わされるいずれかの重合開始剤を用いることができる。
これらの重合開始剤は各種官能基を含んでいてもよい。たとえば、上記式(i1)〜(i3)の開始剤を用いた場合では、ポリマーの末端に保護されたマレイミド基やN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入することができる。上記式(i12)の開始剤を用いた場合では、ポリマーの末端に保護されたアミノ基を導入することが出来る。これらの官能基を介して、近赤外色素を結合させることで、本実施形態に係る重合体を得られる。
不活性ガス下、ビニルモノマーを含む反応溶媒中に重合開始剤、遷移金属錯体を添加し、原子移動ラジカル重合を行う。重合はリビング的に進行し、分子量分布の狭いポリマーを得ることができる。
反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等を使用することができる。これらは単独で使用しても良いし、又は2種以上を併用しても良い。不活性ガスとして、窒素ガスやアルゴンガスを使用することができる。
使用する遷移金属錯体はハロゲン化金属とリガンドからなる。ハロゲン化金属の金属種としては、原子番号22番のTiから30番のZnまでの遷移金属が好ましく、特にFe、Co、Ni、Cuが好ましい。その中でも、塩化第一銅、臭化第一銅が好ましい。
リガンドとしては、ハロゲン化金属に配位可能であれば特に限定されないが、例えば、2,2’−ビピリジル、トリス(2−ジメチルアミノエチル)アミン、エチレンジアミン、ジメチルグリオキシム、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,10−フェナントロリン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等を使用することができる。
重合温度は、0℃から80℃の範囲であり、好ましくは10℃から60℃の範囲である。
(重合体の調製方法)
本実施形態において、近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーの調製方法は、近赤外色素とホスホリルコリン含有ポリマーをリンカー分子を介して、公知のカップリング反応によって結合することによって調製する。一例としては、ホスホリルコリン含有ポリマーの末端のマレイミド基に、リンカー分子のシステインを結合させ、その後、N−スルホサクシイミジルオキシ基を有する近赤外色素をカップリングさせる。前記のようなカップリング反応により得られた近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーは、限外濾過法、サイズ排除カラムクロマトグラフィー法等の公知の精製法により洗浄、精製することができる。
(光音響イメージング用造影剤)
本実施形態に係る光音響イメージング(Photoacoustic Imaging、以下PAIと略すことがある)用造影剤は、上記重合体と分散媒とを有する。なお、PAIは、光音響トモグラフィー(断層撮影法)を含む概念である。分散媒として例えば、生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖水溶液が挙げられる。また本実施形態に係るPAI用造影剤は、必要に応じて薬理上許容できる添加物、例えば血管拡張剤などを有していても良い。
本実施形態に係るPAI用造影剤は、上記の分散媒に予め分散させておいてもよいし、キットにしておき、生体内に投与する前に分散媒に分散させて使用してもよい。
本実施形態に係るPAI用造影剤は、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果を利用することで、生体内に投与したときに、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多く集積させることができる。その結果、粒子を生体内に投与した後、生体に光を照射して、生体からの音響波を検出するときに、腫瘍部位から発せられる音響波を正常部位から発せられる音響波よりも大きくすることができる。したがって、本実施形態に係るPAI用造影剤は腫瘍の造影に用いられることが好ましい。
また、本実施形態に係るPAI用造影剤はリンパ節、リンパ節の造影に用いることもできる。さらに、センチネルリンパ節(Sentinel Lymph Node、以下SLNと略すことがある)の造影剤に用いることが特に好ましい。これは色素単独と比べてもサイズが大きいためにセンチネルリンパ節により留まりやすく集積性が向上することが期待されるためである。
(光音響イメージング方法)
生体内に投与された本実施形態に係る重合体を、PAT装置を用いて検出する方法について説明する。本実施形態に係る近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーを検出する方法は以下の(a)、(b)の工程を有する。但し、本実施形態に係る光音響イメージング方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでいても良い。
(a)本実施形態に係る近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーが投与された検体に600nm乃至1300nmの波長領域の光を照射する工程
(b)前記検体内に存在する前記近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーから発生する音響波を検出する工程
また、本実施形態に係る近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーは、前記(b)で得られた音響波の波長、位相および時間情報等から空間的な光音響信号強度分布を再構成する工程を有していてもよい。なお、前記(b)の工程で得られた光音響信号の波長、位相および時間情報を基に3次元的な画像再構成を行うことができる。画像再構成によって得られるデータは光音響信号の強度分布の位置情報が把握できるものであればどのような形態を取っても構わない。例えば3次元空間上に光音響信号強度が表現されるようなもの構わないし、2次元平面上に光音響信号強度に表現されるようなものでも構わない。また、同一の観察対象に対して異なる撮像方法で情報を取得し、それらの情報と光音響の強度分布の位置的な対応関係を取得することも可能である。
上記(a)の工程において、経口投与や注射等の方法によって本実施形態に係る近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーを投与された検体を用いることができる。また、上記(b)の工程において、検体に照射する光を発生させる装置、本実施形態に係る近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーから発せられる光音響信号を検出する装置は特に限定されない。
上記(b)の工程において検体に光を照射する光源としては、前記検体に対し600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長のレーザーパルス光を照射させることのできるものであれば限定されない。レーザーパルス光を照射する装置として、例えば、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)、OPOレーザー(LT−2214 OPO、Lotis社製)、アレキサンドライトレーザーが挙げられる。
音響波を検出する装置は特に制限されず種々のものを用いることが可能である。例えば、市販のPAT装置(Nexus128,Endra Inc.製)を用いて行うことができる。
本実施形態に係る近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーを用いたイメージング方法は、上記(a)、(b)の工程を経ることで腫瘍、リンパ節あるいは血管などの目的とする部位を造影することができる。
以下、本発明の実施例に係る重合体を作製する際に用いる具体的な試薬や反応条件等を挙げているが、これらの試薬や反応条件等は、変更が可能であり、それらの変更は本発明の範囲に包摂されるものとする。したがって以下の実施例は、本発明の理解を助けることが目的であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。以下で説明する各実施例において数平均分子量の測定方法は、プロトンNMR法である。
(実施例1)PMPC(式(40))の合成
式(40)で表わされるPMPCは、反応式5に従って合成した。
反応式5
以下の操作はグローブボックス内(窒素雰囲気下)で行った。20mLバイアルに式(38)で表わされるMPC(東京化成社製)(499.8mg,1.694mmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)2.5mLを加えた。式(11)で表わされる重合開始剤(14.5mg,0.04mmol)、CuBr(5.74mg,0.04mmol、和光純薬工業社製)と2,2’−ビピリジン(12.4mg,0.08mmol,ナカライテスク社製)の0.5mL脱水メタノール溶液をそれぞれ調製した。この溶液を式(38)を含む反応溶液に加え、64時間室温で撹拌した。溶液は赤褐色を呈した。反応終了後、溶液を薄いシリカゲル層に通してCuを除去し(展開液:メタノール)、溶出液をエバポレーターで濃縮した。残渣にメタノールと脱水THFを加え析出した沈殿物をろ取し、脱水THFで洗浄後、減圧乾燥した。粗生成物をGPC(使用カラム:SB−803HQ,展開溶媒:超純水,送液速度:1mL/min,カラム温度:40℃)で分取・精製し、凍結乾燥後、式(40)で表わされるPMPC(白色固体、Mn=18000)を得た。単離収率75%。式(40)で表わされるポリマーをPMPC−18kと略す場合がある。
式(40)のH NMRスペクトルデータを以下に示した。
H NMR spectrum(400 MHz,DO)δ/ppm=6.55(m,furan),5.21(m,furan),4.19(br,−OCHCHOP−,−NCHCHO−),4.12(br,−OCHCHOP−),3.98(br,POCHCHN−, −NCHCHO−),3.58(br,−CHN(CH),3.14(s,−N(CH),2.39−2.50(−CHCON),1.82(br,−CH−,main chain,−C(CH),0.81−0.98(br,−CH,main chain).
