JP2013541939A - Vegf結合分子 - Google Patents
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Abstract
Description
VEGFと相互作用する2つのVEGFチロシンキナーゼレセプター(VEGFR)が同定された(すなわち、VEGFR-1(FIt-1としても知られている)及びVEGFR-2(KDR又はFIK-1としても知られている)である)。VEGFR-1はVEGFに対してもっとも強い親和性を有し、一方、VEGF-R2はVEGFに対して前記よりいくぶん低い親和性を有する。Ferrara(Endocrine Rev. 2004, 25: 581-611)はVEGFに関する詳細な記載を提供し、そのレセプターとの相互作用並びに正常及び病的プロセスにおけるその機能はHoebenら(Pharmacol. Rev. 2004, 56: 549-580)の論文で見出すことができる。
VEGF mRNAはほとんどのヒト腫瘍で過剰発現される。腫瘍増殖の場合、脈管形成は、過形成から新形成への移行並びに腫瘍の増殖及び転移のための栄養物の提供に必須であるように思われる(Folkman et al., 1989, Nature 339 -58)(脈管形成は腫瘍細胞が正常細胞に比して増殖に有利な立場を獲得することを可能にする)。したがって、抗脈管形成療法は、いくつかのタイプの腫瘍に対して重要な治療選択肢になっている。これらの治療法はVEGF経路の遮断を目標にしている(Ferrara et al., Nat Rev Drug Discov. 2004 May; 3(5): 391-400)。
VEGFはまた眼疾患にも密接に関係する。涙液中のVEGFの濃度は、糖尿病関連及び他の虚血関連網膜症の患者における血管の活発な増殖の存在と強い相関性を有する。さらにまた、加齢黄斑変性(AMD)罹患患者の脈絡膜の新生血管膜にVEGFが局在することが最近の研究によって示された。VEGFのアップレギュレーションもまた多様な炎症性疾患で観察されている。VEGFは、RA(脈管形成が重要な役割を示す炎症性疾患)の病理発生に関係している。
VEGF中和抗体(例えばA4.6.1及びMV833)がVEGFとそのレセプターとの結合阻止のために開発され、前臨床的抗腫瘍活性が示された(Kim et al. Nature 1993, 362: 841-844;Folkman Nat. Med. 1995, 1: 27-31;Presta et al. Cancer Res. 1997, 57: 4593-4599;Kanai et al. Int. J. Cancer 1998, 77: 933-936;Ferrara and Alitalo Nat. Med. 1999, 5: 1359-1364; 320, 340)。抗VEGFの治療的アプローチの概要については、Campochiaro and Hackettの論文(Oncogene 2003, 22: 6537-6548)を参照されたい。
ほとんどの臨床経験は、A4.6.1(ベバシズマブ(bevacizumab)(アバスチン(Avastin)(商標);Genentech, San Francisco, CA)とも称されている)を用いて得られた。
新規で改善されたVEGF結合分子を提供することが本発明の目的である。
そのような疾患、異常又は症状の予防、治療、緩和及び/又は診断のための方法を提供することは本発明の更なる目的である。前記方法はそのような薬剤及び組成物の使用及び/又は投与を必要とする。特に、当業界で従来用いられているか及び/又は当業界で公知である薬剤、組成物及び/又は方法と比較して利点を提供する薬理学的に活性な薬剤、組成物及び/又は方法を提供することが本発明の目的である。これらの利点には、特に上記に記載の通常的な抗VEGF抗体又はそのフラグメントと比較して改善された治療特性及び/又は薬理学的特性、及び/又は他の(例えば製造目的についての)有利な特性が含まれる。
より具体的には、新規なVEGF結合分子、及び特に哺乳動物VEGF(特にヒトVEGF)と結合するVEGF結合分子を提供することが本発明の目的であり、そのような分子又はポリペプチドは本明細書に記載の治療目的及び診断目的のために適切である。VEGFと特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインを提供することは本発明の更なる目的である。
別の特徴では、本発明は、VEGF結合分子をコードする核酸の他にそのような核酸を含む宿主細胞に関する。
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つのVEGF結合分子を含有又は含む製品又は組成物であって、場合によってそのような組成物のさらに別の1つ以上の成分を含有または含むものに関する。
本発明はさらに、本明細書に記載のVEGF結合分子、核酸、宿主細胞、製品及び組成物を調製または作製する方法に関する。
本発明はさらに、本明細書に記載のVEGF結合分子、核酸、宿主細胞、製品及び組成物の適用及び使用の他に、脈管形成におけるVEGF媒介作用と密接に関係する疾患の予防及び/又は治療のための方法に関する。
本発明のこれら及び他の特徴、実施態様、利点及び適用は、下記の更なる記述から明らかとなろう。
特段の指示又は規定がなければ、用いられる全ての用語は当業界でのそれらの通常の意味を有する(前記は当業者には明白であろう)。例えば、標準的な手引書、例えば以下(Sambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual" (2nd Ed.), VoIs. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989);Lewin, "Genes IV", Oxford University Press, New York, (1990);及びRoitt et al., "Immunology" (2nd Ed.) (1989), Gower Medical Publishing, London, New York)の他に、本明細書に引用した一般的な背景技術を参照できる。さらにまた特段の指示がなければ、特別に詳細に記載されていない全ての方法、技術及び操作は、当業者には明白であるのでそれ自体公知の態様で実施することが可能であり、さらにこれまで実施が可能であった。繰り返せば、例えば標準的な手引書、上記で参照した一般的な背景技術、及び本明細書で引用するさらに別の参考文献を参照できる。
本明細書で用いられる(ポリペプチド又はタンパク質の)“ドメイン”という用語は、その三次元構造をタンパク質の他の部分とは別個に維持する能力を有する折り畳まれたタンパク質構造を指す。一般的には、ドメインはタンパク質のそれぞれ別個の機能的特性をもたらし、多くの場合当該タンパク質及び/又は当該ドメインの残りの部分の機能を損なうことなく、付加し、除去しまたは他のタンパク質に移転させることができる。
本明細書で用いられる“免疫グロブリン可変ドメイン”という用語は、本質的に4つの“フレームワーク領域”から成る免疫グロブリンドメインを意味する。前記フレームワーク領域は、当分野及び下記で“フレームワーク領域1”若しくは“FR1”、“フレームワーク領域2”若しくは“FR2”、“フレームワーク領域3”若しくは“FR3”、“フレームワーク領域4”若しくは“FR4”とそれぞれ称され、前記フレームワーク領域は、3つの“相補性決定領域”又は“CDR”によって中断され、それらは、当分野及び下記ではそれぞれ“相補性決定領域1”若しくは“CDR1”、“相補性決定領域2”若しくは“CDR2”、“相補性決定領域3”若しくは“CDR3”と称される。したがって、免疫グロブリン可変ドメインの一般的構造又は配列は以下のように示すことができる:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。抗原結合部位を保持することによって抗原に対する特異性を抗体に付与するのはこの免疫グロブリン可変ドメインである。
上記定義の観点から、通常の4鎖抗体(例えば当業界で公知のIgG、IgM、IgA、IgD又はIgE分子)の抗原結合ドメイン、又はFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント(例えばジスルフィド結合連結Fv又はscFvフラグメント)若しくは前記通常的4鎖抗体から誘導されるジアボディ(いずれも当業界では公知である)の抗原結合ドメインは、通常では免疫グロブリン単一可変ドメインとみなされないであろう。なぜならば、これらの事例では、抗原の対応するエピトープとの結合は通常一免疫グロブリンドメインによって生じるのではなく、一対の(結合)免疫グロブリンドメイン(例えば軽鎖および重鎖可変ドメイン)によって、すなわち免疫グロブリンドメインのVH-VL対(前記は一緒になって対応する抗原のエピトープと結合する)によって生じるからである。
本発明の関係では、VHHドメイン、VHH、VHHドメイン、VHH抗体フラグメント、VHH抗体、の他に“ナノボディ(Nanobody(商標))”及び“ナノボディ(商標)ドメイン”(“ナノボディ(Nanobody)”とはAblynx N.V.社(Ghent; Belgium)の商標である)は相互に用いられ、免疫グロブリン単一可変ドメインの代表例(構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を有し、第二の免疫グロブリン可変ドメインの存在を必要としないでエピトープと特異的に結合する)であり、いわゆる“認証残基”(例えばWO 2009/109635、図1で定義される)によりVHドメインとは区別される。
−FR1は1−30位のアミノ酸残基を含み、
−CDR1は31−35位のアミノ酸残基を含み、
−FR2は36−49位のアミノ酸残基を含み、
−CDR2は50−65位のアミノ酸残基を含み、
−FR3は66−94位のアミノ酸残基を含み、
−CDR3は95−102位のアミノ酸残基を含み、
−FR4は103−113位のアミノ酸残基を含む。
VHドメインのアミノ酸残基に番号を付与するまた別の方法が当業界で知られている(前記方法はまた類似の態様でVHHドメインに適用できる)。しかしながら、本明細書、特許請求の範囲及び図面では、特段の指示がなければ上記のようにKabatにしたがいVHHドメインに適用された番号付与が示されるであろう。
VHHドメインのアミノ酸残基の総数は、通常は110から120の範囲、しばしば112から115の間に存在するであろう。しかしながら、より小さな及びより大きな配列もまた本明細書に記載の目的に適切であり得ることは特筆されるべきである。
ドメイン抗体は、本質的に非ラクダ科哺乳動物の抗体(特にヒト4鎖抗体)のVH又はVLドメインと対応する。単一の抗原結合ドメインとして(すなわちそれぞれVL又はVHドメインと対合せずに)エピトープと結合するために、そのような抗原結合特性のために例えばヒト単一VH又はVLドメイン配列ライブラリーを用いることによる特別な選別が要求される。ドメイン抗体は、VHHのように約13から約16kDaの分子量を有し、さらに完全にヒトの配列から誘導される場合は、例えばヒトでの治療的使用にヒト化を必要としない。VHHドメインの場合のように、それらはまた原核細胞発現系で良好に発現されて全体的な製造コストの顕著な削減を提供する。
さらにまた、他の“足場”(非ヒト足場又は非免疫グロブリン足場が含まれるが、ただしこれらに限定されない)に上記で述べたCDRの1つ以上を“移植”することができることも当業者には明白であろう。そのようなCDR移植のための適切な足場及び技術は当業界で公知である。
一定のエピトープ、抗原又はタンパク質(又はその少なくとも1つの部分、フラグメント又はエピトープ)と“結合”又は“特異的に結合する”ことができるか、前記に対して“親和性を有する”及び/又は前記に対して“特異性を有する”ポリペプチド(例えば免疫グロブリン、抗体、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン若しくは一般的に抗原結合分子又は前記のフラグメント)は、前記エピトープ、抗原若しくはタンパク質に“対抗性である”、又は前記に“対抗する”と称されるか、又はそのようなエピトープ、抗原若しくはタンパク質に対する“結合分子”である。この関係では。VEGF結合分子はまた“VEGF中和分子”と称することができる。
エピトープを認識する抗原結合分子の部分はパラトープと呼ばれる。
“VEGF結合分子”は、一価のVEGF結合分子(すなわちVEGFの1つのエピトープと結合する分子)及び二価又は多価結合分子(すなわち2つ以上のエピトープと結合する分子、例えば以下で規定する“二パラトープ性”分子)の両方を指す。2つ以上のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインを含むVEGF結合分子はまた“フォーマット化された”VEGF結合分子と称され、それらは、VEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインに加えて、リンカー及び/又はエフェクター機能を有する成分(例えばアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメインのような半減期延長成分)、及び/又は血清アルブミンのような融合パートナー及び/又はPEGのような付加ポリマーを含むことができる。
フォーマット化されたVEGF結合分子はまた、好ましさは劣るが2つの同一のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメイン又は2つの異なる免疫グロブリン単一可変ドメイン(同じ又はオーバーラップするエピトープを認識する)を含むことができる。この事例では、2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、VEGFダイマーを形成する2つのモノマーの各々において同じ又はオーバーラップするエピトープと結合することができる。
典型的には、本発明のVEGF結合分子は、10E-5から10E-14モル/リットル(M)以下、好ましくは10E-7から10E-14モル/リットル(M)以下、より好ましくは10E-8から10E-14モル/リットル以下、さらに好ましくは10E-11から10E-13の解離定数(KD)で(Biacore又はKinExAアッセイで測定したとき)、及び/又は少なくとも10E7 ME-1、好ましくは少なくとも10E8 ME-1、より好ましくは少なくとも10E9 ME-1、例えば少なくとも10E11 ME-1の結合定数(KA)で結合する。10E-4Mを超えるいずれのKD値も一般的には非特異的結合を示すと考えられる。好ましくは、本発明のポリペプチドは、所望の抗原(すなわちVEGF)と500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば500pM未満のKDで結合するであろう。抗原結合タンパク質と抗原又はエピトープとの特異的な結合は、それ自体公知の任意の適切な態様で決定することができる。前記には例えば、本明細書に記載のアッセイ、スキャチャード解析及び/又は競合結合アッセイ、例えば放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)及びサンドイッチ競合アッセイ、並びに当業界でそれ自他公知である前記の種々の変型が含まれる。
2つのVEGF結合分子配列間の“配列同一性”は、前記配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。前記は、WO 08/020079の49ページ及び50ページのパラグラフf)に記載されているように計算又は決定できる“配列類似性”は、同一であるか又は保存的アミノ酸置換であるアミノ酸のパーセンテージを示す。
VHドメインのアミノ酸残基に番号を付与するまた別の方法は当業界で知られている(前記方法はまた類似の態様でVHHドメインに適用できる)。しかしながら、本明細書、特許請求の範囲及び図面では、特段の指示がなければ上記のようにKabatにしたがってVHHドメインに適用された番号付与が示されるであろう。
本発明のためには、“配列番号:xのアミノ酸配列”には、特段の記載がなければ、
対応する配列番号:xに示される配列と100%同一であるアミノ酸配列;
a)対応する配列番号:xに示される配列と少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列;
b)対応する配列番号:xに示される配列と3つ、2つ又は1つのアミノ酸相違を有するアミノ酸配列、
が含まれる。
VEGFアンタゴニストによる治療のためにUS2008/0014196で提唱されたように、非新形成性異常には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):望ましくない又は異常な肥大、関節炎、慢性関節リウマチ(RA)、乾癬、乾癬斑、サルコイドーシス、アテローム性硬化症、アテローム硬化症斑、糖尿病性及び他の増殖性網膜症(未熟児網膜症を含む)、水晶体後線維増殖症、新生血管形成性緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病性黄斑水腫、角膜の新生血管形成、角膜移植新生血管形成、角膜移植拒絶、網膜/脈絡膜新生血管形成、眼角の新生血管形成(ルベオーシス)、眼の新生血管形成性疾患、血管再狭窄、動静脈奇形(AVM)、髄膜腫、血管腫、血管線維腫、甲状腺過形成(グレーヴズ病を含む)、角膜及び他の組織の移植、慢性炎症、肺の炎症、急性肺損傷/ARDS、敗血症、原発性肺高血圧、悪性肺滲出、大脳浮腫(例えば急性卒中/閉鎖性頭部損傷/外傷に付随するもの)、滑膜炎症、RAにおけるパンヌス形成、骨化性筋炎、肥大性骨形成、変形性関節症(OA)、難治性腹水、多発性嚢胞性卵巣疾患、子宮内膜症、第三間隙形成液疾患(3rd spacing of fluid diseases)(膵炎、仕切り症候群、火傷、腸疾患)、子宮線維症、早産、慢性炎症、例えばIBD(クローン病及び潰瘍性大腸炎)、同種異系腎移植拒絶、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群、望ましくない又は異常な組織塊増殖(非癌性)、血友病性関節、過形成瘢痕、毛の成長阻害、オシエル-ウェーバー(Osier-Weber)症候群、化膿性肉芽腫性水晶体後線維増殖症、強皮症、トラコーマ、血管癒着、滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水、心膜滲出(例えば心膜炎に付随するもの)及び肺滲出。
第一の特徴では、本発明は、4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3をそれぞれ有する少なくとも1つの可変ドメインを含むVEGF結合分子に関し、前記CDR3は、配列番号:1に示すアミノ酸配列Ser Arg Ala Tyr Xaa Ser Xaa Arg Leu Arg Leu Xaa Xaa Thr Tyr Xaa Tyrを有し、ここで
5位のXaaはGly又はAlaであり、
7位のXaaはSer又はGlyであり、
12位のXaaはGly、Ala又はProであり、
13位のXaaはAsp又はGlyであり、
16位のXaaはAsp又はGluであり、さらにここで
前記VEGF結合分子は、ヒト組換えVEGF165とヒト組換えVEGFR-2との相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができる。
好ましい実施態様にしたがえば、5位のXaaはGlyであり、7位のXaaはSerであり、12位のXaaはAlaであり、13位のXaaはAspである。
配列番号:2 SRAYGSSRLRLGDTYDY;
配列番号:3 SRAYGSSRLRLADTYDY;
配列番号:4 SRAYGSSRLRLADTYEY;
配列番号:5 SRAYGSGRLRLADTYDY;
配列番号:6 SRAYASSRLRLADTYDY;
配列番号:7 SRAYGSSRLRLPDTYDY;
配列番号:8 SRAYGSSRLRLPGTYDY。
ある種の実施態様にしたがえば、VEGF結合分子は、各々が以下のa)、b)を含有する、1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む:
a.配列番号:2から8に示す第一のグループの配列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3:
b.表3に表示するように、配列番号:9から46に示す第二のグループの配列から選択される配列に含有されるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2、ここで前記第二の配列は、a.にしたがって選択された対応するCDR3を含有する。
好ましい実施態様にしたがえば、前記免疫グロブリン単一可変ドメインはVHHである。
具体的な実施態様にしたがえば、VHHは配列番号:9−46に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する。
別の具体的な実施態様にしたがえば、VHHは配列番号:15、配列番号:18及び配列番号:25から選択されるアミノ酸配列を有する。
ある種の実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子は本明細書に規定するようにフォーマット化することができる。前記は例えば、二パラトープ性であるか又は2つの同一の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むことができる。そのようなVEGF結合分子は以下のa)又はb)である、2つ以上のVHHを含むことができる:
a)組換えヒトVEGFと組換えヒトVEGFR-2との間の相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができる同一のVHH、又は
b)VEGFのオーバーラップしないエピトープと結合する異なるVHHであって、少なくとも1つのVHHが組換えヒトVEGFと組換えヒトVEGFR-2との間の相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができ、さらに少なくとも1つのVHHが前記相互作用を60%以下の阻害率で遮断することができる、前記異なるVHH。
前記相互作用をそれぞれ60%以上又は60%以下で阻害するパーセンテージは、増幅発光近接性均質アッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogenous Assay)(AlphaScreen(商標))、競合ELISA、実施例で用いられるプラスモン共鳴(SPR)系アッセイ(Biacore(商標))によって決定される阻害率を指す。
好ましくは、レセプター遮断性VHHは、80%以上、より好ましくは90%以上の阻害率を有し、もっとも好ましいVHHは完全なレセプター遮断物質で、すなわち100%の阻害率を有する。
VEGF結合は、配列番号:9−46に示すアミノ酸配列を有するVHH、又はそのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHHから選択されるa)の2つ以上の同一VHHを含有することができる。前記VHHは配列番号:18又は配列番号:47−57に示すアミノ酸を有するVHHから選択できる。
好ましい実施態様にしたがえば、フォーマット化VEGF結合分子は2つのVHHを含み、前記は各々配列番号:57に示すアミノ酸配列を有する。
2つの異なるVHHを含むフォーマット化VEGF結合分子では、
a)60%以上の阻害率を有する前記1つ以上のVHHは、
(i)配列番号:9−46に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するVHH、又は、
(ii)そのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHHから選択され、さらに
b)60%以下の阻害率を有する前記1つ以上のVHHは、
(i)配列番号:58−124、又は、
(ii)そのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHHから選択される。
好ましいVEGF結合分子では、a)(i)のVHHは配列番号:18に示すアミノ酸配列を有し、さらにb)(i)のVHHは配列番号:64に示すアミノ酸配列を有する。
他の好ましいVEGF結合分子では、a)(ii)のVHHは配列番号:47−57に示すアミノ酸配列を有するVHHから選択され、さらにb)(ii)のVHHは配列番号:125−127に示すアミノ酸配列を有するVHHから選択される。
特に好ましいものは、2つのVHHを含む二パラトープ性VEGF結合分子で、VHHのうちの1つは配列番号:57に示すアミノ酸を有し、さらにVHHのうちの1つは配列番号:127に示すアミノ酸を有する。
適切な場合には、親和性が高められた本発明のVEGF結合分子は、別のVEGF結合分子の親和性増進によって入手できる。後者は、親和性増進分子に対して“親”VEGF結合分子である。
本発明の好ましい実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えばVH及びドメイン抗体)は、多数の固有の構造的特徴及び機能的特性を有し、前記特徴及び特性は、それら免疫グロブリン単一可変ドメインを機能的な抗原結合分子として治療に使用するためにそれらを極めて有利にする。特に(ただしそのことに限定されないが)、VHHドメイン(前記は本質的に軽鎖可変ドメインと対を形成することなく抗原と機能的に結合できるように“設計”されている)は、ただ一つの比較的小さな機能的抗原結合構造単位として機能することができる。
−高い親和性及び高い選択性で抗原と結合するためにただ1つのドメインが要求され、したがって2つの別々のドメインを存在させることも、これら2つのドメインが正しい空間的配置及び構造で存在していることを確認する(すなわちscFVのリンカーの場合のように特別に設計したリンカーの使用によって確認する)必要もない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインはただ1つの核酸分子から発現させることができ、さらに一切の翻訳後修飾(例えばグリコシル化)を必要としない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは多価及びマルチ特異性形式へと容易に操作できる(本明細書でさらに考察する);