(実施例2)数平均分子量の異なるPMPC(PMPC−18k、PMPC−46k)の合成
重合開始剤(式(11))に対するモノマー(式(38))の等量を変化させ、実施例1と同様の操作を行って、数平均分子量(Mn)が18000のPMPC−18k、Mn=46000のPMPC−46kを得た。
(実施例3)近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーの調製
(ポリマー末端の保護基のRetro−Diels Alder反応)
実施例1と2で得られたPMPC−11k、PMPC−18k、ならびにPMPC−46kを、それぞれガラス製反応管に入れ、125℃、真空下で5時間加熱することで、式(41)で表わされるマレイミド末端PMPCを得た。H NMRを測定した結果、フラン環のピークが消失し、マレイミド基由来の6.85ppmのシグナルを観測した。
(ICG誘導体のカップリング反応)
1.5mL Micro−tubeに、式(41)で表されるマレイミド末端PMPCを入れ、PBS(pH7.4)で溶解させた。次に、PMPCのマレイミド基に対して20等量のL−システインを加えて室温で4時間、ゆっくり混合した。反応液を Amicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、20分遠心(14000g)、濃縮した。濃縮溶液に10mM HEPES(pH7.8)を加え、再度20分遠心(14000g)した。この操作を2回繰り返して、溶媒を10mM HEPES(pH7.8)に置換した。
次に、このPMPC水溶液に、PMPCのマレイミド基に対して、1.5等量の近赤外色素ICG−Sulfo−OSu(Dojindo Laboratories,code:I254、上記式(42)で示される化合物。以後ICG誘導体と略すことがある。)を加えた。ICG−Sulfo−OSu(ICG誘導体)の入手元は、特に記載しない場合は以下同じである。
ICG−Sulfo−OSuのストック溶液はDMSO溶液として調製された。具体的には、ICG−Sulfo−OSuの1mg(1.25μmol)をDMSO 100μLで溶解させたものを用いた。
PMPCとICG誘導体のカップリング反応は、遮光下、室温で24時間回転撹拌した。その後、0.22μmシリンジフィルターで反応溶液をろ過し、ICG誘導体が結合したPMPCを得た。PMPC−11k、PMPC−18k、ならびにPMPC−46kそれぞれに対してICG誘導体のカップリング反応を行った。得られた近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーをそれぞれ、ICG−PMPC(11k)、ICG−PMPC(18k)、ならびにICG−PMPC(46k)と略すことがある。
得られたICG−PMPC(11k)、ICG−PMPC(18k)、ならびにICG−PMPC(46k)の水溶液の吸収スペクトル測定の結果、それぞれ788nm、789nm、ならびに788nmに最大吸収波長を有することがわかった。
(親水性近赤外色素のカップリング反応)
前記ICG誘導体のカップリング反応と同様にして、近赤外シアニン色素IRDye 800CW NHS Ester(LI−COR社製)をPMPCにカップリングさせた。この反応のために、PMPC−11kとPMPC−18kの2種類を用いた。こられの得られた化合物をそれぞれ、IRD−PMPC(11k)、ならびにIRD−PMPC(18k)と略すことがある。
得られた、IRD−PMPC(11k)、ならびにIRD−PMPC(18k)の水溶液の吸収スペクトル測定の結果、それぞれ775nm、ならびに775nmに最大吸収波長を有することがわかった。
(比較例1)近赤外色素が結合したポリエチレングリコールの調製
モノアミン直鎖状PEG ME−100EA(日油社製,Mw10000)、モノアミン直鎖状PEG ME−200EA(日油社製,Mw20000)、ならびにモノアミン直鎖状PEG ME−400EA(日油社製,Mw40000)をそれぞれ、50mM炭酸緩衝液(pH9.0)で溶解させNH濃度を0.625mMとした。一方で、ICG−Sulfo−OSu1mg(1.25μmol)をDMSO100μlで溶解させた。PEGの炭酸緩衝液(400μl)に、ICG−Sulfo−OSuのDMSO溶液20μlを加え、ICG−Sulfo−OSuとPEGの反応比1で反応させた。遮光下、室温で24時間回転撹拌した後、0.22μmシリンジフィルターで反応溶液をろ過し、分子量の異なるPEGとICG誘導体の結合体を得た。以後、ICG誘導体が結合したPEG分子量10000のものをICG−PEG(10k)、PEG分子量20000のものをICG−PEG(20k)、ならびにPEG分子量40000のものをICG−PEG(40k)と略すことがある。
後述するように、本発明の近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーと同じ方法で、ICG−PEG(10k)、ICG−PEG(20k)、ならびにICG−PEG(40k)の腫瘍集積量と血液中の色素量を定量した。
(比較例2)近赤外色素の調製
ポリマーを結合していない近赤外色素の性能を比較するため、ICG誘導体とIRDye800CWの活性基の不活化を行った。比較例1と同様にして、グリシンのHEPES緩衝液(400μl)に、ICG−Sulfo−OSuのDMSO溶液20μlを加え、ICG−Sulfo−OSuとグリシンの反応比1で反応させた。遮光下、室温で24時間回転撹拌した後、0.22μmシリンジフィルターで反応溶液をろ過し、グリシンで不活化されたICG誘導体を得た。同様にして、IRDye800CWについてもグリシンで不活化したものを得た。以後、これらをICG−G、IRDye800CW−Gと略すことがある。後述するように、本発明の近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーと同じ方法で、ICG−G、IRDye800CW−Gの腫瘍集積量と血液中の色素量を定量した。
(実施例4)蛍光イメージングによる腫瘍造影能評価
上記実施例3で得られた近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーの腫瘍造影能を担癌マウスを用いた蛍光イメージングにより評価した。蛍光イメージング実験においては、雌の非近交系BALB/c Slc−nu/nuマウス(購入時6週齢)(日本エスエルシー株式会社)を用いた。マウスに担癌させる前の1週間、標準的な食餌、寝床を用い、自由に食餌および飲料水を摂取できる環境下でマウスを順応させた。イメージング実験の約1週間前に1×10個のcolon26マウス腸癌細胞(理研)を、マウスの肩と大腿部に皮下注射した。
ICG−PMPC(11k)、ICG−PMPC(18k)、IRD−PMPC(11k)、ならびにIRD−PMPC(18k)を投与した担癌マウスの全身蛍光像を、IVIS(登録商標)Imaging System 200 Series(XENOGEN)を用いて、投与24時間後にマウスの明視野像と蛍光像を取得した。ICG−PMPC(11k)、ICG−PMPC(18k)、IRD−PMPC(11k)、ならびにIRD−PMPC(18k)の投与量はマウス当たり、色素量として、それぞれ、20、5、1、3nmolであり、100μLのPBS溶液としてマウス尾静脈に注射した。比較のために、比較例1、2で得られたICG−PEG(10k)、ICG−PEG(20k)、ならびにICG−PEG(40k)、ICG−G、IRDye800CW−Gについても同様に評価した。比較のためのこれらの投与量はマウス当たり、色素量として、13nmolであり、100μLのPBS溶液としてマウス尾静脈に注射した。
図1は本発明の化合物の投与後24時間目のマウスの蛍光イメージの代表的な例である。このマウスにはICG−PMPC(18k)が投与された。図1中、黒矢印で示される2か所の腫瘍部位(肩と大腿部)での強い蛍光信号が認められた。一方で、腫瘍以外の組織からの強い蛍光信号は見られなかった。
腫瘍造影能を評価するために、図1で示されるような蛍光イメージングデータから、腫瘍部位(計測面積0.5×0.5cm)の蛍光強度と足の付け根の蛍光強度(正常部位として選択、計測面積0.5×0.5cm)を定量化した。これらの比、つまり腫瘍部位の蛍光強度の値を正常部蛍光強度の値で割った値をSNR(signal−to−noise ratio)として数値化した。SNRは、それぞれの化合物の腫瘍造影能を示すパラメータであり、SNRが高いほど腫瘍の造影剤として有効であることになる。表1に各化合物のSNRを示す。本発明の近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーのSNRは1.9以上であり、比較例の化合物に比べても高かった。この結果より、本発明の実施例に係る、近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーは、腫瘍造影能に優れていることが示された。
(実施例5)化合物の腫瘍集積性と血中残存率の評価
実施例4で実施した腫瘍造影実験のマウスの腫瘍中色素量と血中色素量を定量することで、化合物の腫瘍集積性と血中残存率を評価した。
腫瘍集積性は、腫瘍1gあたりの色素投与量に対する腫瘍への色素移行率(%ID/g)で表わした。まず、投与24時間後にマウスを炭酸ガスで安楽死させた後、腫瘍を外科的に摘出した。腫瘍をプラスチックチューブに移し、腫瘍重量に対し1.25倍量の1%Triton−X100水溶液を添加し、プラスチックペッスルを用いて破砕した。次いで、腫瘍組織重量の20.25倍量のジメチルスルホキシド(DMSO)を加えた。IVIS(登録商標)Imaging System 200 Series(XENOGEN)を用いて、プラスチックチューブの状態で、前記の通り処理された腫瘍破砕溶液の蛍光強度を測定することで腫瘍中の色素量を測定した。
血中残存率は、血液1g(比重を1として1mL)あたりの色素投与量に対する血液への色素移行率(%ID/g)として表わした。投与24時間後にマウス尾静脈から血液を採取し、プラスチックチューブ内で血液、1%Triton、DMSOを2:9:9で混合した。IVIS(登録商標)ImagingSystem 200 Series(XENOGEN社製)を用いて、プラスチックチューブの状態で、前記の通り処理された血液溶液の蛍光強度を測定することで血中の色素量を測定した。
以上の測定より、腫瘍血中比を算出した。これは腫瘍集積性と血中残存率の比であり、この値が高いほど、腫瘍造影能が高いことを意味する。
結果を表2に示す。本発明の近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーの腫瘍集積性は1.1から9.7%ID/gであり、ICG−PMPC(18k)では最も高い腫瘍集積性9.7%ID/gを示した。本発明の実施例に係る、近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーの中でも、色素の違いで腫瘍集積性が変化した。つまり、ICG−PMPCの方がIRD−PMPCに比べて、腫瘍集積性が高くなった。この結果は、ICG誘導体は比較的会合しやすい性質を有しており、一方でIRDye800CWはスルホン酸が多数導入されており、分散性の高い色素である。このような色素の性質の違いを反映している可能性がある。本発明の実施例に係る、ICG−PMPCは比較例のICG−Gに比べ、十分な腫瘍集積性の増加が認められた。
驚くべきことに、本発明の実施例に係る、ICG−PMPC、ならびにIRD−PMPCの腫瘍血中比は、比較例と比べ、高くなった。これは、本発明の実施例に係る、ICG−PMPC、ならびにIRD−PMPCは、腫瘍集積性を示す一方で、血中残存率が低いためである。つまり、腫瘍の造影能が高いことを意味している。この結果は実施例4の蛍光イメージングのSNRの値と傾向が一致している。比較例のICG−PEGでは腫瘍集積性は高いが、血中残存率も高いため、腫瘍血中比は高くならない。以上の結果より、本発明の実施例に係る、ICG−PMPC、ならびにIRD−PMPCは、高い感度、かつ、高い腫瘍集積性で腫瘍を光音響造影することが可能になるものと思われる。
(実施例6)近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーの調製(2)
実施例2で得られたPMPC−18kを、ガラス製ナスフラスコに入れ、125℃、真空下で5時間加熱することで、マレイミド末端PMPCを得た。H NMRを測定した結果、フラン環のピークが消失し、マレイミド基由来の6.85ppmのシグナルを観測した。
次に、得られたマレイミド末端PMPCを1.5mL Micro−tubeに入れ、PBS(pH7.4)で溶解させた。PMPCのマレイミド基に対して20等量のL−システインを加えて4℃で16時間、ゆっくり撹拌した。反応液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、60分遠心(2600xg)、濃縮した。濃縮溶液に50mM炭酸バッファー(pH8.2)を加え、再度60分遠心(2600xg)した。この操作を2回繰り返して、溶媒を50mM 炭酸バッファー(pH8.2)に置換した。ここで得られたシステイン化PMPCを以後、Cys−PMPCと略す。
次に、このCys−PMPC水溶液に、PMPCのマレイミド基に対して、1.5等量のICG誘導体を加えた。Cys−PMPCとICG誘導体のカップリング反応は、遮光下、室温で24時間回転撹拌することで行った。その後、反応溶液を分画分子量3500のポアサイズを有する透析チューブに移し、メタノールに対して透析を行うことで、反応溶液から未反応ICG誘導体を除去した。その後、メタノールに置換された反応溶液をエバポレーターで乾固させたのち、緑色の固形物を水で溶解後、0.22μmシリンジフィルターで溶液をろ過することで、ICG誘導体が結合したPMPCを得た。得られた近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーをICG−PMPC(18k)#2と略す。水中におけるICG−PMPC(18k)#2の吸収スペクトルを図2に示す。図2に示すように788nmに最大吸収波長を有することがわかった。
ICG−PMPC(18k)#2の水溶液の動的光散乱測定(測定装置:マルバーン社製ゼータサイザーナノ)を行った結果、ICG−PMPC(18k)#2は水中において、ナノ粒子を形成していることが示された。そのZ平均粒子径は平均75ナノメートルであった。多分散度指数(PDI)は0.4であった。
(実施例7:光音響信号の測定)