−免疫グロブリン単一可変ドメインはそれらの標的に対して高い特異性及び親和性を有し、固有の毒性が低く、輸液又は注射以外の代替経路により投与できる;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、熱、pH、プロテアーゼ及び他の変性剤又は変性条件に対して高度に安定であり、したがって冷蔵装置を用いることなく調製、保存又は輸送することができる;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、小規模及び工業規模の両方で調製が容易であり相対的に安価である。例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインは(例えば以下でさらに記述するように)微生物発酵を用いて生産でき、例えば通常の抗体の場合のように哺乳動物発現系の使用を必要としない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントと比較して相対的に小さく(約15kDa、すなわち通常のIgGの十分の一)、したがって組織(固形腫瘍及び他の高密度組織を含むがただしこれらに限定されない)への(より)高い浸透性を示し、該当する通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントより高い用量で投与できる;
−VHHは特殊ないわゆる“窩結合特性”を有し(4鎖抗体由来VHと比較してとりわけそれらの伸長CDR3ループによるものである)、したがってまた通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントが近づくことができない標的及びエピトープに近づくことができる;
−VHHは、高度に可溶性であり、非常に安定で凝集傾向をもたない(Wardら(Ward et al., Nature 341: 544-546, 1989)が記載したマウス由来抗原結合ドメインの場合)という特異な利点を有する。
(1)天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインを単離する工程、又は重鎖抗体若しくはVHHを含むライブラリーをスクリーニングしてそれらからVHHを単離する工程;
(2)天然に存在する配列を有するVHHをコードする核酸分子を発現させる工程;
(3)天然に存在する配列を有するVHHを、場合によって親和性増進の後で(本明細書に記載するように)“ヒト化する”工程、又はそのようなヒト化VHHをコードする核酸を発現させる工程;
(4)ある動物種、特に哺乳動物種(例えばヒト)由来の天然に存在する抗体から免疫グロブリン一可変重鎖ドメインを“ラクダ化する”工程、又はそのようなラクダ化ドメインをコードする核酸分子を発現させる工程;
(5)VHを“ラクダ化する”工程、又はそのようなラクダ化VHをコードする核酸分子を発現させる工程;
(6)タンパク質、ポリペプチド又は他のアミノ酸配列を合成又は半合成により調製する技術を用いる工程;
(7)核酸合成技術を用いてVHHドメインをコードする核酸分子を調製し、続いてそのようにして得られた核酸を発現させる工程;
(8)重鎖抗体又はVHHを親和性増進、変異導入(例えばランダム変異導入又は部位特異的変異導入)及び/又は任意の他の技術に付し、VHHの親和性及び/又は特異性を高める工程;及び/又は
(9)上述の工程の組合せまたは選択。
具体的な実施態様にしたがえば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又は本発明のポリペプチドに存在する免疫グロブリン単一可変ドメインは、天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列と本質的に一致するが、(場合によって親和性増進後に) “ヒト化”又は“配列最適化”されてある、すなわち前記天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、ヒト由来の通常の4鎖抗体の可変重鎖ドメイン中の対応する位置に存在する1つ以上のアミノ酸残基で置き換えることによってヒト化又は配列最適化されてあるアミノ酸配列を有するVHHドメインである。前記工程は当業界で公知の方法を用いて実施され、当業者によって日常的に実施され得る。
ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができ、より具体的な実施態様では、ヒト生殖系列Vh3配列DP-29、DP-47、DP-51から誘導されたヒトフレームワーク領域又はその部分(又は前記と高度に相同であるもの)(場合によってJH配列(例えばJH5)と結合される)を含むことができる。したがって、ヒト化プロトコルは、VHHの残基のいずれかを生殖系列VH遺伝子、例えばDP-47、DP-29及びDP51の対応するフレームワーク1、2及び3(FR1、FR2及びFR3)の残基で単独にて又は組み合せて置換する工程を含むことができる。本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインの適切なフレームワーク領域(FR)は、例えばWO2006/004678に示されたものから選択でき、特にいわゆる“KERE”及び“GLEW”クラスが含まれる。例は、約44から47位にアミノ酸配列G-L-E-Wを有する免疫グロブリン単一可変ドメイン及び対応するそれらのヒト化対応物である。ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができる。
103P、R、S-グループ及び/又はGLEW-グループ(下記で定義する)に属するVHHドメインのための好ましい(ただし前記に限定されない)ヒト化置換は、108Qから 108L への置換である。免疫グロブリン単一可変ドメインをヒト化する方法は当業界で公知である。
別の実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメインは本明細書に定義するドメイン抗体である。
さらに別の実施態様では、本発明のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインクラスの代表的なものは、“ラクダ化”されてある(すなわち通常の4鎖抗体の天然に存在する可変重鎖のアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメイン中の対応する位置に存在する1つ以上のアミノ酸残基で置換することによってラクダ化されてある)天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列と一致するアミノ酸配列を有する。前記はそれ自他公知の態様で実施することができ、当業者には明白でさらにまたWO 94/04678を参照できる。そのようなラクダ化は、VH-VL境界面及びいわゆるラクダ科認証残基に存在するアミノ酸の位置でもっぱら生じ得る(例えばWO 94/04678もまた参照されたい)。そのような“ヒト化”及び“ラクダ化”技術並びにそれらに適合する好ましいフレームワーク領域配列に関する詳細な記述は、さらにまたWO 2006/040153のpp.46及びpp.98並びにWO 2006/122786のp.p107から入手できる。
VEGF結合分子とその抗原VEGFとの特異的結合は、それ自体公知の任意の適切な態様で決定できる。前記態様には、例えば本明細書に記載したアッセイ、スキャチャード解析及び/又は競合結合アッセイ、例えば放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA及びELISA)及びサンドイッチ競合アッセイ、並びに当業界でそれ自体公知である前記の種々の変型が含まれる。
抗原VEGFに関して、本発明のVEGF結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン)は種に関して制限されない。したがって、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、ヒトでの治療目標を考える場合には好ましくはヒトVEGFと結合する。しかしながら、別の動物種由来のVEGFと結合する免疫グロブリン単一可変ドメインもまた本発明の範囲内である。1つの種のVEGF型と結合する本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ヒトの配列と異なる配列を有する)は、1つ以上の他の種由来のVEGFと交差反応し得る。例えば、ヒトVEGFと結合する本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、1つ以上の他の霊長類種由来のVEGF、及び/又は疾患の動物モデル(例えばサル、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ)、及び特に脈管形成でVEGF媒介作用と密接に関係する疾患及び異常のための動物モデル(例えば本明細書に記述する種および動物モデル)で用いられる1つ以上の動物種に由来するVEGFとの交差反応性を示し得る。そのような交差反応性を示す本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは研究及び/又は薬剤開発において有益である。なぜならば、前記交差反応性は、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインを周知の疾患モデル、例えばサル(特にカニクイザル又はアカゲザル)又はマウス及びラットで試験することを可能にするからである。
本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、レセプター(特にVEGFR-2、前記はその活性化が腫瘍の新生血管形成の原因として必要とされるレセプターであることが示された)との結合に関係するVEGFの領域内に全体又は部分が位置するエピトープを認識する。好ましい特徴にしたがえば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、VEGFレセプター活性化、特にVEGFR-2活性化を少なくとも部分的に、好ましくは実質的に、もっとも好ましくは全体的に遮断する。
上記に記載したように、VEGFとそのレセプター(特にVEGFR-2)との相互作用を遮断するVEGF結合分子の能力は、増幅発光近接性均質アッセイ(AlphaScreen(商標))、競合ELISA、又は実施例に記載するプラスモン共鳴(SPR)系アッセイ(Biacore(商標))によって決定できる。
好ましくは、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、実施例5.1に記載する競合ELISAアッセイで測定したとき、10-6から10-10モル/リットル以下の範囲、より好ましくは10-8から10-10モル/リットル以下の範囲、さらに好ましくは10-9から10-10モル/リットル以下の範囲のIC50値を有する。
本発明の好ましい(ただし前記に限定されない)実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインは、10-5から10-12モル/リットル(M)以下、好ましくは10-7から10-12モル/リットル(M)以下、より好ましくは10-8から10-12モル/リットル(M)の解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合定数(KA)で、特に500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば500pM未満のKDでVEGFと結合する。VEGFに対する本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインのKD及びKA値は決定することができる。
本発明のそのようなVEGF結合分子は、(少なくとも)2つの抗VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインを含み、ここで(前記)2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは好ましくはVEGF内の非オーバーラップエピトープに対抗する。したがって、これら2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは異なる抗原特性、したがって異なるCDR配列を有するであろう。この理由から、本発明のそのようポリペプチドは、2つの免疫グロブリン単一可変ドメインが2つの異なるパラトープを含むので、本明細書ではまた“二パラトープ性ポリペプチド”若しくは“二パラトープ性ドメイン抗体構築物”(免疫グロブリン単一可変ドメインがドメイン抗体から成るか又は本質的に前記から成る場合)、又は“二パラトープ性VHH構築物”(免疫グロブリン単一可変ドメインがVHHから成るか又は本質的に前記から成る場合)とそれぞれ呼称されるであろう。
両方の事例で、追加の配列及び成分が、本発明のVEGF結合分子内に、例えばN-末端、C-末端に、又は2つの免疫グロブリン単一可変ドメインの間に存在することができ、前記配列及び成分は、本明細書でさらに詳しく記述するように、例えばリンカー配列及びエフェクター機能を提供する配列である。
別の(ただし好ましさは劣る)実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子は3つ以上の抗VEGF免疫グロブリン単一可変ドメイン、すなわち3つ、4つ又は5つ以上の抗VEGF VHHを含むことができる。この場合、抗VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインの済むなくとも2つは、VEGF分子内の非オーバーラップエピトープに対抗し、さらに別の任意の免疫グロブリン単一可変ドメインは前記2つの非オーバーラップエピトープのいずれか及び/又はVEGF分子内に存在するさらに別のエピトープと結合することができる。
本発明にしたがえば、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、互いに独立してVHH又はドメイン抗体、及び/又は任意の他の種類の免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば本明細書に規定するVLドメインであり得るが、ただしこれら免疫グロブリン単一可変ドメインが抗原(すなわちVEGF)と結合することを条件とする。
本発明のある種の実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子に存在する少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、互いに直接に(すなわちリンカーを使用しないで)又はリンカーを介して連結することができる。リンカーは好ましくはリンカーペプチドであり、少なくとも2つの別個の免疫グロブリン単一可変ドメインとVEGFの少なくとも2つのそれらの非オーバーラップエピトープの各々との結合を可能にするように選択されるであろう(前記非オーバーラップエピトープは1つの同じVEGF分子内に存在するか、又は2つの別個の分子内に存在する)。
適切なリンカーはとりわけ、免疫グロブリン単一可変ドメインが結合するエピトープ、特にVEGF上のエピトープ間の距離に左右され、当業者には本明細書の開示にしたがって(場合によってある程度の限られた日常的実験の後で)明白であろう。
或いは、VEGFと結合する2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、一続きに(直に又は適切なリンカーを介して)連結することができ、さらに第三のVHH又はドメイン抗体(延長半減期を提供できる)は、前述したこれらの2つ以上の免疫グロブリン配列の1つと直に又はリンカーを介して連結できる。
適切なリンカーは本発明の具体的なポリペプチドの関連で本明細書に記載され、例えばアミノ酸配列(ただし前記に限定されない)が含まれ得る。前記アミノ酸配列は、好ましくは9以上のアミノ酸、より好ましくは少なくとも17アミノ酸、例えば約20から40アミノ酸の長さを有する。しかしながら、上限は、重要ではないが、例えばそのようなポリペプチドの生物医薬としての製造に関する便宜的理由により選択される。
リンカー配列の有用な一グループは、WO96/34103及びWO94/04678に記載された重鎖抗体のヒンジ領域から誘導されるリンカーである。
他の例はポリアラニンリンカー配列、例えばAla-Ala-Alaである。
さらに好ましいリンカー配列の例は種々の長さのGly/Serリンカー、例えば(glyxsery)zリンカーであり、前記には(gly4ser)3、(gly4ser)4、(gly4ser)、(gly3ser)、gly3、及び(gly3ser2)3が含まれる。
リンカーの限定されないいくつかの例は、表15に示す本発明のVEGF結合分子(配列番号:128−168)に含まれている。例えばリンカーは以下である:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(35GS;配列番号:169);
GGGGSGGGS(9GS;配列番号:170);
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(40GS;配列番号:171)。
PEG化のために有用なリンカーの例は以下である:
GGGGCGGGS(“GS9,C5”、配列番号:172);
GGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS25,C5”、配列番号:173);
GGGSGGGGSGGGGCGGGGSGGGGSGGG(“GS27,C14”、配列番号:174);
GGGGSGGGGSGGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS35,C15”、配列番号:175);;及び
GGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS35,C5”、配列番号:176)。
さらに、リンカーはまた例えばWO2004/081026に示すポリ(エチレングリコール)成分でもよい。
好ましい実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子は、特に治療薬剤としての使用が意図されるか又は治療剤として使用されるときは、患者の血清又は他の体液において本発明のポリペプチドの半減期を延長させる成分を含む。“半減期”という用語は、(改変)ポリペプチドの血清中の濃度が、例えばポリペプチドの分解及び/又はクリアランス及び/又は天然のメカニズムによる除去のためにin vivoで50%減少するために要する時間と定義される。
別の実施態様では、本発明のVEGF結合分子は、血中で見出される抗原(例えば血清アルブミン、血清免疫グロブリン、タイロキシン結合タンパク質、フィブリノゲン又はトランスフェリン)と結合して、それによって得られた本発明のポリペプチドにin vivoでの半減期の延長を付与する成分を含む。特に好ましい実施態様にしたがえば、そのような成分はアルブミン結合免疫グロブリン、特に好ましくはアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばアルブミン結合VHHドメインである。
ヒトでの使用が意図される場合、そのようなアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメインは好ましくはヒト血清アルブミンと結合し、好ましくは、前記はヒト化アルブミン結合VHHドメインである。
特に有用なアルブミン結合VHHドメインは、配列番号:177に示すアミノ酸配列から成るか、又は前記を含むALB8である。
本発明の更なる実施態様にしたがえば、2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(好ましくはVHHである)は血清アルブミン分子と融合され得る(例えばWO01/79271及びWO03/59934に記載)。例えばWO01/79271に記載されているように、前記融合タンパク質は通常の組み換え技術によって入手できる。すなわち、血清アルブミンをコードするDNA分子又はそのフラグメントをVEGF結合分子コードDNAと結合させ、得られた構築物を選択した宿主細胞(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)のような酵母細胞又は細菌細胞)での発現に適したプラスミドに挿入し、続いて前記宿主細胞に前記融合ヌクレオチド配列をトランスフェクトし、適切な条件下で増殖させる。有用なHSAの配列は配列番号:178に示されている。
ポリペプチドのPEG化のための多様な試薬もまた市場で、例えばネクター・テラピューティクス(Nektar Therapeutics, USA)又はNOF社(NOF Corporation, Japan)から入手できる。前記試薬は例えば以下である:サンブライト(Sunbright(商標))EAシリーズ、SHシリーズ、MAシリーズ、CAシリーズ及びMEシリーズ、例えばサンブライト(商標)ME-100MA、サンブライト(商標)ME-200MA、及びサンブライト(商標)ME-400MA。
好ましくは、本発明のポリペプチドのために、5kDaより大きい、例えば10kDaより大きく200kDaより小さい、例えば100kDa未満、例えば20kDaから80kDaの範囲の分子量のPEGが用いられる。
PEG化に関しては、一般的に本発明はまた、好ましくは以下の(1)−(4)のような態様で1つ以上のアミノ酸の位置でPEG化された任意の二パラトープ性VEGF結合分子を包含することは特筆されるべきである:前記PEG化は、(1)半減期をin vivoで延長し;(2)免疫原性を低下させ;(3)PEG化についてそれ自体公知のさらに別の1つ以上の有益な特性を提供し;(4)VEGFに対するポリペプチドの親和性に本質的に影響を与えず(当業界で報告されている適切なアッセイで決定したとき、例えば前記親和性を50%を超えて、より好ましくは10%を超えて低下させない);及び/又は(4)本発明のVEGF結合分子の他の所望の特性のいずれにも影響を与えない。それらに付加する適切なPEG基及び方法(特異的であれ非特異的であれ)は当業者には明白であろう。ポリペプチドのPEG化のための多様な試薬もまた市場で、例えばネクター・テラピューティクス(Nektar Therapeutics, USA)又はNOF社(NOF Corporation, Japan)から入手できる。前記試薬は例えば以下である:サンブライト(Sunbright(商標))EAシリーズ、SHシリーズ、MAシリーズ、CAシリーズ及びMEシリーズ、例えばサンブライト(商標)ME-100MA、サンブライト(商標)ME-200MA、及びサンブライト(商標)ME-400MA。
本発明のVEGF結合分子は、上記に記載のPEG試薬の1つ、例えば以下の化学式に示す“サンブライト(商標)ME-400MA”を用いてPEG化することができる:
本発明の核酸はまた、ベクター(例えばプラスミド、コスミド又はYAC)の形態を有するか、前記に存在するか及び/又はその部分であり得る。前記ベクターは特に発現ベクター、すなわちVEGF結合分子の発現をin vitro及び/又はin vivoで(すなわち適切な宿主細胞、宿主生物及び/又は発現系において)提供できるベクターであり得る。そのような発現ベクターは、一般的には本発明の少なくとも1つの核酸を含み、前記核酸は1つ以上の適切な調節エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど)と作動できるように連結されている。特定の宿主における特定の配列の発現を考慮したそのようなエレメント及びそれらの選択は当業者の通常的知識である。本発明のVEGF結合分子の発現に有用な又は必要な調節エレメント及び他のエレメントの具体例、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター、組込み因子、選別マーカー、リーダー配列、レポーター遺伝子などは、例えばWO2006/040153の131から133ページに開示されている。
本発明の核酸は、本明細書に提供した本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報を基にして、それ自体公知の態様で(例えば自動DNA合成及び/又は組換えDNA技術によって)調製又は入手でき、及び/又は適切な天然の供給源から単離することができる。
適切な細菌細胞には、グラム陰性細菌株(例えば大腸菌(Escherichia coli)、プロテウス(Proteus)及びシュードモナス(Pseudomonas)の株)、及びグラム陽性細菌株(例えばバシルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)及びラクトコッカス(Lactococcus)の株)に由来する細胞が含まれる。適切な真菌細胞には、トリコデルマ(Trichoderma)、ニューロスポラ(Neurospora)及びアスペルギルス(Aspergillus)の種に由来する細胞が含まれる。適切な酵母細胞には、サッカロミセス(Saccharomyces)(例えばサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae))、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)(例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe))、ピキア(Pichia)(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びピキア・メタノリカ(Pichia methanolica))及びハンセヌラ(Hansenula)の種に由来する細胞が含まれる。
適切な哺乳動物細胞には、例えばCHO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞などが含まれる。しかしながら、両性動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、及び異種タンパク質の発現に当業界で用いられる任意の他の細胞も同様に用いることができる。
−VEGF結合分子をコードすることができる核酸を含む宿主細胞を、本発明のVEGF結合分子の発現を許容する条件下で培養する工程;及び
−宿主細胞によって発現されたポリペプチドを培養から回収又は単離する工程;及び
−本発明のVEGF結合分子を場合によってさらに精製し、及び/又は改変し、及び/又は処方する工程。
工業的規模での生産のためには、好ましい宿主細胞には、大規模の発現、生産及び発酵、特に大規模の医薬の発現、生産及び発酵に適切な大腸菌、ピキア・パストリス及びS.セレビシアエの株が含まれる。