実施例6で得られたICG−PMPC(18k)#2の水溶液の光音響信号を測定した。光音響信号の計測は、パルスレーザー光をサンプル水溶液に照射し、圧電素子を用いてサンプルから光音響信号を検出し、高速プリアンプで増幅後、デジタルオシロスコープで取得した。具体的な条件は以下の通りである。光源として、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)を用いた。レーザー波長は790nmとした。エネルギー密度はおよそ10から20mJ/cm、パルス幅は約20ナノ秒、パルス繰返し周波数は10Hzの条件とした。光音響信号を検出する圧電素子には、エレメント径1.27cm、中心帯域1MHzの非収束型超音波トランスデューサー(V303、Panametrics−NDT製)。測定容器としては、ポリスチレン製キュベットで、光路長0.1cm、サンプル容量は約200μlであった。水を満たしたガラス容器に前記の測定容器と圧電素子とを浸け、その間隔を2.5cmとした。光音響信号強度を増幅する高速プリアンプは増幅度+30dBの超音波プリアンプ(Model5682、オリンパス製)を用いた。増幅された信号をデジタルオシロスコープ(DPO4104、テクトロニクス製)に入力した。ガラス容器の外からパルスレーザー光を前記ポリスチレン製キュベットに照射した。この際に生じる散乱光の一部をフォトダイオードで検出し、デジタルオシロスコープにトリガー信号として入力した。デジタルオシロスコープを32回平均表示モードとし、レーザーパルス照射32回平均の光音響信号強度の測定を行った。
図3に、本発明の実施例に係るICG−PMPC(18k)#2水溶液の光音響信号強度の波形を示した。図3から明らかなように、ICG−PMPC(18k)#2は光音響信号を発することが示された。
(実施例8:ICG−PMPC(18k)#2の体内動態評価)
実施例4と同様の方法で、ICG−PMPC(18k)#2の、腫瘍造影能を評価した。蛍光イメージングデータより、腫瘍部蛍光強度と正常部蛍光強度の比をSNR(signal−to−noise ratio)として算出した結果、2.6であった。実施例4の結果と同様、比較例と比べて高いSNRを示した。また、実施例5と同様の方法で、ICG−PMPC(18k)#2の腫瘍集積性を測定した結果、6.4%ID/gであった。
(実施例9:ICG−PMPC(18k)#2による腫瘍の光音響イメージング)
実施例4に記載の方法で調製した担癌マウスに対してICG−PMPC(18k)#2を色素量45nmolで投与し、市販のPAT装置(Nexus128,Endra.Inc.製)を用いて、計測は投与前、投与1日後でそれぞれ実施した。計測波長は790nmとした。図4(a)には、ICG−PMPC(18k)#2投与前にイメージングされた担癌マウスの光学写真、ならびに、白い四角の枠で示された光音響イメージング像(MIP像)の重ね合わせ像を示した。図4(a)中、黒い点線で囲まれた領域に腫瘍がある。図4(b)には、図4(a)で示されたものと同じ担癌マウスであり、ICG−PMPC(18k)#2投与1日後にイメージングされた、担癌マウスの光学写真、ならびに、白い四角の枠で示された光音響イメージング像(MIP像)の重ね合わせ像を示した。図4から明らかなように、ICG−PMPC(18k)#2投与前に比べて、その投与1日後において、腫瘍領域の光音響信号が増加していることがわかった。光音響信号強度解析の結果、投与前に比べ、投与後は2.9倍まで信号強度が増加していることがわかった。以上の結果より、ホスホリルコリンを側鎖として有するポリマーに近赤外波長領域に吸収を有する色素が結合した化合物は、光音響の腫瘍造影剤として機能することが示された。
(実施例10:PMPC−Fmocの合成)
式(44)で表わされるPMPC−Fmocは、反応式6に従って合成した。
反応式6
以下の操作はグローブボックス内(窒素雰囲気下)で行った。5mLバイアルに式(38)で表わされるMPC(東京化成社製)(469.4mg,1.59mmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)2.0mLを加えた。式(43)で表わされる重合開始剤(13.2mg,0.023mmol)、CuBr(3.37mg,0.023mmol、和光純薬工業社製)と2,2’−ビピリジン(7.33mg,0.046mmol,ナカライテスク社製)の0.1mL 脱水メタノール溶液をそれぞれ調製した。この溶液を式(38)を含む反応溶液に加え、96時間室温で撹拌した。溶液は赤褐色を呈した。反応終了後、溶液を薄いシリカゲル層に通してCuを除去し(展開液:メタノール)、溶出液をエバポレーターで濃縮した。残渣にメタノールと脱水THFを加え析出した沈殿物をろ取し、脱水THFで洗浄後、減圧乾燥した。粗生成物を超純水に溶解し、溶液を Amicon Ultra 限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量3K)に移し、30分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度30分遠心(5000g)した。これを2回繰り返し、得られた残渣を凍結乾燥後、式(44)で表わされるPMPC−Fmoc (白色固体、Mn=50000)を得た。
H NMR spectrum(400MHz,DO)δ/ppm=7.92―7.68(m,9−fluorenyl),3.98−4.19(br,−OCHCHOP−,−NCHCHO−,−OCHCHOP−,−POCHCHN−,−NCHCHO−,−CHCHO−),3.58(br,−CHN(CH),3.14(s,−N(CH),1.82(br,−CH−,main chain,−C(CH),0.81−0.98(br,−CH,main chain).
(実施例11:PMPC−NHの合成)
式(45)で表わされる末端にアミノ基を有するPMPC−NHは、反応式7に従って合成した。
反応式7
20mLバイアルに式(44)で表わされるPMPC−Fmoc(102.3mg,2.0μmol),DBU(40μL)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)4.0mLを加え、室温で24時間攪拌した。反応進行は、ニンヒドリン呈色法により確認した。反応終了後、反応溶液を超純水で希釈し、溶液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、30分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度30分遠心(5000g)した。これを2回繰り返し、得られた残渣を凍結乾燥後、式(45)で表わされるPMPC−NHを定量的に得た。H NMR測定により、9−フルオレニル環のピーク(7.92−7.68ppm)の消失を確認した。
(実施例12:ICG誘導体のカップリング反応)
10mLバイアルに式(45)で表わされるPMPC−NH(84mg,1.68μmol),近赤外色素ICG−Sulfo−OSu(2.9mg,3.197μmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)2.0mLを加え、室温遮光下で48時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を超純水で希釈し、溶液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、30分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度30分遠心(5000g)した。これを2回繰り返し、得られた粗生成物をPD−10カラム(展開溶媒:超純水)により分取・精製し、凍結乾燥後、式(46)で表わされるICG−PMPC(43k)を得た(緑色固体、Mn=43000)。
H NMR spectrum(400MHz,CDOD)δ/ppm=8.21−8.23(m),7.99−8.00(m),7.60−7.66(m),6.32−6.64(m),4.33(br),4.23(br),4.08(br),3.75(br),3.30(s)1.82−2.36(br),0.96−1.32(br).