特定の発現系の選択は、部分的にはある種の翻訳後改変(より具体的にはグリコシレーション)の必要性に左右される。グリコシレーションが所望または要求される本発明のVEGF結合分子の生産は、発現されたタンパク質のグリコシレーション能力を有する哺乳動物発現宿主の使用を必要とするであろう。これに関して、得られるグリコシレーションパターン(すなわち付加される残基の種類、数及び位置)は、発現に用いられる細胞又は細胞株に左右されることは当業者には明白であろう。
本発明のVEGF結合分子は、上記に示した細胞の細胞内で(例えばサイトゾル、ペリプラズム又は封入体で)生成され、続いて宿主細胞から単離され、場合によってさらに精製されるか、又はそれら分子は細胞外に向けて(例えば宿主細胞が培養される媒体中に)生産され、続いて培養液から単離され、場合によってさらに精製され得る。
さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:9から57又は配列番号:58から127にそれぞれ示す配列から選択されるアミノ酸配列を有する抗VEGF-VHHに含まれるCDR3アミノ酸配列を有するペプチド、及び前記をコードする核酸分子に関する。
これらのペプチドは本発明のVHHから誘導されるCDR3に一致する。それらペプチドは、特にそれらペプチドをコードする核酸分子は、免疫グロブリン鎖中のCDR3置換のためのCDR移植のために、又は非免疫グロブリン性足場(例えばプロテアーゼ阻害物質、DNA結合タンパク質、チトクロームb562、ヘリックス-バンドルタンパク質、ジスルフィド架橋ペプチド、リポカリン又はアンチカリン)への挿入のために(したがってそのような足場に標的結合特性を付与するために)に有用である。CDR移植の方法は当業界では周知であり、例えばヒト化抗体(通常げっ歯類抗体由来のCDRのヒト抗体Fvフレームワークへの移植を含む)のために広く用いられている。
本発明はさらに製品又は組成物に関し、前記は、本発明の少なくとも1つのVEGF結合分子及び場合によってそのような組成物のそれ自体公知の(すなわち前記組成物の目的の使用に応じて)さらに別の1つ以上の成分を含有するか又は含む。
したがって、さらに別の特徴では、本発明は、少なくとも1つの本発明のVEGF結合分子、特に本発明の1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン及び少なくとも1つの適切な担体、希釈剤又は賦形剤(すなわち医薬としての使用に適切なもの)、及び場合によって1つ以上のさらに別の活性を有する物質を含む医薬組成物に関する。
例えば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、通常の抗体及び抗体フラグメント(ScFv及びジアボディを含む)並びに他の医薬的に活性なタンパク質のためのそれ自体公知の任意の態様で処方及び投与することができる。そのような処方物及び前記を調製する方法は当業者には明白であり、例えば非経口投与(例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、管内、動脈内又はクモ膜下投与)用又は局所(すなわち経皮又は皮内)投与用に適した調製物が含まれる。
したがって、本発明のVEGF結合分子は、医薬的に許容できるベヒクル(例えば不活性希釈剤又は吸収性食用担体)と一緒に全身的に(例えば経口的に)投与できる。経口治療薬の投与のためには、本発明のVEGF結合分子は1つ以上の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、頬側錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁物、シロップ、ウェファースなどの形態で用いられ得る。そのような組成物及び調製物は、少なくとも0.1%の本発明のVEGF結合分子を含有するべきである。組成物及び調製物中のそれらのパーセンテージはもちろん変動可能で、便宜的にはあるユニット投薬形の約2重量%から約60重量%であり得る。そのような治療的に有用な組成物中の本発明のVEGF結合分子の量は有効な投薬レベルが得られる量である。
経口投与用調製物及び処方物にはまた、本発明の構築物に胃の環境に耐えて腸へ移動させる腸溶皮を提供できる。より一般的には、経口投与用調製物及び処方物は、胃腸管の任意の部分へのデリバリーのために適切に処方することができる。さらにまた、胃腸管へのデリバリーのために座薬を用いることができる。
本発明のVEGF結合分子の局所投与のためには、一般的には、皮膚学的に許容できる担体と組み合わせた組成物又は処方物としてそれらを皮膚に投与することが所望されるであろう。前記は、WO08/020079の145ページでさらに記述されているように固体又は液体であり得る。
一般的には、液体組成物(例えばローション)中の本発明のVEGF結合分子の濃度は、約0.1−25wt%、好ましくは約0.5−10wt%であろう。半固体又は固体組成物(例えばゲル又はパウダー)中の濃度は、約0.1−5wt%、好ましくは約0.5−2.5wt%であろう。
治療に使用するために必要とされる本発明のVEGF結合分子の量は、選択される個々のVEGF結合分子によって変動するだけでなく、投与経路、治療される症状の性質及び患者の状態によってもまた変動し、最終的には主治医又は臨床医の自由裁量に任されるであろう。さらにまた、本発明のVEGF結合分子の投与量は、標的細胞、腫瘍、組織、移植片又は器官にしたがって変動する。
投与計画は長期間の毎日の治療を含むことができる。“長期間”とは少なくとも2週間、好ましくは数週間、数カ月又は数年の期間を意味する。この投薬期間における必要な改変は、本明細書の教示が提供されるならばほんの日常的な実験を用いるだけで当業者が決定できる。例えば以下を参照されたい:Remington’s Pharmaceutical Sciences(Martin, E.W., ed. 4, Mack Publishing Co., Easton, PA)。投薬はまた、いずれかの合併症の発生で個々の臨床医によって調節され得る。
さらに別の実施態様にしたがえば、本発明は、VEGF結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン)の例えば以下の治療目的のための使用に関する:
−脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接に関係するか、又はVEGF結合分子による切痕シグナリング経路の調節によって予防、治療又は緩和できる、(特にヒトの)異常、疾患又は症状を予防、治療及び/又は緩和するため;
−そのような治療法を必要とする患者を治療する方法において、(前記の方法は、その必要がある対象者に本発明の少なくとも1つのVEGF結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン)又は前記を含む医薬組成物の医薬的に活性な量を投与する工程を含む);
−脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接に関係する異常、疾患又は症状の予防、治療又は緩和のための医薬の調製のため;
−上記の目的のために使用される医薬組成物又は医薬中の活性成分として。
別の特徴にしたがえば、前記疾患は、脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接に関係するか、または切痕シグナリング経路をVEGF結合分子により調節することによって治療又は緩和できる眼の疾患である。
治療される癌様疾患に応じて、本発明のVEGF結合分子はそれ自体で又は1つ以上の追加の治療薬剤と一緒に用いることができる。前記追加の薬剤は、特にDNA損傷薬剤のような化学療法剤、又は脈管形成、シグナルトランスダクション経路若しくは癌細胞の有糸分裂のチェックポイントを阻害する治療的に活性な化合物から選択される。
前記追加の治療薬剤は、同時に(場合によって同じ医薬調製物の成分として)、又はVEGF結合分子の投与の前若しくは後で投与できる。
ある種の実施態様では、前記追加の治療薬剤は、EGFR、VEGFR、HER2-neu、Her3、AuroraA、AuroraB、PLK及びPI3キナーゼ、FGFR、PDGFR、Raf、KSP、PDK1、PTK2、IGF-R又はIRの阻害剤グループから選択される1つ以上の阻害剤であり得るが、ただしこれらに限定されない(さらにレセプターの事例では、対応するリガンドが含まれる)。
追加の治療薬剤のさらに別の例は、CDK、Akt、src/bcr abl、cKit、cMet/HGF、c-Myc、FIt3、HSP90の阻害剤、ヘッジホッグアンタゴニスト、JAK/STAT、Mek、mTor、NFkappaB、、プロテアソーム、Rhoの阻害剤、wntシグナリングの阻害剤、又はユビキチン化経路の阻害剤又は切痕シグナリング経路の別の阻害剤である。
Aurora阻害剤の例は、PHA-739358、AZD-1152、AT 9283、CYC-116、R-763、VX-680、VX-667、MLN-8045、PF-3814735であるが、ただしこれらに限定されない。
PLK阻害剤の例はGSK-461364である。
raf阻害剤の例は、BAY-73-4506(VEGFR阻害剤でもある)、PLX 4032、RAF-265(さらにまたVEGFR阻害剤でもある)、ソラフェニブ(sorafenib)(さらにまたVEGFR阻害剤である)及びXL 281である。
KSP阻害剤の例は、イシネシブ(ispinesib)、ARRY-520、AZD-4877、CK-1122697、GSK 246053A、GSK-923295、MK-0731及びSB-743921である。
Src及び/又はbcr-abI阻害剤の例は、ダサチニブ(dasatinib)、AZD-0530、ボスチニブ(bosutinib)、XL 228(IGF-1R阻害剤でもある)、ニロチニブ(nilotinib)(PDGFR及びcKit阻害剤でもある)、イマチニブ(imatinib)(cKit阻害剤でもある)及びNS-187である。
Rho阻害剤の例はBA-210である。
PI3キナーゼ阻害剤の例は、PX-866、BEZ-235(mTor阻害剤でもある)、XL 418(Akt阻害剤でもある)、XL-147及びXL 765(mTor阻害剤でもある)である。
cMet又はHGFの阻害剤の例は、XL-184(VEGFR、cKit、FIt3の阻害剤でもある)、PF-2341066、MK-2461、XL-880(VEGFRの阻害剤でもある)、MGCD-265(VEGFR、Ron、Tie2の阻害剤でもある)、SU-11274、PHA-665752、AMG-102及びAV-299である。
c-Myc阻害剤の例はCX-3543である。
FIt3阻害剤の例は、AC-220(cKit及びPDGFRの阻害剤でもある)、KW 2449、レスタウアーチニブ(lestaurtinib)(VEGFR、PDGFR、PKCの阻害剤でもある)、TG-101348(JAK2の阻害剤でもある)、XL-999(cKit、FGFR、PDGFR及びVEGFRの阻害剤でもある)、スニチニブ(sunitinib)(PDGFR、VEGFR及びcKitの阻害剤でもある)、タンズチニブ(tandutinib)(PDGFR及びcKitの阻害剤でもある)である。
HSP90阻害剤の例は、タネスピマイシン(tanespimycin)、アルベスピマイシン(alvespimycin)、IPI-504及びCNF 2024である。
JAK/STAT阻害剤の例は、CYT-997(チューブリンとも相互作用する)、TG 101348(FIt3の阻害剤でもある)及びXL-019である。
Mek阻害剤の例は、ARRY-142886、PD-325901、AZD-8330及びXL 518である。
mTor阻害剤の例は、テムシロリムス(temsirolimus)、AP-23573(VEGF阻害剤としても作用する)、エヴェロリムス(everolimus)(さらにまたVEGF阻害剤である)、XL-765(PI3キナーゼ阻害剤でもある)、及びBEZ-235(PI3キナーゼ阻害剤でもある)である。
Akt阻害剤の例は、ペリフォシン(perifosine)、GSK-690693、RX-0201及びトリシリビン(triciribine)である。
ヘッジホッグアンタゴニストの例はIPI-609及びCUR-61414である。
CDK阻害剤の例は、セリシクリブ(seliciclib)、AT-7519、P-276、ZK-CDK(VEGFR2及びPDGFRも阻害する)、PD-332991、R-547、SNS-032、PHA-690509及びAG 024322である。
プロテアソームの阻害剤の例は、ボルテゾミブ(bortezomib)、カルフィロゾニブ(carfilzomib)及びNPI-0052(NFkappaBの阻害剤でもある)である。
NFkappaB経路の阻害剤の例はNPI-0052である。
ユビキチン化経路の阻害剤の例はHBX-41108である。
好ましい実施態様では、追加の治療薬剤は抗脈管形成剤である。