ICG−PMPC(43k)の水溶液(50μM)の動的光散乱測定(測定装置:マルバーン社製ゼータサイザーナノ)を行った結果、Z平均粒子径は平均157ナノメートルであった。
ICG−PMPC(43k)のGPC(使用カラム:SB−803HQ,展開溶媒:0.1M NaNO,0.2%NaN水溶液,送液速度:1mL/min,カラム温度:40℃)測定の結果、ICG−PMPC(43k)は7.46minに溶出ピークが観測された。一方、PMPC−NHおよびICGは同様の条件下において7.53min、10.15minにそれぞれ溶出ピークが観測された(図5)。
(実施例13:ICG−PMPC(43k)による腫瘍の光音響イメージング)
Balb/c nu−nu雌マウス(6週齢)の右肩部に、colon26大腸癌細胞(0.8×10cell,50% Geltrex 生理食塩水溶液)を50μL皮下注射して担癌マウスを作製した。担癌後8日目のマウスに、ICG−PMPC(43k)の生理食塩水溶液(20nM)100μLを尾静脈から投与した。投与前および投与1日後の担癌マウス個体の光音響イメージング(検出波長797nmおよび850nm)を行った。図6に、担癌マウスの光学写真と光音響イメージング画像の重ね合わせ像を示す。図6(a)に投与前の担癌マウスの光学写真と光音響画像の重ね合わせ像、図6(b)に投与1日後の同一マウス個体の光学写真と光音響画像の重ね合わせ像を示した。図6中、白矢印は腫瘍の位置を示す。図6から明らかなように、ICG−PMPC(43k)投与前に比べて、その投与1日後において、腫瘍領域の光音響信号が増加していることがわかった。
(実施例14:分子量の異なるICG−PMPCの合成)
実施例10〜12と同様にして、式(46)で表わされるPMPCの分子量の異なる化合物ICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ならびにICG−PMPC(50k)を合成した(いずれも緑色固体)。ICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)の数平均分子量は、それぞれ12000、43000、50000であった。
(実施例15:分子量の異なるICG−PMPCの粒子径測定)
実施例14で得られた、ICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)の水溶液(1mg/mL)の動的光散乱測定(測定装置:マルバーン社製ゼータサイザーナノ)を行った結果、Z平均粒子径はそれぞれ平均、105、125、137ナノメートルであった。
(実施例16:比較例としてのICG結合PEG(PEG分子量4万)の合成)
モノアミン直鎖状PEG ME−400EA(日油社製,Mw40000)(35mg,0.88μmol)と近赤外色素ICG−Sulfo−OSu(1mg,1.08μmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)1.0mLを加え、室温遮光下で48時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を超純水で希釈し、溶液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、30分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度30分遠心(5000g)した。これを2回繰り返し、得られた粗生成物をPD−10カラム(展開溶媒:超純水)により分取・精製し、凍結乾燥後、ICG−PEG(40k)を得た(緑色固体、Mn=40000)。
(実施例17:比較例としてのICG結合PEG(PEG分子量1万2千)の合成)
実施例16と同様の手法で、モノアミン直鎖状PEG MEPA−12T(日油社製,Mw12000)と近赤外色素ICG−Sulfo−OSuを反応させ、ICG−PEG(12k)を得た。
(実施例18:比較例としてのICG結合PEGの粒子径測定)
実施例16および17で得られた化合物、ICG−PEG(40k)、ICG−PEG(12k)の水溶液(1mg/mL)の動的光散乱測定(測定装置:マルバーン社製ゼータサイザーナノ)を行った結果、Z平均粒子径はそれぞれ平均、194、132ナノメートルであった。ICG−PEG(40k)、ICG−PEG(12k)のPBS緩衝液(1mg/mL)でのZ平均粒子径を同様に測定した結果、その平均粒子径はそれぞれ平均、136、130ナノメートルであった。
(実施例19:蛍光イメージングによる腫瘍造影能の評価)
実施例14で得られたICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)、実施例16で得られた比較例のICG−PEG(40k)について、蛍光イメージングによる腫瘍造影能の評価を行った。
Balb/c nu−nu 雌マウス(6週齢)の右肩部に、colon 26 大腸癌細胞(1.0×10cell,50% Geltrex 生理食塩水溶液)を50μL皮下注射して担癌マウスを作製した。担癌後7日目のマウスにICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)、ICG−PEG(40k)の生理食塩水溶液(200μM)100μL(20nmol)を尾静脈から投与した。投与した担癌マウスの全身蛍光像を、IVIS(登録商標)Imaging System 200 Series(XENOGEN)を用いて、投与前、投与直後、投与0.5、1.5、2.5、24、および48時間後にマウスの明視野像と蛍光像を取得した。
図7にICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)の投与前および投与後48時間目のそれぞれのマウスの蛍光イメージングの例を示した。ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)では、丸で示される1か所の腫瘍部位(右肩)での強い蛍光信号が認められた。一方で、正常部位である左肩での蛍光信号は微弱であった。さらに、ICG−PMPCの分子量の増大とともに、腫瘍部位の蛍光信号が増強されている様子が観測された。
図8にICG−PMPC(50k)、ICG−PEG(40k)の投与前および投与後の48時間目のそれぞれのマウスの蛍光イメージングの例を示した。腫瘍部位(右肩)は丸で示した。ICG−PMPC(50k)を投与したマウスからは、投与後48時間目には、丸で示される腫瘍部位から蛍光信号が観測される一方で、正常部位である左肩やマウス腹部での蛍光信号は微弱であった。一方で、ICG−PEG(40k)を投与したマウスからは、投与後48時間目には、丸で示される腫瘍部位に加えて正常部位である左肩やマウス腹部からの強い蛍光信号が観測された。
腫瘍造影能を評価するために、実施例19での図7および8で示されるような蛍光イメージングデータから、腫瘍部(右肩)、担癌していない左側臥位(正常部位として選択)、および肝臓(腹部)のROIの蛍光強度を定量し、投与前マウスの腫瘍部(右肩)の蛍光強度(自家蛍光強度として選択)を定量した値を引いて数値化した。ただし、正常部位の蛍光強度は左側臥位上の3点のROIの平均値として定量した。
腫瘍造影能の指標として、差分強度とSNRを用いた。ここで差分強度とは数値化した腫瘍部の蛍光強度から正常部位の蛍光強度を引いた数値を示す。本実施例19でのSNRは、上述のとおり、実施例19における腫瘍部蛍光強度の値を正常部蛍光強度の値で割った値を示す。SNRは、それぞれの化合物の腫瘍造影能を示すパラメータであり、SNRが高いほど腫瘍の造影剤として有効であることになる。図9にICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)およびICG−PEG(40k)の差分強度を示した。この結果より、ICG−PMPCは、分子量の増大とともに腫瘍造影能が向上することが示された。また、図10に、これら化合物のSNRを示した。この結果より、ICG−PMPC(50k)はICG−PEG(40k)よりも腫瘍選択性が高いことが示された。
以上のことから、本発明の実施例に係る、近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーは、近赤外色素が結合したポリエチレングリコールにくらべ、クリアランスが速く、腫瘍造影能に優れていることが示された。
図11に肝臓(腹部)のROIの定量結果を示す。ICG−PMPC(50k)に比べICG−PEG(40k)のほうが肝臓部位からの蛍光シグナルが強く観測された。この結果から、近赤外色素が結合したホスホリルコリン含有ポリマーは、近赤外色素が結合したポリエチレングリコールにくらべ、肝臓集積性が低く、腫瘍造影能に優れていることが示された。
(実施例20:腫瘍の光音響イメージング)
実施例14で得られたICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)、について、実施例13に記載の腫瘍の光音響イメージングを行った。Balb/c nu−nu雌マウス(6週齢)の右肩部に、colon26大腸癌細胞(1.0×10cell,50% Geltrex 生理食塩水溶液)を50μL皮下注射して担癌マウスを作製した。担癌後7日目のマウスに、ICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)の生理食塩水溶液(200μM)200μL(40nmol)を尾静脈から投与した。投与前および投与1日後の担癌マウス個体の光音響イメージング(検出波長797nmおよび850nm)を行った。図12に、ICG−PMPC(50k)を投与した担癌マウスの光学写真と光音響イメージング画像の重ね合わせ像を示す。図12(a)に投与前の担癌マウスの光学写真と光音響画像の重ね合わせ像、図12(b)に投与2日後の同一マウス個体の光学写真と光音響画像の重ね合わせ像を示した。図12中、矢印は腫瘍の位置を示す。図12から明らかなように、ICG−PMPC(50k)は投与前に比べて、その投与2日後において、腫瘍領域の光音響信号が増加しており、腫瘍を造影することが可能であることがわかった。
図13に、ICG−PMPC(12k)、ICG−PMPC(43k)、ICG−PMPC(50k)を投与した担癌マウス腫瘍領域の光音響イメージング画像を示す。図13に投与前の担癌マウスの光音響画像、および投与2日後の同一マウス個体の光音響画像を示した。図13から明らかなように、ICG−PMPCのPMPC分子量の増大とともに、腫瘍部位の光音響信号が増強されている様子が観測された。
(実施例21:ICG−PMPCの腫瘍内局在評価)
実施例20で実施した担癌マウスの摘出腫瘍を光音響イメージングすることにより、ICG−PMPCの腫瘍内局在を評価した。実施例20で得られたICG−PMPC(50k)を投与した担癌マウスを投与48時間目にソムノペンチルで安楽死させた後、腫瘍を外科的に摘出した。摘出した腫瘍の光音響イメージング(検出波長797nmおよび850nm)を行った。図14に摘出した腫瘍の光音響イメージング画像を示す。腫瘍部位を点線で示した。図14から明らかなように、腫瘍に集積したICG−PMPC(50k)は腫瘍表面に局在することがわかった。
(実施例22:Sulfo−Cyanine7 NHS Esterのカップリング反応)
5mLバイアルに上記式(45)で表わされるPMPC−NH(96.5mg,1.64μmol),近赤外色素Sulfo−Cyanine7 NHS Ester(Lumiprobe社製)(3.7mg,4.5μmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)1.0mLを加え、室温遮光下で50時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を超純水で希釈し、溶液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、30分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度30分遠心(5000g)した。これを2回繰り返し、得られた粗生成物をPD−10カラム(展開溶媒:超純水)により分取・精製し、凍結乾燥後、下記式(47)で表わされるCy7−PMPCを得た(緑色固体、Mn=58000)。
H NMR spectrum(500MHz,CDOD)δ/ppm=7.75−7.91(m),7.50−7.57(m),6.19−6.26(m),4.56−4.59(m),4.32(br),4.21(br),4.07(br),3.74(br),3.16(s)1.75−2.12(br),0.82−1.18(br).
(実施例23:IRDye(登録商標) 700DX NHS Esterのカップリング反応)
5mLバイアルに上記式(45)で表わされるPMPC−NH(67.4mg,1.14μmol),近赤外色素であるIRDye(登録商標) 700DX NHS Ester(LI−COR社製)(3.7mg,4.5μmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)1.0mLを加え、室温遮光下で68時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を超純水で希釈し、溶液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、30分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度30分遠心(5000g)した。これを2回繰り返し、得られた粗生成物をPD−10カラム(展開溶媒:超純水)により分取・精製し、凍結乾燥後、下記式(48)で表わされる700DX−PMPCを得た(緑色固体、Mn=57000)。
H NMR spectrum(500MHz,CDOD)δ/ppm=9.74−9.79(br),9.60−9.63(m),9.40−9.44(m),8.44−8.54(m),8.05−8.09(m),4.33(br),4.22(br),4.07(br),3.74(br),3.32(s)1.75−2.12(br),0.81−1.21(br).
(実施例24:IRDye(登録商標) 800CW NHS Esterのカップリング反応)
5mLバイアルに上記式(45)で表わされるPMPC−NH(29.6mg,0.50μmol),近赤外色素であるIRDye 800CW NHS Ester(LI−COR社製)(1.0mg,0.86μmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)1.0mLを加え、室温遮光下で53時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を超純水で希釈し、溶液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、20分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度20分遠心(5000g)した。これを2回繰り返し、得られた粗生成物をPD−10カラム(展開溶媒:超純水)により分取・精製し、凍結乾燥後、下記式(49)で表わされる800CW−PMPCを得た(緑色固体、Mn=57000)。
H NMR spectrum(500MHz,CDOD)δ/ppm=7.92−8.03(m),7.77−7.88(m),7.35−7.41(m),7.25−7.33(m),7.17−7.22(m), 6.27−6.33(m),6.15−6.23(m),4.33(br),4.22(br),4.07(br),3.74(br),3.30(s)1.72−2.12(br),0.84−1.22(br).
(実施例25:IRDye(登録商標) 800RS NHS Esterのカップリング反応)
5mLバイアルに上記式(45)で表わされるPMPC−NH(60.5mg,1.03μmol),近赤外色素IRDye(登録商標) 800RS NHS Ester(LI−COR社製)(2.1mg,2.2μmol)と脱水メタノール(和光純薬工業社製)1.0mLを加え、室温遮光下で51時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を超純水で希釈し、溶液をAmicon Ultra限外ろ過フィルターチューブ(分画分子量10K)に移し、30分遠心(5000g)、濃縮した。濃縮溶液に超純水を加え、再度20分遠心(5000g)した。これを3回繰り返し、得られた粗生成物をPD−10カラム(展開溶媒:超純水)により分取・精製し、凍結乾燥後、下記式(50)で表わされる800RS−PMPCを得た(緑色固体、Mn=57000)。
H NMR spectrum(500MHz,CDOD)δ/ppm=7.88−8.00(m),7.83−7.87(m),7.14−7.42(m),6.21−6.26(m),6.11−6.15(m),4.33(br),4.22(br),4.07(br),3.74(br),3.30(s)1.75−2.13(br),0.85−1.22(br).
(実施例26:色素結合型PMPCの粒子径測定)
実施例22、23、24、25で得られた、上記式(47)で表わされるCy7−PMPC(58k)、上記式(48)で表わされる700DX−PMPC(57k)、上記式(49)で表わされる800CW−PMPC(57k)、上記式(50)で表わされる800RS−PMPC(57k)の水溶液(1mg/mL)の動的光散乱測定(測定装置:マルバーン社製ゼータサイザーナノ)を試みたが、測定不可能であった。一方、塩酸水溶液中(pH 0.46)Cy7−PMPC(58k)の動的光散乱測定を行った結果、Z平均粒子径は平均12.3nmであった。
(実施例27:色素結合型PMPCの吸収スペクトル測定)
実施例22、23、24、25で得られた、上記式(47)で表わされるCy7−PMPC(58k)、上記式(48)で表わされる700DX−PMPC(57k)、上記式(49)で表わされる800CW−PMPC(57k)、上記式(50)で表わされる800RS−PMPC(57k)の水溶液(2μM)の吸収スペクトル測定(測定装置:株式会社日立製作所製 U−3010 Spectrophotometer)の結果、それぞれ753nm、689nm、777nm、771nmに最大吸収波長を有することがわかった。
(実施例28:色素結合型PMPCの蛍光イメージングによる腫瘍造影能の評価)
実施例22、23、24、25で得られた、上記式(47)で表わされるCy7−PMPC(58k)、上記式(48)で表わされる700DX−PMPC(57k)、上記式(49)で表わされる800CW−PMPC(57k)、上記式(50)で表わされる800RS−PMPC(57k)、ならびに実施例12に記載の式(46)で表わされる分子量が48kのICG−PMPC(以後、ICG−PMPC(48k)と略す)について、実施例4の記載の方法に従って、蛍光イメージングによる腫瘍造影能を評価した。各化合物の投与量はマウス当たり、色素量として、50nmolとして、約100μLのPBS溶液としてマウス尾静脈に注射した。実施例4に記載の方法に従って、本発明の色素結合型PMPCの投与後24時間目のマウスの蛍光イメージから、腫瘍部位と正常部位の蛍光強度を定量化した。蛍光イメージングにおいて、700DX−PMPC(57k)では、励起フィルター675nm、蛍光フィルター720nmを、Cy7−PMPC(58k)、800CW−PMPC(57k)、800RS−PMPC(57k)では、励起フィルター745nm、蛍光フィルター800nmを、ICG−PMPC(48k)では、励起フィルター745nm、蛍光フィルター840nmを使用した。
図15に、各色素結合型PMPCの投与後24時間目の担癌マウスの近赤外蛍光像と明視野像を重ね合わせた図の一例を示した。図15では、同じマウスの腫瘍側と腹側を示した。腫瘍側の画像中の白矢印は腫瘍部位を示している。全ての色素結合型PMPCにより、腫瘍が蛍光で造影できた。また、腹側の画像から明らかなように、Cy7−PMPC(58k)ならびに700DX−PMPC(57k)では、膀胱からの蛍光が認められるため、これらの色素結合型PMPCの腎排泄が示唆された。
表3に、各色素結合型PMPCの腫瘍造影能の指標であるSNRを示す。全ての色素結合型PMPCにおいて、SNRは1.7以上であり、腫瘍造影が可能であった。特に、Cy7−PMPC(58k)ならびに800CW−PMPC(57k)では、2.0以上であり、腫瘍造影能に優れている色素結合型PMPCであることが示された。
(実施例29:色素結合型PMPCの蛍光イメージングによる腫瘍肝臓比の評価)
実施例28で得られた蛍光イメージングデータから、Cy7−PMPC(58k)、700DX−PMPC(57k)、800CW−PMPC(57k)、800RS−PMPC(57k)、ならびにICG−PMPC(48k)の腫瘍肝臓比(Tumor/Liver)を算出した。腫瘍肝臓比は、腫瘍の蛍光強度と肝臓の蛍光強度(計測面積:0.2cm)の比で表わされ、色素結合型PMPCの腫瘍選択性の指標の一つである。
表4に、各色素結合型PMPCの腫瘍肝臓比を示す。全ての色素結合型PMPCにおいて、腫瘍肝臓比は1.8以上であり、高い値を示した。特に、Cy7−PMPC(58k)では、2.9であり、これらの色素結合型PMPCの中で最も高い値を示した。
(実施例30:色素結合型PMPCの腫瘍集積性と血中残存率の評価)
実施例28で実施した腫瘍造影実験のマウスの腫瘍中色素量と血中色素量を定量し、Cy7−PMPC(58k)、700DX−PMPC(57k)、800CW−PMPC(57k)、800RS−PMPC(57k)、ならびにICG−PMPC(48k)の腫瘍集積性、血中残存率、ならびに腫瘍血中比を、実施例5に記載の方法に従って、評価した。
結果を表5に示す。本発明の色素結合型PMPCは、高い腫瘍集積性を示し、特に700DX−PMPC(57k)においては、高い値を示した。本発明の実施例に係る、色素結合型PMPCは、結合させる色素の違いで体内動態が変化することがわかった。色素の親水性、疎水性がその体内動態に影響するものと考えられる。以上の結果より、本発明の実施例に係る、色素結合型PMPCは、色素種やポリマーの分子量によって機能制御することが可能であり、診断目的に応じて、その実施形態を最適化できることが示された。
(実施例31:色素結合型PMPCの体内分布の評価)