抗脈管形成剤の例は、FGFR、PDGFR及びVEGFRの阻害剤又は対応するリガンド(例えばペガプタニブ(pegaptanib)のようなVEGF阻害剤又は抗VEGF抗体ベバシズマブ)、EGFL7阻害剤(例えば抗EGFL7 MAb)、アンギオポイエチン1/2阻害剤(例えばAMG386)、及びサリドマイド(例えば以下から選択される薬剤(ただしこれらに限定されない):ベバシズマブ、モテサニブ(motesanib)、CDP-791、SU-14813、テラチニブ(telatinib)、KRN-951、ZK-CDK(CDK阻害剤でもある)、ABT-869、BMS-690514、RAF-265、IMC-KDR、IMC-18F1、IMiD(免疫調節薬)、サリドマイド誘導体CC-4047、レナリドミド(lenalidomide)、ENMD 0995、IMC-D11、Ki 23057、ブリヴァニブ(brivanib)、セジラニブ(cediranib)、XL-999(cKit及びFIt3の阻害剤でもある)、1B3、CP 868596、IMC 3G3、R-1530(FIt3の阻害剤でもある)、スニチニブ(cKit及びFIt3の阻害剤でもある)、アクシチニブ(cKitの阻害剤でもある)、レスタウアーチニブ(FIt3及びPKCの阻害剤でもある)、ヴァタラニブ(vatalanib)、タンズチニブ(FIt3及びcKitの阻害剤でもある)、パゾパニブ(pazopanib)、GW 786034、PF-337210、IMC-1121B、AVE-0005、AG-13736、E-7080、CHIR 258、ソラフェニブトシレート(sorafenib tosylate)(Raf阻害剤でもある)、RAF-265(Raf阻害剤でもある)、ヴァンデタニブ(vandetanib)、CP-547632、OSI-930、AEE-788(EGFRおよびHer2の阻害剤でもある)、BAY-57-9352(Rafの阻害剤でもある)、BAY-73-4506(Rafの阻害剤でもある)、XL 880(cMetの阻害剤でもある)、XL-647(EGFR及びEphB4の阻害剤でもある)、XL 820(cKitの阻害剤でもある)、及びニロチニブ(nilotinib)(cKit及びbrc-ablの阻害剤でもある))である。
本発明のVEGF結合分子との組合せに有用なEGFR及びHer2阻害剤はとりわけ、ラパチニブ(lapatinib)、ゲフィチニブ、エルロチニブ(erlotinib)、セツキシマブ、トラスツズマブ(trastuzumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ヴァンデタニブ(vandetanib)(VEGFRの阻害剤でもある)、ペルツズマブ(pertuzumab)、XL-647、HKI-272、BMS-599626 ARRY-334543、AV 412、mAB-806、BMS-690514、JNJ-26483327、AEE-788(VEGFRの阻害剤でもある)、ARRY-333786、IMC-11F8、Zemabである。
本発明のVEGF結合分子と治療法で有利に組み合わせることができる他の薬剤は、トリツムマブ(tositumumab)及びイブリツモマブ チウキセタン(ibritumomab tiuxetan)(2つの放射能標識抗CD20抗体)、アレムツズマブ(alemtuzumab)(抗-CD52抗体)、デノスマブ(denosumab)(破骨細胞分化因子リガンド阻害剤)、ガリクシマブ(galiximab)(CD80アンタゴニスト)、オファツムマブ(ofatumumab)(CD20阻害剤)、ザノリムマブ(zanolimumab)(CD4アンタゴニスト)、SGN40(CD40リガンドレセプター調節物質)、リツキシマブ(rituximab)(CD20阻害物質)、マパツムマブ(mapatumumab)(TRAIL-1レセプターアゴニスト)、REGN421(SAR153192)又はOMP-21M18(DII4阻害剤)である。
本発明の実験で得られたデータによって、本発明のVEGF結合分子は従来技術のVEGF結合分子の特性よりも優れた特性を有することが確認された。そのような特性はとりわけ、VEGF165−VEGFR2相互作用の完全な阻害及び低いIC50(例えば図1のELISAデータ及び表5から得ることができる)の他に、図3、17、18及び表7で示されるアルファスクリーンアッセイでのVHHのIC50値(nM);及び表9、10並びに図5-1及び5-2における組換えヒトVEGF及びマウスVEGFでの精製VHHの親和性KD(nM)である。図13に示すように、本発明のVEGF結合物質は高い能力、すなわちサブナノモルの範囲の能力をHUVEC増殖アッセイで有する。このことは、本発明のVEGF結合分子は、脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接な関係を有する疾患及び異常で治療有効性を有する有望な候補物であることを示す。
本発明の別の実施態様にしたがえば、以下の工程によって疾患を診断する方法が提供される:
a)上記で規定した本発明のVEGF結合分子とサンプルを接触させる工程;及び
b)前記VEGF結合分子と前記サンプルとの結合を検出する工程;及び
c)工程b)で検出された結合を標準物と比較し、前記サンプルに対する結合の相違によって、脈管形成におけるVEGF媒介作用と密接な関係を有する疾患又は異常が診断される。
a)VEGF109の製造と機能性試験
ヒト血管内皮増殖因子アイソフォームVEGF165(GenBank:AAM03108.1;アミノ酸残基27−135)のレセプター結合ドメインをコードするcDNAをpET28aベクター(Novagen, Madison, WI)でクローニングし、大腸菌(BL21 Star DE3)でHis-タグ付加不溶性タンパク質として過剰発現させる。発現は1mMのIPTGの添加によって誘発し、37℃で4時間持続させる。遠心分離によって細胞を採集し、細胞ペレットの超音波処理によって溶解させる。遠心分離によって封入体を単離する。1%トリトンX100(Sigma-Aldrich)による洗浄工程の後、タンパク質を7.5Mの塩酸グアニジンを用いて可溶化し、さらに6Mから0Mまで尿素濃度を降下させた緩衝液を用いる一晩透析の連続繰り返しによって再び折り畳む。再折畳みタンパク質を、MonoQ5/50GLカラム(Amersham BioScience)によるイオン交換クロマトグラフィーと前記に続くSuperdex75 10/300GLカラム(Amersham BioScience)によるゲルろ過によって精製する。タンパク質の純度及び均質性はSDS-PAGE及びウェスタンブロットによって確認する。さらにまた、VEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブとの結合活性はELISAによってモニターする。この目的のために、1μg/mLの組換えヒトVEGF109を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。VEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブの連続希釈をVEGF109被覆プレートに添加し、アルカリフォスファターゼ(AP)結合ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)(Jackson Immuno Research Laboratories Inc., West Grove, PA, USA)及びその後の基質PNPP(p-ニトロフェニルホスフェート)(Sigma-Aldrich)の存在下での酵素反応を用いて結合を検出する。VEGF109はVEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブと結合でき、製造されたVEGF109は活性を有することを示した。
海水養殖カサガイヘモシアニン(mcKLH)(Pierce, Rockford, IL, USA)とともにImject Immunogen EDCキットを製造業者の指示にしたがって用い、組換えヒトVEGF165(R&D System, Minneapolis, MN, USA)をmcKLHと結合させる。ポリペプチドとmcKLHとの効率的な結合はSDS-PAGEによって確認する。前記結合タンパク質の機能性はELISAによってチェックする。2μg/mLのKLH結合VEGF165を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。VEGFR1又はVEGFR2の連続希釈を添加し、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)(Jackson Immuno Research Laboratories Inc., West Grove, PA, USA)及びその後の基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下での酵素反応を用いて結合を検出する。KLH結合タンパク質はなおVEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブと結合でき、VEGF165の対応するエピトープはなお接近可能であることが確認された。
1.1 免疫
獣医学部(University Ghent, Belgium)の倫理委員会の承認後、4頭のラマ(No. 264, 265, 266, 267と称する)を標準的プロトコルにしたがって組換えヒトVEGF109の6回筋肉内注射(1週間間隔で100又は50μg/用量)により免疫する。0日目の第1回の注射はフロイントの完全アジュバント(Difco, Detroit, MI, USA)で処方するが、その後の注射はフロイントの不完全アジュバント(Difco, Detroit, MI, USA)で処方する。さらにまた、4頭のラマ(No. 234, 235, 236, 237と称する)を以下のプロトコルにしたがって免疫する:KLH結合ヒトVEGF165(2週間間隔で100又は50μg/用量)の5回筋肉内注射、続いてヒトVEGF109の4回筋肉内注射(第一回の用量100μg、2週間後に1週間間隔で3回の50μg/用量)。
1.2 ラマのVEGF誘発免疫応答の評価
VEGF特異的血清力価をモニターするために、ELISAアッセイを設定する。前記アッセイでは、2μg/mLの組換えヒトVEGF165又はVEGF109を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。血清希釈物を添加した後、結合した全IgGをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ラマ免疫グロブリン(Benthyl Laboratories Inc., Montgomery, TX, USA)及びその後の基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下での酵素反応を用いて検出する。ラマ264、265、266、及び267については追加のELISAを実施する。前記ELISAでは、VEGF165及びVEGF109に対するアイソタイプ応答を評価する。アイソタイプ特異的応答は、通常のラマIgG1並びに重鎖単独ラマIgG2及びIgG3を特異的に認識するマウスmAb(Daley et al. (2005). Clin. Diagn. Lab. Imm. 12:380-386)続いてウサギ抗マウスHRP結合物(DAKO)を用いて検出する。ELISAは色原体基質としてTMBを用いて反応を進行させ、吸収は450nmで測定する。各ラマの血清力価を表1に記載する。
ELISA(組換えタンパク質固相被覆)
最後の免疫原注射に続いて、重鎖抗体を産生するB細胞の供給源として免疫組織を免疫ラマから収集する。典型的には、2つの150mL血液サンプル(最後の抗原注射から4日後及び8日後に収集)、1つのリンパ節生検材料(最後の抗原注射から4日後に収集)を各動物につき収集する。前記血液サンプルから、Ficoll-Hypaque(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ, USA)を製造業者の指示にしたがって用いて末梢血単核球(PBMC)を調製する。PBMC及びリンパ節生検材料から全RNAを抽出し、前記をRT-PCRのための出発材料として用い、WO 05/044858に記載されているようにVHHコードDNAセグメントを増幅する。各免疫ラマについて、当該動物の全収集免疫組織から単離した全RNAをプールすることによってライブラリーを構築する。略記すれば、VHHライブラリーのファージディスプレーを促進するように設計したベクターで、特異的制限部位を介してPCR増幅VHHレパートリーをクローニングする。前記ベクターはpUC119から誘導され、LacZプロモーター、M13ファージgIIIタンパク質コード配列、アンピシリン又はカルベニシリン耐性遺伝子、マルチクローニング部位及びハイブリッドgIII-peIBリーダー配列を含んでいる(pAX050)。VHHコード配列に関してインフレームで、前記ベクターはC末端c-mycタグ及びHis6タグをコードする。標準的プロトコルにしたがってファージを調製し、ろ過滅菌後更なる使用のために4℃で保存する。
多数の選別条件を適用しながらVHHライブラリーを種々の選別手段で用いる。可変事項には以下が含まれる:i)VEGFタンパク質フォーマット(rhVEGF165、rhVEGF109又はrmVEGF164)、ii)抗原提示方法(固相:直接被覆又はニュートラビジン被覆プレートへビオチンタグを介して;液相:溶液中でのインキュベーションとそれに続くニュートラビジン被覆プレートでの捕捉)、iii)抗原濃度、及びiv)溶出方法(トリプシン又は競合溶出(VEGFR2を使用))。全ての選別をMaxisorp 96-ウェルプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)で実施する。