色素結合型PMPCの体内分布を調べるために、実施例28で実施した腫瘍造影実験のマウスの組織を摘出し、実施例30で摘出した腫瘍組織と合わせて、その蛍光量を測定した。具体的には、各組織の規格化蛍光強度を測定した。ここで規格化蛍光強度とは、蛍光イメージング装置に付属の解析ソフトを用いて定量された平均放射効率(Average Radiant Efficiency、[p/s/cm2/sr]/[μW/cm2])である。平均放射効率は、計測面積と照射励起光量で規格化された発光量である。また、腫瘍と各組織の蛍光強度比(腫瘍/正常組織と略す)も算出した。腫瘍/正常組織は、色素結合型PMPCの腫瘍選択性を表す指標の一つであり、この値が高いと腫瘍への選択性が高いことになる。
表6に、色素結合型PMPCの各組織の規格化蛍光強度と腫瘍/正常組織を示す。全ての色素結合型PMPCにおいて、正常組織への分布が認められたが、腫瘍はそれらと同等あるいはそれ以上の蛍光強度を示すことから、本発明の色素結合型PMPCの高い腫瘍選択性を反映していると思われる。Cy7−PMPC(58k)では、その腫瘍/正常組織が、高い値を示しており、腫瘍選択性の高い色素結合型PMPCであることがわかった。
(実施例32:色素結合型PMPCの光褪色過程の評価)
実施例22、23、24、25で得られた、上記式(47)で表わされるCy7−PMPC(58k)、上記式(48)で表わされる700DX−PMPC(57k)、上記式(49)で表わされる800CW−PMPC(57k)、上記式(50)で表わされる800RS−PMPC(57k)、ならびに実施例12に記載の式(46)で表わされるICG−PMPC(48k)について、それぞれの色素結合型PMPCの濃度を、最大吸収波長における吸光度が0.15になる様、調製した2.0mLのサンプルを準備した。比較例としてのICG単独のサンプルも準備した。なお、PAT装置を用いる近赤外パルスレーザー光の照射波長、および蛍光スペクトル測定における励起波長は、それぞれの色素結合型PMPCならびにICGの最大吸収波長に設定した。なお、色素結合型PMPCならびにICGの励起波長と蛍光発光波長を図16にまとめた。近赤外パルスレーザー光を各波長において8〜9mJに設定し、20回ごとに120点(detector位置)での照射を一回として、最大4回照射した。各照射後に150μLずつサンプリングした。それらを100μLキュベットに入れ、蛍光スペクトル(日本分光(株)社製 FP−6300)を測定し、光褪色について検討した。結果を図17に示す。最も光褪色が起こらなかった安定な色素結合型PMPCは、近赤外蛍光色素としてシリコンフタロシアニン骨格を有する700DX−PMPC(57k)であった。一方、他のシアニン系色素を有する色素結合型PMPCでは、明確な光褪色が観測され、その安定性は、
の順に低下した。さらに、比較例としてのICG単独では4回の照射で15%程度まで光褪色したことから、PMPCへの結合によりシアニン系色素の安定性は飛躍的に向上したことが明らかとなった。
(実施例33:色素結合型PMPCからの一重項酸素生成量の評価)
実施例22、23、24、25で得られた、上記式(47)で表わされるCy7−PMPC(58k)、上記式(48)で表わされる700DX−PMPC(57k)、上記式(49)で表わされる800CW−PMPC(57k)、上記式(50)で表わされる800RS−PMPC(57k)、ならびに実施例12に記載の式(46)で表わされるICG−PMPC(48k)について、それぞれの色素結合型PMPCの濃度を、最大吸収波長における吸光度が0.15になる様、調製した2.0mLのサンプルを準備した。次に、1.0mMに調製したSinglet Oxygen Sensor Green Reagent(Molecular PROBES 社製)の水溶液を2.0μLずつ、色素結合型PMPC水溶液に加え、実施例32と同様にPAT装置を用い、近赤外パルスレーザー光を最大4回照射し、各照射後に150μLずつサンプリングした。それらを100μLキュベットに入れ、蛍光スペクトル(日本分光(株)社製FP−6300)を測定し、一重項酸素の生成量を明らかにした。なお、一重項酸素が存在しない場合のSinglet Oxygen Sensor Green Reagentは、弱い青色の蛍光を示すが(Ex:372and393nm;Em:395and416nm)、一重項酸素が存在する場合には、緑色の蛍光(Ex:〜504nm;Em:525nm)を示す。
従って、光照射後の各色素結合型PMPCについて、480nmの励起光で励起し、536nmの蛍光強度を比較する蛍光スペクトル測定を行い、一重項酸素の発生量を評価した。結果を図18に示した。近赤外蛍光色素として、シリコンフタロシアニン骨格を有する700DX−PMPC(57k)が、他のシアニン系色素を有する色素結合型PMPCに比べ、はるかに大量に一重項酸素を生成することが明らかとなった。実際、フタロシアニン系色素は、臨床現場で癌の光線力学療法に使用されており、光照射により、強い細胞毒性を示すことが予想される。一方、シアニン系色素を有する色素結合型PMPCでは、いずれも光照射による一重項酸素生成量が極めて少ないことが明らかとなった。これらの結果は、シアニン系色素を有する色素結合型PMPCでは、近赤外パルスレーザー光の照射より褪色するが、光褪色するシアニン系色素の分解過程には、一重項酸素の生成は含まれないことを示しており、光毒性はほとんどないことを示唆した。

Claims (18)

  1. 下記式(P2)で表わされる重合体、
    ただし、上記式(P2)においてDは近赤外領域に吸収を持つ色素の色素骨格、Aは重合体の主鎖、L1、L2は各々独立のリンカーで、L1、L2は存在しなくてもよく、xは1以上の整数であり、Eは官能基を表し、Bは、下記式(s1)で表わされ、
    上記式(s1)においてaは1以上6以下の整数であり、n、m、lは各々独立に1から3の整数であり、*はL2またはAに結合することを示す。
  2. 前記Aが、下記式(m1)乃至(m3)のいずれかで表わされる構造である請求項1に記載の重合体。
    [上記式(m1)乃至(m3)においてR乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、Rは置換もしくは無置換の炭素数1以上9以下の炭化水素基であり、Rが炭素数2以上の炭化水素基である場合、どの炭素が側鎖である−L2−B、またはBと結合してもよく、R乃至Rにおける置換基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子から選択される少なくとも1種を含む官能基であり、上記式(m1)乃至(m3)において*はL2あるいはBに、**はL1あるいはDに結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。]
  3. 前記Aが下記式(m1−1)で表わされる構造である請求項1または2に記載の重合体。
    [上記式(m1−1)において*はL2あるいはBに、**はL1あるいはDに結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。]
  4. 前記Bが下記式(s1−1)で表わされる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(s1−1)において、aは1以上4以下の整数であり、*はAまたはL2に結合することを示す。]
  5. 前記式(P2)中のL2−Bが下記式(s1−2)で表わされる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(s1−2)において、L1は存在しなくてもよく、a、bは各々独立に1以上4以下の整数であり、Rは酸素原子、またはNH基のいずれかであり、*はAに結合することを示す。]
  6. 前記式(P2)中の
    が下記式(p1−1)で表わされる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(p1−1)において、a、bは各々独立に、1以上4以下の整数であり、*はL1またはDと結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。]
  7. 前記式(P2)中の
    が下記式(p1−2)で表わされる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(p1−2)において*はL1またはDと結合することを、記号を付さない末端はEに結合することを示す。]
  8. 前記Dが下記式(d1)乃至(d4)のいずれかで表わされる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(d1)において、L11、L12、L13、L14、L15は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR15を表しR15は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L11、L12、L13、L14、L15は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R11、R12、R13、R14は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD1−SO 、−RE1−SO11を表す。RD1、RE1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X11は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC1−SO 、−RG1−SO15、または、−RF1−CO14を表す。X14、X15は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC1、RF1、RG1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA1が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。RB1は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z11は水素原子、−SO12、またはZ11に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、−SO13で置換されていてよい。X12、X13は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかであり、*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