選別は以下のように実施する:ファージライブラリーを溶液中の又は固相に固定した変動濃度のVEGF抗原とともに室温でインキュベートする。2時間のインキュベーション及び十分な洗浄後に、結合ファージを溶出させる。ファージ溶出にトリプシンを用いる場合、0.8mMのプロテアーゼ阻害剤AEBSFの添加によってプロテアーゼ活性を直ちに中和する。コントロールとして抗原使用/不使用選別を並行して実施する。バックグラウンドを超える高濃度を示すファージアウトプットを大腸菌感染に用いる。感染大腸菌細胞は、次の選別ラウンド(ファージレスキュー)用ファージの調製に用いるか、又は個々のVHHクローンの解析のために寒天プレート(LB+amp+グルコース2%)にプレートする。選別アウトプットを特異的結合物についてスクリーニングするために、単一コロニーを寒天プレートから採取し、1mLの96-深ウェルプレートで増殖させる。IPTG(最終濃度0.1-1mM)を添加することによって、LacZ制御VHH発現を誘導する。標準的プロトコルにしたがってペリプラズム抽出物(体積約80μL)を調製する。
ヒトVEGF165との結合について、ペリプラズム抽出物をELISAによって試験する。略記すれば、2μg/mLの組換えヒトVEGF165を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。典型的には10倍希釈のペリプラズム抽出物を添加した後、マウス抗myc(Roche)及び抗マウスHRP結合物(DAKO)を用いてVHH結合を検出する。バックグラウンドの3倍を超えるELISAシグナルを示すクローンをVEGF結合VHHとみなす。
さらにまた、ペリプラズム抽出物をヒトVEGF165/ヒトVEGFR2アルファスクリーンアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)でスクリーニングして、VHHの遮断能力を判定する。ヒトVEGF165にはSulfo-NHS-LC-ビオチン(Pierce, Rockford, IL, USA)を用いてビオチンを付加する。ヒトVEGFR2/Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)は、製造業者(Perkin Elmer, Waltham, MA, US)の指示にしたがい抗ヒトFc VHH(アクセプタービーズと結合する)を用いて捕捉する。VHHの中和能力を評価するために、ペリプラズム抽出物を0.03%Tween20(Sigma-Aldrich)含有PBS緩衝液で1/25に希釈し、0.4nMのビオチン付加ヒトVEGF165と室温(RT)で15分間プレインキュベーションを実施する。この混合物に、アクセプタービーズ(10μg/mL)及び0.4nM VEGFR2-huFcを添加し、暗所にて室温でさらに1時間インキュベートする。続いてドナービーズ(10μg/mL)を添加し、その後暗所にて室温で1時間インキュベートする。蛍光は、680nmの励起波長及び520nmから620nmの発光波長を用い、エンビジョンマルチラベルプレート(Envision Multi label Plate)リーダー(Perkin Elmer, Waltham, MA, USA)でプレートを読み取ることによって測定する。無関係のVHHを含むペリプラズム抽出物を陰性コントロールとして用いる。陰性コントロールのシグナルと比較したとき60%を超えて蛍光シグナルを低下させることができる抗VEGF165 VHHを含むペリプラズム抽出物をヒットと同定する。アルファスクリーンで同定された全てのヒットを競合ELISAで確認する。この目的のために、1μg/mLのヒトVEGFR2キメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。0.1%カゼイン溶液及び0.05%Tween20(Sigma-Aldrich)を含むPBS緩衝液に固定濃度(4nM)のビオチン付加ヒトVEGF165の存在下で、5倍希釈のペリプラズム抽出物をインキュベートする。これらのVHH/bio-VEGF165複合体とプレートに被覆したヒトVEGFR2キメラとの結合は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合エキストラビジン(Sigma, St Louis, MO, USA)を用いて検出する。VEGF結合(非レセプター遮断)VHH並びに阻害性(レセプター遮断)VHHのVHH配列ID及び対応するアミノ酸配列は、それぞれ表2及び表3に列挙する。
精製タンパク質としての更なる性状決定のために以下の3つの阻害性抗VEGF VHHを選択する:VEGFBII23B04、VEGFBII24C4及びVEGFBII23A6。これらのVHHをc-myc, His6-タグ付加タンパク質として大腸菌TG1で発現させる。発現は1mMのIPTGの添加によって誘発し37℃で4時間持続させる。細胞培養を遠心分離した後、ペレットの凍結融解によってペリプラズム抽出物を調製する。これらの抽出物をIMAC及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるVHH精製の出発材料として用いる。最終的VHH調製物はSDS-PAGEで判定したとき95%の純度を示す。
5.1 ヒトVEGF165/ヒトVEGFR2-Fc遮断ELISAにおけるヒトVEGF165/VEGFR2遮断VHHの評価
VHHの遮断能力はヒトVEGF165/ヒトVEGFR2-Fc遮断ELISAで評価する。簡単に記せば、1μg/mLのVEGFR2-Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈を4nMのビオチン付加VEGF165の存在下でインキュベートする。bio-VEGF165とVEGFR2との残留結合を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合エキストラビジン(Sigma, St Louis, MO, USA)及び基質としてTMBを用いて検出する。コントロールとしてベバシズマブ(アバスチン(Avastin(商標)))及びラニビズマブ(Ranibizumab)(ルセンチス(Lucentis(商標)))を一緒に用いる。用量阻害曲線は図1に示す。対応するIC50値及び%阻害は表5に要約する。
VHHはまたヒトVEGF165/ヒトVEGFR1-Fc遮断ELISAで評価する。簡単に記せば、2μg/mLのVEGFR1-Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈を0.5nMのビオチン付加VEGF165の存在下でインキュベートする。bio-VEGF165とVEGFR1との残留結合を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合エキストラビジン(Sigma, St Louis, MO, USA)及び基質としてTMBを用いて検出する。コントロールとしてベバシズマブ、ラニビズマブ及び無関係のVHH(2E6)を一緒に用いる。用量阻害曲線は図2に示す。対応するIC50値及び%阻害は表6に要約する。
VHHの遮断能力はまたヒトVEGF165/ヒトVEGFR2-Fc遮断アルファスクリーンで評価する。簡単に記せば、0.03%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈(濃度範囲:200nM−0.7pM)を4pMのbio-VEGF165に添加し、15分間インキュベートする。続いて、VEGFR2-Fc(0.4nM)及び抗Fc VHH被覆アクセプタービーズ(20μg/mL)を添加し、この混合物を暗所で1時間インキュベートする。最後にストレプトアビジンドナービーズ(20μg/mL)を添加し、1時間暗所でインキュベートした後、蛍光をエンビジョンマイクロプレートリーダーで測定する。用量応答曲線は図3に示す。ヒトVEGF165-ヒトVEGFR2-Fc相互作用を遮断するVHHのIC50値は表7に要約する。
VHHの遮断能力はまたヒトVEGF165/ヒトVEGFR1-Fc遮断アルファスクリーンで評価する。簡単に記せば、0.03%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈(濃度範囲:500nM−1.8pM)を0.4nMのbio-VEGF165に添加し、15分間インキュベートする。続いて、VEGFR1-Fc(1nM)及び抗Fc VHH被覆アクセプタービーズ(20μg/mL)を添加し、この混合物を暗所で1時間インキュベートする。最後にストレプトアビジンドナービーズ(20μg/mL)を添加し、1時間暗所でインキュベートした後、蛍光をエンビジョンマイクロプレートリーダーで測定する。用量応答曲線は図4に示す。ヒトVEGF165-ヒトVEGFR1-Fc相互作用を遮断するVHHのIC50値及び%阻害は表8に要約する。
VHH VEGFBII23B04とhVEGF165との結合の動態をBiacoreT100装置でSPRによって解析する。組換えヒトVEGF165をアミンカップリング(EDC及びNHSを使用)によりCM5チップに直に固定する。VHHは10から360nMの種々の濃度で解析する。サンプルを2分間注入し、流速45μL/分で20分まで解離させる。サンプル注入毎に、チップ表面を100mMのHClで再生する。HBS-EP+(Hepes緩衝液(pH7.4)+EDTA)を泳動緩衝液として用いる。結合曲線は、Biacore T100評価ソフトv2.0.1によって二状態反応モデルを用い適合させる。抗VEGF VHHの算出親和性は表9に列挙する。
結合ELISAを用いてマウスVEGF164との交差反応性を決定する。簡単に記せば、組換えマウスVEGF164(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を1μg/mLで4℃にて一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBSに1%)で遮断する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の連続希釈(濃度範囲:500nM−32pM)としてVHHを適用し、結合はマウス抗myc(Roche)及び抗マウスHRP結合物(DAKO)並びに基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下でのその後の酵素反応を用いて検出する(図5-1及び5-2)。マウスVEGF164反応性mAbを陽性コントロールとして含む。参照として、ヒトVEGF165との結合もまた測定する。EC50値は表10に要約する。
固相結合ELISAにより組換えヒトVEGF121との結合を判定する。簡単に記せば、組換えヒトVEGF121(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を1μg/mLで4℃にて一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBSに1%)で遮断する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の連続希釈(濃度範囲:500nM−32pM)としてVHHを適用し、結合はマウス抗myc(Roche)及び抗マウスHRP結合物(DAKO)並びに基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下でのその後の酵素反応を用いて検出する(図6)。VEGFR2を陽性コントロールとして一緒に用いる。EC50値は表11に要約する。
固相結合ELISAによりVEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGFとの結合を判定する。簡単に記せば、VEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGF(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を1μg/mLで4℃にて一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBSに1%)で遮断する。VHHを連続希釈(濃度範囲:500nM−32pM)として適用し、結合はマウス抗myc(Roche)及び抗マウスAP結合物(Sigma, St Louis, MO, USA)を用いて検出する。陽性コントロールとして、適切なレセプターの連続希釈を一緒に用い、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的抗体)(Jackson Immuno Research Laboratories Inc., West Grove, PA, USA)及び基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下でのその後の酵素反応を用いて検出する。VHH及びコントロールの用量応答曲線は図7-1から7-4に示す。これらの結果は、選択したVHHとVEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGFとの結合は検出されないことを示している。
Biacoreによるエピトープ結合実験を実施して、どのVEGF結合物質が、VEGFBII23B04と類似又はオーバーラップするエピトープと結合するのかを解明する。この目的のために、VEGFBII23B04をCM5センサーチップに固定する。各サンプルについて、ヒトVEGF165をチップ表面に通し、VEGFBII23B04によって不可逆的に捕捉させる。続いて、精製VHH(100nM)又はペリプラズム抽出物(1/10希釈)を、表面接触時間240秒及び流速10μL/分で注入する。異なるサンプル毎に表面を再生緩衝液(100mMのHCl)で再生する。処理曲線は、Biacore T100評価ソフトで評価する。VHHは2つのグループに分割できた:VEGFBII23B04捕捉VEGF165とさらに別の結合をもたらしたグループ1及びVEGFBII23B04捕捉VEGF165と同時に結合できない第二のグループ。表12Aは試験したVHHの結合エピトープの要約である。
同じアッセイ設定を用いて、VEGFR1、VEGFR2、ラニビズマブ及びベバシズマブがVEGFBII23B04と同時にヒトVEGF165に結合できるか否かを判定する。表12Bは、VEGFBII23B04捕捉VEGF165との更なる結合応答を提示する。VEGFR2のみがVEGFBII23B04捕捉VEGF165と結合できず、VEGF-VEGFR2相互作用に対するVEGFBII23B04の遮断能力を強調している。さらにまた、これらのデータは、VEGFBII23B04のエピトープはベバシズマブ及びラニビズマブのエピトープとは異なることを示している。
表12A続き
*同じ又はオーバーラップするエピトープを示す。
選択したVHHの能力を増殖アッセイで評価する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞(Technoclone)を一晩サプリメント枯渇させ、続いて4000細胞/ウェルを96ウェルの組織培養プレートに4組ずつ播種する。細胞をVHHの存在下又は非存在下で33ng/μLのVEGFで刺激する。4日目に増殖速度を[3H]チミジンの取り込みによって測定する。HUVEC増殖アッセイの結果は表に示す。
選択したVHHの能力をHUVEC Erk増殖アッセイで判定する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞を一晩血清枯渇させ、続いてVHHの存在下又は非存在下で10ng/μLのVEGFで5分間刺激する。細胞をPBSに4%のホルムアルデヒドで固定し、ERKリン酸化レベルを、ホスホERK特異的抗体(抗ホスホMAPキナーゼpERK1&2、M8159、Sigma)及びポリクローナルウサギ抗マウス免疫グロブリン-HRP結合物(PO161、Dako)を用いてELISAによって測定する。表14に示すように、VEGFII23B04及びベバシズマブはVEGF誘発Erkリン酸化を少なくとも90%、1nMよりも低いIC50で阻害する。
VHH VEGFBII23B04を、VEGFBII23B04と又は異なるVEGF結合VHHと遺伝的に融合させる。前記はホモダイマーVHH(アミノ酸配列については表15を参照されたい)を生じ、後者はヘテロダイマーVHHを生じる。ヘテロダイマーVHHを作製するために、10の固有のVEGF結合VHHのパネルを、9又は40Gly-Ser可撓性リンカーを介してVEGFBII23B04に2つの異なる向きで連結する(アミノ酸配列については表15を参照されたい)。ホモダイマーVEGFBII23B04(VEGFBII010)及び40のヘテロダイマー二価VHHを、c-myc, His6-タグ付加タンパク質として大腸菌TG1で発現させる。発現は1mMのIPTGで誘発し、37℃で4時間持続させる。細胞培養を遠心分離し、ペレットの凍結融解によってペリプラズム抽出物を調製する。これらの抽出物を出発材料として用い、VHHをIMACにより精製し、脱塩してSDS-PAGEにより判定したとき90%の純度が得られる。
VHH(VEGFRBII010、VEGFBII021、VEGFBII022、VEGFBI023、VEGFBI024及びVEGFBII025)を並べてVEGFR2及びVEGFR1遮断ELISA(それぞれ図8-1及び8-2及び9、表17及び18)及びアルファスクリーンアッセイ(図10及び11、表19及び20)でそれぞれ実施例5.1,5.2,5.3及び5.4に記載したように比較する。
(b) 曲線は、Biacore T100評価ソフトv2.0.1によって二状態反応モデルを用い適合させる。
選択したフォーマット化VHHの能力を増殖アッセイで評価する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞(Technoclone)を一晩サプリメント枯渇させ、続いて4000細胞/ウェルを96ウェルの組織培養プレートに4組ずつ播種する。細胞をVHHの存在下又は非存在下で33ng/μLのVEGFで刺激する。4日目に増殖速度を[3H]チミジンの取り込みによって測定する。表25に提示した結果は、フォーマット化VHH及びベバシズマブはVEGF誘発HUVEC増殖を1nM未満のIC50で90%を超えて阻害することを示す。
8.1 VEGFBII23B04の配列最適化
VEGFBII23B04のアミノ酸配列をヒト生殖系列配列VH3-23/JH5に対してアラインメントを実施する(図16(配列番号:179)を参照されたい)。
アラインメントは、VEGFBII23B04が参照の生殖系列配列と比較して19のフレームワーク変異を含むことを示している。14位、16位、23位、24位、41位、71位、82位、83位及び108位の非ヒト残基が、それらのヒト生殖系列の対応残基による置換のために選択される。これらの位置に種々のヒト残基の組合せを保持するVEGFBII23B04変種セットを作製する(アミノ酸配列は表27に示す)。D59S60位の潜在的異性化部位(CDR2領域、図16を参照されたい(太字斜字体残基として表示))がS60A変異導入によって除去されたまた別の変種を構築する。
VEGFBII5B05のアミノ酸配列をヒト生殖系列配列VH3-23/JH5に対してアラインメントを実施する(図19(配列番号:179)を参照されたい)。アラインメントは、VEGFBII5B05は参照の生殖系列配列と比較して15のフレームワーク変異を含むことを示している。23位、60位、83位、105位の非ヒト残基が、それらのヒト生殖系列の対応残基による置換のために選択され、一方、44位のヒスチジンはグルタミンによる置換のために選択される。記載した6つの変異を保持するヒト化変種を構築する(アミノ酸配列は表31に記載する)。
Claims (24)
- 4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3をそれぞれ有する少なくとも1つの可変ドメインを含むVEGF結合分子であって、前記CDR3が、配列番号:1に示すアミノ酸配列Ser Arg Ala Tyr Xaa Ser Xaa Arg Leu Arg Leu Xaa Xaa Thr Tyr Xaa Tyrを有し、ここで
5位のXaaがGly又はAlaであり、
7位のXaaがSer又はGlyであり、
12位のXaaがGly、Ala又はProであり、
13位のXaaがAsp又はGlyであり、
16位のXaaがAsp又はGluであり、
ヒト組換えVEGF165とヒト組換えVEGFR-2との相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができる、前記VEGF結合分子。 - CDR3が以下から選択される配列を有する、請求項1に記載のVEGF結合分子:
配列番号:2 SRAYGSSRLRLGDTYDY;
配列番号:3 SRAYGSSRLRLADTYDY;
配列番号:4 SRAYGSSRLRLADTYEY;
配列番号:5 SRAYGSGRLRLADTYDY;
配列番号:6 SRAYASSRLRLADTYDY;
配列番号:7 SRAYGSSRLRLPDTYDY;
配列番号:8 SRAYGSSRLRLPGTYDY。 - 各々が、
a)配列番号:2から8に示す第一のグループの配列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3:
b)表3に表示するように、配列番号:9から46に示す第二のグループの配列から選択される配列に含有されるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2、
を含有する、1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む、請求項2に記載のVEGF結合分子であって、前記第二の配列は前記a)にしたがって選択された配列中に対応するCDR3を含有する。 - 1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインがVHHである、請求項3に記載のVEGF結合分子。
- 1つ以上のVHHが、配列番号:9−46に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項4に記載のVEGF結合分子。
- 配列番号:15、配列番号:18及び配列番号:25から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のVHHを含む、請求項5に記載のVEGF結合分子。
- 請求項6に規定のVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手された、VEGF結合分子。
- 配列番号:18に示すアミノ酸配列を有するVHHの配列最適化によって入手された、請求項7に記載のVEGF結合分子。
- 配列番号:47−57に示す配列から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項8に記載のVEGF結合分子。
- 2つ以上のVHHを含み、前記VHHが以下のa)又はb)である、請求項4に記載のVEGF結合分子:
a)組換えヒトVEGFと組換えヒトVEGFR-2との間の相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができる同一のVHH、又は
b)VEGFの非オーバーラップエピトープと結合する異なるVHHであって、少なくとも1つのVHHが組換えヒトVEGFと組換えヒトVEGFR-2との間の相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができ、さらに少なくとも1つのVHHが前記相互作用を60%以下の阻害率で遮断することができる、前記異なるVHH。 - a)の同一VHHが、配列番号:9−46に示すアミノ酸配列を有するVHH、又はそのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHHから選択される、請求項10に記載のVEGF結合分子。
- VHHが配列番号:18又は配列番号:47−57に示すアミノ酸配列を有するVHHから選択される、請求項11に記載のVEGF結合分子。
- 各々が配列番号:57に示すアミノ酸配列を有する2つのVHHを含む、請求項12に記載のVEGF結合分子。
- 請求項13に記載のVEGF結合分子であって、
a)60%以上の阻害率を有する前記1つ以上のVHHが、
(i)配列番号:9−46に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するVHH、又は、
(ii)そのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHH、
から選択され、さらに
b)60%以下の阻害率を有する前記1つ以上のVHHが、
(i)配列番号:58−124、又は、
(ii)そのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHH、
から選択される、前記VEGF結合分子。 - 2つのVHHが、表13に表示のように、配列番号:128−168に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドに含有され、リンカー配列によって分離されてある、請求項14に記載のVEGF結合分子。
- a)(i)のVHHが配列番号:18に示すアミノ酸配列を有し、b)(i)のVHHが配列番号:64に示すアミノ酸配列を有する、請求項15に記載のVEGF結合分子。
- a)(ii)のVHHが配列番号:47−57に示すアミノ酸配列を有するVHHから選択され、b)(ii)のVHHが配列番号:125−127に示すアミノ酸配列を有するVHHから選択される、請求項16に記載のVEGF結合分子。
- 2つのVHHを含み、それらのうちの1つが配列番号:57に示すアミノ酸を有し、それらのうちの1つが配列番号:127に示すアミノ酸を有する、請求項17に記載のVEGF結合分子。
- 請求項1から18のいずれか1項に記載のVEGF結合分子をコードする核酸分子又は前記を含有するベクター。
- 請求項19に記載の核酸分子を含有する宿主細胞。
- 請求項1から18のいずれか1項に記載のVEGF結合分子の少なくとも1つを活性成分として含有する医薬組成物。
- 脈管形成におけるVEGF媒介作用と密接に関係する疾患の治療のための、請求項21に記載の医薬組成物。
- 癌及び癌様疾患の治療のための、請求項22に記載の医薬組成物。
- 眼疾患の治療のための、請求項22に記載の医薬組成物。
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