    上記式(d2)において、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR105を表しR105は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R101、R102、R103、R104は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD11−SO 、−RE11−SO101を表す。RD11、RE11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X101は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC11−SO 、−RG11−SO105、または、−RF1−CO104を表す。X104、X105は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC11、RF11、RG11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA11が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。また、本色素骨格Dは、RA11を介して、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子、または、リンカーL1に結合していても良い。RB11は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。Z101は水素原子、−SO102、またはZ101に結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルコキシ基、−SO103で置換されていてよい。X102、X103は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかであり、*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
    上記式(d3)において、R201乃至R212は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−SO24を表す。X24は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L21、L22、L23、L24、L25は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR25を表し、R25は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L21、L22、L23、L24、L25は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R21、R22、R23、R24は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD2−SO 、−RE2−SO21を表す。RD2、RE2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X21は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC2−SO 、−RG2−SO25、または、−RF2−CO24を表す。X24、X25は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC2、F2、G2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA2が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。また、本色素骨格Dは、RA2を介して、式(P2)における、繰り返し単位の末端の炭素原子、または、リンカーL1に結合していても良い。RB2は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。
    上記式(d4)において、R301乃至R312は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−SO34を表す。X34は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は各々が同一でも異なっていてもよく、CH又はCR35を表しR35は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基を表す。L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37は互いに4員環乃至6員環を形成していてもよい。R31、R32、R33、R34は各々が同一でも異なっていてもよく、水素原子、または、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RD3−SO 、−RE3−SO31を表す。RD3、RE3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。X31は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RA3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基、−RC3−SO 、−RG3−SO35、または、−RF3−CO34を表す。X34、X35は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、あるいはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、またはアルギニンに由来する陽イオンのいずれかを表す。RC3、F3、G3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。RA3が、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキル基の場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていて良い。また、本色素骨格Dは、RA3を介して、式(P2)における、繰り返し単位の末端の炭素原子、または、リンカーL1に結合していても良い。RB3は、直鎖または分岐の炭素数1乃至10のアルキレン基を表す。*はL1に結合する、または重合体がL1を含まない場合は、式(P2)における繰り返し単位の末端の炭素原子に結合することを示す。]
  9. 前記Dが下記式(d1−1)乃至(d1−6)のいずれかで表わされる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(d1−1)乃至(d1−6)において、*はL1またはAに結合することを示し、Xはナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、アルギニンのいずれかである。
    上記式(d1−2)において、Yはハロゲンイオン、または有機酸イオンのいずれかである。]
  10. 前記Dが下記式(d2−1)〜(d2−7)で表わされる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(d2−1)〜(d2−7)において*はL1またはAに結合することを示す。Rはナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、リジン、アルギニンのいずれかである。]
  11. 前記L1が下記式(l1)乃至(l21)のいずれかである請求項1乃至10のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(l1)乃至(l21)において*は前記Dまたは前記Aと結合することを示す。]
  12. 前記L2が下記式(l1)乃至(l21)のいずれかである請求項1乃至11のいずれか一項に記載の重合体。
    [上記式(l1)乃至(l21)において*は前記Aまたは前記Bと結合することを示す。]
  13. 前記Eがハロゲン、低分子化合物、色素、レポーター分子、標的結合性分子、重合体のいずれかから選ばれる請求項1乃至12のいずれか一項に記載の重合体。
  14. 下記式(1)〜(7)のいずれかで表わされる重合体。
    [上記式(1)〜(7)においてxはそれぞれ1以上の整数を示す。]
  15. 前記重合体の数平均分子量が5000以上で100000以下である請求項1乃至14のいずれか一項に記載の重合体。
  16. 前記重合体の数平均分子量が9000以上で50000以下である請求項1乃至15のいずれか一項に記載の重合体。
  17. 前記重合体の数平均分子量が16000以上で20000以下である請求項1乃至16のいずれか一項に記載の重合体。
  18. 請求項1乃至17のいずれかに記載の重合体と分散媒とを含む光音響イメージング用造影剤。
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